V交
易 構 造 と 地 域 経 済
-比較優位の経済効果-京
都
大
学 青
山
秀
夫
名古屋市立大学 岡
崎
不二男
同 志 社
大 学 笹
田
友三郎
京
都
大
学 山
田
浩
之
1.ま え が き 幹 線 交 通網 の整 備 は,交 易 構造 の変化 を通 じて国民 経 済 に おけ る特 定 地域 の 比較優 位 に変 化 を もた らし,そ れ は当該 地 域 の経 済 構造 に何 らかの影 響を与 え るで あ ろ う。 本 稿 の 目的 は,こ の よ うな経 済 的効 果 を定 量的 に捉 え る と同時 に,望 ま しい 方 向へ の発 展 を導 くた めの施 策 の発 見 に 対 して,有 力 な手掛 りを与 え る数 多 ぐの シ ミュ レー シ ョンを試 み る ことで あ る。 交 通網 の整備 は,当 該 地域 と全 国 各地 域 との間 の運 賃 距 離 ・時 間距 離 を変 化 させ,こ の 結果, この地 域 の立 地に 関 す る比較 優 位 に 何 らか の影 響 を もた らす ことは言 うまで も ない が,そ れ と 同 時 に,他 地域 相互 間 の運賃 距 離 ・時 間距 離 を も変化 させ,他 のす べ ての地 域 の立地 に 関 す る 比較 優位 に対 して も影 響 を与 え る こ とが 十 分 に予 想 され る。 したが って問題 は,国 民経 済 全 体 に影 響 を与 え るよ うな,幹 線交 通 網 整備 の 結果 ひ き起 こされ る,各 地 域 の 比較 優 位 の変 動 の交 錯 の な か で考 察 され なけ れ ば な らない。 国民 経 済 にお け る地 域 経済 の立 地上 の比較 優 位変 動 は ・地 域経済 の 成 長 と同時 に,構 造 変 動 を もた らす もの と予想 され る。 この場 合,経 済構 造 とは,主 と して産 業 部 門別 産 出額 を 指標 と す る産業 部 門別 構成 と,それら各 部門 間 の迂 回生 産 過程 に お け る相互 依 存 関係 を 指す 。 つ ま りわ れ わ れが考 察 しなけれ ば な らない構 造 変 動 とは,次 の よ うな一連 の事 実 を 指す こ とと な る。 即 ち,あ る産業 に対 す る地 域 の立 地 上の比較 優 位 変動 は,当 該 地域 の当該 産業 産出額 シ ェアー を 増加 も し くは減 少 させ る。 この ことは地 域経 済 内部 に器 け る当該 産業 の 産 出額 ウ ェイ ト,ひ い ては付 加価 値額 ウェ イ トな どを変化 させ るだ けで は な く,当 該 産業 へ の必 要 投入 額 の変 化,当 該 産業 生 産 物 の供 給 可 能 量 の変 化 を も た らす 。 この事 実 は,一 方に'診い て地 域 の 産業 産 出額 に 直接 的 な波 及効 果 を もた らす と 同時 に,当 該 産業 産 出物 に対 す る 当該 地域 の 自給 率,他 地域 の 当該 地域 へ の依 存 率 な どを変 化 させ る とい う,地 域 間波 及効 果 を もた らす。 あ る産業 に つい て 95当該地 域 で 発生 す る この よ うな事 実 は,他 地域 に おい て も同様 であ り,し た が って,他 地域 か ら当該 地域 へ の地域 間 波及 も同時 に進 行 す る こ とと な る。 この よ うな理 由 か ら,幹 線交 通網 整 備が 進 め られ る場 合 の経済 効 果 の定 量 分析,あ るいは予 測 を試 み よ うとす る な らば,使 用 され る分 析 装置 は,地 域 経 済 を他 か ら切 り離 した形 では な く, 国民 経 済全 体 の 中に 位置 づ けた形 を必 要 とす る。 換言 す るな らば,単 に当 該地 域 の経 済 に お け る産業部 門間 の 波及構 造 だげ を,国 民 経 済 の他 の部 分か ら切 り離 した形 で分 析 す る ことを排 し, 幹線 交 通 網整 備 とい う与件 変 動 の 中にお け る,当 該 地 域 を は じめ全 国各 地域 の立地 上 の比較 優 位 の交錯 関 係 と,発 展 を続 け る国民経 済 の中 で予想 され,あ るいは計 画 され る最 終 需 要 が ひ き 起 こす生 産誘 発効 果 の地域 間 ・産業 間 波及 とを,同 時 に捕 捉 で きる よ うな視 点 に 立 った分析 装 置 が 必 要 とされ るの で あ る。 本 稿 で ひ とつ の事例 と して と りあげ た地域 は岡 山県 で あ り,岡 山県 の 経済 に対 して,少 か ら ぬ影 響 を与 え るもの と考 え られ る幹 線 交通網 整備 とは,次 の ものを指 してい る.(1) ① 昭和47年 山陽 新 幹線:新 大 阪-岡 山間 開通 中国 縦 貫道:吹 田-落 合間 開 通 ② 昭和50年 山陽新 幹 線:岡 山-博 多間 開 通 中 国縦貫 道:落 合-下 関 間 開通 新 山 陽 道:大 阪-山 口間 開通 (1) 国 の着 工 計 画が 未決 定 の ため,上 に並 記す るこ とは避 けた げれ ども,下 津井 一 坂 出間 に架 設予 定 の瀬戸 大橋 は ・後 に 明 らか と な る よ うに,分 析 に 当 って無視 す る こ とは もはや 現実 的 で は ない。 したが って昭 和50年 を 目標 時 点 とす る考 察 では,瀬 戸大 橋架 橋 完 成 の経 済効 果 に つい て も,特 に考 慮を払 う ことに した。 な お,中 国横断 道 に つい ては,タ イ ム ・スケ ジュー ルが 明確 で なか った た め除外 したが, も しも,こ れが 具体 化 され るな らば,山 陰 と阪神 ・四 国 間 の物質 流動 に 大 きな変 化を きた し, 岡 山 県経 済 に もそ の影響 が あ る と考 え られ る。 したが って,中 国横 断 道 に つい て は,今 後, 今 回 の よ うな計量 計 算方 法 を行 な うこ とを十 分検 討 す る必要 が あ ろ う。 96
2.分 析 装置 の輪廓 以上 の よ うな分 析視 点 か ら明 らか な よ うに,わ れ われ の 定 量分析 の 目的 を達 成す るた めの 装 置 は,少 くとも次 の3点 を 満足 しなけ れ ば な らない。 ① 国民 経 済 的視 点 に立 つて,幹 線 交通 網整 備 が,岡 山 県 の経済 を含 む 各地域 経 済 の比 較優 位 の変 化 を通 じて,地 域 間 交 易構造 に どの よ うな結果 を もた らす かを 明 らかにす る こと。 ② 岡 山県 の 経済 お よびそ の他 全 国 の経 済 に対 す る産 業部門 別最 終 需 要が,地 域 間 交易構 造 な らび に 部門 間 投入 ・産 出構造 を 経 由 して産 出誘発 効 果 の 波及 を ひ き起 こ し,岡 山県 の産業 各部 門 に対 して最 終 的 に,ど れ だけ の効 果 を もた らす かを 明 らか にす る こと。 ③ さ きに 掲 げ た交 通網 整 備が 行 なわれ な い と仮 定 した場 合(た ゞ しこの場合 に も,そ れ以 外 の幹線 交通 網整 備-た とえば 東 名高 速道 路 の 開通-剛 は 進 め られ る)に 対 応 す る最終 需 要 を予 測す る こ と。 第1の 目的 を 達成 す るた めに は,交 易 係数 予測 の た めの計 量経 済 学 モ デルが 使 用 され る。 こ こでは まず,全 国 を9地 域 に 分割 し,さ らに 岡山 県 の経 済発 展 に関 す る ヴ ィジ ョン,そ れ に関 す る戦 略 的 産業 な どを考 慮 して決 定 された40の 産業 部 門 の分 割(詳 細 は 後述)に 基 づ くク ロ ス ・セ クシ ョン ・デー タを 使 用 して,交 易 係数tirs(i=1,…5,7,…29; r,s= 1,…,9)を 決 定 す るた めの計 量経 済学 モデル が推 定 され る。 こ ゝにtirsは,第S地 域 の 第i財 需 要額 中に 占 め る,第r地 域 か らの投入 額 の比 で ある。 したが ってr=sの 場 合 は,自 給率 を示 す こと とな る。 交易係 数 の値 は,第r∼s地 域 間 の運 賃距 離,時 間距 離 お よび,第r 地域 な らびに第s地 域 の需 給 能 力 な どに よって推 定 され る もの と想 定 され る。 した が って,も しも この よ うな計 量経済 学 モデ ルの 推定 に成功 す るな らば,わ れ われ は 各種幹 線 交通 網 整備 の 結 果与 え られ る時 間距 離 お よび運 賃距 離 の も とで,岡 山 県 お よびそ の 他地 域 の第i財 需 給 能 力 に つ い ての政 策 的 な想 定 を設 け た場 合 の交 易係 数 を 予測 す る ことが で きる。事 実 この分 析 では, 次 に掲 げ る よ うに,合 計9通 りの交 易係 数 の セ ッ トが計 算 され る。 TA昭 和47年 時点 で,さ きに掲 げ た 交通網 整 備が ない と想 定 した場 合 の 交易係 数 の セ ッ ト (こ れ は,交 通 網整 備 の効 果 を判 定 す るため の基準 と して使 用 され る)。 TB昭 和47年 に,新 幹 線 が 岡 山 まで,中 国縦 貫道 路が 落 合 まで開通 した場 合 の交 易係 数 の セ ッ ト 。 TC昭 和50年 時 点で も,さ きに 掲げ た 交通 網 整備 が ない と想 定 した場合 の交 易係 数 のセット (こ れは,交 通網 整備 の効 果 を50年 時点 で判 定 す る ため の基準 と して使 用 され る) 97
