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学位論文題名Radiation effect of carbon ions and gamma ray on UDK/IA based dental resin

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) セ ジ ュ テ イ ハ ク

     学位論文題名

Radiation effect of carbon ions and gamma ray     on UDK/IA based dental resin

(歯 科用UDMA レンジに及ぼす炭素イオンおよびガンマー線照射効果)

学位 論文内容の要旨

   [研究目的]

   歯科用レジンは金属に比べ、審美性には優れているものの、機械的・物理的性質では劣 り、応用範囲は限られているため、それらの性質の向上が求められている。   また金属製 補綴物、インプラント等はエックス線CT などの検査に際しては、アーテイファクトの原 因となり頭頚部領域の診断の障害となっている。   ここでは、歯科用レジンの強化方法と して、放射線照射に注目して研究を行った。

   本研究の目的は、歯科用UDMA レジンに放射線照射を行い、それにより生じるレジン の機械的・物理的性質の向上程度を測定し、そのメカニズムを各種のスペクトロスコピィ ーにより解析して明らかにすることである。

   [材料と方法]

   レジンは光重合Urethane ― dimethacrylate(UDMA) レジン(サンメディカル)からフ ィラ ー を 除 い た も の を 使 用 し た。    ガ ラ ス 製 モ ー ル ド (25mmX25mmX50mm) にレ ジ ンのモノマーを注入し、専用の可視光照射器(GC )、にて十分な照射を行った後に紫外 線照射器(東邦産業)にて30 分の追加照射を行った。光照射により作製されたレジンブ ロックから、各種試験片を非加熱的に切断し研磨を行った。

   放射線照射は、290MeV のシンクロトロンで加速した 1 ℃イオン(放射線医学研究所)

と 6 ℃ o の ァ 線 ( 北 海 道 大 学 ) で 行 っ た 。    照 射 線 量 は 640Gy と し た 。    機械的・物理的性質の測定は、ヴィッカースおよびHU 硬さ、曲げ強さ、耐摩耗性、熱 膨張係数、接触濡れ角について行った。   さらに、FT‑IR ,ラーマンスペクトル、l ℃−

NMR 、 螢 光 ス ペ ク ト ル を 用 い て 分 子 レ ベ ル で の 変 化 測 定 を 行 っ た 。    [結果および考察]

  12C イオン照射により、ヴィツカース硬さは約40 %上昇し、曲げ強さは約20 %上昇し、

耐摩耗性は約30 %上昇した。   ア線照射によルヴィツカース硬さは約20 %上昇したが、

曲 げ 強 さ と 耐 摩 耗 性 の 変 化 は コ ン ト 口 ー ル に 比 べ 誤 差 範 囲 内 で あ っ た 。    熱膨張係数については12C イオン照射もァ線照射も変化はみられなかった。   また、接 触角は12C イオン照射により46 ゜から41 °へと5 度減少し、濡れ性の向上がみられた。

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(2)

  以 上 よ り 、放 射 線 照射 に よ り歯 科 用UDMAレ ジ ン の機 械 的・ 物 理 的性 質 の向 上 が 得ら れ 、1 Cイオン の効果は ァ線の2倍 程度である ことが示 唆された 。  実際、 生物学的 効果 比 も同様の 値が報告 されてい る。  この 効果の違 いは、散乱 断面積の相違によると考えら れた。

  FrI、 ―IRのスペ クトル解 析から、UDMA分子の重合前後で変化しないC;O基(1717cm,1)   お よびN―H基(3373cm― ̄)に対する重合で減少する炭素二重結合C=C基(1634cm・1冫の放 射 線 照 射 に よ る 減 少 率 : 相 対 転 換 率(DC)は 、1 Cイ オ ン 照 射 に よ りDC1717:37%、

DC3373:38%であり、ア線照射ではDC171,:11%、DCヨ373:6.7%であり、1 Cイオン照射で よ り大きく 増加して いた。  こ れから、 残留モノ マーとポリ マーの両端の炭素二重結合の 減 少が確認 され、放 射線照射 により同 部位での 反応が促進 されたこ とが明らかになった。

  ラ ーマンス ベクトル 解析から 、バック グラウン ドがコント 口ール・ア線照射群と比較し て 、12Cイオン照 射群で著 明に低下 していた。  この現象 は、ポリ マー間の 架橋形成 を示 唆 し て おり 、FT−IRの 結 果 と合 わ せ ると、放射 線照射に よルポリ マーと残 留モノマ ーと の反応と同時にポルマー間の架橋形成が生じていると考えられる。

