部落差別調査等規制等条例10年にあたって
11
0
0
全文
(2) な が る身 元 調 査 を な く す る方 策 に つい て﹂ の答 申 にお い ても 、 そ の必 要 性 を 明 確 に みと め て以 下 のよう に述 べて いる。. さ ら に、 規 制 条 例 が 成 立 す る前 年 (一九 八 四年 ) の十 二月 八 ロ]に出 さ れ た 大 阪 府 同 和 対 策 審 議 会 の ﹁部 落 差 別 に つ. 現 状 、 部 落 差 別 に つな が る身 元調 査 や部 落 地 名 総 鑑 問 題 が 払 拭 され て いな い現 実 を 直 視 し た と き 、 こう し た取 り組 み. 主 規 制 な どを 展開 し てき た が、 部 落 地 名 総 鑑 は ひ そ か に利 用 され てい る し、 身 元 調 査 の差 別 事 件 も 毎年 発生 し ている。. 実 の認識 が存 在 し て いた。 つま り、 部 落 差 別 の身 元 調 査 を な く す たあ に啓 発 や現 行 制 度 の活 用 、 行 政 指 導 の強 化 、 自. 的 な身 元 調査 は、 表 面 化 し にく い性 質 のも の であ る にも か か わ らず 。 毎 年 事 件 の発 生 を み てい る。﹂ と い う 厳 し い現. 表 面 化 し た だ け でも 二 〇 〇余 に達 し てお り、 現 在 に お い ても 、 ひ そ か に利 用 さ れ てい ると 考 え ら れ る。 も とも と 差 別. こ のよ う に答 申 し た背 景 に は、 ﹁部 落 地 名 総 鑑 は、 一九 七 五 年 末 に発 覚 し て以 来 、 発 行 種 類 は九 種 類 、 購 入 者 数 は. て審 議 し、 制 定 さ れ る条 例 に よ る こと が 最 も適 切 であ る。﹂ と な って い る。. 効 性 を高 め る必 要 性 が あ る こと、 ま た府 民 や社 会 への影 響 力 を 考 え た と き、 広 く府 民 の意 思 を 代 表 す る府 議 会 に お い. 性 を 認 めざ るを 得 な い。﹂ ﹁府 に お け る法 的 整 備 と し ては、 い く つか の形 態 が考 え ら れ る が、 悪 質 な 業 者 に対 し て は実. べき であ る が、 そ の こと と同 時 に現 に発 生 し つ つあ る事 態 に対 処 す る たあ に は何 らか の強 制 力 を 伴 う法 的 措 置 の必 要. だ け では限 界 のあ る ことを 示 し てい る。 こ の問 題 の解 決 は、 基 本 的 に は啓 発 等 の非 権 力 的 な 手 段 に よ り対 処 し て いく. し か し、 これ ら の諸 方 策 が幅 広 い取 り組 みと し て推 進 され て い る にも か か わ ら ず 、 結 婚 や 就 職 等 の際 の部 落 差 別 の. 活 用、 行 政 指 導 の強 化 、 さ ら に調 査 を 業 と す る者 に よ る自 主 規 制 の促 進 な ど の方 策 が 基 本 でな け れ ば な ら な い。. ﹁部 落 差 別 に つな が る身 元 調 査 を な く す るた め には、 以 上 述 べた と お り、 府 民 に対 す る啓 発 活動 の充 実 、 現 行 制 度 の. 第11号 し た が って規 制 条 例 の制 定 が必 要 であ る と し た の であ る。. ‐iio. 人権 問題研究資料.
