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民法改正法案における第三者弁済

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Academic year: 2021

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民法改正法案における第三者弁済

著者 山本 宣之

雑誌名 同志社法學

巻 68

号 7

ページ 2465‑2492

発行年 2017‑02‑28

権利 同志社法學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2019.0000000126

(2)

    同志社法学 六八巻七号三一七二四六五

           

Ⅰ  問題の所在Ⅱ  現民法の規律Ⅲ  正当な利益を有する第三者Ⅳ  正当な利益を有しない第三者Ⅴ  今後の課題

Ⅰ   問 題 の 所 在

1   ﹁一一して引用する)が第八条九回国会に提出さの法と○部下を改正する法律案﹂(以、○改正法案とよび、法民案

、第三者弁済についても大きな改正が予定されている。現行の民法(以下、現民法とよび、現○○条として引用する)

(3)

    同志社法学 六八巻七号三一八二四六六

における第三者弁済の規律は、解決が待たれるような解釈論的問題に直面していたり、明文化がふさわしいほどに判例が蓄積されていたというわけではないが、従来からその立法論的当否(主に現四七四条二項の妥当性)に疑問が示されてきた。現四七四条二項は、利害関係を有しない第三者は債務者の意思に反して弁済することができないと定めている。これは、債務者が他人の恩義を受けることを潔しとしない場合や、第三者が債権者よりも過酷に求償権を行使しようとする者である場合の不利益から債務者を保護する趣旨とされる

)2

。しかし、第三者が債務者の意思に反して保証人となって弁済すれば、債務者はその恩義を拒む余地はなく、求償権も行使されることになるなど、その趣旨は民法上貫徹されていないことが指摘され、また、他の立法例と比較して第三者弁済の制限が強すぎると批判されていた

)3

。法制審議会民法(債権関係)部会(以下、単に部会とよぶ)の審議においても、こうした問題が当初から明確に前提にされ 5

)(4

、それにどう応えるのかが第三者弁済に関する改正の主要なテーマであったといえる。

  もっとも、問題意識のレベルでは認識が共有されていても、具体的にどう規律するかのレベルまで意見が一致していたわけではない。たとえば、初期の部会では、利害関係を有しない第三者による弁済は債務者の意思に反する場合でも有効としつつ、債務者に対する求償権を否定するという考え方が提示された 6

。しかし、弁済を有効とする点は一応支持されたのに対し、求償権の成否については意見の対立が明白であった 7

。この考え方は、弁済を広く有効とする代わりに求償権を否定する趣旨であったことから、次第にトーンダウンして提示されるようになり、やがて検討の対象から除外され、改正法案でも採用されることはなかった 8

。第三者弁済に関する改正法案の規定は簡潔なものであるが、それは各種の考え方の採否のうえに成るものであり、その理解には綿密な検討を要すると思われる。

  そこで、本稿では、改正法案では第三者弁済についてどのような規律が採用されたのか、また、それは第三者弁済に関するどのような利害状況の把握を前提とするものであるか、さらに、改正法案の規律はそうした利害状況の把握と整

(4)

    同志社法学 六八巻七号三一九二四六七 合的なものであるかを検討することにしたい。そして、その検討から可能な範囲で、改正法案の規律についてどのような解釈論が適切であるかも探ることとしたい。

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    同志社法学 六八巻七号三二〇二四六八

Ⅱ   現 民 法 の 規 律 1   規 律 の 概 要

  現民法によれば、第三者弁済は原則として有効とされる(現四七四条一項本文)。ただし、債務の性質がそれを許さないとき、または、当事者が反対の意思表示をしたときは除かれる(ただし書)。この例外は、第三者が利害関係を有するかどうかにかかわらず適用がある。それに加えて、利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済することができないとされる(二項)。

