惑星物質科学
前期・⽊曜1限
瀬⼾雄介
ケイ酸塩鉱物の分類
•
ケイ酸塩鉱物 (silicate)は、太陽系で最もありふれた物
質であり、固体惑星を形成する主要な鉱物である。
•
⼤部分のケイ酸塩鉱物において、構造中の
Si
4+は4つの
O
2–に囲まれた四⾯体
を作っている。これをSiO
4四⾯体
という。
•
SiO
4四⾯体は、単独では電気的に陰性であり4–の電荷
をもつ。すなわち、[SiO
4]
4–という多原⼦陰イオンであ
る。
•
Al
3+はSi
4+と同程度のイオン半径を持っており、
[AlO
4]
5–イオンとして振る舞うことがある。AlとSiが共
に四⾯体配位するケイ酸塩においては、「(Al,Si)O
4四
⾯体」と表現する。
•
惑星の深部のような⾼い圧⼒(> ~ 20万気圧)では、6つ
のO
2-に囲まれた8⾯体を作り、[SiO
6]
8–となる。
ケイ酸塩鉱物の分類
•
SiO
4四⾯体は、頂点の酸素を隣のSiO4四⾯体
と共有して、結合(重合)することがある。
– 共有された酸素を架橋酸素 (bridging oxygen) といい、共有されない酸素を ⾮架橋酸素(non-bridging oxygen)という。 – 例えば、⼆つの四⾯体が頂点を共有した場合、 架橋酸素の電荷は⼆つのSi4+に割り振られ、全 体として[Si2O7]6–というイオンとなる。 – 架橋酸素の割合が⼤きいことを、重合度が⾼い という。 SiO44-重合度 低い ⾼い 架橋酸素 ⾮架橋酸素•
ネソ
・ケイ酸塩
(Nesosilicates) – カンラン⽯: (Mg,Fe)SiO4 – ザクロ⽯: Ca3(Fe,Al)2(SiO4)3 SiO4四⾯体 が頂点を共 有せず独⽴ に存在 SiO4四⾯体 が頂点を共 有してリン グを形成ケイ酸塩鉱物の種類
•
ソロ
・ケイ酸塩
(Sorosilicates) 緑簾(りょくれん)⽯ epidote:Ca2(Al,Fe)3O(SiO4)(Si2O7)(OH) ローソン⽯:
CaAl2(Si2O7)(OH)2·H2O
•
サイクロ
・ケイ酸塩
(Cyclosilicates) キンセイ⽯ cordierite: (Mg,Fe)2Al3(AlSi5O18) ベリル (エメラルド): Be3Al2(SiO3)6 SiO4四⾯体2 つが頂点を共 有してカップ ルを形成 [SiO4] 4-[Si2O7] 6-[SinO3n] 2n-6員環 3員環•
シングルチェイン・イノ
・ケイ酸塩
(Single chain inosilicates) 輝⽯: (Ca,Mg,Fe)SiO3 珪灰⽯: CaSiO3 SiO4四⾯体が⼆つ の頂点を共有して チェインを形成
ケイ酸塩鉱物の種類
•
ダブルチェイン・イノ・ケイ酸塩
(Double chain inosilicates)
カミングトン⾓閃⽯:
Fe2Mg5Si8O22(OH)2
トレモライト⾓閃⽯:
Ca2Mg5Si8O22(OH)2
普通⾓閃⽯ Hornblende
Ca2(Mg,Fe,Al)5(Al,Si)8O22(OH)2
SiO4四⾯体が六員環を
連ねて、ダブルチェイ ンを形成
[SinO3n]
6n-SiO4四⾯体が全ての頂 点を共有してネット ワークを形成 SiO4四⾯体が三 つの頂点を共有 してシートを形 成
ケイ酸塩鉱物の種類
•
フィロ・ケイ酸塩
(Phyllosilicates)
蛇紋⽯: Mg3Si2O5(OH)4 雲⺟(⽩雲⺟): KMg3(AlSi3O10)(F,OH)2•
テクト・ケイ酸塩
(Tectosilicates)
⻑⽯: (Ca,Na,K)(Al,Si)4O8 ⽯英: SiO2 [Si2nO5n] 2n-[AlxSiyO2x+2y]x-カンラン⽯
⻘: SiO4 四⾯体 緑: MgO6 ⼋⾯体 Mg, Fe SiO4四⾯体•
カンラン⽯は、⼀般式
M
2SiO
4で表され、
主 に
フ ォ ル ス テ ラ イ ト (forsterite,
Mg
2SiO
4)
と
フ ァ ヤ ラ イ ト (fayalite,
Fe
2SiO
4)
の端成分を持つ全率固溶体
• 結晶構造は、酸素がほぼ六⽅最密パッキ ングに配置し、4配位の席をSi4+が、6配 位の席をMg2+あるいはFe2+が占める。 c a bカンラン⽯
Olivine (forsterite) in contact metamorphosed olivine marble; Ottawa, Canada.
