わが国の連結納税 申告制度
藤 田 昌 久
1は じめ に
わ が 国 の 企 業 は,国 際 的 競 争 の 中で 多 角 的 に あ る い は 多 地 域 に わ た っ て 事 業 を展 開 して い る。 事 業 の発 展 の た め に,企 業 は資 本 ・人 材 の再 配 分 を経 営 戦 略 と して 考 え て い か な けれ ば な らな い 。 そ の た め にs新 規 事 業 分 野 へ の進 出や 事 業 の 再 構 築 を行 うた め に 弾 力 的 に組 織 改 革 を行 う必 要 が 生 じて く る。
た とえ ばs事 業 部 門 の子 会社 化(分 社 化),会 社 の 分 割 ・合 併 な どの よ うな組 織 改 革 が 円 滑 に行 え るた め に は,法 律 の 改 正 とか税 制 の 改 革 とい っ た環 境 の 整 備 が な され な けれ ば な らない 。 ま た,企 業 形 態 に よ っ て租 税 の 負 担 が 異 な る よ うな 税 制 の 中 立性 を損 な うこ とは 回避 しな けれ ば な らない 。 最 近,単 一 の 法 人 で 事 業 を行 うの で は な く,子 会 社 ご とに事 業 を分 散 させ る こ とに よ っ て,そ れ ぞ れ の事 業 の 専 門性 や 市 場 の特 殊 性 に適 合 した 経 営 を行 うこ とが 多 くな った 。 この 場 合,単 一 の 法 人 の 中 に複 数 の事 業 部 門 を置 い て 事 業 を展 開 す る場 合 と比 べ て,企 業 集 団 内 の 企 業 間 にお け る損 益 の 通 算 は 認 め られ ず,
ま た,企 業 集 団 内 の企 業 間取 引 に係 る譲 渡 損 益 が 計 上 され る こ とか ら,税 負 担 が 重 くな る とい う問 題 が あ る。 こ うした 子 会 社 化 と事 業 部 制 とで税 負 担 が 異 な る とい う問 題 の 指 摘 か ら,産 業 界 は企 業 組 織 形 態 の 選 択 に 対 す る税 制 の 中立 性 を確 保 しな け れ ば な らな い とい う理 由で,連 結 納 税 申告 制 度 の 導入 を 強 く望 ん で い た。
平 成9年 の 独 占禁 止 法 改 正 に よ る持 株 会 社 の解 禁 を始 め と して,証 券 取 引 法 の 改正 に よ る連 結 べ 一 ス の 開 示 制 度 の 導 入,商 法 改正 に よ る株 式 交 換 ・株 式 移 転 法 制 の 導 入,会 社 分割 制 度 の創 設 等,一 連 の連 結 グル ー プ 経 営 ・組 織 再 編 のた め の 法 制度 の 整 備 が進 ん で きた 。 新 しい 法 制 を適 用 した持 株 会 社 の 設 立 や グル ー プ 再編 の 傾 向 も高 ま って き た。 法 制 面 に お け る環 境 の整 備 が な され た こ とを うけ て,政 府 税 制 調 査 会 に設 け られ た 法 人 課 税 小 委 員 会 に お い て,平 成11年7月 か ら連 結 納 税 制 度 の検 討 を 開 始 した。 平 成13年10月9日 の 法 人課 税 小 委 員 会 で 「連 結 納 税 制 度 の 基本 的 考 え方 」 を取 りま とめ るに 至 っ た。 平 成13年11月21日 か ら政 府 税 制 調 査 会 な らび に 自民 党税 制 調 査 会 で の 平 成14年 度 税 制 改 正 論 議 が 本 格 化 した。 しか しな が ら,そ の 当 日に な っ て,当 初 か ら税 収減 を理 由 に連 結納 税 申告 制 度 の 導入 に対 して 消極 的 な態 度 を示 し て い た財 務 省 は,連 結 納税 制 度 創 設 のた め の 法案 準 備 作 業 が 非 常 に複 雑 か っ 膨 大 に な る こ とか ら,平 成14年 の通 常 国 会 に 上程 され る税 制 年 次 改 正 法 案 に 間 に合 わ せ る こ とが で きず,制 度 の 導 入 時期 を平 成15年1月 以 降 に延 期 す る との主 張 を始 め た。 