研究論文
農 業 土 木 学 会 論 文 集 Trans. of J S I D R E No.249, pp.47∼53 (2007.6)沈砂池 にお ける浮遊土砂流 出に関す る現地観測
仲 村 渠 将*・ 吉 永 安 俊**・ 酒 井 一 人**・ 秋 吉 康 弘***・ 大 澤 和 敏**** * 鹿 児 島 大 学 大 学 院 連 合 農 学 研 究 科 ,〒890-0065鹿 児 島 県 鹿 児 島 市 郡 元 1-21-24. ** 琉 球 大 学 農 学 部,〒903-0129 沖 縄 県 西 原 町 千 原1. *** 宮 崎 大 学 農 学 部,〒889-2192 宮 崎 県 宮 崎 市 学 園 木 花 台 西1-1. **** 東 京 工 業 大 学 大 学 院 理 工 学 研 究 科,〒152-8552 東 京 都 目 黒 区 大 岡 山 2-12-1- M1-1. 要 旨 沈 砂 池 に お け る浮 遊 土砂 流 出,沈 砂 池 に よ る浮 遊 土砂 流 出防 止 対 策 の課 題 点 お よび 沈砂 池 の浮 遊 土 砂 流 出 防止 効 果 の簡 易 的 評 価 に つ い て検 討 す るた め,実 際 の 沈 砂 池 で 降 雨時 の 現 地観 測 を行 った.沈 砂 池 に お け る複 数 の降 雨 イ ベ ン トで の土 砂 収 支 計 算 結果 よ り,75μm以 上 の粗 粒 分 は ほ とん どが 捕 捉 され,75μm以 下 の細 粒 分 の 一部 が沈 砂 池 か ら流 出す る こ とが 明 らか にな っ た.ま た 沈砂 池 の浮 遊 土 砂捕 捉 率 が貯 水 の 入れ 替 え率 を表 す 出水 時 回 転 率 を用 い て簡 易 的 に 定 量評 価 され た. キ ー ワー ド:沈 砂 池,捕 捉 率,出 水 時 回転 率,浮 遊 土砂 粒 度 分 布,浮 遊 土砂 流 出の 管 理,畑 地 流 域,赤 土 流 出 問題 1. は じ め に 沖縄 県 で は 降 雨 時 に 主 と して畑 地 か ら流 出 す る土 砂 や 栄 養 塩 が サ ン ゴ礁 海 域 を 汚 染 し,サ ン ゴ礁 生態 系撹 乱 の 一 因 とな っ て い る.Wilkinson(2004)は 人 為 的 サ ン ゴ礁 撹 乱 要 因 と してsedimentsとnuturientsを 挙 げ て い る.大 見 謝 ら (2000)は 海 底 へ の 土 砂 堆 積 量 の増 大 に伴 い サ ン ゴ被 度 が 減 少 す る こ と を明 らか に して い る.ま た,大 見謝 ら(2003) は 過 剰 な海 域 栄 養 塩 濃 度 が ミ ドリイ シ属 サ ン ゴ に対 して 悪影 響 を及 ぼ して い る と指 摘 して い る.従 って,サ ン ゴ礁 海 域 が 貴 重 な観 光 資源 と な って い る沖 縄 県 で は,サ ン ゴ礁 海 域 の 保 全 の た め,そ して 地 域 社 会 の 持 続 的 発 展 の た めに 陸 域 か らの 負 荷 流 出 を管 理 す る こ とが 重 要 とな っ て い る. 畑 地 流 域 か ら流 出 す る負 荷 と し て は 土 砂 と栄 養 塩 が 主 で あ るが,と く に浮 遊 土 砂 流 出 は懸 濁 態 栄養 塩 の 流 出 に関 与 し(三原 ・坂 本,1996),ま た海 域 の景 観 を損 ね る た め, 浮 遊 土 砂 流 出 の管 理 が 第 一 に重 要 で あ る とい え る.沖 縄 県 の畑 地 帯 で は土 砂 流 出 を軽 減 す る た め,ほ 場 勾 配 修 正,承 排 水 路 の 設 置 お よび 流 域 末 端 部 に設 置 す る沈 砂 池 な どの 対 策 が実 施 され て い る(沖 縄 県 農 林 水 産 部,1995a).こ れ らの 対 策 の な か で も沈 砂 池 は 畑 地 流 域 の 最 下 流 に設 置 さ れ 流 域 か らの 土砂 流 出 を 最 終 的 に集 中 管 理 す る対 策 施 設 で あ る こ とか ら,畑 地 流 域 か ら環 境 中へ の浮 遊 土 砂 流 出 を 評 価 ・管 理 す るた め に は沈 砂 池 の効 果 の把 握 が 重 要 で あ る. しか し,沈 砂 池 の浮 遊 土 砂 流 出 防止 効 果 は十 分 解 明 され て い な い.そ こ で本 研 究 で は実 際 の沈 砂 池 で降 雨 時 の浮 遊 土 砂 流 出観 測 を行 い,3つ の 降 雨イ ベ ン トにお け る浮 遊 土 砂 濃 度,浮 遊 土砂 負 荷 量,土 砂 収 支 お よび 浮 遊 土 砂 粒 度 分 布 の結 果 か ら沈 砂 池 に お け る浮 遊 土砂 流 出 に つ い て検 討 し, 沈 砂 池 に よ る浮 遊 土 砂 流 出 防 止 対 策 に つ い て の課 題 点 を 明 らか に した.ま た 沈 砂 池 容 量 と浮 遊 土 砂 捕 捉 率 の 関 係 か ら,沈 砂 池 の 浮 遊 土 砂 流 出防 止 効 果 の 簡 易 的評 価 を行 った. 2. 方 法 沈 砂 池 に お け る浮 遊 土 砂 流 出 現 象 を解 析 す る た め の 主 な方 法 と して,現 地 観 測,水 理 模 型 実 験 お よび 数 値 実 験 が 挙 げ られ る.各 々 の主 な長 所 短 所 と して,現 地 観 測 は実 際 の現 象 を捉 え て い る反 面,出 水 時 の沈 砂 池 内 の 水 理 計 測 が 困難 な こ とか らボ ック スモ デ ル 的 な評 価 に と どま り,沈 砂 池 内 の詳 細 な解 析 が で き な い.