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女 性 差 別 撤 廃 委 員 会

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女 性 差 別 撤 廃 委 員 会

通報番号 3 / 2 0 0 4

出産休業中の所得補償について給付総額を制限する ことは,給付を伴 う妊娠出産休業の導入を規定 した 条約11条に反するとい う申立が部分的に受理 され たが,条約違反には相当しない と結論 された事例 通 報 者 DungThiThuy

Nguyen.

当 事 国 オ ラ ン

通 報 日 2003年12月 8日 見 解 採 択 日 2006年 8月14日 条 約 発 効 日 1991年 8月22日

事案の概要

1 通 報 者 は, オ ラ ンダに居 住 す る女 性 で あ り, 同国 の弁護 士 1名 と研究 者 1名 が通報者 を 代理 してい る。通報者 は,給 与所 得 者 と してパ ー トタイ ムで勤務 す る と同時 に,夫 が経 営す る 企 業 で も協 働 配 偶 者 (co‑workingspouse) と して 業 務 に従 事 して い る。通 報 者 は1999年1 月 よ り出産休 業 を取 得 し,給 与所得 者 として加 入 して い た 「傷 病 手 当 法 (ZW法)」 に よ り, 16週 間分 の 出産 休 業 給 付 金 を受 取 った。通 報 者 は協 働 配 偶 者 と して 「(自営 業 者 )就 労不 能 保 険 法 (WAZ法)」 に も加 入 して い た た め, 休 業 開 始 前 の1998年9月,WAZ法 に よ る休 業 給 付 金 の 申請 書 を提 出 した。 しか し,1999 年2月, 国家社 会保 険機 構 (LISV)は,WAZ 法59条4項 の反 蓄 積 条 項 ("anti‑accumulation clause") に よ り,通 報 者 へ のWAZ法 に よ る 補償 の不 支給 を決 定 した。反 蓄積 条 項 は,複 数 の出産 給付 金 が 同時 に 申請 され た場 合,ZW法 の給付額 を上 回 る差額 のみ を支給 す る と定 めて お り,通 報 者 の場 合 ,WAZ法 に よる給 付 額 が

ZW法 の給付額 よ り少 なか ったた めで あ る。

2

通 報 者 は, この決定 に対 して不 服 を申立 て た が1999年5月 に却 下 され た。 そ の後 ,也 裁 に見 直 しを請 求 した が2000年5月 に棄 却 さ れたた め, オ ラ ンダの社 会保 障事件 に関す る最 高行政裁判所 で あ る中央控 訴法廷 に上訴 した。

2003年4月, 同 法 廷 は,WAZ法59条4項 は 女性 に対 す る不 平等 な待 遇 を生 じさせ る もので は な く, また,女 性 差 別 撤 廃 条 約

1

1条 は直接 的効力 を持 た ない として,地裁判 決 を支持 した。

3 2002年5月,通報 者 は2回 日の出産休 業 を取得 し,新 た に出産休業補償 を申請 した。今 回 は,通 報 者 のWAZ法 上 の給 付 額 がZW法 の給 付 額 を上 回 った た め, 同年6月,LISVは 差額 の支給 を決定 した。通報者 は, この決定 に 対 して も不 服 を申立 てた が,1回 目の不 服 申立 て に関す る中央控訴 法廷 へ の上訴 が棄却 された 後 , これ を取 り下 げた。

4 通 報者 の主張 は以下 の通 りで あ る。

1) 条 約

1

1条

2

( b )

が 出 産 休 業 中 の所 得 につい て,全額補償 され る権利 を定 めてい る に もかか わ らず,給 与所 得 とそ の他 の所得 を 同時 に得 てい る女 性 は,部分 的 な補償 しか受 け られ ない た め,妊娠 出産 が女 性 の所得 に負 の影 響 を与 えて い る。 これ は,条 約

1

1条2 項 (b)違 反 で あ り,妊 娠 出産 に よる直 接 差 別 で あ る。 また,給付 は,社 会保 障制度 の掛 け金 の金額 とは無 関係 に発 生 す るた め, こ う した所得 の喪失 は女性 のみ に生 じてい る。

2) 委 員会 に対 して,反蓄積条項 が差別 的 な規 定 で あ り,条 約

1

1条

2

( b )

に 反 して い るか ど うか を検 討 し,協 働配偶者 また は 自営 業者 の女性 が 出産休業 中の所得 につい て全額 補償 を受 け られ る よ う適切 な措 置 を とるこ と, 通報者 の2度 の出産休業 に対 す る補償全額 を 支給 す るこ とを当事 国 に勧告 す る よ う求 め る。

3) 受理 許容性 に関 して は, すで に最 高行政栽

(2)

80 女性差別撤廃委員会

判所 において請求が棄却 されてお り,国内救 済手続 きは尽 くされてい る。時間的管轄 に関 しては, 中央控訴法廷 の決定 (2003年4月) を本事案 の対象 とな る "事実" とみなすべ き で あ る。 また

,2

回 目の休業期 間 は,議定書 批准以後 も継続 していた。

5

これ に対 し,当事 国政府 は,以下 の よ う に反論 した。

1) 本事案 に関す る主要 な決定 は, オ ランダが 議 定 書 を批 准 した2002年8月22日以 前 の 1999年2月お よび2002年6月に行 われた給 付金額 の決定で ある。