これ に対 して,平 成14年4月 か らの導 入 を視 野 に入 れ て 組 織 再 編 を積 極 的 に進 めて い た 産 業 界 か ら強 い反 発 が あ っ た ほ か,国 会 や 経 済財 政 諮 問会 議 で も事 務 作 業 の遅 れ を理 由 とす る法 改 正 の延 期 は認 め られ な い との 声 が 高 ま りJ同 年3月 末 ま で の 法 案 成 立 は難 しい もの の,通 常 国 会 会 期 内 で の税 制 改 正 を 目指 し,4月 か ら連 結 納 税 制 度 を適 用 で き る よ うに,平 成13年12月13日 に政 府 税 制 調 査 会 か ら 「平 成14年 度 の税 制 改正 に 関す る答 申」
が,ま た,12A14日 に は 自由 民 主 党 ・公 明 党 ・保 守 党 の 与 党3党 か ら 「平 成 14年 度 税 制 改 正 大 綱 」 が 出 され,こ れ らを受 け て,財 務 省 か ら 「平 成14年 度 税 制 改 正 の 大 綱 」(平 成13年12月19日)が 公 表 され た。 これ に よ り平 成14年 度 税 制 改 正 の 内 容 が ほ ぼ確 定 した 。 この 細 目に っ い て は,さ らに財 務 省 か ら
「平 成14年 度 税 制 改 正 の要 綱 」 が 出 され て い る。 こ う した 経 過 を た ど っ て, 平成14年 度 税 制 改 正 に連 結 納 税 制 度 を創 設 す る こ とが 明記 され る こ とに な っ た。
2連 結 納 税 制 度 の 本 質
企 業 所 得 課 税 に つ い て,法 人 とい う個 別 の 法 的 実 体 を こ え,資 本 所 有 を 基 準 と して 支 配 従 属 関係 に あ る法 人 の 集 団 の所 得 と欠 損 を通 算 して 課税 す る制 度 を包 括 的 に企 業集 団税 制 な い し連 結 納 税 制 度 とい う。
連 結 納 税 制 度 の枠 組 み に 関 して 単 一 主 体 概 念(singleentityconcept)と
個 別 主 体 概 念(separateentityconcept)の い ず れ を重 視 す るか とい う重 要 な 課 題 が存 在 す る。 個 別 主 体 概 念 は,企 業集 団 構 成 会 社 が個 別 所 得 と租 税 債 務 の 決 定 につ い て 個 性 と個 別 存 在 を保 有 し,そ の結 果 が連 結 計 算 の た め に加 算 ・ 相 殺 され る とい う考 え方 を強 調 す る もの で あ る。 他 方,単 一 主 体 概 念 で は,
各 企 業 集 団構 成 会 社 は あ る程 度 そ の個 性 の 存 在 を失 い,企 業 集 団 は 非 独 立 の 構 成 会 社 群 か ら形 成 され る 単 一 主 体 で あ る とい う考 え方 を強 調 す る もの で あ
る。
特 に この 問題 を議 論 す る実 益 は,集 団 内部 取 引 損 益,連 結 子 会 社 株 式 の譲 渡 損 益 等 の処 理 の原 理 を 明確 に す る こ とに あ る。 しか し,い ず れ の 国 で も, 最 終 的 な 法 人税 の課 税 が個 別 会 社 の段 階 で決 着 す る とい う法 律 関係 か ら離 脱
して は い な い か ら,そ の 法 律 関係 の 中 で ど ち らの思 考 を重 視 す るか とい うこ とが 問題 とな る。
各 国 の企 業 集 団税 制 につ い て,フ ラ ンス,オ ラ ンダ の 制 度 は単 一 主 体 概 念 の 特 徴 が濃 く,イ ギ リス,ド イ ツ の 制 度 は個 別 主 体 概 念 の特 徴 が 強 くみ られ る。 この 本 質 観 に 関 して,ア メ リカ で は激 しい 立 法 論 議 が 展 開 され て きた 。 ア メ リカ の連 結 納 税 制 度 は,沿 革 的 に は単 一 主 体 概 念 の 思 考 か ら出発 した と 考 え られ てお り,該 当子 会社 の全 部 加 入 要 件 な どもそ の発 想 に た っ て い る。