Forsterite
Mg2SiO4 FayaliteFe2SiO4 Fe2+ Mg2+ フォルステライト成分が30 mol%の時、”Fo30”のように表現する。
•
カンラン⽯は、多くの岩⽯の主要構成鉱物である。
マフィック(mafic, MgOとFeO成分に富み、SiO
2成分
に乏しい)な岩⽯に含まれる。
上部マントル
を構成するもっとも主要な鉱物である。
Mg
2
SiO
4
多形
Olivine (α) Liquid Bridgmanite + Periclase Ringwoodite (γ) Wadsleyite (β) Pressure (GPa) 0 5 10 15 20 25 Te mperature (℃) 500 1000 1500 2000•
カンラン⽯は、地下410kmの深さまでは安定だが、それ以
深では⾼圧相に相転移する。410 kmから660 kmに⾄る⼀
連の
地震波速度の不連続
はこの相転移が原因であると考えら
れている
地球の内部構造
深さ (km) (vol%)体積 温度(K) (GPa)圧⼒ 構成物質 海洋地殻 0 – 11 1.0 9000 - 0 - 0.6 ⽞武岩 ⼤陸地殻 0 – 25 花崗岩~閃緑岩 上部マン トル 25 –410 16.7 900 -1900 0.6 - 13 + ザクロ⽯ + 輝⽯カンラン⽯ 遷移層 410 –660 10.7 13 - 24 スピネル + ザクロ⽯ 下部マン トル 660 –2740 53.2 1900 – 2500 24 -127 ブリッジマナイト+ ペリクレース 最下部マ ントル (Dʼʼ) 2740 – 2890 2.2 2500 – 3000 127 -136 ポストペロブスカイト+ ペリクレース 外核 2890 – 5150 15.6 3000 – 5000 136 -329 液体鉄 内核 5150– 6370 0.7 5000 – 7000 329 -364 ⾦属鉄Mg
2
SiO
4
多形
Olivine Wadsleyite Ringwoodite Olivine (α) Liquid Bridgmanite + Periclase Ringwoodite (γ) Wadsleyite (β) Pressure (GPa) 0 5 10 15 20 25 Te mperature (℃) 500 1000 1500 2000 – ウォズレイアイト(wadsleyite)は、地下 410~530 kmで安定な構造である。歪 んだスピネル構造を持つ。 – リングウッダイト (ringwoodite)は、地 下525~660kmで安定な構造である。ス ピネルと同⼀の構造を持つ。 – カンラン⽯、ウォズレイアイト、リング ウッダイトをそれぞれα, β, γ相という こともある。 – 660km以深では、ブリッジマナイト (MgSiO3)とペリクレース (MgO)に分解 する。 410km 530km 660km輝⽯
Ca Mg,Fe c b a b a diopside c•
輝⽯は⼀般式
MSiO
3で表される固溶体で
ある。Mには様々な陽イオン(Mg, Fe,
Ca, Na, Li, Cr, Alなど)が占める。
–
SiO
4四⾯体が頂点を共有し1次元的に連
なって[Si
nO
3n]
2n–の単鎖を形成する。単
鎖は6配位の席を占めるMイオンによって
結び付けられている。
–
6配位の席(M席)は
結晶学的に2種類
存在
する。M1席は
⽐較的⼩さく正⼋⾯体
に近
い。M2席は、
⼤きくやや歪んだ⼋⾯体
で
ある。M1とM2は同⼀の割合で存在する。
サイズの⼤きな陽イオン(Ca, Naなど)は
M2席に⼊りやすい。
輝⽯