水 理 模 型 実 験 や 数 値 実 験 は 沈 砂 池 内 の流 動 場 が 解 析 で き るが,流 動 場 にお け る 土粒 子 の 沈 降特 性 の評 価 が課 題 とな る.そ のた め,各 々 の長 所 を 生 か して これ らの方 法 を併 用 した解 析 が 望 まれ る.そ の 中 で,現 地観 測 に よ る実 際 の現 象 の把 握 は,水 理 模 型 実 験 や 数 値 実験 を設 計 す る に あ た り基 礎 的 情 報 とな る.本 研 究 で は,沈 砂 池 に お け る浮 遊 土砂 流 出現 象 を解 明す る手 始 め と して,ボ ック ス モデ ル 的 な 取 り扱 い を前 提 と した現 地 観 測 に よっ て 実 際 の現 象 把 握 と浮 遊 土砂 捕 捉 効 果 を評 価 す る. 2.1 調査 流 域 Fig.1(a)は 調 査 流 域 の 概 略 図 で あ る.流 域 は3つ の集 水 域(そ れ ぞれA, B, Cと 称 す)か ら構 成 され 流 域 総 面積 は 44.4haで あ り,常 時 わ ず か な基 底流 出が あ る.土 地 利 用 は 主 に畑 地 で サ トウ キ ビ栽 培 が 中 心 で あ り,そ の他 マ ン ゴー, ニ ガ ウ リ,花 卉 な どが ハ ウス栽 培 され て い る.土 壌 は 沖縄 県 北部 地域 に広 く分布 す る国頭 マー ジで あ る. 2.2 調査 対象 沈 砂 池 調 査 流 域 の最 下 流 部 に はFig.1(b)に 示 され る越 流 型 沈48 農 業土 木 学 会論 文 集 第249号 (第75巻 第3号)
(a) 調 査 流 域
The observed basin
(b) 平 面 図 The planview of the sedimentation tank
Fig.1 調 査 流域 と沈砂 池 の 概 略 図
Outline of the observed basin and the sedimentation tank
砂 池 が設 置 され て い る.沈 砂 池 は調 査 地域 の設 計基 準 降 雨 強 度134mm・hr-1に 基 づ き,0.2mm以 上 の 砂 分 を 捕 捉 す る よ うに設 計 され て い る(沖 縄 県農 林水 産 部,1995b).沈 砂 池 は仕 切 壁 に よっ て減 勢 池 と沈 殿 池 の2つ に分 け られ て い る.降 雨 時,各 集 水 域 の流 出 水 は排 水 路 を流 下 して それ ぞ れ 異 な る3地 点 か ら沈砂 池 へ流 入 し,排 水 は河 川 へ放 水 され る.沈 砂 池 は農 業 用 水源 と して も利 用 され て お り,ま た流 域 の基 底 流 出 の た め 常 に満 水 状 態 で あ る.な お,沈 砂 池 は流 量 観 測 の た め0.3m堰 上 げ され て お り,貯 水 容 量 は 約9200m3と な っ て い る. 2.3 調 査 方 法 お よ び分 析 方 法 沈 砂 池 の3箇 所 の流 入 口(A,B,C)と1箇 所 の流 出 口(OUT) で 全 幅 堰 と圧 力 式 水 位 計 に よ る流 量 観 測(5分 間 隔)お よび 降 雨 時 の採 水 を行 っ た.採 水 は原 則 と して30分 間 隔 と し, 必 要 に応 じて加 減 した.降 雨 終 了 後 は1∼ 数 日間 隔 で採 水 を行 い,平 水 時 に観 測 され る浮 遊 土砂 濃 度 とな っ た時 点 で 採 水 を終 了 した.沈 砂 池 の 土 手 に転 倒 枡 型 雨量 計 を設 置 し て 雨 量 を観 測 し,調 査 流 域 を代 表 す る 雨量 と した.採 水 し た サ ンプ ル は懸 濁 物 質 分 析 と粒 度 分 析 に供 試 した.懸 濁物 質 分 析 はJISKO102に 準 拠 して行 い,得 られ た懸 濁 物 質 量 を供 試 し た サ ン プ ル の 体 積 で 除 して 浮 遊 土 砂 濃 度(SSC) を 求 め た.粒 度 分 析 に は レ ー ザ ー 回 折 式 粒 度 分 析 計 (SALD-200VER島 津 製 作 所)を 用 い た.流 量 は堰 のJIS公 式 を用 い て 水 位 か ら換 算 した.以 上 の分 析 結 果 か ら,沈 砂 池 にお け る土 砂 収 支 と粒 度 分 布 別 の浮 遊 土 砂 の捕 捉 お よ び 沈 砂 池 容 量 と流 入 水 量 との 関 係 につ い て 解 析 した. 3. 結 果 お よ び 考 察 本研 究 で は 過 去2年 間,多 数 の 降 雨 イ ベ ン トを観 測 して き た が,そ の 内,沈 砂 池 へ の浮 遊 土砂 流 入 開始 か ら,沈 砂 池 か らの浮 遊 土 砂 流 出 終 了 ま で の 期 間 に お け る沈 砂 池 で の 土 砂 収 支 が 得 られ た2004年10月19日,2005年3月10 日お よび2006年1月12日 に始 ま った3つ の 降 雨 イ ベ ン ト に っ い て 検 討 した.各 々 の イ ベ ン トを古 い 順 にX, Y, Z と名 付 け る.ま た,浮 遊 土 砂 の 沈 砂 池 へ の 流 入継 続 期 間 と 沈 砂 池 か らの 流 出 継 続 期 間 をTaMe1に 示 した. Table 1 継 続 期 間 Duration Table 2 降 雨 特 性 Rainfall properties 3.1 降 雨 特 性 降 雨 量 をFig2,降 雨 特 性 をTaMe2に 示 した.