アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
その他(別言語等)
のタイトル
As pec t s of I nt er r ogat i ve I nt onat i on i n
I c el andi c
著者
三村 竜之
雑誌名
室蘭工業大学紀要
号
67
ページ
33- 43
発行年
2018- 03- 23
吉田 英樹
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果 と し て 、 推 定 量 は 実 績 量 と ほ ぼ 一 致 し 、 一 定 の 精 度 で の 推 定 は 可 能 で あ る こ と が わ か っ た 。 た だ し 、 災 害 廃 棄 物 発 生 の 総 量 は ほ ぼ 一 致 を み た が 、 実 際 に 排 出 さ れ た 災 害 廃 棄 物 の 質 ( 可 燃 、 不 燃 、 資 源 回 収 可 能 物 な ど ) が 推 定 で き な い と 、 災 害 廃 棄 物 の 仮 置 き 場 の 確 保 や 維 持 管 理 に 関 す る 計 画 が 立 て る こ と が で き な い 。 こ の た め 、 今 後 は 発 生 す る 質 の 予 測 を 行 う 手 法 を 検 討 す る 必 要 が あ る 。
北 海 道 に お け る 災 害 廃 棄 物 の 処 理 処 分 の あ り 方 に つ い て
東 日 本 大 震 災 で 発 生 し た 災 害 廃 棄 物 は 万 ト ン を 超 え 、 年 に わ た る 処 理 処 分 が 必 要 で あ っ た 。そ の 処 理 処 分 の 期 間 中 は 、 仮 置 場 に 残 っ た 災 害 廃 棄 物 の 存 在 が 、 被 災 地 域 の 復 興 の 障 害 と な っ て い た 。 今 回 現 地 調 査 を 行 っ た 被 災 自 治 体 で は 約 ト ン の 災 害 廃 棄 物 が 発 生 し 、処 理 処 分 は 約 ヶ 月 の 短 期 間 で 処 理 処 分 が 完 了 し た が 、 さ ら に 広 域 で の 災 害 が 発 生 し た 場 合 に は 、 大 量 の 災 害 廃 棄 物 の 発 生 と 長 期 間 に わ た る 安 全 管 理 が 求 め ら れ る 。 そ の 場 合 、 災 害 廃 棄 物 の 処 理 処 分 に お け る 発 生 量 の 迅 速 な 把 握 と リ サ イ ク ル を 考 慮 し た 処 理 処 分 が 求 め ら れ る 。 さ ら に 、 仮 置 場 の 確 保 な ら び に 現 地 の 火 災 発 生 防 止 を 含 め た 安 全 管 理 が 求 め ら れ る 。 今 回 の 現 地 調 査 に よ っ て 、 以 下 の よ う な 点 を 明 ら か に で き た 。
・ 北 海 道 内 に お け る 豪 雨 災 害 に よ る 災 害 廃 棄 物 の 発 生 状 況 ・ 仮 置 場 の 設 置 状 況
・ 災 害 廃 棄 物 の 処 理 処 分 状 況
こ れ ま で 北 海 道 で は 豪 雨 災 害 の 発 生 は 多 く な か っ た が 、 複 数 台 風 の 接 近 ・ 上 陸 、 局 所 的 な 集 中 豪 雨 の 発 生 が 顕 著 に な っ て き て お り 、今 後 は 平 成 年 の 台 風 被 害 の よ う な 災 害 が 発 生 す る 確 率 が 高 く な っ て い る も の と 思 わ れ る 。 そ の 上 で 、 発 災 後 の 災 害 廃 棄 物 へ の 対 処 方 法 に つ い て は 、 こ れ ま で 十 分 に 検 討 さ れ て き た と は 言 え な い 状 況 で あ る 。 特 に 、 河 川 周 辺 に 広 範 囲 に 住 宅 や 農 地 が 広 が る 北 海 道 で は 、 道 外 に 比 べ て 災 害 廃 棄 物 の 発 生 は 少 な い の で は な い か と 思 わ れ て き た が 、 今 回 の 被 災 自 治 体 周 辺 で は 災 害 廃 棄 物 発 生 量 は 、 被 災 地 域 が ヘ ク タ ー ル 程 度 で あ る が 、 約 ト ン に の ぼ っ た 。 今 回 の よ う な 台 風 災 害 が 中 小 規 模 の 道 内 都 市 で 発 生 し た 場 合 に は さ ら に 膨 大 な 災 害 廃 棄 物 の 発 生 が 予 測 さ れ る 。 そ の 場 合 の 災 害 廃 棄 物 発 生 直 後 の 行 政 の 対 応 に つ い て は 、 事 前 に 十 分 な 準 備 が 必 要 で あ り 、 災 害 廃 棄 物 処 理 計 画 の 策 定 が 急 務 で あ る が 、 道 内 の 自 治 体 の 災 害 廃 棄 物 処 理 計 画 の 策 定 は 道 外 に 比 べ て 極 め て 遅 れ て い る 。 こ の よ う な 状 況 で 、 被 災 自 治 体 の 災 害 廃 棄 物 の 発 生 状 況 な ら び に 最 終 的 な 処 理 処 分 の 状 況 に つ い て の 調 査 結 果 を 広 く 伝 え る こ と は 、 道 内 の 自 治 体 に よ る 災 害 廃 棄 物 へ の 対 応 準 備 な ら び に 災 害 廃 棄 物 処 理 計 画 の 策 定 の 促 進 を 図 る こ と が で き る と 考 え て い る 。
文 献
平 山 修 久 河 田 恵 昭 水 害 時 に お け る 行 政 の 初 動 対 応 か ら み た 災 害 廃 棄 物 発 生 量 の 推 定 法 に 関 す る 研 究 環 境 シ ス テ ム 研 究 論 文 集 巻
環 境 省 災 害 廃 棄 物 対 策 指 針 情 報 ウ ェ ブ サ イ ト
表 被 害 規 模 と 原 単 位 を 用 い た 災 害 廃 棄 物 発 生 量 の 予 測
室工大紀要第67号(2017)33~43
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アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
三村
竜之
*1
Aspects of Interrogative Intonation in Icelandic
Tatsuyuki MIMURA
(原稿受付日
平成
29
年
7
月
3
日
論文受理日
平成
30
年
2
月
19
日)
Abstract
It has been claimed that a sentence final tone of an interrogative sentence in Icelandic is a (global) falling tone just the same as the one of an indicative sentence, whether interrogative pronouns are involved or not. However, almost all the previous studies on the Icelandic intonation have only dealt with the interrogative sentences with a complete sentence structure. Moreover, almost no previous studies paid any scientific attention to the differences between Icelandic indicative and interrogative sentences with respect to their sentence final tones.
Thus, the following two questions are still remained unsolved: i) what sort of a sentence final tone does an interrogative sentence with an incomplete sentence structure (e.g. Eitthvað fleira? ‘Anything else?’) have?; ii) are there any similarities and/or differences between indicative and interrogative sentences in terms of their sentence final tonal patterns?
This paper aims at inquiring into several unsolved aspects of the Icelandic interrogative intonation and solving those two questions based on the primary data elicited through the field research conducted by the author; the following conclusions are thereby drawn:
a) all the interrogative sentences in Icelandic take a falling sentence final melody, regardless of their sentence structures and whether they involve interrogative pronouns/adverbs or not. b) any remarkable tonal traits specific to either of indicative and interrogative sentences are not
found through experimental phonetic investigations.
