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ランダム行列と直交多項式の数理(非線形可積分系の応用数理)

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(1)

$\text{フ}-$

ンダム行列と直交多項式の数理

阪大理

永尾

太郎

(Taro Nagao)

1

ランダム行列とは

ランダム行列アンサンブルとは、行列

$M$

の集合で要素

$M_{ij}$

が確率分布関数

$P(M)$

に従って分布しているものである

1)

。簡単な例としては、実数の要素

が値

1

$-1$

を独立に等確率でとる場合

$P(M) \mathrm{d}M\propto\prod_{lj},p(Mj\iota)\mathrm{d}Mjl,$ $p(x)= \frac{1}{2}(\delta_{x,1}+\delta_{x,-1})$

(1.1)

がある。

この例に対して、

$M$

は実対称であるという制約を課したアンサン

ブルを考えることができる。そのときには、確率分布関数は

$P(M) \mathrm{d}M\propto j\prod_{\leq\iota}p(Mjl)\mathrm{d}\Lambda I_{jl},$

$p(x)= \frac{1}{2}(\delta_{x,1}+\delta_{x,-1})$

(1.2)

になる。対称性のために、パラメータの数が変わったことに注意してもらい

たい。

ランダム行列理論における典型的な問題は、行列要素の分布が上の例

のように与えられているときに、固有値の分布を知ることである。特に、行

列の次数

$N$

が無限大の極限における固有値の密度や相関に興味があり、行

列の対称性がそれらの量にどのような影響を与えるかを知りたい。

このような問題を考えるときに便利なアンサンブルとして、ガウス型直交

アンサンブルが知られている。ガウス型直交アンサンブルの確率分布関数は、

$P(M)\mathrm{d}M\propto \mathrm{e}^{-(1/2})\mathrm{T}\mathrm{r}M2\mathrm{d}M$

,

$= \prod_{j=1}^{N}\mathrm{e}-(1/2)M^{2}jj\mathrm{d}Mjjj<l\square \mathrm{e}^{-M^{2}}j|\mathrm{d}fll_{jl}N$

(1.3)

によって与えられる。

このアンサンブルにおいては、

$M$

は実対称であり各要

素は独立にガウス分布している。

(2)

ガウス型直交アンサンブルの固有値分布の性質としては、 まず密度

$\rho(x)$

に対して

Wigner

の半円則

$\rho(x)=\frac{1}{\pi}\sqrt{2N-x^{2}}$

,

$x^{2}<2N$

,

$Narrow\infty$

(1.4)

が知られている。また、規格化された最近接間隔分布

$P(x)$

にたいして

Wigner

型の分布

$P(x) \sim\frac{\pi}{2}x\mathrm{e}-(\pi/4)x^{2}$

(1.5)

が有名である。 どちらの性質も広い範囲のランダム行列アンサンブルに対し

て普遍的に成立する。特に、 後者の最近接間隔分布は、 原子核、

原子、 分子

の複雑なエネルギー準位や量子カオス系、 メソスコピック系、金属ブロック

などに普遍的にみられる性質であることがわかっている。

2

エントロピー最大化法

ランダム行列アンサンブルは、

これまでの説明で述べたように確率分布関数

$P(M)\mathrm{d}M$

を与えることによって決まる。では、現実の物理系への応用にお

いて、

どのような確率分布関数の決め方がもっともらしいのであろうか。

く用いられる方法は、以下に述べるエントロピー最大化法である

2)

。エント

ロピー最大化においては、

まず考えている行列の対称性を特定し、その対称

性を保存する変換の下で不変な測度を

$\mathrm{d}M$

に採用するのが普通である。行列

が群を作っているときには、群の不変測度を用いる。例えば、実対称行列に

対しては、直交変換の下で不変な

$\mathrm{d}.M$

である

$\mathrm{d}M=\prod_{j=1}^{N}\mathrm{d}M_{j}j\prod_{j<l}\mathrm{d}NMj\iota$

(2.1)