TD昭 和50年 に,新 幹線 が博 多 ま で,中 国縦 貫 道 が下 関 まで開通 し,さ らに 瀬 戸大 橋 も完 成 す る と想 定 した 場合 の 交易 係数 の セ ッ ト。 TE昭 和50年 に新 幹 線博 多 まで,中 国 縦 貫道 路下 関 までが そ れぞ れ 開通 し,さ らに新 山陽 道 が 開通 した場 合 の交 易係 数 の セ ッ ト。 TF昭 和50年 に,新 幹線 博 多 ま で,中 国縦 貫 道 下関 まで,新 山陽 道全 線 が そ れぞ れ 開通 し, さ らに瀬 戸大 橋 が完 成 した と想定 す る場 合 の 交易 係数 の セ ッ ト。 TG TBの 場 合 と同様 の交通 条 件 の も とで,水 島 にお ける 基 幹 産業 の イン ダス トリア ル ・コ ン ブ レク スを考 慮 して,関 連部 門の 対全 国 シ ェァー が 増 加 した と想 定 した場 合 の 交易係 数 の セ ッ ト。 TH TGの 場合 と同様 の交通 条件 の も とで,前 項 に掲 げた と同様 の シ ェアー 増 加 が 発生 す る と と もに,岡 山 県 の金属,機 械 器具,電 気機 器,自 動 車 の各 部 門 産 出額 シ ェアー が,広 島 県 の レベ ルに達 した と想定 す る場 合 の交易 係 数 の セ ッ ト。 各種 交 易係 数 の セ ッ トの意 味 を,一 覧 的 に要 約 した ものが,表2-1で あ る。 第2の 点 を満 たす た め には,,地 域 間産 業 連 関表 が 使 用 され る。 地域 間 童業 連 関表 の詳 細 は省 略 し,こ こでは 当面,分 析 装置 の 概要 を説 明す るに 必 要 な点 の み に触 れ てお こ う。 産業 連 関表 の体 系を,経 済 予測 や政 策 シ ミュ レー シ ョンに利 用 す るた め に は,目 標 時点 に な るべ く近 い時 点の技 術 を 考慮 に 入 れ る工 夫 が 必要 とされ る。 この た めに,わ れ われ は まず,昭 和40年 の 岡山 県地 域 間 産業 連 関表(但 し分析 に必要 な部 分 のみ に限 定 した) を 作成 し,こ の表 か ら得 られ る技 術 的条件 を,昭 和47年 時点 に予 測 され る技 術 に 関す る情i報 に よ って修正 して(い わ ゆ るRAS法 を 使 用)使 用す る こ とと した。 地域 間 産業 連 関表 の 操作 に は,技 術 を 反 映す る投 入係 数 の セ ッ トと,地 域 問交 易構 造 を 示す ,地域 間交 易係 数 のセ ッ トとが 同時に 必 要 とされ るが,時 間 経 過 の 中で発 生 す る前 者 の変 化 に は RAS法 に よる投 入係 数修 正 に よって対 処 し,一 方交 易係 数 の変 化 に は,前 述 の よ うな様 々の 交 易係 数 を使 用 して計 算 を試 み ろ こ とに よって対 処す る訳 で あ る。 地域 の区分 は,「 岡山県 」 お よび 「そ の 他全 国 」 の2個 と し,産 業 部 門の分 割 は,岡 山 県 に お け る現 在 の 産業 構成,交 通網 整 備 の進 行 と共に,戦 略 的に 重 要視 され る産業 が 何 か な どの問 題 に 考慮 を 払 い つ ゝ,後 述 の よ うに40部 門 に分 割 され てい る。 交 通網 の整備 が進 み,そ の間 に各 産業 部 門 の技術 構 造 の変 化 が並 行 的 に進ん だ場 合 に,昭 和 47年 お よび昭 和50年 の 岡山県 の経済 構 造 を定 量的 には握 す る装置 の主 要部 分 は地 域 間 産業 98
表2-1 各 種:交 易 係 数 の 意 味 注 ① ○ 印 は,表 頭 の 条件 が考 慮 に 入 れ られ た ことを示 す。 ② ◎ 印 は,表 頭 の条件 に 加 え て,金 属,機 械 器具,電 気 機 器,自 動車 の各 部門 の 産 出額 シ ェアー が,広 島 県 の レベ ル迄上 昇 した とい う条 件が 加 え られ てい る ことを示 す。 99
連関 表 で あ るが,地 域 間産業 連 関表 の操 作 は,通 常,最 終需 要 を与 え る こ とに よ って行 な われ る。 この分 析 では,最 終 需要 も,様 々な ケー ス を想定 して与 え てあ るげれ ども,基 準 ど なる も のは,昭 和47年 お よび昭和50年 を 目標 時点 とす る単 純 予 測 に基 づ く最 終需 要 で あ る。 これ は,さ きに掲 げ た よ うな交通 条件 の変 化 が ない と想 定 した場合 の,岡 山 県 の経済 にお け る最終 需要 予 測値 で あ る。最 終 需要 の単純 予測 は,岡 山 県 の経 済に お け る最 終 需 要成 分 をは じめ とす る主 要経 済 指標 が,ど の よ うな メカニ ズ ムの中 で決 定 され るかを 明 らか にす る計 量経済 学 モデ ルを使 用 して 求 め られ る。 分 析装 置 が満 たさ なけ れば な らない 三 つ の要件 に対 応す る三 つ の装 置が どの よ うに組 み 合 わ され た かを 図示 す る こ とに よって,分 析 装置 の輪 廓 を 明 らか に してお こ う。 図2-1が これ で あ る。 図2-1 分析 装置 の概略 100
3.地 域間 産業 連 関 分析 に よ る構造 予 測 3.1地 域 間 産業 連 関表 は,あ る地 域 の経 済 内部 の 産業 間 投入 産 出構造 と同 時に,他 地域 の 各 産業 間 投入 産 出構 造 を,産 業 連 関表 の表章 形 式 に従 って表 示 してい る。 地 域 を 「岡山 県」 お よび 「そ の他全 国」 の2こ に 分割 し,内 生 部門2こ,外 生 部 門 を1こ と仮 定 した場 合 の地 域 間 産業 連 関表 の表 章形 式 は,表3-1の よ うに示 され る。 記 号 はそれ ぞ れ,下 記 の通 りで あ る。 表3-1 地域 間 産 業連 関表 の 模型 x rs ij 第r地 域第i産 出の 第s地 域 第j産 業へ の投 入額 (i,j==0,1,2:r,s=1,2) xri 第r地 域 第i部 門 産 出額 101
分 析 に あた って,わ れ われ は まず,「 昭和40年 岡 山県地 域 間 産業連 関 表」 の作 成 を行 な っ た。(2)産 業 部門 の 分割 は,通 産省 の 手に なる 「昭 和35年 地域 間 産 業連 関表 」 の分割 に必 ず しも こだ わ る こ とな く,分 析 目的 な らび に岡山 県 の経 済 発展 に対 す る戦 略 的:重要 性 な どを考 慮 した上 で,表3一-2 示す よ うな分 割を 採 用 した。 (2)表 の作 成 に あ た って は, ① 当該 地 域 な らびにそ の地域 の 各部 門 産出額 ② 当該 地 域 各部 門へ の地 域 別 各 部門 か らの投 入額 ③ そ の他 地域 各 部 門へ の地域 別各 部 門 か らの 投 入額 に関 す る情 報 を,網 羅 的に 蒐収 しなけれ ば な らない。 ① に関 す る情 報は,主 と して第1次 産 業 につ い ては,農 林 省 統計 表(農 林 省),岡 山 県農 林 水 産統 計年 報(農 林 省 岡山 統計 調査 事 務 所),第2次 産業 に つい て は,工 業統 計表(通 商 産業省),建 設工事 施 行 統 計(建 設 省), 岡山 県統 計年 報(岡 山県)第5次 産業 に つい て は,商 業 統 計 表(通 商 産 業省),鉄 道 統計 年 報(岡 山鉄 道管 理局),郵 政 統計年 報(郵 政 省,広 島郵 便 局),陸 達 統 計年 報(岡 山陸 運事 務所);港 湾 統 計(運 輸 省),岡 山 県統計 年 報(岡 山県),県 民 所得 推 計報 告書(岡 山県) 等 に依 存 してい る。 二 方, ② お よび③ に関 す る情 報 は,本 来 な らば,国 の 産業 連 関表 作 成 に際 して,「 工 業 セ ンサ ス」 に付 帯 して行 な われ る,原 材 料等 物 資 流動調 査 に よ るべ きで あ ろ うが,こ の よ うな 調 査は,国 の レベ ルで なけ れば,実 際 問題 と して不 可 能に 近い 。 した が って こ ゝでは,前 節 に示 した よ うな,地 域 間産業 連 関表 の操作 体 系 の経 済学 的 な意 味 づけ に基 き,一 つ の仮 定 の もとに,計 算に よって数 値 を求 め る方法が と られて い る。 102
表3-2
3・2地 域 間 産業連 関 表の 体 系は,最 終 需要 構造 を 示す べク トルに よ って与 え られ た衝 撃が ひ き起 こす 各地 域 各部 門 へ の産 出波 及 を,一 網 打尽 に計上 で きる とい う秀れ た 特性 を も って い る。 この よ うな計算 を進 め るた めの操 作 の方 式は,岡 山 県 の地域 間 産業 連 関 表 に つい て云 えば,次 の式 で示 され る。 (1) 式(1)の 左 辺 括弧 内 の 第2項 は,交 易 係 数trsi(i=1, …, 40; r, s=1, 2)を, 式 に 示 す よ うな 特 殊 な 形 に 配 列 した 行 列 で あ る。 交 易 孫 数 と は,次 の よ うに 定 義 さ れ る 。 (2) 104
