対話能力テスト開発に向けての基礎研究 : 質問紙 調査の結果と会話投影法の結果の関連
著者 井上 智義
雑誌名 評論・社会科学
号 79
ページ 1‑15
発行年 2006‑03‑15
権利 同志社大学社会学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011869
︹論文︺
対 話 能 力 テ ス ト 開 発 に 向 け て の 基 礎 研 究
││質問紙調査の結果と会話投影法の結果の関連││
井 上 智 義
一︑問題
一︱一対話行動についての語用論の研究
冗談のつもりで発したことばが他人を傷つけたり︑賞賛のことばが皮肉に受け取られたり︑言語によるコミュニケー
ションにおいては︑メッセージに託された発話者の意図が︑うまく解読できずに誤解されることは珍しいことではな
い︒コミュニケーションの問題を扱う言語学の研究領域は語用論︵
pragmatics
︶と呼ばれ︑一九七〇年代からその研究 が多くの研究者の注目を浴びるところとなっている︒従来の言語学では︑扱えなかった文︵sentence
︶より大きな単位で言語の問題をとらえ︑その言語が用いられる文脈や状況を重視して言語使用の問題を研究しようとするのが語用論の
研究の特徴である︵
Mey, 1993
参照︶︒ことばによるコミュニケーションの本質を文脈の中で解明しようとする研究領域だといえる︒
毛利︵
1983
︶や山梨︵1986
︶は︑語用論の大切な側面について説明する中で︑Austin
︵1962
︶が提唱した発話行為︵
speech act
︶の三つのレベルについてわかりやすく紹介している︒その三つのレベルとは︑漓
locutionary
発語行為︵― 1 ―
act
︶︑滷
illocutionary
発話内行為︵︶︑澆
perlocutionary act
呼為行話発るれば︶と発︵為行介媒話の三つの側面である︒たとえば︑ある話し手が同室にいる背の高い友人に︑棚の上の荷物を取って
もらおうとして︑﹁その棚の上の段ボール箱に手が届きますか?﹂と婉曲的な言い回しで荷物を
降ろすことを要請したとする︒しかし︑その友人は︑﹁それくらい届くよ︒﹂と応じたという場面
を想定してみる︒その場合︑ここでの最初の発話を
Austin
による発話行為の三つの側面で具体的にとららえてみると︑以下のような内容となる︒
Box. 1
に示すように︑その第一番目の漓をを体自れそ為行るす発ば発とこに単︑はと為行語指
している︒ある発話がなされるとき︑通常は︑なんらかのことばを発声することになる︒すなわ
ち︑なんらかの発語行為がなされる︒そのような発語行為がなければ︑話し手の要求や気持ちな
どが聞き手に伝えることは難しいので︑音声言語のコミュニケーションには︑この発語行為は不
可欠のものともいえる︒しかし︑発話行為全体の中での発語行為それ自体に焦点を当てるときに
は︑話し手の意図や聞き手に何が伝わるかといったことは問題にされない︒
次のレベルの
滷この意図するとろしである︒たと手話発︑話内行為とはあたる発語に託されえ
ば︑棚の上の荷物を見上げながら︑同室にいる背の高い友人に︑﹁その棚の上の段ボール箱に手
が届きますか?﹂というような発話をしたとすると︑多くの場合は︑﹁背の低い私に代わって︑
その棚の上の荷物を取ってくれませんか?﹂というような要請または依頼ということになる︒あ
る発話において︑その話し手が意図するところが発話内行為であり︑その内容がコミュニケーシ
ョンの相手に伝わることが望ましい︒
最後の
澆態れて生じた状と体考えることがでさ媒発︑話媒体行為とはありる発語行為によき
Box. 1. Austin による発話行為の 3 つの側面を示す具体例
【発話行為の具体例】
漓発語行為(locutionary act)
: 「その棚の上の段ボール箱に手が届きますか?」と 発声すること