(3) 部落差別調査等規制等条例十年 にあたって. 条例施行 の影響. こ の よ うな 規 制 条 例 制 定 以 前 の状 況 が、 条 例 制 定 以 後 ど の よ う に変 化 し 、 影 響 を 与 え てき た のか と い う こと を 過 大 評 価 や過 小 評 価 を 排 し て正 確 に捉 え る必 要 が あ る。. そ こ で、 ま ず制 定 時 に 明確 に し た意 義 を要 約 す る と、 ① 部 落 差 別 の営 利 行 為 に対 し て、 そ の犯 罪 性 を 国 内 では じ め. て法 的 に 明確 にし た こと、 ② 人 権 啓発 や 部落 差 別撤 廃 の啓 発 に と って大 き な根 拠 に な る こと、 ③ 潜 在 的 な犠 牲 者 が泣. き寝 入 り せ ざ る を 得 な か った 状 況 か ら 、 堂 々 と そ の不法 性 を主 張 でき る法 的 根 拠 が でき た こと、 ④ 部 落 出 身 者 以外 の. 被 差 別者 にも、 大 き な 勇 気 と 自 信 を 与 え た こと、 ⑤ 国 や全 国 の地 方 自 治 体 に積 極 的 な 影響 を あ た え る こと が でき た こ. と 、 ⑥ ﹁部 落 地 名 総 鑑 ﹂ 差 別 事 件 の真 相 糾 明 を 行 う 上 で、 今 回 の条 例 が大 き な 力 にな る こと、 ⑦ そ の他 と し て部 落 解 放 基 本 法 制 定 に積 極 的 効 果 を 与 え る こと が でき る こと な ど であ った 。. これ ら の意 義 が 、 規 制 条 例 制 定 以 後 に現 実 的 な も の にな った のか ど う か と いう こと を 明 確 にす る と と も に、 規 制 条. 例 制 定 前 後 の論 議 の中 で述 べら れ た 規 制 条 例 不 必 要 論 や 反 対 論 に対 し て、 そ の誤 り を 実 証 的 に明 確 にす る こと によ っ て、 制 定 以 後 の成 果 を 明 ら か にす る こと が でき る。. ① 人 権 啓 発 に積 極 的 影 響. 以 上 の よう な 視 点 に立 って規 制 条 例 制 定 後 の成 果 を 要 約 す ると 、第 一に人権啓発 や差別撤廃啓発活動 に積極的影響. 一1ユi.
(4) 証 でき た こと 。 第 三 に部 落 解 放 基 本 法 制 定 にむ け た 規 制 法 の論 議 に積 極 的 影 響 を 与 え る こと が でき た こと 。 第 四 に他. を与 え、 調 査 業 協 会 の自 主 規 制 を 前 進 さ せ る こと が でき た こと 。 第 二 に規 制 条 例 の反 対 意 見 に対 し て、 そ の誤 りを 実. 罪 性 を 国 内 で はじ め て法 的 に明 確 にし 、 法 規 制 を 打 ち 出 し た こと によ って、 これ ま で の啓 発 に法 的 根 拠 を 持 た せ る こ. これ ら の努 力 規 定 によ って、 規 制 条 例 制 定 以 前 の部 落 差 別 身 元 調 査 の啓 発 を な か な か 受 け 入 れな か った府 民 層 に対. 3、 府 民 は、 第 一条 の目 的 に反 す る 調 査 又 は 調 査 の依 頼 を し な いよ う 努 め な け れ ば な ら な い。﹂ と な って いる。. め な け れ ば な ら な い。. 2、 興 信 所 、 探 偵 社 業 者 は 、 そ の営 業 に つい て、 社 会 的 責 任 を 自 覚 し 、 第 一条 の目 的 に反 す る行 為 を し な い よう 努. ﹁府 は、 国 及 び 市 町 村 と 協 力 し て、 第 一条 の目 的 を 達 成 す る た め 必 要 な 啓 発 に努 め るも のと す る。. 規 制 条 例 第 三 条 に は、. た。. 規 制 条 例 制 定 以 後 の条 例 宣 伝 活 動 は 、 行 政 的 な レ ベ ル にお い ても これ ま で の啓 発活 動 に比較 す れば 、格段 の前 進 があ っ. つま り、 規 制 条 例 と いう 法 制 度 を 宣 伝 す る こと そ れ 自 体 が 、 部 落 差 別 撤 廃 の啓 発 にな り、 いま だ 不 充 分 と は い え、. と が でき た こと を 上 げ る必 要 が あ る。. まず 第 一の点 に つい て は、 部 落 差 別 身 元 調 査 や 部 落 地 名 総 鑑 の作 成 ・販 売 な ど 、 差 別 の営 利 行 為 に対 し て、 そ の犯. 身 元 調 査 と 部 落 地 名 総 鑑 の撤 廃 にむ け て 一定 の前 進 を み る こと が でき た こと であ る。. 府 県 に影 響 を 与 え る こと によ って 一定 の動 き を 作 り 出 し た こと 。 な ど が あ げ ら れ る。 これ ら の成 果 に よ って部 落 差 別. 第11号. し て、 ﹁条 例 でも決 あ ら れ てい る﹂ と い う こと に よ って、 特 に大 き な 効 果 を 上 げ る こと が でき た。 ま た 、 制 定 以 前 の. 一112一. 人権問題研究資料.