降 雨 継 続 時 間 は 浮 遊 土 砂 流 出 に主 に 関 わ っ た と考 え られ る 期 間 と し,降 雨 量 お よび 最 大1時 間 雨 量 は そ の 期 間 内 の もの で あ る.過 去30年 の地 域 の 降 雨デ ー タ よ り,日 雨 量100mm は年 に数 回 発 生 す る降 雨 で あ る.ま た,1時 間 雨 量 は 設 計 基 準 降 雨 強 度 よ り小 さい. 3.2 流 量 お よ び 浮 遊 土 砂 濃 度 の 推移 浮 遊 土 砂 流 入 継 続 期 間 中 の 流 量 と浮 遊 土 砂 濃 度(以 後 SSC)の 推 移 をFig.2に 示 した.流 入 口の流 量 は3箇 所 の合 計 をひ とつ の 曲線 で示 して い る.流 量 は基 本 的 に 実 測水 位 か ら換 算 して い るが,イ ベ ン トXと イベ ン トZに お い て は 流 出 口の 水位 計 の不 調 に よ り正 しい 水 位 観 測 が で き な か っ た た め,3流 入 量 か ら計 算 に よ り水 位 を も と め(荒 木 ・椿,1962),こ の 計 算 水位 か ら流 出流 量 を 求 め た.Fig.2 よ り,流 入 流 量 の ピー ク に対 し,イ ベ ン トXで は15分, イ ベ ン トYとZで は10分 遅 れ て流 出流 量 の ピー ク が現 れ た.流 出SSCピ ー クは 流 入SSCピ ー ク よ り,イ ベ ン トX で約1時 間,Yで 約5時 間,Zで 約1.5時 間 遅 れ て 現 れ た. 浮 遊 土砂 の移 動 は移 流 が主 で あ る と考 え られ るか ら,SSC の 推 移 か ら確 認 され る時 間 差 が 浮 遊 土砂 の 流 出 口へ の 到 達 時 間 を示 す と と も に沈 砂 池 内 で の滞 溜 時 間 を示 して い る.流 出流 量 ピー クが 流 出SSCピ ー ク よ り早 く現 れ るの は,水 理 学 的 に,洪 水 波 の伝 わ る速 度 の 方 が 平 均 流 速 よ り 速 い た め で あ る.SSCピ ー クの 到 達 時 間 と沈 砂 池 の 平 均 流 下距 離82m(各 流 入 口 と流 出 口の 直 線 距 離 の 平 均 値)よ り 到 達 時 間 内 の平 均 的 な流 速 を計 算 す る と,イ ベ ン トXで 0.023m・s-1,Yで0.005m・s-1,Zで0.015m・s-1と な る.ま た,20℃ の静 止 水 中で 球 状 粒 子(比 重2.65)が 沈 砂 池 の 水 深 2.3mを 沈 降 す るの に要 す 時 間 を ス トー ク ス の 沈 降 速 度 よ り計 算 す る と,直 径75μmが 約0.13時 間,同5μmが28.8
沈 砂 池 に お け る浮遊 土 砂 流 出 に関 す る現 地 観 測 49
Fig.2 浮遊 土砂 流 入継 続 期間 中の降 雨イベ ン ト毎 の降 雨量,流 量お よび浮 遊土砂 濃度(左 列:イ ベ ン トX,中 列:イ ベ ン トY,右 列:イ ベ ン トZ) Precipitation, discharge and suspended soil concentration ( left column:event X, central column:event Y, right column:event Z)
時 間 とな り,SSCピ ー ク の 到 達 時 間 は シ ル ト分 を捕 捉 す る の に充 分 とい え る. 流 出SSCは 出水 の ピー ク 頃 ま で は い ず れ の イ ベ ン ト に お い て も流 入SSCよ りも小 さい 値 を示 して い る.こ れ は沈 砂 池 に よ る浮 遊 土砂 の 捕 捉 と,も と も とあ っ た 貯 留 水 に よ る希 釈 の た め で あ る.降 雨 終 了後,流 入SSCは 翌 日に は ほ ぼゼ ロ とな っ た.一 方,流 出SSCは 緩 や か な 減 少 傾 向 で 変 化 して,図 に は 示 して い な い が 降 雨 終 了 か ら 4日 後 に 平 水 時 に観 測 され る値(約10mg・L-1)と な っ た. こ の よ うな 浮 遊 土 砂 流 入 継 続 期 間 以 降 の 沈 砂 池 貯 留 水 の 懸 濁 長 期 化 は,吉 永 ら(2004)が 指 摘 して い る よ うに 化 学 肥 料 由来 の リ ン 化 合 物 に よ る分 散 作 用 に よ っ て 微 細 土 粒 子 の 沈 降 が 阻 害 され て い る こ と が 原 因 で あ る と 考 え られ る.従 って,沈 砂 池貯 留 水 の懸 濁 長 期 化 を 抑 制 し, 微 細 土 粒 子 の 環 境 中 へ の 流 出 を 減 少 させ る た め に は 営 農 に お け る 施 肥 管 理 ま で 考 慮 し た 対 策 が 必 要 で あ る と い え る. 3.3 浮 遊 土 砂 の 粒 度 分 布 Fig.3は 浮 遊 土砂 の 粒 度 分 析 結 果 で あ る.グ ラ フ の 縦 軸 は粒 子 体 積 に よ る相 対 量 で あ る.流 入 口A,B,Cの 結 果 は イ ベ ン ト毎 に ひ とつ の 図 に ま と め た.各 図 にお い て, 曲線 の 一 本 一 本 が そ れ ぞ れ の 場 所 お よ び 採 水 時 刻 に お い て採 水 され たサ ン プ ル の粒 度 分布 を示 して い る.