しか し,1966年 改 正 施 行 規 則 にお い て,各 集 団構 成 会 社 が 個 別 の 会 計 方 法 を 採 用 す る こ とを認 め た こ と,お よび 内部 取 引損 益 の消 去 に つ い て従 前 の 簿 価 引継 方 式 か ら売 手側 繰 延 損 益 方 式 に転 換 した こ とは,原 理 と して は個 別 主 体 概 念 へ の 転 換 で あ る と考 え られ る もの で あ り,他 の 連 結 規 定 に 内在 的 に残 さ れ て い る単 一 主 体 概 念 との 交錯 が顕 在 化 す る に 至 った の で あ る。
なお,連 結 納 税 制 度 は企 業 集 団 を1個 の もの と して 取 り扱 うた め の制 度 で あ る,と い う考 え方 は通 説 とな っ て い る。 しか し,連 結 納 税 制 度 は租 税 属 性 を法 人 間 で 移 転 す る手 法 の ひ とつ で あ り,し か も,欠 損 金 の共 同利 用 を一 定 の 限 定 され た 結 合 企 業 に対 して の み 許 容 した 措 置 な の で あ る,と い う通 説 と は異 な る考 え方 もあ る。
3連 結 財 務 諸 表 と の 構 造 上 の 相 違
連 結 納 税 制 度 とい う仕 組 み は基 本 的 に は,内 部 未 実 現 利 益 の 控 除 と損 益 通 算 の 要 素 か ら成 り立 っ てい る。 この こ とは,企 業 集 団 の 実 態 認 識 の も とに, 課 税 所 得 の 把 握 を個 々 の会 社 とい う法 的 実 体 に よ らず,企 業 集 団 とい う経 済 的 実 体 を実 質 的 な 単位 と して認 識 しよ う とい う考 え方 に 立 っ もの で,企 業 会 計 にお け る連 結財 務 諸 表制 度 と生 成 基 盤 を共 通 にす る もの で あ る。
しか し,計 算 構 造 面 につ い て は}両 者 の 間 に ほ とん ど有 機 的 な 関連 性 が存 在 しな い 。 た とえ ば,ア メ リカ の 連 結 納 税 制 度 にお い て も,連 結 所 得 計 算 の 基礎 とな る個 別 会 社 の所 得 計 算 と配 当可 能 利 益 計 算 との 間 に 多 くの原 理 的差 異 が 存 在 す るだ け で な く,内 部 損 益 消 去,損 益 相 殺,税 額 計 算 等 も連 結 財 務 諸 表 の連 結調 整 と有 機 的 に結 び つ い て は い ない 。 ドイ ツ,イ ギ リス の よ うな 損益 振 替 型 にお い て算 出 され る もの は各 個 別 会社 の課税 所 得 と税額 なの で あ っ て,集 団 と して の損 益 で は な い 。 ま た,税 制 は 課 税 損 益 計 算 だ け を 目的 とす るか ら,資 産 ・負 債 の 計 算 そ れ 自体 に は直 接 の 関 心 を持 た な い 。 た とえ ば, 連 結 財 務 諸表 に お い て は親 会 社 の 投 資 勘 定 と子 会 社 資 本 勘 定 の相 殺 消 去 とそ の相 殺 差 額(連 結 調 整 勘 定)の 処 理 が重 要 な 課 題 とな る が,企 業 集 団税 制 に お い て は どの 国 も この 点 につ い て 関 心 を持 た な い。 それ に反 して,ア メ リカ の 投 資 修 正規 定 や 子 会 社株 式 譲 渡 損 否 認 規 定 に見 られ る よ うに,損 失 控 除 お よび利 益 課 税 の 重 複 防 止 等,税 法 固有 の論 理 に も とつ く修 正 計 算 が重 視 され る。 企 業 集 団 内 取 引損 益 の 消 去 に つ い て も,最 終 的 に は子 会 社 が連 結 脱 退 を す る場 合 の課 税 との整 合性 が 制 度 上 の 重 要 な 要 素 に な っ て くる。
