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ヒンジ位置保証型RC梁の力学挙動に主筋の付着除去が与える影響

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Academic year: 2021

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日本建築学会技術報告集 第 27 巻 第 65 号,231-236,2021 年 2 月 AIJ J. Technol. Des. Vol. 27, No.65, 231-236, Feb., 2021 DOI https://doi.org/10.3130/aijt.27.231

ヒンジ位置保証型 RC 梁の力学

挙動に主筋の付着除去が与える

影響

 

THE EFFECTS OF DE-BOND OF

LONGITUDINAL REBARS ON

STRUCTURAL BEHAVIOR OF RC

BEAM WITH A GUARANTEED HINGE

POSITION

毎田悠承ー ーーーー * 1 益田一毅ー ーーーー * 2 佐藤裕貴ー ーーーー * 3 坂田弘安ー ーーーー * 4 前川利雄ー ーーーー * 5 服部 翼ー ーーーー * 5 キーワード: ヒンジ位置保証型 RC 梁,ヒンジリロケーション,損傷制御, 付着除去 Keywords:

RC beam with a guaranteed hinge position, Hinge relocation, Damage control, De-bond

Yusuke MAIDAー ーーーーー * 1 Kazuki MASUDAー ーーー * 2 Yuki SATOー ーーーーーーーー * 3 Hiroyasu SAKATAー ーー * 4 Toshio MAEGAWAーーーー * 5 Tsubasa HATTORIー ーー * 5 In this study, structural tests were performed on the specimens that contained the de-bond of longitudinal rebars at the four corners of the RC beam with a guaranteed hinge position. Through this test, it was confirmed that the de-bond of longitudinal rebars at the four corners of the RC beam does not significantly affect the structural performance of the RC beam member, including the restoring force characteristic and energy dissipation capacity. Moreover, the cracks were concentrated on the hinge-side of the bond area, and the number of cracks in the de-bond area was suppressed.

*1 東京工業大学環境・社会理工学院建築学系 助教・博士(工学) (〒 152-8550 東京都目黒区大岡山 2-12-1) *2 東京工業大学環境・社会理工学院建築学系修士課程 大学院生 *3 元東京工業大学環境・社会理工学院建築学系 修士学生・修士(工学) *4 東京工業大学環境・社会理工学院建築学系 教授・工博 *5 熊谷組技術本部 

*1 Assistant Prof., Dept. of Arch. and Build. Eng., Tokyo Tech, Dr. Eng. *2 Graduate Student, Dept. of Arch. and Build. Eng., Tokyo Tech.

*3 Former Graduate Student, Dept. of Arch. and Build. Eng., Tokyo Tech, M. Eng. *4 Prof., Dept. of Arch. and Build. Eng., Tokyo Tech, Dr. Eng.

*5 Technical Division, Kumagai Gumi Co., Ltd.

ヒンジ位置保証型

RC 梁の力学

挙動に主筋の付着除去が与える

影響

     

THE EFFECTS OF DE-BOND OF

LONGITUDINAL REBARS

ON

STRUCTURAL BEHAVIOR OF RC BEAM

WITH A GUARANTEED

HINGE

POSITION

 毎田悠承   *   益田一毅   * 佐藤裕貴   *   坂田弘安   * 前川利雄   *   服部 翼   *  キーワード: ヒンジ位置保証型 5& 梁,ヒンジリロケーション,損傷制御,付着除去  Keywords:

RC beam with a guaranteed hinge position, Hinge relocation, Damage control, De-bond

Yusuke MAIDA   *1 Kazuki MASUDA    *2

Yuki SATO     *3 Hiroyasu SAKATA    *4

Toshio MAEGAWA *5 Tsubasa HATTORI    *5

In this study, structural tests were performed on the specimens that contained the de-bond of longitudinal rebars at the four corners of the RC beam with a guaranteed hinge position. Through this test, it was confirmed that the de-bond of longitudinal rebars at the four corners of the RC beam does not significantly affect the structural performance of the RC beam member, including the restoring force characteristic and energy dissipation capacity. Moreover, the cracks were concentrated on the hinge-side of the de-bond area, and the number of cracks in the de-bond area was suppressed.

