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最近の代表的な線形平板理論の発展とそれらの位置づけ 利用統計を見る

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最近の代表的な線形平板理論の発展とそれらの位置づけ

根岸嘉和

平島健一 (昭和60年8月30日受理)

Recent Modern Linearized Plate Theories

and Their Interrelations

YoshikazuNEGISHI Ken-ichiHIRASHIMA       Abstract   In this paper, our main purpose is to review rational charachteristics of modern technical plate theories taking into account of the effects of transverse components and of boundary (loading)conditions on the upper and lower surfaces, which were mainly published in recent years after we summarized some historical process of the plate theories in elsewhere. Their modern theories based on linear elasticity are situated pertinently into the systematic arrange・ ment along the developing process of the theories and are devided into three types such as displacement assumption, stress assumption and mixed(hybrid)assumption. 1. まえがき  構造工学の諸部門における研究は最近においても極 めて活発であるが,そのうちの線形弾性論に基づく平 板に関する理論的な取扱いにおいてもその例にもれ ず,著者ら1∼3)がかつてそのReviewを試みた時点から でも幾つかの注目すべき進展がなされている。ここで は,それらの諸理論がもつ特性と相互関連性をできる        ’だけ明確に分類位置づけすることを目的として,ごく 最近の提案になる代表的な平板理論について簡単に概 説し,それらの各種理論を平板理論の発展過程の流れ の中に位置付けることを試みる。 2.代表的な各種理論の概要と理論特性  (A)Levinsonの理論4)  Timoshenkoのはり理論を拡張した彼のはり理論5) をそのまま等方性の平板へ適用した理論であり,変位 場を板の上下表面(z=±h/2=±c;h= 2c:板厚)に おけるせん断応力零の境界(荷重)条件を満足させるた めに, * 福島工業高等専門学校,Fukushima National Colledge of  Technology ** y木工学科,Department of Civil Engineering

1:1三:三{一』⇒

(1) (ここに,ギリシャ文字は板面内の座標x,yをと る。)と仮定することから出発し,たわみμ劉,断面回 転角μ2)を未知関数として,せん断変形と回転慣性を 考慮した動的な平板理論の支配式を提示している。こ の理論では古典平板理論における法線保持の仮定が改 善され板厚方向に2次放物線分布のせん断変形が考慮 されているが,面外直応力σ、を零と置いた,板厚方向 に平面応力状態の構成関係式が用いられていると共 に,式(1)の変位仮定からも明らかなように面外直ひず みε。も零と置いた定式化がなされているという2点 に関しては,古典理論での相矛盾する仮定(σ。=ε。= 0の仮定)がそのまま残置されたものとなっている。ま たこの理論は,動的な平板理論であるMindlin理論6) において板厚方向に非一様なせん断変形の効果を,せ ん断補正係数κ2を導入することによって補償したの に対し,2次放物線分布のせん断変形を具体的に設定 したものであり,したがって最終的な支配方程式は Mindlin理論の支配式においてκ2を5/6と置いたも のに完全に一致する。このLevinson理論4)は,その誘 導過程は異なるものの彼自身も後述の別論文において

(2)

指摘しているように,本質的にはSchmidtの非線形平 板理論7)を線形化した理論と完全に一致し,さらに静 的な問題に限定すればPancのComponent理論8)と も一致するものである。なおこの理論を用いて幾つか の平板の問題を解析した数値例がLevinsonとCooke により報告9)されている。  (B)Mengiの理論1°)  これは,変位仮定型の高次近似理論に属し,例えば 1V次近似の理論は変位成分を次のように展開した仮 定から出発する。     N 2  Zti=Σa。i・φn(ζ),ζ=z/c.    (2)     n=O この変位関係φn(ζ)およびこれのzに関する1階お よび2階導関数を重み関数として,変位成分ならびに 応力成分の重みつき積分平均(Average of Weighted Integra1.以下AWIと略記)の定義式を求める一方,3 次元弾性論の基礎式すなわちつり合い条件式ならびに

幾何構成関係式の0次から1V次までのAWI表示を

求め,これらから応力AWIを消去し,変位AWIで表 わされた高次つり合い方程式を求めこれに前述の変位 AWIの定義式を代入すると, a。t∼aNiの3(N+1)個 の未知変位係数に対応する支配方程式が得られる。さ らに上下表面で規定される面外応力成分あるいは変位 成分と,仮定した変位成分に基づいて計算されたそれ らの境界値とを等置することによって残るak、、,α礼2 の計6個の未知変位係数に対応する支配式を求め,こ れらを連立させて解くというのがこの理論の構成であ る。この理論の著しい特徴は上述したように,上下表 面ならびに層状性体の境界面において,面外応力ある いは変位で与えられる境界条件を完全に満足させられ る点にあり,その目的のために,N次近似の理論にお いては(N+1)次,(N十2)次の二つの付加的な変位 係数を採用しこれらの計6個の未知量を6個の境界条 件から決定する手法が採られる。言い換えると,境界 条件を満足させるために理論の次数を2次だけ下げた 解析を行なうことに相当する。これに対し,著者らの 一般化高次理論7)はやはり変位場の各種無限級数展開 に基づく定式化によっているが,採用変位係数の数だ けの高次つり合い式を誘導して解き,上下表面および 接合面での応力の境界条件は,面外応力成分を面内応 力成分とのつり合い式から求め直す過程で考慮するよ うにした理論である点に差異がある。  (C)Reissnerの応力仮定理論11)  この理論はReissner自身が彼の最初の記念碑的な 平板のせん断変形理論12)を修正し,横荷重の作用がな い板厚方向に等方性の平板を対象として構築した修正 理論13)の考え方を,上下表面にp/2ずつの横荷重が作 用する平板曲げの問題へ適用し理論の拡張を試みたも のであり,最初の理論において仮定された曲げ応力:     3      2/lfα・ζ, ζ=z/c.      (3)  σα=

