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仕事のパフォーマンス・プレッシャーが, ワークモティベーションと仕事の有意味性におよぼす影響 ―専制的リーダーシップとサーバントリーダーシップによる交互作用効果―

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パフォーマンス・プレッシャーとは,求められる 成果を達成したり,与えられた役割を遂行するにあ たって,個人が努力を高める重要性を認識する程度 と定義される(Eisenberger & Aselage, 2009)。例 えば,“かなりハードに働かなくては成果目標を達 成できない”といった認識は,高レベルのパフォー マンス・プレッシャーを反映する。先行研究を展望 すると,パフォーマンス・プレッシャーが人々に及 ぼす影響について,否定的な側面を取り上げたもの が多い。例えば,パフォーマンス・プレッシャーは 自衛本能を刺激するため,不安や怒りなど負の情動 を伴いやすい(Frijda, 1993)。また,パフォーマン ス・ プ レッシャーは 利 己 的 な 動 機 を 高 め る 一 方(Wang & Muringhan, 2011),利他行為を抑制 したり(佐藤・五十嵐・吉田,2013),目標達成に 関わる不正行為を高めたりする(Mitchell, Baer, Ambrose, Folger, & Palmer, 2018)。

従来の研究が,パフォーマンス・プレッシャーの 否定的な効果に焦点を当ててきたのは,パフォーマ ンス・プレッシャーに個人の努力と適応を要求す る,いわばストレッサーとしての側面があるためだ と考えられる(McGrath, 1970)。事実,厚生労働省 (2018)の調査においても,労働者がストレスの原 因として最も多くあげていたのは求められる成果を あげ役割を遂行すること,すなわちパフォーマン ス・プレッシャーである。しかし理論的に,ストレッ サーには疲労など否定的なストレス反応のみなら ず,成長といった肯定的なストレス反応を産み出す 圧力として作用する側面もある(Selye, 1976)。さ らにパフォーマンス・プレッシャーを認識する場面 で,我々は負の情動が喚起されやすいとしても,そ れは必然的に正の情動が欠乏するということではな 原著

仕事のパフォーマンス・プレッシャーが,

ワークモティベーションと仕事の有意味性におよぼす影響

―専制的リーダーシップとサーバントリーダーシップによる交互作用効果―

櫻 井 研 司(日本大学経済学部)

The relationships between performance pressure, work motivation, and meaningfulness of work: Investigating the moderating roles of autocratic leadership and servant leadership

SAKURAI Kenji (Nihon University)

Building on vitamin model (Warr, 2007) and self-determination theory (Ryan & Deci, 2017) , the current study explored the effects of performance pressure on 1) intrinsic work motivation, 2) extrinsic work motivation, and 3) meaningfulness of work. Results based on 976 full-time Japanese workers showed that the effects of performance pressure on the aforementioned outcomes are curvilinear. Further, the effects of performance pressure on intrinsic work motivation and meaningfulness of work were moderated by servant leadership style, whereas the effect of performance pressure on extrinsic work motivation was moderated by autocratic leadership style. Theoretical implications, as well as implications for future research, are discussed.

キーワード:パフォーマンス・プレッシャー,リーダーシップ,職務動機づけ,仕事の有意味性 Key words:performance pressure, leadership, work motivation, meaningfulness of work

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い。事実,不安を感じつつ高揚感を覚えるなど,正 と負の情動を同時に経験することは可能である (Miyamoto, Uchida, & Ellsworth, 2010)。 ま た パ フォーマンス・プレッシャーが無い(あるいは極め て低い)ということは,努力を要しない安易な課題 と認識されることを意味するが,人々はそのような 課題を魅力的ではなく(大竹・唐渡,2003),退屈 だ と 感 じ る 傾 向 が あ る(Gevers, van Eerde, & Rutte, 2001)。したがってパフォーマンス・プレッ シャーの効果を検討するうえで,否定的な側面のみ ならず,肯定的な側面についても検討することは重 要だと考えられる。 しかし実証的に,パフォーマンス・プレッシャー が人々におよぼす肯定的な効果を検討した研究の数 は乏しく,多くが明らかになっていない。例えば, 数は限られているものの,パフォーマンス・プレッ シャーと肯定的な心理反応(e.g.,ワークエンゲイ ジメント)の関係を分析した研究には,正の関連性 を報告するもの(Eisenberger & Aselage, 2009), 負の関連性を報告するもの(Vahle-Hinz, 2016),お よび有意な関連性を見出せないものがあり(Zhang, Jex, Peng, & Wang, 2017),関連の方向性について 知見が曖昧である。さらに,パフォーマンス・プレッ シャーは働く意欲の向上につながるという示唆もあ るが(大竹・唐渡,2003),それは成果を収めた先 の報酬によって動機づけられるのか,努力を要する 課題にやりがいや自己成長を見出すために動機づけ られるのか,あるいはその両方であるのか不明であ る。つまり,ひとえに動機づけといっても,動機づ けは複数の次元で捉えられる概念であり(Ryan & Deci, 2017),パフォーマンス・プレッシャーとそれ らの関連性も明らかではない。 本研究では,こういった既存研究の限界を踏まえ, 以下2つの点について焦点を当てる。第一に,スト レス反応(McGrath, 1970)など否定的な側面では なく,パフォーマンス・プレッシャーが人々の肯定 的な心理反応におよぼす効果に焦点を当てる。具体 的には仕事に対する内発的動機づけ,外発的動機づ け,および仕事の有意味性に焦点を当てる。内発的 動機づけ(intrinsic motivation)とは自律的な動機 づけであり,動機が課題や活動そのものによって喚 起される状態と考えられる(Ryan & Deci, 2017)。 外発的動機づけ(extrinsic motivation)とは,昇進 や他者からの承認といった外的報酬によって統制さ れる動機づけである。外発的動機づけは,自律性− 統制性の連続線上で複数の次元に分類することが可 能であるが(Ryan & Deci, 2017),本調査ではこの うち外的調整(external regulation)に焦点を当てる。 第二に,本研究はビタミンモデル(Warr, 2007)と 自己決定理論(Ryan & Dec, 2017)を理論的背景に, パフォーマンス・プレッシャーと上記3つの基準変 数の関連性について検討する。前者は,パフォーマ ンス・プレッシャーの程度によって,動機づけおよ び仕事の有意味性へ及ぼす効果が異なることを提唱 しており,従来の研究で報告されてきたパフォーマ ンス・プレッシャーの一貫しない結果(e.g., Zhang, Jex, Peng, & Wang, 2017;Vahle-Hinz, 2016)を説 明する可能性を有する。自己決定理論は仕事の特性 によって異なる動機づけが行われる背景を論じてお り,ビタミンモデルが言及しないパフォーマンス・ プレッシャーと,内発的および外発的動機づけとの 関連性を検討するうえで重要な役割を果たすと考え る。 理 論 的 背 景 ビタミンモデル Warr(2007)のビタミンモデルは,仕事の特徴 が 仕 事 領 域 特 有 の 幸 福(job-domain specific wellbeing)に及ぼす影響を,ビタミンの働きに例 えて論じる。仕事領域特有の幸福とは,仕事をとお して得る情動的な幸福(affective wellbeing),およ び 意 義 深 さ に も と づ く 幸 福(eudaimonic wellbeing)が含まれる。Warr(2007)によると, 前者は喜び(pleasure)と覚醒(arousal)という独 立した2つの心理反応にもとづき概念化される。例 えば,本調査で基準変数として扱う動機づけの場合, 仕事に対する喜びと覚醒が共に高まった心理状態と 位置づけられる。一方,意義深さに基づく幸福とは, 個人的な価値観や信念,あるいは社会的,倫理的, 宗教的な価値観に照らし合わせ,自身の仕事に肯定 的な意味を見いだすことである。本調査のもう一つ の基準変数である仕事の有意味性は,この意義深さ に基づく幸福に該当する。 ビタミンの働きとは,適量を摂取すれば生理機能 を助けることであるが,過剰に摂取した場合はその 性質によって効果が2通りに分かれる。具体的に, 水溶性ビタミンは水に溶けやすい性質を有するた

