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ガスタービン吸気冷却システム

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Academic year: 2021

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日本機械学会論文集(B 編) ノート No.2013-JBN-0682

ガスタービン吸気冷却システム

Inlet Air Cooling Systems for Gas Turbine

*1 Toshiba corporation,

2-4, Suehiro-cho Tsurumi-ku Yokohama, 230-0045 Japan

This paper describes a gas turbine inlet air cooling system using high pressure spray nozzle. Scale model inlet duct is manufactured within water spray of inlet fogging system, and many testing was conducted on the condition of same level of actual velocity with inlet duct at site. As testing results, droplet size finally reduce to SMD 80μm at 1st blade leading edge. Next, water spray adjusting actual attack to blade is provided to test piece of same material with actual compressor blade, and weigh is measured at every constant time period for getting averaged erosion depth. As a result, it is concluded that erosion at leading edge of 1st compressor blade is predicted to be approx 1.2mm at maximum per 10 years less than acceptable limit of depth, and it may have no need for maintenance of blade replacement and so on in 10 years.

Key Words : Inlet Fogger, Gas Turbine, Power Boost, Wind Tunnel Test

1. 緒 言 2011/3/11 に発生した東日本大震災から 2 年が経過した.発生以降,原子力発電の稼働率は大幅に低下し,電力 不足解消のため火力へシフトせざるを得ない状況が続いている.火力発電に使用されるガスタービンは熱サイク ルの性質上,吸気温度を下げる事で出力を増加する事が可能であるため,気温の高い夏場に吸気温度を下げる事 が電力供給逼迫解決の一助になると考えられる.吸気温度を下げる方式にはLNG 冷熱利用冷却方式(1),エバポレ ーティブクーラ方式,チラー方式,フォグ方式など(2),(3)様々な方式が提案されている.この内,フォグ方式は, 既設のガスタービンに追設することが容易であり,他の冷却方式よりも経済性に優れているなどの利点がある. フォグ方式を細分類すると,吸気フィルタ室外で水滴を噴霧する外吹き方式と吸気ダクト内で噴霧する内吹き方 式がある.外吹き方式の場合,運転中のガスタービンに追設することができる利点があるものの,冷却効率が低 い課題がある.一方,内吹き方式の場合,定期点検時に追設することで外吹き方式よりも冷却効率が高く,大幅 な出力増加が期待できるものの,圧縮機初段動翼へのエロージョン損傷リスクの低減が課題となっている.この 課題を解決するためにこれまでに高耐久性微細水滴噴霧ノズルを開発(4)し,ガスタービン圧縮機入口部を模擬し た風洞内に噴霧して冷却効率を評価してきた(5). 本稿ではエロージョン損傷リスク低減のため,実機ガスタービン圧縮機入口部と同一条件を再現した水噴霧風 洞実験で内吹き方式を実機適用した場合の水滴径を評価し,この径の水滴を実機翼と同材に衝突させた浸食量評 価試験を行った.これらの結果について報告する.

内田 竜朗

*1

,大友 文雄

*1

,福武 英紀

*2

伊東 正雄

*1

,鹿目 浩正

*2

,奥野 研一

*2

Tatsuro UCHIDA

*1

, Fumio OOTOMO, Hidenori FUKUTAKE, Masao ITOH, Hiromasa KANOME

and Kenichi OKUNO

* 原稿受付 2013 年 9 月 1 日

*1 正員,(株)東芝(〒230-0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町 2-4) *2 (株)東芝

(2)

Fig.1 Wind tunnel experimental apparatus Fig.2 Schematic of experimental apparatus 2. 吸気加湿冷却の特徴 吸気加湿冷却は,夏場の標準的温湿度条件(33℃,60%RH)において,圧縮機入口に水を噴霧して 6℃冷却す る場合,1300℃級コンバインドサイクルでは約 4%の出力増強が可能である(5).吸気加湿冷却システムは圧縮機入 口温度を下げるだけで容易に出力増強可能な特徴を有している. 3. 水噴霧風洞試験 3・1 試験装置 ガスタービン吸気加湿冷却システムは圧縮機の吸気ダクト内にスプレーノズルを配し,このノズルに加圧ポン プを接続した構成となっている.噴霧水滴の大部分は気化して吸気温度を下げることに寄与し,残りのごく一部