ま た, 本 研 究 で は 粒 子 径 が75μmよ り大 きい も の を 粗 粒 分,小 さ い も の を 細 粒 分 と呼 ぶ.流 入 口で は 粒 子 径 は 大 き くて も数 百 μmで あ り大 部 分 が 細 粒 分 で あ る こ とが わ か る. 粗 粒 分 の 多 く は 掃 流 砂 と して 輸 送 され て い る と考 え ら れ,沈 砂 池 へ 到 達 す る ま で に水 路 床 や 土 砂 溜 桝 な ど で堆 積 した た め に,沈 砂 池 流 入 時 に は粗 粒 分 の 含 有 割 合 は減 少 した と思 わ れ る.Fig3(d),(e),(f)よ り,流 出 口で は 粗 粒 分 は減 少 し,イ ベ ン トXとYで は 無 視 し得 る ほ どで あ った.こ れ は 沈 砂 池 が0.2mm以 上 の砂 分 を捕 捉 す る よ うに 設 計 され て い る こ とに加 え,降 雨規 模 が 設 計 基 準 降 雨 以 下 で あ り,粗 粒 分 が 十 分 に 捕 捉 され る流 れ で あ っ た た め と思 わ れ る.こ れ に対 し,ど の 降 雨イ ベ ン トに お い て も 細粒 分 の流 出 が認 め られ,通 常 起 こ り う る降 雨規 模 にお け る沈 砂 池 か らの 細 粒 分 の流 出 が 確 認 で き る.従 っ て,畑 地 流 域 か らの浮 遊 土 砂 流 出 を 現 状 よ り も厳 し く管 理 す る 場 合 に は,現 在 の 設 計 で は 考 慮 され て い な い 0.2mmよ り細 か い 土 砂 成 分 で あ る細 粒 分 に対 す る 対 策 が 課 題 とな る.
50 農 業 土 木学 会 論 文集 第249号 (第75巻 第3号) (a) イ ベ ン トX 流 入 口 (b) イ ベ ン トY 流 入 口 (c) イ ベ ン トZ 流 入 口 (d) イ ベ ン トX 流 出 口 (e) イベ ン トY 流 出 口 (f) イベ ン トZ 流 出 口 Fig.3 浮 遊 土 砂 粒 度 分 析 結 果(上 段:イ ベ ン トX,中 段:イ ベ ン トY,下 段;イ ベ ン トZ,左 列:流 入 口,右 列:流 出 口)
Results of suspended soil particle size distribution analysis
(upper row:event X, central row:event Y, lower row:eventZ, and left column:inlet, right column:outlet)
Fig4土 砂 収 支(左:イ ベ ン トX,中:イ ベ ン トY,右:イ ベ ン トZ)
Soil balance (left side:event X, center:eventY, right side:event Z)
3.4 土 砂 収 支 Fig.4は 沈 砂 池 にお け る 土砂 収 支 の結 果 で あ る.粒 度 分 析 結 果 を適 用 して,全 体 を細 粒 分 と粗 粒 分 に仕 分 け した. ま た,各 イ ベ ン トの図 にお い て右 端 の棒 グ ラ フ は細 粒 分 の み の 収 支 を示 して い る.沈 砂 池 に よ る浮 遊 土 砂 の全 捕 捉 量 (流入 と流 出 の 差)は イ ベ ン トXが2402kg,Yが2083kg, Zが6197kgと な り,捕捉 量 の流 入 量 に対 す る割 合(捕 捉 率) は そ れ ぞ れ59%,79%,69%で あ った.粗 粒 分 の捕 捉 量(捕 捉 率)は イ ベ ン トXが523kg(98%),Yが11kg(100%),Z が211kg(69%)と どのイ ベ ン トに お い て も ほ とん どが捕 捉 され て い た.細 粒 分 のみ の捕 捉 率 はイ ベ ン トXが53%,Y が79%,Zが69%で あ っ た.こ こで,沈 砂 池 内 の貯 留 濁 水 が 流 動 して い る と考 え られ る流 入 継 続 期 間 中 と貯 留 濁 水 が ほ ぼ 静 止 して い る と考 え られ る流 入継 続 期 間 以 降 につ い て,各 々 の期 間 に お け る浮 遊 土砂 捕 捉 量 を細 粒 分 につ い て求 め た.流 入 継 続 期 間 終 了 時 に お け る流 出SSCはFig.2 よ りお よ そ100mg・L-1で あ り,そ の 浮 遊 土砂 の粒 度組 成 は ほ ぼ全 て が細 粒 分 で あ る.流 入 継 続 期 間終 了時 の流 出SSC とそ の 時 の 貯 留 濁 水 の細 粒 分 につ い て の 浮 遊 土 砂 濃 度 が ほぼ 等 しい と仮 定す る と,沈 砂 池 容 量 が 約9200m3な の で, 流 入 継 続 期 間 終 了 時 に貯 留 濁 水 中 に浮 遊 す る 細粒 分 の量 は 約920kgと 見積 も られ る.こ の約920kgの 細 粒 分 は流 入 継 続 期 間 以 降 の 貯 留 濁 水 が ほ ぼ静 止 した 状 態 で 沈 積 す る と考 え られ るた め,流 入 継 続 期 間以 降 に捕 捉 され た成 分 と して 見積 も られ る.な お,貯 留 濁 水 の粒 度 組 成 の実 測 値 が 得 られ て い な い た め 正確 に は分 か らな い が,粗 粒 分 は比 較 的 速 や か に 沈積 し,ま た流 入 継 続 期 間以 降 の流 出SSCの 低 減 が 小 さい こ とか ら,貯 留 濁 水 中 の浮 遊 土 砂 の大 部 分 は 細粒 分 とみ な して よい と思 われ る.次 に,流 入 継 続 期 間 中 にお け る浮 遊 土 砂 捕 捉 量 を細 粒 分 に つ い て 求 め る た め, Fig.4に お け る細粒 分捕 捉 量 か ら920kgを 控 除 す る と,イ ベ ン トXが 959kg,Yが 1152kg,Zが 5066kgと な り,い ず れ の イベ ン トにお い て も流 入 継 続 期 間 中 の流 動 状 態 時 に細 粒 分 が 捕 捉 され て い る こ とが認 め られ た.Fig3に お い て沈 砂 池 か ら流 出す る浮 遊 土砂 の粒 度 分 布 が 細 粒 分 の 全 範 囲(∼75μm)に 及 ん で い る こ と を考 慮 す る と,同 じ粒