滷発話内行為(illocutionary act)
:棚の上の荷物を降ろして欲しいという要請
澆発話媒介行為(perlocutionary act):単なる質問として受け取られる結果
対話能力テスト開発に向けての基礎研究
― 2 ―
る︒すなわち︑ある発話行為の結果の側面とみることができる︒上の例の延長で解説を加えると︑コミュニケーション
の相手である︑背の高い友人にそのことが伝わり︑棚の上の荷物を取ってもらえたとすると︑その場合︑発話内行為と
発話媒体行為に大きな差が生じなかったということができる︒
ところが︑コミュニケーションには︑多くの場合誤解が付き物であるから︑聞き手は︑もしかすると︑上の例のよう
に︑単なる質問と受け取って﹁それくらい届くよ︒﹂というような応答を返してくるかもしれない︒その場合は︑発話
の結果であるところの発話媒体行為の内容と︑話し手の意図であるところの発話内行為の内容が異なることになる︒対
話能力には︑さまざまな状況の中で︑話しての意図を読み取る力が強く要求されることになる︒
Grice
︵1975
︶も述べているように︑会話における協調原則がたとえ存在したとしても︑相手の意図を読み取るためには︑文字どおりの情報と状況をもとに推論する必要があり︑そのようなかなり高度な認知能力も必要とされることに
なる︒
一︱二対話行動を扱った心理検査
このように人間の対話行動では︑誤解されることが少なくないとすると︑どのような人たちが正しく発話者の意図を
汲み取って理解することができるのか︑あるいは︑どのような人たちが発話者の意図をうまく汲み取れずに誤解するの
か︑という人間の側の問題は︑心理学の研究領域ということになる︒それでは︑そのような心理学の研究には︑どのよ
うなものがあるのだろうか?
P︱Fスタディ︵
Rosenzweig Picture-Frustration S tudy
︶とよばれる心理検査は︑対話場面を直接扱った数少ない標準化された心理テストであるといえる︒そもそも︑P︱Fスタディは︑図1に示すように︑漫画のひとコマのような線画に
よる対話場面が提示され︑セリフのついていない右側の人が︑何と言っていると思うかを答えさせる投影法のテストで
― 3 ―
対話能力テスト開発に向けての基礎研究
この帳簿のつけ 方は何ですか!
例
ちょうぼ
かた なん
ある︒その反応は︑いわば自由記述に
よるもので︑機械的な得点化は難し
い︒しかし︑このテストでは原則的に
はテストで提示される二十四場面すべ
てにおいて得られたそれぞれの回答
を︑九つのカテゴリー︵二次元三水準
の3×3のマトリックス︶と︑そこか
ら派生するふたつのカテゴリーの計十
一のカテゴリーに分類していき︑それ
らの数をカウントすることにより︑最
終的な得点化の手続きを経ることにな
る︒すでに対象とする年齢層ごとに︑
児童用︑青年用︑成人用の三つのバージョンが日本でも市販されており︑それぞれの得点化マニュアルが出版されてい
る︵児童用
1956
住田・林︑︑成人用⁚
1957
谷は説書として林︑る・住田・一解わたま田・林︑︶︒た住︑その全般に⁚
・中田・秦・津田・西尾・西川︵
1987
︶がある︒ 秦︵1993
︶によると︑P︱Fスタディは︑言語刺激に対する連想という点で﹁言語連想検査﹂を参考とし︑絵画刺激を用いているという点で﹁TAT
ト︱すなわち︑PFるスタディのテス︒い絵参画統覚検査﹂を考てにしているとし
⁚
は︑投影法に軸足を置きながらも︑刺激の言語的側面をも重要視する︑良い意味でかなり統制された性格検査というこ
とができる︒
図
1 P-F スタディ(成人用)の例題として用いら れている刺激の線画. 「右側の男の人がそれ に対して一体なんと答えるでしょうか?」と い う よ う な 設 問 が な さ れ て い る. (住 田・
林、1957 より)
対話能力テスト開発に向けての基礎研究