1.序 近年,RC 造建築物において大地震による倒壊を防ぐ安全性能だけ ではなく,地震後も継続使用可能な損傷制御性能や修復性能の向上 が求められている。瀧口らの研究によると,曲げおよびせん断を受け るRC 部材において,鉄筋とコンクリート間の付着を完全に除去した 場合,最大曲げモーメントを受ける個所あるいは支点上に生ずる材 軸に直角のひび割れのみが大きくなり,斜めひび割れが大きくなる ようなものにはなりにくく,急激に破壊することはないが,履歴特性 がスリップ型に近づくことが報告されている 1),2)。鉄筋とコンクリ ートの付着を完全に除去することは構造性能の観点では不利に働く 面があるが,ひび割れの集中は損傷領域を低減させ,損傷制御性能や 修復性能の向上が期待できる。しかし,梁断面における部分的な付着 除去の影響については不明瞭である。また,RC 柱梁接合部の損傷抑 制を目的として,RC 梁の塑性ヒンジ位置を柱際から離す方法である ヒンジリロケーション(以下,HR)技術に関する研究も進められて おり,その損傷制御の有効性も示されている)など 本研究では,RC 造の梁,および柱梁接合部の損傷制御を目的とし て,梁のひび割れ性状に与える影響が比較的大きいと考えられる梁 四隅の主筋の付着に着目し,ヒンジ位置を梁端部から意図的に離し たRC 梁(以下,ヒンジ位置保証型 RC 梁)において付着除去を施し た試験体の構造実験を行う。付着除去の有無やその領域の長さをパ ラメータとし,部材の構造性能や,損傷性状を把握し,梁四隅の主筋 の付着除去が力学挙動に与える影響について検討する。 2.実験概要  試験体 試験体の詳細を図1 に,ヒンジ位置保証型 RC 梁の耐力概念を図 2 に,試験体諸元を表1 に,鉄筋の材料特性を表 2 に,コンクリートの 材料特性を表3 に,試験体の耐力計算値一覧を表 4 に示す。 試験体はスパン中央を反曲点位置として切り出した片持ち梁であ る。試験体は筆者ら4)が過去に実験を実施したヒンジ位置保証型RC 梁と同一の断面,配筋とした。これは,試設計された超高層RC 造建 築 物 を 対 象 と し て 実 大 の 約 1/2 スケールを想定し, 梁の断面は 275mm×450mm とし,スタブ上面から加力点までの距離を 1800mm と したものである。また,柱面から550mm の位置をヒンジ位置と想定 し,そこまでの区間の主筋を4+4D19,その先,中央部の 2 段筋をカ ットオフし,機械式定着とし,4-D19 とすることでヒンジ位置を意図 的に移動させている。これらの設計概念は全長にわたって主筋を 4+2-D19 とした梁と耐力を同等とし,且つ耐力余裕度を確保すること である。ここで,耐力余裕度とは,2 段筋カットオフ位置の曲げ終局 強度Mk時における耐力Vkに対する梁端の曲げ終局強度Mu時におけ る耐力Vuの比であり,曲げ終局強度は日本建築学会の「鉄筋コンク リート造建物の靱性保証型耐震設計指針・同解説」5)に示される略算 式(式(1))を用いて計算した。計算値算出の鉄筋強度には材料試験 結果を用いた。 𝑀𝑀u= 0.9𝑎𝑎t𝜎𝜎y𝑑𝑑 (1) ここで,at:引張鉄筋の断面積[mm2],y:引張鉄筋の降伏強度[N/mm2], *1 東京工業大学環境・社会理工学院建築学系 助教・博士(工学) (〒152-8550 東京都目黒区大岡山 2-12-1)

*1 Assistant Prof., Dept. of Arch. and Build. Eng., Tokyo Tech, Dr. Eng.

*2 東京工業大学環境・社会理工学院建築学系修士課程 大学院生 *2 Graduate Student, Dept. of Arch. and Build. Eng., Tokyo Tech

*3 元 東京工業大学環境・社会理工学院建築学系 修士(工学) *3 Former Graduate Student, Dept. of Arch. and Build. Eng., Tokyo Tech, M. Eng.