沈 砂池 にお ける浮 遊 土 砂 流 出 に関 す る現 地 観測 51 径 の 細 粒 分 で あ っ て も沈 砂 池 で捕 捉 され る も の と沈 砂 池 か ら流 出す る も の が あ る こ とが わ か る.こ の違 い が生 じた 原 因 と して沈 砂 池 内 の速 い 流 れ と遅 い 流 れ の存 在 が 考 え られ る.す な わ ち,遅 い流 れ に乗 っ た細 粒 分 は沈 砂 池 で捕 捉 され,速 い流 れ に乗 っ た 細粒 分 は沈 砂 池 か ら流 出 した浮 遊 土砂 の 主体 を成 して い る と思 われ る.細 粒 分 が流 入 継 続 期 間 中 に捕 捉 され て い た 事 実 を 考慮 す る と,沈 砂 池 内 に速 い流 れ が 発 生 しな い よ うな 水 制 を施 す こ とに よ っ て 細 粒 分 の捕 捉 量 を増 大 させ る こ とが 可 能 に な る と考 え られ る. た だ し細 粒 分 の うち粒 径5μm以 下 の粘 土分 は,本 観 測 か らも ほ とん ど流 出 して お り,水 制 の有 無 や 流 速 の大 小 に 関 わ らず,沈 砂 池 か ら流 出す る と思 われ る.ま た,本 研 究 で は流 入 継 続 期 間終 了 時 の流 出SSCと 貯 留 濁 水 の細 粒 分 に つ い て の浮 遊 土砂 濃 度 が ほ ぼ等 しい と仮 定 した が,実 際 の 貯 留 濁 水 は 空 間 的濃 度 分 布 が あ る と考 え られ る た め,濃 度 分 布 を よ り正 確 に 評 価 す る こ とが今 後 の 課 題 と して 挙 げ られ る. 次 に,イ ベ ン トXの 降 雨 規 模 は イ ベ ン トZよ り小 さい に も 関 わ らず,浮 遊 土砂 捕 捉 率 は イベ ン トXの ほ うがイ ベ ン トZよ り10%低 くな っ て い る.こ の原 因 は次 の よ う に考 え られ る.沈 砂 池 か らの浮 遊 土砂 流 出 の程 度 は流 量 の 減 少 時 よ りも増 大 時 の ほ うで 強 い と考 え られ る か ら,流 量 増 大 時 に 流 入 す る浮 遊 土 砂 は流 量 減 少 時 に流 入 す る場 合 よ りも沈 砂 池 か ら流 出す る割 合 が 高 い と思 われ る.流 入 継 続 期 間 中 の あ る時 点 ま で の 浮 遊 土砂 流 入 量 が全 浮 遊 土 砂 流 入 量 に 占 め る 割 合 を 浮 遊 土 砂 流 入 割 合 と して 定 義 す る と,流 量 ピー ク時 点 にお け る浮 遊 土砂 流 入 割 合 が 大 き い ほ ど,沈 砂 池 か らの浮 遊 土砂 流 出割 合 も大 き くな り,そ の結 果,捕 捉 率 が低 下す る と考 察 され る.こ の考 察 に基 づ きイ ベ ン トXとZに つ い て解 析 して み る と,流 量 ピー ク 時 点 の 浮 遊 土 砂 流 入 割 合 は イ ベ ン トX(70%)が イ ベ ン ト Z(57%)よ り高 い た め,浮 遊 土砂 捕 捉 率 はイ ベ ン トXがZ よ り低 くな っ た と考 え られ る. 3.5 浮 遊 土砂 捕 捉 と 出 水 時 回 転 率 との 関係 沈 砂 池 に お け る浮 遊 土 砂 の 捕 捉 と類 似 す る事 例 と して, ダ ム貯 水 池 に お け る 土砂 管 理 を 挙 げ る こ とが で き る.ダ ム 貯 水 池 にお い て は貯 水 量 の 把 握 とい った 従 来 か ら の 問題 の他 に,流 砂 系 に お け る 総合 的 土砂 管理(反 町,1999)の 観 点 か らも,特 に微 細 土粒 子 に 対す る堆砂 量 予測 の精 度 向 上 が求 め られ て い る(柏 井,2001).ダ ム貯 水 池 に お け る堆 砂 量 推 定 に 関す る最 近 の研 究 と して,箱 石(2000),櫻 井 ら (2002)お よ び 岡 野 ら(2003)等 が あ る.こ れ らの報 告 で は ダ ム貯 水 池 に お け る 土砂 捕 捉 率 を 求 め る た め,降 雨 出水 時 の 流 入 水 量 に応 じた 貯 水 の 入 れ 換 え 率(出 水 時 回 転 率)を 用 い た評 価 が行 われ て お り,土 砂 捕 捉 率 が 出水 時 回転 率 に反 比 例 して低 下す る こ とを 報 告 して い る.本 研 究 で も,沈 砂 池 の 浮 遊 土砂 捕 捉 率 を 一 般 化 し簡 易 的 に 評 価 す る 目的 か ら,出 水 時 回転 率 を用 い た浮 遊 土砂 捕 捉 の評 価 を試 み た. こ こ で,既 往 の研 究 で は 出水 時 回転 率 は 出水 に よ る流 入 Fig.5 浮 遊土砂 流入 継続 期間 中の浮 遊土砂 量 と出水 時回 転率 の推移 (上段 よ りイベ ン トX,Y,Z)