(5) 部落差別調査等規制等条例十年 にあたって. 啓発 では、 ま ったく そ の対 象 に入 って いな か った 層 にも 一定 の影 響 を 与 え る こと が でき て いる 。 これ は 、 規 制 条 例 制. 定 に よ ってほと ん ど の 一般 新 聞 が 一面 で取 り 上 げ た こと な ど や マス メ デ ィ アを 通 じ た ニ ュー ス、 それ を 使 った 啓 発 な ど に よ って い ると 考 え ら れ る 。. 略. 部 落 差 別 事 象 の発 生 を 防 止 し、 も って府 民 の基 本 的. さ ら に、 こ の条 例 は 、 ﹁大 阪 府 部 落 差 別事 象 に係 る調 査 等 の規 制 等 に関 す る条 例 ﹂ と い う正 式 名 称 に部 落 差 別 と い う 用 語 が 使 わ れ てお り 、 そ の第 一条 (目 的 ) にも 、 ﹁. 人 権 の擁 護 に資 す る こと を 目 的 と す る。﹂ と部 落 差 別 と いう 用語 が使 わ れ てい る。 こ のよ う に部 落 差 別 と い う 用 語 が. そ の名 称 や条 文 の中 に使 わ れ た の は、 法 制 度 上 初 め て であ り 、 条 例 そ のも の の内 容 も 国 内 で初 め て差 別 の営 利 行 為 を. 規 制 す るも の であ る こと に よ て、 多 く の人 々 の部 落 差 別 そ のも の に対 す る関 心 を 高 め た と いえ る。. ② 興 信 所 ・探 偵 社 業 者 への影 響. 次 に、 同 様 の視 点 か ら こ の規 制 条 例 に最 も 深 く関 係 す る調 査 業 界 への影 響 に つ い て、 一九 八 七 年 二月 に出 さ れ た. ﹁興 信 所 ・探 偵 社 業 者 に関 す る実 態 調 査 ﹂ 報 告 書 か ら み て いく。 こ の調 査 は、 ﹁規 制 条 例 の円 滑 な 運 用 に資 す る ため の. 基 礎 資 料 を収 集 す る こと を目 的 ﹂ と し て、 大 阪 府 が社 団 法 人 大 阪 府 調 査 業 協 会 に委 託 し て、 一九 八 六 年 一 一月 ( 規制. 条 例 施 行 約 一年 の後 ) に三 一八業 者 を対 象 にな さ れ たも の であ る。 こ の調 査 に よ ると 、 規 制 条 例 に つい て、 条 例 の主. な事 項 が正 し く周 知 さ れ て いる か を 調 べ てみ た結 果 、 まず 、 業 者 が 営 業 に関 し、 遵 守 す べき 二 つの事 項 の周 知 に つい. ては、 ﹁知 って い る﹂ と 回 答 し た者 が 九 八 ・二% と な ってお り 、 殆 ど の業 者 が 知 って い る こと が わ か る 。 さ ら に、 遵. 守 事 項 に違 反 し た場 合、 大 阪 府 知 事 は 、 そ の業 者 に必要 な ﹁指 示 ﹂ を す る こと が でき 、 そ の指 示 に従 わ な い と き は. 一113一.