を使うとよい。エルミート行列に対しては、ユニタリ変換の下で不変な

$\mathrm{d}M=\prod_{j=1}^{N}\mathrm{d}M_{jj}jl\prod_{<}{\rm Re}(\mathrm{d}Mjl)\mathrm{I}\mathrm{n}1(\mathrm{d}l\downarrow/Il)Nj$

(2.2)

が使われる。

$\mathrm{d}\Lambda l$

が決まると、エントロピー

(3)

が定義される。エントロピー

$S$

を最大化する

$P(M)$

が、最もランダムなア

ンサンブルでといえるであろう。

そこで、

変分問題

$\delta S=0$

を解いて

$P(M)$

を決めてやる。

最初の例として、上に述べた実対称 (

エルミート

) 行列の場合につい

て、条件

$<\mathrm{T}\mathrm{r}M>=0$

$<\mathrm{T}\mathrm{r}M^{2}>=\mathrm{f}\mathrm{i}\mathrm{x}\mathrm{e}\mathrm{d}$

を課した場合を考えよう。ただ

し、

$<>$

は、

$P(\Lambda l)\mathrm{d}M$

に対する平均の意味である。

Lagrange

未定乗数と

して

$0’$

を導入して、

$\delta S=0$

を解くと、

$P(M)\mathrm{d}M\propto \mathrm{e}^{-\alpha \mathrm{T}_{\Gamma}}\mathrm{d}M2M$

(2.4)

を得る。実対称行列の場合には、

これはまさに前に出てきたガウス型直交ア

ンサンブルである。エルミート行列の場合には、

これをガウス型ユニタリア

ンサンプルと呼ぶ。

実の例として、 固有値密度

$\sigma(x)=<\Sigma_{j=1}^{N}\delta(x-.x_{j})>$

を拘束条件と

してみよう。

$x_{1}$

,

$x_{2},$ $\cdots$

,

$x_{N}$

が固有値である。

Lagrange

未定乗数として関数

$v(x)$

を使うと

$P(M)\mathrm{d}M\propto \mathrm{e}^{-\mathrm{T}\mathrm{r}v(M)}\mathrm{d}M$

(2.5)

を得る。関数

$v(x)$

は、固有値密度が

$\sigma(x)$

になるように与える。第

の例と

して挙げたガウス型アンサンブルはこれの特別な場合になっている。変数変

換によってさらに固有値の分布関数を求めることができ、

それは

$P(x1, x2, \cdots, XN)\mathrm{d}x1\mathrm{d}X2\ldots \mathrm{d}X_{N}\propto\prod_{j=1}^{N}\mathrm{e}-\beta V(x_{j})j\prod_{<l}N|x_{j}-x_{l}|^{\beta}\mathrm{d}x_{1}\mathrm{d}x_{2}\cdots \mathrm{d}_{X}N$

(2.6)

となる。パラメータ

$\beta$

$M$

が実対称行列のとき

$\beta=1,$ $M$

がエルミート行

列のとき

$\beta=2$

である。以下で扱う直交多項式に関係したランダム行列アン

サンブルは、

この形の確率分布関数によって定義される。

物理系への応用のために興味がある量は、

相関関数

$I_{k}(x_{1}, x2, \cdots, x_{k})=\frac{1}{(N-k^{\wedge})!}\int\cdots\int P(X_{1,2}x, \cdots, X_{N})\mathrm{d}X_{k}+1\mathrm{d}xk+2\ldots \mathrm{d}X_{N}$

(2.7)

である。

この多重積分は、以下に述べるように四元数の行列式の形に評価さ

(4)

3

四元数行列式

四元数による定式化は、

ランダム行列の固有値相関の評価に威力を発揮する

3-6)。まず、

四元数

$q$

$q=q_{0}+\mathrm{q}\cdot \mathrm{e}=q_{0}+q_{1}e_{1}+q_{2}e_{2}+q_{3}e_{3}$

(3.1)

のように定義する。

$q0.’ q_{1},$$q_{2},$

$q_{3}.\cdot$

は複素数である。基本単位

$1,.e_{1}.’\mathrm{e}_{2},e_{3}$

の交換

規則は

1

$\cdot 1=1$

,

1

.