–
輝⽯構造は⽐較的柔軟であり、
様々な元素を固溶
する
グループ 鉱物名 単成分の化学組成 固溶体の化学組成 晶系 空間群 Ca-Mg-Fe 輝⽯ 直⽅輝⽯ エンスタタイト (ortho)enstatite MgSiO3 (Mg,Fe)SiO3 直⽅ Pbca 紫蘇輝⽯ hypersthene ※1 フェロシライト (ortho)ferrosilite FeSiO3 単斜エンスタタイト clinoenstatite MgSiO3 (Mg,Fe)SiO3 単斜 P21/c 単斜フェロシライト clinoferrosilite FeSiO3 ピジョン輝⽯ pigeonite ※1 (Mg,Fe,Ca)SiO 3※2単斜 P21/c※3 単斜輝⽯ ディオプサイド diopside CaMgSi2O6 Ca(Mg,Fe)Si2O6 単斜 C2/c ヘデンバージャイト hedenbergite CaFeSi2O6 普通輝⽯ augite ※1 (Mg,Fe,Ca)SiO 3 Na輝⽯ ヒスイ輝⽯ jadeite NaAlSi2O6 Na(Al,Fe)Si2O6 単斜 C2/c エジリン aegirine NaFe3+Si 2O6 コスモクロア kosmochlor NaCr3+Si 2O6 ※4 単斜 C2/c Li輝⽯ スポデュメン spodumene LiAlSi2O6 ※4 単斜 C2/cMn輝⽯ 加納⽯ kanoite MnMgSi2O6 (Mn,Mg)MnSi2O6 単斜 P21/c
輝⽯
(Mg2Si2O6) (Fe2Si2O6) (CaMgSi2O6) (CaFeSi2O6) Pigeonite Augite Enstatite Ferrosilite Hedenbergite Diopside Clinopyroxene Orthopyroxene En Di Hd Fs Hypersthene Wo Wollastonite (CaSiO3) No stable phase 普通輝⽯ ピジョン輝⽯ 紫蘇輝⽯ 単斜輝⽯ 直⽅輝⽯•
もっともありふれた輝⽯はCa-Mg-Fe輝⽯である。その化学組成は
MgSiO
3–FeSiO
3–CaSiO
3三成分系におけるCaSiO
3≦ 50 mol%
の領域(
輝⽯台形
, pyroxene quadrilateral)で表現される。
–
Ca-Mg-Fe輝⽯の化学組成は、三
成分の略号を使ってモル⽐で表す
(例えばEn
40Fs
10Wo
50)。
輝⽯
(Mg2Si2O6) (Fe2Si2O6) (CaMgSi2O6) (CaFeSi2O6) Pigeonite Augite Enstatite Ferrosilite Hedenbergite Diopside Opx En Di Hd Fs Hypersthene 普通輝⽯ ピジョン輝⽯ 紫蘇輝⽯直⽅輝⽯
–
Wo成分が少ない(<~5 mol%)
直⽅晶系の輝⽯は、
直⽅輝⽯
(orthopyroxene)
とよばれ、常温常圧で安定な結晶相である。
Opx
と略されることが多い
。 • 端成分としてエンスタタイトとフェロシライトがある。紫蘇輝 ⽯はMgとFeを同程度含む直⽅輝⽯のことであるが、現在は使わ れない名称。輝⽯
(Mg2Si2O6) (Fe2Si2O6) (CaMgSi2O6) (CaFeSi2O6) Augite Enstatite Ferrosilite Hedenbergite Diopside En Di Hd Fs Hypersthene 普通輝⽯ 天然のピジョン輝⽯に みられる組成領域 紫蘇輝⽯ Pigeonite–
Wo成分を5~10 mol%含む単斜晶系の輝⽯は、
ピジョン輝⽯
(pigeonite)と呼ばれる。