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め,必要以上に摂取しても汗や尿と共に余剰分が体 外に排出される。一方,水に溶けない脂溶性ビタミ ンは体外に排出することが難しいため,余剰分は体 内に蓄積され,結果的に過剰摂取症を招くことがあ る。つまり,両方とも適量までは摂取量に応じた恩 恵を与えてくれるが,前者は適量を超えても肯定的 な効果が変わらない一方,後者は耐容上限を超えれ ば害をもたらす。Warr(2007)はこれらの特徴を そ れ ぞ れ 安 定 効 果(constant effect), 過 剰 減 衰 (additional decrement)と名付けている。 Table 1が示すとおり,ビタミンモデルは仕事の 特徴をビタミンの働きになぞらえ,「安定効果」型 と「過剰衰退」型の2つに分類している。例えば, 安定効果型の特徴を有するとされる「金銭の獲得」 や「身体的な安全性」は,低水準であれば上昇に伴っ て仕事領域特有の幸福を高めるが,高水準になると その肯定的な効果は限定的になる(Fig. 1参照)。 過剰減衰効型に分類される「自己統制の機会」や「技 能行使の機会」については,低水準の場合,上昇に 伴い仕事領域特有の幸福を高めるが,高水準の場合 にはビタミンの過剰摂取のように否定的な効果をも たらす。例えば,自己統制を行使する機会が多いの は,言い換えれば裁量が高いことを意味し,仕事に 対する労働者の積極的関与や肯定的な情動を促すこ とが期待できる。しかし裁量の幅が広がるにつれ大 きくなりがちなのが責任である。つまり自己統制の 機会も過剰になれば義務や責任として労働者を圧迫 し, 心 身 を 疲 弊 さ せ る と 考 え ら れ る(Warr, 2007)。したがって自己統制など,過剰衰退型の仕 事の特徴が仕事領域の幸福感におよぼす効果は低水 準と高水準で低くなる,逆Uの曲線を描く(Fig. 1 参照)。 自己決定理論 自己決定理論(Ryan & Deci, 2017)は動機づけ を多元的に捉え,それらの規定要因および働きにつ いて論じるメタ理論である。同理論によると人間の 本質は発達志向であり,環境との相互作用から自律 的で,統合された自我を形成する。この発達プロセ スにおいて,個人は自律性,効力感,関係性という 生得的に備わった心理的欲求を満たすことを求め, その成否が行動を高い質で動機づける原動力とな る。自律性とは自由意思を行使し,意識と行動を自 身で統制する感覚のこと,効力感とは環境と効果的 にやり取りし自身の能力を発揮する感覚のこと,そ Table 1. 仕事領域特有の幸福におよぼす主要な仕事環境の特徴. 仕事の特徴 例

1. Opportunity for personal control (自己統制の機会)

●仕事の裁量

●組織・部署の意思決定への参加 2. Opportunity for skill use

(技能行使の機会)

●専門技能の行使 ●専門技能のさらなる成長 3. Externally generated goals

(外発的な目標) ●パフォーマンス/ワーク・プレッシャー ●職責 4. Variety (多様性) ●仕事内容の多様性 ●仕事環境の多様性 5. Environmental clarity (環境の明瞭さ) ●経営方針についての明瞭さ ●仕事の役割についての明瞭さ 6. Contact with others

(他者との交流) ●同僚や上司と接する頻度 ●同僚や上司との交流の質 7. Availability of money (金銭の獲得) ●給与額 ●職務遂行のための金銭的資源 8. Physical security (身体的な安全性) ●病気やけがのリスクが低いこと ●人間工学的に適切な作業機器 9. Valued social position

(地位の社会的評価)

●職業の社会的名声

●組織内における職位・役割の重要性

注:Warr(1987, p.282)をもとに作成。1~6はadditional decrement(過剰減衰)を,7~9はConstant effect(安 定効果)を及ぼす仕事の特徴