この定義 式 の 分母 は,第s地 域 が そ の生 産 のた めの 中 間財 お よび 最終 需 要 用に使 用 した第 i財 使 用額 を,分 子 は,そ の うちで第r地 域 か ら購 入 した額 をそ れ ぞれ 示 してい る。 岡 山県を 第1地 域,そ の他全 国 を第2地 域 とすれ ば, t11i 岡 山県 の第i財 自給 率 t21i 岡山 県 の第i財 移 入 率 t12i そ の他全 国 め岡 山県 へ の第i財 依 存率 t 22 そ の他全 国の 第i財 自給 率 をそ れ ぞ れ 意 味 す る こ と と な る 。 さ きに の べ た よ うに,交 通 網 整 備 の 結 果,岡 山 県 を 含 む 全 国 各 地 域 の 立 地 上 の 比 較 優 位 は,当 然 交 易 係 数 に 影 響 を 与 え る こ と とな る。 (1)式の 左 辺 括 弧 内 の 第2項,交 易 係 数 の 行 列 の 後 か ら掛 け られ る 行 列 は,二 つ の 地 域 の 投 入 係 数 行 列 か ら な る。 投 入 係 数arij(i,j=1,… …,40:r=1,2)の 定 義 は, 次 の 通 り で あ る。 (3) したが ってa1ijは,岡 山県 の第j部 門の 産 出額1単 位 を生 産に 要す る第i部 門 産 出の投 入 額, a2ijは,そ の他全 国 の第j部 門 の 産出蜘 単 位 生 産腰 す る第i部 門 産出 の投入 額 を,そ れ ぞ れ示 す こ とと な る。 ここで, (1)式の左辺 括弧 内を,コ ンパ ク トな形 で書 き改 め よ う。 (4) 105
記 号(4)を 使 用 す れ ば, (1)式左 辺 は,〔I-TA〕 と書 く こ とが で きる 。 括 弧 に 付 け られ た 一1は,行 列 〔I-TA〕 の 逆 行 列 で あ る こ とを 示 す 。
(1)式左 辺 の 末 尾 に 掛 け られ る ベ ク トル は,発 生 べ ー ス の 最 終 需 要 額 ベ ク トル で あ る。 こ の ベ ク トル の 成 分 中,上 位 の40こ は,一 般 的 に はf1i,下 位 の40こ はf2iと 書 くこ とが で き る。f1iは,岡 山 県 で 発 生 す る第i財 に 対 す る最 終 需要 額, f2iは,そ の 他 全 国 地 域 で 発 生 す る第i財 に 対 す る最 終 需 要 額 で あ る 。 これ は,岡 山 県 の 第i部 門 産 出 に 対 す る最 終 需 要 額 塩 や,そ の 他全 国地 域 の第i部 門 産出 に対 す る最 終 需 要 額x2.ioと 混 同 され ては な ら な い 。 さ き と 同 じ よ うに,発 生 ペ ー ス の 最 終 需 要 ベ ク トル を,お よ び 右 辺 の 産 出額 ベ ク トル を,そ れ ぞ れ 次 の よ うに コ ン パ ク トに 示 そ う。 (3) (5) 記 号(4), (5)を使 用 す れ ば, (1)式は,次 の よ うな コ ンパ ク トな形 で 表 わ さ れ る。 (6) (6)式で,行 列Aは 各地域 の技術 を示 し,行 列Tは,各 地 域 間の 交 易構 造 を示 してい るか ら, も しも技 術 な らびに地 域 間交 易構 造 が所 与 で あれ ば,逆 行 列 〔I-TA〕-1を 予 め電子 計 算機 に よ って求 めてお け ば,任 意 の最終 需 要 ベ ク トルを満 た すた め に必要 な産 出額 ベ ク トル, したが って各地 域 各部 門の 産出 額が 求め られ るこ と となる。 さ て,地 域 間 産業 連関 表 の基本 方程式 は,前 節 に掲 げ た記 号を使 用 して コ ンパ ク トに示 す (3) { }は,こ の ベ ク トル が,列 べ ク トル で あ る こ とを 示 す 。 106
な らば,次 式 の よ うに表 わ され る。 (7)TAX+Tf=X この式 か ら明 らか な よ うに,地 域 間 産業 連 関表 は,各 地域 産出額 ベ ク トルX,各 地域 に発 生 す る最 終需 要 ベク トルf,各 地域 各 産業 へ の全 国各 産業 か らの投 入 係数 行 列Aお よび,交 易係 数 行 列Tか ら成 立 してい る。 この うち,行 列Aの 部 分 は,国 民 経 済 が競 争的 で あ る限 り 同一 産業 の技術 に地 域 間 変動 が な くな るもの と考 え られ るか ら,本 質 的 には,岡 山 県 の投 入 係数 行 列 を示 す 部分(即 ち行 列Aの 左上 方 の部 分 行列)と,そ の他全 国 の投 入係 数 行 列を示 す 部分(即 ち行 列Aの 右下 方 の部 分 行 列)と は 相 等 しい もの と見 な され る。 も し この仮 定 が 正 しけ れ ば,昭 和40年 の国 民経 済 に 関す る投 入係 数 行 列お よび① に基 づ い て得 られた 岡 山 県 の 産 出ベ ク トル か ら,地 域 間 産業 連 関表 の うち,「 そ の他全 国」 か ら 「岡 山県 」へ の投 入 に 関す る部 分 に 必要 な数 字 が 求 め られ るは ず であ る。 即 ち, (8) これ が作 表 の第1段 階 で あ る。 しか し,現 実 に は,主 と して プ ロダ ク ト・ミックスの 相違 か ら,岡 山県 の 投入 構造 と,全 国 ない しそ の他 全 国 の投 入構 造 とは,す べ ての部 門 につ い て一 致が 見 られ る訳 ではな かろ う。 プ ロダク ト ・ミ ック スの 相違 は,プ ロダク ト ・ミ ック スに 含 まれ る品 目の構 成比 の違 い と, 同一 部 門 に含 まれ る事 業所 規 模 別構 成 比 の違 い と か ら生 ず る もの と考 え られ る。 計算 で求 め られた 上 記 の結 果 を現 実 に適 合 させ るた め には,作 成過 程 でい くつ か め調整 が 加え られ ぬば な らぬが,そ の補 正計 算 の説 明 は省 略 す る こ とに じた い。 107
3・3以 上 のべ た こ とか ら明 らか な よ うに,も しもわ れ われが 適 当 な方 法 に よ って,た とえ ば 昭和47年 の 発生 べー ス最 終 需要 ベ ク トルf(47)を 予測す る こ とが で きれ ば,技 術 し たが ってA,お よび地 域 間交 易 構造 したが ってTが 不変 で あ る限 り, (6)式の最 終 需 要 ベ ク ト ル にfて47)を 使 用す れば,昭 和47年 の産 出額 ベ ク トルX(47)を 求 め る ことが で き る。 しか し,技 術 な らびに地 域 間交 易構 造 に 関 して われ われ が利 用 で きる最新 の情 報源 は, 昭和40年 間山県 地域 間 産業 連 関表 で あ る。 したが って,目 標 時点 昭 和47年 お よび昭 和50 年 まで に は,交 通 網整 備 の影 響 を受 け るTは 無 論 の こと,技 術 構 造 を示 すAも,変 化 す るも の と考 え なけ れば な らない。 地 域 間 交易 構造 を示 すTの 変化 は,前 章 に説 明 した よ うに,さ まざ ま な交通 条件 に対応 す るTA,… , THを 予測 す る ことに よって解決 され る。残 され た問題 は,技 術 進 歩 に基
づ くAの 修 正 で あ る。Aの 修 正は,い わ ゆ る 「RAS法 」に よ って行 な った。(4)ただ しこ こ
で断 ってお か なければ な らない 点は,「RAS法 」 に よ る修正 が,利 用 可 能 なデー タの信 頼 性 の故 に,昭 和46年 まで しか 可能 で ない とい う点 で あ る。 した が って この分析 に当 って, 使 用 され るAの 予 測値 は,す べ て昭 和46年 の 予 測値 で あ る。 われ われ に与 え られ た分 析 目標 点 は,昭 和47年 お よび昭和50年 で あ る。 したが って予 測投 入係 数 表 は,こ れ ら2時 点 の'ものが 必要 であ る。 と ころが 「RAS法 」 に よ る投 入係 数 予 測 に は,精 度 の 良い 中間需 要 合計額 ベ ク トルの 予測 値 お よび 中間投 入 合 計額 ベ ク トル の予 測 値 を 必要 とす る。分 析 のた め に与 え られ た時 間的 制 約 のた め,こ れ らを われ われ の 手 で求 め る ことはで きなか った ので,経 済 企 画庁 の手 に な る国 の連 関表投 入 係 数予 測 値 を利 用す る こ とと した。(5)ただ しこの 予測 値 は,さ きに指摘 した よ うに昭 和46年 まで しか計算 され てい ない。 したが って この分析 では,昭 和47年 につ い て も昭和50年 につ い て も,使 用 され た 予 測 投 入係 数 行列 は,昭 和46年 の国 の予 測投 入係 数 行列 であ る。 昭 和40年 岡山県地 域 間 産 業連 関表 の作 成 の場 合 と同様 に,競 争 を前 提 とす るな らば,産 業 の技 術 したが っで 各産業 の投 入係 数 ベ ク トル に,地 域 間変 動が ない とい う仮 定 が 容認 され る。 したが ってわれ われ は,目 標 時 点 に つい て 産業連 関 分析 を 試み るた めに 必要 な地 域 間 産