• ピジョン輝⽯は、⾼温ではC2/cの対称性を持ち、普通輝⽯ (augite)と完全固溶体を作る。C2/c相は冷却に伴ってP21/cに変 位型の相変態をする。P21/c相は準安定相であるが、⽕⼭岩など にしばしばみられる。輝⽯
–
Wo成分が30~50 mol%の単斜晶系の輝⽯は、単斜輝⽯
(clinopyroxene)と呼ばれる。
Cpx
と略される。
• 端成分として、ディオプサイドとヘデンバージャイトがある。 • 普通輝⽯(あるいは透輝⽯)は、Wo成分がおよそ30~40 mol%の組成領 域を指すが、区別できない場合は、単斜輝⽯と普通輝⽯を同義で使うこ ともある。 (Mg2Si2O6) (Fe2Si2O6) (CaMgSi2O6) (CaFeSi2O6) Pigeonite Augite Enstatite Ferrosilite Hedenbergite Diopside Clinopyroxene Orthopyroxene En Di Hd Fs Hypersthene 普通輝⽯ ピジョン輝⽯ 紫蘇輝⽯ 単斜輝⽯ 直⽅輝⽯CPX-OPXの結晶構造の関係
双晶⾯ 双晶⾯ 双晶⾯単斜輝⽯
直⽅輝⽯
a c a c–
直⽅輝⽯の構造は、単斜輝⽯の構造を(100)⾯に沿ってb映進
⾯で操作したものに等しい。すなわち、直⽅輝⽯は単斜輝⽯
を単位格⼦スケールで双晶させたものと考えることが出来る。
輝⽯
–
Wo成分が10~30mol%
の組成の輝⽯は、
天然には産出しない
。これは、
Wo
10~30組成の輝⽯が常温下では不安定であるからである。
– 不混和の領域は、温度に依存する。不混和領域では、Aug, Opx, Pigに相
分離する。したがって、岩⽯中に含まれるこれらの輝⽯の化学組成を測定 することで、その岩⽯の(輝⽯に関する)平衡温度を⾒積もることが出来る。 これを輝⽯温度計という。 600 500 500 600 700 (Mg2Si2O6) (Fe2Si2O6) (CaMgSi2O6) (CaFeSi2O6) En Di Hd Fs Pig Pig Pig Pig Aug Opx
輝⽯温度計
Lindsley and Anderson, 1983 Aug Opx Pig Pig+Opx (Mg2Si2O6) (Fe2Si2O6) (CaMgSi2O6) (CaFeSi2O6) En Di Hd Fs 輝⽯構造が安定 でない領域 Aug + Opx Aug + Opx + Pig Aug + Pig輝⽯
–
Wo成分が10~30mol%
の組成の
輝⽯は、
天然には産出しない
。こ
れは、 Wo
10~30組成の輝⽯が常温
下では不安定であるからである。
• ⾼温では安定であった中間組成の輝⽯が 冷却した場合、普通輝⽯-ピジョン輝⽯ あるいは普通輝⽯-直⽅輝⽯の離溶組織 が形成される。このような離溶は、 (100)⾯あるいは(001)⾯に沿って進⾏ することが多い En Di Hd Fs 不混和領域 P P A A P A A A A A P P P P P準輝⽯
– Wo成分が50mol%以上では輝⽯構造は不 安定となり、ウォラストナイトとディオ プサイド-ヘデンバージャイト固溶体の⼆ つに相分離する。これは、Ca2+イオンが M2席を全て満たし、さらにそれ以上M1席 に⼊ることが出来ないからである。 • ウォラストナイト(Wollastonite, CaSiO3) は輝⽯と同じく[SinO3n]2n–単鎖を有するが、 輝⽯とは異なる結晶構造をもつ鉱物である。 準輝⽯の⼀種である。 En Di Hd Fs Wo No stable phase 輝⽯構造の[SinO3n]2n–単鎖 [SiWollastoniteの
