2. 津波襲来時の漁船避難を適正化するための シミュレーション・システムに具備すべき機能
津波襲来時の危険な状況下における沖合への漁船避難 を考えた場合,津波の到達前に安全な海域まで到達でき るか否かが問題となる.漁船が安全に避難できるか否か は,時間の経過とともに刻々と変化する漁船の航行位置 の津波波高および流速が,安全に航行できる条件を満た し続け,最終的に被害が及ばない安全な海域に到達する 必要がある.このため,避難するか否かは,地震発生時 の漁民の状況や避難の準備に要する時間,津波情報の取 得状況,襲来する津波の状況等,津波襲来時の漁船避難 に関わる様々な状況の時間的,空間的な関連性まで考慮 した上で,最終的な避難地点まで到達できるか否かを総 合的に判断する必要がある.これまでに,津波襲来時の 漁船避難を対象とした被害軽減のための研究には,漁民 の避難方法や避難海域の設定方法について検討した水産 庁漁港漁場整備部(2006)や大橋ら(2007)の研究があ るが,前述のように,進展する津波の状況,漁船避難の 状況や情報の取得状況等,津波襲来時の漁船避難に関わ る一連の状況を考慮した上で,総合的に漁船の避難行動 を評価しているものはない.
このような問題に対して,本研究で開発したシミュレ ーション・システムは,筆者らが既往研究(片田・桑沢,
2006)において開発したシミュレーション技術を活用す ることで,津波襲来時の漁船避難,情報伝達や津波の襲 来状況といった時間的,空間的に進展する一連の状況を 表現することが可能である.本システムを利用すること により,津波襲来時の漁船避難に関わる漁民の種々の対 応行動を表現し,刻々と進展する津波の状況を考慮した 上で,安全に避難できるかについて評価することが可能
津波襲来時の漁船避難を適正化するためのシミュレーション・
システムの開発
Development of Simulation System for Fishing-Boat Evacuation against Tsunami
片田敏孝
1・細井教平
2・村澤直樹
3Toshitaka KATADA, Kyohei HOSOI and Naoki MURASAWA
Simulation system for help of the fishing-boat evacuation assessment against tsunami was developed. This system combines tsunami simulation, tsunami warning simulation and fishing-boat evacuation simulation. Therefore this system is able to analyze temporal alteration and spatial relevance of each event. For this framework, developed system can help to size up the fishing-boat evacuation for safety against an impending tsunami. As for test case, we applied the system to Ochiishi fishery harbor. An actual fishing-boat evacuation survey for safety was carried out, and evaluated the fishing-boat evacuation. As a result, this system was confirmed to function effectively as help of the fishing-boat evacuation assessment.
1. はじめに
地震発生時において津波襲来の可能性が高い場合,多 くの漁民が生活の糧であり,重要な財産である漁船の被 害を避けるために沖合へ漁船を避難させている(田中ら
(2004),河田ら(1994),山本ら(1985)).津波襲来時 の沖合への漁船避難は,極めて大きな危険を伴うため,
その可否は,予報される津波の規模や襲来の時刻,また,
そのときの津波情報の取得状況や情報取得時の漁民の居 場所などの状況を総合的に考慮した上で,適切に判断さ れるべき問題である.しかし,実施されている避難行動 の多くは,津波や沖合への避難に対する十分な知識を持 たないまま,安全な海域まで到達できるか否かについて,
襲来する津波の状況や地震発生時の漁民の状況から適切 に判断できていないのが現状である.
本研究では,このような問題に対応するため,漁船避 難の適切な判断を支援するツールとして,また,危険な 漁船避難の防止への理解を図るツールとして,津波襲来 時の漁船避難における一連の状況を表現するシミュレー ション・システムを開発した.本システムでは,避難経 路や避難開始タイミングなど,漁船避難に関わる種々の パラメータを設定し,津波襲来時の避難の可否を検討す ることが可能である.また,北海道根室市落石港を対象 に実地調査を行い,漁船避難の適正化を目的とした取り 組みにおいて,本システムが有用に機能することを検証 した.