Keywords: Icelandic, interrogative intonation, falling tones, interrogative sentence structures
1 序
1.1 本 稿 の 目 的 と 背 景
ア イ ス ラ ン ド 語 の イ ン ト ネ ー シ ョ ン に 関 す る 論 及 は 、Bergsveinsson (1941)
(1)
に よ る 記 述 研 究 を 始 め と し
て 比 較 的 豊 富 で あ る も の の 、 近 年 はDehé (2009)
(2)
に 代 表 さ れ る 特 定 の 理 論 的 枠 組 み に 基 づ く 分 析 が 主 流
*1 室 蘭 工 業 大 学 ひ と 文 化 系 領 域
三村 竜之
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34
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図1: Hann er japanskur. とEr hann japanskur? の ピ ッ チ 曲 線
を な し て お り 、 そ の 結 果 、 疑 問 文 や 平 叙 文 と い っ た 文 の 種 類 と 個 々 の 文 に 伴 っ て 現 れ る 音 調 の 種 類 と の
関 係 な ど ご く 基 本 的 な 事 柄 が 未 だ 明 ら か と は な っ て い な い 。 殊 に 疑 問 文 に 関 し て は 、 ア イ ス ラ ン ド 語 の 初 学 者 が 拠 り 所 と す べ き 知 識 や 情 報 の 蓄 積 は 未 だ に 十 分 で あ る と は 言 い 難 い 。
例 え ば 、 ア イ ス ラ ン ド 語 の 疑 問 文 は 、 疑 問 詞 の 有 無 を 問 わ ず 、 平 叙 文 と 同 様 に 下 降 調 *2
が 文 末 音 調 と し て 現 れ る こ と が 既 に 指 摘 さ れ て い る ( 例: Árnasson (1994-1995)
(3)
、 三 村(2016)
(4);
図1も 参 照 の こ と ):
(1) a. Hann er japanskur. 「 彼 は 日 本 人 で す 。」
he is Japanese
b. Er hann japnaskur? 「 彼 は 日 本 人 で す か ? 」
is he Japanese
し か し 、ア イ ス ラ ン ド 語 で はHvað?「 何 が/を ? 」やEitthvað fleira?「 他 に 何 か い か が で す か ?(Eng. Anything
more?)」 の よ う な 主 語 や 述 語 動 詞 を 欠 く 構 造 的 に 不 完 全 な 疑 問 文 も 実 際 に 使 用 さ れ る 。 し か し 、 拙 論 を
含 め た ア イ ス ラ ン ド 語 の イ ン ト ネ ー シ ョ ン に 関 す る こ れ ま で の 論 及 で は 、 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文 の み を 考 察 の 対 象 と し て お り 、 文 構 造 の 不 完 全 な 疑 問 文 の 音 調 が い か な る も の か 明 ら か と な っ て は い な い 。 ま
た 、 同 じ く 文 末 音 調 に 下 降 調 が 現 れ る 平 叙 文 と の 比 較 ・ 対 照 と い っ た 視 点 か ら の 考 察 も 先 行 研 究 に は 欠 け て い る 。 そ の 結 果 、 ア イ ス ラ ン ド 語 の 疑 問 文 イ ン ト ネ ー シ ョ ン に 関 し て 以 下 の 二 つ の 問 題 点 が 未 解 決
の ま ま 残 さ れ て い る:
(2) a. 文 と し て 完 全 な 構 造 を 持 た な い 疑 問 文 の 文 末 音 調 は い か な る も の か 。
b. イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 点 で 平 叙 文 と 疑 問 文 の 間 に 差 異 は 存 在 す る の か 、 存 在 す る と す れ ば い か な る 差 異 が 存 在 す る の か 。
本 論 考 で は 、 筆 者 が 臨 地 調 査 を 通 じ て 採 取 し た 一 次 資 料 に 基 づ き 上 記 の 問 題 点 の 解 決 を 試 み 、 ア イ ス ラ ン ド 語 に お け る 疑 問 文 イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 諸 側 面 を 明 ら か と す る 。
*2 一 般 に 下 降 調 と い う 用 語 は 、 例 え ば 声 調 言 語 (tone languages) に お け る 一 音 節 内 部 で の 音 調 の 格 好 を 想 起 さ せ
る が 、 本 稿 で 用 い る 「 下 降 調 」 と い う 用 語 は 、 複 数 の 音 節 に 渡 り 発 話 末 尾 に か け て 漸 次 的 に 下 降 す る 音 調 を も 指 す 点 に 注 意 さ れ た い 。
アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
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ア イ ス ラ ン ド 語 概 説
ア イ ス ラ ン ド 語 は ア イ ス ラ ン ド 共 和 国( 人 口 約 万 人 首 都 レ イ キ ャ ヴ ィ ー ク )の 公 用
語 で あ る 。印 欧 語 族 ゲ ル マ ン 語 派 に 属 し 、デ ン マ ー ク 語 や ノ ル ウ ェ ー 語 な ど と 共 に 北 ゲ ル マ ン( ノ ル ド ) 諸 語 を 形 成 す る 。 そ の 他 の ノ ル ド 諸 語 に 比 し て 古 語 の 姿 を 色 濃 く 残 し て お り 、 未 だ 形 態 論 や 統 語 論 が 複
雑 な 点 で 特 異 で あ る ( 疑 問 文 の 構 造 に 関 し て は 第 節 を 参 照 )。
音 韻 論 的 に は 、 無 論 、 英 語 や ド イ ツ 語 な ど に は 立 て ら れ な い 音 素 が 立 て ら れ う る も の の 、 音 素 配 列 の
傾 向 性 や 音 節 量 の 制 約 ( 例 軽 音 節 は 強 勢 を 担 い 得 な い ) な ど 、 そ の 他 の ゲ ル マ ン 諸 語 に 通 ず る 性 格 を 有 す る 。 ま た 、 強 勢 を 担 う 閉 音 節 に お け る 母 音 量 ( 母 音 の 長 短 ) と 音 節 末 子 音 の 数 の 間 に 見 ら れ る 相 補
的 な 関 係 や 制 約( 例 は 不 可 な お 、 は 長 母 音 を 示 す )な ど 、( デ ン マ ー ク 語 を 除 く ) ノ ル ド 諸 語 特 有 の 特 徴 も 保 持 し て い る 。 な お 、 ア イ ス ラ ン ド 語 は 他 の ゲ ル マ ン 諸 語 と 同 様 、 い わ ゆ る ス
ト レ ス ア ク セ ン ト の 言 語 で あ り 、 原 則 的 に 語 を 構 成 す る 音 節 の い ず れ か に 主 強 勢 が 置 か れ る が 、 多 く の 場 合 、 左 か ら 数 え て 一 つ 目 の 音 節 に 主 強 勢 が 置 か れ る 。
一 方 、ア イ ス ラ ン ド 語 は 、ゲ ル マ ン 語 で は ご く 一 部 の 方 言 に の み 観 察 さ れ る「 前 気 音 」( 上 付 き の で 表 記 ) を 有 し 、 ま た 無 声 の 鳴 音 ( ) も 多 い た め か 、 全 体 的 に 無 声 摩 擦 音 が
豊 富 で あ る か の よ う な 聴 覚 印 象 を 与 え る 。 ま た 、 ア イ ス ラ ン ド 語 の 閉 鎖 音 は 両 唇 音 、 歯 茎 音 、 軟 口 蓋 音 の 三 種 類 が あ り 、 そ れ ぞ れ 「 声 ( )」 の 有 無 で は な く 「 気 音 ( )」 の 有 無 で 区 別 さ れ る 点 も
特 徴 的 で あ る 。
な お 、 ノ ル ド 語 諸 方 言 に は 、 主 強 勢 を 担 う 音 節 の 音 調 の 「 向 き 」( 川 上 上 野 )
が 音 韻 論 的 に 指 定 さ れ て い る( い わ ゆ る ピ ッ チ高 さ高 低 ア ク セ ン ト の )言 語( 方 言 )も あ る が 、ア イ ス ラ ン ド 語 に は 該 当 し な い ( 三 村 )。
調 査 ・ 資 料
本 稿 で 引 用 す る 資 料 は 、 特 別 な こ と わ り が な い 限 り 、 全 て 筆 者 が 臨 地 調 査 を 通 じ て 採 取 し た 一 次 資 料 で あ る 。既 に イ ン ト ネ ー シ ョ ン に 関 す る 予 備 的 な 調 査 を 年 月 と 月 に 実 施 し 、今 回 、疑 問 文 イ ン
ト ネ ー シ ョ ン の 諸 側 面 を 明 ら か と す べ く 、 年 月 に 新 た に 疑 問 文 並 び に 平 叙 文 の 読 み 上 げ 調 査 を 行 っ た 。予 備 調 査 の 概 要 に 関 し て は 拙 論( 三 村 )を 参 照 の こ と 。今 回 の 読 み 上 げ 調 査 の 概 要 は
下 記 の 通 り で あ る ( 調 査 項 目 の 詳 細 に 関 し て は 第 節 並 び に 第 節 を 参 照 の こ と )
イ ン フ ォ ー マ ン ト は 代 の 男 女 各 一 名
氏 ( 女 性 ・ 年 ・ の 生 ま れ )
氏( 男 性・出 生 年 未 確 認・ ( か ら ほ ど の 距 離 )の 生 ま れ )
プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン ソ フ ト ウ ェ ア ( 社 ) を 用 い て 調 査 項 目 で あ る 文 を 秒 ご と に
ノ ー ト パ ソ コ ン の 画 面 上 に ラ ン ダ ム に 提 示 し 、 一 度 ず つ 読 み 上 げ て も ら い ( こ れ を セ ッ ト と す る )、 合 計 で セ ッ ト 実 施 し た ( 各 文 、 計 回 の 読 み 上 げ )。
読 み 上 げ ら れ た 文 は デ ジ タ ル 媒 体 に て 録 音 ( 社 社 サ
ン プ リ ン グ 周 波 数 )。併 せ て 、調 査 ノ ー ト に 文 字 資 料 と し て も 記 録 。な お 、調 査 項 目 だ け で