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d:有効せい[mm]である。 試験体は計3 体とした。B 試験体は全区間に対し付着除去を行わ ないもの,DB-1D 試験体は 2 段筋カットオフ位置より 1D(D:梁せ い(450mm))までの区間の梁四隅の主筋に対し付着除去を行ったも の,DB-all 試験体は 2 段筋カットオフ位置から反曲点位置までの区 間(1250mm)の梁四隅の主筋に対し付着除去を行ったものである。 付着除去は主筋をシース管に通し,シース管内にコンクリートが流 れ込まないよう端部を自己融着テープで塞ぐことで行った(写真1)。 付着除去区間 正面 側面 450 '%' 試験体  1800 550 450 4-D6@100 4-D6@150 16 50 正面 450 275 700 側面 % 試験体  ヒンジ想定位置 スタブ 梁 機械式定着 付着除去区間 正面 側面 1250 '%DOO 試験体  35 70 65 70 35 40 55 450 275 40 55 260 端部 中央部 付着除去区間 梁断面詳細  ※四隅の主筋(黄) を付着除去 図  試験体詳細(単位:PP) B DB-1D DB-all 端部 中央部 - (1D )450 1250(all) スタブ b ×D [mm] 700×450 Fc [N/mm2] 50 主筋 14-D19 (SD490) せん断補強筋 6-D6@100 (USD685) 試験体名 梁 b ×D [mm] 275×450 Fc [N/mm2] 50 端部主筋 中央部主筋 あばら筋 4-D6@100 (USD685) 4-D6@150 (USD685) 付着除去区間の 長さ [mm] 4+4-D19 (SD490) 4-D19 (SD490) 表  試験体諸元 パラメータ (b:幅,D:せい,Fc:コンクリートの設計基準強度 y [N/mm2] u [N/mm2] Es [N/mm2] D19 (SD490) 554 744 192000 D6 (USD685) 736* 901 212000 表  鉄筋の材料特性 (y:降伏強度,u:引張強度,Es:鉄筋のヤング係数) *0.2%オフセット耐力 B [N/mm2] T [N/mm2] Ec [N/mm2] B 60.7 4.1 33800 DB-1D 61.9 4.0 33900 DB-all 63.3 3.9 34000 表  コンクリートの材料特性 (B:圧縮強度,T:割裂強度,Ec:コンクリートの ヤング係数(c-c関係でBの1/3 における割線剛性)) 梁端の曲げ終局強度計算値Mu [kNm] 437 2段筋カットオフ位置の 曲げ終局強度計算値Mk [kNm] 234 梁端の曲げ終局強度時 における耐力Vu [kN] 243 2段筋カットオフ位置の 曲げ終局強度時における耐力Vk [kN] 187 耐力余裕度Vu/Vk 1.30 表  試験体の耐力計算値 写真  付着除去の状況 シース管 主筋 自己融着 テープ Mu Mk Q 1800 1250 曲げモーメント分布 梁 耐力分布 図  ヒンジ位置保証型 5& 梁の耐力 付着影響域4)