― 4 ―
井上︵
2004
︶は︑この対話能力テストの開発の貴重な参考資料として︑P︱Fスタディをとりあげ︑そのような手法から学ぶべきもの︑対話場面の設定としての問
題点などを明らかにすることを目的に︑大学生と専門学校生一〇八名︵女子六五
名︑男子四三名︶を対象に︑そのテストがもつ今日的な問題点とテストとしての有
用性について検討しとている︒そこでは︑P︱Fスタディ成人用二十四場面を示す
それぞれの線画に対して︑六段階評定法による四項目の質問︵
漓状況はわかりやす
い︑
滷発話の意味がわかりにくい︑
澆この場面は欲求不満を感じる︑
潺時代にあっ
ていない︶からなる調査を実施した︒
その結果は表1で示されるように︑尺度
漓すかうどか﹂いやのりかわが況状﹁の
判断を求めた結果からは︑レストランでの店員と客の対話の場面7︑質屋の留守番
と客の対話の場面9︑夜中の交換手による間違い電話の場面
1 1
などが︑他の場面と比較してかなり低い平均評定値が得られた︒また尺度
滷の﹁発話の意味がわかりに
くい﹂と指摘されたのは︑やはり場面7︑場面9︑場面
1 1
の三場面であり︑このふたつ尺度の間には︑高い負の相関が認められた︵
r =
0.94
︶︒すなわち︑状況がわ−
かりやすければ︑相手の発話の意味が理解可能であるが︑逆に︑状況がわかりにく
い設定では︑相手の発話の意味がわかりにくくなることが確認された︒
また︑尺度
潺さ﹂応対ので屋質﹁︑はのたれ摘の指と﹂いないてっあに代時﹁の
場面9︑﹁夜中の交換手との対話﹂の場面
1 1
4面場﹂るれ遅に車汽で障故の車﹁︑であった︒場面9については︑自由記述での回答から︑たとえば︑﹁座ってる人の職
表
1 P-F スタディに関する調査で問題点が指摘された場面
(井上、2004 から結果の一部を紹介)
3 場面 11(3.58)
場面 7 (3.44)
−
場面 4 (3.57)
注: ( )内の数値は、各尺度に対する平均評定値。数値が 6 に近いものほど、左 に示す特徴を顕著に示しているものと考えられる。欲求不満感知の属性につい ては、平均値よりも 1 標準偏差分を逸脱するものが 2 場面しかなかった。
2 場面 9 (3.54)
場面 11(3.48)
場面 6 (3.03)
場面 11(3.85)
1 場面 7 (3.21)
場面 9 (3.71)
場面 22(2.25)
場面 9 (4.45)
状況理解可能 発話意味不明 欲求不満感知 時代に不適合
― 5 ―
対話能力テスト開発に向けての基礎研究
業がいまいち分からない﹂とか﹁︵線画に描かれている︶﹃質商﹄の意味が分からない﹂などとするものがみられた︒さ
らに︒場面
1 1
トの電話が古い﹂などの回答があり︑この評定スイラ﹃については︑﹁今時交﹁換手﹄などいない﹂やの高さの根拠のいくつかを示す結果となっている︒また︑場面4については︑﹁﹃汽車﹄というのが時代に合ってない﹂や
﹁﹃故障﹄よりも﹃渋滞﹄の方が自然な感じがする﹂など︑やはり現在の社会的状況にそぐわない場面設定であることが
示唆されている︒
一︱三本稿の研究目的
このような研究結果からは︑対話場面のテストには具体的な状況を示す文脈があることが必要ではあるが︑その具体
的な状況はテストを受ける人たちに容易に理解されるような状況でなければいけないことが示された︒そのような場面
の中には︑かつては理解されていた文脈的状況も︑時代的背景の変化により︑現在では理解されにくくなっているもの
が少なからず存在することなどが具体的に示された︒また︑このような会話投影法による検査は︑個人のテスト結果の
解釈に熟練が必要であり︑また︑多くの対話場面の状況を扱えないという欠点もあると考えられる︒
そこで本研究の目的は︑このような会話投影法の欠点を補うために︑質問紙調査法による対話能力テストとして︑ど
のような項目が妥当なのかを具体的に検討するとともに︑そのような質問紙調査と会話投影法の結果の関連について検