な く 、 調 査 の 一 部 始 終 を イ ン フ ォ ー マ ン ト の 了 承 を 得 た 上 で 録 音 し た 。 読 み 上 げ に 際 し て の 発 話 意 図 の 確 認 等 に 使 用 し た 媒 介 言 語 は デ ン マ ー ク 語 。
年 月 時 点 の 数 字 ( 出 典 )。
氏 は 筆 者 の こ れ ま で の ア イ ス ラ ン ド 語 に 関 す る 研 究 調 査 に お い て イ ン フ ォ ー マ ン ト を 務 め て く だ さ っ た 方 で あ る 。 よ り 詳 し い 情 報 は 拙 論三 村 を 参 照 さ れ た い 。
三村 竜之
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図 と の ピ ッ チ 曲 線
を な し て お り 、 そ の 結 果 、 疑 問 文 や 平 叙 文 と い っ た 文 の 種 類 と 個 々 の 文 に 伴 っ て 現 れ る 音 調 の 種 類 と の
関 係 な ど ご く 基 本 的 な 事 柄 が 未 だ 明 ら か と は な っ て い な い 。 殊 に 疑 問 文 に 関 し て は 、 ア イ ス ラ ン ド 語 の 初 学 者 が 拠 り 所 と す べ き 知 識 や 情 報 の 蓄 積 は 未 だ に 十 分 で あ る と は 言 い 難 い 。
例 え ば 、 ア イ ス ラ ン ド 語 の 疑 問 文 は 、 疑 問 詞 の 有 無 を 問 わ ず 、 平 叙 文 と 同 様 に 下 降 調 *
が 文 末 音 調 と
し て 現 れ る こ と が 既 に 指 摘 さ れ て い る ( 例 、 三 村 図 も 参 照 の こ と ):
「 彼 は 日 本 人 で す 。」
「 彼 は 日 本 人 で す か ? 」
し か し 、ア イ ス ラ ン ド 語 で は 「 何 がを ? 」や 「 他 に 何 か い か が で す か ?(
)」 の よ う な 主 語 や 述 語 動 詞 を 欠 く 構 造 的 に 不 完 全 な 疑 問 文 も 実 際 に 使 用 さ れ る 。 し か し 、 拙 論 を
含 め た ア イ ス ラ ン ド 語 の イ ン ト ネ ー シ ョ ン に 関 す る こ れ ま で の 論 及 で は 、 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文 の み を 考 察 の 対 象 と し て お り 、 文 構 造 の 不 完 全 な 疑 問 文 の 音 調 が い か な る も の か 明 ら か と な っ て は い な い 。 ま
た 、 同 じ く 文 末 音 調 に 下 降 調 が 現 れ る 平 叙 文 と の 比 較 ・ 対 照 と い っ た 視 点 か ら の 考 察 も 先 行 研 究 に は 欠 け て い る 。 そ の 結 果 、 ア イ ス ラ ン ド 語 の 疑 問 文 イ ン ト ネ ー シ ョ ン に 関 し て 以 下 の 二 つ の 問 題 点 が 未 解 決
の ま ま 残 さ れ て い る
文 と し て 完 全 な 構 造 を 持 た な い 疑 問 文 の 文 末 音 調 は い か な る も の か 。
イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 点 で 平 叙 文 と 疑 問 文 の 間 に 差 異 は 存 在 す る の か 、 存 在 す る と す れ ば い か な る
差 異 が 存 在 す る の か 。
本 論 考 で は 、 筆 者 が 臨 地 調 査 を 通 じ て 採 取 し た 一 次 資 料 に 基 づ き 上 記 の 問 題 点 の 解 決 を 試 み 、 ア イ ス ラ ン ド 語 に お け る 疑 問 文 イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 諸 側 面 を 明 ら か と す る 。
一 般 に 下 降 調 と い う 用 語 は 、 例 え ば 声 調 言 語 に お け る 一 音 節 内 部 で の 音 調 の 格 好 を 想 起 さ せ
る が 、 本 稿 で 用 い る 「 下 降 調 」 と い う 用 語 は 、 複 数 の 音 節 に 渡 り 発 話 末 尾 に か け て 漸 次 的 に 下 降 す る 音 調 を も 指 す 点 に 注 意 さ れ た い 。
アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
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1.2 ア イ ス ラ ン ド 語 概 説
ア イ ス ラ ン ド 語 は ア イ ス ラ ン ド 共 和 国( 人 口 約34万 人
*3;
首 都: レ イ キ ャ ヴ ィ ー ク Reykjavík)の 公 用 語 で あ る 。印 欧 語 族 ゲ ル マ ン 語 派 に 属 し 、デ ン マ ー ク 語 や ノ ル ウ ェ ー 語 な ど と 共 に 北 ゲ ル マ ン( ノ ル ド ) 諸 語 を 形 成 す る 。 そ の 他 の ノ ル ド 諸 語 に 比 し て 古 語 の 姿 を 色 濃 く 残 し て お り 、 未 だ 形 態 論 や 統 語 論 が 複
雑 な 点 で 特 異 で あ る ( 疑 問 文 の 構 造 に 関 し て は 第2.1節 を 参 照 )。
音 韻 論 的 に は 、 無 論 、 英 語 や ド イ ツ 語 な ど に は 立 て ら れ な い 音 素 が 立 て ら れ う る も の の 、 音 素 配 列 の
傾 向 性 や 音 節 量 の 制 約 ( 例: 軽 音 節 は 強 勢 を 担 い 得 な い ) な ど 、 そ の 他 の ゲ ル マ ン 諸 語 に 通 ず る 性 格 を 有 す る 。 ま た 、 強 勢 を 担 う 閉 音 節 に お け る 母 音 量 ( 母 音 の 長 短 ) と 音 節 末 子 音 の 数 の 間 に 見 ら れ る 相 補
的 な 関 係 や 制 約( 例: VCC/VVC; VVCCは 不 可; な お 、VVは 長 母 音 を 示 す )な ど 、( デ ン マ ー ク 語 を 除 く ) ノ ル ド 諸 語 特 有 の 特 徴 も 保 持 し て い る 。 な お 、 ア イ ス ラ ン ド 語 は 他 の ゲ ル マ ン 諸 語 と 同 様 、 い わ ゆ る ス
ト レ ス ア ク セ ン ト の 言 語 で あ り 、 原 則 的 に 語 を 構 成 す る 音 節 の い ず れ か に 主 強 勢 が 置 か れ る が 、 多 く の 場 合 、 左 か ら 数 え て 一 つ 目 の 音 節 に 主 強 勢 が 置 か れ る 。
一 方 、ア イ ス ラ ン ド 語 は 、ゲ ル マ ン 語 で は ご く 一 部 の 方 言 に の み 観 察 さ れ る「 前 気 音 preaspiration」( 上 付 き の[h]で 表 記 ) を 有 し 、 ま た 無 声 の 鳴 音 (voiceless sonorants) も 多 い た め か 、 全 体 的 に 無 声 摩 擦 音 が 豊 富 で あ る か の よ う な 聴 覚 印 象 を 与 え る 。 ま た 、 ア イ ス ラ ン ド 語 の 閉 鎖 音 は 両 唇 音 、 歯 茎 音 、 軟 口 蓋 音 の 三 種 類 が あ り 、 そ れ ぞ れ 「 声 (voice)」 の 有 無 で は な く 「 気 音 (aspiration)」 の 有 無 で 区 別 さ れ る 点 も 特 徴 的 で あ る 。
な お 、 ノ ル ド 語 諸 方 言 に は 、 主 強 勢 を 担 う 音 節 の 音 調 の 「 向 き 」( 川 上 1973: 45
(6);
上 野 1975: 49
(7)
)
が 音 韻 論 的 に 指 定 さ れ て い る( い わ ゆ る ピ ッ チ/高 さ/高 低 ア ク セ ン ト の )言 語( 方 言 )も あ る が 、ア イ ス ラ ン ド 語 に は 該 当 し な い ( 三 村 2016: 148
(4)
)。
1.3 調 査 ・ 資 料
本 稿 で 引 用 す る 資 料 は 、 特 別 な こ と わ り が な い 限 り 、 全 て 筆 者 が 臨 地 調 査 を 通 じ て 採 取 し た 一 次 資 料 で あ る 。既 に イ ン ト ネ ー シ ョ ン に 関 す る 予 備 的 な 調 査 を2015年3月 と9月 に 実 施 し 、今 回 、疑 問 文 イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 諸 側 面 を 明 ら か と す べ く 、2017年3月 に 新 た に 疑 問 文 並 び に 平 叙 文 の 読 み 上 げ 調 査 を 行 っ た 。予 備 調 査 の 概 要 に 関 し て は 拙 論( 三 村 2016: 148
(4)
)を 参 照 の こ と 。今 回 の 読 み 上 げ 調 査 の 概 要 は
下 記 の 通 り で あ る ( 調 査 項 目 の 詳 細 に 関 し て は 第3.1.1節 並 び に 第3.2.1節 を 参 照 の こ と ):
(3) a. イ ン フ ォ ー マ ン ト は60代 の 男 女 各 一 名:
i. Auður Guðmundsdóttir氏
*4
( 女 性 ・1955年 ・Reykjavíkの 生 ま れ )
ii. Steinar Thorarensen氏( 男 性・出 生 年 未 確 認・Hella(Reykjavíkか ら90kmほ ど の 距 離 )の 生 ま れ )
b. プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン ソ フ ト ウ ェ ア (Apple社 Keynote) を 用 い て 調 査 項 目 で あ る 文 を 2 秒
*5
ご と に
ノ ー ト パ ソ コ ン の 画 面 上 に ラ ン ダ ム に 提 示 し 、 一 度 ず つ 読 み 上 げ て も ら い ( こ れ を 1 セ ッ ト と す る )、 合 計 で3セ ッ ト 実 施 し た ( 各 文 、 計3回 の 読 み 上 げ )。
c. 読 み 上 げ ら れ た 文 は デ ジ タ ル 媒 体 に て 録 音 (Marantz社PMD661MKII; audio-technica社AT899; サ ン プ リ ン グ 周 波 数: 96kHz)。併 せ て 、調 査 ノ ー ト に 文 字 資 料 と し て も 記 録 。な お 、調 査 項 目 だ け で な く 、 調 査 の 一 部 始 終 を イ ン フ ォ ー マ ン ト の 了 承 を 得 た 上 で 録 音 し た 。