MgSiO
3
多形
Pressure (GPa) Orthoenstatite Clinoenstatite Liquid Majorite Bridgmanite Ringwoodite + Stishovite Akimotoite Wadsleyite + Stishovite Protoenstatite 0 5 10 15 20 25 Te mperature (℃) 700 1200 1700 2200•
MgSiO
3輝⽯は、地球内部のような⾼温⾼圧下では、
構造が不安定となり、別の結晶相に相変態する。
MgSiO
3
多形
Pressure (GPa) Ortho-enstatite Clino-enstatite Liquid Majorite Bridgmanite Ringwoodite + Stishovite Akimoto -ite Wadsleyite + Stishovite Protoenstatite 0 5 10 15 20 25 Tem perature (℃) 700 1200 1700 2200–
メージャライト
(Majorite)はザクロ
⽯(garnet, ⼀般式X
3Y
2Si
3O
12)と同
⼀の結晶構造。
• X席にMg, Y席にMgとSiが占める。Si の⼀部は4配位ではなく6配位をとる。–
アキモトアイト
(Akimotoite)は、イ
ルメナイト (FeTiO
3)構造と同⼀の結
晶構造を持つ。
• イルメナイトの中のFeをMgが、Tiを Siが置き換えた構造。Siは6配位。 Majorite AkimotoiteMgSiO
3
多形
–
ブリッジマナイト
(bridgmanite)は、ペロブスカ
イト(CaTiO
3)と同⼀の結晶構造
• 直⽅晶系に属し、結晶構造は、SiO6⼋⾯体が頂点共有して フレームワークを形成し、その隙間にMg,Feが歪んだ8配位 をする。 • 下部マントルの主要鉱物(90%以上)であり、地球全体の38 vol%を占める。地球でもっとも体積の⼤きい物質である。 • 1975年に⼈⼯的に合成され、2014年に天然の隕⽯から発 ⾒された。2014年以前は、”MgSiO3ペロブスカイト”と呼 ばれていた。–
ブリッジマナイトは、120GPa以上でさらに相転移
する。その構造は、CaIrO
3と同⼀である。
• 2004年に実験的に合成され、「ポストペロブスカイト」と 呼ばれているが、鉱物名は付けられていない。 • 下部マントルの最下部(Dʼʼ層)ではこの鉱物が存在し、地震 波の不連続を⽣み出していると考えられている Post-perovsikite Bridgmanite⾓閃⽯
B: Ca A: Na C: Mg,Fe {110} {1‐10} c b a a • ⾓閃⽯は⼀般式A0~1B2C5T8O22(OH)2 で表される固溶体である。 A: Na, K B: Ca, Na, Mg, Fe2+, Mn2+ C: Mg, Fe2+, Fe3+, Al, Ti, Mn, Cr, Zn T: Al, Si • 形状 c軸⽅向に伸⻑することが多い • へき開 {110}あるいは{1-10}が顕著 b c Hornblende SiO4四⾯体のみを描画 A B C C C C C O T H⾓閃⽯
Two cleavage traces {110} at 56° and 124° in end‐sections of hornblende. Hornblende gneiss; Sleat, Skye, Scotland.
Hornblende in Hornblende gneiss; Sleat, Skye, Scotland.