(4) こ の 方 法 は, Stone, R. A. and Others,"A Programme for Growth, Input-Output Relation Ships, 1954-1966", 1963に よ る 。 (5) 経 企 庁 「経 済 社 会 発 展 計 画,計 営 委 員 会 第2次 報 告 」 政 府 の 旧 推 計 を 使 用 し て い る 。
業 連 関 表 の 投 入 係 数 行 列 を,左 上 方 の サ ブ マ トリ ク ス ル も 右 下 方 の サ ブ マ トリ ク ス ル も,昭 和46年 の 国 の 予 測 投 入 係 数 行 列(40部 門)を は め こ む こ と に よ っ て 作 成 す る こ と が で き る。 と ころ で 既 に 説 明 した 通 り,地 域 間 産 業 連 関 表 の 操 作 の た め に は,逆 行 列 〔1-TA〕-1 を 必 要 と す る。 こ の 場 合 行 列Tは,さ ま ざ ま な 前 提 の 下 で,交 易 係 数 予 測 モ デ ル に よ って 与 え られ る。 こ の 分 析 に 使 用 し たTは,表2-1に 掲 げ た 通 り, TA∼THの8通 りで あ る。 した が っ て,そ れ ぞ れ の 前 提 に 対 応 さ る 産 出 額 ベ ク トル を 計 算 す る シ ミ ュ レー シ ョ ン ご とに, 合 計8通 りの 逆 行 列(I-TA〕-1が 計 算 さ れ る。 4.交 易係 数 予 測 モ デル 交 易係 数 推定 の た めの 計量 経済 学 モデル は,交 通網 の 整備 に よる交易 構 造 の変化 を と らえ る た めの分析 用具 で あ り,し たが ってわ れ われ の分析 装 置 の 中で も っとも枢 要 な地位 を 占め てい る。 わ れわれ は 最終 的 に採 用 した交 易係 数 推定 モデル に到 達 す るまで に,い ろん な試 み を行 な った が,こ こでそ の プ ロセ スに つい て論 ず る余 裕は ない の で,わ れ われ が最 終 的 に到達 した モ デル の説 明 に直 ちに入 る ことに したい。 地 域間 交易 係 数trsiは,第S地 域 の第i財 需要 額 に 占 め る第r地 域 か らの供 給 額 の比 で あ るか ら,簗r地 域 の供 給能 力 が 大 きい ほ ど交 易係 数trsiは 大 き くな り,他 方r-S地 域間 の 経 済距 離 が遠 くなる と小 さ くな ると考 え られ る。 したが って,交 易係 数trsiを 調 す る最 も重 要 な変数 と して, r-S地 域 間 の経済 距 離 ersiと,第r地 域 の第i財 の 産 出 シ ェア〓 が羅 が つて来 る。 す な わ ち,交 易係 数 決定 関 数 と して,次 式が 想 定 され る こ とに な る。 (9) も ち ろ ん, trsYの 決 定 に 参 加 す る他 の 変 数 が 存 在 す る で あ ろ う。 しか し,種 々 の テ ス ト を 試 み た が,他 に 有 効 な 変 数 を 発 見 す る こ とが で き な か った 。 つ ぎに, 2地 域 間 の 経 済 距 離 は どの よ うに 定 義 さ れ る べ き で あ ろ うか 。 経 済 距 離 を 決 定 す る変 数 と して,第i財 のr-S繊 間 の 願mrsi,第i財 のr-S地 域 間 の 運 送 時 間 ωrsi を え らび, mrSiの 種 々 の 組 み 合 せ を 考 え て,そ れ と 交 易 係 数 と の 欄 を み た と ころ,大 部 分 の 品 目に お い て 最 も 良 好 な 相 関 が え られ た の は 次 の 関 数 型 の 場 合 で あ っ た。
(10) か くして,わ れ われ は2地 域 間 の経 済距 離 を,運 賃距 離 と時間距 離 の積 と定義 す る こ とに した。 す なわ ち (11) そ こで, mrsi・ ωrsiとXri/xiを 説明変 数 と して,い くつか の 関数型 を想 定 して テ ス ト を試 み た と ころ,相 関 係数 も高 く,交 易 係数 の 予測 計 算等 に お いて も最 も便 利 な関数 型 と し て 次 の モデ ルが 最 後的 に採用 され る ことに な った。 (12) こ こ で,交 易 係 数trsiお よ び 産 出 シ エ アXri/Xiの デ ー タ は,昭 和35年9地 域 間 産 業 連 関 表(通 産 省)に つ い て,「 岡 山 県 地 域 間 産 業 連 関 表 」 の 部 門 に 対 応 す る よ う部 門 統 合 を 行 な っ て 計 算 した 。 他 方,時 間 距 離 ・運 賃 距 離 は 昭 和35年 に お け る,農 林 水 産,繊 維,化 学, 金 属,機 械,そ の 他 の6品 目 に つ い て 算 出 した もの を 使 用 し た。(6) 上 記 の 関 数 型(12)式 を 利 用 して 行 な っ た 昭 和47, 50年 の 交 易 係 数 推 定 の ブ ロ セ ス は 次 の と お りで ある(以 下 ∧ は 推 定 値 を 示 す)。 ① 上 記 の ク ロ ス ・セ ク シ ョ ン デ ー タ を 用 い て,交 易 係 数 の 推 定 が 理 論 的 に 意 味 を も つ27 品 目(i=1,…5,7…28)に つ い て,獄 に よ って パ ラ メー ター β お よ び7の 推 定 を行 な う。(鉱 業,建 築,土 木 お よび第3次 産 業 の 交易 係数 は,昭 和40年 の 交 易係 数 か ら不変 と仮 定す る。) (13) ・i=28, r, s=1, … …9 , N=81, 35は35年 デ ー タ を 示 す 。 (6) 時 間距 離,運 賃距 離 の算 出 方法 は,天 野 光 三 ・藤 田昌久 「交通 施 設 整 備に 去る地域 構造 の変 動 分析 モデル に関 す る研 究(43年8月)」 に した が っ た 。 110
推定 結 果 は,表4-1に 示 され て い る(た だ し,こ の表 の αは利 用 しない)。 経済 距 離 にか か るパ ラ メー ター β はす ベ て負 値 で あ り,産 出シ ェア にか か るパ ラ メー ター γはす べ て正 値 で あ って,符 号条件 をみ た してお り,相 関 係数 も一 部 を除い て 良好 で あ る。 なお,第1次 産 業 の 相関係 数 が第2次 産業 の それ よ り も一般 に高 い ことが 注 目され る。 表4-1 品 目別 交 易 係 数 推 定 モ デ ル の パ ラ メー ター 111
(注) Sは 推定 値 の標 準誤差, R2は 決 定 係 数 ② 同 様 に, 40年 の 岡 山 と 岡 山 を の ぞ く9地 域 間 に 関 す る 交 易 係 数,産 出 シ ェ ア,運 賃 ・ 時 間 距 離 を算 出 し,次 式 に よ って パ ラ メー タ ー α を 決 定 す る 。 以 下1は 岡 山, k(1,・ ・ ・9)は 岡 山 を除 く9地 域, kは そ の 他 全 国(岡 山 を 除 く9地 域 の合 計)で あ る。 (14) 112
③ 昭 和47, 50年 の 交 易 係 数 予 測 に お い て は,産 出 シ ェ ア に つ い て は40年 と 同 一 で あ る場 合(ケ ー スA, B, C, D, E, F)と,主 要 製 造 業 に つ い て の み 産 出 シ ェ ア が 変 化 す る 場 合(ケ ー スG, H)と を想 定 し た。 運 賃,時 間 距 離 に つ い て は 国 鉄 の 計 画,貨 物 自動 車 の ス ピード・ア ップ の 傾 向 お よび 交 通 条 件 の 変 化 の 諸 ケース に も と つ い て,岡 山 と9地 域 間 に つ い て 外 生 的 に 推 計 し,す で に え られ た α, β, γ を 用 い て,次 式 に よ って,交 易 係 数 の 予 測 を 行 な え ば よ い 。 (15) た だ し, (Xki/Xi)47の 代 りに(Xik/Xi)40を 用 い る場 合(産 出 シ ェア 不変 の場合)に は, (14)式 を(15)式 に 代 入 す る こ と に よ って 次 式 が え られ る か ら, α推 定 を 行 な わ ない で一 挙 にti47の 推 定 が 可 能 で あ る 。 (16) 50年 交 易 係 数trs150に つ い て も,全 く同 様 に して 求 め る こ とが で き る。 こ う して え ら れ た 交 易 係 数 表 は,表4-2に 示 さ れ て い る。 113
表4-2 交易係 数 推定 結果
交 易 係 数(t11)
交 易 係 数(t12)
交 易 係 数(t21)
交 易 係 数(t22)