この よ うな企 業 集 団 税 制 と連 結 財 務 諸表 制 度 の構 造 上 の 乖 離 は,そ れ ぞれ の 持 つ 目的 の 相 違 に も とつ い て い る。 連 結 財 務 諸 表 は,財 務 諸 表 利 用 者 の意 思 決 定 に 有用 な 会 計 情 報 の 開示 を 目的 と して い る。 これ に対 して,企 業 集 団 税 制 の 目的 はs集 団 内 会 社 間 の 損 益 通 算,内 部 取 引損 益 の消 去 等 に よ っ て税 負 担 調 整 に 求 め られ る もの で あ り,そ の結 果 個 別 会 社 の株 主 持 分 に も変 動 を もた らす こ とに な る。 しか も,制 度 の前 提 とな る資 本 支 配 関係 は,親 会 社 株 主 の 意 思 に よっ て 自由 に形 成 し,ま た,解 除 す る こ とが で き る流 動 的 な 関係 で あ る か ら,集 団 形 成 前 ま た は集 団 離 脱 後 の子 会 社 と親 会 社 の課 税 の整 合 性 の 問 題 が 必然 的 に生 じて く る。
4企 業 集 団 税 制 の 類 型 化
現 在 実 施 され て い る各 国 の 制 度 構 造 は,連 結 納 税 型 と個 別 損 益 振 替 型 の 二 つ に類 型 化す る こ とが で き る。
連 結 納 税 型 とは,個 別 会 社 の 所 得 を 通 算 して 企 業 集 団 全 体 の 課 税 所 得,納 税 額 を 算 出 した うえ で,そ の税 額 を個 別 会 社 に配 分 す る方 法 を い う。 さ らに,
この 型 は代 理 人型 と統 合 型 に分 類 され る。 代 理 人 型 は,ア メ リカ で採 用 され て い る方 法 で,各 個 別 法 人 が連 結 納 税 債 務 全 体 に 責任 を負 い,親 会 社 は 企 業 集 団 を代 表(代 理 人)し て 納 税 す る。 統 合 型 は,フ ラ ンス,オ ラ ンダ で 採 用 され て い る方 法 で,親 会 社 が 納 税 義 務 者 に な り,子 会 社 は 個 別 の 納 税 義 務 の 範 囲 で 配 分 を受 け る。
個 別 損 益 振 替 型 とは,企 業 集 団 内 の 個 別 会 社 間 で 所 得 の振 り替 え を行 い, 振 り替 え後 の所 得 に も とつ い て 個 別 会 社 が それ ぞ れ の税 額 を計 算 す る方 法 を い う。 この よ うに個 別 損 益 振 替 型 は,そ の仕 組 み か ら純 粋 な連 結 納 税 制 度 と は い えな い 。 さ らに,こ の 型 は任 意 振 替 型 と親 会 社 拠 出型 に分i類 され る。 任 意 振 替 型 は,イ ギ リス,オ ー ス トラ リア で採 用 され て い る方 法 で,個 別 会 社 間 で所 得 を振 り替 え,振 替 の相 手 方 は 自由 に選 択 可能 に な って い る。 親 会 社 拠 出型 は,ド イ ツ,オ ー ス トリア で 採 用 され て い る方 法 で,親 子 会 社 間 の利
益 拠 出 契 約 に も とづ き 子 会 社 の 所 得 を 親 会 社 に 振 り替 え る方 法 で あ る 。 な お,OECD加 盟 国29力 国 の 連 結 納 税 制 度 採 用 の 状 況 は,次 の よ うに な っ て い る。
連 結 納 税 型
日本,ア メ リカ,フ ラ ン ス,オ ラ ン ダ,ル ク セ ン ブ ル グ,デ ン マ ー ク,メ キ シ コ,ポ ル トガ ル,ス ペ イ ン,ポ ー ラ ン ド(以 上10力 国)
個 別 損 益 振 替 型
イ ギ リス,オ ー ス トラ リア,ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド,ア イ ル ラ ン ド,ド イ ツ,オ ー ス トリ ア,フ ィ ン ラ ン ド,ノ ル ウ ェ ー,ス ウ ェ ー デ ン(以 上9力 国)
連 結 納 税 制 度 未 導 入
イ タ リア,ベ ル ギ ー,カ ナ ダ,チ ェ コ,ギ リ シ ア,ア イ ス ラ ン ド,ス イ ス, トル コ,ハ ン ガ リー,韓 国(以 上10力 国)