Bサイトの主
成分 名称 A 化学組成 結晶系
0~1 B2 C5 T8 O22 [OH]2
Mg, Fe3+ Anthophyllite(直⽅閃⽯) □0 [Mg,Fe2+]2 [Mg,Fe2+]5 Si8 O22 [OH]2 直⽅晶系 Cummmingtonite
(カミングトン閃⽯) □0 [Mg,Fe2+]2 [Mg,Fe2+]5 Si8 O22 [OH]2 単斜晶系 Ca2+
Hornblende
(ホルンブレンド, 普通⾓閃⽯) Na Ca2 [Mg,Fe2+]4Al AlSi7 O22 [OH]2 単斜晶系 Actinolite (アクチノ閃⽯) □0 Ca2 [Mg,Fe2+]5 Si8 O22 [OH]2 単斜晶系 Na2+ Glaucophane (藍閃⽯) □0 Na2 Mg3Al2 Si8 O22 [OH]2 単斜晶系 Riebeckite (リーベック閃⽯) □0 Na2 [Fe2+,Mg]3Fe3+2 Si8 O22 [OH]2 単斜晶系
層状ケイ酸塩鉱物
4⾯体シート (tetrahedron sheet) 8⾯体シート (octahedron sheet)
層状ケイ酸塩鉱物は、地球表層に極めて広く分布している。
天然では⽕成岩、変成岩などに広く産出する。代表的な⾵化鉱
物である。⼯業材料としての重要度も⾼い。
四⾯体シートと⼋⾯体シート
•
2次元的に広がったSiO
4四⾯体のつくる層構造が重要
•
SiO
4四⾯体は三つの頂点を共有し、共有しない酸素が同じ
⽅向を向いた
四⾯体シート
(tetrahedral sheet)を形成する。
•
MO
6⼋⾯体が稜共有した
⼋⾯体シート
(octahedral sheet)も
重要な構成要素である。
• M席はAl, Mgなどが占める。 • 正⼋⾯体的に配位できる位置が、全て陽イオンで占められた 3-⼋⾯体シート(trioctahedral sheet)と、2/3の割合で占めら れた2-⼋⾯体シート(dioctahedral sheet)の⼆種類がある。四⾯体シートと⼋⾯体シート
•
四⾯体シートにおける共有されていない酸素の周期は、⼋⾯体
シートの表⾯の酸素の周期とほぼ⼀致しており、積み重なりが容
易に⽣ずる。
• その結果、四⾯体(t)シートと⼋⾯体(o)シートが⼀つずつ重なった2 層構造(t-oシート)や、2枚の四⾯体シートの間に⼋⾯体シートがサ ンドウィッチのように挟まれた3層構造(t-o-tシート)ができる。 3-⼋⾯体シート + 四⾯体シート + 四⾯体シート2-⼋⾯体シート t-o シート t-o-t シート t o t o t層状ケイ酸塩の分類
1:1 layer•
層状ケイ酸塩鉱物は、四⾯体
シートと⼋⾯体シートの積み重
なりの様式によって分類される。
•
1:1 layer
タイプは、四⾯体シート
と⼋⾯体シートが⼀つずつ重なっ
てできるt-o シートが、繰り返し
単位となっており、その周期は7Å
程度である。
~7 Å蛇紋⽯の結晶構造
1:1 layer
-蛇紋⽯-• t シートと o シートの酸 素の配列がわずかにずれ ているときは、重なった 層が湾曲することがある。 代 表 的 な 例 は 蛇 紋 ⽯ (serpentine)にみられ、 筒状や波状などの特徴的 な形態を⽰す。 Antigolite Chrysotile Lizardite なみなみ ロールケーキ Chrysotileの電⼦顕微鏡写真層状ケイ酸塩の分類
~9 Å•
2:1 layerタイプ
は、tシート2枚がoシート1枚を挟んだt-o-t
シートが繰り返し周期単位。このタイプには、t-o-t シートの
間に陽イオンを含まないものと含むのがある。
– 陽イオンを含まない例として、葉ろう⽯ や滑⽯。 – 陽イオンを含む例として、雲⺟族の鉱物。 – H2O分⼦を含む例として、粘⼟鉱物。 10~15 Å ⾦雲⺟の結晶構造2:1 layer 雲⺟