5.最 終 需要 単純 予 測 の ため の計 量経 済 学 モ デル 5・1こ の モデ ルは,産 業 連関 分析 に と って必要 な最 終 需要 ベ ク トル を作 成 す るた め の最 終 需要 成分 の 予 測値 を,岡 山県 の 経済 構 造 に基 づ いて 求 め るた めに構 築 され て い る。 われ われ の分析 視 点 か らも明 らか な よ うに,岡 山県 経済 は,決 して国 民経 済 の 他 の部 分 か ら切 り離 さ れ た形 で捉 え る ことはで きない。 したが って,わ れ われ が 岡 山県経 済 の 構造 を定量 的 に モ デ ルに よ って 把握 しよ うとす る場 合 に も,岡 山 県経 済 と国民 経 済 との間 の 相互依 存関 係 の うち 重要 と思 われ る もの を,可 能 な限 り取 り入れ る配 慮 を した。 と ころで 政策 シ ミュレー シ ョンや予 測 を試 み る場 合,無 視 で きない 難 点が一 つ あ る。 そ れ は,経 済 構 造 を示 す モ デルの パ ラメ ター が,政 策 シ ミュ レー シ ョンに 当 って われ われ が想 定 す る,政 策 変数 の一 組 の値 に よ って 表 わ され た政 策 を実 行 に移 した場 合 に変 化す るか も知れ な い し,何 期 間か 先 の予 測 目標 時点 ま での 時間 経過 の 中 で,技 術 進 歩 や ひ とび との 行動 様式 の変 化 な どに よって変 化す るか も知れ な い とい う事 実 で あ る。 た とえ ば交通 網 整 備は,岡 山 県の 経済 構 造 に影 響 を与 え,そ の結果,モ デ ルの パ ラメ ター は変 化 しなけ れ ば な らな くなる で あ ろ う。 連立 系モ デル の 含むす べ て のパ ラ メター につ い て,こ の よ うな変 化 を連立 系 的 に 予 測 す る ことは 不 可 能に近 い われ われ に与 え られ た課題 が,こ の様 な パ ラメ ター変 化 を必 ず 発 生 させ る と思 われ る内容 を 含ん で い る だけ に,こ の問題 を避 け る こ とは 許 され ない。 この 問題 に 対 して われ われ の採 った 方法 は,交 通条件 変 化 に伴 う構造 パラメター変 動 を導 入 す る問題 の解 深 は,岡 山県経 済 の 計 量経済 学 モデ ル とは別 の,交 易 系数 予測 モデル か ら求 め ら れ る交 易 系数予 測 値 と,地 域 間 産業 連 関表 とを組 み合 せ て使 用 す る部分 に委 ね,計 量経 済学 モデ ルに よる予 測は,交 通条 件変 化 が な い場 合 の予測 値-こ れ を便 宜 上単 純 予 測値 と呼 ぶ こ とにす る一 を求 め る こ とだけ に使 用す る方法 を採 る こ とと した。 交通 条 件 の変化 は な く て も,そ れ 以外 の条件,従 って国民 経 済の 発展 は,昭 和47年 または 昭 和50年 の 内 生 変 数 予測 値 を条件 づ け る要 因 と して考 慮 され て い る こ と となる。(8) 5・2モ デ ルは, 24個 の 内生 変 数 お よび10個 の 外生変 数 を含ん で い る。 〔内生 変数 〕 (8)計 量経 済 モデ ル に よる予測 値 は,外 生 変 数が ある一 組 の値 を と った時 の,内 生 変数 の 値 であ る とい う意 味 で,条 件 は予 測値 で ある。 130
1 OI 第 一 次 産 業 生 産 額(百 万 円) 2 OII 第 二 次 産 業 生 産 額(〃) 3 OIII 第 三 次 産 業 生 産 額(〃) 4 LI 第 一 次 産 業 就 業 人 口(千 人) 5 LII 第 二 次 産 業 就 業 人 口(〃) 6 LIII 第 三 次 産 業 就 業 人 口(〃) 7 C 消 費(百 万 円) 8 Inb 民 間 設 備 投 資(水 島 以 外)(百 万 円) 9 I 民 間 設 備 投 資(水 島,そ の 他 計)(百 万 円) 10 III 第 二 次 産 業 民 間 設 備 投 資(百 万 円) 11 KII 固 定 資 本 残 高(百 万 円) 12 E 輸 出(〃) 13 M 輸 入(〃) 14 Y 県 民 所 得(〃) 15 Rt 運 賃 収 入(〃) 16 Re 電 力 料 金 収 入(〃) 17 Rj 新 聞 売 上 高(〃) 18 Rm 商 業 販 売 高(〃) 19 Rp 電 話 料 金 収 入(〃) 20 Ra 広 告 料 金 収 入(〃) 21 W 第 三次産 業 収 入 指 標(百 万 円) 22 △C 消 費 増 分(百 万 円) 23 △Y 県 民 所 得 増 分(〃) 24 △Rt 運 賃 収 入 増 分(〃) 〔外 生 変 数 〕 1 YN 分 配 国 民 所 得(百 万 円) 2 GN 政 府 投 資(〃) 3 EN 輸 出(〃) 4 P 人 口(岡 山 県)(千 人) 131
5 Ib 民 間 設 備 投 資(水 島)(百 万 円) 6 Cg 政 府 消 費(岡 山 泉)(百 万 円) 7 ρI 第 一 次 産 業 労 働 生 産 性 8 t 時 間 9 δ1 ダ ミー 変 数1 10 δ2 ダ ミー 変 数2 外 生 変 数 の うち,ダ ミー 変 数 δ1お よび δ2は,新 聞 料 金 の 値 上 げ に 対 処 す る た め の も の で あ る。 モ デ ル の 推 定 結 果 を 示 そ う。 132
岡 山 県 経 済 の 計 量 経 済 学 モ デ ル(構 造 方 程 式 体 系) 〔 第1ブ ロ ッ ク 〕 ① 第 一 次 産 業 生 産 額 eogOI=0.655941eog ρI+7.64537 ΔR2=0 .98953 (29.1785) (63.9377) DW=1 .80767 ② 第 一 次 産 業 就 業 人 口(TLS) eogLI=-0.773949 eogOII+2.313059 eogLII+3.183948 0.97980 (5.3197) (3.8716) (2.2744) 2.11698 ③ 第 二 次 産 業 生 産 額(TLS) eogOII=2.71221 eogLII+0.384750 eogKII -1-6.16595 0.99147 (4.5262) (2.4070) (3.7102) 1.38899 ④ 第 二 次 産 業 就 業 人 口(TLS) eogLII=0.0738681 eogt+0.118973 eogOII+3.80945 0.97846 (1.4611) (1.3812) (3.6367) 1 .77405 1 3 3
- 134-〔第2プ ロ ッ ク 〕 ⑤ 消 費 C=0.772699Y-1+1.43244△Cg-2260.50 0 .96645 (14.7615) (0.80975) (-0.20612) 1 .4793 ⑥ 民 間 設 備 投 資(水 島 以 外) Inb=-0.775256 1nb-1+0.0184769GN+0.186968△Y+149727 0.92625 (-1.46954) (3.39382) (2.06092) (2.27097) 2.01293 ⑦ 輸 出 E=0.0153137EN-3228.90 0.89944 (8.4590) ⑧ 輸 入 M=0.0799397OII+0.521965△C+7173.66 0 .98598 (9.6055) (2.64703) (3.65639) 1.53624 ⑨ 第 三 次 産 業 就 業 人 口 LIII=0.000079・7757OII+0.438679LIII -1+128.700 6.99184 (2.19408) (1.48964) (1.979221) 2.21104
⑩ 第 三 次 産 業 生 産 額 0.99795 OⅢ=0.978415Y-1+3483.85LⅡ-822096 1.78166 (3.40419)(6.09477)(-7.80863) ⑪ 運 賃 収 入 Rt=0.0601771Y+0.37266△Rt+442460 0.98298 (16.1038)(3.04096)(5.43787) 1.78223 ⑫ 電 力 料 金 Rc=0.02078880Ⅱ+1280.63 0.98861 (27.9645)(4.02931) 1.56819 ⑬ 新 聞 売 上 高 Rj=0.559509Rj-1+0.00161261△Y+321.329δ1+284563δ2+685.685 0.99103 (5.7219)(1.20298)(6.11008)(6.79313)(5.13276) 1.69069 ⑭ 商 業 販 売 高 Rm=0.0304386YN-155307 0.95166 (13.3478)(-4.49229) 2.14445
-135-⑮ 電 話 料 金 RP=0.0167767Rm+510.7854P-85548.9 0.99154 (17.1477)(4.89893)(-4.81114) 2.51554 ⑯ 広 告 収 入 高 Ra=0.0142762Rm+0.0587030△C+459.970 0.93532 (4.84014)(1.32505)(0.85301) 1.20745 ⑰ 県 民 所 得 Y=0.178461(OI+0Ⅱ+W)+74008.8 0.98740 (26.5788)(12.9461) 1.02260 ⑱ 第 三 次 産 業 収 入 指 標 W=Rt+Re+Rj+Rm+RP+Ra 〔定 義 式 〕 ⑲ △C=C-C-1 ⑳ △Y=Y-Y-1 〓 △Rt=Rt-Rt -1 -
136-〔 第3ブ ロ ッ ク 〕 〓 民 間 設 備 投 資 I=Inb+Ib 〓 民 間 設 備 投 資(第 二 次 産 業) II=0.800754Ⅱ-9137,25 0.26685 (14.3453)(-3.50076) 2.46386 〓 固 定 資 本 残 高(第 二 次 産 業) KⅡ=0.869982(KⅡ -1+IⅡ)+780.263 0.94298 (10.8059)(0.0859828) 2.5366 -