5わ が 国 の 連 結 納 税 制 度 の 仕 組 み と 特 徴
連 結 納税 制 度 は,わ が 国 の経 済構 造 改 革 の 一 環 と して企 業 の新 しい ビジネ ス モ デ ル の基 礎 とな る よ うな仕 組 み の一 つ で あ り,こ れ か らの企 業 活 動 の 重 要 な基 盤iとな る と考 え られ る。 この 制 度 は,グ ル ー プ 企 業 の 損 益 を 通 算 す る こ とが 基本 的 な要 素 とな っ て い る。 損 益 通 算 は税 収 減 を も た らす の で,そ の 対 応 の た め に,か な り複 雑 な 制 度 とな っ て い る。 次 に わ が 国 の 連 結 納 税 制 度 の 仕 組 み と特 徴 につ いて 述 べ る こ と とす る。
(1)連 結 納 税 の 適 用
連 結 納 税 を適 用 す る こ とが で き る法 人 は,親 会 社 と親 会 社 に直接 ま た は 間 接 に発 行 済株 式 の全 部 を保 有 され て い る 内 国子 会 社 で あ り,連 結 納 税 を採 用 す る こ とを選 択 す る場 合 に は,条 件 を満 た す100%子 会 社 は 原 則 と して す べ て連 結 納 税 グル ー プ に入 らな けれ ば な らな い。 ま た恣 意 的 な連 結 納税 の利 用 に よ る租 税 回 避 行 為 を防 ぐた め に,い っ た ん連 結 納 税 を適 用 す る こ と を選 択 す る と,国 税 庁 長 官 の 承 認 が 得 られ な い 限 り,適 用 の取 りや め は原 則 と して
認 め られ な い 。 ま た,同 じ連 結 納 税 グル ー プ に属 す る企 業 は,原 則 と して 親 会 社 と同 じ事 業 年 度 を採 用 しな けれ ば な らな い が(税 法 上 の み な し事 業年 度 を設 け る),会 計 処 理 につ い て は,特 に統 一 す る こ とは求 め られ な い。
(2)納 税 主 体
連 結 納 税 の 納 税 主 体 は親 会 社 で あ り,連 結 納 税 グル ー プ を代 表 して連 結 所 得 に対 す る法 人税 の 申告 お よび納 付 を行 う。 連 結 納 税 子 会 社 も連 結 所 得 の個 別 帰 属 額 等 を記 載 した 書 類 を所 轄税 務 署 に提 出す る。 ま た,子 会 社 も連 結 納 税 額 につ い て 連 帯 納 付 責 任 を負 う。 連 結 税 額 は,法 令 に 定 め る方 法 に よ り各
単 体 法 人 に帰 属 され る。
(3)連 結 所 得 金 額 お よ び連 結 税 額 の計 算
① 連 結 所 得 金 額 は,連 結 グル ー プ 内 の各 法 人 の所 得 金 額 を基 礎 と し,こ れ に所 要 の調 整 を加 えた 上 で,連 結 グル ー プ を 一 体 と して計 算 す る。 連 結 税 額 は,連 結 所 得 金 額 に税 率 を乗 じた金 額 か ら各 種 の税 額控 除 を行 って 計 算 す る。
当該 計 算 の 過 程 に お い て は,所 要 の 調整 を行 っ た 結 果 算 出 され た 金 額 等 を連 結 グル ー プ 内の 各 法 人 に合 理 的 な基 準 に よ り配 分 す る。 連 結 税 額 につ い て は, 連 結 グル ー プ 内 の 各 法 人 の個 別 所 得 金 額 ま た は 個 別 欠 損 金 額 を基 礎 と して 計 算 され る金 額 を基 に して配 分 す る。
② 連 結 グル ー プ 内 法 人 間 の 資 産 等 の 取 引 につ い て は,時 価 に よ って 行 うこ と とされ て い る。 固 定 資 産,土 地 等,金 銭 債 権,有 価 証 券,ま た は繰 延 資 産 の うち帳 簿 価 額 が1,000万 円以 上 の 資 産 等 の グ ル ー プ 内 取 引 に よ る譲i渡損 益 につ い て は,そ れ らの 資 産 が グル ー プ 内 で費 用 化 され るか グル ー プ外 に移 転 す る ま で の 間 は 課税 が繰 り延 べ られ る。