$e_{j}=e_{j}\cdot 1=e_{j}$

, $j=1,2,3$

,

(3.2)

$e_{1}^{2}=e^{2}=e_{3}^{2}2=e_{1}e_{2}e_{3}=-1$

(3.3)

で与えられる。

このとき、双対四丁数は

$\hat{q}=q_{0}-\mathrm{q}\cdot \mathrm{e}$

(3.4)

であり、

$c_{\mathit{1}0}$

をスカラー部分と呼ぶ。四元詰には 2

$\mathrm{x}2$

行列表現があり、

$1arrow$

,

$e_{1}arrow,$

$1arrow$

,

$1arrow$

(3.5)

とおきかえることができる。

これからすぐ

1

こわかることは、

四元数

$q$

とその

双対四元数

$\hat{q}$

$2\cross 2$

行列表現の関係が

$q=\Leftrightarrow\hat{q}=$

(36)

となっていることである。

次に、 四元数の行列

$Q=[q_{ij1}$

(3.7)

を考える。 このとき双対四元数行列は

$\hat{Q}=[\hat{q}_{ji}|$

(3.8)

と定義される。

$Q=\hat{Q}$

(

自己双対

)

のときに、四元数行列式

Tdet

を次のよ

うに定義する。

TdetQ

$= \sum_{P}(-1)N-^{\iota}\prod^{\iota}($

qabqbC

(5)

ここで、

$N$

は四元数行列の次元、

$P$

$(1, 2, \cdots, N)$

の置換である。

また、

$l$

はサイクル

$(aarrow barrow carrow\cdots darrow a)$

の数であり、

$()_{0}$

はスカラー部分をと

ることを意味する。例としては、

$N=2$

の場合には

TdetQ

$=(q_{11})_{\mathrm{o}(q22})_{0}-(q_{12}q_{2}1)_{0}$

(3.10)

となる。要素の四元数が可換のときには、四元数行列式の定義は普通の行列

式の定義と同じになる。

四元数要素を

$2\cross 2$

表現で考えるときには、四元数行列式は実は

Pfaffian

であることが、次の定理からわかる。

定理 1

$Q$

$N\cross N$

四元数行列、

$C(Q)$

をそれぞれの要素を

$2\cross 2$

表現で置き換え

$2N\cross \mathit{2}N$

行列とする。

このとき

TdetQ

$=\mathrm{P}\mathrm{f}[ZC(Q)]=\{\det[c(Q)]\}^{1/}2$

(3.11)

となる。

ここで

$Z=$

$01$

(3.12)

であり、

Pf

Pfaffian

のことである。

例として

$N=2$

の場合を考えよう。

まず、

$c_{\text{

}}(Q)=$

(3.13)

を考えると、

$I_{12}=-I_{21}\text{、}D_{12}=-D_{21}$

とすれば、

$Q$

が自己双対になる。

のとき

TdetC

$(Q)$

$=$

$()_{0}()_{0}-()_{0}$

$=$

$S_{1122^{-}}Ss12S_{21}+I_{12}D_{12}$

(3.14)

(6)

である。

$\mathrm{P}\mathrm{f}[Z.C(.Q)]$ $=$

Pf

$=$

$s_{\iota 1}S_{2}2^{-}s12S_{21}+I_{12}D_{12}$

(3.15)

より、定理

1

が成立していることがわかる。

相関関数の評価において重要な四元数行列式の性質は、次の定理

2

によっ

て与えられる。

定理 2

自己双対

$N\mathrm{x}N$

四元数行列

$Q_{N}$

の要素が

$q_{ij}=f(x_{i}, x_{j})$

(3.16)

と書けるとする。

このときさらに

$\int f(X, X)\mathrm{d}\mu\langle x)$ $=$ $c$

,

$\int f(x, y)f(y, z)\mathrm{d}\mu(y)$

$=$

$f(x, z)+g(_{X,Z)}$

,

.