137-そ れ ぞ れ の 方 程 式-定 義 式 を除 く-の パ ラ メ ター 推 定 値 の 下 に,括 弧 を 付 して 記 載 し た 値 は,パ ラメター 推 定 値 のt値 で あ り,方程 式 の 名 称 末 尾 に(TSL)と 記 入 さ れ た も の は,二 段 階 最 小 二 乗 法 が 使 用 され て い る 。 通 常 こ の よ うな モ デ ル が,明 確 な 理 論 的 意 味 を 充 分 に 付 与 され,し か も 有 意 性 な らび に 系 列 相 関 に 関 す る検 定 も満 足 す る こ とは,実 際 問 題 と して 可 成 りの 困 難 を 伴 う。 わ れ わ れ は, モ デ ル の 理 論 的 意 味 に も充 分 留 意 した が,予 測 目標 時 点 が 可 成 り先 で あ る の で,予 測 精 度 を 可 能 な 限 り高 くす る とい う配 慮 の 下 に,小 数 の 方 程 式 に つ い て は,理 論 的 説 明 力 の 低 い 結 果 を 敢 て 選 ん だ 。 大 部 分 の 推 定 結 果 は,パ ラ メ ター の 有 意 性 を,少 く と る90%以 上 で 満 足 し, 系 列 相 関 無 し と判 断 さ れ る 。 こ の モ デ ル は,三 つ の ブ ロ ック に分 割 で き る。 第1ブ ロ ッ ク は, eogOI, eogLI, eogOⅡ, eogLⅡ を 内 生 変 数, eogρI, eogKⅡ -1を 先 決 変 数 と して 含 み4個 の 方
程 式 に よ って 完 結 し た体 系 で あ る 。 した が っ て われ わ れ は,こ れ ら4こ の 方 程 式 か ら 成 る 連 立 方 程 式 を, eogpI, eogKⅡ-1に つ い て 解 く こ とが で き る。 換 言 す れ ば,こ れ ら4こ の 内 生 変 数 を, 2こ の 先 決 変 数 で表 わす こ とが で き る 。 これ ら4こ の 内 生 変 数 の 解 は 次 の 通 り で あ る 。 第1ブ ロ ッ ク 誘 導 型 ① eo9OI=0.65594eogρI+7.b4537 ② eogLI=0.28332eogKⅡ-1+0.02333eogt+8.92763 ③ eogOⅡ=0.5-b804eogKⅡ-1+0.29580eogt+6.15080 ④ eogLⅡ=0.05758eogKⅡ-1+0.10906eogt+4.54121 第2ブ ロ ッ ク は, 17個 の 内 生 変 数 と, 10個 の 外 生 変 数 を 含 み, 17個 の 方 程 式 に よ っ て 完 結 さ れ た 体 系 で あ る 。 こ の 誘 導 型 は,次 表 の 通 り で あ る 。 138
第2ブ ロ ッ ク 誘 導 型 ① C=0.77270Y-1+1.43244△Cg-2260.50000 ② Inb=-0.18548Y-1-0.77526Inb-1+0.01900Rj -1-0.00199C-1-0.02023Rt-1+ 0.00 .286△Cg+0.03396OI+0.03466OⅡ+1.72459P+0.01848Gn+0.00107YN +10.91180δ1+9.66329δ2+31905.80100 ③ E=0.01531EN-3228.9 ④ M=0.4033Y-1-0.52197C-1+0.74769△Cg+0.07994OⅡ+5993.74681 ⑤ LⅢ=0.00008OⅡ+0.43868LⅢ -1+128.70000 ⑥ OⅢ=0.97842Y-1+0.27871OⅡ+1528.29532LⅢ-1-373724.505000 ⑦ Rt=0.00076Y-1+0.00976Rj-1+0.00102C-1-0.60597Rt-1+0.00147△Cg+0.01744OI +0.01780OⅡ+0.88570P+0.00055YN+5.60397δ1+4.96278δ2+1576.15360 ⑧ Re=0.02079OⅡ+1280.63000 ⑨ Rj=-0.00160Y-1+0.55967Rj-1-0.00002C-1-0.00017Rt -1+0.00002△Cg +0.00029OI+0.000300Ⅱ+0.01485P+0.00001YN+321.42296δ1+284.64621δ2 +831.49605 -
139-⑩ Rm=0.03044YN+155307.00000 ⑪ Rp=50.78540P+0.00051YN-82942.84854 ⑫ Ra=0.04536Y-1-0.05870C-1+0.08408△Cg+0.00043YN+2545.06261 ⑬ W=0.04452Y-1+0.56943Rj-1-0.05974C-1-0.60614Rt-1+0.08558△Cg +0.01773OI+0.038890Ⅱ+51.68595P+0.03194YN+327.02694δ1 +289.608992+927749373 ⑭ Y=0.00795Y-1+0.10162Rj-1+0.01066C-1-0.10817Rt-1+0.01527△Cg +0.18162OI+0.18540OⅡ+9.22387P+0.00570YN+58.36123δ1+51.68362δ2 +90565.87153 ⑮ △C=0.77270Y-1-1.00000C-1+1.43244△Cg-2260.50000 ⑯ △Y=-0.99205Y-1+0.10162Rj-1-0.01066C-1一0.10817Rt-1+0.01527△Cg +0.18162OI+0.185400Ⅱ+9.22387P+0.00570YN+58.36123δ1+51.68362δ2 +90565.87153 ⑰ △Rt=0.00076Y-1+0.00976Rj-1-0.00102C-1-1.60597Rt-1+0.00147△Cg +0.01744OI+0.017800Ⅱ+0.88570P+0.00055YN+5.60397δ1+4.96278δ2+15756.15360 -
14O-図5-2 岡 山県経 済 の計 量経 済 学 モ デル因 果序 列 チヤー ト
第2プ ロ ツ ク
3この方 程 式 か ら 成 る 第3ブ ロ ッ ク は,逐 次 代 入 法 に よ っ て 解 が 得 られ る 。 即 ち,第2ブ ロ ック の 解 か ら得 られ るInbお よ び 先 決 変 数Ibの 値 を ⑫ に 代 入 し てIを 求 め,こ れ を⑳ に 代 入 す れ ばIⅡ が 求 め られ る 。 こ の 解 と,先 決 変 数KⅡ-1の 値 を⑭ に 代 入 す る こ と に よ ってKⅡ の 値 も求 め られ る 訳 で あ る 。
これ ら三 つ の ブ ロ ッ ク は,解 法 上 は そ れ ぞ れ 独 立 し た形 を と っ て い る が,実 質 的 に は,独 立 で は な い 。 ま ず 第1ブ ロ ッ ク の 解 の 反 対 数 を と る こ とに よ っ て われ わ れ はOI, OⅡ, LI, LⅡ の 値 を知 る こ とが で き る。 これ らの 変 数 は 第2ブ ロ ッ ク に と って 形 式 上 は 外 生 変 数 と な
って い る 。 した が っ て 第2ブ ロ ッ ク の 内 生 変 数 は, OI, OⅡ, LI, LⅡ お よ び 他 の 先 決 変 数 に よ って 表 わ さ れ る こ と と な る。 第2ブ ロ ッ クの 内 生 変 数 の 値 は,第2ブ ロ ック の 誘導 型 に,第1ブ ロ ッ ク で 決 定 さ れ たOI, OⅡ, LI, LⅡ の 値 お よ びそ の 他 の 先 決 変 数 の 値 を 代 入 す る こ と に よ って 得 られ る 。 し た が って,解 法 の 順 序 は 第1ブ ロ ッ ク か ら第2ブ ロ ッ ク に 一 方 的,非 可 逆 的 に 進 め られ る 。 つ ぎ に さ き に 解 法 の 説 明 で 明 らか に した よ うに,解 法 上 は 第2ブ ロ ッ クか ら第3プ ロ ッ ク に 進 む と い う,一 方 的,非 可 逆 的 な順 序 に 拘 束 さ れ る。 そ して,構 造 方程 式 か ら 明 らか に な る よ うに,第2ブ ロ ック の ど の 内生 変 数 も,第3ブ ロ ッ ク の 内 生 変 数 に よ って 説 明 さ れ て い な い 。 した が っ て 第2ブ ロ ック と第3ブ ロ ック と の 間 に は,解 法 上,し た が って 誘 導 型 か ら見 た 場 合 に,第2ブ ロ ック か ら第3ブ ロ ッ クへ と い う方 向 の,一 方 的 因 果 関 係 が 認 め られ る。 第1ブ ロ ッ ク と 第2ブ ロ ッ ク と の 間 に は,解 法 上 の 直 接 的 因 果 関 係 は 存 在 し な い が,第2ブ ロ ッ クを 経 由 す る 間 接 的 な 解 法 上 の 因 果 関 係 は 存 在 す る 。 そ れ と 同 時 に,第3ブ ロ ッ ク の 内 生 変 数KⅡ の 前 期 の 値 は,第1ブ ロ ック の 内 生 変 数 OⅡ の構 造 方 程 式 に,説 明 変 数 と して 登 場 して お り,第3ブ ロ ッ ク か ら第1ブ ロ ック と い う, 構 造 上 の 因 果 関 係 が 確 認 で き る 。 以 上 の 関 係 を 図 示 した もの が 図5-1で あ る 。 これ か ら 明 らか な よ うに,構 造 上 の 因 果 関 係,解 法 上 の 因 果 関 係 を 綜 合 す れ ば,三 つ の ブ ロ ック は 相 互 的 に 一 つ の 体 系 を構 成 し て い る も の と判 断 さ れ る。 ブ ロ ック 相 互 の 関 係 を変 数 相 互 の 因 果 序 列 に つ い て 図 示 し た 屯 の が,図5-2「 岡 山 県 経 済 の 計 量 経 済 学 モ デ ル の 因 果 序 列 チ ヤー ト」 で あ る。 3プ ロ ック 相 互 の 因 果 関 係 143