  この現四七四条二項については、一般に次のように理解されている 9

  利害関係とは、弁済をすることについての法律上の利害関係に限られ、事実上の利害関係があるだけでは足りない。法律上の利害関係を有する者としては、物上保証人、第三取得者、後順位担保権者が該当し、また、借地上建物の賃借人も、その賃借権の消滅を防止することができるため、土地の賃料債務の弁済につき法律上の利害関係を有するとされる ₁₀

。連帯債務者、保証人は、それぞれ自己の連帯債務、保証債務を弁済する者であるから、その弁済は第三者による弁済に当たらない ₁₁

。それに対し、単に債務者と親族関係にある者、債務者である会社の関連会社は、事実上の利害関係しか有しないとされる ₁₂

。そして、これ以外の者については必ずしも明らかではなく、とくに一般債権者は、法定代位(現五〇〇条)の要件である正当な利益を有すると認められるのに対し、第三者弁済につき法律上の利害関係を有すると明言されることは少ない ₁₃

  また、債務者の意思については、予め表示されている必要はなく、債権者や第三者が知らないときでも、諸般の事情から認定できればよいとされる ₁₄

。そして、債務者の意思に反して第三者弁済が無効となるのは例外であるため、それを

(6)

    同志社法学 六八巻七号三二一二四六九 主張する者が立証責任を負う。これによれば、債権者が立証責任を負うことも(第三者による弁済の提供の効果を否定するとき)、債務者が負うことも(第三者からの求償を拒むとき)、第三者が負うことも(債権者に対し給付を不当利得として返還請求するとき)、いずれも考えられることになろう。

  現四七四条により第三者弁済が有効であるときは、債務者の債務は消滅することになる ₁₅

。第三者は、債権者に対し、受取証書の交付、債権証書の返還を請求することができる。また、通常、第三者は債務者に対し求償権を取得し、弁済による代位(法定代位、任意代位)が可能となる。第三者弁済が許されるときは、代物弁済や弁済供託も有効にすることができる。そして、第三者弁済が許されるとき、第三者による弁済の提供にも効力が認められ、債権者がその受領を拒絶するか受領が不能のときは受領遅滞の責任を負うことになる。

2   第 三 者 弁 済 の 利 害 状 況

  このような現民法の規律によれば、第三者弁済に関係する債務者・債権者・第三者の利害状況は、次のように分析することができるであろう。

⑴   債 務 者

  債務者は、第三者が法律上の利害関係を有するとき、その弁済の効力を否定することはできず、第三者からの求償に応じなければならない。しかし、それ以外の第三者による弁済は、自己の意思に反するかぎり無効を主張することができる。その意思は弁済の当時に存在しなければならないと考えられるが、何らかの合理的根拠にもとづくものである必要はなく、予め外部に表示されている必要もない。したがって、債務者としては、債権者との間に債務に関する法的紛

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    同志社法学 六八巻七号三二二二四七〇

争が存在したり、当該第三者から求償を受ける立場となることに取引上の不都合があるなど、客観的に了解可能な根拠にもとづく意思だけでなく、債権者や第三者に対する単なる心情的理由にもとづく内心の意思次第でも ₁₆

、第三者弁済の効力を否定できる立場にあるといえる。ただし、そのとき、債務者には意思の存在につき立証負担が残り ₁₇

、また、効力の否定によって債権者に対し債務不履行に陥ることが考えられる。

⑵   債 権 者

  債権者は、第三者が法律上の利害関係を有するとき、その弁済の受領を拒絶することはできず、それに応じるべきことになる。また、それ以外の第三者による弁済であっても、債務者の意思に反しないときは同様であり、したがって、その弁済の提供には効力が認められ、その受領を拒絶すれば受領遅滞となり、そして、債務者に対し反対債務を負うときはその履行が必要になる。これに対し、債務者の意思に反するときは、第三者による弁済は無効であり、むしろその受領を積極的に拒絶すべきことになる。債権者がそれを受領した場合、第三者に対し給付を不当利得として返還する義務を負うとともに、受取証書や債権証書の返還を求める必要が生じる ₁₈