(6) ﹁営 業 停 止 処 分 ﹂ を 行 う こと にな って いる 。 こ の こと に対 し ても 九 八 二 二. % の業 者 が知 ってい ると 回答 し てい る。 ま た 、 罰 則 に つい ても 九 二 ・三. % が 知 ってい ると 回 答 し てい る。 一方 、 規 制 条 例 が 施 行 さ れ た 一九 八 五. 年 一〇 月 一日か ら 一九 八 六 年 九 月 三〇 日 ま で の間 に ﹁部 落 差 別 を 意 図 す. る調 査 の依 頼 (問 合 わ せ、 相 談 を 含 む 。)﹂ が あ った か ど う か の質 問 に 対. し て、 二 二 ・六 % の業 者 が ﹁有 ﹂ と 回答 し て いる。 ﹁有 ﹂ と 回 答 し た も の. に ﹁調 査 の依 頼 の件 数 ﹂ を 尋 ね た と こ ろ、 図 のと お り であ り 、 コ ∼ 三件﹂. と 回 答 し た業 者 が 三六 ・八 %、 コ ○ 件 以 上 ﹂ と 回 答 し た 業 者 が 三 四 ・二. % も お り、 こ の種 の調 査 依 頼 が 根 強 い こと を 示 し てい る。. ま た、 そ の依 頼 件 数 を 具 体 的 に ﹁結 婚 調査 ﹂、 コ雇 用 調 査 ﹂ に つい て見. い て み ると 、 ﹁減 った ﹂ と 回答 し た 者 が 七 五 ・七 %、 ﹁増 え た﹂ と 回 答 し たも の は五 ・四% 、 ﹁ど ち ら と も い え な い ﹂. さら に、 最 も 重 要 な 点 であ るが 、 部 落 差 別 を 意 図 す る調 査 に つい て、 規 制 条 例 の施 行 前 後 の依 頼 の増 減 に つい て聞. ﹁民 間 の企業 ・団 体 の勤 め人 ﹂ が 二 二 ・九 %、 ﹁主 婦 ﹂ が 二〇 % の順 にな って い る。. 的 依 頼 件 数 が 少 な い こと が わ か る。 ﹁結 婚 調査 ﹂ の依 頼 者 を職 業 別 にみ る と、 ﹁自 営 業 ﹂ の者 が 、 四五 ・七 % 、 次 い で. コ雇用 調査 ﹂ では、 コ ∼ 三 件 ﹂ が 五 〇 ・○ % と 、 コ ○件 以上 ﹂ が 一六 ・七 % と な ってお り、 ﹁結 婚 調 査 ﹂ に比 べ比 較. ると 、 ﹁結 婚 調査 ﹂ では、 コ ∼ 三 件 ﹂ が 最 も 多 く 三 八 ・九 % 、 次 い で コ ○ 件 以 上 ﹂ が 三 三 ・三 % と な って い る。. 部落差別調査依頼件数. が 一八 ・九 % と な って い る。 条 例 の施 行 に よ って、 依 頼 件 数 が 減 少 し て い る こと が わか る。 ま た、 部 落 差 別 を 意 図 す. 一114一. 第11号 人権問題研究資料.