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d:有効せい[mm]である。 試験体は計3 体とした。B 試験体は全区間に対し付着除去を行わ ないもの,DB-1D 試験体は 2 段筋カットオフ位置より 1D(D:梁せ い(450mm))までの区間の梁四隅の主筋に対し付着除去を行ったも の,DB-all 試験体は 2 段筋カットオフ位置から反曲点位置までの区 間(1250mm)の梁四隅の主筋に対し付着除去を行ったものである。 付着除去は主筋をシース管に通し,シース管内にコンクリートが流 れ込まないよう端部を自己融着テープで塞ぐことで行った(写真1)。 付着除去区間 正面 側面 450 '%' 試験体  1800 550 450 4-D6@100 4-D6@150 16 50 正面 450 275 700 側面 % 試験体  ヒンジ想定位置 スタブ 梁 機械式定着 付着除去区間 正面 側面 1250 '%DOO 試験体  35 70 65 70 35 40 55 450 275 40 55 260 端部 中央部 付着除去区間 梁断面詳細  ※四隅の主筋(黄) を付着除去 図  試験体詳細(単位:PP) B DB-1D DB-all 端部 中央部 - (1D )450 1250(all) スタブ b ×D [mm] 700×450 Fc [N/mm2] 50 主筋 14-D19 (SD490) せん断補強筋 6-D6@100 (USD685) 試験体名 梁 b ×D [mm] 275×450 Fc [N/mm2] 50 端部主筋 中央部主筋 あばら筋 4-D6@100 (USD685) 4-D6@150 (USD685) 付着除去区間の 長さ [mm] 4+4-D19 (SD490) 4-D19 (SD490) 表  試験体諸元 パラメータ (b:幅,D:せい,Fc:コンクリートの設計基準強度 y [N/mm2] u [N/mm2] Es [N/mm2] D19 (SD490) 554 744 192000 D6 (USD685) 736* 901 212000 表  鉄筋の材料特性 (y:降伏強度,u:引張強度,Es:鉄筋のヤング係数) *0.2%オフセット耐力 B [N/mm2] T [N/mm2] Ec [N/mm2] B 60.7 4.1 33800 DB-1D 61.9 4.0 33900 DB-all 63.3 3.9 34000 表  コンクリートの材料特性 (B:圧縮強度,T:割裂強度,Ec:コンクリートの ヤング係数(c-c関係でBの1/3 における割線剛性)) 梁端の曲げ終局強度計算値Mu [kNm] 437 2段筋カットオフ位置の 曲げ終局強度計算値Mk [kNm] 234 梁端の曲げ終局強度時 における耐力Vu [kN] 243 2段筋カットオフ位置の 曲げ終局強度時における耐力Vk [kN] 187 耐力余裕度Vu/Vk 1.30 表  試験体の耐力計算値 写真  付着除去の状況 シース管 主筋 自己融着 テープ Mu Mk Q 1800 1250 曲げモーメント分布 梁 耐力分布 図  ヒンジ位置保証型 5& 梁の耐力 付着影響域4)   載荷・計測  セットアップを図3 に,変位計の配置を図 4 に示す。試験体はス タブをPC 鋼棒で反力床に固定し,梁自由端に接続したアクチュエー タにより加力を行った。反力床に固定したフレームに接続したパン タグラフにより面外拘束した。加力点高さの水平変位をせん断スパ ン(1800mm)で除すことで部材角 R を求め,変位制御により加力を 行った。加力サイクルは部材角R=1/800,1/400,1/200,1/100,1/67, 1/50,1/33rad までを 2 サイクルずつ,R=1/25rad を 1 サイクルの正負 交番漸増繰り返し載荷を行った後,R=1/18rad の正加力を 1 度行い, 除荷して終了とした。計測箇所は,図4 に示す位置の変位計により, 梁の各区間の水平変位i,曲げ変形f,せん断変形sを計測した。 3.実験結果と考察  せん断力-部材角関係 各試験体のせん断力Q-部材角 R 関係を図 5 に示す。図中の破線 は,ヒンジ想定位置での梁曲げ終局強度時における耐力Vkの計算値 を示している。全ての試験体において,復元力特性はスリップ型には ならず,紡錘型の安定したループを描いており,付着の有無や領域の 違いによる復元力特性の変化は見られなかった。除荷時残留変位に ついても全試験体で大差はなかった。剛性と耐力については,B 試験 体,DB-1D 試験体,DB-all 試験体の順にわずかながら大きかった。 最大せん断力はB 試験体では Q=233kN,DB-1D 試験体では Q=221kN, DB-all 試験体は Q=213kN であり,付着除去による耐力低下は 10%未 満であった。  履歴吸収エネルギ せん断力Q-部材角 R 関係の 1 サイクルの面積から求めた累積履 歴吸収エネルギ量E の推移を図 6 に示す。付着の有無や領域の違い によって累積履歴吸収エネルギ量に大差はなく,1/25rad サイクル終 了時においても差は10%程度であった。  主筋のひずみ分布  R=1/67,1/33rad サイクルの正加力時の引張側主筋の正面側のひず み分布を図 7 に示す。図中の破線は材料試験から得た降伏ひずみy (=3250)を示している。B 試験体は R=1/67rad 時に 2 段筋カットオ Q [kN] R [rad] 250 -250 0.06 -0.06 Vk計算値 (D)% 試験体 Q [kN] 250 R [rad] 0.06 Vk計算値 -250 -0.06 (E)'%' 試験体 Q [kN] 250 R [rad] 0.06 Vk計算値 -250 -0.06 (F)'%DOO 試験体 図  せん断力4-部材角 5 関係 B DB-1D DB-all Q [kN] 250 R [rad] Vk計算値 0.06 -0.06 -250 (G)全試験体の比較 図  主筋のひずみ分布 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 0 300 600 900 1200 1500 1800 B DB-1D DB-all  [ ] 柱面位置 ひずみゲージ貼り付け位置[mm] (D)5 UDG 時 y=3250 0 5000 10000 15000 20000 25000 0 300 600 900 1200 1500 1800 B DB-1D DB-all 柱面位置 ひずみゲージ貼り付け位置[mm]  [ ] (E)5 UDG 時 y=3250 アクチュエータ 18 00 反力壁 パンタグラフ 計測冶具