$g(x, y)$

$=$

$\lambda f(x, y)-f(X, y)\lambda$

(3.17)

が成立するとしよう。ただし、

$\mathrm{d}\mu(x)$

は適当な測度であり、

$c$

はスカラー、

$\lambda$

は定四元数である。 このとき

$\int \mathrm{T}\det Q_{N}\mathrm{d}\mu(x_{N})--(c-N+1)\mathrm{T}\det Q_{N-1}$

(3.18)

となる。ただし、

$Q_{N-1}$

$Q_{N}$

から

$x_{N}$

を含む行と列を除いた

$N-1\cross N-1$

行列である。容易に理解されるように、相関関数を定義する多重積分の被積

分関数を四元数行列式の形に書ければ、 上の関係を相関関数の評価に利用で

きる。

定理

2

についても、

$N=2$

の場合を例に挙げよう。

$\int \mathrm{T}\det \mathrm{d}\mu(x_{2})$

$=$

$f(x_{1}, x_{1}) \int f(x_{2}, x_{2})\mathrm{d}\mu,(X_{2})-\int f(x_{1}, X_{2})f(x_{2}, x1)\mathrm{d}\mu,(X_{2})$

$=$

$cf(X_{1}, X_{1})-f(X_{1}, X_{1})-g(x1, X1)$

(7)

となって、定理

2

が確かに成り立っている。最後の行に移るときに、

$f(x_{1,1}x)$

がスカラーであるために

$g(x_{1,1}x)=0$

となることを用いた。

4

相関関数の評価

(

エルミート行列の場合

)

まず、

エルミート行列のアンサンブルに対する相関関数の評価を考えよう。

規格化については気にしないことにすると、確率分布関数は

$P(x_{1}, x2, \cdots, XN)\mathrm{d}x1\mathrm{d}X2^{\cdot}\cdot$ , $\mathrm{d}X_{N}=\prod_{j=1}^{N}\mathrm{e}-2V(x_{j})_{\prod_{<jl}}N|x_{j}-x_{l}|^{2}\mathrm{d}x_{1}\mathrm{d}X2\ldots \mathrm{d}X_{N}$

(4.1)

となる。 ところが、 これをさらに

$P(x_{1}, x2, \cdots, XN)\mathrm{d}x1\mathrm{d}X2\ldots \mathrm{d}X_{N}=\prod_{n=0}^{N-1}h_{n}\mathrm{T}\det[f(X_{j,l}x)]_{N}\mathrm{d}_{X\mathrm{d}}1x_{2}\cdots \mathrm{d}_{X}N$

(4.2)

と書き直せることが証明できる。

ここで

$f(x, y)= \mathrm{e}^{-V(x)}-V(y)N-1\sum_{n=0}\frac{1}{l_{l_{n}}}C_{n}(X)c?\iota(y)$

(4.3)

はスカラーの四元亀であり、

$[f(x_{j,l}x)]_{N}$

$f(x_{j}, x_{l})$

を要素とする

$N\cross N$

四元数行列である (

$j,$

$l=1,2,$

$\cdots$

, N)

。ただし、

$h_{n}$

は任意の数

$(h_{n}\neq 0)$

で、

$C_{n}(x)$

$x^{\mathrm{t}t}+\cdots$

の形の任意の多項式とする。定理

2

の条件を満足するため

には、

$C_{n}(x)$

を直交多項式にとればよい。つまり、

$\int \mathrm{e}^{-2V\{x\rangle}Cm(x)C_{n}(X)\mathrm{d}x=h_{m}\delta_{mn}$

(4.4)

とする。すると

$\int f(x, y)f(y, z)\mathrm{d}y$

$=$ $\sum_{m,n=}^{N-}10\frac{\mathrm{e}^{-V(x)-V(}z)}{h_{m}l_{l_{n}}}c_{m}$

(

$c_{n}(Z) \int \mathrm{e}^{-2V(y}$

c)m

$(y)Cn(y)\mathrm{d}y$

(8)

となり、定理

2

の条件が満たされる。

よって

$I_{k}(x_{1}, \cdots, x_{k})$ $=$ $\frac{1}{(N-k’)!}\int\cdot$

. .

