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チタン微粒子に対する 励

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Academic year: 2021

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博 士 ( 歯 学 ) 熊 澤 龍 一 郎

学 位 論 文 題 名

チタン微粒子に対する

励 VZ 〇および励vitro 生体反応とサイズ依存性 学位論文内容の要旨

  (緒言)

  今 日 の 臨 床 に お い て 、 金 属 や そ の 化 合 物 は 、 機 械 的 強 度 や 延 性 の 点か ら 、骨 や歯 牙の 補 填 材 と し て 不 可 欠 な 材料 であ る。 生体 内 で使 用さ れる 際 には 、さ らに 化学 的 安定 性や 生体 親 和 性が 必要 と され る。 チタ ン(Ti)は、 その 表面 に安 定 した 不動態酸化皮膜 を作る物性から、顎 口 腔 領 域 に お い て 使 用さ れる 金属 のな か でも 耐食 性に 優 れた 生体 親和 性に 富 む材 料と され 、 主 に デ ン タ ル イ ン プ ラ ン ト や 骨 接 合 用 の ミ ニ プ レ ー ト と し て 用 い ら れ て い る 。   し か しTiは 耐 磨 耗 性 に 劣 る た め 、 動 的 負 荷 の 条 件 下 で は 微 細 磨 耗 粉の 発 現と その 影響 が 懸 念さ れる 。Tiイ ンプ ラン トを 用 いたin vivo実験 にお いて 、 埋入 周囲 の軟 組織 中 にTiの存在 を 報 告 し た 論 文 は 多 数あ り、 我々 も臨 床 材料 を検 索し た 結果Tiイ ンプ ラン ト 埋入 部周 囲軟 組 織に多数のTi微粒子が存在することを 確認している。

  (目的)

  本 研 究 で は 、Ti微 細 粉 末 の 生 体 に 及 ば す 影 響 、 特 に そ の サ イ ズ 依 存性 を 、所vivo及びin vitroの実 験により明らかにし、さらに チタンをイオンと微粒子の両者で比較検討することにより、

生 体 に お け る 作 用 機 序 の 面 か ら 材 料 の 生 体 親 和 性 を 評 価 す る こ と を 目 的 と し た 。   (材料・ 方法)

  1動物内 移植実験

  はじ めに チ タン の為 害性 にサ イ ズ依 存性 があ るか を 調べ るため、ラット 皮下へのチタン粒子 埋入実験を 行った。

  Ti棒 及び 微 細粉 末(1〜3、10、40、150m)を ラッ ト 上皮 下ヘ埋入し、12、4、8、15、30 後 にTi粒子 を 含む 周囲 軟組 織を し た。 通法 に従 って 組 織標 本を 作製 し 、H‑E染色 を 行った後、

病理組織学 的に検索した。

  2ヒト好 中球に対するTi粒子のサイズ 効果

次 にチ タン 粒 子の 細胞 毒性 の作 用 機序 を検 討す るた め に、 細胞機能試験と して、健常ヒトより 採 血 ・ 分 離 し た ヒ ト 好中 球を 用い 、各 種Ti粉 末作 用時 の 好中 球の 細胞 生存 率 、活 性酸 素産 生

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(2)

能 、TNF‑a放 出 量 を 測 定 し 、 さ ら にSEM観 察 に よ る 形 態 学 的 影 響 を 調 べ た 。   (結果)

1動物内移植実験

  動物実験に おいて、炎症性細胞よりも大きなTi粒子(40150p m)では、各粒子ごとに線 維性結合組織 に被包され、比較的早期に炎症が鎮静化するのに対し、細胞と同程度あるい はより小さなTi粒子(1〜3、10ロm)では、多数の粒子が一塊として被包されていた。また、10 40mTi粒子では、炎症性細胞による貪食反応はあまり認められず、線維性結合組織と炎症 性細胞浸潤が各粒子間に観察された。一方、細胞より粒径の小さいTi(1〜3 p,m)では、粒子 は炎症性細胞により貪食された後に粒子群全体が線維性結合組織により被包されており、粒 子間に細胞成分はほとんど観察されなかった。

  なお、同時 に行ったラット腎臓と脾臓のX線分析やICP分析ではTiは検出されておらず、

Tiの体外への排出は起こらなかったと考えられる。

2ヒト好中球に対するTi粒子のサイズ効果

    好中球は 、自らよルサイズの小さなTi粒子(13pm)に対して貪食反応を示すことがSEM により明らか にされた。また、Ti粒子作用時にTNF‑a値の上昇、活性酸素産生量の増加が測 定 され た。TNF‑aの上 昇は13p mTi粒子のみ でみられた為、SEMで観察さ れた貪食と関 連があるものと考えられた。

    (考察)