討することである︒具体的には︑調査1では︑﹁対話能力﹂を測定できるようなテストの開発を念頭に︑質問紙調査に
より︑コミュニケーションに対する態度には︑どのような内容が特定できるのかを検討し︑それぞれの具体的な項目を
作成することを研究目的とした︒また︑続く調査2では︑調査1で実施する質問紙調査の個々人のテスト結果を会話投
影法の結果の関連について検討する︒ 対話能力テスト開発に向けての基礎研究
― 6 ―
二調査1
み話試の定測力能対質るよに法紙問
⁚
二︱一調査1の目的
調査1の目的は︑﹁対話能力﹂を測定できるようなテストの開発を念頭に︑質問紙調査により︑コミュニケーション
に対する態度には︑どのような内容が特定できるのかを検討し︑それぞれの具体的な項目を作成することである︒
二︱二調査1の方法
調査対象者
女生び︑D大学文学部学四お六名︑計一四五名︵よ︑K五福祉専門学校学生五名名︑A看護学校学生四四
⁚
子九七名︑男子四八名︶︒
調査材料
計目のもたし編改をられそと項先たいてれらい用で究研行
⁚
4 4
項るす関に為行話発たし成作に自独に目項目1 6
項目の合計
6 sc 2000 0
︿目項問質トグンピーコス8レののス︒項目を用いた内︶訳は︑加藤︵﹀1992
諸井︵︶の電話行;
動の質問項目ph
︿7﹀sy 1991
﹀造6︿目項問質の握把構奥団集小の︶︵藤伊・田;
1989
桑原ら︵︶の情緒指向的表現;
規則の項目ke
︿7﹀︑対話者規則の項目ki
︿5﹀︑発話遂行規則の項目ks
︿5﹀︑理解指向的表現規則の項目ku
︿6﹀である︒一部は改編した後に使用︒配列は擬似ランダムとし︑すべては五段階評定での回答形式とした︒使用された用
紙はB4版︒
手続き
れス布され︑個人のペーでに回答することが求めら配生各系調査用紙は︑心理学の講授業のなかで︑その受
⁚
た︒三集団のいずれにおいても個人の回答に要した時間は約五分から一五分程度であった︒
― 7 ―
対話能力テスト開発に向けての基礎研究
二︱三調査1の結果と考察
6 0
のそ︑れらけかに析分因子が果結の値定評の目項後2 5
なが︶転回スクッマロプ︵分析子因度再︑れさ除削が目項された︒結果は表2に示すとおり八因子を抽出した︒
表2の因子分析の結果が示すように︑八つの因子は︑
漓いかうどかるいてえ考とるて相し解理が分自を話発の手の
﹁意図理解﹂因子︑
滷せ子因﹂欲意達伝﹁るすとうよまいし楽を手相てしを話なろいろ︑
澆聞き手がどのようにメッセ
ージを受け取るかを意識している﹁効果配慮﹂因子︑
潺好子因﹂向志話電﹁むを対話対ので話電りよ面︑
潸より良い対
話行動に心がけようと意識する﹁努力意識﹂因子︑
澁手すとうよし近接に的理心に相場し話らがなし重尊を気囲雰のる
﹁交渉接近﹂因子︑
澀慮子因﹂整調﹁るすとうよし配聞に性属のどな力能語言の手き︑
潯自己の対話行動を高く評価す
る﹁自信﹂因子と︑それぞれ名づけられた︒
これらの結果は︑コミュニケーションをとろうとするときに︑個人によって注意を向けているポイントが異なってい
るということを示唆している︒たとえば︑相手を楽しませようと心がけている人がいる一方で︑対面でのコミュニケー
ションより電話での対話を好む人たちがいる︒また︑相手の立場に対する配慮にしても︑ことば使いに配慮する人と︑
相手の気持ちを重視する人︑楽しませようと努力する人︑場の雰囲気を保とうとする人など︑さまざまなタイプの人た
ちがいることが伺われる︒もっとも︑これらの質問紙調査から得られた情報は︑あくまでも回答者が意識する自分のコ
ミュニケーション行動についての評価であり︑その行動を必ずしも客観的にとらえたものであるとは言い切れない︒ 対話能力テスト開発に向けての基礎研究
― 8 ―
表
2
コミュニケーションに対する態度に関する質問紙項目の因子分析衄 自信