$\int P(X_{1}, x_{2,N}\ldots, X)\mathrm{d}x_{k1}+\mathrm{d}X_{k2}+\cdots \mathrm{d}xN$

$=$ $\frac{1}{(N-k^{\wedge})!}\prod_{n=0}^{N-1}hn\int\cdots\int \mathrm{T}\det[f(Xj, xl)]_{N}\mathrm{d}X_{k}+1^{\cdot}\cdot$

,

$\mathrm{d}X_{N}$

$=$ $\prod_{n=0}^{N-1}hn\mathrm{T}\det[f(Xj, X_{l}\mathrm{I}]k$

(4.6)

となる。

このように、

$k^{\wedge}$

次の相関関数が

$k’$

次の行列式で書ける

(要素がスカ

ラーなので四元数行列式と行列式の区別はない)。例として

$k=\mathit{2}$

の場合を

書くと

$\frac{I_{2}(x,y)}{I_{0}}$ $=$

$=$

$f(x, x)f(y, y)-f(x, y)f(y, x)$

(4.7)

である。

5

相関関数の評価

(

実対称行列の場合

)

次に、実対称行列のアンサンブルに対する相関関数の評価を考えよう。前と

同じように規格化については気にしないことにし、

また

$N$

は偶数で

$N=\mathit{2}_{l\ovalbox{\tt\small REJECT}}$

とする。確率分布関数は

$P(x_{1,\underline{9},\cdots,X_{N})\cdots \mathrm{d}}x\mathrm{d}x1\mathrm{d}X2X_{N}$ $= \prod_{j=1}^{N}\mathrm{e}-V(x_{j})_{\prod_{lj<}}N|x_{j}-x\iota|\mathrm{d}x_{1}\mathrm{d}x2\ldots \mathrm{d}X_{N}$

$=$

$\mathit{2}^{\nu}\prod_{n=0}\circ r_{n}$

Tdet

$[f(x_{jl}, X)]_{2}\nu \mathrm{d}X1\mathrm{d}x_{2}\cdots \mathrm{d}_{X_{N}}$

(5.1)

と書ける。今度は

$f(x, y)$

はスカラーではない。

$\mathit{2}\cross 2$

行列表現では

(9)

と書かれ、

$I(x, y)=-I(y, x)_{\text{

}}D(x, y)=-D(y, x)$

となる。関数

$S_{\text{、}}I_{\text{、}}D$

の表式は、

$T(x, y)$

$=$ $\sum_{n=0}^{\mathcal{U}-}\frac{1}{r_{n}}1\{\mathrm{e}^{-V(y)}R_{2+1}n(y)\int^{x}\mathrm{e}-V(x’)R_{2}n(X’)\mathrm{d}x’$

$\mathrm{e}^{-V(y)}R2n(y)\int^{x}\mathrm{e}^{-V(x)}R2n+1(x)J\mathrm{d}X’\}$

(5.3)

を使って与えられる。ただし、

$r_{n}$

は任意の数

$(r_{n}\neq 0)$

で、

$R_{n}(x)$

$x^{n}+\cdots$

の形の任意の多項式とする。関数

$S_{\text{、}}I_{\text{、}}D$

の表式を書くと

$S(x, y)$

$=$

$T(x, y)- \frac{1}{2}T(\infty, y)$

,

$I(x, y)$

$=$

$- \int_{x}^{y}S(x, z)\mathrm{d}_{Z}-\epsilon(x-y)$

,

$D(x, y)$

$=$ $\frac{\partial}{\partial x}s(x, y)$

(5.4)

である。

ここで、

関数

$\epsilon$

$\epsilon(x)=$

(5.5)

と定義する。定理

2

の条件を満足するために、

$R_{n}(x)$

を以下の性質を満たす

歪直交多項式にとる。すなわち、反対称な内積

$<f(x),$

$g(x)>$

$=$ $. \frac{1}{2}\int \mathrm{d}x\{\mathrm{e}^{-V(x)}g(x)\int^{x}\mathrm{e}^{-V(x’)}f(X)\prime \mathrm{d}_{X^{;}}-\mathrm{e}-V(x)f(X)\int^{x}\mathrm{e}^{-V(x’})g(X’)\mathrm{d}_{X’\}}$