(7) 部落差別調査等規制等条例十年 にあた って. る調 査 を 依 頼 さ れ た 業者 が ど の よ う に対 応 し た か に つい て聞 い た と こ ろ、 ﹁条 例 の趣 旨 を 説 明 し 、 啓 発 し た ﹂ と 回 答. し た者 が 、 九 一 ・九 % と な って お り、 ﹁特 に啓 発 し な か った ﹂ と 回 答 し た 業 者 は、 僅 か に五 ・四% にな って い る。. これ ら の ﹁興 信 所 ・探 偵 社 業 者 に関 す る実 態 調 査 ﹂ 報 告 書 の 一部 を 見 れ ば、 回収 率 五 六 % な ど の諸 々 の要 因 を 割 引. い た と し て も、 調査 業 界 に対 し て多 く の点 で積 極 的 な影 響 を 与 え てい る と いえ る。 こ の積 極的 影 響 は 調 査 業 者 の主 要. な宣 伝 媒 体 であ る電 話 帳 広 告 の中 に、 大 阪 府 調査 業 協 会 加 盟 の全 業 者 が ﹁差 別 調査 は 一切 いた し ま せ ん 。﹂ と い う 一 文 を 入 れ てい る こと か ら も う か が え る。. ま た、 これ ま で結 婚 時 の差 別 身 元 調 査 を 奨 励 し てき た 冠 婚 葬 祭 関 係 図 書 も 、 私 達 の働 き か け が な さ れ てき た こと も. あ って、 多 く の関 係 図書 の内 容 に改 善 が 見 ら れ てき て いる と 同 時 に、 そ の内 容 に規 制 条 例 が 制 定 さ れ て い る こと を 紹 介 す る も のま で出 てき て いる。. 要 す る に、 規 制 条 例制 定 以 後 の状 況 は 、 部 落 差 別 身 元 調 査 の撤 廃 や ﹁部 落 地 名 総 鑑 ﹂ の撤 廃 に向 け た 部 落 解 放 運 動 を 促 進 す るた あ の部 分 的 では あ る が 、 公 的 枠 組 が 確 立 さ れ た こと を 実 証 し た と いえ る。. 次 に成 果 の第 二 の視 点 であ る規 制 条 例 制 定 前 後 の条 例 に対 す る批 判 の誤 り を 三 年 間 の現 実 が 明 ら か にし た こと に つ い て述 べ て いく 。. す で に規 制 条 例 に対 す る反 対 意 見 や 消 極 的 意 見 に つい て は、 そ の時 点 で理 論 的 反 論 を 明 ら か にし 、 そ の誤 りを 明 確. にし て い る の で、 そ の論 議 を ふ ま え つ つ、 十 年 間 の現 実 で実 証 でき た こと を 明 ら か にし て いく 。. 当 時 の、 府 議 会 で の質 問 に、 ﹁規 制 の対 象 と な って いる ﹃同 和地 区 の所在 地 の 一覧 等 の提 供 ﹄ が 、 い わ ゆ る ﹃地 名. 総 鑑 の出 版 ﹄ を さす の であ れ ば 、 そ の悪 用 で はな く 、 ﹃出 版 ﹄ そ のも のを 規 制 す る こと にな り、 憲 法 第 三 一条 に 違 反. 一115一.
(8) す る の では な い か。﹂ と いう 内 容 ま で、 主 張 し はじ め 、 ﹁地 名 総 鑑 の出 版 ﹂ にも自 由 が あ る と いう点 であ った。. そ こ で、 当 時 の主要 な論 点 を整 理 し つ つ、 反論 を 加 え て いく と、 ま ず 反 対意 見 の① と し て ﹁部 落 差 別 を基 本 的 人 権. の保 障 を う た った 日本 国憲 法 の制 定 に よ って、 そ の存 立 基 盤 を根 本 的 に失 った。﹂ と いう 主 張 であ る 。 私 達 は こ の 主. 張 に対 し て こう し た幼 稚 な議 論 が許 さ れ る な ら あ ら ゆ る 差 別 を 問 題 にす る こと な ど は 理由 が な く な る し 、 平 等 や 人権. を実 現 す る た め には 、 何 よ り も これ を裏 づ け る 具 体 的 な 立 法 ・行 政措 置 が 講 じ ら れ な け ば な ら な い。 ま た 、 差 別 感 情. や 偏 見 が 依 然 と し て実 在 し 、 社 会 的 条 件 と 状 況 が 変 わ れ ば い つでも 公 然 化 し よ う と す る 動 き が み ら れ 、 業 務 活 動 を 法. 的 規 制 し な い こと によ って部 落 差 別 を 温 存 す る 結 果 と な って いる 、 と 反 論 し た 。 こ の こと は 、 そ の後 明 ら か にな った. 戸 籍 不 正 入 手 密 売 事 件 の発 覚 (一九 八 五 年 ) な ど でよ り 一層 明 確 にな った 。特 に事 件 関 係 者 の証 言 の中 で、 結 婚 に関. す る 身 元 調 査 では 八 割 か ら 九 割 が 部 落 差 別 調 査 を 含 む と 述 べ て いる 事 実 は、 ﹁日本 国 憲 法 の制 定 に よ っ て そ の 存 立 基. 