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して関係性とは愛し愛され,大事にし大事にされる 有意味な関係を他者と築くことである(Ryan & Deci, 2017)。Ryan & Deci(2017)によると,職場 環境とのやり取りのなかでこれら3つの心理的欲求 が満たされるほど,人は自身の行動をより自律的に 統制し,心理的欲求が阻害されるほど行動はより他 律的で,環境に依存した統制になる。1 パフォーマンス・プレッシャーが動機づけに及ぼす 主効果 ビタミンモデル(Warr, 2007)によると,パフォー マンス・プレッシャーが労働者の幸福におよぼす影 響は過剰減衰(逆U字)型である。つまり脂溶性ビ タミンが欠乏すれば生理機能が低下するように,低 レベルのパフォーマンス・プレッシャーは努力の必 要性が低いと認識される,いわば能力や技能を活性 化するうえで不十分な栄養素であるため,労働者の 幸福を高めることが期待できない。実証的にも,低 レベルのパフォーマンス・プレッシャーは課題への 集中をより困難にし,退屈感を招く傾向が示されて いる(Carver, 1996)。同様に,脂溶性ビタミンの 過剰摂取が反作用効果をもたらすように,高レベル のパフォーマンス・プレッシャーは個人の内的環境 (e.g.,仕事の知識,能力,技能)との矛盾を生じさ せ,目的の未達成を招いたり,逃避動機を高めたり する(Gevers et al., 2001)。一方,中程度のパフォー マンス・プレッシャーは過少でも過剰でもない,よ り内的環境とのバランスが取れた環境圧力である。 1  3つの心理的欲求が,内発的動機づけおよび外 発的動機づけにおよぼす影響の過程は,それぞ れ認知的評価理論と有機的統合理論で異なる文 脈から説明される(Ryan & Deci, 2017)。認知 的評価理論は,環境との関りの中で3つの心理 的欲求が充足されることが内発的動機づけを促 すことを説明する。有機的統合理論は,外発的 動機づけが自律的に統制される過程における3 つの心理的欲求の働きを説明する。 高い 低い 低い水準 高い水準 Job Feature(仕事の特徴) Additional Decrement(過剰減衰) Constant Effect (安定効果) ︵仕事領域特有の幸福︶

Job Domain Specific Wellbeing

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内的環境と矛盾しない環境圧力は個人の適応を促 し,適応は効力感や喜びといった肯定的な情動をも たらす(LePine, Podsakoff, & LePine, 2005)。

自己決定理論(Ryan & Deci, 2017)は,仕事と の関わりの中で3つの心理的欲求が満たされるほど 内発的動機づけが高まり,それらの欲求が阻害され るほど外発的動機づけが高まると提唱する。この提 唱と,ビタミンモデルの論理を踏まえると,パフォー マンス・プレッシャーと内発的動機づけの関連性は 逆U字の曲線形で,外発的動機づけとの関連性はU 字の曲線形であると考えられる。具体的に,低レベ ルのパフォーマンス・プレッシャーが個人の有する 知識,能力,技能を十分に活性化しないのであれば, 個人が効力を発揮することにはならず(効力感の阻 害),また低レベルのパフォーマンス・プレッシャー が集中力の低下や退屈感を招くならば,自律的に課 題に関わり続けることはより困難になる(自律性の 阻害)。一方,高レベルのパフォーマンス・プレッ シャーは個人の能力,知識,技能に対して環境から の圧力(目標の難易度など)が高い状態を反映する ため,適応はより困難であり,環境との効果的なや り取りも容易とならない(効力感の阻害)。また高 レベルのパフォーマンス・プレッシャーに対して高 まりやすい回避動機は,課題へ自律的に関与する感 覚と矛盾する。中程度のパフォーマンス・プレッ シャーは適応を促し,それに伴う効力感と自律性の 向 上 は 内 発 的 動 機 づ け を 高 め(LePine et al., 2005),外発的動機づけを低下させる。 仮説1:パフォーマンス・プレッシャーと内発的動 機づけの間には逆U字曲線形の関連性がある。 仮説2:パフォーマンス・プレッシャーと外発的動 機づけの間にはU字曲線形の関連性がある。 パフォーマンス・プレッシャーが仕事の有意味性に 及ぼす主効果 仕事の有意味性(meaningfulness of work)とは, 仕事を個人的に重要で,肯定的な意味合いを持つと 認 識 す る 程 度 で あ る(Russo, Dekas, & Wrzesniewski, 2010)。先行研究によると,この認 識が強い労働者ほど仕事に没頭し(Lam, Wan, & Roussin, 2016),自分の仕事を“天職”と考え(Hirschi, 2012),また人生の満足感も高い(Steger, Dik, & Duffy, 2012)。このように様々な肯定的な心理状態 との関りを有することからも,仕事を有意味と認識 できることは,幸福なことだと考えられる。仕事の 有意味性を高める規定要因については,仕事をとお し た 自 己 効 力 感 や 有 能 感 の 高 ま り(Spreitzer, Sutcliffe, Dutton, Sonenshein, & Grant, 2005),お よび仕事に関わる他者からの感謝などが報告されて いる(Grant, 2008)。 ビタミンモデルによれば,パフォーマンス・プ レッシャーは仕事の有意味性に対して過剰減衰効果 型の効果を有する。具体的に,パフォーマンス・プ レッシャーは低および高水準の場合と比べ,中程度 の水準で仕事の有意味性を最も高める。Warr(2007) によると,過小ではない中程度の課題だからこそ 人々はチャレンジだと認識でき,同時に過剰な課題 ではないからこそ自身の能力や技能を効果的に発揮 し,課題を遂行することが可能になる。つまり自身 の能力,あるいは強みを発揮することによって得る 自己効力感は,仕事の有意味性の強力な先行要因と なりえる(Russo et al., 2010)。一方,低レベルの パフォーマンス・プレッシャーとは努力の必要性が 乏しいと認識される容易な課題であるため,課題遂 行に伴う効力感の高まりは期待できない。高レベル のパフォーマンス・プレッシャーの場合は,大きな 努力を要すると認識される困難な課題であるが,そ の困難な課題に苦労しているという現実や,困難な 課題であるがゆえに起こりがちな課題の未達成や失 敗が,効力感の高まりを限定的にさせる(Warr, 2007)。本調査ではこの提唱に沿い,パフォーマン ス・プレッシャーは中程度と認識される場合に最も 仕事の有意味性と関連性が強く,低および高レベル のパフォーマンス・プレッシャーと認識される場 合,仕事の有意味性との関連性が弱くなる,すなわ ち逆U字曲線形の関連性があると予測する。 仮説3:パフォーマンス・プレッシャーと仕事の有 意味性の間には逆U字線形の関連性がある。 専制的リーダーシップとパフォーマンス・プレッ シャーの交互作用効果 リーダーシップとは,部下が目標を達成する過程 に影響をおよぼす対人能力である。リーダーがその 影響力を行使するにあたって行う言動には個人差が あり,その特徴は専制的−民主的という連続線上で 概念化することが出来る(Bass & Bass, 2008)。専 制的なリーダーの特徴は権威志向と管理志向の強さ であるが,権威志向とは例えば地位的な優位性を用 いて部下を従わせることであり,強い管理志向とは 部下の遂行する課題の範囲とその遂行方法について