  NMRの ス ペ ク ト ル 解 析 か ら 、CH。 を 示 す18ppmの ピ ー ク は ァ 線 照 射 群 ・ コン ト ロ ー ル ・ レ ジンモ ノマーで は同程度 であったが 、12Cイオン 照射群で は消失し ていた。  この 結果はFT‑IRの結果である炭素二重結合の反応と矛盾しない。

  螢 光 ス ペ ク ト ル 解 析 で は 、12Cイ オ ン 照 射群 ・ ア線 照 射 群と も コ ント 口 ール に 比 ベ 500nmか ら650nmで 強 い信 号 が 観察 さ れた 。  こ れ は 光増 感 剤と し て モノ マ ーに 添 加 さ れたカンファーキノンの影響と考えられる。

  [ ま と め]

  12Cイ オ ン照 射 によ り 、 歯科 用UDMAレジ ン の 構造 敏 感な 特 性であ る硬さ・ 曲げ強さ ・ 耐 摩耗 性 の機 械 的 性質 が 向 上し た。  ア線 照射では 、その効 果は約半 分程度で あった。

  FT‑IR・ ラ ーマ ン .NMRの ス ベク ト ル 解析 か ら 、放 射 線照 射 に より 残 留モ ノ マ ーの 重 合 促進 と ポリ マ 一 間の 架 橋 形成 が 示唆 さ れ た。 特 にFT‑IRのピ ーク解析 から得ら れた炭 素 二重結合 の単結合 への転換率(DC)から、12Cイ オンとァ 線による 機械的特 性の改善 率を 半 定量 的 に説 明 す るこ と が でき た。放射 線照射効 果を明ら かにし、 歯科用レ ジンの強化 法 の ー っ と し て 臨 床 応 用 を 検 討 す る 上 で 有 用 な 知 見 を 得 る こ と が で き た 。

(3)

学位論 文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

亘 理 文 夫 中 村 太 保 佐 野 英 彦 滝 波 修 一

     学 位 論 文 題 名

Radiation effeCtofCarbonionSandgammaray     OnUDMAbaSeddentalreSln

(歯 科用UDMA レンジに及ぼす炭素イオンおよびガンマー線照射効果)

   ま ず 、 本 人 か ら 研 究 の 要 旨 に っ き 以 下 の よ う に 説 明 が な さ れ た 。

[研究目的]

   歯科用レジンは金属に比ベ、審美性には優れているものの、機械的・物理的性質では劣 り、応用範囲は限られているため、それらの性質の向上が求められている。また金属製補 綴物、インプラント等はエックス線CT などの検査に際しては、アーティファクトの原因 となり頭頚部領域の診断の障害となっている。ここでは、歯科用レジンの強化方法とし て、放射線照射に注目して研究を行った。

   本研究の目的は、歯科用UDMA レジンに放射線照射を行い、それにより生じるレジン の機械的・物理的性質の向上度を測定し、そのメカニズムを各種のスペクト口スコピィー により解析して明らかにすることである。

   [材料と方法]

   レジンは光重合の UDMA レジンからフィラーを除いたものを使用した。ガラス製モー ルドにレジンのモノマーを注入し、専用の可視光照射器にて十分な照射を行った後に紫外 線照射器にて30 分の追加照射を行った。光照射により作製されたレジンブ口ックから、

各種試験片を非加熱的に切断し研磨を行った。

   放射線照射は、照射線量を640Gy .とし、290MeV のシンクロトロンで加速した1 ℃イオ ンと6 ℃o のァ線で行った。

   機械的・物理的性質の測定は、ヴィツカースおよびHU 硬さ、曲げ強さ、耐摩耗性、熱 膨張係数、接触濡れ角について行った。さらに、FT‑IR ,ラーマンスペクトル、 ̄℃―

NMR 、 螢 光 ス ペ ク ト ル を 用 い て 分 子 レ ベ ル で の 変 化 測 定 を 行 っ た 。    [結果および考察]

  12C イオン照射により、ヴィツカース硬さは約40 %上昇し、曲げ強さは約20 %上昇し、

耐摩耗性は約30 %上昇した。ア線照射によルヴィツカース硬さは約20 %上昇したが、曲

(4)

げ 強 さ と 耐 摩 耗 性 の 変 化 は コ ン ト ロ ー ル に 比 べ 誤 差 範 囲 内 で あ っ た 。   熱 膨張 係数につ いては12Cイ オン照射も ァ線照射 も変化は みられな かった。 また、接 触 角 は12Cイ オ ン 照 射 に よ り46゜ か ら41° へ と5度 減 少 し 、 濡 れ 性 の 向上 が み られ た 。   以 上 よ り、 放 射 線照 射 に より 歯 科用UDMAレ ジ ンの 機 械的 ・ 物 理的 性 質の 向 上 が得 ら れ、12Cイ オン の 効果 は ァ 線の2倍 程度で あること が示唆さ れた。こ の効果の 違いは、 散 乱断面積の相違によると考えられた。