盤 を 根 本 的 に失 った 。﹂ と い う論 理 が明 確 に誤 ってい る こと を 実 証 し て い る。 つま り、 現 在 に お い ても 差 別 構 造 は 厳. 然 と 存 在 し てお り 、 そ の構 造 を バネ と 考 え る な ら 、 そ の バネ を 縮 小 さ せ ては いる が 、 バネ の基 本 構 造 を 否 定 す る と こ ろ ま で進 展 し て いな こと を ふ ま え る 必 要 が あ る 。. 次 に、 反 対 意 見 の② と し て ﹁差 別 事 象 を な く し て いく た あ に必 要 な こと は 、 強 制 では な く て、 理 解 と 納 得 であ り 、. 法 的 規 制 は か え って差 別 意 識 を 内 向 化 し 、 強 固 にす る だ け であ る 。﹂ と い う主 張 があ った。 これ に対 し て私 達 は 法 的. 規 制 は啓 発 と 教 育 の重 要 な 部 分 を な す し 、 国 際 人 権 規 約 の精 神 にも 反 す ると 反 論 し た が 、 こ の反 論 の正 し さ は、 こ の. 聞 の現 実 が も っと も 明 確 に実 証 し た と いえ る。 それ は成 果 の第 一の視 点 のと こ ろ で詳 述 し た と お り であ り 、 そ の後 の. 反 対 論 者 の機 関 紙 や雑 誌 にも 、 規 制 条 例 が 制 定 さ れ た にも か か わ ら ず ﹁差 別 意 識 が 内 向 化 し 、 強 固 に﹂ な った と いう. 一116一. 第11号 人権 問題研 究資料. σ.
(9) 部落差別調査等規制等条例 十年 にあた って. 先 の主 張 は、 ど こに も見 当 らな い こと か ら も 明 ら か だ ろう 。 それ 以 上 に、 差 別 の軽 視 に や っき に な ってい る 誤 った立 場 か ら正 反 対 の こと を 主 張 せ ねば な ら な いよ う にな って い る。. 三 つめ に反 対 意 見 の③ と し て、 ﹁不 必要 な規 制 が な さ れ た り、 規 制 権 限 の濫 用 が な さ れ る危 険 性 が あ る。﹂ と主 張 し. て い た。 これ に対 し て、 逆 に死 文 化 し な い よう 監 視 を 強 め る必 要 が あ り、 重 要 な こ と は、 法 の濫 用 では な く て、 明 ら. か に法 の形 骸 化 であ り、 規 制 権 限 の不 行 使 、 行 政 の怠 慢 、 サ ボ タ ージ ュ、 行 政 の不 作 為 の違 法 であ る、 と 反 論 し た。. これ ま た、 こ の間 の現 実 は、 私 達 の主 張 の正 し さを 完 全 に実 証 し た。 少 な く と も 、 こ の 三年 間、 規 制 条 例 が直 接 適 用. 次 に反 対 意 見 の④ と し て ﹁依 頼 者 た る府 民 に対 す る 威 嚇 にな る ﹂ と う 非. さ れ る こと は な か った し、 ﹁不 必 要 な 規 制 が な さ れ た り 、 規 制 権 限 の濫 用 ﹂ も 全 く な か った。 逆 に死 文 化 し な い よ う 監視 を強 め る必 要 性 を 証明 し たと い え る。. 難 が あ った。 こ の非 難 に対 し ﹁﹃威 嚇 的 ﹄ 効 果 を 発 揮 す る こと にな れ ば 、 それ は 部 落 差 別 解 消 に積 極 的 影 響 を 及 ぼ し. こそ す れ、 否 定 的 に働 くも の と は到 底 考 え ら れな い。﹂ と 反 論 し 、 そも そも 差 別 的 身 元 調 査 を 否 定 し 廃 絶 し よ と い う. さ ら に、 反 対 意 見 の⑥ と し て ﹁本 条 例 が、 憲 法 二 一条 ( 表 現 の自 由 ) や 二 二 条 (職 業 選 択. 基 本 的 視 点 を 欠 落 さ せ て い る こと を 明 ら か に し た。 こ の点 に つい ても、 ⑤ の と ころ で詳 し く 述 べた よ う に私 達 の反 論 の正 し さを 示 し て い る。. の自 由 ) に反 す る﹂ と い う類 い の非 難 に つい ては、 この 三年 間 の間 に、 規 制 条 例 と か か わ って ﹁表 現 の自 由 ﹂ や ﹁職. 業 選択 の自 由 ﹂ が犯 さ れ た こ と は な い。 む し ろ、 部 落 差 別身 元 調査 を規 制 す る こと によ って、 差 別 身 元 調 査 撤 廃 の取 り組 み が前 進 し、 ﹁職 業 選 択 の自 由 ﹂ が よ り 一層 推 進 さ れ た と いえ る。. こ のよ う に、 規 制 条 例 施 行 以来 三年 聞 の現実 は、 規 制 条 例 制 定 前後 の主要 な 反 対 意 見 や 非 難 の誤 り を 明 確 に実 証 し た。. 一117一.