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リーダー自身が決定するといったことである。専制 的リーダーの生産管理志向の強さは,部下の生産性 に責任を持つという肯定的な側面もあるが,その反 面部下の自律性行使を否定するため,彼・彼女らの 統制感を失わせる(Bass & Bass, 2008)。専制的リー ダーのもう一つの特徴は,部下の心理的欲求への配 慮が乏しいことであるが,これは例えば部下の効力 感や承認欲求を充足するための働きかけが乏しいだ けではなく,叱責や懲罰でそれらを貶めることをい とわない傾向があげられる。 仮説1と仮説2では,パフォーマンス・プレッ シャーが動機づけに及ぼす主効果について述べた。 しかし,これらはパフォーマンス・プレッシャーが 求められる成果や役割に関するものであり,その内 容の決定,伝達,および評価に上司が関わることを 踏まえると,上司のリーダーシップスタイルの違い によって,パフォーマンス・プレッシャーの効果が 異 な る と 考 え ら れ る(Deci, Olafsen ,& Ryan, 2017)。専制的リーダーシップに関しては,例えば, “目標を達成するために頑張らなければいけない” というプレッシャーを個人が認識するとしても,専 制的リーダーシップの程度が異なれば,目標を設定 する過程に部下が関与できる程度,目的遂行にあ たって自律性の行使が認められる程度,あるいは目 標達成に向けた上司からの支援(e.g.,励ましや後 押し)が異なることを意味し,それらは部下の課題 に取り組む動機に個人差を生じさせる。自己決定理 論(Ryan & Deci, 2017)は,仕事との関りのなか で自律性,効力感,関係性の欲求が充足される程度 によって動機づけの方向が異なることを論じる。こ の論理にもとづけば,部下の自律性や効力感といっ た心理的欲求への配慮が乏しい専制的な部下の管理 スタイルは,パフォーマンス・プレッシャーの効果 をより内発的動機づけから遠ざけ,外発的動機づけ に近づける。言い換えると,パフォーマンス・プレッ シャーが低および高レベルの場合に内発的動機づけ を低下させて外発的動機づけを高める効果は,上司 の専制的リーダーシップの度合いが高いほど顕著に なる。 仮説4a:パフォーマンス・プレッシャーと内発的 動機づけの逆U字曲線形の関係は,上司の専制的 リーダーシップが高いほど顕著になる。 仮説4b:パフォーマンス・プレッシャーと外発的 動機づけのU字曲線形の関係は,上司の専制的リー ダーシップが高いほど顕著になる。 仮説3では,低および高レベルのパフォーマン ス・プレッシャーが,個人の能力や技能との矛盾を もたらしやすいため,効力感の向上が期待できず, 結果的には仕事の有意味性を低下させると予測し た。しかしこれらの効果についても,上司の専制的 リーダーシップの程度によって個人差が生じること が考えられる。例えば,低レベルのパフォーマンス・ プレッシャーとは,与えられた課題を個人が容易だ と認識する状態を意味するが,自分の能力に見合わ ない課題は退屈であり(Gevers et al., 2001),さら にそれを専制的なリーダーのもと,他律的に行うこ とは効力感を阻害すると考えられる。一方,高レベ ルのパフォーマンス・プレッシャーとは課題が困難 だと認識される状態であるが,その難しい課題に向 けて個人が努力や苦労したりする状況で,上司の専 制的な態度と言動が(e.g.,叱責,無愛想),効力感 を低下させる効果はより強力になると考えられる。 仮説4c:パフォーマンス・プレッシャーと仕事の 有意味性の逆U字曲線形の関係は,上司の専制的 リーダーシップが高いほど顕著になる。 サーバントリーダーシップとパフォーマンス・プ レッシャーの交互作用効果 サーバントリーダーシップとは,部下を導く意欲 と,部下に対する奉仕の意思を兼ね備えたリーダー シップスタイルと位置づけられ,行動的には1)高 い倫理性,2)部下を勇気づけ成長を促す態度,3) 対人的な実直さ,4)謙虚さ,5)他者の受容と共 感,6)模範で部下の意識と行動の変容を導く,と いった 特 徴 を 有 す る(Greenleaf, 1970)。van Dierendonck(2011)によると,奉仕するリーダー とは自尊心の低さから部下に権限を委譲して“仕え る”という意味ではなく,Kantの道徳哲学的に, 部下の自主性を尊重し,彼・彼女ら自身がリーダー として成長するよう自身の影響力と権限を奉仕する という意味である。先行研究によると,部下の成長 を重んじ勇気づけるサーバントリーダーの言動は, 部下の仕事に対する自己効力感を高めるだけではな く(Chen, Zhu, & Zhou, 2015),促進焦点の自己制 御,つまり理想や進歩を獲得するための意識と行動 を高める(Neubert, Kacmar, Carlson, Chonko, & Roberts, 2008)。

専制的リーダーシップと同様に,パフォーマン ス・プレッシャーが部下の動機づけに及ぼす効果

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は,サーバントリーダーシップの程度によって異な ると考えられる。第一に,サーバントリーダーが部 下の自律性を重んじる行動と態度に特徴づけられる ならば(e.g.,権限の一部委譲),仕事に対する部下 の自律性は高まるはずである(Behson, Eddy, & Lorenzet, 2000)。自己決定理論によると,自律性の 高まりは内発的動機づけを高め,外発的動機づけを 低下させる。したがって,低レベルのパフォーマン ス・プレッシャーが内発的動機づけを低下させた り,高レベルのパフォーマンス・プレッシャーが外 発的動機づけを高めたりする効果は,サーバント リーダーシップが低い場合よりも高い場合に弱くな る。第二に,促進焦点の自己制御とは失敗に付随す る否定的な結果ではなく,成功に付随する肯定的な 結果に意識と行動が向けられることである。高レベ ルのパフォーマンス・プレッシャーによって高まり がちな逃避動機は自律性と矛盾するため,内発的動 機づけの低下と外発的動機づけの高まりをもたらす と述べた(仮説1と2)。しかしサーバントリーダー が部下の促進焦点の自己制御を高めるのであれば, 高レベルのパフォーマンス・プレッシャーに伴う逃 避動機の高まりは抑制され(e.g.,苦労は成長の糧), 内発的動機づけおよび外発的動機づけに及ぼす効果 も弱まる。 仮説5a:パフォーマンス・プレッシャーと内発的 動機づけの逆U字曲線形の関係は,上司のサーバン トリーダーシップが高い場合に緩やかになる。 仮説5b:パフォーマンス・プレッシャーと外発的 動機づけのU字曲線形の関係は,上司のサーバント リーダーシップが高い場合に緩やかになる。 仮説3では,低レベルのパフォーマンス・プレッ シャーは努力の必要性が乏しいと認識されることか ら,高レベルのパフォーマンス・プレッシャーは多 くの努力を要すると認識されることから効力感の高 まりを抑制し,結果的に仕事の有意味性との関連性 が弱くなると予測した。しかし仕事の有意味性は, この文脈で説明される有能感を高めるような環境と の効果的なやり取り以外にも,他者や環境に対して 肯定的な影響力を行使することによっても高まる (Grant, 2008)。もちろん,肯定的な影響とは個人 の主観と言えるが,その主観的解釈はリーダーが説 明する仕事の役割や意義,あるいは仕事上で起こ る様々な出来事に対するリーダーの反応によって 影響を受ける(Podolny, Khurana, & Hill-Popper,