  1動物内移植実験

    生体親和 性に優れた生体材料とされているTiにおいても形状によっては炎症反応を誘 発すること、その程度は粒子の大きさに影響を受けることを示している。生体内に異物が進入 した際生じる反応には、炎症性細胞による貪食、消化、線維性結合組織による被包化、体外 への排出があり、その反応は異物の大きさや性状、異物の存在部位によるものとされている。

これらの現象と結びっけて考察してみると、今回の実験で得られた結果は以下のように推論さ れる。すなわち、細胞成分より大きなTi粒子は線維性結合組織による被包化を受け、小さな 粒子は炎症性細胞による貪食される。ただし、貪食されたTi粒子は炎症性細胞内では処理さ れなぃため細胞が死ぬまで細胞内の一部に集積してとどまり、最終的には細胞の死により線 維性結合組織による被包化をうける。この際、1‑‑3mのような微小なTi粒子が小さぃ範囲に 集積するのは 、炎症性細胞の細胞質内に取り込まれた粒子が細胞内のごく狭い範囲に集積 するためと考えられる。

    2ヒト好中球に対するTi粒子のサイズ効果

    生体内にTiが埋入された際に最初に触れるのは体液や血液成分である。好中球は、そ のなかでも炎 症の一番初期に反応する特異性を持たない白血球で、生体内に進入した異物 に対して貪食作用や活性酸素の産生による殺菌作用を示すとともに、各種サイトカインを放出

(3)

して他の炎症性細胞や線維芽細胞などを励起する。従って、材料に対する生体反応の発現 プロセスを検討し、生体親和性を評価する上で、好中球は、極めて重要であり、本研究では、

好中 球の活性 酸素産 生能、貪食作用及びサイトカインTNF‑a放出に着目し、材料の影響を 検討した。

    TNF‑a値の上昇は好中球自身のアポトーシス促進や、それに伴うマクロファージによる好 中球の貪食を引き起こし、さらに線維芽細胞を誘導して被包化を生じさせ、最終的に炎症は 収束させる。1〜3 umの微粒子作用時にのみTNF‑Qの上昇が観察されたことは、粒径の小さ なTiは大きいものに比べて周囲組織により強く炎症反応を惹起する可能性のあることを示して いる。

    また、好中球により生成された活性酸素は、殺菌作用を有するとともに正常細胞の損傷を も引き起こす。それゆえTiにより引き起こされる活性酸素産生量の上昇は周囲組織に対し刺 激性、為害性を与える可能性がある。

(結語)

  生体親和性に及ばすTiのサイズ効果に関して、動物実験ならぴに好中球機能試験での評 価を行った。その結果、およそ100um付近を境としてTiに対する生体反応が変化し、それよ り大きな場合は生体親和性を示し、小さな場合には炎症反応を引き起こすことが明らかとなっ た。特にTi粒子が細胞よりも小さな10m以下のサイズでは、好中球などの炎症性細胞によ る貪食を受けること、生体内で被包化される際は各粒子ごとでなく、粒子が集積し、一塊として 被包化されること、さらに炎症性細胞からのTNF‑aの放出など、生体に対して為害性を示す 可能性を持つ反応も引き起こす可能性のあることが確認された。以上の加vivo及び所vitro の両者の結果から、イオンの作用とは異なる生体親和性に及ばすTi粒子のサイズ依存性が 示され、細胞よりも粒径の小さなTiではより強い炎症反応を引き起こす可能性のあることが示 唆された。

(4)

学位論文審査の要旨

     学 位 論 文 題 名 チタン微粒子に対する

励 vzvo および励 vitro 生体反応とサイズ依存性

  審査 は、審 査員 全員出席の下に、申請者に対して提出論文とそれに関連した学科目に つ い て 口 頭 試 問 に よ り 行 わ れ た . 審 査 論 文 の 概 要 は 、 以 下 の 通 り で あ る .   チタ ンは、 その 表面 に安 定し た不 動態 酸化 被膜 を作 るこ とか ら、顎 口腔 領域におい て 使用 される 金属 生体材料の中でも耐食性に優れた生体親和性の良い材料とされ、デン タ ルイ ンプラ ント や骨接合用プレートとして広く用いられている.しかし、チタンは耐 磨 耗性 に劣る ため 、動的負荷の条件下では微細磨耗粉の発現とその影響が懸念される.

こ れま でにチ タン の生体親和性に関する研究は数多く行われているが、いずれも比較的 大 きな サイズ のチ タンやチタンイオンに関するもので、微小サイズのチタンが生体に与 える影響を検討した研究はなく、またin vivoとin vitro実験を関連づけた研究も少ない.