(5.6)

に対して

$<R_{2m}(x),$

$R2n+1(_{X)}>=r_{m}\delta_{mn}$

,

$<R_{2m}(x),$

$R_{2n}(_{X)}>=0$

,

(10)

となるようにする。

このとき

$\int f(x, y)f(y, z)\mathrm{d}y=f(x, z)+\lambda f(x, z)-f(x, z)\lambda$

(5.8)

が示される。

$\lambda$

は定四元数で

$\lambda=$

(5.9)

と表現される。

これにより、定理

2

が使えて

$I_{k}(x_{1}, \cdots, x_{k})$ $=$ $\frac{1}{(N-k^{\wedge})!}\int\cdot$

.

$. \int P(x_{1,2}x, \cdots, xN)\mathrm{d}_{X_{k}}+1\mathrm{d}_{X_{k2}}+\cdots \mathrm{d}xN$

$=$ $\frac{1}{(N-k\wedge)!}2^{\nu}\prod_{0n=}^{\nu-1}r_{n}\int\cdots\int \mathrm{T}\det[f(xj, X_{l})]_{2}\nu \mathrm{d}x_{k+N}1\ldots \mathrm{d}x$

$=$ $\mathit{2}^{\nu}\prod_{=710}^{\nu}-1r\mathrm{T}n\det[f(Xj, x\iota)]_{k}$

(5.10)

となる。

このように、

$k^{\wedge}$

次の相関関数が

$k^{\wedge}$

次の四元数行列式で書ける。例と

して、

$k=2$

の場合を書くと

$\frac{I_{2}(x,y)}{I_{0}}$ $=$

$()_{0}()_{0}$

$([D(_{X},y)S(x,y)$

$S(yI(x,, y)X)][D(y,\cdot X)S(y,\prime c)$

$S(x,y)I(y,x)])_{0}$

$=$

$s(X, x)s(y, y)-S(X, y)S(y, x)+I(x, y)D(x, y)$

(5.11)

となる。

6

古典直交多項式に関係したランダム行列アンサン

フル

直交多項式に関係したランダム行列アンサンブルの中でも、

とりわけ解析が

進んでいるのは対応する直交多項式が古典直交多項式の場合である。以下に

それらのアンサンブルと対応する直交多項式および歪直交多項式を挙げる

7)

(a)

ガウス型アンサンブル

(11)

の例は前に出てきたガウス型アンサンブルである。対応する直交多項式

はエルミート多項式であり、

固有値は実軸全体に分布している。関数

$V(x)$

$V(x)= \frac{x^{2}}{2}$

,

$-\infty<x<\infty$

(6.1)

によって与えられる。直交多項式

$C_{n}(x)$

は、エルミート多項式を

$H_{n}(x)$

すると

1

$–$

. .

$C_{n}(_{X)}=H_{n}(x)\overline{2^{\wedge}n}$

(6.2)

となる。規格化定数は

$h_{n}=\sqrt{\pi}n!/2^{n}$

(6.3)

によって与えられる。歪直交多項式は

$R_{2m}(x)$

$=$ $\frac{1}{\mathit{2}^{2m}}H_{2m}(x)$

,

$R_{2\eta+1}(x)$

$=$ $. \frac{1}{2^{2m+1}}H_{2m+}1(_{X)-}\frac{1}{2^{2m+1}}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x}H_{2}(mx)$

(6.4)

であり、規格化定数は

$\uparrow’ n=\mathit{2}^{-2n_{\sqrt{\pi}}}\Gamma(2n+1)$

(6.5)

となる。

$(1\supset)$

Laguerre

アンサンブル

固有値が実軸の正の領域に分布するアンサンブルとして Laguerre

アンサン

ブルがある。関数

$V(x)$

$V(x)=-a\log_{X}+x$

,

$0<x<\infty$

(6.6)