⊕⊖

梁 図  セットアップ(単位:PP) 450 反力床 スタブ 350 350 350 350 スタブ 350 330 梁 図  変位計の配置 0 10 20 30 40 50 60 70 80 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 B DB-1D DB-all E [kNm] |R| [rad] 図  累積履歴吸収エネルギ量 1/25rad サイクル終了時

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フ位置において降伏し,DB-1D 試験体は R=1/67rad 時に,DB-all 試験 体は R=1/33rad 時に 2 段筋カットオフ位置から付着除去区間の範囲 で降伏した。概ね想定した位置にヒンジが形成されたことが分かる。 また,付着除去区間内の主筋に概ね一様にひずみが生じていること から付着除去が行えていることが確認できる。  変形性状  曲率およびせん断ひずみの算定方法を図8 に,R=1/67rad 時におけ る梁の各計測区間の曲率の分布を図 9 に,せん断ひずみの分布を 図10 に,梁の全変形量に対するせん断変形sの割合の推移を図11 に示す。B 試験体は,曲率,せん断ひずみともに広い領域で生じてい るが,付着除去を行った DB-1D,DB-all 試験体は,付着除去区間の ヒンジ想定位置側端部に変形が集中し,付着除去区間内の変形が低 減している。また,全変形量に対するせん断変形sの割合は,いず れの試験体においても部材角の増大に伴って増加する傾向にある。 この増大量は,DB-all 試験体では大変形域において他 2 体より小さ い。これはDB-all 試験体では,ヒンジ想定位置に変形が集中し,そ こを中心に回転変形している影響が大きいと考えられる。  ひび割れ状況  各試験体のR=1/67rad 時におけるひび割れ状況を図 12 に示す。な お,本節以降,側面の損傷の結果は左側面のみを示すが,右側面でも 同様の結果であった。全ての試験体において,R=1/400rad 時に曲げひ び割れが発生し,その後は曲げせん断ひび割れへと伸展した。また, 正面,側面ともに 2 段筋カットオフ位置に大きなひび割れが生じ, 想定した位置にヒンジが形成されたことを確認できた。正面では,付 着除去区間が長いほどひび割れがヒンジ想定位置に集中し,損傷領 0 1 2 3 4 5 6 0 1800 B DB-1D DB-all 350 350 350 350 350 330  [1 × 10 -3ra d] 計測位置[mm] 図  せん断ひずみの分布 -1 0 1 2 3 4 0 1800 B DB-1D DB-all 350 350 350 350 350 330  [1 × 10 -5/mm ] 計測位置[mm] 図  曲率の分布 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 B DB-1D DB-all Cycle [rad] 1/400 1/100 1/50 1/25 せん 断 変 形の 割 合 図  せん断変形の割合の推移 330 350 h 1 h2 曲率:=(h1-h2)/(330・350)   350 せん断ひずみ:=d/cos・330 h1:梁材軸方向における引張力による変形 h2:梁材軸方向における圧縮力による変形 d:斜め方向の変形 cos:梁材軸直交方向に対する斜め角度 図  曲率およびせん断ひずみの算定方法 % 試験体  ' %  ' 試験 体  ' %  DOO 試験体  ヒンジ想定位置 加力点位置 側面 正面 側面 正面 側面 正面 :付着あり, :付着除去 :0.2mm 未満, :0.2mm 以上 1.0mm 未満, :1.0mm 以上 図  ひび割れ状況(5 UDG) 主筋の 位置・ 付着 主筋の 位置・ 付着 主筋の 位置・ 付着