③ 連 結 グル ー プ 内 法 人 間 の 寄 付 金 に つ い て は,そ の全 額 が 損 金 不 算 入 とな る。 これ は,グ ル ー プ 内企 業 間 で の 金 銭 の 移 転 な ど,繰 り延 べ られ な い もの は,そ の 時 点 で課 税 す る必 要 が あ る ほ か,黒 字 会 社 か ら赤 字 会 社 へ の振 替 を 認 め るな らば連 結 納 税 制 度 の趣 旨 自体 が損 な わ れ るた め と され て い る。
④ 当該 制 度 の 導 入 に よ っ て,法 人税 の減 収 が 見 込 まれ る こ とか ら,適 用 開
始前 の各 子 会 社 の繰 越 欠 損 金 額 の 繰 越 控 除 に つ い て は,認 め られ な い こ と と な った 。 そ の た め,当 該 制 度 にお い て5年 間 の繰 越 控 除 が認 め られ る連 結 欠 損 金 額 は,制 度 適 用 開 始 後 に グル ー プ で 生 じた 欠 損 金 の ほ か は,親 会 社 な ら び に株 式 移 転 に よっ て 親 会 社 の完 全 子会 社 とな っ た子 会 社 の制 度 適 用 開始 前
5年 以 内 に生 じた欠 損 金 額 だ け で あ る。
(4)企 業 は,当 該 制 度 の 適 用 を開 始 す る に 当 た り,そ の 直 前 の 事 業 年 度 に お い て,そ の法 人 が 所 有 す る資 産 の うち,資 本 金 額 の2分 の1か1,000万 円 の い ず れ か 少 な い 金 額 以 上 の 含 み 損 益 の あ る 固 定 資 産,土 地 等,金 銭 債 権, 有 価 証 券,ま た は繰 延 資 産 に つ い て 時価 評 価 を行 い,そ の損 益 を 計 上 しな け れ ば な らない 。 た だ し,時 価 評 価 を行 う必 要 の な い場 合 も定 め て い る。
連 結 グル ー プ に途 中 か ら加 入 す る子 会 社 につ い て も,前 記 に 準 じて 当該 加 入 子 会 社 の保 有 す る資 産 に つ い て評 価 損 益 の 計 上 を行 わ な けれ ばな らな い場 合 が あ る。 ま た,子 会 社 が 連 結 グル ー プ か ら離 脱 す る場 合 に は,連 結 欠 損 金 額 の うち そ の 離 脱 子 会 社 に 帰 属 す る額 を 引 き継 ぐ こ とに な る。
(5)連 結 所 得 に 対 す る法 人 税 の 税 率 は,2年 間 の 措 置 と して,平 成14年 4月1日 か ら平成16年3月31日 ま で の 間 に 開 始 す る連 結 事 業 年 度 につ い て, 付 加 税2%が 加 算 され た。
6お わ り に
主 要 先 進 国 に お け る連 結 納 税 制 度 採 用 の実 態,企 業 活 動 の グ ロー バ ル 化, コ ン グ ロマ リ ッ ト化 の 進 む 企 業集 団,証 券 取 引法 に よ る連 結 情 報 の 重 視 等, わが 国 に 連結 納 税 制 度 の導 入 が 不 可 欠 の状 況 とな った の で あ る。
さて,財 務 省 と産 業 界 の 争 点 は連 結 納 税 の範 囲 に子 会 社 が 加 わ る ときの 扱 いで あ る。 連 結 納 税 の範 囲 は親 会 社 の全 額 出 資 子 会 社 に 限定 して い る。 子 会 社 へ の 出 資 比 率 を100%に 引 き上 げ て新 た に連 結 納 税 対 象 に加 え る場 合 にはs そ の 子 会 社 が 持 っ て い る土 地 や 有 価 証 券 の含 み 損 益 を時 価 評 価3事 業 所 得 と 合 算 して 課 税 す る こ と と して い る。 子 会 社 が連 結 納 税 に加 わ る前 に含 み 損 益