の水滴はそのまま圧縮機に吸気されていると考えられている.空気取り込み口からIGV(Inlet Guide Vane)までの領

域を模擬した1/300(IGV 入口断面積比)のスケールモデル(図 1)をブロア(120Nm3/min)に接続し,エロージョ ン損傷リスク低減を目的に新規開発したスプレーノズルを取り付けて試験を行う.この風洞はスプレー水噴霧部, 出口部の流速および水,空気流量比を実機ガスタービン条件が再現できるように設計製作してあり,図1 に示し た②~⑥の部位には温度・相対湿度,風洞壁面静圧,流速を計測するセンサを取り付けてある.スプレーノズル は供給圧,供給流量がそれぞれ21MPa,158mL/min の一流体ホロコーンタイプである.特徴は噴霧粒径を最小化 するために使用圧力を高圧化し,その際に噴霧ノズル内部に浸食が生じないように耐摩耗材を使用して耐久性を 高めた点である.尚,スプレーノズルに供給する水は純水を使用した.図1 風洞出口部⑦の部位には図 2 に示す

ようにIGV 模擬翼を取り付け,その下流に高速度カメラ(Photron 製 FASTCAM SA-X)を設置して水滴挙動を可視

化計測した. 3・2 試験条件および結果 水噴霧風洞試験はスプレーノズル,入口温度をそれぞれ3 個,33℃に固定し,主流速度が変化した場合の水滴 径への影響を評価する試験(Case1~3),および実機主流速度条件での水滴径を計測する試験(Case4)を行った.表 1 に試験条件を示す.ポンプによって供給圧力を21MPa へ昇圧した純水を開発ノズルへ供給し,実機ガスタービン に使用する条件と同一条件にて試験を行う.

Table 1 Wind tunnel test condition

Case1 Case2 Case3 Case4

Ambient pressure[hPa] 1025 1025 1025 1010

Inlet temperature[℃] 33 33 33 33

Inlet Humidity[%RH] 29 48 53 48

Normalized velocity Vg/Vgdesign[-] 0.4 0.8 0.9 1.0

①主流速度変化試験結果

⑦ ② ③ ④ ⑤ ⑥

Roots blower inlet

Wind tunnel 425mm□ 95mm□ outlet air Pump(21MPa) Spray nozzle water

High speed camera

Model IGV

Liquid droplets Metal halide lamp Wind tunnel outlet

Vg Z X Model IGV Liquid droplets Vg Y X Trailing Edge Water film Water streams

(3)

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 F req ue n cy r at e [-] D32 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 100 150 200 250 300 350 400 450 500 Droplet size[μm] F re que nc y ra te [-] D32 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 100 1 0 200 2 0 300 3 0 400 4 0 00 F req u ency r at e [-] D32 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 100 150 200 250 300 350 400 450 500 Droplet size[μm] F req ue nc y ra te [-] D32 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 F reque ncy r at e[ -] D32 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 100 150 200 250 300 350 400 450 500 Droplet size[μm] F req ue nc y ra te[ -] D32 regionA regionB

(a) Vg/Vgdesign=0.4 (b) Vg/Vgdesign=0.8 (c) Vg/Vgdesign=0.9

先ず,主流速度が変化した場合にIGV 模擬翼後縁近傍で水滴径がどのように変化しているかを詳しく調べた. Case1 の条件で撮影した画像を図 3 示す.図に示すように IGV 模擬翼後縁近傍では,後縁に形成された水膜には 周囲の空気流速と水が後縁から離脱する際の流速との差により剪断力が働き,流れ方向下流に柱状に引きちぎれ ていることがわかる.この結果,水滴形状は球でなく非球形となっている.また,水滴は後縁から離れる領域A (IGV 模擬翼後縁から下流 3mm までの領域)よりも下流の領域 B(後縁から 3~5mm の領域)の方が水滴サイ ズは大幅に小さくなっている事が確認できる.これらの撮影画像をフローテック製FtrPIA-Shadow(6)を用いて画像 の処理を行って粒径を導出した.頻度比と粒径にまとめた結果を図4 示す.頻度比は全ての撮影領域,撮影時間 にカウントした全水滴数で正規化した値である.

