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「三世代遊び場マップ」から「三世代遊び場づくり」へ ─地域の記憶をつなぐ役割としての遊び場─

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Academic year: 2021

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464   農村計画学会誌 Vol. 38, No. 4, 2020年 3 月 1 活動背景と活動計画 (1)活動の舞台 活動の舞台は,群馬県みなかみ町のたくみの里。みな かみ町は,2017 年にユネスコエコパークに指定された 自然と調和して暮らすことを目指した地域であり,「た くみの里」は集落内に点在する「たくみの家」と呼ばれ る体験施設を回遊しながら,農村の里地・里山の景観を 楽しむことができる道の駅である。2018 年度,みなか み町役場から著者に遊び場の計画づくりの依頼があり, 自然と人間が共生した暮らす里地・里山の地域に合う遊 び場の計画づくりを行うこととなった。 (2)外遊びの著しい減少 まず,たくみの里周辺に居住する子ども約 170 名とそ の親・祖父母世代への子ども(時代)の遊びに関するア ンケート調査を行った。すると,子ども世代では平日の 放課後に外遊びを 1 日もしない子が 6 割にのぼっており, 少子化の影響で身近に気軽に遊べる友達もおらず,田畑, 川,林,神社境内などの自然空間は遊び場として認識さ れていなかった。また,かつての地域産業である養蚕業 のシンボルであり,現存する桑の木も知らないなど,自 然との接触が極めて限定されていることがわかった。 (3)三世代遊び場マップで自然との関わるパターン そして,里地・里山で遊び,自然との関わり方を知る 地域の大人を「あそびのたくみ」と見立て,子ども時代 の生き生きとした遊びの記憶や思い出を地図に落とし込 む「三世代遊び場マップ」づくりから,この地域での遊 びを通した地域空間との関わりを探ることにした。 「三世代遊び場マップ」とは,子ども・親・祖父母世 代,各世代の遊び場環境の変化を 3 枚の地図を並べるこ とでわかりやすく把握できるマップであり,1980 年代 に子どもと街研究会が東京都世田谷区太子堂で行った方 法である。「三世代遊び場マップ」は,楽しい気分で語 られた遊びの記憶をマップに落とし込んでいくことで, 人間と環境の関係を改めて見直していくことができる。 また,マップに書ききれない遊びの思い出・記憶は,『三 世代遊び場図鑑』としてまとめられ,人間と環境の豊か な関わり合いの「パターンランゲージ」として掲載され ている。 (4)三世代遊び場マップから三世代遊び場づくりへ 遊びは何より楽しいものであることから,外遊びの減 少している結果は,子どもたちが今ある遊び環境の中で, 楽しいと思うものを選択している結果でもある。 そこで,自然や屋外との関わり合いが,少しでも楽し いと思える環境を構築すべく「三世代遊び場マップ・図 鑑」を活用できないかというアイディアが浮かんだ。こ れらが「昔は…よかった,でも今の子はね…。」と嘆く 道具として終わらず,少しでも,自然や屋外との関わり 合いが「楽しい」と思える環境を構築する「パターン・ ランゲージ」として機能することで,この地域らしい遊 び場が考案できると考えたためである。こうして「三世 代遊び場マップ・図鑑」を,実際に遊び場に埋め込むこ とで,働きかける遊び場「三世代遊び場づくり」(図2) □特集活動報告□

「三世代遊び場マップ」から「三世代遊び場づくり」へ

─地域の記憶をつなぐ役割としての遊び場─

寺田 光成

(千葉大学大学院園芸学研究科博士後期課程)

木下 勇

(千葉大学大学院園芸学研究科教授) 図1 三世代遊び場マップ 図2 三世代遊び場づくりの流れ

(2)

「三世代遊び場マップ」から「三世代遊び場づくり」へ  465 としての展開を考案し,展開していくこととした。 2 三世代遊び場づくりの展開 図2に示した5段階に沿って,要点を示していく。 A.三世代遊び場マップづくり ①インタビュー 2 週間ほどで計 40 名,60 時間ほど,世代ごとの地図 を用い,遊びに関する思い出を聞き,遊んでいた場所を 塗りつぶしながら,遊びの思い出や状況を聞いていった。 結果は多岐にわたるが,何より皆さんに伝えたいのは, どの方も楽しそうに語り,「あそこの,あの木が…」など, 鮮明に遊びの思い出が出てくる点である。笑いが止まら なくなるような話もたくさんあり,気づけば 1…2…3 時 間と話が尽きなかった。なお余談だが,1980 年代に世 田谷区で行ったインタビューでは,ケーキが出てきたこ ともあったらしい。今回は,どの家庭でも手作りの「た くあん」をお出しいただいた。 ②整理(マップ・リスト・イラスト化) インタビュー結果を,遊び場マップ,遊び・植物・遊 びの思い出のリストに整理していった。なお「遊び」単 体ではなく,必ず,遊び場マップに紐付けながら整理す ることで,より地域空間と連動し,地域の自然との関わ りを示すデータとして保存した。 ③三世代遊び場マップ・図鑑づくり ②で整理されたものを統合しながら,遊び場マップ, 遊び図鑑(遊び・植物・遊びの思い出リスト)を作成した。 B.三世代遊び場づくり ④活用・再現方法の検討 ③をそのまま利用するのではなく,現代に合わせて具 体的にどのように活用できるか方法を考え,再現に当た って必要な要素や方法を検討した。各遊びや遊びの思い 出を大きく人的・物的要素にわけて評価し,それらを, 体験プログラム,遊び道具,遊びの思い出看板,遊び場 の空間構成,遊具といった形態「パターン・ランゲージ」 として埋め込み,無意識に子どもたちが遊びを通して体 感できるような仕組みを考えた。 ⑤遊び場づくり:「竹だけで遊ぼう」 実際には上記から遊び場計画を立案したが,ここでは, トライアル的に実施した一日遊び場イベントを報告す る。④で整理したうち,竹だけに特化した「竹だけで遊 ぼう」というイベントを開催し,体験プログラム,遊び の思い出看板,遊具をトライアル的に再現した。当日に は観光客も含め 350 名ほどが来場し,「あそびのたくみ」 による体験プログラムでは地域住民が子どもたちに遊び を伝授する様子,遊びの思い出看板では,新たな遊び方 を発見する親子,設置した遊具の1つである竹コースタ ーには,イベント終了まで,列が途切れず遊ぶ様子がみ られた。 この様子から,祖父母世代・親世代の外遊びの記憶を 様々な形態にした「パターン・ランゲージ」が,子ども にとって楽しい遊びとして,有効に機能していくことが, 町役場の職員,たくみの里の職員とともに確認された。 3 おわりに ⑤遊び場づくりはトライアルとして行ったことから, 実際に「三世代遊び場づくり」の具体的な実現には,よ り多くのことを考慮する必要がある。この経験を踏まえ, この春から「あそびのたくみ」の要素を埋め込んだ手作 りのプレーパークを開演する予定である 最後に,活動を経ての私の素直な感想を残す。 「いつまで,三世代遊び場マップは作れるのだろうか。」 1980 年代,子どもの外遊びの減少やまちの変化から 生み出された「三世代遊び場マップ」。子どもはどの時 代も遊ぶに違いないだろうが,「屋外」や「地域」とい う場との関わりがなくなっているのは確かである。現在 2020 年,ある時,遊び場マップが白地図とならないた めに,今何ができるだろうか。ご助言などありましたら。 寺田 [email protected] 図3 三世代遊び場づくりの展開

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