を精 算 してお か な い と グル ー プ全 体 の課 税 所 得 の調 整 に使 われ る懸 念 が あ る, と財 務 省 は み て い る。 子 会 社 が 含 み 損 益 を 抱 え た ま ま連 結 対 象 に加 わ っ て, グル ー プ の利 益 が 増加 した とき に損 失 を表 面 化 させ る とい っ た利 益 の 調 整 を 防止 す る必 要 が あ るた めで あ る。
しか しな が ら,産 業 界 は含 み 益 へ の 課 税 を 問題 視 して い る。 つ ま り,実 現 して い な い利 益 に課 税 す る の は不 適 切 で あ る とい う反 発 の 態 度 を しめ して い る。 最 近 の商 法 改 正 に よ って,株 式 交 換 制 度 が で きて 事 業 再編 の環 境 が整 備 され た の に,制 度 改 革 の意 味 が な くな る とい うも ので あ る。
さ らに,親 子 会 社 間 の 寄付 金 につ い て も 問題 が あ る。 連 結 グル ー プ 内 の法 人 間 の 寄 付金 につ い て は,租 税 回避 防 止 等 の 理 由 に よ り,そ の 支 出額 の 全 額 が 損 金 不 算 入 とな る(法81の6②)。 ア メ リカ の 税 法 で は,親 子 会 社 間 の 寄 付 金 は親 会 社 に お け る投 資 と して 取 り扱 うとい う考 え方 を とっ て い る。 ま た, 簿価 譲 渡 を した場 合(低 廉 譲 渡 の 場合)に 寄 付 金 と され る のか ど うか で あ る。
企 業 グル ー プ 内 の資 産 の 簿 価 譲 渡 を認 め て,こ れ が 企 業 グル ー プ外 へ 譲 渡 さ れ た 場 合 に,そ の 実 現 譲 渡 益 は,親 会 社 に発 生 す る とみ るべ き こ と とな る。
こ う した 問題 との 関係 が明 らか で は ない 。
特 に,当 該 制 度 創 設 に よ る税 収 減 とい う財 源 対 策 と して 導 入 され た 制 度 適 用 開 始 前 の子 会 社 繰 越 欠損 金 の否 認 は,連 結 納 税 制 度 を採 用 し よ う とす る企 業 の 意 向 を削 ぐ もの で あ る。 これ らは 当該 制 度 普 及 の 障 害 に な る もの と思 わ れ る。
(参考文献)
Dubroff,A.J.,Blanchard,J.G.,Broadbent,」.,andDuvall,K.A.,FederalIncomeTaxation ofCorporationsFilingConsolidatedReturns‐SecondEdition(Rexis
Publishing,2003).
井 上 久 弥 著 『企 業 集 団 税 制 の 研 究 』 中 央 経 済 社 平 成8(1996)年 。 糸 賀 定 雄 編 著 『連 結 納 税 基 本 通 達 逐 条 解 説 』 税 務 研 究 会 出 版 局 平 成15
(2003)年
藤 田 昌 久 稿 「連 結 納 税 申 告 に お け る エ ン テ ィ テ ィ 概 念 」 『会 計 』Vol.106 No.1,昭 和49(1974)年6月 。
藤 田 昌 久 稿 「英 国 に お け る 連 結 財 務 諸 表 と 連 結 納 税 制 度 」 『国 際 経 営 フ ォ ー ラ ム 』No.10,平 成11(1999)年3月 。
藤 田 昌 久 稿 「米 国 連 結 納 税 申 告 の 発 達 」 『国 際 経 営 論 集 』 第19号,平 成12 (2000)年3月 。
増 井 良 啓 著 『結 合 企 業 課 税 の 理 論 』 東 京 大 学 出 版 会 平 成14(2002)年 (平 成14年 度 税 制 改 正 資 料)
税 制 調 査 会 平 成14年 度 の 税 制 改 正 に 関 す る 答 申 平 成13年12月13日 。
自 由 民 主 党 ・公 明 党 ・保 守 党 平 成14年 度 税 制 改 正 大 綱 平 成13年12月14日 。 財 務 省 平 成14年 度 税 制 改 正 の 大 綱 平 成13年12月19日 。