5.・3わ れ われ の モ デル分析 の 目的 は,藻 業 連 関分 析 との結 合 の必要 上,最 終需 要 成 分 の単 純 予測 値 を 昭和47年 お よび50年 につ い て手 に 入れ る ことで あ る。最 終 需要 成分 中,政 府 投資 ・政 府 消 費は外 生 的 に決定 され る。 したが って,モ デ ルの 内生 変数 と して扱 われ る最 終 需要 成 分 と して は,県 民 消 費 ・民 間 設備 投資 ・在庫 投 資 ・輸 出 ・輸 入 な どが あ げ られ る。 こ れ らの変数 は何 れ もモデ ルの 内生 変数 と して使 用 され なけれ ば な らないが,在 庫 投 資 は地 域 経済 の場 合,信 頼 で きるデー タが ない。 そ こで,し ば しば外 生 化 され る 輸 出 を内生化 し,在 庫 投資 の予 測値 は県 民 所得 か ら輸 出を 含む他 の最 終需要 成 分 の 和 を控除 して 求 め る とい う方 法 を と った。 民 間 設備 投 資 は,岡 山県 経 済 の際 立 った 特徴 に即 して二 つの 部分 に分け て考 え た。一 つは 水島 にお ける民 間設備 投資 で あ り,い ま一 つは 水 島以 外 の事業 所 で行 なわれ る民 間 設備 投 資 で あ る。 水 島 工業地 帯は,国 民経 済 的視 点 に立 った場 合 に経 済発 展 に 対す る戦略 的 要 因 の一 角 を構 成 して い る と同時 に,岡 山県経 済 にお け る産 出額 ウ エイ ト,あ るいは 岡山県 経 済 の第 5次 産業 との間 に認 め られ る緊 密 な関係 准 どか ら判断 して,岡 山 県経 済 の発 展の た めの基 幹 巌業 と して 役割 を担 ってい る。 この こ とは,水 島関係 の産業 部門す な わ ち鉄 鋼 ・石 油 ・自動 車等 が 岡山 県経 済 を構成 す る各 部 門 に どの程 度貢 献 してい るか を示す 影 響 力係数 に 関す る分 析 か ら明 らかで あ る,,現 在 では,岡 山の 第2次 産 業 へ の水 島 か らの 投入 が 僅 か であ るた め, 水島 関係 の影響 力係 数 の大 きさは,岡 山 県 の第2次 産 業 に対 して き わめ て少 な く,第5次 産 業 に片 寄 って い る。 もし も岡 山県 の 第2次 産 業一 水 島 か らの 投入 が 増加す る よ うに,し たが って水 島 の生 産物 の よ り多 くの もの が 岡山 県 の第2次 産業 の原 材料 と して使 用 され る よ うに なれ ば,水 島関係 の巌業 はそ れ だ け岡 山 県経 済 の迂 回過 程 に組 み 入れ られ る こと となる はず で あ る。 これ に対 して,水 島 関係 以外 の 産業 部 門は,第1次 産 業 中 の工芸 作 物,畜 産 の一 部 あるい は第2次 産 業 中の繊 維 な ど,限 られ た もの をの ぞ き,主 と して地 域 内市場 を対 象 に して い る 非 基 幹 産業各 部 門 の経 済活 動は,比 較 的 地 域 の中 で封 鎖 され た メカ ニズ ムに よ って 内生 的 に 決 定 され てい る傾 向 が強 い もの とみな され る。 この よ うな考 察 か ら,わ れ われ は岡 山県経 済 の発 展 に対 す る衝 撃要因 と して の民 間設 備投 資 を扱 うに 当 って,水 島 関係 基幹 産 業 の民 間 設備 投資 を外 生 化 し,そ の 他の 民 間設 備 投資 は, 岡山県 経 済 の他 の諸 変数 と相互 依 存関 係 の中 で 同時 的 に決定 さ れ る もの と して 内生 化す る こ と と した。 この よ うな取 り扱 いは,他 面予 測技 術 上 の利 点 を も提 供 する。即 ち,水 島 関係 の事 144
業所 は,大 規 模 で あ るが小 数 で あ るた め,か な りの将 来 に わた る設 備 投資 計 画 に つい ての 具 体 的 な情 報 が集 め易 く,予 測 の ため に 必要 な外生 変数 予 測 はそれ だけ 容 易 と なる とい う点 で あ る。 第 二 に指 摘 して論 か なけ れ ば な らない点 は,こ の モデ ル が最終 需 要 成分 の大 部分 を 内生 変 数 と して 含 み,し た が って支 出 所得 成 分大 部 分 を変数 と して 含み 森が らも,支 出所 得 とそ の 成分 との 間 に成立 す る定 義 式 を欠い てい る とい う点 で あ る。この理 由は,信 頼 しうる在 庫投 資 デ ータの嵐(た め,在 庫投 資 を支 出所 得 か らの残 差 として求め な けれ ば な らなら という点と関連 してい る。このようにして所 得 の定義 式 を欠く代 わ りに,モデルの第2プ ロックに,所得 形成 関数 を含 ん でい る。 この 関数 は,説 明変 数 か ら明 らか な よ うに,所 得 形 成 に関す る行 動式 と しての 説 明 力は稀 薄 で,む しろ 説 明変数 のパ ラ メ ター は,確 率的 な性 質 を与 え られ た付 加価 値 率 と解 訳され る。 行 動 方程 式 と して の性 格 が,一 層 明示 的 に 明確 な関数 を多数 想 定 して 推定 を試み た けれ ど も, われ われ が か な り高 い検定 基 準 か らす れ ば,採 用 で きな い結果 に 終 って い る。 第三 に,こ の モデ ルは 最終 需 要 成分 の 同時的決 定 に重 点 をお いて い る と同 時に,第 三次 産 業 各 部門 の 売上 げ,販 売高 の 面 で,他 の部 門 よ り高い レベ ルに ま で細分 さ れ て いる。 この こ とは 多 少 モデ ル の構 成 に ア ンバ ラン スな感 じを抱 かせ る か も知れ ない が,現 在 に論 け る基幹 巌 業 との最 もタ イ トな 結節 点 が第 三 次 産業 で あ る事実 に鑑 みて,あ え て この よ うな構 成 を と って い る。 な お モデ ルに よる予 測 は次 の よ うに して進 め られ る。 ま ず,モ デ ルの 外生 変数 の同 様時 点 まで の予 測 値 を,国 民経 済 に関 して既 に試 み られ た数 多 ぐの予 測 結果,国 の計 画,県 の計 画, 水 島 関係 事業 所 の 計 画 な どを情 報源 と して 求め てお く。 外 生変 数 予測 値 の時 系列 は,表5-1の 通 りで あ る。 第1ブ ロック,第2ブ ロックの誘導 型 に あ らわれ る外生 変数 の 昭 和42年 の 値を,そ れぞ れ の誘 導 型 に 代入 すれ ば,昭 和42年 の 内生変数 の 値が 得 られ る。 第2ブ ロ ック で決 定 さ れ た42年 のInbの 値 と, 42年 のIbの 値 とを〓 に代入 すれ ば,既 に 説 明 した逐 次 代入 に よ り, IⅡ, KⅡ,の42年 予 測値 が 求 め られ る。 この よ うな計 算 を,昭 和 50年 ま で くり返 す ことに よ って,わ れ われ の必要 とす る,昭 和47年 予 測 値 論 よび 昭和 50年 予 測値 が 求 め られ る。 結 果は表5-2の 通 りで ある(Fxnal Testの グ ラフは省 略)。 145
表5-1 外 生 変数予 測値 (35年 価 格) 1 4 6
表5-2 計 量経 済 学 モデル に よる 予 測結 果 単位:百 万円 昭和40年 価格