   2c

をそれらの初期値として用い,面外応力成分に関して は, ,。。ユQ。・(1一ζ・),    c ・z− o(3ζ一ζ・). } (4) をそれぞれ仮定して,面外直ひずみを構成関係式:

E・一輪一

}{・z−・(・x+・・)}.  (5) より求め,これらから面内応力(5次)ならびに変位(面 内変位5次,面外変位4次)の板厚方向分布の高次化 を計った理論である。この拡張理論を横荷重がない場 合(i.e,σz≡0)に特殊化すれば上述のReissnerの修 正理論13)すなわち,面内応力および変位の次数がこの 拡張理論より2次ずつ低下した理論に帰着することは 言うまでもない。またこの理論では,板上下表面にお ける荷重条件からもわかるとおり,曲げ挙動のみを対 象とした解析になっており,上下対称な横荷重の条件 のもとで生ずる面内伸縮挙動は完全に除去された形に なっている。本理論において上下面の荷重条件を,片 面にpなる横荷重のみが作用したものとして最低次 の伸縮挙動を含めた形で等方性平板についての定式化 を行えば,それらは著者らの先の論文1)で概説した Baluch&Voyiadjisの静的理論14)(以下B−V理論と 略記)と完全に一致するものとなる。つまり,両者は 曲げ挙動に関しては本質的に同一内容の理論であり, 後者の方が面内伸縮挙動を含めている分だけ一般化さ れた理論であると言える。  (D)Reh血eld&Valisettyの理論15)  これはRehfield&Murthyのせん断変形を考慮し たはりの工学理論16)の考え方を,そのまま直交異方性 平板の曲げ解析に適用したものであり,面外直ひずみ を求めるための面内直応力の初期値として,前述の Reissnerの拡張理論ならびにB−V理論における初期 値(式(3)の曲げ応力)に軸応力の項を加えた式: 砺一

Q麺ζ+ll}−Na・   (6)

を設定することから出発する。これと式(4)の面外直応 力の仮定式を片面にPなる横荷重が作用した境界条 件に合わせて書き変え,式(5はり面外直ひずみを

(3)

   カ     (2−3ζ十ζ3) εz=

  4E

   一#{2き甑弘)ζ+え(N・+N・)}・(7) のように求め,これをもとにして定式化を行なったも のである。なお本理論では,定式化においては残置さ せている面外直応力による面外直ひずみ(i.e.式(7)の下 線部)および,それに起因するすべての項をそのまま 残せば修正B−V理論1)(B−V理論に著者らの修正を加 えた理論)に一致する。またこれらの項を無視した結 果,本理論における曲げ挙動は前述のReissnerの修正 理論13)に一致し,伸縮挙動に関しては,本理論によるも のとB−V理論によるものとの重ね合わせが修正B−V 理論の伸縮挙動となる。B−V理論14)および修正B−V 理論1)の解析結果は式(7)の下波線部の定数項の存在 が,非常に短かい周期幅で変動する横荷重を受ける場 合の面内直応力等に大きな誤差を取り込む原因となる ことを示している。この事実を考えると,これらの項 を無視した本理論ではその誤差が入らないため理論的 な不整合性はあるものの,この種の理論における大き な欠点であった曲げ応力の発散性を回避した理論とな っていると言えよう。  (E)Reissnerの混合型理論17)  この理論は,一連の彼の平板理論修正の試みの一つ として新たに,応力成分をその応力に関するAWIと 上下表面にP/2ずつに分割載荷される横荷重pを応 力係数として,面内応力に関してはLegendre多項式, 面外応力に関してはその積分形の多項式で展開した次 式: 6a・− Qシ仏・ζ一£TtPa・・    3     (?a(ζ2−1) ταz=    4c (5ζ3−3ζ), 1  Sα(5ζ4−6ζ2十1), 8c ・z−− 狽吹iζ・−3ζ)        +T(ζL2ζ3+ζ). ここに, Ma・一 轣F・a…d・, Qa−f:r…d・. のように仮定する。変位AWIの方も次式: (8) (9) [砿瀦・]一え∫:Ua・       [3ζ,一(5ζ3−3ζ)]dζ,       (10)[uL・・, us2・]一∫:Uz[一号(ζ・−1),       一;(5ζ・−6ζ・+1)]dζ・ の定義に従って同時に未知量として導入し,混合型の 変分原理により支配方程式(応力AWIのつり合い条 件式と重みつき積分表示の構成関係式)ならびに境界 条件式とを得るという手法によって理論展開を行なっ たものである。なお式(8)の仮定における第1項のみを 採用し,式(9)において娼)とμ9)の3個のみを採用し てやればReissnerの最初のせん断変形理論12)となる。 またこの理論の展開項の次数からも判るように,ここ 、で考慮されているのは曲げ挙動のみであるが,このこ とはここで前提としている上下表面での荷重条件とは 整合性をもっていると言える。  (F)古賀の理論18)  この理論は本質的に前述のReissnerの混合型理論 と同じ内容の理論であり,曲げ挙動のみに着目して, 面内応力成分をLegendre多項式で展開し,その第1 項および第3項を採用した式: ・a・一・銀・ζ一丁・綴(3ζ一5ζ・).  (ll) で仮定することから出発し,これらを用いて応力のつ り合い条件より板上下面の境界(荷重)条件を満足させ た面外応力成分: Taz 一号・銀・・(仁ζ2) 一丁・毘・(1−6ζ2+5ζ4), ・・一 ?(3ζ一ζ・) (12)         +ξ・跳・(ζ一2ζ・+ζ・). を求め,これらを用いて理論展開を行っている。また, Reissnerの混合型理論17)と同等の変位AWIを次式: [・ぽ]−1}−fl Ua[3ζ, 一4(3ζ一5ζ・)]dζ,