Changes of SSL, Cu.SSL and (upperevent X, centerevent Y, lowecevent Z)
水 量 と出 水 直 前 の 貯 水 量 の 比 と して 定 義 され て い る.こ の 場 合 には,例 え ば 渇 水 期 等 に お い て 「貯 水 位 く常 時満 水 位 」 とな る状 況 を想 定 す る と,常 時 満 水位 と貯 水位 との 問 に 余 裕 容 量 が 生 ず るた め,出 水 時 に は この 余裕 容 量 に よ る流 入 水 の貯 留 が 土 砂 捕 捉 効 果 に影 響 す る.従 っ て,出 水 時 回 転 率 を用 い て 土 砂 捕 捉 率 を評 価 す るた め に は,出 水 前 の 貯 水 が 満 水 状 態 で あ る の か 非 満 水 状 態 で あ る の か を明 確 に 区 別 して お く必 要 が あ る.農 業 用 水 の 乏 しい 沖 縄 県 で は 沈 砂 池 を満 水 状 態 に して 農 業 用 水 源 と して 利 用 す る状 況 が あ り,ま た 非 満 水 状 態 は 貯 水 率 な どの パ ラ メー タ設 定 が 必 要 とな る.本 研 究 で は 実 際 の 利 用 状 況 を反 映 し,ま た 問 題 を 簡 素 化 して 取 り扱 う目的 か ら,沈 砂 池 の 貯 水 が 満 水 状 態 で あ る こ とを 出水 時 回 転 率 の 算 出 条 件 と した.従 っ て,既 往 の研 究 に お け る 出 水 時 回 転 率 の 定 義 にお い て 貯 水 量 を 満 水 容 量 と置 きか えて,「 出 水 時 回 転 率 とは,一 回 の 降 雨 出 水 に よ る流 入 水 量 と貯 水 池 の満 水 容 量 との 比 で あ り,出 水 直 前 の 貯 水 が 満 水 状 態 で あ る こ と を条 件 とす る.」 と して 再 定 義 した. Fig.5は 浮 遊 土 砂 の 流 入 継 続 期 間 中 の 浮 遊 土砂 量 と出 水 時 回 転 率 ξの推 移 で あ る.横 軸 は 降 雨 開始 時 を ゼ ロ と した 経 過 時 間 で あ る.浮 遊 土 砂 量 の グ ラ フは 流 量[m3・s-1]と浮 遊 土 砂 濃 度[mg・L-1]の 積 か ら得 られ る浮 遊 土 砂 負 荷 量(以 後,SSL)[g・s-1]とSSLを 累積 して得 られ る 累積 土砂 量
52 農 業土 木 学 会論 文 集 第249号 (第75巻 第3号) (Cu.SSL)[kg]の2種 類 を示 した.ま た,出 水 時 回 転 率 ξの グ ラ フ 表 記 は,見 や す い よ うに1に 達 す るた び に ゼ ロに リ セ ッ トす る こ とに し,グ ラ フの 頂 点 の 数 が貯 水 の 換 水 回数 を表 す よ うに した.説 明 上,換 水1回 目をξ=1,2回 目を ξ=2の よ うに表 現 す る.イ ベ ン トXとZで は2回 強 の換 水 が発 生 して い るが,Yで は1回 以 下 で あ る.ま た,Xと Zは 同程 度 の流 入 水 量 で あ るが換 水速 度 はZが 速 い.こ の よ うな違 い は 降 雨 特性 の 違 い を 反 映 した もの で あ る. イ ベ ン トXとZで は流 入SSLピ ー ク とξ=1と が 一 致 し た 。Fig2よ り,流 入SSCピ ー クは 流 入 流 量 ピー ク とほ ぼ 同 時 に 出 現 して い る こ とか ら,流 入SSLピ ー ク も流入 流 量 ピー ク とほ ぼ 同 時 に 出現 す る.そ の 結 果,イ ベ ン トX とZで は,流 入 流 量 が ピー ク に達 した 時 点 で の 総 流入 水 量 が 沈砂 池容 量 と同 じに な っ た(す な わ ちξ=1)ため に,流 入SSLピ ー ク とξ=1と が 一 致 した とい え る.イ ベ ン トX とZは 最 終 的 にξ=2を わず か に上 回 り,流 入SSLピ ー ク 以 降 の 回転 数 が1回 強 で あ る こ とか ら,流 速 分布 の 考慮 が 必 要 だ が,水 量 的 に は 流 入SSLピ ー ク以 降 の 流入 濁水 の 多 くは 沈砂 池 に 貯 留 され た とい え る.こ の こ とは 両 イベ ン トの捕 捉 率 の 増 大 に 寄 与 した と考 え られ る.従 っ て,現 在 の設 計 で は 考 慮 され て い な いSSLや ξの 経 時 変化 の 予 測 も 沈 砂 池 設 計 に お い て 重 要 な点 で あ る こ とが示 唆 され る. SSLあ るい はSSCの 予 測 に 関 して は 大 澤 ら(2006)の 研 究 が あ る. Brune(1953)は 出 水 時 回 転 率 の 逆 数(1/ξ)に あ た る Capacity-lnnow ratio(C/I ratio)と土砂 捕 捉 率 との 関係 を報 告 して い る.Fig.6はi捕 捉 率 と1/ξの 関係 で あ り,本 研 究結 果 をBruneお よび 櫻 井 ら と比 較 した.Bruneの 示 した結 果 はBmne curveと して ダ ム貯 水 池 に お け る標 準 的 な堆 砂 量 予 測 手法 と して利 用 され て い る(Bube and Thmble,1986). C/I ratioは降 雨 イベ ン ト単位 で は な く年 間 のデ ー タを用 い て計 算 され て お り,平 水 時 の負 荷 無 しの流 入 水 量 も含 まれ て い る.Fig.6のBrune curveは 文 献 値 をそ の ま ま 引用 し, 平 水 時流 入 水 量 は控 除 して い な い.