2) 条 約11条2項 (b)の "給 料 (pay)" は, 給与所得 を意味 し,経営者所得 は含 まない と 考 え られ るか ら,同国の (複数 の社会保 障 シ ステムの)結合的出産給付 システムは,本規 定 の要請 を満 た してい る。 また,同規定 は, 妊娠 出産 に よる収入 の喪失 を全額補償す るも のではな く,妊娠 出産期 間の生活 と復職 を保 障す る義務 を政府 に課す ものであ り,義務 の 履行方法 は各 国の裁量 に委 ね られてい る。

3 ) WAZ

法 の反 蓄積 条 項 は

,2

つ の制 度 に加 入 してい る人 に, 出産 とい う同一 の理 由で よ

り多 くの給付 を支給す るこ とを避 けるために 作 られ た。 また,給 与 所 得 の 多 少 に よ り

WAZ

法 に よる掛 け金 が決定 され るた め,被 雇用者保 険 に よる給付 が

WAZ

法 の給付 か ら 差 し引かれ る仕組 み とな ってい る。 さらに, 同法 の反蓄積条項 は,他 の事 由に よる給付 が 同時発生 した場合 に も適用 されてお り,性 に よる差別 とはい えない。

4 )

条約規定 を どの ように国内法 に編入す るか は各 国の憲法が決定す るこ とで あ り,委 員会 に指示 を依頼す る事項ではない。 オ ランダで は立法機 関がその権 限 を有 してい る とい う意 味 で,条 約11条2項 (b)は直 接 適 用 され るものではない。

5) 二 回 日の出産休業 に関 して,国内救済手続 きを尽 くした とはい えない。

委員会の見解

1 国内手続 きの完 了に関 し,当事 国 は

1

回 目の休業 について異議 を唱 えてい ない。2回 目 については国内手続 きの完 了 を主張 したが,理 由は示 してい ない。 よって,2回 とも国内手続 き未 了 を理 由に除外 され るもので はない。 また,

2

回 目の休業 に関す る控訴法廷へ の上訴 も通報 者 に とっての救済 をもた らす こ とはない と推測 され る。侵害 が生 じた時期 について,1回 目の 休業 は議定書批准以前 に終 了 してい るが

,2

回 目の期 間 は批准後 に またが ってい るので,2回 目の休業 に関す る申出は受理可能である。

2

本事案 にお け る争 点 は,

WAZ

法59条

4

項 の適 用 が条 約11条2項 (b)に よる通 報 者 の権 利 を侵 害 してい るか ど うか で あ る。条約 11条2項 は,女 性雇用 労働 者 に対 す る妊娠 出 産 を理 由 とした差別 に関す る規定 であるが,過 報 者 は,

WAZ

法59条

4

項 の適 用 が,条 約11 条2項 に よる結婚や妊娠 出産 を理 由 とす る差別 に相当す る根拠 を示 してい ない。

3

条 約11条

2

( b )

は,給 料 "全 額" ぁ るい は "所得 の喪失 に対す る全額補償" とい う 表現 は用いてお らず,適切 な出産休業給付 の決 定 については,締約 国の裁量 を認 めてい る。 よ

って,

WAZ

法59条

4

項 の通 用 は,通 報 者 に 対 す る差別 的取扱 い とはい えず,条約11条

2

項 (b)に定 め られた権利 の侵害 に当た らない。

* Ga b r , S c hb p p ‑ S c h i l l i ng , S h i n

委 員 よる反対意 見

1 WAZ

法59条4項 に よる制約 はある もの の,現 在 の オ ラ ン ダ の法 律 は条 約11条2項 (b)に合 致 して お り,性 に よる直接 差別 を形 成す るものではない と考 える。

2 同時 に, フル タイム被雇用者 た る女性 は, その給与全額 に等 しい出産休業給付 を一定期 間 給付 され るのに対 し,被雇用者かつ 自営業者で あ る女 性 の労働 時 間 につい て "等 価

( e q u i va ‑

l e nc e ) "

原則 が適用 されてい る とはい えない こ

(3)

神奈川ロージャーナル 第4号

と を 懸 念 す る。 ま た

,1 9 9 6

年 平 等 待 遇 法

( WOA

法) は, フル タイ ムお よびパ ー トタイ ム雇用者 の平等 な待遇 を求 めてい る。 オ ランダ で は,パ ー トタイム給与所得者 として働 く一方 で,配偶者 の事業 に従事す る とい う就業形態 は 主 に女性 に見 られ るもので ある とい う通報者 か らの情報 お よび当事 国の第 4回報告書 におけ る パ ー トタイム勤務 は特 に女性 に多い とい う記述 を考 慮 す れ ば,

WAZ

5 9

4

項 は,性 に基 づ く間接差別 を構成す る可能性 が ある。

3 よって,私 た ちは,当事 国 に対す る以下 の勧告 を作成 した。

(a)雇用労働 と自営業 の両方 に従事す る者 の 男女比 に関す るデ ータを収集 し, これが女 性 に特有 な就労形態 とい えるか どうか を検

81

討す るこ と

(b)当該 女 性 労働 者 の両 方 の仕 事 の合 計 労 働時間 を考慮 してい ない こ とか ら,妊娠 ・ 出産 を理 由 とす る間接差別 を形成す る可能 性 の あ る

WAZ

5 9

4

項 の非 蓄積 条項

について再検討す るこ と

(C)検討結果 に従い

WAZ

法 を改正す るこ と, あるい は,

(a)自営業者 のた めの新 た な保 険制 度 を策 定す る際 には,多様 な雇用形態で働 く女性 のために, 出産休業給付 に関 して条約 との 整合性 に十分配慮す るこ と。

(担当 :近江美保) (本学非常勤講師)

参照

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・大前 研一 委員 ・櫻井 正史 委員(元国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員) ・數土 文夫 委員(東京電力㈱取締役会長).