。しかも、受領後に債務者に対する反対債務を履行した場合、不当利得ではないためその返還請求はできず、また、受領後に担保を解放した場合、それを回復するのは実際上困難であると考えられる ₂₀

)(₁₉

  このようにみると、全体として債権者は第三者弁済の有効・無効について重い判断リスクを負うといえる。つまり、第三者が法律上の利害関係を有するかどうか、また、それが不明なときは債務者の意思に反しないかどうかを、自らのリスクで適切かつ速やかに調査し判断しなければならない立場にある。そのとき、法律上の利害関係の有無は第三者の主張の確認により一応判断しうるとしても、債務者の意思の判断は必ずしも容易ではないと思われる。債務者の意思は、

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    同志社法学 六八巻七号三二三二四七一 外部に表示されていたり客観的事情から推測できるとは限らず、さらに、債務者が所在不明となっていたり高齢者等のため確認が困難な場合もあると指摘されているからである ₂₂

)(

₂₁

。しかも、債権者は第三者から弁済の申し出があった時点で調査を始めるほかなく、判断のための時間的猶予が十分でないことも考えられよう。

⑶   第 三 者

  第三者は、もともと他人の債務を弁済する義務を負わないが、法律上または事実上の利害関係を有する場合、弁済しなければ法律上または事実上の不利益を受ける立場にある。第三者が法律上の利害関係を有するとき、その弁済は自らの決定のみで有効に行うことができる。それ以外の第三者であっても、債務者の意思に反しないときは弁済によって債務を消滅させることが可能であり、通常、債務者に対する求償権を取得することができる。また、債権者の受領がない場合でも、弁済の提供としての効力が生じ、債務者の債務不履行の結果としての自己の不利益の防止につながる。しかし、債務者の意思に反するときは、その弁済は無効であり、債務者に対する求償権は成立せず、むしろ債権者に対し不当利得返還請求をする負担を負う。そのとき、弁済の提供の効力も生じないから、自らの意図や理解に反して(また、他の方法をとる必要性に思い至らない結果) ₂₃

債務者の債務不履行を回避できず、法律上または事実上の不利益を免れない事態になりうる。

  したがって、第三者はその弁済の有効・無効について一定の判断リスクを負うといえる。第三者は、法律上の利害関係を有するかどうかは自ら判断可能であるものの、債務者の意思については自らのリスクで調査し判断する必要がある。その判断が必ずしも容易でないことは、債権者の場合と基本的に異ならない。もっとも、第三者が事実上であれ利害関係を有するとすれば、債務者の意思を調査しやすい立場であることが多いであろう。また、第三者は弁済するかどうか

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    同志社法学 六八巻七号三二四二四七二

を自ら決定するのであるから、債権者の場合と異なり、弁済に踏み切る前に債務者の意思を調査する機会と時間を得ることも多いであろう。ただし、債務者の債務不履行を回避するには時間的制約があるはずであり、その限りで速やかな判断を迫られると考えられる。

3   第 三 者 弁 済 の 構 図

  こうした利害状況をふまえると、現民法下の第三者弁済の基本的な構図は、第三者が法律上の利害関係を有するときは、第三者の利害と他人の債務を弁済するというその意思決定を尊重し、そうでないときは、債権者と第三者(とくに前者)のリスクと負担において、客観的合理性があるか主観的心情によるかを問わずに債務者の意思を尊重する、というものであると理解することができる。

  このなかで、債務者は、法律上の利害関係を有する第三者の弁済は阻止できないが、そうでない第三者に関しては自己の意思を貫徹することができ、その弁済や弁済の提供の効力を決定できる立場にある ₂₄