2004)。このリーダーの影響に関して,サーバント リーダーが職業倫理や道徳性を重んじる特徴は重要 な意味合いを有する。例えば,サーバントリーダー は個人業績などの狭いエゴを超え,未来志向を持ち, 関連するステークホルダー全体(e.g.,組織,消費者, 地域社会)の福利を考慮することを部下に促す (Greenleaf, 1970)。この利他的なリーダーの特徴は 測定尺度にも反映されるが(“上司は地域社会に利 益を還元することを重んじる”;Ehrhart, 2004), そういった言動が部下の視野を広げ,仕事の肯定的 な意味合いを意識させたり,気づかせたりする。つ まりサーバントリーダーは,仕事の意義と部下の目 標を結びつけることによって仕事の有意味性を吹き 込む(Rosso et al., 2010)。したがって,低および 高レベルのパフォーマンス・プレッシャーが仕事の 有意味性を低下させる傾向は,上司のサーバント リーダーシップの傾向が高い場合,低い場合と比べ て弱くなると予測する。 仮説5c:パフォーマンス・プレッシャーと仕事の 有意味性の逆U字曲線形の関連性は,上司のサーバ ントリーダーシップが高い場合緩やかになる。 1 .調査手続き 無作為に抽出した調査会社のパネルを対象に, 6ヵ月間隔で計3回のウェブサーベイ方式で実施し た。第一回調査(T1)には2,498名参加したが(回 答率=54.6%),欠損値の多い198名と,調査基準を 満たさない493名(e.g.,パートタイム労働者,勤続 年数1年未満)を対象外とした。第二回調査(T2) には,T1対象者のうち1,446名参加したが(回答率 =80%),欠損値の多い1名と,無気力回答が認め られた6名を対象外とした。第三回調査(T3)に は976名が参加した(回答率=69.7%)。参加者の人 口統計情報は以下の通りである:性別(男性= 77.6%),年齢(M=45.82,SD=9.29),職位(役職・ 上級管理職=9.5%,中間管理職=32.4%,一般社員 =58.1%),勤続年数(M=15.51,SD=10.22),職 業分類(事務=31.4%,販売・営業=15.3%,サー ビス=9.4%,保安=1.1%,生産工程=9.0%,輸送・ 機械運転=2.7%,専門・技術職=19.2%,建設・採 掘=4.8%,運搬・清掃・包装=1.2%,農林漁業= 0.4%,管理的職業=5.4%)。

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2 .尺度 統制変数 ネガティブ情緒特性とは,ネガティブ な情緒を経験しがちな性格特性であるが,この特性 はパフォーマンス・プレッシャーに対する過敏さに 影 響 を 及 ぼ す こ と が 想 定 さ れ る た め(Chen & Spector, 1991),統制変数として使用した。尺度は 川人,大塚,甲斐田,中田(2012)を使用し,参加 者には10のネガティブ情緒を(e.g.,イライラ,悩み, 敵意)普段日常的に感じる程度の4段階(1=全く 感じない~4=非常に感じる)で評価してもらった。 また,労働条件に性差があり,年齢で職業価値が異 なったりすることから(佐藤,2012),性別と年齢 も統制変数として使用した。さらに,仕事の内容は 本調査の基準変数(動機づけと仕事の有意味性)に 影響を及ぼすことが考えられるため,職位と職業分 類(日本標準職業分類に基づく)も統制変数として 使用した。尺度の記述統計,信頼性係数,および回 収時期については,他の尺度のものとまとめて Table 2に記載した。 パフォーマンス・プレッシャー Mitchell et al. (2018)の4項目尺度のうち3項目を基に作成した (e.g., “業績をあげるプレッシャーが大きい”)。残り の1項目(業績をあげなければ職を失うリスクがあ る)については尺度が開発された米国と日本の解雇 規制の違いから,質問の意味合いが異なることが想 定されたため使用しなかった。参加者は過去6ヵ月 を振り返り,各項目について5段階(1=大分違う ~5=大分当たっている)で評価した。 サーバントリーダーシップ Ehrhart(2004)の 14項目尺度を邦訳して使用した(e.g.,“私の上司は, 部下個人の成長を部署の優先課題にしている”)。参 加者は,各項目について5段階(1=ほとんどそう しない~5=常にそうする)で評価した。

専制的リーダーシップ de Luque, Washburn, & Waldman(2008)の4項目尺度を邦訳して使用し た(“私の上司は,部下に対して威圧的に指示を出 す”)。評価段階はサーバントリーダーシップ尺度と 同様である。