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フ位置において降伏し,DB-1D 試験体は R=1/67rad 時に,DB-all 試験 体は R=1/33rad 時に 2 段筋カットオフ位置から付着除去区間の範囲 で降伏した。概ね想定した位置にヒンジが形成されたことが分かる。 また,付着除去区間内の主筋に概ね一様にひずみが生じていること から付着除去が行えていることが確認できる。  変形性状  曲率およびせん断ひずみの算定方法を図8 に,R=1/67rad 時におけ る梁の各計測区間の曲率の分布を図 9 に,せん断ひずみの分布を 図10 に,梁の全変形量に対するせん断変形sの割合の推移を図11 に示す。B 試験体は,曲率,せん断ひずみともに広い領域で生じてい るが,付着除去を行ったDB-1D,DB-all 試験体は,付着除去区間の ヒンジ想定位置側端部に変形が集中し,付着除去区間内の変形が低 減している。また,全変形量に対するせん断変形sの割合は,いず れの試験体においても部材角の増大に伴って増加する傾向にある。 この増大量は,DB-all 試験体では大変形域において他 2 体より小さ い。これはDB-all 試験体では,ヒンジ想定位置に変形が集中し,そ こを中心に回転変形している影響が大きいと考えられる。  ひび割れ状況  各試験体のR=1/67rad 時におけるひび割れ状況を図 12 に示す。な お,本節以降,側面の損傷の結果は左側面のみを示すが,右側面でも 同様の結果であった。全ての試験体において,R=1/400rad 時に曲げひ び割れが発生し,その後は曲げせん断ひび割れへと伸展した。また, 正面,側面ともに2 段筋カットオフ位置に大きなひび割れが生じ, 想定した位置にヒンジが形成されたことを確認できた。正面では,付 着除去区間が長いほどひび割れがヒンジ想定位置に集中し,損傷領 0 1 2 3 4 5 6 0 1800 B DB-1D DB-all 350 350 350 350 350 330  [1 × 10 -3ra d] 計測位置[mm] 図  せん断ひずみの分布 -1 0 1 2 3 4 0 1800 B DB-1D DB-all 350 350 350 350 350 330  [1 × 10 -5/mm ] 計測位置[mm] 図  曲率の分布 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 B DB-1D DB-all Cycle [rad] 1/400 1/100 1/50 1/25 せん 断 変 形の 割 合 図  せん断変形の割合の推移 330 350 h 1 h2 曲率:=(h1-h2)/(330・350)   350 せん断ひずみ:=d/cos・330 h1:梁材軸方向における引張力による変形 h2:梁材軸方向における圧縮力による変形 d:斜め方向の変形 cos:梁材軸直交方向に対する斜め角度 図  曲率およびせん断ひずみの算定方法 % 試験体  ' %  ' 試験 体  ' %  DOO 試験体  ヒンジ想定位置 加力点位置 側面 正面 側面 正面 側面 正面 :付着あり, :付着除去 :0.2mm 未満, :0.2mm 以上 1.0mm 未満, :1.0mm 以上 図  ひび割れ状況(5 UDG) 主筋の 位置・ 付着 主筋の 位置・ 付着 主筋の 位置・ 付着 域が抑制された。これは,付着を除去した主筋からコンクリートへの 応力伝達がないため,付着除去区間のヒンジ想定位置側端部に損傷 が集中し,付着除去区間内の損傷が抑制されたものと考えられる。側 面では,付着除去をしていない中央の主筋周辺に付着割裂ひび割れ と正面まで伸展しない曲げひび割れが生じた。付着割裂ひび割れは 付着除去区間が長くなるほど発生する傾向にあり,これは四隅の主 筋の付着除去により付着のある中央主筋周辺のコンクリートに応力 が集中したためと考えられる。なお,全ての試験体においてR=1/18rad まで脆性破壊は生じず,破壊形態は曲げ破壊であった。  損傷  ひび割れ幅の計測位置および定義を図13 に,ひび割れ面積の算定 方法6)を図14 に示す。ひび割れ幅は各部材角の正負それぞれの 1 サ イクル目のピーク時と除荷時にクラックスケール(最小目盛 0.03mm) を用いて計測した。正面は,上下縁,主筋位置,主筋から65,130mm のグリット位置,およびあばら筋の位置を,側面は,両縁,主筋位置, およびあばら筋の位置を横断するひび割れを計測した。ひび割れ幅 はひび割れに対して直交方向に計測した。ここでは,ひび割れの本数, 最大ひび割れ幅,ひび割れ面積に着目する。ひび割れ面積は図14(a) に示すような実際のひび割れを,図14(b)に示すような平行四辺形 のひび割れに置換・モデル化し,連続的に変化するひび割れを〔グリ ット上のひび割れ幅×計測間隔〕の平行四辺形のひび割れとして算出 した。なお,比較,検討する際に付着除去の有無,領域の違いも確認 するため,梁全体を図15 に示す 7 つの領域に分けて考察した。 【ひび割れ本数】  ひび割れ本数の推移を図16 に示す。正面では,DB-all 試験体では 他2 体に比べて梁全体および付着除去区間を含む 650~1800mm の区 間において本数が少なく,付着除去によりひび割れの本数が抑制さ れていることが確認できる。また,DB-1D 試験体は B 試験体に近い 結果を示した。側面については,示している図は左側面の推移である ため,その面が引張縁になる負加力時に増加する。側面のひび割れ本 数は全ての試験体で概ね同じであった。 【最大ひび割れ幅】 最大ひび割れ幅の推移を図17 に示す。側面の結果は左側面が引張 縁となる負加力時のみ示す。正面ではピーク時において DB-1D,DB-all 試験体は B 試験体より大きく,付着除去により最大ひび割れ幅が 大きくなったことが分かる。一方,除荷時においては全ての試験体で 概ね同じで,付着除去の有無や領域による大差はなかった。側面では, ピーク時,除荷時ともにDB-1D,DB-all 試験体は B 試験体より大き A 250 200 B 200 C 200 D 250 E 300 F 400 G 領域 '%':PP 全体  付着除去区間 '%DOO:PP '%':PP ' ~ *  付着除去区間 '%DOO:PP 図  ひび割れ性状の考察のための領域分け ※橙色部分が対象 計測位置 定義 図  ひび割れ幅の 計測位置および定義 L1 L2 L 3 L4 L5 (D)実際のひび割れ w1 w2 w3 w4 (L2+L3)/2 w1 w2 w3 w4 (L3+L4)/2 (L4+L5)/2 L5/2 (E)モデル化後 ひび割れ面積 Acr= w(L2+L3)/2 + w(L3+L4)/2 + w(L4+L5)/2+ wL5/2 図  ひび割れ面積の算定方法) (D)全体 0 20 40 60 80 B DB-1D DB-all ncr [本数] 1/400 1/100 1/50 Cycle [rad] (L)正面 0 10 20 30 B DB-1D DB-all ncr [本数] 1/400 1/100 Cycle [rad] 1/50 (L)正面 0 10 20 30 40 B DB-1D DB-all ncr [本数] 1/800 1/200 Cycle [rad] 1/67 (LL)側面 0 5 10 15 20 B DB-1D DB-all ncr [本数] 1/800 Cycle [rad] 1/200 1/67 (LL)側面 (E)領域 '~* 図  ひび割れ本数の推移 正 負 正 負 正 負 正 負 0 2 4 6 B DB-1D DB-all wcr [mm] 1/400 1/100 Cycle [rad] 1/50 (L)正面 0 1 2 3 4 B DB-1D DB-all wcr [mm] 1/400 Cycle [rad] 1/100 1/50 (L)正面 0 2 4 6 B DB-1D DB-all wcr [mm] 1/800 Cycle [rad] 1/200 1/67 (LL)側面 0 1 2 3 B DB-1D DB-all wcr [mm] Cycle [rad] 1/800 1/200 1/67 (LL)側面 (D)ピーク時 (E)除荷時 図  最大ひび割れ幅の推移 正 負 正 負 負 負