Fig.3 Image of atomization from Model IGV

Fig.4 Case1~3 result (gas velocity : variable)

これらの図から,全ての試験条件に対して主流速度が高い程,水滴は微粒化し,領域B の水滴径の方が,領域 A の水滴径よりも小さくなる傾向が顕著である事が定量的に確認できる.また,領域 A では広い水滴径範囲に頻 度の高い水滴が観測されているにも関わらず,領域B では大きな水滴の頻度が大幅に減少している.これは,質 量保存を考慮すると領域B では 100μm 以下に微細化した水滴が多数存在していたものと考えられる. ②実機流速試験結果 次に,実機圧縮機初段動翼位置で浸食に影響を与える水滴のサイズを評価するため,計測位置をIGV 模擬翼後 縁から下流へ変化させ,流速を実機主流流速条件に固定して画像を撮影した.各位置での結果を図5 示す.これ らの3 つの図は左から順に,後縁からの距離が 25, 50, 100mm の結果をそれぞれ示している.これらの図から, 水滴径はIGV 模擬翼後縁から下流に流動するにつれてウェーク内外の速度差に起因する剪断力が水滴に働いた 事によって微粒化される事が確認できる.図中に示したD32をIGV 模擬翼後縁からの距離との関係に纏めると図 6 ようになる.同図より,後縁から 50mm よりも下流では約 80μm まで微粒化され,以後は一定となる傾向を示 した.

Model IGV trailing edge

regionA regionB

IGV flow

図4 上下の図はそれぞれ領域 A,および領域 B 内の結果を示している.また,(a)~(c)は主流流速を実機流速で

(4)

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 300 Droplet size[μm] F re que ncy r at e [-] D32 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 300 Droplet size[μm] F re que ncy r at e[ -] D32 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 300 Droplet size[μm] F req u e ncy r at e[ -] D32 0 50 100 150 200 0 20 40 60 80 100 120 Distance from IGV trailing edge[mm]

D 32 [μ m]

N

d

CV

U

  (a) x=25mm (b) x=50mm (c) x=100mm Fig.5 Case4 result (distance from trailing edge:variable)

Fig.6 Relation between D32 and distance

4. 浸食量評価試験 浸食量評価試験では水噴霧風洞実験から得られた径の水滴を実機翼と同材(15%Cr を含有するマルテンサイト 系ステンレス鋼)の試験片に衝突させて浸食量を評価した.試験方法や評価方法については文献(7)を参考にした. 4・1 試験装置 図7 に浸食量評価試験装置を示す.この装置は真空槽内で高速回転体の外周部に実機翼と同材の試験片を取付 け,加圧水を槽外から供給して実機相当の水滴径が噴霧可能なスプレーノズルを取り付けた構成となっている.

Fig.7 Test apparatus for erosion rate evaluation 4・2 試験条件および結果

浸食量評価試験は実機周速を模擬し,試験片に水滴を衝突させて浸食させ,一定時間間隔毎に重量計測した.

水滴径と衝突速度(周速)を表2 に示すように変化させて浸食減量を定量的に評価した.

Table 2 Erosion rate evaluation test condition

Case5 Case6 Case7 Case8

droplet size[μm] 59 59 173 173 attack velocity[m/s] 400 480 400 480 質量減少と浸食速度の時間変化を図8,9 に示す.図から試験片に用いた材料の浸食量の時間変化がほぼ直線的 になっている事から,安定期に入っていると見なせる事が分かる.同様の試験結果(ケース6~8)を浸食速度基 本式(1)へ代入し,式中の材料定数を決定した後,実機圧縮機初段動翼が長時間運転した場合の浸食量を予測した. (1) Pump Water Tank Specimen Vacuum Chamber Spray Nozzle Disk Rotational Direction Support Blade

(5)

ここで,U:浸食速度,V:衝突速度,d:水滴径,N:単位時間単位面積あたりの衝突液滴量,C,α,β:材料

定数である.この結果,10 年で 1.2mm 程度の浸食量であることが求められた.従って,管理基準以下の浸食量

であることから圧縮機初段動翼強度に影響を及ぼす様な浸食量でないものと考えられる.今後,内吹き式吸気冷 却システムをガスタービンに適用し,夏場の電力供給逼迫課題を解決して行く所存である.