1 正会員 工博 群馬大学大学院工学研究科社会環境デザ イン工学専攻
2 正会員 修(工) 株式会社アイ・ディー・エー社会技術研 究所
3 学生会員 群馬大学大学院工学研究科社会環境デザ イン工学専攻
となる.さらに,本システムは漁民が自らの漁船避難行 動をシミュレーション上で表現し,その行動の帰結を把 握することができることから,危険な漁船避難の防止へ の理解を図るリスク・コミュニケーションツールとして も活用することが可能である.
3. 津波襲来時の漁船避難を適正化するためのシ ミュレーション・システムの構築
本研究で開発する漁船避難を対象としたシミュレーシ ョン・システムは,筆者らが既往研究において開発した 津波災害を対象としたシナリオ・シミュレータをベース に,漁船避難を対象とする上で機能の追加や基本システ ムの改良を行ったものである.本章では,本研究で構築 したシミュレーション・システムの内容についてまと める.
(1)災害総合シナリオ・シミュレータの基本構成 本システムのベースである災害総合シナリオ・シミュ レータは,テレビや防災行政無線などの情報伝達メディ アの機能や,そのもとで,住民が情報を取得する過程を 表現する情報伝達シミュレーションモデル,住民の避難 の意志決定やそれに続く避難行動などの一連の対応行動 を表現する避難行動シミュレーションモデル,そして,
津波解析データを利用して津波の進展状況を表現する津 波シミュレーションモデルの三つの要素によって構成さ れている.シミュレータは,各シミュレーションモデル を時間的,空間的に同期をとることで統合しており,こ れによって津波襲来時の避難の可否を検討することが可 能である.
(2)リスク・コミュニケーションツールとしての機能 既往の研究で開発してきたシミュレーションは,概し て,地域全体を総合的に表現することで地域全体での犠 牲者ゼロを目指す防災教育ツールや危機管理ツールとい う活用の側面が大きかった.しかし,津波襲来時の状況 の下で沖合への危険な避難行動を伴う漁船避難における 犠牲者の発生抑止や漁船被害の軽減へとつなげるために は,実際に行動する漁民の避難行動をそのままに表現し た上で,その避難行動が適切であるのかを評価する必要 がある.このため,本研究で開発するシミュレーション は,利用者が自らの漁船での避難行動をシミュレーショ ン上で表現することで仮想的に体験し,その行動の帰結 を評価することができるシステムとした.また,設定し たシナリオでの検討の結果,安全に避難ができなかった と判定された場合には,設定を変更し,無事に避難でき る条件を繰り返し検討することが可能な構成とした.
(3)漁民の漁船避難の表現
津波襲来時の漁船の避難行動を表現するにあたり,避 難行動をその場面毎に次の五つに分類した.陸上から沖
合へ避難する場合,まず,地震発生時に漁民がいた地点 から自船を係留している地点までの移動,次に,係留を 解く等の出港準備,自船を操縦し港口に向け港内を移動,
港口から避難海域までの移動,最後に,避難海域に到達 し津波情報が解除されるまでの海上での滞在となる(図- 1参照).この漁船避難に関わる一連の状況をシミュレー ション上で表現し,津波情報の伝達状況や襲来する津波 の流速や波高などの状況から避難の成否を判定する.
(4)沖合への安全な漁船避難に求められる条件 津波襲来時に安全に避難するためには,避難中の航路 および,避難先の海域における津波流速が船舶の操縦が 可能な限界流速以下であり,砕波が発生しない水深であ ることが必要である.そのため,沖合への安全な避難行 動に求められる条件は,避難途上および避難先において,
その条件をいずれも満たす必要がある.
a)漁船の操縦不能となる流速条件
水産庁漁港漁場整備部のガイドライン(2006)では,
津波の流速によって漁船等の船舶が操船不能となる限界 流速は,船舶の速度を10ktとした場合2kt程度以下であ るとされており,概ね船舶の有する航行可能速度の5分 の1以下を安全に避難するための流速としている.しか し,この条件は,船舶のトン数や種類によって異なるこ とから,本システムでは限界流速の条件を検討する船舶 毎に流速条件を変更できることとした.
b)砕波の発生条件
砕波が発生する水深について,ガイドラインでは式
(1)が示されている.
h−<2H ………(1)
ここで,h:水深(m),H:津波波高(m)である.
したがって,砕波の発生による危険から回避するために は,時間の経過とともに刻々と変化する波高と,避難航 行の過程および避難先の水深の関係が,砕波の発生しな い条件を満たし続ける必要がある.本研究では,ガイド ラインを参考とし,砕波の発生条件には式(1)を採用 した.