仕事の有意味性 May, Gilson, & Harter(2004) の3項目尺度を基に作成した(私の仕事は,“私の 人生を豊かにしてくれる,”“個人的に大きな価値が ある,”“私自身の成長にとって重要だ”)。参加者は 過去6ヵ月を振り返り,各項目について7段階(1 =全く感じない~7=極めて強く感じる)で評価し た。 内発・外発的動機づけ Gagné et al.(2015)の 内発的動機づけと外発的動機づけ各3項目を邦訳し て使用した。参加者は,“なぜあなたは今のお仕事 を頑張るのですか”という問いかけに対して,過去 半年を振り返り,内発的動機づけに関する項目(“仕 事自体がとても楽しいから”)および外発的動機づ けに関する項目(“経済的報酬のため”)が自身に当 てはまる程度を7段階で評価した(1=全く当ては まらない~7=完全にあてはまる)。 Table 2. 変数の記述統計,信頼性係数,および相関係数 変数(回収時期) M(SD) 1 2 3 4 5 6 7 8 1.性別(T1) 0.22(0.42) ― 2.年齢(T1) 45.82(9.29) -.27** ― 3.ネガティブ情緒特性(T1) 2.15(0.79) .01 -.15** (.93) 4.パフォーマンス・プレッシャー(T1) 3.05(0.93) -.10** .05 .25** (.88) 5.専制的リーダーシップ(T2) 3.12(0.63) -.03 -.07** .04 .04 (.87) 6.サーバントリーダーシップ(T2) 2.32(0.82) -.05 -.02 -.08** -.09** -.28** (.96) 7.内発的動機づけ(T3) 2.62(1.27) -.01 -.08* .07* .06* -.11** .42** (.88) 8.外発的動機づけ(T3) 4.59(1.01) .08** -.09** .15** .19** .09** -.05 -.06 (.81) 9.仕事の有意味性(T3) 3.97(1.29) -.02 .09** -.19** .04 -.18** .35** .32** .02 (.92) 注.性別(0=男性,1=女性),**p<.01,対角線上カッコ内の値はアルファ係数に基づく内的一貫性

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分析方法 本研究の仮説は二次交互作用回帰分析によって検 証した(Table 3)。仮説1~3の曲線効果について は,パフォーマンス・プレッシャーの二次変数に関 わる回帰係数(ステップ4)の統計学的な有意性に よって検証した(Jose, 2013)。仮説4a~5cの交互 作用効果については二次交互作用変数(ステップ5) に関わる回帰係数の統計学的な有意性と,調整変数 による曲線の変化を図示することによって検証し た。Jose(2013)とDawson(2014)によると,二 次交互作用変数の回帰係数が統計学的に有意である 場合,予測変数と基準変数の曲線関係は調整変数に よって異なる。しかしこの検定では,曲線がどのよ うに異なるかを把握できないため,異なる調整変数 値によって条件づけた(±1SD)予測変数と基準変 数 の 曲 線 関 係 を 図 示 す る こ と が 推 奨 さ れ る (Dawson, 2014)。 パフォーマンス・プレッシャーの曲線効果 パフォーマンス・プレッシャーと,内発的動機づ けとの間には逆U字形の曲線関係があり(仮説1), 外発的動機づけとの間にはU字の曲線関係がある (仮説2)と予測した。Table 3が示すとおり,パ フォーマンス・プレッシャーの2次変数は,内発的 動機づけ(β=-.27, p<.01)および外発的動機づけ (β=.23, p<.01)と有意な関連があった。またこれ らの関連性はFig. 2が示すとおり,それぞれ仮説1 (逆U字形)と仮説2(U字形)に沿ったパターンで あった。したがって仮説1と2は支持された。仮説 3は,パフォーマンス・プレッシャーと仕事の有意 味性に逆U字の曲線関係があると予測したが,この 関連性についても有意であり(Table 3;β=-.07, p <.05),曲線のパターンは仮説に沿った逆U字形で あった。したがって仮説3も支持された。 パフォーマンス・プレッシャーと,リーダーシップ スタイルの交互作用効果 仮説4aによると,パフォーマンス・プレッシャー と内発的動機づけの逆U字の曲線関係は,上司の専 Table 3. 階層的二次項式回帰分析の結果 内発的動機づけ 外発的動機づけ 仕事の有意味性 B △R2 B △R2 B △R2 Step 2 .17** .04** .12**  パフォーマンス・プレッシャー .06 .18** .10*  専制的リーダーシップ -.03 .07 -.12**  サーバントリーダーシップ .51** -.03 .41** Step 3 .01** .00 .00  パフォーマンス・プレッシャーX -.07 .00 .01  専制的リーダーシップ  パフォーマンス・プレッシャーX .08* .06 -.01  サーバントリーダーシップ Step 4 .08** .10** .01*  パフォーマンス・プレッシャー2次 -.27** .23** -.07*  項変数 Step 5 .01* .02** .01**   パフォーマンス・プレッシャー二次項 X専制的リーダーシップ .02 .09** .05   パフォーマンス・プレッシャー二次項 Xサーバントリーダーシップ .07** .05 .09* 注.*p<.05, **p<.01,統制変数の推定値は省略。Step 2 ~ 5は新たに式に投入した変数のみ推定値を記載

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制的リーダーシップが高いほどより顕著になる。し かしこの仮説に反して,パフォーマンス・プレッ シャーの二次変数と専制的リーダーシップの交互作 用効果は有意ではなかった(Table 3;β=.02, p =.53)。一方,外発的動機づけに対するパフォーマ ンス・プレッシャーの二次変数と専制的リーダー シップの交互作用効果は有意であった(β=.09, p <.01)。この交互作用効果を把握するため,パフォー マンス・プレッシャーと外発的動機づけの曲線関係 を,専制的リーダーシップが高い(+1SD)場合と, 低い場合(-1SD)で条件づけて図示した(Dawson, 2014;Fig. 3)。その結果,仮説4bのとおりパフォー マンス・プレッシャーと外発的動機づけのU字形の 曲線関係は,上司の専制的リーダーシップが高いほ どより顕著になっていた。仮説4cに関しては,仕 事の有意味性に対する,パフォーマンス・プレッ シャーの二次変数と専制的リーダーシップの交互作 用効果が有意ではなかったため支持されなかった (β=.05, p=.07)。 仮説5aによると,パフォーマンス・プレッシャー と内発的動機づけの逆U字の曲線関係は,上司の サーバントリーダーシップが低い場合と比べ,高い 場合により緩やかになる。Table 3に示したとおり, 内発的動機づけに対する,パフォーマンス・プレッ シャーの二次変数とサーバントリーダーシップの交 互作用効果は有意であった(β=.07, p<.01)。また この交互作用効果をFig. 4に示しているが,仮説5 aのとおりのパターンが見て取れる。したがって仮 説5aは支持された。 仮説5bに関しては,二次交互作用効果が有意で はなかったため支持されなかった(β=.05, p=.12)。 仮説5cによると,パフォーマンス・プレッシャー と仕事の有意味性の逆U字の曲線関係は,上司の サーバントリーダーシップが高い場合緩やかにな る。仕事の有意味性に対するパフォーマンス・プ レッシャーの二次変数とサーバントリーダーシップ の交互作用効果は有意であった(β=.09, p<.01)。 またこの交互作用効果をFig. 5に示しているが,仮 説5cのとおりのパターンが見て取れる。したがっ て仮説5cは支持された。 パフォーマンス・プレッシャーの曲線効果について 本調査は,ビタミンモデル(Warr, 2007)と 自 己決定理論(Ryan & Deci, 2017)を背景に,パ 内発的動機づけ 外発的動機づけ 仕事の有意味性 6 5 4 3 2 1 低い パフォーマンス・プレッシャー 高い Fig. 2. パフォーマンス・プレッシャーが内発的動機づけ,外発的動機づけ,仕事の有意味性におよぼす曲線効果