0.086 0.105 0.015
−0.081 0.051 0.099 0.022 0.131 0.150 0.128 0.193
−0.008 0.065
−0.029
−0.354 0.210 0.119 0.067 0.229
−0.061
−0.003 0.093 0.079 0.117 0.074
−0.263
−0.143
−0.006
−0.155 0.109
−0.108 0.002 0.593 0.367 0.352 注:各項目の記号は参照した先行研究を示す。+印はそれらを改編した項目。無印は本研究でのオリジナルの項目。
蠻 調整
0.120
−0.049
−0.055
−0.043
−0.150 0.217 0.152 0.016 0.146 0.310 0.084
−0.034
−0.005
−0.159 0.101
−0.162 0.200
−0.194 0.133
−0.035 0.190
−0.081 0.075 0.100 0.032 0.093 0.059 0.069 0.062 0.130 0.698 0.586
−0.057
−0.028
−0.117 蠧
交渉接近 0.026 0.000 0.057 0.110 0.238
−0.092
−0.048 0.000 0.203 0.118
−0.131 0.165
−0.050 0.250 0.006 0.064 0.119 0.138 0.146
−0.052
−0.086 0.124 0.051 0.013
−0.111 0.523
−0.519 0.489 0.444 0.281 0.000 0.110
−0.081
−0.141 0.037 蠹
努力意識
−0.019 0.159 0.055
−0.016
−0.003 0.194
−0.067
−0.038
−0.076
−0.277 0.313 0.019 0.025
−0.101 0.065 0.180
−0.030
−0.032 0.066 0.030
−0.058 0.132 0.420 0.411 0.377 0.454 0.230 0.029
−0.082 0.255 0.203 0.017 0.217 0.261 0.156 蠶
電話志向 0.086 0.011 0.210 0.110
−0.143
−0.110 0.074
−0.016 0.114
−0.128 0.082 0.092
−0.139 0.165
−0.110
−0.018 0.078
−0.154 0.018 0.782 0.704 0.481 0.015
−0.137 0.095 0.053 0.012
−0.029
−0.019
−0.198 0.050 0.041
−0.072 0.074 0.089 蠱
効果配慮
−0.018 0.083 0.171 0.194 0.113 0.305 0.090
−0.050
−0.036 0.032 0.089 0.583 0.577 0.509 0.429
−0.421 0.411 0.400
−0.372 0.003
−0.029
−0.077
−0.165
−0.158 0.083
−0.118 0.117 0.152 0.161 0.078
−0.053
−0.077 0.011 0.117 0.007 蠡
伝達意欲
−0.066
−0.085 0.202 0.216 0.103 0.018
−0.707 0.679
−0.594 0.413 0.327 0.010
−0.280 0.065
−0.333
−0.122 0.199
−0.091
−0.018
−0.089 0.054
−0.241
−0.041 0.240
−0.076 0.125 0.027 0.031
−0.104
−0.089
−0.090
−0.045 0.198
−0.070 0.151 蠢
意図理解 0.791 0.705