本研究は、生体親和性に及ほすチタンのサイズ依存性を明らかにすることを目的として、

チタン粒子が生体に及ぽす影響をin vivo及ぴin vitroの両面から検討したものである・

  まず 、チタ ンの 為害 性に サイ ズ依 存性 があ るか を調 ぺる ため 、生後12週 齢のウィス 夕 冖 系 雄 ラ ッ ト 皮 下 に 、 粒 径1〜3、10、40、150ルm大の チタ ン細 粉末 各10mgな いし 1x5mm円 筒 形 の チ タ ン 棒 を埋 入し 、1、2、4、8、15、30週 後に 試料 を含 む周 囲組 織を 摘 出し た.通 法に 従っ て組 織標 本を 作製 し、H‑E染色を行った後、病理組織学的に検索 し た. 次に、 チタ ン粒子の細胞毒性の作用機序を検討するため、健常ヒトより採血・分 離 した ヒト好 中球 を用い、各サイズのチタン粉末作用時の好中球の活性酸素産生能なら ぴ にTNF‑a放 出 量 を 測 定 し 、SEMによ る 形 態 学 的 観 察 を行 った .対 照に は、 バナ ジウ ムならぴにニッケル溶液を用いた.

  チ タ ン 埋 入 実 験 の 結果 、チ タン 棒で は、 埋入2週目 です でに 周囲 組織 の炎 症反 応は 沈 静化 し、4週後 には 周囲 を線 維性 結合組 織で 被包されていた.炎症性細胞よりも大き な チタ ン粒子(40、150ルm)では 、チ タン 棒の 場合 に比 べて 、炎 症反応 の沈 静化や線維 性 結合 組織に よる 被包化にやや時間を要したものの、各粒子が線維性結合組織により被 包 化さ れてい た. 一方 、細 胞と 同程 度あ るい はより小さなチタン粒子(1〜3、10ルm)で

則 夫

靖 文

塚 理

戸 亘

授 授

教 教

査 査

主 副

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は、4週後においても埋入チタン粒子を中心に炎症性細胞浸潤が観察され、炎症反応は 30週以降も認められた.線維性結合組織による被包化は多数の粒子が集簇し一塊とし て被包化される傾向を示し、特に粒径の小さなチタン粒子(1〜3彫m)でその傾向が顕著 で、粒子間に細胞成分はほとんど観察されなかった.

    ヒト好中球に各サイズのチタン粉末を作用させた実験の結果では、活性酸素産生能 は1〜3 tLm大の チタン粒子 で有意に高 く、またTNF‑aの放出は1〜3/Lm大の チタン 粒子を作用させたときにのみ認められた.さらにSEMによる形態学的観察ならぴにエ ネルギー分 散型X線元素分析の結果、1〜3彫m大のチタン粒子を作用させたときに好 中 球 細 胞 内 顔 い し 表 面 に チ タ ン が 取 り 込 ま れ て い る こ と が 確 認 さ れ た .   チタン埋入動物実験ならぴに好中球機能試験の結果から、チタン粒子が生体に及ぽ す影響は以下のように結論された.およそ100彫mを境として、それより大きな粒子で は生体親和性を墨する巨視的サイズの特徴を有する.一フ廴それ以下の粒子では炎症反 応を惹起し、その程度は粒径が小さいものほど強く、特に1〜3ルm大のチタン粒子で 顕著に認められる.これは、粒径が炎症性細胞より小さなチタン粒子は好中球やマクロ ファージによる貪食を受け、その際、貪食細胞から放出されるTNF‑aや活性酸素顔ど が周囲組織に為害性に作用することによるものと考えられる.好中球による貪食の結果 として、1〜3 )tLm大のチタン粒子では被包化は粒子ごとではなく、粒子群全体が一塊 としてなされる.

  論文の審査にあたって、論文申請者による研究の要旨の説明後、本研究ならぴに関連 する研究について質問が行われた.主顔質問事項は、細胞機能性試験における好中球と マクロフアージの比較、組織の染色方法と炎症性評価、微粒子の粒度分布・形状の影響、

活性酸素放出と金属腐食の関連、放出と貪食作用の判定、毅どであり、広汎かつ詳細に 質疑応答がなされた.いずれの質問についても、論文申請者から明快な回答が得られ、

また将来の研究の方向性についても具体的に示された.本研究は、生体親和性に優れた 生体材料とされているチタンにおいてもその、形状によっては炎症反応を誘発すること、

その程度は粒子の大きさに依存し粒径が1〜3彫m大のチタン粒子で顕著に生じること、

さ らに炎症反 応の誘発にはチタン粒子が好中球による貪食を受けた際に放出される TNF‑ばや活性酸素が関与していることを明らかにした点が高く評価された.本研究の 業績は、口腔外科の分野はもとより、関連領域にも寄与するところ大であり、博士(歯 学)の学位授与に値するものと認められた.

参照

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