図-1 陸上滞在時における漁船避難
(5)利用者の避難行動の設定
漁船の避難行動を表現するためには,地震発生時の漁 民の位置や避難開始のタイミング,漁船の位置や航行速 度,出港準備時間や航行経路など,漁民が想定している 避難行動に関する種々のパラメータが必要である.これ らのパラメータは,システムのユーザインターフェース 上で利用者である漁民が容易に設定できる構成とした.
設定するパラメータとその構成を図-2に示す.なお,利 用者の状況により海上から陸上へ避難する場合や,海上 を航行中に沖合へ避難する場合も考えられるため,その ような避難行動についても表現することが可能である.
図-3は,設定が完了すると実行されるシミュレーション の結果表示画面を示したものである.結果表示画面には,
時間とともに進展する津波の状況や,漁船避難の状況が アニメーションで表示され,情報取得等のイベント発生 時にはその内容が画面上に表示される.図-4は,アニメ ーションの一部を抜き出したものであり,自宅から自船 まで移動する様子,出港し避難海域へ避難する様子,津 波が押し寄せる様子や津波により操縦不能となる様子 等,漁船避難に関わる一連の状況をシミュレーション上 で表現でき,利用者は設定した自らの避難行動が適切で あるのかを評価することが可能である.
a)シミュレーション開始位置の設定
利用者は,まず,避難行動の種類を選択する.選択で きる避難行動は,陸上から自船で沖合へ避難する場合,
海上を航行中に沖合へ避難する場合,海上を航行中に陸 上へ避難する場合の三つである.
b)自宅位置等の設定
陸上からの避難を選択した場合,自宅位置を設定する.
c)移動手段の設定
陸上から避難する場合には自宅位置等から自船位置ま で移動する必要がある.よって,ここではシミュレーシ ョン開始位置から,自船位置までの移動手段を設定する.
選択できる手段は,徒歩または自動車である.なお,利 用者の歩行速度および自動車の速度は任意に設定するこ とが可能である.
d)船舶位置の設定
陸上から避難する場合には,自船の係留地点を,海上 にいる場合には,航行位置を設定する.
e)避難海域・避難場所の設定
沖合へ避難する場合には,沖合の海域を設定し,陸上 の避難場所へ避難する場合には,避難場所の位置を設定 する.これにより,設定した避難開始位置から,避難先 の設定位置までの最短距離の経路が表示される.
f)出発準備時間の設定
陸上から沖合へ避難する場合,自船に乗り込んでから 操縦を開始するには,係留を解く等の出発準備が必要と なる.出発準備時間は,経験や船舶の種類に異なるため に,利用者が任意に設定する.
g)港内・港外航行速度の設定
海上を航行する速度は,利用者の所有する船舶のトン 数や種類により異なる.また,港内と港外で異なるため,
図-2 避難行動の設定構成
図-3 シミュレーションの結果表示画面の構成
図-4 アニメーション例
利用者が自らの船の港内と港外の航行速度を設定する.
h)操縦不能流速条件の設定
漁船の操縦不能の流速条件は,航行可能速度により異 なり,漁民は自らの漁船の性能と流速の関係を経験から 体得していると考えられる.このため,利用者が自らの 船の港内と港外の操縦不能の流速条件を設定する.
i)避難開始基準の設定
設定した避難の開始地点から避難を開始するきっかけ を設定する.ここでは,地震発生した時点を基準に避難 を開始するのか,情報取得した時点を基準に避難行動を 開始するのかのどちらかを選択する.
j)避難開始タイミングの設定
設定した避難開始の基準の時点からどれくらいの時間 で避難の準備が完了し,避難行動に移れるのかをパラメ ータである避難開始のタイミングを設定する.
4. 漁船避難の実態調査と避難行動の評価
開発したシステムは,漁船避難の可否の検討および漁 船避難の適切な対応に関するリスク・コミュニケーショ ンツールとしての活用できる.本章では,漁船避難の可 否の検討の活用事例として漁船避難の実態調査を反映 し,現状の避難行動について評価した.