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く,付着除去により最大ひび割れ幅が大きくなった。 【ひび割れ面積】  R=1/67rad 時の面積率crの分布を図18 に,面積 Acrの推移を図19 に示す。面積率の分布は各領域に生じたひび割れ面積を各領域の面 積で除したものである。正面,側面ともに全ての試験体において2 段 筋カットオフ位置にひび割れ面積が集中した。B 試験体に比べ,他 2 体では2 段筋カットオフ位置に極端に集中し,その他の領域では低 減され,DB-all 試験体では全く損傷の無い領域があった。全体のひび 割れ面積の推移に着目すると,正面は全サイクルで 3 体とも概ね同 じだが,側面はR=1/100rad のみ DB-all 試験体が大きい。これは四隅 より先に降伏した付着のある主筋周辺のコンクリートへの応力集中 によって発生する付着割裂ひび割れの影響であると考えられる。650 ~1800mm の区間では正面,側面ともに,付着除去区間が大きくなる ほど面積は低減し,付着除去区間内の損傷が抑制された。 4.結 本研究では,四隅の主筋の付着除去を施したヒンジ位置保証型RC 梁の構造実験を行い,その力学挙動および損傷を把握した。得られた 結論を以下にまとめる。 1) ヒンジ位置保証型 RC 梁において,四隅のみの主筋の付着を除去 しても,部材の復元力特性や,エネルギ吸収量などに悪影響は及 ぼさない。 2) 梁の四隅のみの主筋の付着除去は,梁に生じる除荷時残留最大ひ び割れ幅には大きな影響を与えることなく,想定したヒンジ位置 である付着除去区間端部に変形やひび割れを集中させ,付着除去 区間内の変形やひび割れの本数,および面積を抑制できた。  実構造物における梁の主筋に付着除去を施す場合,スパン全長に わたって除去する,またはスパン中央部だけは除去しないなど,本実 験との条件の違いによって,部材の復元力特性や損傷,骨組全体に与 える影響なども異なると考えられるため,今後も検討を重ねる。 謝辞 本研究成果の一部は,JST 産学共創プラットフォーム共同研究推進 プログラム(JPMJOP1723)によるものです。ここに記して謝意を表 します。 参考文献