d. 読 み 上 げ に 際 し て の 発 話 意 図 の 確 認 等 に 使 用 し た 媒 介 言 語 は デ ン マ ー ク 語 。
*3 2017年5月 時 点 の 数 字 ( 出 典: Hagstofa Íslands (5)
)。
*4 Guðmundsdóttir 氏 は 筆 者 の こ れ ま で の ア イ ス ラ ン ド 語 に 関 す る 研 究 調 査 に お い て イ ン フ ォ ー マ ン ト を 務 め て く
だ さ っ た 方 で あ る 。 よ り 詳 し い 情 報 は 拙 論(三 村 2015) (8)
を 参 照 さ れ た い 。
*5 Guðmundsdóttir 氏 は 教 師 と い う 職 業 柄 故 か 、 非 常 に ゆ っ た り と し た テ ン ポ で 読 み 上 げ て く だ さ る こ と が こ れ ま
三村 竜之
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2 疑 問 文 イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 概 要
2.1 ア イ ス ラ ン ド 語 の 疑 問 文 の 構 造
ア イ ス ラ ン ド 語 の 平 叙 文 の 基 本 語 順 は「 主 語 + 述 語 動 詞 」の 順 で あ り 、こ の 順 序 を 入 れ 替 え る い わ ゆ る
倒 置 に よ り 疑 問 文 を 作 る こ と が で き る:
(4) a. Hann talar góða japönsku.「 彼 は 上 手 に 日 本 語 を 話 し ま す 。」
he SUBJ. speaks V. good Japanese
b. Talar hann góða japönsku?「 彼 は 上 手 に 日 本 語 を 話 し ま す か ? 」
speaks V. he SUBJ. good Japanese
但 し 、現 実 的 に は 、(5)に 示 す よ う な 主 語 や 述 語 を 欠 い た 疑 問 文 や 、一 語 文 な ど 文 構 造 が 不 完 全 な 疑 問 文 も 珍 し く は な い:
(5) a. Má Ø bjóða þér eitthvað létt?「 何 か 軽 食 を お 持 ち し ま し ょ う か ? 」
may SUBJ. offer you something light b. Eitthvð fleira? 「 他 に 何 か ? 」
something more
2.2 疑 問 文 イ ン ト ネ ー シ ョ ン
既 に 第 1.1 節 に て 触 れ た と お り 、 ア イ ス ラ ン ド 語 に お け る 疑 問 文 は 、 疑 問 詞 の 有 無 に 拘 ら ず 、 文 末 音 調 に は 平 叙 文 と 同 様 に 下 降 調 が 現 れ る( 図1を 参 照 )。拙 論( 三 村 (2016: 155)
(4)
)よ り 資 料 を 追 加 す る (表 記 を 一 部 改 変; L・M・Hは そ れ ぞ れ 「 低 」・「 中 」・「 高 」 を 示 し 、 こ れ ら の 記 号 の 組 み 合 わ せ で 文 全 体 の 音 調 の 概 形 を 示 す):
(6) a. Hvaða tungmál talarðu?「 何 語 を あ な た は 話 す の で す か ? 」
what language speak-you [M M H M M L L]
b. Er Einar kennari?「Einar は 先 生 で す か ? 」
is Einar teacher [M H H H M L]
な お 、「AかBか 」と い っ た2項 目 間 で の 選 択 を 求 め る い わ ゆ る「 選 択 疑 問 文 」で は 、Aに 当 た る 語 句 の 音 調 は 下 降 調 で は な い も の の 、B に 当 た る 語 句 ( い わ ば 選 択 疑 問 文 の 文 末 ) に は 下 降 調 が 現 れ る (三 村
(2016: 155)(4)):
(7) Talar hun dönsku eða sænsku?「 彼 女 は デ ン マ ー ク 語 を 話 す の で す か 、
speak she Danish or Swedish そ れ と も ス ウ ェ ー デ ン 語 を 話 す の で す か ? 」
[HM M H H MM H L]
3 問 題 点 の 検 証 と 考 察
前 節 で は ア イ ス ラ ン ド 語 に お け る 疑 問 文 の イ ン ト ネ ー シ ョ ン を 概 観 し た 。 疑 問 詞 の 有 無 を 問 わ ず 平 叙 文 と 同 様 に 文 末 音 調 に は 下 降 調 が 現 れ る と い う 点 は 明 ら か と な っ て い る も の の 、 第 1.1 節 の(1)に お い て
アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
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指 摘 し た つ の 問 題 点 は い ま だ 残 さ れ て い る 。 本 節 で は こ れ ら の 問 題 点 を そ れ ぞ れ 詳 し く 検 証 並 び に 考 察 し て い く こ と と す る 。
第 一 の 問 題 点 不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文
調 査 項 目 ・ 資 料
ま ず 始 め に 、 こ れ ま で 先 行 研 究 が 着 目 し て こ な か っ た 一 語 か ら な る 疑 問 文 や 、 主 語 や 述 語 動 詞 を 欠 く
不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文 の 文 末 音 調 に つ い て 検 証 と 考 察 を 行 う 。 こ れ ら の 疑 問 文 の 文 末 音 調 を 検 証 す べ く 筆 者 は 、 に 示 す 種 類 の 疑 問 文 の 読 み 上 げ 調 査 を 行 っ た
不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文
種 類 の 疑 問 文 は 、全 て 筆 者 が 作 例 し た も の で あ り 、イ ン フ ォ ー マ ン ト か ら 文 法 的 並 び に 意 味 的 に 適 格
で あ る と の 判 定 を 受 け た も の で あ る 。 既 に 節 に お い て 言 及 し た 通 り 、 全 て の 文 を 名 の イ ン フ ォ ー マ ン ト に 回 ず つ 読 み 上 げ て も ら い 、 結 果 と し て 延 べ 例 を 採 取 し た 。
な お 、 読 み 上 げ て も ら う 文 が な る べ く 意 味 的 に 中 立 的 に な る よ う 、 事 前 に 文 の 意 味 や 発 話 意 図 に 関 し て イ ン フ ォ ー マ ン ト に 確 認 し た 上 で 読 み 上 げ を 実 施 し た 。 ま た 、 調 査 項 目 は 不 完 全 な 文 構 造 故 に 、 単 独
で 提 示 し た 場 合 は 不 自 然 な 発 音 に な る き ら い が あ る と 考 え ら れ 、 な る べ く 自 然 な 読 み 上 げ と な る よ う 、 全 て ダ イ ア ロ ー グ の 一 部 と し て 提 示 し た 。 以 下 に 具 体 例 を 示 す
ダ イ ア ロ ー グ の 例
アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
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指 摘 し た つ の 問 題 点 は い ま だ 残 さ れ て い る 。 本 節 で は こ れ ら の 問 題 点 を そ れ ぞ れ 詳 し く 検 証 並 び に 考
察 し て い く こ と と す る 。
第 一 の 問 題 点 不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文
調 査 項 目 ・ 資 料
ま ず 始 め に 、 こ れ ま で 先 行 研 究 が 着 目 し て こ な か っ た 一 語 か ら な る 疑 問 文 や 、 主 語 や 述 語 動 詞 を 欠 く
不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文 の 文 末 音 調 に つ い て 検 証 と 考 察 を 行 う 。 こ れ ら の 疑 問 文 の 文 末 音 調 を 検 証 す べ
く 筆 者 は 、 に 示 す 種 類 の 疑 問 文 の 読 み 上 げ 調 査 を 行 っ た
不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文
種 類 の 疑 問 文 は 、全 て 筆 者 が 作 例 し た も の で あ り 、イ ン フ ォ ー マ ン ト か ら 文 法 的 並 び に 意 味 的 に 適 格
で あ る と の 判 定 を 受 け た も の で あ る 。 既 に 節 に お い て 言 及 し た 通 り 、 全 て の 文 を 名 の イ ン フ ォ ー
マ ン ト に 回 ず つ 読 み 上 げ て も ら い 、 結 果 と し て 延 べ 例 を 採 取 し た 。
な お 、 読 み 上 げ て も ら う 文 が な る べ く 意 味 的 に 中 立 的 に な る よ う 、 事 前 に 文 の 意 味 や 発 話 意 図 に 関 し
て イ ン フ ォ ー マ ン ト に 確 認 し た 上 で 読 み 上 げ を 実 施 し た 。 ま た 、 調 査 項 目 は 不 完 全 な 文 構 造 故 に 、 単 独
で 提 示 し た 場 合 は 不 自 然 な 発 音 に な る き ら い が あ る と 考 え ら れ 、 な る べ く 自 然 な 読 み 上 げ と な る よ う 、
全 て ダ イ ア ロ ー グ の 一 部 と し て 提 示 し た 。 以 下 に 具 体 例 を 示 す
ダ イ ア ロ ー グ の 例
góð japönsku.
e bj e g nee
b góð japönsku?
e e bj g nee
Má ∅ bjóð þér ð létt?
m bj er m et ng lg t ég‘I ’
× ×
l n ð? r ð? M áb jóð þ é r e tt ðlé tt?
ne l ? r? tt ðfle r r ?
e n æ r? nþ ú ? ?
ðm örg ? ðm e ðþ ð? ð ní n ?