(1)実態調査の実施
2008年6月9日に北海道根室市落石漁協所属の漁民を
対象に,漁船避難の実態調査を実施し,出港準備や避難 海域までの所要時間,漁船の避難経路や航行速度など,
シミュレーションに必要なパラメータの諸元値を把握し た.実態調査の概要を表-1に示す.実態調査は落石漁協 の落石漁港,浜松漁港,昆布盛漁港の3港を対象として 実施し,船舶は漁種やトン数の異なる24隻が参加した.
調査では,震度6強の地震が発生し,津波の高さが4mの
津波警報が発表された状況を想定し,地震発生の時刻か ら自宅から港までの移動時間の経過後,出港の準備を開 始し,自船を操縦して避難海域まで避難するものとした.
本調査で設定した避難先は,ガイドラインを参考に砕波 条件,流速条件から勘案し,どの船においても安全に航 行できる水深50m以深とした.なお,調査の全対象者に GPSユニットを配布し,避難開始から避難海域までの時 刻と位置座標を記録することで避難の状況を把握した.
本調査より得られた避難経路を図-5に,避難の各段階で 日時
対象
参加船舶数
想定 避難海域 避難開始時刻
調査項目
2008年6月9日
根室市落石漁業共同組合の3港
(落石港,浜松港,昆布盛港)
24隻
(落石港13隻,浜松港3隻,昆布盛港8隻)
震度6強の地震発生
津波の高さ4mの津波警報が発表 水深50m以深
自宅での準備時間と,自宅から漁港までの移動 時間を考慮し設定
避難経路 避難速度
避難海域までの所要時間 出港準備時間など
表-1 漁船避難の実態調査の概要
図-5 漁船避難の実態調査における避難経路
※括弧内:平均値 避難開始
タイミング(分)
出港準備時間(分)
出港から港口までの所要時間
(分)
港口から50m水深海域までの 所要時間(分)
出港から避難完了までの所要 時間(分)
地震発生から避難完了までの 時間(分)
出港から港口までの距離(m)
港口から水深50mまでの距離
(m)
港内の移動速度(kt)
港外の移動速度(kt)
最大 19.0
7.8
4.0
21.7
27.0
43.3
1,138
9,779
14.0
22.8 最小
4.0
0.5
2.3
13.5
18.8
23.8
810
8,761
8.2
13.5 落石港
(8.23)
(2.8)
(3.1)
(17.0)
(22.9)
(31.1)
(1,001)
(9,338)
(10.9)
(18.1)
最大 5.0
2.3
2.0
16.3
20.3
24.8
620
9,677
10.3
20.5 最小
4.0
2.0
1.8
15.3
19.0
24.0
495
9,624
9.2
19.2 浜松港
(4.67)
(2.1)
(1.9)
(15.8)
(19.8)
(24.5)
(565)
(9,647)
(9.8)
(19.8)
最大 5.0
3.0
2.8
21.3
25.3
30.3
492
10,216
11.2
21.3 最小
4.0
1.5
1.0
15.5
19.0
24.0
345
9,737
5.0
14.8 昆布盛港
(4.75)
(2.0)
(1.5 )
(18.4)
(21.9)
(26.7)
(401)
(10,038)
(9.0)
(17.8)
表-2 実態調査結果概要
の所要時間や移動速度等の結果を表-2に示す.避難経路 は,港毎に大きな違いは見られず,出港から50m水深ま での避難距離は,どの港においても約10kmであった.
出港から水深50mまでの避難の所要時間をみると,浜松 港が最も早く19.8分,落石港が最も遅く22.9分となり,
出港から港口までの距離の違いにより,所要時間に差が 生じたと考えられる.
(2)漁船避難の実態評価
前節で実施した避難の実態調査における避難経路や出 港準備時間,航行速度などをシミュレーションのパラメ ータとして設定し,実施した避難行動を評価する.津波 が襲来し,実態調査と同様の避難行動をとった場合,津 波の到達する前に避難海域へ到達できたか否かを検討す る.分析の対象は,実態調査に参加した24隻の船舶のう ち操舵器に故障のあった1隻を除く23隻とした.なお,
検討には,中央防災会議が想定する500年間隔地震津波
(津波高6m以上),根室沖・釧路沖地震津波(津波高3〜
4m),根室半島沖地震(M7.4)津波(津波高1〜2m)の 規模の異なる三つの津波シナリオを想定した.ここで,
漁船の操縦不能の判定は,3章4節の流速条件および砕波 条件とし,操縦不能な流速条件は港内,港外ともに津波
流速2kt以上と設定した.