Fig.8 Relation between Erosion loss and time (Case5) Fig.9 Relation between Erosion rate and time (Case5) 5. 結 言 内吹き式吸気冷却ガスタービンの吸気ダクト部を模擬した水噴霧風洞試験およびこの径の水滴を実機翼と同材 の試験片に衝突させて浸食量評価試験を行った.以下に結論を纏める. (1) 実機流速条件の試験を行った結果,非球形の水滴が後縁から離脱し,後縁から25mm下流で約180μm,50mm よりも下流では80μm 一定になる傾向を示した. (2) 主流速度が水滴径に与える影響を調べた結果,主流速度が高い程,下流領域の水滴径の方が,上流領域の 水滴径よりも小さくなる傾向が顕著である事が明らかとなった. (3) 実機周速,水滴径を再現し,実機翼と同材の試験片の浸食量評価式を導出した.この式を用いて 10 年運転 時の浸食量を予測した結果,1.2mm 程度である事が明らかとなった.従って,管理基準以下の浸食量であること から圧縮機初段動翼強度に影響を及ぼす様な浸食量でないものと考えられる. 謝 辞 本研究の一部は,独立行政法人新エネルギー・産業総合開発機構(NEDO)からの助成事業 「省エネルギー革 新技術開発事業/実証研究(電力需給緊急対策)ガスタービン用吸気加湿冷却装置の開発について」の成果を利 用させて頂いた.また,高速度カメラによる画像の撮影は株式会社 Photron 小泉殿のご協力を,粒子計測は株式 会社フローテック・リサーチ武田殿,西野教授,土井殿の協力を得た.ここに付記して関係者に深甚なる謝意を 表する. 文 献 (1) 吉田圭二郎, 松原亘, 矢嶋春喜, 牧原洋, 徳田雅寛, 小野田 聡, “LNG 冷熱を利用するガスタ-ビン吸気冷却システ ムの開発”, 三菱重工技報, Vol.35 No.6(1998), pp.402-405.

(2) Chuck Jones, John A. Jacobs III.., “Economic and Technical Considerations for Combined Cycle Performance-Enhancement Options”, GER-4200 (2000). (3) 宇多村元昭, 桑原孝明 “ガスタービン増出力用の吸気加湿冷却システム”, 日本ガスタービン学会誌, Vol.28 No.3(2000), pp.249-251. (4) 福武英紀, 伊東正雄, “ガスタービン吸気冷却用噴霧ノズルの開発” ,第 39 回日本ガスタービン学会定期講演会講演 論文集 (2011), pp.239-242. (5) 内田竜朗, 大友文雄, 福武英紀, 伊東正雄, “吸気加湿冷却によるガスタービン出力の増強”, 日本機械学会論文集, B編 Vol.79, No.799(2013),pp.276-280. (6) http://www.ft-r.jp/service/service_particle_shadow.html, (参照日 2013 年 4 月 4 日). (7) 伊 藤 洋 茂 , 岡 部 永 年 , “ 金 属 材 料 の 液 滴 エ ロ ー ジ ョ ン 評 価 ” , 日 本 機 械 学 会 論 文 集 , A 編 Vol.59, No.567(1993),pp.2736-2741. 0 0.1 0.2 0.3 0 40 80 120 160 200 240 Time [hr] E ros ion L os s [mm] 0 0.001 0.002 0.003 0.004 0.005 0 40 80 120 160 200 240 Time [hr] E ro si o n R at e [m m /hr ]

II: maximum rate period III: final steady period

II III II III

Table 1      Wind tunnel test condition
Table 2      Erosion rate evaluation test condition  Case5 Case6 Case7 Case8

参照

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