(10) と ころ で成 果 の第 二 の視 点 であ る部 落 解 放 基 本 法 制 定 に む け た規 制 法 的 部 分 の論 議 に積 極 的 影 響 を 与 え る こと が で. き た 点 であ る が、 規 制 法 の具体 的 事 例 と し て、 示 す こ と が でき た意 義 は大 き い と い え る。 ま た、 主 要 な論 点 であ った. 差 別糾 弾 闘 争 と法 的 規 制 の問 題 に つい ても抽 象 的 論 議 に終 わ ら せず 、 こ の規 制 条 例 と糾 弾 闘 争 と い う具 体 的 論 議 に発. 展 さ せ る こと が でき た。 さ ら に、 この 間 の現 実 は、 規 制 条 例 が差 別 糾 弾 闘 争 を 弱 体 化 さ せ た り、 否 定 的 効 果 を 示 さ な. か った こと を 明確 に し た。 つま り、 法 的 規 制 と差 別 糾 弾 闘 争 と啓 発 ・教 育 が 一体 と な った取 り組 み が可 能 で あ り、 そ れ 以 上 に差 別撤 廃 にと ってそ の こと の重 要 性 が明 ら か に な った と い え る。. さ ら に成 果 の第 四 の視 点 であ る全 国 に も積 極 的 影 響 を 与 え る こと が でき た点 に つい て は、 まず 福 岡 県 な ど で 一定 の. 動 き を 作 り 出 し た こと が指 摘 でき る。 た だ、 具 体 的 条 例 化 の動 き は、 難 し い状 況 に あ る こと も 事 実 であ る。 し か し、. 規 制 条 例 が でき た こと によ って全 国 的 に差 別身 元 調 査 の撤 廃 にむ け て大 きな イ ンパ ク トを 与 え た こと も 事 実 で あ り、. 特 に大 阪 府 内 に事 務 所 や営 業 所 を持 つ全 国 的 な興 信 所 ・探 偵 社 は、 府 内 の事 務 所 や営 業 所 が直 接 規 制 条 例 の対 象 にな. る こと によ って、 社 全 体 が積 極 的 影 響 を受 け、 他 府 県 に存 在 す る事 務 所 や営 業 所 にも 大 き な 影 響 を 与 え て い る。 つま. り 、 規 制 条 例 の直接 的 対 象 は大 阪 府 下 であ る が、 調 査 業 界 を 通 じ て全 国 的 にも 大 き な 影 響 を 与 え て い ると い え る。. 今 後 の展 望. 以 上 のよ う な 成 果 の上 に立 って今後 の課題 を 明 確 に し て い くと 、 規 制 条 例 制 定 時 に明 ら か に し た ﹁今 後 の課 題 ﹂ と. も 重 複 す る が 、 ま ず 第 一に規 制 条 例 の啓 発 ・宣 伝 活 動 を さ ら に強 力 に展 開 す る こ と であ る。 規 制 条 例 に直 接 か か わ る. 一iis一. 第1ユ号 人権問題研究資料.