SiO4四⾯体シート (Al,Mg,Fe)O6⼋⾯体シート SiO4四⾯体シート SiO4四⾯体シート SiO4四⾯体シート (Al,Mg,Fe)O6⼋⾯体シート K,Na • 構造 SiO4四⾯体が三つの頂点を共有してシートを形成 (Al,Mg,Fe)O6⼋⾯体シートが稜共有してシートを形成 四⾯体シートが⼋⾯体シートを挟み込んで、”サンドイッチ”を形成 サンドイッチとサンドイッチの隙間に、⼤きな陽イオンあるいは陰イオンが配置 • 形状 {001}が発達した平板状の形状で産出 • へき開 {001}が顕著 c2:1 layer 粘⼟鉱物
Vermiculite
hexamethylene-diamine SiO4四⾯体シート (Al,Mg,Fe)O6⼋⾯体シート SiO4四⾯体シート C6H16N2 • 粘⼟の様々な性質(膨潤性、可塑性、粘着性)の主な原因は、層間に 様々な分⼦を取り込むことが出来る粘⼟鉱物の性質による (ただし、JIS規格「⼟の粒度試験⽅法」(JIS A 1204 : 2000) によれば, 単に粒径が 5 μm 以下の⼟粒⼦を「粘⼟」と呼ぶ)層状ケイ酸塩の分類
•
2:1:1 layer
タイプは、
2枚のt-o-t シートの
間に、1枚のo シート
が挟まった構造を繰
り返し周期とする。
–
緑 泥 ⽯ 族 の 鉱 物
が こ の グ ル ー プ
に属する。
~14 Å–
このほかにも、層状ケイ酸塩鉱物には極めて多くの種類が
ある。
•
天然の層状ケイ酸塩鉱物は、化学組成が複雑で、粒径が⼩さく、結
晶度が悪いものが少なくない。そのため、結晶相同定が困難である
場合が多い。
クリノクロアの結晶構造⽯英
c b a SiO4四面体 b a b a–
⽯英(SiO
2)は、ほとんど
SiO
2以外の
元素を固溶せず
、単⼀の化学組成を
もつ。
• ⽯英は、構造中のSiO4四⾯体が全ての頂 点を互いに共有し、三次元的なフレーム ワーク構造をつくる。 • SiO4四⾯体は全ての頂点を共有する。テ クト・ケイ酸塩鉱物である。 • 三⽅晶系、点群は32。空間群はP3121あ るいはP3221。この2つの結晶構造は、 鏡像(右⼿/左⼿)の関係となる。573 ℃ 以上では六⽅晶系のよく似た構造に相転 移するが、この構造にも左右の関係は引 き継がれる(⾼温型⽯英の項を参照)。–
⽯英(SiO
2)は地殻を構成する⾮常に
⼀般的な鉱物である。
• ⽕成岩、変成岩、堆積岩のいずれにも含 まれる。SiO
2
多型
–
常温常圧で安定なSiO
2は⽯英(α)で
あるが、⾼温⾼圧下では様々な結
晶相に相転移する。
Temperature (℃) 800 1200 1600 2000 2400 2800 β-quartz Liquid Pressure (GPa) 0 2 4 α-quartz Cristobalite Tridymite • ⾼温型⽯英(β-quartz)は、1気圧下では 573 ℃で安定な⾼温の多型である。 • ⾼温型⽯英と低温型⽯英は、基本のフ レーム構造は同⼀であるが、わずかにね じれた関係になっている。両相の相変態 は変位型であり、急冷しても⾼温型が凍 結されることはない。すなわち、天然の ⽯英は全て低温型である。 • ⾼温型⽯英は六⽅晶系であり、低温型⽯ 英と同様の右⼿/左⼿の区別がある。相転 移の際に右⼿/左⼿の関係は引き継がれる。 右⼿/左⼿の⾼温型⽯英が右⼿/左⼿の低 温型に相変態する際には、変位する⽅向 が⼆種類あるため双晶が形成する。 ⾼温型 低温型 低温型SiO
2
多形
–
トリディマイト(tridymite)とクリス
トバライト(cristobalite)
はSiO
2の⾼
温の多型である。前者は常圧では約
870℃以上で安定であり、後者は約
1470℃以上で安定である。
• 共にSiO4四⾯体が全頂点を共有する構造を とる点は⽯英と同じだが、⽯英とは異なる 様式のフレームワークを作る。 Cristobalite Tridymite Tem perature (℃) 800 1200 1600 2000 2400 2800 β-quartz Liquid Pressure (GPa) 0 2 4 α-quartzSiO