三村 竜之
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疑 問 文 イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 概 要
ア イ ス ラ ン ド 語 の 疑 問 文 の 構 造
ア イ ス ラ ン ド 語 の 平 叙 文 の 基 本 語 順 は「 主 語 + 述 語 動 詞 」の 順 で あ り 、こ の 順 序 を 入 れ 替 え る い わ ゆ る
倒 置 に よ り 疑 問 文 を 作 る こ と が で き る
「 彼 は 上 手 に 日 本 語 を 話 し ま す 。」
「 彼 は 上 手 に 日 本 語 を 話 し ま す か ? 」
但 し 、現 実 的 に は 、 に 示 す よ う な 主 語 や 述 語 を 欠 い た 疑 問 文 や 、一 語 文 な ど 文 構 造 が 不 完 全 な 疑 問 文
も 珍 し く は な い
「 何 か 軽 食 を お 持 ち し ま し ょ う か ? 」
「 他 に 何 か ? 」
疑 問 文 イ ン ト ネ ー シ ョ ン
既 に 第 節 に て 触 れ た と お り 、 ア イ ス ラ ン ド 語 に お け る 疑 問 文 は 、 疑 問 詞 の 有 無 に 拘 ら ず 、 文 末 音
調 に は 平 叙 文 と 同 様 に 下 降 調 が 現 れ る( 図 を 参 照 )。拙 論( 三 村 )よ り 資 料 を 追 加 す る 表 記 を 一 部 改 変 ・ ・ は そ れ ぞ れ 「 低 」・「 中 」・「 高 」 を 示 し 、 こ れ ら の 記 号 の 組 み 合 わ せ で 文 全 体 の
音 調 の 概 形 を 示 す
「 何 語 を あ な た は 話 す の で す か ? 」
「 は 先 生 で す か ? 」
な お 、「 か か 」と い っ た 項 目 間 で の 選 択 を 求 め る い わ ゆ る「 選 択 疑 問 文 」で は 、 に 当 た る 語 句 の
音 調 は 下 降 調 で は な い も の の 、 に 当 た る 語 句 ( い わ ば 選 択 疑 問 文 の 文 末 ) に は 下 降 調 が 現 れ る 三 村
「 彼 女 は デ ン マ ー ク 語 を 話 す の で す か 、
そ れ と も ス ウ ェ ー デ ン 語 を 話 す の で す か ? 」
問 題 点 の 検 証 と 考 察
前 節 で は ア イ ス ラ ン ド 語 に お け る 疑 問 文 の イ ン ト ネ ー シ ョ ン を 概 観 し た 。 疑 問 詞 の 有 無 を 問 わ ず 平 叙 文 と 同 様 に 文 末 音 調 に は 下 降 調 が 現 れ る と い う 点 は 明 ら か と な っ て い る も の の 、 第 節 の に お い て
アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
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指 摘 し た2 つ の 問 題 点 は い ま だ 残 さ れ て い る 。 本 節 で は こ れ ら の 問 題 点 を そ れ ぞ れ 詳 し く 検 証 並 び に 考 察 し て い く こ と と す る 。
3.1 第 一 の 問 題 点: 不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文
3.1.1 調 査 項 目 ・ 資 料
ま ず 始 め に 、 こ れ ま で 先 行 研 究 が 着 目 し て こ な か っ た 一 語 か ら な る 疑 問 文 や 、 主 語 や 述 語 動 詞 を 欠 く
不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文 の 文 末 音 調 に つ い て 検 証 と 考 察 を 行 う 。 こ れ ら の 疑 問 文 の 文 末 音 調 を 検 証 す べ く 筆 者 は 、(8)に 示 す15種 類 の 疑 問 文 の 読 み 上 げ 調 査 を 行 っ た:
(8) 不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文
15種 類 の 疑 問 文 は 、全 て 筆 者 が 作 例 し た も の で あ り 、イ ン フ ォ ー マ ン ト か ら 文 法 的 並 び に 意 味 的 に 適 格 で あ る と の 判 定 を 受 け た も の で あ る 。 既 に 1.3節 に お い て 言 及 し た 通 り 、 全 て の 文 を 2 名 の イ ン フ ォ ー マ ン ト に3回 ず つ 読 み 上 げ て も ら い 、 結 果 と し て 延 べ90例 を 採 取 し た 。
な お 、 読 み 上 げ て も ら う 文 が な る べ く 意 味 的 に 中 立 的 に な る よ う 、 事 前 に 文 の 意 味 や 発 話 意 図 に 関 し て イ ン フ ォ ー マ ン ト に 確 認 し た 上 で 読 み 上 げ を 実 施 し た 。 ま た 、 調 査 項 目 は 不 完 全 な 文 構 造 故 に 、 単 独
で 提 示 し た 場 合 は 不 自 然 な 発 音 に な る き ら い が あ る と 考 え ら れ 、 な る べ く 自 然 な 読 み 上 げ と な る よ う 、 全 て ダ イ ア ロ ー グ の 一 部 と し て 提 示 し た 。 以 下 に 具 体 例 を 示 す:
(9) ダ イ ア ロ ー グ の 例
アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
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指 摘 し た つ の 問 題 点 は い ま だ 残 さ れ て い る 。 本 節 で は こ れ ら の 問 題 点 を そ れ ぞ れ 詳 し く 検 証 並 び に 考
察 し て い く こ と と す る 。
第 一 の 問 題 点 不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文
調 査 項 目 ・ 資 料
ま ず 始 め に 、 こ れ ま で 先 行 研 究 が 着 目 し て こ な か っ た 一 語 か ら な る 疑 問 文 や 、 主 語 や 述 語 動 詞 を 欠 く
不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文 の 文 末 音 調 に つ い て 検 証 と 考 察 を 行 う 。 こ れ ら の 疑 問 文 の 文 末 音 調 を 検 証 す べ
く 筆 者 は 、 に 示 す 種 類 の 疑 問 文 の 読 み 上 げ 調 査 を 行 っ た
(8) 不 完 全 な 文 構 造 の 疑 問 文
種 類 の 疑 問 文 は 、全 て 筆 者 が 作 例 し た も の で あ り 、イ ン フ ォ ー マ ン ト か ら 文 法 的 並 び に 意 味 的 に 適 格
で あ る と の 判 定 を 受 け た も の で あ る 。 既 に 節 に お い て 言 及 し た 通 り 、 全 て の 文 を 名 の イ ン フ ォ ー
マ ン ト に 回 ず つ 読 み 上 げ て も ら い 、 結 果 と し て 延 べ 例 を 採 取 し た 。
な お 、 読 み 上 げ て も ら う 文 が な る べ く 意 味 的 に 中 立 的 に な る よ う 、 事 前 に 文 の 意 味 や 発 話 意 図 に 関 し
て イ ン フ ォ ー マ ン ト に 確 認 し た 上 で 読 み 上 げ を 実 施 し た 。 ま た 、 調 査 項 目 は 不 完 全 な 文 構 造 故 に 、 単 独
で 提 示 し た 場 合 は 不 自 然 な 発 音 に な る き ら い が あ る と 考 え ら れ 、 な る べ く 自 然 な 読 み 上 げ と な る よ う 、
全 て ダ イ ア ロ ー グ の 一 部 と し て 提 示 し た 。 以 下 に 具 体 例 を 示 す
ダ イ ア ロ ー グ の 例
góð japönsku.
e bj e g nee
b góð japönsku?
e e bj g nee
Má ∅ bjóð þér ð létt?
m bj er m et ng l g t ég‘I ’
× ×
l n ð? r ð? M áb jóð þ é r e tt ðlé tt?
ne l ? r? tt ðfle r r ?
e n æ r? nþ ú ? ?
ðm örg ? ðm e ðþ ð? ð ní n ?
アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
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調 査 項 目 ・ 資 料
上 述 の 点 に つ い て 検 証 す べ く 、 筆 者 は 平 叙 文 と 疑 問 文 の 読 み 上 げ 調 査 を 行 っ た 。 調 査 項 目 を ダ イ ア
ロ ー グ の 一 部 と し て で は な く 文 単 独 で 提 示 し た 点 を 除 い て は 、 す べ て 節 に て 検 証 し た 構 造 的 に 不 完
全 な 疑 問 文 の 場 合 と 同 様 の 手 法 で 調 査 を 実 施 し た 。 な お 、 検 証 の 便 宜 上 、 種 々 の 要 因 が 介 入 す る こ と を
回 避 す べ く 、構 造 的 に 複 雑 な 文 は 避 け て 、単 文 の み を 資 料 と し て 採 取 し た 。採 取 し た 資 料 は 例( 平 叙
文 例 、 疑 問 文 例 、 疑 問 詞 疑 問 文 例 )。 以 下 に 具 体 例 を 数 例 示 す
上 記 の 例 を 名 の イ ン フ ォ ー マ ン ト に 回 ず つ 読 み 上 げ て も ら い 、 延 べ 例 を 採 取 し た 。
検 証 ・ 考 察
第 一 に 核 音 調 で あ る 下 降 調 の 位 置 に 関 し て 検 証 す る 。英 語 で は「 内 容 語 」が 文 の リ ズ ム
の 拍( い わ ゆ る 文 ア ク セ ン ト )を 担 い や す く 、一 方 で「 機 能 語 」は 拍 を 担 い 難 い こ と が 指
摘 さ れ て い る ( 例 )。 ア イ ス ラ ン ド 語 に お い て も 同 様 に 、 原 則 的 に は リ ズ ム の 拍 は 内