6.交 通 網整 備 の影 響 に関 す るシ ミュレー シ ョン 6・1 2節 で 分析 の輪廓 を示 してお い た よ うに,シ ミュ レーシ ョンは,交 通網 整備 の進 行 に伴 う岡 山県 は じめ 全国 各地 域 の立 地 にお け る比 較 優位 の変 化 が,岡 山県経 済の構 造 に ど の よ うな結 果 を 竜た らすか を明か に す る こ とを 目的 と して,計 量 経 済 学 モデ ル と,産 業 連関 分析 とを結 合 して進 め られ る。 4節 に示 した 通 わ,交 通条 件変 化 に基 づ く立 地 の 比 較 優位変 化の指 標 は,こ の分析 で は 交 易関係t rsi と見 な され て い る 。 そ してt rs i を決 定 す る要 因 としては,時 間 距 離,運 賃距 離 お よび各 地域 の第 財産 出シ ェア の三 つが考 え られ て い る。 交通 網整 備計 面 の進み 方如 何 や,産 出 シ ェア の 想 定 如 何 に よ って, t rsi に は様 々の ケ ー が 発生 す る。 既に 掲 げたTA ∼THは,こ の よ うな 前 提 条 件 の 違 い に対 応 して 想 定 さ れ た 交 易 係 数 か ら成 立 し て い る。 一 方,発 生 ベ ー ス の 最 終 需 要 ベ ク トルfは,後 に 述 べ る よう に,さ き'に掲 げ られ た 交 通 網 整 備 計 画 は な い もの と 想 定 し た 時 の,最 終 需 要 単 純 予 測 値 お よび 国 全 体 の 最 終 需 要 予 測 値 に よ って 与 え られ る。この 最 終 需 要 ベ ク トル と,8通 りのTと を 組 み あ わ せ て,均 衡 産 出 額 ベ ク ト ル を 求 め る 公 式X=〔I-TA〕Tfに 代 入 す る な らば,8通 りの 解 ベ ク トルXを 求 め る こ と が で き る 。 最 終 需 要 べ ク トル は47年 と50年 に つ い て 夫 々予 測 さ れ て い る か ら,合 計18 通 りの 産 出 額 ベ ク トル が 求 め られ る。 残 さ れ た 問 題 は,こ れ らの 産 出 ベ ク トル の 比 較 に よ っ て,最 も望 ま しい も の を 選 び 出 して,そ れ を 実 現 す る た め の 条 件 を 求 め る こ と お よび,交 通 網 整 備 の 行 な わ れ な い 場 合 のTを 使 用 した 結 果 と比 較 す る こ と に よ って,交 通 網 整 備 の 影 響 を知 る こ と で あ る 。 149
さ て,既 に計 量経 済 モデル に よって,昭 和47年 お よび 昭 和50年 の最 終 需要 予測 値 が予 測 され てい る。 一 方,そ の他 全 国地域 の最終 需要 は,国 の計画 お よび予 測値 を比較 検 討 した 上 で,主 と して 「経 済 社 会発 展計 画 第二 次案 」 の数値 を用 い,こ れ か ら岡 山分 を控 除 して 求 めた 岡 山県 お よびそ の他全 国 の最 終 需要 予測 値 は,表6-1の 通 りで あ る。 も しも適 当 な方 法 で,各 最 終 需要 の構 成 を知 る こ とが で きれ ば,最 終 需要 ベク トル を項 目 ご とに推 計す る こ とが で きる。 実際 に採 用 した方 法 の概要 は ,次 の通 りで あ る。 ① 消 費,政 府 消費,民 間 設備 投資,在 庫 投資,輸 出 ・輸 入 につ いて は,「 経 済 社会 発 展計 画 」 の チ ェ ックに使 用 され た 企 画庁 デー タに基 き,各 最 終 需要 項 目別 の構 造係 数 を使用 して,そ れ ぞれ をベ ク トルに 直 した。 ② 建 設 投 資 に つい ては,民 間,政 府 を通 じて主要 部 分 を工 業 種別 に分 解 し,建 設 省 の 「建 設 関係 産業 連 関 表」 の該 当事業 別構 造係 数 を使用 して,ベ ク トル を作 成 した。 以 上 の 手続 きに よ って 得 られ た ベ ク トル の和 に よ って,昭 和47年 の最 終需 要 ベ ク トル f47お よび 昭和50年 の最 終需 要 ベ ク トルf50が 作 成 され た。 結 果 は表6-2の 通 りであ る。 表6-1 最 終 需要 予測 値 (昭 和35年 価 格) 150
表6-2(1) 最 終 需 要 ベ ク トル
(35年 価格 単:百 万 円)
表6-2(2) 最 終 需 要 ベ ク トル
(40年 価 格 単位:百 万 円)
6・2交 通 条 件変 化 の具 体 的 な内 容の 相違 に よって発 生 した, TA∼THの 一 つ一 つ を使 用 して求 め た産 出額 ベ ク トルXA∼XHを,表6-3に 一 覧的 に ま とめて掲 載 してお こ う。 表 の 最 左端X40は,比 較 基 準 の一 つ と して,昭 和40年 の岡 山県 産業 連 関表 の 値 を掲 げ て あ る。40年 基 準 の,そ れ ぞ れ の産 出額 の伸 び は,表6-4に 掲げ て ある。 表6-5右 端 の2列 は,交 通 調 整 備 の ため の建 設 投資 の 目標 時 点 昭 和47年 お よび昭和 50年 にお け る単年 度 直接 効 果 を,上 積 みに した値 で ある。 い ま,各 部 門附 加価 値率 をViと すれ ば, で あ る か ら, {V1 V2… V40}は,部 門 別 附 加 価 値 額 ベ ク トル で あ る 。 シ ミ ュ レ ー シ ョンの結 果 求 め られ た8通 りの産 出額 ベ ク トル の 各 々に対 応す る部 門別 附 加価 値額 の表 示は 省略 した。 155
表6-3 産 出 額
単位:百 万円(40年 価 格)
表6-4 産 出 額 の 伸 び(X/X40×100)
(40年 価 格, 40年 基 準)
6・3 さ き に 説 明 した シ ミュレーシ ョ ン の 計 算 結 果 は,い くつ か の 理 由 か ら修 正 を 必 要 と し た が,そ の 理 由 と修 正 方 法 は 次 の 如 くで あ る 。 ① 表6-3の 産 出 額 は, 35年 価 格 で あ る か ら, 40年 の 岡 山 県 産 業 連 関 表 の 産 出 額 と比 較 す る た め に,デ フ レー ター(表6-9)に よ り,40年 価 格 に 換 算 した 。 ②40年 価 格 の 産 出 額 の うち, 1∼5, 21, 23, 25, 33の 部 門 は 次 の 理 由 に よ り, 補 正 し た 。 ア)1∼5部 門,す な わ ち 第1次 産 業 に 属 す る5部 門 は,ケ ー スA, Cの 値 と計 量 経 済 学 モ デ ル に よ る 第1次 産 業 生 産 額 と を比 較 す る と,前 者 が 後 者 を 大 き ぐ上 廻 って い る た め, 40年 の 生 産 額 と産 業連 関 産 出 額 の 乖 離 率 は 保 持 し な が ら,計 量 経 済 学 モ デ ル の 推 定 結 果 に も と つ い て 減 額 し た 。 イ):鉄 鋼(21)の 産 出 額 は,企 業 の 生 産 計 画 に 対 し過 少 で あ る た め,イ ン ダ ス ト リア ル ・コ ン プ レ ッ ク ス ・ア ナ リシ ス(詳 細 は 省 略)の 観 点 か ら 。企 業 の 生 産 計 画 等 を 考 慮 し て,産 出 額 を 増 額 し た。 ウ):金 属 製 品(23),電 気 機 械(25)部 門 は, 40年 以 後,新 規 企 業 の 進 出 そ の 他 の事情 に よ り急 激 な生 産上 昇 が生 じた ため,産 出額 に上 積 み を行 な った。 エ)商 業(33)部 門 は,商 業 マー ジン率一定 とい う仮 定 を論 い て,第1次,第2次 産 業 の伸 び に よ り,産 出額 を補 正 した。 ③21, 23, 25部 門 の産 出額 の増額 に対 応 して,他 部門 で の産 出額 の増 加が考 え られ るの で,そ れ を考 慮 して 各 部 門に つい て 産 産額 の上 積み を行 な った。 ④ 建設 投資 の 波 及効 果(40年 価 格)を 算 出 し,ケ ー スBお よび ケー スFの 場 合 に上 積 み し て,ケ ー スB, Fの 産 出 額 を算 出 し た。 以 上 の よ う に修 正 した 結 果 え られ た の が,表6-5の 産 出 額X´A∼X´Fで あ り,そ の 対 40年 比 の 計 算 を行 な った の が,表6-6で あ る 。 次 に,鉄 鋼(21)部 門 に つ い て は,前 記 の増 加 分 の1/2が さ らに 増 加 す る とい う場 合 を 想 定 した。 そ の場 合 の各 ケー スの産 出額 が,表6ー7のX″A∼X″Fで あ り,対40年 比の 産 出額の 伸 び が表6-8で ある 。 なお,と くに 重要 な産 業 で あ る鉄鋼 に うい て産 出額 と付 加価値 額 とを比較 した表 を作製 し た が,鉄 鋼 の場合 には,と くにRAS法 に よる投入係 数 か ら算出 した付 加 価 値率 が過 少 で あ る ので,別 に工 業 統計 表(昭 和40年,産 業編)の 生 産額 に対 す る粗 付 加価 値率 の 割合 164
(0.277)を 用 い た 付 加 価 値 額 を 算 出 し た(省 略)。 以 上 の 計 算 結 果 に も と づ い た分 析 と評 価 は 割 愛 す る が,上 の 説 明 か ら明 らか な よ う に,予 測 値 と し考 え られ る べ き標 準 的 な 場 合 はX´A∼X´Fシ リー ズ の 計 算 結 果 で あ る 。 な お,計 算 に つ い て は 同 志 社 大 学 計 算 セ ン ターHITAC-503 名 古 屋 市 立 大 学 計 算 セ ン ターHITAC-5020 京 都 大 学 計 算 セ ンタ ーKDCⅡ(HITAC-5020)を 使 用 した 。 ま た,デ ー タ の 作 成,提 供 に は 岡 山 県 企 画 部 の 絶 大 な 援 助 を え た こ と を 記 して お き た い 。 165
表6-5 産 出 額(40年 価格) (単 位 百 万円) - 1 6 6−
表6-6 産 出 額 の伸ひ(X/X40×100) (40年 価 格40年 基 準) 1 6 8
表6-7 産 出 額(40年 価 格) (単 位 百 万 円) 1 7 0
表6-8 産 出 額 の 伸 び(X/X40×100)
表6-9 部 門 別 産 出 額 デ フ レー ター