櫻 井 らの研 究 は 国 内 ダ ム貯 水 池 に 関す る 降 雨 イ ベ ン ト毎 の結 果 で あ り,観 測 値 の ほ か に計 算 値 も示 され て い る.ま た,出 水 前 の貯 水 位 が利 水 満 水 位 で あ っ た 降 雨 イ ベ ン トに つ い て 解 析 が行 わ れ て い る.櫻 井 らに つ い て は 文 献 の 図 か ら読 取値 を プ ロ ッ トし た.Bruneと 櫻 井 ら と もに複 数 の 異 な るダ ム貯 水 池 の結 果 で あ る. Fig.5よ り本 研 究 の最 終 的 なξは イベ ン トXが2.0,Yが 0.6,Zが2.1で あ り,こ れ らの 逆数 とそれ ぞれ の浮 遊 土砂 捕 捉 率 の 点 を プ ロ ッ トした.さ らに,こ れ ら3つ の イベ ン ト以 外 に参 考 の た め3つ のイ ベ ン トの結 果 を追 加 して プ ロ ッ トした.参 考 イ ベ ン トのひ とつ は2004年9月26日(以 後,参 考 イ ベ ン トα)に発 生 し,先 行 降 雨 の影 響 で沈 砂 池 貯 留 水 が懸 濁 した 後 に 起 こっ た イ ベ ン トで あ る.当 イベ ン トで はξ=0.3,捕 捉 率70%で あ っ た.先 行 降 雨 は 降 雨規 模 が 小 さか っ た た め に観 測 対 象 とは な らな か っ た.残 り2 つ の 参 考 イ ベ ン トは 浮 遊 土 砂 濃 度 や 流 量 に 一 部 欠 測 が あ Fig.6 捕 捉 率 と1/ξ の 関 係
Relationships between trap efficiency and 1/ƒÌ
っ たイ ベ ン トで あ り,2004年6月20日(同 β)と,2005年 2月7日(同 γ)に発 生 した.参 考 イベ ン トβはξ=0.4であ り, 捕 捉 率 は少 な く とも85%で あ っ た.ま た参 考 イ ベ ン トγは ξ=0.2,捕 捉 率 は 多 く と も98%程 度 で あ っ た. Fig.6よ り参 考 イ ベ ン トαを 除 き,本 研 究 結 果 は 櫻 井 らの 示 した 国 内 ダ ム の傾 向 と よ く一 致 して い る.Brune curve で は平 水 時 の負 荷 無 し流 入 水 量 が 含 ま れ て い る こ と と,年 間 デ ー タ を用 い て い るた め貯 水 位 が 満 水 位 で は な か っ た 状 況 もあ った と考 え られ る こ とか らプ ロ ッ トが 左 側 に ず れ て い る と考 え られ,こ れ らの 影 響 を控 除 す れ ば 三 者 の プ ロ ッ トは近 く な る と思 わ れ る.ま た 参 考 イ ベ ン トαは 先 行 降 雨 の影 響 で 捕 捉 率 が 低 下 して い る と考 え られ,そ の 影 響 を控 除 す れ ば同 様 の 分 布 範 囲 に 近 づ く と思 わ れ る. Fig.6に お い て 沈 砂 池 の 結 果 は プ ロ ツート数 が 少 な い が, 規 模 や 形 状 が 全 く異 な る ダ ム貯 水 池 と沈 砂 池 の 捕 捉 率 を 出水 時 回 転 率 に よ って 表 した 場合 に,捕 捉 率 の 分 布 が 重 な る こ とは興 味 深 い.こ の こ とは ダ ム 貯水 池 と沈砂 池 に お け る流 れ の 相 似 性 を示 唆 す る もの で あ り,出水 時 回 転 率 は い わ ゆ る相 似 則 の 役割 を 果 た して い る と考 え られ る.出 水 時 回 転 率 は簡 単 な 量 で あ り,沈 砂 池 に お け る浮 遊 土 砂 の捕 捉 や 流 出 を簡 易 的 に 定量 評 価 で き る.Fig.6に 示 され る浮 遊 土 砂捕 捉 率 と出 水 時 回転 率 の 関係 は,既 存 の 沈砂 池 の効 果 を評価 す る場 合 や 沈砂 池 の設 計 ・計 画 段 階 で浮 遊 土砂 捕 捉 量 を事前 に定 量 評価 す る とい っ た場合 には,実 用 上 の問 題 は小 さ く適 用 可 能 と考 え られ る.ま た今 後 の発 展 と して, 浮 遊 土砂 の捕 捉 を増 大 させ るた め の水 制 な どの付 加 対 策 や 参 考 イ ベ ン トαの よ うな先 行 降 雨 に よ って,捕 捉 率 と出 水 時 回 転 率 の関 係 が どの よ うに変化 す るの か を調 べ る こ とに よっ て,付 加 対 策 の効 果 や 先 行 降 雨 の影 響 も出水 時 回 転 率 を用 い て定 量 的 に評 価 して い く とい った応 用 が考 え られ る. 4. お わ りに 沈 砂 池 にお け る浮 遊 土砂 流 出,沈 砂 池 に よ る浮 遊 土砂 流 出 防止 対 策 の 課 題 点 お よび 沈 砂 池 の 浮 遊 土砂 流 出 防 止 効