容 語 ( の 主 強 勢 を 担 う 音 節 ) が 担 う ( 三 村 )。
ア イ ス ラ ン ド 語 の 文 は 、 長 く な る に つ れ て 小 さ な リ ズ ム 上 の ま と ま り に 分 か れ る 傾 向 が あ り 、 個 々 の
リ ズ ム 上 の ま と ま り の 末 尾 に は 漸 次 的 な 下 降 も 含 め た 下 降 調 が 現 れ る 。 こ こ で は 、 採 取 さ れ た 例 の
主 観 音 声 学 的 観 察( い わ ゆ る 聞 き 取 り )と を 通 じ て 得 た ピ ッ チ 曲 線 の 観 察 に 基 づ き 、リ ズ ム 上 の ま
と ま り に 現 れ る 下 降 調 の 内 、 最 も 顕 著 な 音 調 の 遷 移 の 位 置 を 精 査 し た 。 そ の 結 果 、 核 音 調 、 換 言 す れ ば
下 降 調 な い し 漸 次 的 な 音 調 の 下 降 の 開 始 位 置 は 、 平 叙 文 と 疑 問 文 の 別 を 問 わ ず 、 ま た 疑 問 詞 の 有 無 を 問
わ ず 、 全 て 文 の 最 後 の 内 容 語 ( の 主 強 勢 を 担 う 音 節 ) で あ る こ と が 明 ら か と な っ た 。 次 頁 の 図 に 示 し
三村 竜之
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38
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図2: Brauð? Eitthvað fleira? Hvenær? の ピ ッ チ 曲 線 図3: Hvað segirðu? の ピ ッ チ 曲 線
3.1.2 検 証 と 考 察
(8)に 示 し た 不 完 全 な 文 構 造 の 文 末 音 調 を 精 査 し た 結 果 、 採 取 さ れ た 延 べ 90 例 全 て に お い て 下 降 調 が
現 れ て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 参 考 ま で に 図2に(9)の 疑 問 文 の ピ ッ チ 曲 線 を 示 す 。
既 に 第2.2節 並 び に 拙 論 ( 三 村 2016(4)) を 含 む 先 行 研 究 に お い て 指 摘 さ れ て い る 通 り 、 完 全 な 文 構 造 を 有 す る 疑 問 文 の 文 末 音 調 は 下 降 調 で あ り 、 こ の 事 実 を 踏 ま え る と 、 ア イ ス ラ ン ド 語 の 疑 問 文 の 文 末 音 調 に 関 し て 以 下 の 結 論 を 導 く こ と が で き る:
(10) ア イ ス ラ ン ド 語 に お い て 疑 問 文 は 、疑 問 詞 疑 問 文 で あ っ て もyes/no疑 問 文 で あ っ て も 、ま た 文 と し
て 完 全 な 構 造 を 有 す る か 否 か を 問 わ ず 、 文 末 に は 一 貫 し て 下 降 調 が 現 れ る 。
な お 、 英 語 で は 、 発 話 者 の 発 話 内 容 が 不 明 確 な 場 合 、 確 認 の た め に 疑 問 詞 疑 問 文 を 上 昇 調 で 用 い て 問 い 直 す こ と が あ る こ と は よ く 知 ら れ て い る ( 渡 辺 (1980: 59)(9))。 ア イ ス ラ ン ド 語 に お け る こ の 種 の 「 繰 り 返 し 疑 問 文 」 の 例 は 、 現 時 点 で の 筆 者 の 資 料 で は(10)に 示 す 一 例 の み が 確 認 さ れ て い る に 過 ぎ な い 。 従 っ て 推 察 の 域 を 脱 し え な い が 、 こ れ ま で の 検 証 と 考 察 の 結 果 も 踏 ま え る と 、 お そ ら く 「 繰 り 返 し 疑 問 文 」 に お け る 文 末 音 調 も ア イ ス ラ ン ド 語 で は 下 降 調 で あ る こ と が 予 想 さ れ る ( 図3も 参 照 の こ と )。
(11) Ha? Hvað segirðu?「 え っ 、 何 で す か ?な ん と お っ し ゃ っ た の で す か ?」
pardon what say-you
3.2 第 二 の 問 題 点: 平 叙 文 と の 差 異
こ れ ま で の 他 言 語 の イ ン ト ネ ー シ ョ ン 研 究 か ら 次 の 二 点 が 指 摘 さ れ て い る:
(12) a. 平 叙 文 と 疑 問 文 で 基 本 的 に 語 順 に 差 異 の 見 ら れ な い 言 語( 例: ロ シ ア 語 )で は 核 音 調(nuclear tone)
の 位 置 が 異 な る (Ladd (1996: 168-169)(10))。
b. 平 叙 文 と 疑 問 文 の イ ン ト ネ ー シ ョ ン が 類 似 す る 言 語 ( 例: フ ィ ン ラ ン ド 語 ) で は 疑 問 文 の 方 が 核
音 調 の 音 域 (pitch range) が 大 き い (Iivonen (2005: 120)(11))。
他 言 語 に お け る 上 記 の 指 摘 を 踏 ま え て 、 筆 者 は 次 の2点 に 関 し て ア イ ス ラ ン ド 語 の 平 叙 文 と 疑 問 文 の 間 に 差 異 が 確 認 さ れ る か 否 か 検 証 を 行 っ た: i) 核 音 調 ( 下 降 調 の 開 始 ) の 位 置; ii) 下 降 調 の 下 げ 幅 。
三村 竜之
-
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図 の ピ ッ チ 曲 線
た ピ ッ チ 曲 線 も 参 照 の こ と 。 文 末 の 内 容 語 ( 平 叙 文 と 疑 問 文 で は 、 疑 問 詞 疑 問 文 で
は ) に お い て 下 降 調 の 開 始 が 確 認 さ れ る 点 に 注 意 さ れ た い 。
以 上 か ら 以 下 に 示 す 結 論 を 導 く こ と が で き る
平 叙 文 と 疑 問 文( 疑 問 詞 の 有 無 は 問 わ ず )の い ず れ に お い て も 核 音 調 で あ る 下 降 調 な い し 漸 次 的 下
降 は 文 の 最 後 の 内 容 語 に 現 れ て お り 、 平 叙 文 と 疑 問 文 の 間 に 差 異 は 確 認 さ れ な い 。
な お 、 前 後 の 文 脈 等 の 要 因 か ら あ る 語 ( 機 能 語 の 場 合 も あ り ) に 焦 点 ( フ ォ ー カ ス ) が 置 か れ る 場 合
は 、 例 外 的 に そ の 語 に 核 音 調 が 現 れ う る こ と を 付 記 し て お く ( 核 音 調 の 現 れ て い る 語 を 太 字 で 示 す )
「 彼 は 日 本 語 を 話 し ま す 。」( フ ォ ー カ ス 無 し )
「 彼 が 日 本 語 を 話 し ま す 。」( フ ォ ー カ ス 有 り )
【 例 え ば 「 誰 が 日 本 語 を 話 す の で す か ? 」 の 返 答 と し て 】
続 い て 、二 点 目 の 問 題 点 で あ る 下 降 調 の 下 げ 幅 の 検 証 に 移 る 。採 取 さ れ た 平 叙 文 と 疑 問 文 例( 延 べ
例 ) 全 て に 関 し て 、 下 降 調 が 現 れ る 文 の 最 後 の 内 容 語 の 基 本 周 波 数 の 最 高 値 と 最 低 値 、 並 び に 両 者
の 差 を 抽 出 し 、そ れ ぞ れ の 平 均 値 を 算 出 し た 。基 本 周 波 数 の 抽 出 に は ( )
を 使 用 し た 。 基 本 周 波 数 の 抽 出 と 最 高 値 等 の 算 出 方 法 の 概 要 を 以 下 に 示 す
採 取 さ れ た 例 全 て を で 処 理 し 、 ピ ッ チ 曲 線 を 表 示 さ せ る 。
各 文 の 最 後 の 内 容 語 ( の ピ ッ チ 曲 線 ) を 上 で 選 択 し 、 そ の 範 囲 内 で 基 本 周 波 数 の 最 高 値
と 最 低 値 を 自 動 的 に 抽 出 。
計 算 に よ り 、 で 得 ら れ た 数 値 か ら 平 均 値 と そ の 差 を 算 出 。
アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
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3.2.1 調 査 項 目 ・ 資 料上 述 の2 点 に つ い て 検 証 す べ く 、 筆 者 は 平 叙 文 と 疑 問 文 の 読 み 上 げ 調 査 を 行 っ た 。 調 査 項 目 を ダ イ ア
ロ ー グ の 一 部 と し て で は な く 文 単 独 で 提 示 し た 点 を 除 い て は 、 す べ て 5.1 節 に て 検 証 し た 構 造 的 に 不 完
全 な 疑 問 文 の 場 合 と 同 様 の 手 法 で 調 査 を 実 施 し た 。 な お 、 検 証 の 便 宜 上 、 種 々 の 要 因 が 介 入 す る こ と を
回 避 す べ く 、構 造 的 に 複 雑 な 文 は 避 け て 、単 文 の み を 資 料 と し て 採 取 し た 。採 取 し た 資 料 は48例( 平 叙
文28例 、Yes/No-疑 問 文13例 、 疑 問 詞 疑 問 文7例 )。 以 下 に 具 体 例 を 数 例 示 す:
上 記 の48例 を2名 の イ ン フ ォ ー マ ン ト に3回 ず つ 読 み 上 げ て も ら い 、 延 べ288例 を 採 取 し た 。
3.2.2 検 証 ・ 考 察
第 一 に 核 音 調 で あ る 下 降 調 の 位 置 に 関 し て 検 証 す る 。英 語 で は「 内 容 語 content words」が 文 の リ ズ ム
の 拍( い わ ゆ る 文 ア ク セ ン ト )を 担 い や す く 、一 方 で「 機 能 語 function words」は 拍 を 担 い 難 い こ と が 指
摘 さ れ て い る ( 例: Pike (1945: 118)
(12)
)。 ア イ ス ラ ン ド 語 に お い て も 同 様 に 、 原 則 的 に は リ ズ ム の 拍 は 内
容 語 ( の 主 強 勢 を 担 う 音 節 ) が 担 う ( 三 村 2016: 152
(4)
)。