。これに対し、第三者は、法律上の利害関係を有するときは自らの意思に従って有効な弁済ができるが、そうでないときは債務者の意思に左右される。そして、債務者の意思に反するときは、法律上または事実上の不利益を受けることになり、また、債務者の意思を確認できないときは、無効となるリスクを負って弁済するかどうか決定することになる。しかし、最も難しい立場におかれるのは債権者である。債権者は、第三者が法律上の利害関係を有するときは有効な弁済として受領するほかないが、その判断の的確さにも一定のリスクが伴う。そうでないときは債務者の意思に左右され、受領するかどうか迅速な対応を迫られるが、その判断の的確さにはより多くのリスクを伴う。しかも、債権者にとって第三者の出現は一般に計算外であり、自ら形成した債務者との債権関係にもともと付随するリスクとは別に、自らとは関係のない第三者との返還関係

(10)

    同志社法学 六八巻七号三二五二四七三 等のリスクを新たに負わされることになるといえる。

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    同志社法学 六八巻七号三二六二四七四

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Ⅲ   正 当 な 利 益 を 有 す る 第 三 者 1   改 正 法 案 の 規 律 の 概 要

  改正法案においても、第三者弁済は原則として有効であるとされる(法案四七四条一項)。また、債務の性質が許さないとき、当事者が第三者弁済を禁止もしくは制限する意思表示をしたときは除外され(四項)、文言と条文の位置はやや異なるものの、これも現民法の規律と同趣旨であるといえる。

  改正法案における重要な改定は、第一に、﹁弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者﹂の弁済について、債務者の意思に反するかどうかが問われることとなり(二項本文)、利害関係を有しない第三者という基準が変更されることである。また、第二に、﹁債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは﹂、第三者の弁済が有効とさ

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    同志社法学 六八巻七号三二七二四七五 れることであり(二項ただし書)、債権者の善意という基準が新たに採用されることである。そして、第三に、そうした第三者の弁済について﹁債権者の意思﹂に反するかどうかが問われることであり(三項)、第三者弁済の有効・無効に関して債権者の意思という基準が新たに採用されることである。

2   正 当 な 利 益 を 有 す る 者 の 範 囲

  弁済をするについて正当な利益を有する者という基準は、現民法の法定代位(現五〇〇条)に関する基準を採用するものである。これは、第三者弁済を当然に(つまり、債務者の意思や債権者の意思にかかわりなく)なしうる者の要件を法定代位の要件と一致させ、ルールの明確化を図る趣旨であるとされる ₂₅

。その基礎にあるのは、法定代位の目的が第三者弁済を促進することにあり、両者が連続性のある制度であるとの理解である ₂₆

。また、連帯債務者や保証人は自ら債務を負う者であり、現四七四条の利害関係を有する者には該当せず、現五〇〇条の正当な利益を有する者には該当すると解されているものの、この文言の使い分けからその差異を読み取ることは困難であるとの理解もある ₂₇

。これらの点からすると、法案四七四条にいう正当な利益を有する者とは、現五〇〇条の同概念をそのまま維持し継承するものであると解釈することが、一応、基本となるであろう ₂₈

  現五〇〇条の正当な利益を有する者については、従来、①弁済しないと債権者から執行を受ける地位にある者、②弁済しないと債務者に対する自分の権利が価値を失う地位にある者とする立場が有力である ₂₉

。①には、連帯債務者、保証人、物上保証人、第三取得者などが該当し、②には、後順位担保権者、一般債権者、抵当不動産の賃借人などが該当するとされる。これらの多くは、現四七四条の利害関係を有する者(前述Ⅱ1参照)と共通することから、法案四七四条の正当な利益を有する者の基準として①と②を継承することに基本的に問題はないと考えられる。なお、連帯債務者と

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    同志社法学 六八巻七号三二八二四七六

保証人は正当な利益を有する者にのみ該当するという相違があるが、これらの者は、第三者ではなく自らの債務を弁済するはずであるから、利害関係を有する者の範囲に含める必要がないとして除外されていたものである。しかし、連帯債務者が他の連帯債務者の債務について、また保証人が主たる債務について、それぞれ第三者として弁済することを考えた場合、現民法の解釈としても利害関係を有する者に含めるべきであったと解せられる。この場面を念頭におくと、連帯債務者と保証人が、法案四七四条の正当な利益を有する者として、当然に第三者弁済ができるとすることは、むしろ適切なものであるといえよう ₃₀