沈 砂 池 に お け る浮遊 土 砂 流 出 に関 す る現 地 観 測 53 果 の簡 易 的 評価 に つ い て 検 討 す るた め,実 際 の 沈 砂 池 で 降 雨 時 の 現 地観 測 を行 っ た.沈 砂 池 に お け る複 数 の 降 雨 イ ベ ン トで の 土 砂 収 支 計 算 結 果 よ り,75μm以 上 の粗 粒 分 は ほ とん どが捕 捉 され,75μm以 下 の 細 粒 分 の 一 部 が 沈 砂 池 か ら流 出す る こ とが 明 らか に な つ た.ま た,沈 砂 池 の 浮遊 土 砂 捕 捉 率 が 出 水 時 回転 率 を用 い て 簡 易 的 に 定 量 評 価 され た.沈 砂 池 に よ る浮 遊 土 砂 流 出 防 止 対 策 に お け る課題 点 と して は細 粒 分 に 対す る対 策 が 挙 げ られ,例 え ば水 制 の設 置 工夫 に よ る速 い 流 れ の 抑 制 が 効 果 的 で あ る と考 え られ た. 今 後 の課 題 と して,沈 砂 池 に お け る浮 遊 土砂 流 出 に つ い て は堆 積 土砂 の 巻 き上 げ の 影 響 を考 慮 す べ きで あ り,ま た, 捕 捉 率 と出 水 時 回 転 率 の 関 係 に つ い て は種 々 の 条 件 を 考 慮 した解 析 を 要 す.さ らに,沈 砂 池 の 効果 を 質 的 に評 価 す る手 法 の検 討 が必 要 で あ る. 謝辞:本 研究 を進 めるにあた り,沖 縄 県農林 水産部及 び東京 大学 よ り観測機器 の一部 を提供 して頂いた.こ こに記 して感謝 申 し上 げます. 引 用 文 献 荒木正夫, 椿 東一郎(1962): 水理学演習下巻, 森 北出版, 124-126. Brune,GM. (1953) : Trap efficiency of reservoirs, Trans. of the
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Field Observation on Suspended Soil Runoff in A Sedimentation Tank
NAKANDAKARI Tamotsu*, YOSHINAGAAnshun**, SAKAI Kazuhito**, AKIYOSHI Yasuhiro*** and OSAWA Kazutoshi****
*The United Graduate School ofAgricultural Sciences, Kagoshima Univers* 1-21-24 Koorimoto, Kagoshima-city, Kagoshima 890-0065, JAPAN
**Faculty ofAgrkulture, University of the Ryukyus, 1 Senbaru, Nishihara-cho, Okinawa 903-0213, JAPAN ***Faculty ofAgriculture, University ofAfwazaki, 1-1 Gakuen-kibanadai-nishi, Miyazaki-city, Miyazaki 889-2192, JAPAN ****Graduate School of Science and Technology, Tokyo Institute ofTechnology, 2-12-1 Ookayama, Meguro-ku, Tokyo 152-8552,
JAPAN
Abstract
Suspended soil runoff from agricultural basins has caused sea water pollution in coral and island ecosystems in Okinawa, so suspended soil runoff management is required for the conservation of the sea environment The purpose of this study was to research suspended soil runoff in a sedimentation tank. For the purpose of this study, field observation was conducted using a real sedimentation tank for many rainfall events. Discharge and water sampling during a rainfall event were observed, and suspended soil concentration and suspended soil grading were analyzed. From the observed results, soil balance in the sedimentation tank, trap efficiency, and the inflow-capacity ratio were calculated. In conclusion, the results indicate that a part of input fine soil (< 7511m) passes the sedimentation tank. The inflow-capacity ratio is also found to be an essential parameter useful to estimate trap efficiency of suspended soil in a sedimentation tank.
Key Words : Sedimentation tank Trap efficiency, Inflow-Capacity ratio, Soil grading Suspended soil runoff management, Agricultural basin, Red soil runoff