−0.687 0.389 0.363
−0.319 0.162
−0.142
−0.174 0.093 0.051 0.144 0.079
−0.028
−0.078 0.015
−0.139
−0.120
−0.136
−0.134 0.222
−0.132 0.103
−0.058
−0.014 0.024
−0.109
−0.155 0.165 0.163 0.166
−0.118 0.156 0.275 0.328 相手の言うことは、多くの場合、正しく理解できている。
相手の話を的確に理解する。
結局、相手が何が言いたいのか、わからないことが多い。
相手の関心にあわせて話題を選べる。
相手と自分の関係を理解している。
話の内容より相手の話し方が気になることが多い。
相手を退屈させていることが多い。
ユーモアのセンスがある方だ。
話題が乏しい。
相手を楽しませることが好きである。
知識が豊かである。
話をするとき、相手の気持ちをひきつけようとする。
自分の発言が相手にどのような影響を与えているのかが気になる。
複数の相手がいるとき、みんなに愛想よく接するようにする。
話すときに、ついつい気がねしてしまう。
大きな誤解が起きることなど、あまり考えない。
複数の相手がいるとき、まわりをしらけさせないように注意する。
気持ちが伝わらないとき、こんなものだと割り切れない。
ストレスを感じるようなときは、忘れるようにする。
直接顔を合わせて話をするよりも、電話だと会話がはずむ。
深刻な話でも、電話なら気楽に話すことができる。
電話なら、他人を気にせず、相手と自分だけで会話ができる。
適切な声の大きさで話す。
ひとつの考えにとらわれずに話をする。
まわりにいる人とは異なる発言をするように心がけている。
まわりの人たちが受け入れやすい発言に心がけている。
わざと相手を怒らすことがある。
まわりの雰囲気にそぐわないことを言わないように注意する。
一方的に話さないように心がけている。
反対意見も聞くようにしている。
同じことを伝えるときでも、相手によって言い方を変えている。
親しさの程度にあわせて、表現の丁寧さを変化させている。
自分の気持ちを他人に上手に伝える自信がある。
ことばづかいが適切である。
スムーズな受け答えをする。
ks−5 sa−3 ku−5 ki−5 ke−1 ke−3+
ku−4 ke−2+
ku−1 ke−4+
sy−2 ke−5 sc−4+
sy−1 sc−7 sc−6+
ph−3 ph−1+
ph−2+
ku−6 ks−3 sy−6 sy−3 ki−4+
ki−3+
ku−2 ku−3 蠢−1 蠢−2 蠢−3 蠢−4 蠢−5 蠢−6 蠡−1 蠡−2 蠡−3 蠡−4 蠡−5 蠱−1 蠱−2 蠱−3 蠱−4 蠱−5 蠱−6 蠱−7 蠱−8 蠶−1 蠶−2 蠶−3 蠹−1 蠹−2 蠹−3 蠧−1 蠧−2 蠧−3 蠧−4 蠧−5 蠻−1 蠻−2 衄−1 衄−2 衄−3
―9―
対話能力テスト開発に向けての基礎研究
三調査2
連話関の果結の法影投会質をと果結査調紙問
⁚
三︱一調査2
調査2の目的は︑調査1で実施した質問紙調査の個々人のテスト結果を︑会話投影法︵P︱Fスタディ︶の結果と関
連づけて検討することである︒また︑最終的には対話能力テストを開発する上で︑質問紙法と投影法の方法は︑どのよ
うに用いられるべきかについても考察する︒
三︱二調査2の方法
調査対象者
︒〇四名︵女子一〇名一︑男子三四名︶三計K生福祉専門学校学とのA看護学校学生
⁚
調査材料
調査1で用いた
⁚
6 0
︶版年青︵ィデタスF︱Pび︑よお︑紙問質るならか目項︒手続き
︒る布され︑回答すこにとが求められた配日質タ問紙とP︱Fスデるィの用紙は︑異な
⁚
三︱三調査2の結果と考察
調査1で用いられた質問紙
6 0
︑果結の析分因子︑ちうの目項第蠶因子︵電話志向因子︶︑第
蠹因子︵努力意識因子︶︑