(11) 部落差別調査等規制等条例十年 にあ たって. 興 信 所 や探 偵 社 に つい ては、 ほ と ん ど が規 制 条 例 の内 容 ま で認知 し てい る が、 府 民 に関 し ては意 識 調査 な ど で明 ら か. な よう に規 制条 例 が制 定 さ れ た こと も知 ら な い府 民 も 多 い と い う現 実 が あ る。 これ ら の克 服を 早 急 に行 な わ な け れ ば な ら な い。. 第 二 に、 あ ら ゆ る差 別 調査 の根 絶 へむ け、 よ り 一層 の差 別 身 元 調査 お断 り 運動 を展 開 す る と と も に、 規 制 条 例 の運. 用 が 正 し く な さ れ、 規 制 条 例 が 部 落 解放 や他 の差 別撤 廃 にと ってよ り積 極 的 な機 能 を は た す た め の運動 の推 進 が 必 要. であ る。 特 に、 規 制 条 例 です べ てが 解 決 さ れ る の では な く、 部 落 差 別 を は じ め と す る あ ら ゆ る差 別 の完 全撤 廃 を め ざ. す 部 落 解 放 運 動 や多 く の差 別 撤 廃 運 動 が 基 本 であ る こと を 再確 認 し、 取 り 組 み を 進 め な け れ ば な ら な い。. 第 三 に、 ﹁部 落 地 名 総 鑑 ﹂差 別事 件 の真 相 糾 明 と興 信 所 業 界 へのと り く みを 強 化 しな け れば な ら な い 。 大 阪 府 の 同. 和 対 策 審 議 会 でも 、 ﹁部 落 地 名 総 鑑 は ⋮ ⋮ 現在 にお い ても、 ひ そ か に利 用 さ れ て い る と考 え ら れ る ﹂ と 述 べ て い る よ. 第 四 に、 プ ライ. う に、 ﹁部 落地 名 総 鑑﹂ 差 別 事 件 は 、 いま だ 解決 し て いな い、 今 日新 た に ﹁地 名 総 鑑 を 所 持 し て い る と こ ろ が あ る ﹂. と い う情 報 も 寄 せら れ て い る。 こ の よ うな 状 況 を 厳 し く 受 け 止 め 、 運 動 を 推 進 し てく 必 要 が あ る 。. バ シー の法 的 保 護 を せ ま る運 動 を 進 め る と とも に、 最 も 重 要 な 課 題 であ る規 制 条 例 の全 国 化 にむ け た 取 り組 みを 展 開. し な け れば な ら な い。 そ の際 、 規 制 条 例 制 定 ま で の大 阪 の運 動 経 験 を 普 遍 化 し 、 全 国 的 な 運 動 にし ていく必 要が あ る。. ま た、 先 に述 べ た規 制 条 例 施 行 後 の現 実 的 成 果 を 全 国 的 な 訴 え て いく 必 要 が あ る。 特 に、 興 信 所 ・探 偵 社 が 集 中 し て. い る大 都 市 を 含 む府 県 レベ ルの地 方 自 治 体 に お い て、 取 り組 みを 強 め て いか な け れ ば な ら な い。. 一119一.
(12)
関連したドキュメント
が66.3%、 短時間パートでは 「1日・週の仕事の繁閑に対応するため」 が35.4%、 その他パートでは 「人 件費削減のため」 が33.9%、
環境影響評価の項目及び調査等の手法を選定するに当たっては、条例第 47
工場等に対するばい煙規制やディーゼル車排 出ガス規制等の実施により、多くの大気汚染物 質の濃度が低下傾向にあります。しかし、光化
第二種・第三種特定有害物質 (指針 第3
・如何なる事情が有ったにせよ、発電部長またはその 上位職が、安全協定や法令を軽視し、原子炉スクラ
[r]
・グリーンシールマークとそれに表示する環境負荷が少ないことを示す内容のコメントを含め
平均的な交通状況を⽰す と考えられる適切な時期 の平⽇とし、24時間連続 調査を実施する。.