シミュレーションにより判定した漁船避難の可否の結 果を表-3に示す. まず,500年間隔地震津波(津波高6m 以上)を想定した場合では,検討した23隻全ての漁船が,
水深50m以深まで到達する前に操縦不能となった.次に,
根室沖・釧路沖地震津波(津波高3〜4m)を想定した場 合と,根室半島沖地震津波(津波高1〜2m)を想定した 場合はどちらも,20隻が避難海域への避難が完了し,3 隻が避難途中で操縦不能という推定結果となった.ここ で避難海域に到達できなかった3隻は,港から自宅まで の移動に19分程度の時間を要することから,他の船舶に 比べ出港の時間が遅れ,津波の到達前に安全な海域まで 到達できなかったと考えられる.また,今回の避難行動 の評価には,避難を開始するきっかけや避難を開始する までの準備時間は考慮していないが,これらを考慮し分 析することで,避難開始の遅延が生じた場合の評価につ いても検討が可能である.
筆者らは漁民主体で津波に対する正しい知識の促進と 危険な状況下における漁船避難を回避するための避難ル ールと情報伝達方法の構築を目的とした取り組みを実施 している.この取り組みにおいて,この実態調査に基づ く避難行動の再現や,避難のタイミングによる判定の違 いなど,様々な想定時の避難行動を評価することで,漁 船避難の可否の検討や,状況に応じた対応の検討などに 活用している.
5. おわりに
本研究では,漁船の避難行動の適正化を目的とした漁 船避難シミュレーション・システムを開発した.本シス テムは,津波災害時の地震発生から津波遡上までの一連 の津波現象や津波発生時における情報伝達などの社会的 対応行動,漁船避難の一連の状況を表現することが可能 であり,津波発生時の漁船避難の判断や行動の適正化を 目的としたリスク・コミュニケーションツールとして利 用することができる. また,対象地域において,漁船避 難の実態調査を実施し,調査により得られた諸元値をも とにシミュレーションを実施することで,現状の避難行 動での避難の可否を評価した.今後は,筆者らが実施し ている取り組みにおいて,リスク・コミュニケーション ツールとしての効果を定量的に検証していく必要がある と考える.
謝辞:本研究は,科学研究費補助金・基盤研究(A)【課 題名:災害に強い地域社会の形成技術に関する総合的研 究,課題番号:19206055,研究代表:片田敏孝】の助成 を頂いた.また,実施にあたっては,落石漁業協同組合,
社団法人寒地港湾技術研究センターに多大なる協力をい ただいた.ここに記して深謝する.
参 考 文 献
田中亮平・河田惠昭・井上雅夫・原田賢治・高橋智幸(2004)
:2003年十勝沖地震時における漁民の避難行動に関する 実態調査,海岸工学論文集,第51巻,pp. 1301-1305.
河田惠昭・長谷川茂樹(1994):地震津波警報の伝達と避難 マニュアルについて,海岸工学論文集,第4 1巻,p p . 1186-1190.
山本正昭・中山哲嚴・坂井 淳・三橋宏次(1985):日本海 中部地震津波による漁港内の漁船被害,第32回海岸工学 講演会論文集,pp. 460-464.
水産庁漁港漁場整備部(2006):災害に強い漁業地域づくり ガイドライン,pp. 66-70.
大橋太郎・越村俊一・今村文彦(2007):津波来襲時の海上 ハザードマップ作成要件の検討,海岸工学論文集,第54 巻,pp. 1351-1355.
片田敏孝・桑沢敬行(2006):津波に関わる危機管理と防災 教育のための津波災害総合シナリオ・シミュレータの開 発,土木学会論文集D,Vol. 62,No. 3,pp. 250-261
※ 操縦不能の流速条件:港内・港外ともに2kt 以上 津波シナリオ
500年間隔地震津波(津波高6m以上)
根室沖・釧路沖地震津波(津波高3〜4m)
根室半島沖地震(M7.4)
津波(津波高1〜2m)
水深50mまで 避難完了
0 隻 20 隻 20 隻
避難途中で 操縦不能 23 隻
3 隻 3 隻 表-3 シミュレーション結果