ア イ ス ラ ン ド 語 の 文 は 、 長 く な る に つ れ て 小 さ な リ ズ ム 上 の ま と ま り に 分 か れ る 傾 向 が あ り 、 個 々 の
リ ズ ム 上 の ま と ま り の 末 尾 に は 漸 次 的 な 下 降 も 含 め た 下 降 調 が 現 れ る 。 こ こ で は 、 採 取 さ れ た 288例 の
主 観 音 声 学 的 観 察( い わ ゆ る 聞 き 取 り )とPraatを 通 じ て 得 た ピ ッ チ 曲 線 の 観 察 に 基 づ き 、リ ズ ム 上 の ま
と ま り に 現 れ る 下 降 調 の 内 、 最 も 顕 著 な 音 調 の 遷 移 の 位 置 を 精 査 し た 。 そ の 結 果 、 核 音 調 、 換 言 す れ ば
下 降 調 な い し 漸 次 的 な 音 調 の 下 降 の 開 始 位 置 は 、 平 叙 文 と 疑 問 文 の 別 を 問 わ ず 、 ま た 疑 問 詞 の 有 無 を 問
わ ず 、 全 て 文 の 最 後 の 内 容 語 ( の 主 強 勢 を 担 う 音 節 ) で あ る こ と が 明 ら か と な っ た 。 次 頁 の 図4に 示 し
三村 竜之
-
-
図 の ピ ッ チ 曲 線 図 の ピ ッ チ 曲 線
検 証 と 考 察
に 示 し た 不 完 全 な 文 構 造 の 文 末 音 調 を 精 査 し た 結 果 、 採 取 さ れ た 延 べ 例 全 て に お い て 下 降 調 が 現 れ て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 参 考 ま で に 図 に の 疑 問 文 の ピ ッ チ 曲 線 を 示 す 。
既 に 第 節 並 び に 拙 論 ( 三 村 ) を 含 む 先 行 研 究 に お い て 指 摘 さ れ て い る 通 り 、 完 全 な 文 構 造 を 有 す る 疑 問 文 の 文 末 音 調 は 下 降 調 で あ り 、 こ の 事 実 を 踏 ま え る と 、 ア イ ス ラ ン ド 語 の 疑 問 文 の 文 末 音 調 に 関 し て 以 下 の 結 論 を 導 く こ と が で き る
ア イ ス ラ ン ド 語 に お い て 疑 問 文 は 、疑 問 詞 疑 問 文 で あ っ て も 疑 問 文 で あ っ て も 、ま た 文 と し
て 完 全 な 構 造 を 有 す る か 否 か を 問 わ ず 、 文 末 に は 一 貫 し て 下 降 調 が 現 れ る 。
な お 、 英 語 で は 、 発 話 者 の 発 話 内 容 が 不 明 確 な 場 合 、 確 認 の た め に 疑 問 詞 疑 問 文 を 上 昇 調 で 用 い て 問 い 直 す こ と が あ る こ と は よ く 知 ら れ て い る ( 渡 辺 )。 ア イ ス ラ ン ド 語 に お け る こ の 種 の 「 繰 り 返 し 疑 問 文 」 の 例 は 、 現 時 点 で の 筆 者 の 資 料 で は に 示 す 一 例 の み が 確 認 さ れ て い る に 過 ぎ な い 。 従 っ て 推 察 の 域 を 脱 し え な い が 、 こ れ ま で の 検 証 と 考 察 の 結 果 も 踏 ま え る と 、 お そ ら く 「 繰 り 返 し 疑 問 文 」 に お け る 文 末 音 調 も ア イ ス ラ ン ド 語 で は 下 降 調 で あ る こ と が 予 想 さ れ る ( 図 も 参 照 の こ と )。
「 え っ 、 何 で す か ?な ん と お っ し ゃ っ た の で す か ?」
第 二 の 問 題 点 平 叙 文 と の 差 異
こ れ ま で の 他 言 語 の イ ン ト ネ ー シ ョ ン 研 究 か ら 次 の 二 点 が 指 摘 さ れ て い る
平 叙 文 と 疑 問 文 で 基 本 的 に 語 順 に 差 異 の 見 ら れ な い 言 語( 例 ロ シ ア 語 )で は 核 音 調( )
の 位 置 が 異 な る ( )。
平 叙 文 と 疑 問 文 の イ ン ト ネ ー シ ョ ン が 類 似 す る 言 語 ( 例 フ ィ ン ラ ン ド 語 ) で は 疑 問 文 の 方 が 核
音 調 の 音 域 ( ) が 大 き い ( )。
他 言 語 に お け る 上 記 の 指 摘 を 踏 ま え て 、 筆 者 は 次 の 点 に 関 し て ア イ ス ラ ン ド 語 の 平 叙 文 と 疑 問 文 の 間 に 差 異 が 確 認 さ れ る か 否 か 検 証 を 行 っ た 核 音 調 ( 下 降 調 の 開 始 ) の 位 置 下 降 調 の 下 げ 幅 。
三村 竜之
-
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図 の ピ ッ チ 曲 線
た ピ ッ チ 曲 線 も 参 照 の こ と 。 文 末 の 内 容 語 ( 平 叙 文 と 疑 問 文 で は 、 疑 問 詞 疑 問 文 で
は ) に お い て 下 降 調 の 開 始 が 確 認 さ れ る 点 に 注 意 さ れ た い 。
以 上 か ら 以 下 に 示 す 結 論 を 導 く こ と が で き る
(13) 平 叙 文 と 疑 問 文( 疑 問 詞 の 有 無 は 問 わ ず )の い ず れ に お い て も 核 音 調 で あ る 下 降 調 な い し 漸 次 的 下 降 は 文 の 最 後 の 内 容 語 に 現 れ て お り 、 平 叙 文 と 疑 問 文 の 間 に 差 異 は 確 認 さ れ な い 。
な お 、 前 後 の 文 脈 等 の 要 因 か ら あ る 語 ( 機 能 語 の 場 合 も あ り ) に 焦 点 ( フ ォ ー カ ス ) が 置 か れ る 場 合
は 、 例 外 的 に そ の 語 に 核 音 調 が 現 れ う る こ と を 付 記 し て お く ( 核 音 調 の 現 れ て い る 語 を 太 字 で 示 す )
「 彼 は 日 本 語 を 話 し ま す 。」( フ ォ ー カ ス 無 し )
「 彼 が 日 本 語 を 話 し ま す 。」( フ ォ ー カ ス 有 り )
【 例 え ば 「 誰 が 日 本 語 を 話 す の で す か ? 」 の 返 答 と し て 】
続 い て 、二 点 目 の 問 題 点 で あ る 下 降 調 の 下 げ 幅 の 検 証 に 移 る 。採 取 さ れ た 平 叙 文 と 疑 問 文 例( 延 べ
例 ) 全 て に 関 し て 、 下 降 調 が 現 れ る 文 の 最 後 の 内 容 語 の 基 本 周 波 数 の 最 高 値 と 最 低 値 、 並 び に 両 者
の 差 を 抽 出 し 、そ れ ぞ れ の 平 均 値 を 算 出 し た 。基 本 周 波 数 の 抽 出 に は ( )
を 使 用 し た 。 基 本 周 波 数 の 抽 出 と 最 高 値 等 の 算 出 方 法 の 概 要 を 以 下 に 示 す
採 取 さ れ た 例 全 て を で 処 理 し 、 ピ ッ チ 曲 線 を 表 示 さ せ る 。
各 文 の 最 後 の 内 容 語 ( の ピ ッ チ 曲 線 ) を 上 で 選 択 し 、 そ の 範 囲 内 で 基 本 周 波 数 の 最 高 値
と 最 低 値 を 自 動 的 に 抽 出 。
計 算 に よ り 、 で 得 ら れ た 数 値 か ら 平 均 値 と そ の 差 を 算 出 。
三村 竜之
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図4: Einar er íslendingur. Er Einar íslendingur? Hvaða dagur er í dag? の ピ ッ チ 曲 線
た ピ ッ チ 曲 線 も 参 照 の こ と 。 文 末 の 内 容 語 ( 平 叙 文 と Yes/No-疑 問 文 で は íslendingur、 疑 問 詞 疑 問 文 で
は dag) に お い て 下 降 調 の 開 始 が 確 認 さ れ る 点 に 注 意 さ れ た い 。
以 上 か ら 以 下 に 示 す 結 論 を 導 く こ と が で き る:
(14) 平 叙 文 と 疑 問 文( 疑 問 詞 の 有 無 は 問 わ ず )の い ず れ に お い て も 核 音 調 で あ る 下 降 調 な い し 漸 次 的 下
降 は 文 の 最 後 の 内 容 語 に 現 れ て お り 、 平 叙 文 と 疑 問 文 の 間 に 差 異 は 確 認 さ れ な い 。
な お 、 前 後 の 文 脈 等 の 要 因 か ら あ る 語 ( 機 能 語 の 場 合 も あ り ) に 焦 点 ( フ ォ ー カ ス ) が 置 か れ る 場 合 は 、 例 外 的 に そ の 語 に 核 音 調 が 現 れ う る こ と を 付 記 し て お く ( 核 音 調 の 現 れ て い る 語 を 太 字 で 示 す ):
(15) Hann talar japönsku.「 彼 は 日 本 語 を 話 し ま す 。」( フ ォ ー カ ス 無 し )
cf. Hann talar japönsku.「 彼 が 日 本 語 を 話 し ま す 。」( フ ォ ー カ ス 有 り )
【 例 え ば Hver talar japönsku?「 誰 が 日 本 語 を 話 す の で す か ? 」 の 返 答 と し て 】
続 い て 、二 点 目 の 問 題 点 で あ る 下 降 調 の 下 げ 幅 の 検 証 に 移 る 。採 取 さ れ た 平 叙 文 と 疑 問 文48例( 延 べ 288 例 ) 全 て に 関 し て 、 下 降 調 が 現 れ る 文 の 最 後 の 内 容 語 の 基 本 周 波 数 の 最 高 値 と 最 低 値 、 並 び に 両 者
の 差 を 抽 出 し 、そ れ ぞ れ の 平 均 値 を 算 出 し た 。基 本 周 波 数 の 抽 出 に はPraat(Boersma and Weenink 2017(13)) を 使 用 し た 。 基 本 周 波 数 の 抽 出 と 最 高 値 等 の 算 出 方 法 の 概 要 を 以 下 に 示 す:
(16) a. 採 取 さ れ た288例 全 て をPraatで 処 理 し 、 ピ ッ チ 曲 線 を 表 示 さ せ る 。
b. 各 文 の 最 後 の 内 容 語 ( の ピ ッ チ 曲 線 ) を Praat 上 で 選 択 し 、 そ の 範 囲 内 で 基 本 周 波 数 の 最 高 値
(maximum pitch)と 最 低 値(minimum pitch)を 自 動 的 に 抽 出 。