1) Takiguchi K., Okada K., Sakai M.: Deforming Characteristics of RC Members with and without Bond, Transactions of the Architectural Institute of Japan, No.249, pp.1-11, 1976.11 (in Japanese)

滝口克己岡田謙二堺政博付着のあるRC 部材と付着のない RC 部材 の変形特性日本建築学会論文報告集 第 249 号pp.1-111976.11 2) Takiguchi K.: Deforming Characteristics of RC Members with and without Bond,

II, Transactions of the Architectural Institute of Japan, No.262, pp.53-59, 1977.12 (in Japanese) 滝口克己付着のあるRC 部材と付着のない RC 部材の変形特性・Ⅱ日 本建築学会論文報告集, 第 262 号pp.53-591977.12 3) 石川裕次 平林聖尊 川野翔平 麻生直木 中根一臣 鉄筋コンクリー ト造ヒンジリロケーション接合部の耐震性能 構造工学論文集Vol.61B pp.59-692015.3

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毎田悠承 吉敷祥一 曲哲 前川利雄 濱田真 坂田弘安 座屈拘束ブ

レース接合部を有する損傷位置保証型RC 梁の力学挙動日本建築学会構

造系論文集第82 巻第 737 号pp.1091-11012017.7

5) 日本建築学会鉄筋コンクリート造建物の靱性保証型耐震設計指針・同解 説1999.8

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坂田弘安坂上肇加藤雅樹和田章松崎育弘PC 圧着関節工法を用 いた十字形骨組の力学的挙動に対する床スラブの影響 日本建築学会 構造系論文集第75 巻第 649 号pp.635-6422010.3 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0 1800 B DB-1D DB-all cr [%] 計測位置[mm] (L)ピーク時 0 0.1 0.2 0 1800 B DB-1D DB-all 計測位置[mm] cr [%] (L)ピーク時 0 0.1 0.2 0 1800 B DB-1D DB-all cr [%] 計測位置[mm] (LL)除荷時 0 0.1 0.2 0 1800 B DB-1D DB-all cr [%] 計測位置[mm] (LL)除荷時 (D)正面 (E)側面 図  ひび割れ面積率の分布 (D)全体 (E)領域 '~* 0 500 1000 1500 2000 B DB-1D DB-all Acr [mm2] 1/400 1/100 Cycle [rad] 1/50 (L)正面 ピーク 除荷 0 200 400 600 800 B DB-1D DB-all Acr [mm2] 1/400 Cycle [rad] 1/100 1/50 (L)正面 ピーク 除荷 0 500 1000 1500 2000 B DB-1D DB-all Acr [mm2] 1/800 Cycle [rad] 1/200 1/67 (LL)側面 ピーク 除荷 図  ひび割れ面積の推移 0 200 400 600 800 B DB-1D DB-all Acr [mm2] Cycle [rad] 1/800 1/200 1/67 (LL)側面 ピーク 除荷 [2020 年 5 月 28 日原稿受理 2020 年 7 月 27 日採用決定]

参照

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