第
衄五項問質い高の荷負に子因のつく因除を子因三の︶子因信自︵子目
1 3
逆部一︵値定評のられそ︑れさ択選が目項転項目は変換後の数値︶の結果から︑質問紙総合得点なるものを各個人ごとにすべての対象者一三四名に対して算出し
た︒具体的には︑第
蠢因子︵意図理解因子︶︑第
蠡因子︵伝達意欲因子︶︑第
蠱︶上らかれぞれそ子因因慮配果効︵子位
3項目ずつと︑第
蠧因子︵交渉接近因子︶と第
蠻評︒たし出算を因得にともを値定点の子目子︵調因整︶から上位2項 に研礎基のてけ向話発開トステ力能対究
― 1 0 ―
ただし︑評定値は五段
階評定に基づくもので
あるため︑逆転項目に
ついては六点からそれ
ぞれの評定値を減じた
ものに変換した後に︑
それらの合計得点を算
出した︒そしてその得
点が︑平均値より一・
五標準偏差以上離れた
得点の者で上位群と下
位群を構成した︒
また︑対象者が回答
したP︱Fスタディ
︵青年版︶の結果を︑
その解説書の指示通り
に分析し︑それぞれの
記録票を個人ごとに作
成した︒本来︑P︱F
表
3 質問紙得点上位群の PF-Study の結果
(M−A)+I 8 9.5
5 6 4 9.5 10.5
7.5 13 9 8.20 2.700 I−I
1 1 2 3 3 4 6 3.5
2 6 3.15 1.796 E−E
7 7 7 3 7 2 0.5 8.5 2 3 4.70 2.860 E+I
1 2 0 2 1 2 0 2.5
3 0.5 1.40 1.049 I 0 1 0 1 0 1 0 0.5
2 0.5 0.60 0.658 E 1 1 0 1 1 1 0 2 1 0 0.80 0.632 m (l)
1.0 1.0 0.0 0.0 1.0 0.5 2.5 2.0 1.0 0.5 0.95 0.798 m (f)
3.0 2.5 1.0 2.0 0.0 1.5 4.0 1.0 1.0 3.0 1.90 1.220 GCR
% 58 77 62 23 77 38 62 38 85 38 55.80 20.709 性別
f m m m m f f f m m 年齢
18 19 18 21 20 21 20 20 20 19 総合 得点 33 33 35 37 38 39 39 39 39 39 37.10 2.514 no.
87 220 56 28 19 10 13 41 46 226 Ave.
SD 群
上位群
表
4 質問紙得点下位群の PF-Study の結果
(M−A)+I 6.5 6.5 8 9 10 12 4.5 11.5
6.5 6.5 8.50 2.619 I−I
0 4.5 4.5 2 2.5
3 1.5 3.5 0 4.5 2.69 1.534 E−E
6 4.5
1 3 4 2 11.5
3.5 6 4.5 4.44 3.234 E+I
0.5 0.5 0 1 1 2 0 2 0.5 0.5 0.88 0.791 I 0.5 0.5 0 1 1 1 0 2 0.5 0.5 0.75 0.655 E 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0.13 0.354 m (l)
1.0 0.5 2.0 1.0 1.0 1.0 0.0 2.0 1.0 0.5 1.06 0.678 m (f)
0.0 0.0 1.0 0.0 1.0 1.0 0.0 2.0 0.0 0.0 0.63 0.744 GCR
% 35 54 42 50 77 31 31 50 35 54 46.25 15.323 性別
f f f m f f m f f f 年齢
18 18 20 22 23 21 20 20 18 18 総合 得点 53 54 55 55 56 57 58 59 53 54 55.88 2.031 no.
83 78 17 205 234 32 29 22 83 78 Ave.