2
多形
–
コーサイト (coesite)
は、常温では約2GPa (2万気圧)以上で安定な⾼圧
の多形である。ただし、実際には常温では相変態は進⾏せず、ある程度
⾼い温度(700℃)が必要である。
• SiO4四⾯体が全頂点を共有し、⽯英とは異なるフレームワークを作る。–
スティショバイト (stishovite)
は、常温では、約6GPa以上で安定とな
る⾼圧の多形である。
• ルチル(TiO2)と異質同像。Siは6個の酸素に正⼋⾯体的に囲まれ、その⼋⾯体が頂点 と稜を共有する。 • 沈み込んだスラブ領域では、スティショバイトが安定に存在すると考えられている。 β-quartz LiquidStishovite
Coesite Pressure (GPa) 0 2 4 6 8 10 Te mperature (℃) 800 1200 1600 2000 α-quartz 2400 2800 12 14Coesite
Stishovite⻑⽯
SiO4四面体 AlO4四面体 Na,Ca,K b a c c b–
⻑⽯は、⼀般式
(K, Na, Ca)(Al,Si)4O8の化学式をもつケイ酸塩鉱物である。
• (Al,Si)O4四⾯体は、すべての頂点を 互いに共有しフレームワークを形成 する。4つの四⾯体が環状につながっ た4員環が基本構造となる。 • フレームワークの隙間には、K+, Na+, Ca2+といった⽐較的イオン半 径の⼤きい陽イオンが⼊る、⼤きな 隙間がある。そのためSr2+, Rb+, Ba2+といった、他のケイ酸塩には⼊ りにくい不適合(imcompatible)な元 素をある程度含むことが出来る。 • 単斜晶系あるいは三斜晶系に属する。 さらにAlとSiの秩序化によってさま ざま対称性に変化する。⻑⽯
–
⻑⽯の化学組成は、三成分(Orthoclase, Albite, Anorthite)の略号
を使ってモル⽐で表す。例えばOr
5Ab
10An
85など。
–
An成分とOr成分を同時に富むような組成の⻑⽯は安定には存在せ
ず、限られた組成領域で固溶体を形成する。⼤きく分けて
斜⻑⽯
系
列と
アルカリ⻑⽯
系列がある。
CaAl2Si2O8 NaAlSi3O8 KAlSi3O8 Or Ab 斜⻑⽯ AnPlagioclase (labradorite) in troctolite; Sierra Leone. Orthoclase in granite; Carnmenellis, Cornwall, England.
⻑⽯
–
ア ル カ リ ⻑ ⽯ は
カ リ ⻑ ⽯
(potassium feldspar, KAlSi
3O
8)
と
アルバイト(albite, NaAlSi
3O
8)
の
固溶体
• Na ⇋ Kという元素置換が起きている。 • アルバイト組成に近いものはアノーソクレ イス(anorthoclase)と呼ばれる。 • カ リ ⻑ ⽯ は 、 ⾼ 温 で は サ ニ デ ィ ン (sanidine)、低温になるにしたがって、正 ⻑⽯(orthoclase)、微斜⻑⽯(microcline) へと変化。これらは、基本構造は同⼀だが、 AlとSiの秩序化によって対称性が異なる。 – サニディンは⼭岩に特徴的で、正⻑⽯は深成 岩や⾼温変成岩にみられる。微斜⻑⽯は低温 変成岩にみられる。 • アルカリ⻑⽯は、⾼温では連続固溶体を形 成するが、低温では不混和となり、Na成 分に富む⻑⽯とK成分に富む⻑⽯に相分離 (離溶)する。この離溶組織をパーサイト (perthite)という。 KAlSi3O8 (potassium feldspar) CaAl2Si2O8 NaAlSi3O8 (albite) SanidineAnorthoclase At high temperatures
Orthoclase or Microcline CaAl2Si2O8 NaAlSi3O8 KAlSi3O8 At low temperatures
パーサイト構造
0.5 mm クロスニコル