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フォーマンス・プレッシャーが人々の働く心理へお よぼす効果について検討した。分析の結果,パフォー マンス・プレッシャーは内発的動機づけと仕事の有 意味性に対して,過剰減衰の効果を有していた。す なわち低および高レベルの場合と比べ,パフォーマ ンス・プレッシャーは中程度の場合に内発的動機づ けと仕事の有意味性は高める傾向があった(逆U字 形;Fig. 2参照)。これらの結果について,ビタミン 6 5 4 3 2 低い 高い パフォーマンス・プレッシャー 外発的動機づけ 専制的リーダーシッ プ低群(−1SD) 専制的リーダーシッ プ高群(+1SD) 5 内発的動機づけ 4 3 2 1 低い 高い パフォーマンス・プレッシャー サーバントリーダーシップ 低群(−1SD) サーバントリーダーシップ 高群(+1SD) − Fig. 3. 外発的動機づけに対するパフォーマンス・プレッシャーと専制的リーダーシップの曲線交互作用効果 Fig. 4. 内発的動機づけに対する,パフォーマンス・プレッシャーとサーバントリーダーシップの曲線交互作用効果

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モデルは過少でも過剰でもないパフォーマンス・プ レッシャーであるからこそ,労働者の適応が促され たと提唱する。そして適応が仕事に対する熱意や楽 しさ,つまり内発的動機づけを高め,また仕事の有 意味性をもたらしたと説明する(Warr, 2007)。さ らに自己決定理論にもとづけば,中程度のパフォー マンス・プレッシャーであったからこそ,労働者は 前向きに仕事に取り組め(回避動機の抑制),また 自身の技能,知識,能力をより効果的に活用するこ とが出来た。そしてこれらの状況で高まる有能性と 自律性の感覚が,結果的には質の高い動機づけ(内 発的動機づけ)の原動力となったと説明する。 外発的動機づけについては,パフォーマンス・プ レッシャーが中程度の場合に最も低く,低および高 レベルの場合に高まる傾向があった(U字形;Fig. 2参照)。自己決定理論(Deci & Ryan, 2017)にも とづけば,パフォーマンス・プレッシャーが中程度 の場合に外発的動機づけが低かったのは,労働者の 効力感と自律性の向上が,外発的動機づけの高まり を抑制したためである。一方低および高レベルのパ フォーマンス・プレッシャーは,労働者の有能感を 阻害したり(Carver, 1996),課題や役割に対する 回避動機を高めやすいため(Gevers et al., 2001), 結果的には外発的動機づけを高めたと考えられる。 総じて,パフォーマンス・プレッシャーと動機づ けには,曲線的な関連性があることを本調査の結果 は示唆している。従来の研究において,パフォーマ ンス・プレッシャーが労働者の動機づけにおよぼす 効 果 は 一 貫 し な い こ と が 報 告 さ れ て い る が (Eisenberger & Aselage, 2009;Vahle-Hinz, 2016; Zhang, Jex, Peng, & Wang, 2017),これらの研究 においてパフォーマンス・プレッシャーの曲線効果 は検討されてこなかった。したがって今後の研究で は,パフォーマンス・プレッシャーの二次変数を予 測モデルに組み込むことが勧められる。そうするこ とにより,動機づけの分散をより説明できる可能性 があると言える。 パフォーマンス・プレッシャーとリーダーシップス タイルの交互作用について リーダーシップの交互作用効果については,ビタ ミンモデルにおける職業領域の幸福(内発的動機づ けと仕事の有意味性)を基準変数とした場合,パ フォーマンス・プレッシャーの効果に対して有意な 交互作用が認められたのはサーバントリーダーシッ プのみであった。一方,外発的動機づけ(外的調整) を基準変数とした場合,パフォーマンス・プレッ シャーの効果に対して有意な交互作用が認められた のは専制的リーダーシップのみであった。この結果 低群(−1SD) 高群(+1SD) パフォーマンス・プレッシャー サーバントリーダーシップ 高群(+1SD) サーバントリーダーシップ 低群(−1SD)− 仕事の有意味性 6 5 4 3 2 Fig. 5. 仕事の有意味性に対する,パフォーマンス・プレッシャーとサーバントリーダーシップの曲線交互作用効果