  FT‑IRの スペ ク トル 解 析 から 、UDMA分子 の 重 合前 後 で変 化 し ないC=O基(1717cm.l) お よ びN−H基(3373cm")の そ れ ぞ れ に 対 す る 重 合 で 減 少 す る 炭 素 二 重 結 合C=C基 (1634cm・l) の 放 射 線 照 射 に よ る 減 少 率 :相 対 転換 率(DC)は 、12Cイ オン 照 射 によ り DC171ア:37%、DCヨ373:38%であり、ア線照射ではDC1717:11%、DC3373:6.7%であり、12 Cイ オン 照射でよ り大きく 増加してい た。これ から、残 留モノマ ーとポリ マーの両 端の炭 素二重結 合の減少 が確認さ れ、放射 線照射によ り同部位 での付加 重合反応が促進されたこ とが明らかになった。

  ラーマン スペクト ル解析か ら、バッ クグラウン ドがコン トロール・ア線照射群と比較し て、12Cイ オン照射 群で著明 に低下して いた。こ の現象は 、ポリマ ー間の架 橋形成を 示唆 して お り 、FT―IRの 結果 と 合 わせ ると、 放射線照 射によル ポリマー と残留モ ノマーと の 反応と同時にポリマー間の架橋形成が生じていると考えられる。

  NMRの ス ベ ク ト ル 解 析 か ら 、CHヨ を 示 す18ppmの ピ ー ク は ァ 線 照 射 群 ・コ ン ト 口ー ル・ レ ジンモノ マーでは 同程度であ ったが、12Cイオン照 射群では 消失して いた。こ の結 果はFrI丶‑IRの結果である炭素二重結合の反応と矛盾しない。

  螢 光 ス ペ ク ト ル 解 析 で は 、12Cイ オ ン 照射 群 ・ア 線 照 射群 と も コン ト ロー ル に 比ベ 500nmか ら650nmで 強い 信 号 が観 察 され た 。 これ は 光増 感 剤 とし て モ ノマ ー に添 加 さ れ たカンファーキノンの影響と考えられる。

  [まとめ]

  12Cイ オン 照 射に よ り 、歯 科 用UDMAレ ジ ン の構 造 敏 感な 特 性で ある硬 さ・曲げ 強さ・

耐 摩 耗 性 の 機械 的 性 質が 向 上し た 。 ア線 照 射 では 、 その 効 果 は約 半 分程 度 で あっ た 。   FT一IR・ ラー マ ン・NMRの スペ ク トル 解 析 から 、 放 射線 照 射に より残 留モノマ ーの重 合促進と ポルマー 間の架橋 形成が示 唆された。 特にFT−IRの ピーク解析から得られた炭素 二重 結 合の単結 合への転 換率(DC)から、12Cイオンと ァ線によ る機械的 特性の改 善率を半 定量的に 説明する ことがで きた。放 射線照射効 果を明ら かにし、 歯科用レジンの強化法の ー っ と し て 臨 床 応 用 を 検 討 す る 上 で 有 用 な 知 見 を 得 る こ と が で き た 。 各審 査 委 員が 行 った 主 な 質問 は 、以 下 の 通り で あ る。

1) DC(relative degree of conversion)につ い て 、論 理 と方 法 の 説明 を 求 めた 。 2) そ のDCに つ い て 、 モ ノ マ ー と ポ リ マ ー で は ど れ 程 差 が あ っ た か ? 3) 放射 線 照 射後 の 重合 促 進 の原 因 は何 か2

4) 放 射 線 照 射 に よ る 重 合 促 進 に よ っ て 収 縮 や 変 形 が あ る か ? 5) 他の光重 合レジン 、例えばBis−GMAレジンの 場合は放 射線照射 によって どのよう な   変 化 が期 待 され る か ?

6) 摩耗 試 験 の方 法 と負 荷 を100gとし た 理由 は ?

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7 )放 射線 照射 線量 を減少 させると、機械的強度はどのように変化するか?

8 )口腔ガンの放射線治療で照射される線量ではどのような変化が予想されるか?

9 )炭素イオン照射を水中で行った理由は?

10) 人体に640Gy の照射をすると、どうなるか?

   これらの質問に対して、論文申請者から明確な回答ならびに説明がなされ、さらに今後 の研究についても明確な方向性をもっていると判定した。

   審査委員は全員、本研究が学位論文として十分値し、申請者が博士(歯学)の学位を授

与される資格を有するものと認めた。

参照

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