c. 計 算 に よ り 、b.で 得 ら れ た 数 値 か ら 平 均 値 と そ の 差 を 算 出 。
検 証 結 果 を 次 ペ ー ジ の(17)に 示 す:
アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
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上 に 示 し た 表 か ら 、 文 の 最 後 の 内 容 語 の 基 本 周 波 数 に 関 し て 、 最 高 値 、 最 低 値 、 両 者 の 差 の い ず れ の 点 に お い て も 平 叙 文 と 疑 問 文 の 間 に 顕 著 な 差 異 は 確 認 さ れ な い と 考 え ら れ る 。 こ こ か ら 以 下 の 結 論 を 導 く こ と が で き よ う
核 音 調 で あ る 下 降 調 の 開 始 点 や 下 げ 幅 に 関 し て 、平 叙 文 と 疑 問 文 の そ れ ぞ れ を 特 徴 付 け る 固 有 の 傾
向 性 や 顕 著 な 差 異 は 存 在 し な い 。
既 に 述 べ た 通 り 、 ア イ ス ラ ン ド 語 で は 平 叙 文 と 疑 問 文 の 差 異 は 語 順 に よ っ て 明 示 さ れ る た め 、 文 末 音 調 の 点 で 両 者 の 間 に 顕 著 な 差 異 が 存 在 し な く と も 言 語 運 用 の 面 で は 支 障 を き た す こ と は な い と 考 え ら れ る 。
な お 、 英 語 で は 、 例 え ば ( 渡 辺 ) の よ う に 、 平 叙 文 と 同 じ 語
順 の 疑 問 文 も 現 実 の 自 然 な 会 話 で は 使 用 さ れ う る 。 同 じ く ア イ ス ラ ン ド 語 で も 、 お そ ら く 平 叙 文 と 同 様 の 語 順 で 疑 問 文 と し て 使 用 可 能 な 文 は あ り う る と 考 え ら れ る 。 疑 問 文 と い う 文 形 式 と イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 型 と の 関 係 を 検 証 す る 上 で は 極 め て 有 力 な 資 料 に な り 得 る も の の 、 い か な る 条 件 の も と で 可 能 で あ る か 現 時 点 で は 不 明 で あ る 点 に 加 え 、 イ ン フ ォ ー マ ン ト か ら は 不 適 格 と 判 定 さ れ た た め 、 本 研 究 で の 調 査 項 目 か ら は 除 外 し た 。
結 語
ま と め
以 上 、 先 行 研 究 が こ れ ま で 着 目 し て こ な か っ た 疑 問 文 イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 諸 側 面 を 精 査 し 、 以 下 の 結 論 を 導 い た
ア イ ス ラ ン ド 語 に お い て 疑 問 文 は 、疑 問 詞 疑 問 文 で あ っ て も 疑 問 文 で あ っ て も 、ま た 文 と
し て 完 全 な 構 造 を 有 す る か 否 か を 問 わ ず 、 文 末 に は 一 貫 し て 下 降 調 が 現 れ る 。【 】
平 叙 文 と 疑 問 文( 疑 問 詞 の 有 無 を 問 わ ず )の い ず れ に お い て も 核 音 調 は 文 の 最 後 の 内 容 語 に 現 れ
て お り 、 平 叙 文 と 疑 問 文 の 間 に 差 異 は 確 認 さ れ な い 。【 】
核 音 調 で あ る 下 降 調 の 開 始 点 や 下 げ 幅 に 関 し て 平 叙 文 と 疑 問 文 の そ れ ぞ れ を 特 徴 付 け る 固 有 の
傾 向 性 や 顕 著 な 差 異 は 存 在 し な い 。【 】
近 年 、 イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 理 論 的 研 究 は 目 覚 し い 発 展 を 遂 げ て い る も の の 、 そ の 一 方 で 、 記 述 研 究 の 進 ん だ 一 部 の 言 語 を 除 い て は イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 実 態 が 不 明 確 な 言 語 も 少 な く 無 い 。 こ の 点 で 本 研 究 の 成 果 は 、 世 界 の 諸 言 語 の イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 実 態 を 明 ら か に す る 上 で 貴 重 な 資 料 を 提 供 す る と い う 意 味 で 、 極 め て 意 義 の 大 き い も の と 言 え よ う 。
ま た 、 教 育 的 な 観 点 か ら も 本 研 究 の 成 果 は 重 要 で あ る 。 参 照 文 法 も 含 め て ア イ ス ラ ン ド 語 の 教 科 書 は 数 あ る も の の 、 イ ン ト ネ ー シ ョ ン に つ い て 紙 数 を 割 い た も の は 皆 無 に 等 し い 。 従 っ て 本 研 究 の 成 果 は ア イ ス ラ ン ド 語 の 発 音 指 導 に お い て 大 い に 資 す る も の で あ る と 言 え よ う 。
二 名 の 覆 面 査 読 者 の 一 名 よ り 数 値 デ ー タ の 検 定 に 関 し て 指 摘 を い た だ い た 。 詳 細 は 第 節 を 参 照 さ れ た い 。 アイスランド語疑問文イントネーションの諸相
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上 に 示 し た 表 か ら 、 文 の 最 後 の 内 容 語 の 基 本 周 波 数 に 関 し て 、 最 高 値 、 最 低 値 、 両 者 の 差 の い ず れ の 点
に お い て も 平 叙 文 と 疑 問 文 の 間 に 顕 著 な 差 異 は 確 認 さ れ な い と 考 え ら れ る 。 こ こ か ら 以 下 の 結 論 を 導
く こ と が で き よ う
核 音 調 で あ る 下 降 調 の 開 始 点 や 下 げ 幅 に 関 し て 、平 叙 文 と 疑 問 文 の そ れ ぞ れ を 特 徴 付 け る 固 有 の 傾
向 性 や 顕 著 な 差 異 は 存 在 し な い 。
既 に 述 べ た 通 り 、 ア イ ス ラ ン ド 語 で は 平 叙 文 と 疑 問 文 の 差 異 は 語 順 に よ っ て 明 示 さ れ る た め 、 文 末 音 調
の 点 で 両 者 の 間 に 顕 著 な 差 異 が 存 在 し な く と も 言 語 運 用 の 面 で は 支 障 を き た す こ と は な い と 考 え ら れ る 。
な お 、 英 語 で は 、 例 え ば ( 渡 辺 ) の よ う に 、 平 叙 文 と 同 じ 語
順 の 疑 問 文 も 現 実 の 自 然 な 会 話 で は 使 用 さ れ う る 。 同 じ く ア イ ス ラ ン ド 語 で も 、 お そ ら く 平 叙 文 と 同 様
の 語 順 で 疑 問 文 と し て 使 用 可 能 な 文 は あ り う る と 考 え ら れ る 。 疑 問 文 と い う 文 形 式 と イ ン ト ネ ー シ ョ ン
の 型 と の 関 係 を 検 証 す る 上 で は 極 め て 有 力 な 資 料 に な り 得 る も の の 、 い か な る 条 件 の も と で 可 能 で あ る
か 現 時 点 で は 不 明 で あ る 点 に 加 え 、 イ ン フ ォ ー マ ン ト か ら は 不 適 格 と 判 定 さ れ た た め 、 本 研 究 で の 調 査
項 目 か ら は 除 外 し た 。
結 語
ま と め
以 上 、 先 行 研 究 が こ れ ま で 着 目 し て こ な か っ た 疑 問 文 イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 諸 側 面 を 精 査 し 、 以 下 の 結
論 を 導 い た
ア イ ス ラ ン ド 語 に お い て 疑 問 文 は 、疑 問 詞 疑 問 文 で あ っ て も 疑 問 文 で あ っ て も 、ま た 文 と
し て 完 全 な 構 造 を 有 す る か 否 か を 問 わ ず 、 文 末 に は 一 貫 し て 下 降 調 が 現 れ る 。【 】
平 叙 文 と 疑 問 文( 疑 問 詞 の 有 無 を 問 わ ず )の い ず れ に お い て も 核 音 調 は 文 の 最 後 の 内 容 語 に 現 れ
て お り 、 平 叙 文 と 疑 問 文 の 間 に 差 異 は 確 認 さ れ な い 。【 】
核 音 調 で あ る 下 降 調 の 開 始 点 や 下 げ 幅 に 関 し て 平 叙 文 と 疑 問 文 の そ れ ぞ れ を 特 徴 付 け る 固 有 の
傾 向 性 や 顕 著 な 差 異 は 存 在 し な い 。【 】
近 年 、 イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 理 論 的 研 究 は 目 覚 し い 発 展 を 遂 げ て い る も の の 、 そ の 一 方 で 、 記 述 研 究 の
進 ん だ 一 部 の 言 語 を 除 い て は イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 実 態 が 不 明 確 な 言 語 も 少 な く 無 い 。 こ の 点 で 本 研 究 の
成 果 は 、 世 界 の 諸 言 語 の イ ン ト ネ ー シ ョ ン の 実 態 を 明 ら か に す る 上 で 貴 重 な 資 料 を 提 供 す る と い う 意 味
で 、 極 め て 意 義 の 大 き い も の と 言 え よ う 。
ま た 、 教 育 的 な 観 点 か ら も 本 研 究 の 成 果 は 重 要 で あ る 。 参 照 文 法 も 含 め て ア イ ス ラ ン ド 語 の 教 科 書 は
数 あ る も の の 、 イ ン ト ネ ー シ ョ ン に つ い て 紙 数 を 割 い た も の は 皆 無 に 等 し い 。 従 っ て 本 研 究 の 成 果 は ア
イ ス ラ ン ド 語 の 発 音 指 導 に お い て 大 い に 資 す る も の で あ る と 言 え よ う 。