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の1つの解釈として,それぞれのリーダーシップは, 求められる成果や役割を遂行することついて,労働 者の意識を異なる側面に向けさせるため,基準変数 への効果も異なった可能性が考えられる。より具体 的に,サーバントリーダーシップとは部下の自主性 を重んじ,彼・彼女ら自身がリーダーとして成長す るよう導く部下管理スタイルである。このような リーダーの態度と行動は,部下が自律的に仕事に取 り組んだり(Chen et al., 2015),理想や進歩を獲得 するための意識を高めたりする(Neubert et al., 2008)。つまりサーバントリーダーシップの程度は, 労働者が求められる成果や役割を遂行するにあたっ て,仕事にどれほど自律的に関わったり(内発的動 機づけ),仕事を個人的に重要で価値があると認識 するか(仕事の有意味性)に対して働きかけるので あって,外的報酬(e.g.,金銭的報酬,称賛)をど れほど重視するか,すなわち外的調整に対して働き かけるものではない。一方,専制的リーダーシップ とは生産性志向が強く,部下を賞罰で管理するリー ダーシップスタイルである(Bass & Bass, 2008)。 つまり,求められる成果や役割を十分にこなしてい る限りは報酬を与え,それらの要求を十分果たせな い場合には罰(叱責や減給)によって応じる。この ような傾向の程度は,仕事上の成果や責任を遂行す るにあたって,部下がどれほど外的報酬を意識して 働くようになるかに影響をおよぼすと考えられる。 したがって,専制的リーダーシップは,パフォーマ ンス・プレッシャーと外発的動機づけの関係を調整 するが,内発的動機づけや仕事の意味合いとの関係 を調整するものではないと言う可能性が考えられ る。交互作用についての仮説が支持されなかったも う一つの可能性に,統計学的な可能性も考えられる。 交互作用検定は検知力が乏しい分析である(Aiken & West, 1991)。検知力が乏しい分析手法であれば, 支持されなかった仮説は誤って棄却された可能性が ある。しかし本調査は比較的サンプル数も多いため (n=976),この可能性は低いと考えられる。 今後の課題 先行研究を展望すると,パフォーマンス・プレッ シャーが労働者の肯定的な心理反応へおよぼす効果 の方向性は一貫しているとは言い難い(e.g.,ワー ク エ ン ゲ イ ジ メ ン ト;Eisenberger & Aselage, 2009;Zhang et al., 2017)。いっぽう本研究では, パフォーマンス・プレッシャーについて先行研究と 同様の直線的な効果ではなく,曲線的な効果につい て検討した。その結果,内発的動機づけ,外発的動 機づけ,および仕事の有意味性のいずれの基準変数 に対しても,パフォーマンス・プレッシャーには有 意な曲線効果が認められた。つまり,パフォーマン ス・プレッシャーには高いほど良い(あるいはその 逆)という直線形の効果ではなく,高すぎても低す ぎても好ましくないという曲線形の効果を有する可 能性を示唆している。もちろんこれは本研究結果が 示唆することであるため,同様の効果が再現される かを今後の研究で検討されることが望まれる。また 本研究は自己決定理論にもとづき,動機づけに対す るパフォーマンス・プレッシャーとリーダーシップ の交互作用効果を検討した。しかし,より厳密に自 己決定理論の枠組みからこれらの関連性を検討する ならば,3つの基本的欲求が,パフォーマンス・プ レッシャーと動機づけを媒介する効果を,リーダー シップスタイルが調整する交互媒介効果について検 討することが必要と言える。 また本調査は日本の労働者に焦点を絞ったことは 一つの限界と言えよう。三隅(1987)によると,日 本人は国際的に見ても仕事を日常生活のうち最も重 要で有意義な活動だと考える傾向が強く,さらに仕 事に経済的対価よりも,やりがいや自己充足を求め る傾向が高い。この文脈からは,日本の労働者は仕 事に対する外発的動機づけよりも,内発的動機づけ が強いことが伺える。しかし本研究の結果において, 内発的動機づけと外発的動機づけの平均値を比較す ると,前者が著しく低いことは明らかである。確か に,他者からの要求や期待に応えたり,労働の対価 として報酬を受け取る仕事に対して,内発的な動機 づけを感じることは容易ではない(Ryan & Deci, 2017)。しかし7か国の労働者を対象とした動機の 調査研究において(Gagne et al., 2014),いずれの 国においても内発的動機づけの平均値が,外発的動 機づけの平均値と比べて著しく低い傾向はない。つ まり日本の労働者は諸外国の労働者と比べて,実際 には経済的報酬のために働いているという意識が強 く,また仕事そのものに楽しさや興味深さを感じて いない可能性がある。今後の研究では,内発的動機 づけの国際的な比較検討を行い,日本の労働者と諸 外国の労働者の間の差,およびその規定要因を探る 研究は有意義だと考える。 最後に本研究の限界について述べる。第一に,本

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研究は実験研究ではないため,変数間の因果関係を 明らかにするものとは言えない。これと関連して, 本研究では予測変数と基準変数を測定する時期を変 えたり,これらの変数に影響をおよぼす可能性を有 する回答者の特性を統計学的に統制した。しかしこ れらの取り組みによって,コモンメソドバイアスの 懸念がすべて払拭されたとは言えない。第二に, Ryan & Deci(2017)の理論的な枠組みによると, 外発的動機づけは外的調整,取り入れ調整,同一調 整,そして統合調整といったより詳細な分類化が可 能である。しかし本研究では回答者の負担を減らす ため,有形の報酬を目的とする外的調整だけに焦点 を絞った。したがって,パフォーマンス・プレッ シャーと動機づけの関連性については限定的な分析 に限られると言わざるを得ない。今後の研究では, 動機づけをより多元的に測定し,パフォーマンス・ プレッシャーとの関係を明らかにすることが求めら れる。第三に,Ryan & Deci(2017)によると,タ スク特性は内発的動機づけに影響をおよぼす可能性 がある。このため本調査では,調査協力者の職業分 類(販売・営業,サービスなど日本標準職業分類に 基づく職業群)と職位(一般職,管理職,役職)を 統制変数として統計モデルに組み込んだ。しかし, これらの統制変数によってタスク特性が内発的動機 づけにおよぼす影響をすべて排除できたとは言い難 い。したがって今後は実験研究などより厳密な手法 にもとづき,内発的動機づけに対する,パフォーマ ンス・プレッシャーとリーダーシップスタイルの効 果について検証することが望まれる。第四に,本調 査は専制的リーダーシップの対比となる民主的リー ダーシップ(Bass & Bass, 2008)については取り 上げなかった。その主な理由は,本調査が焦点化し たパフォーマンス・プレッシャーの影響は,個人に 対する影響を想定しているが,民主的リーダーシッ プは集団全体を意識したリーダーシップということ があげられる。サーバントリーダーシップは,フォ ロワーの自律性を重んじたり,職務・役割遂行を勇 気づけるといった,フォロワー個々人の成長を促す ための行動に特徴づけられる(Greenleaf, 1970)。 このような特徴を踏まえると,パフォーマンス・プ レッシャーがフォロワー個々人におよぼす影響を左 右する調整要因として,サーバントリーダーシップ を取り上げる理論的な整合性は高いと考えられる。 さらにサーバントリーダーシップには高い倫理性を 有するという特徴があるが,この特徴はフォロワー が認識する仕事の有意味性を変容させるという理論 的な可能性があることはすでに述べたとおりである (Rosso et al., 2010),しかしながら,パフォーマン ス・プレッシャーがフォロワーの心理反応へ及ぼす 効果を左右するのは,サーバントリーダーシップと 専制的リーダーシップのみとは限らない。したがっ て今後の研究では,異なるリーダーシップスタイル にも焦点があてられることが期待される。 引 用 文 献

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