  もっとも、それ以外にも、現五〇〇条の範囲と現四七四条の範囲についてはその一方にだけ含まれる者がいるという相違があり、前者につき抵当不動産の賃借人と一般債権者、後者につき借地上建物の賃借人を挙げることができる ₃₁

。しかし、法案四七四条の正当な利益を有する者という基準のもとで、それらの者がどのように統合されるのかは、部会資料・審議からは必ずしも明らかではない。法案四七四条の趣旨(前述参照)からすれば、正当な利益を有する者の範囲は共通であると考えられ、形式論理上は、現五〇〇条の範囲に従う、(法案四七四条の文言からずれるが)現四七四条の範囲に従う、両条の範囲の総和とするのいずれの方法もありうる。連帯債務者・保証人以外の相違には目立った言及がなかったことからすれば、単純に合算的に統合されると理解されている可能性があるが、その当否は検討を要するであろう。

  まず、抵当不動産の賃借人は、現五〇〇条に関する②の基準に該当するとされる ₃₂

。抵当権者に対抗できない賃借人は、抵当権の実行によって不動産の明渡義務を負うため、抵当権の被担保債務を弁済しないと賃借権を保全できない地位にあるからである。他方、借地上建物の賃借人 ₃₃

は、現四七四条の利害関係を有する者とされるが、これは、土地の賃料債務を弁済することにより建物退去と土地明渡しを免れ、建物の賃借権を保全できるという関係が認められるからである。

(14)

    同志社法学 六八巻七号三二九二四七七 前者が明渡義務を負う不動産自体の賃借人であるのに対し、後者は明渡義務を負う土地上の建物の賃借人という間接的な立場であるが、弁済によって賃借権を保全できるという点で本質的な違いはないといえる ₃₄

。したがって、現民法の解釈としても、抵当不動産の賃借人は現四七四条の利害関係を有する者に該当し、借地上建物の賃借人は現五〇〇条の正当な利益を有する者に該当する ₃₅

と考えられる。もともとそうであったことからすると、いずれも法案四七四条の正当な利益を有する者の範囲に含まれると解することが自然かつ妥当であろう。

  また、一般債権者 ₃₆

も、現五〇〇条に関する②の基準に該当するとされる。一般債権者は、他の債権者に弁済することにより担保権の実行や強制執行のおそれを除去し、債務者の財産状況の好転を待つという利益を有するからである ₃₇

。他方で、一般債権者が現四七四条の利害関係を有する者に該当するかどうかは不明確である(前述Ⅱ1参照)。これに対し、後順位担保権者については、現五〇〇条と現四七四条のどちらの範囲にも含まれると解されている。現五〇〇条に関しては、後順位担保権者は、先順位担保権者の被担保債権を弁済することによって順位昇進の利益を受け、自らの欲する時期に担保権を実行する可能性を得るからであるとされる ₃₈

。現四七四条に関する理由は、必ずしも明確ではないが、同様の観点から、弁済することにより先順位担保権を消滅させ、自己の担保権を保全できる地位にあると理解することが可能であろう。たしかに、一般債権者は債権しか有しないのに対し、後順位担保権者はそれを確保するための担保権を有し、その回収可能性を高めることに当初からより直接的な関係を有するという違いがあろう。しかし、両者は、弁済をすることによって他人の主導による担保権の実行や強制執行を排し、自らの主導で債権の満足を得る可能性を高めることができるという利益や利害関係を有する点において共通し、その立場に本質的な違いはないと考えられる ₃₉

。したがって、現民法の解釈としても、一般債権者は現四七四条の利害関係を有する者に該当し、法案四七四条の正当な利益を有する者にも該当すると解しうるであろう。

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