である。

Laguerre 多項式を

$L_{l1}^{(\lambda)}(X)$

とすると、直交多項式

$C_{n}(x)$

$C_{n}(_{X)}= \frac{?l!}{(-\mathit{2})^{n}}L_{n}^{(a)}2(2x)$

(6.7)

であり、

その規格化定数は

$/l_{n}= \frac{\uparrow x!\Gamma(2a+n+1)}{2^{2a+2n+}1}$

(68)

(12)

となる。歪直交多項式は

$R_{2n\mathrm{t}}(X)$ $=$ $- \frac{(\mathit{2}m)!}{2^{2m+1}}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x^{\backslash }}L_{2m}^{(2)}a+1(2_{X)}$

,

$R_{2m+1}(x)$

$=$ $- \frac{(\mathit{2}m+1)!}{\mathit{2}^{2m+1}}L_{2m}^{(2)}a+1(\mathit{2}_{X})-\frac{(2m)!}{\mathit{2}^{2m+2}}(2a+2m+1)\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x}L_{2m}^{(a})(\mathit{2}x)2$

. .

(6.9)

のように書ける。規格化定数

$r_{n}$

$r_{n}=2^{-\underline{9}a}-4n-2\Gamma(\mathit{2}n+1)\Gamma(\mathit{2}a+\mathit{2}n+2)$

(6.10)

である。

(c)

Jacobi

アンサンブル

最後に、

Jacobi

アンサンブルを挙げる。 このアンサンブルの固有値は線分

[-1,

1]

上に分布する。その定義は

$V(x)=-a\log(1-x)-b\log(1+x)$ ,

$-1<x<1$

(6.11)

によって与えられる。対応する直交多項式は、

Jacobi 多項式

$P_{n}^{(\mu)}"$

,

$(x)$

を使

うと

.

$C_{n}(x)= \mathit{2}^{n}n!\frac{\Gamma(\mathit{2}a+2b+n+1)}{\Gamma(\mathit{2}a+\mathit{2}b-+\mathit{2}n+1)}P(2a,2b)(nX)$

(6.12)

となる。規格化定数は

$h_{n}= \mathit{2}^{2}n+2a+2b+1\uparrow l!\frac{\Gamma(2a+n+1)\Gamma(2b+n+1)\Gamma(\mathit{2}a+2b+n+1)}{\Gamma(2a+2b+\mathit{2}n+1)\mathrm{r}(\mathit{2}a+2b+2n+2)}$

(6.13)

である。歪直交多項式とその規格化定数は

$R_{-\eta\gamma},(X)$ $=$ $2^{2m+1}( \mathit{2}m)!\frac{\Gamma(\mathit{2}a+2b+2m+2)}{\Gamma(\mathit{2}a+2b+4m+3)}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x}P2m+1(2a,2b)(X)$

,

$R_{2m+1}(x)$

$=$ $\mathit{2}^{21}?11+(2m)!\frac{\Gamma(2a+2b+2m+1)}{\Gamma(2a+\mathit{2}b+4m+3)}$ $\cross$

$[(2m+1)(2a+\mathit{2}b+\mathit{2}m+1)P_{2m+1}^{(2}a,2b)(X)$

$\frac{(a+b)(\mathit{2}a+2m+1)(2b+2m+1)}{(a+b+\mathit{2}m+1)(a+b+2m+2)}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}x}P_{2m}^{(b}(2a,2)x)]$

,

(6.14)

(13)

$r_{n}=. \frac{2^{2a+2b+4n+}4(2n)!\Gamma(\mathit{2}a+2n+2)\Gamma(2b+2n+\mathit{2})\Gamma(\mathit{2}a+2b+2n+3)}{\Gamma(2a+2b+4n+3)\Gamma(2a+2b+4n+5)}$

(6.15)

となる。

古典直交多項式に関係したランダム行列アンサンブルに対しては、上の

ような直交多項式および歪直交多項式を使って、行列の次元が無限大の極限

での固有値相関の振る舞いなどの解析が進んでいる

8-10)

。それ以外の

般の

場合については、

とりわけランダム行列が実対称のときには未知の部分が多

く、今後の興味深い研究課題となっている。

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