SD 群
下位群
― 1 1 ―
対話能力テスト開発に向けての基礎研究
スタディのテストの目的は︑対話能力を測定するためには作成されていない︒しかしながら︑欲求不満の起こりやすい
ような二十四場面での言語反応をもとに︑他責的︵外罰︶反応傾向の強さや自責的︵内罰︶反応傾向の強さなどだけで
はなく︑一般的な反応傾向との一致や逸脱の程度︑その他︑プロフィール欄で得られる各種の数値は︑各人の対話行動
でみられるさまざまな特徴を反映しているものと考えることができる︒
本研究の目的は︑会話投影法のテスト結果と前述の質問紙調査の結果の関連について検討することであるため︑P︱
Fスタディの記録票のプロフィール欄で得られる︑個人ごとのすべての数値を前述の質問紙総合得点の上位群と下位群
で比較するという手法により︑その関連を見出そうとした︒表3と表4は︑それぞれ質問紙総合得点の上位群一〇名
と︑下位群一〇名の主要な結果である︒
二つの表からもわかるとおり︑両群の数値の比較からは︑GCR値が示す常識的な平凡反応の出現率についてなど︑
ほとんどの項目において︑有意差が得られなかった︒ただし︑E−の値が示す得点において︑統計的に有意な差異が見
出された︒この数値は︑相手から非難や叱責を受けたときに︑攻撃的に否認するような行動に象徴される︒この現実否
認の反応においては︑質問紙総合得点の上位群のもののほうが高い値を示し︑下位群のほとんどの者はこの反応が見ら
れず︑両群の値に有意な差があることが示された︵マン・ホイットニーのU検定
U
0= 19.5, n
1= 10, n
2= 10, p ⁚
.05,
両<
側検定︶︒
このことは︑相手から不当な非難や叱責を受けるようなときには︑時として攻撃的に否認するなど︑自己を防衛する
ようなコミュニケーション行動もとる必要があることが示されたのかもしれない︒しかし︑少なくとも︑今回の分析結
果から得られたものは︑投影法のテストの結果が︑必ずしも質問紙調査で得られた内容と関連づけることがむずかし
く︑両者が対話行動におけるかなり異なる側面をとらえようとしていることが示されたといえよう︒ 対話能力テスト開発に向けての基礎研究
― 1 2 ―
四結論
本研究のひとつの目的は︑﹁対話能力﹂を測定できるようなテストの開発を念頭に︑高い信頼性を有すると考えられ
る既存の投影法のテスト︑P︱Fスタディの結果と︑先行研究を参考にして独自に作成した質問紙調査の個人ごとの結
果の関連を調べることであった︒しかし︑上にも述べたように︑はっきりとした関連は多くの指標では見出すことがで
きなかった︒そもそも︑二つのテストは︑異なることを目的に作成されたものではあるが︑意識化できることについて
質問する質問紙調査法と︑かなり深層の心理的な側面をとらえようとする投影法では︑それぞれから得られる結果に共
通性が見つけにくいのかもしれない︒
以上の結果をふまえたうえで︑今後は︑﹁対話能力﹂を測定できるような独自の日常場面を選定するとともに︑﹁対話
能力﹂をどのような側面からとらえ︑テストを構成してくかなどを研究していきたい︒場合によれば︑質問紙調査と投
影法を補完的に使用したようなテスト・バッテリーを開発する必要があるのかもしれない︒その際︑井上︵
2004
︶が示唆しているように︑会話投影法にも意識的な質問項目を付加するような技法を用いることも検討すべきであると考えら
れる︒
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対話能力テスト開発に向けての基礎研究
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住田勝美・林勝造︵
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⁚
山梨正明︵
1986
︶﹃発話行為﹄大修館書店︒ 対話能力テスト開発に向けての基礎研究― 1 4 ―
An Exploratory Study toward the Development of a Test Battery for Communicative Competence :
A Relationship between the Results of a Questionnaire and those of a Projective Test for Dialogues
Tomoyoshi Inoue
This study aimed to reveal the relationship of the results of a questionnaire con- cerning communicative attitudes and competence with the overall scores of so-called P-F Study (Rozenzweig Picture-Frustration Study) in order to develop a new test battery that would be appropriate to measure the communicative competence of indi- viduals. As for the questionnaire, 35 items were finally selected out of 60 originally developed questions after the factor analysis which showed possible eight factors.
Some of the items were considered to reflect the communicative competence of each respondent. The score of each individual of 134 respondents based on those items was investigated if it had any correlation with the test results of P-F Study. Unfortu- nately, no significant result was shown to be a good predictor of that score except for E (E bar) scale that would deny the responsibility for the frustrating event. Many problems remained to be further investigated.
Key words : communicative competence, questionnaire, projective test, factor analysis
― 1 5 ―
対話能力テスト開発に向けての基礎研究