(4)

[・・S・・, uL2・]−fl…[i(ζ・−1), 一量(1−6ζ・+5ζ・)]dζ.

のように定義し,混合型の変分原理を用いて支配方程 式と境界条件式を誘導している。なお,ここで採用さ れている荷重条件は片側表面にPなる横荷重が載荷 される条件であり,この場合必然的に面内伸縮挙動も 引き起こされることになるが,古賀は実際には曲げ挙 動のみに着目しており,上下表面でのσ。がp/2ずつ の分割載荷の境界条件に合致するものとなってしまう ため,最初設定した系とは厳密には整合しない。  (G)著者らの混合型理論19}  この理論は,前述の二つの混合型理論を包含し,応 力ならびに変位の採用項数に制約のない最も一般化さ れた定式化がなされている理論である。またこの理論 では前述の二つの理論において考慮されていなかった 面内伸縮挙動に関しても,面外曲げ挙動と並行して解 析できるように工夫がなされている。この定式化にお いては面内変位についても応力と同様に板厚方向座標 に関する展開形の仮定が明確になされているため,変 位の板厚方向分布についての詳細な解析が可能であ る。すなわち,この理論は面内変位および面内応力成 分をLegendre多項式:P.(ζ)で展開し,面外せん断

応力と面外直応力をそれぞれLegendre多項式の1

風2回積分形の多項式:Rn(ζ), S。(ζ)で次のように 展開する。      u。=Σμ17)・1)n(ζ).   n=0 σ。β=Σσ%)・Pn(ζ),    n=0       τ。z=cΣ磁)・R。(ζ),    n=0 ・z−−X+・2亙・En・・Sn(ζ), (・£’・ 一 −a・P). ここに,  Rn(ζ)=∫ノ:)n(ζ)dζ,  Sn(ζ)=∫∫1)n(ζ)dζと1ζ. } (14) (15) (16) これらの仮定により,応力のつり合い条件式のAWI 表示が,各応力係数間の直接的な関係式として σ路∼。+τ62)=0,τム2∼。+σ£n)=0. (17) た表示による定式化が可能となっている。これらの展 開仮定を用い上述の式(1のに加え変位AWIと応力 AWIとの間の構成関係式を,弾性論の幾何学的関係式 と構成関係式の融合式の重みつき積分表示として得る ことにより,平板理論を定式化したものである。なお 本理論において曲げ挙動の2次(n=1,3)まで採用 したものは前述のReissnerの混合型理論17)ならびに 古賀の理論18)に一致し,またせん断変形を考慮した最 初のReissnerの理論12)は本理論において同じく曲げ 挙動の1次(n=1)のみを採用したものである。そ の意味からこのReissner理論は,著者らの既発表論 文1)での分類においては応力仮定型平板理論系の基を なす理論として位置づけられているが,後述のごとく ここに述べた混合型の諸理論の基本理論として位置づ けることも可能と思われる。それらの二つの区分のい ずれも位置づけられることをFlow Chartを用いて図 表化することができ,その結果を示したものがTable l(a),(b)である。このうち,Table 1(b)のように混合型 と解釈する場合には,汎関数としてHellinger−Reis・ snerの汎関数πHRを用いる代わりに何らの付帯条 件も必要としない。他方,Table 1(a)のように応力仮定 型と解釈する場合には汎関数としてコンプリメンタリ ー汎関数πcを用いるため付帯条件として応力のつり 合い式(付帯条件1)ならびに板上下表面での荷重条 件を満たすような仮定(付帯条件II)が必要となる。 もちろん両者から得られる最終的な基礎式はこの表か らも判るように同一となることは当然である。  (H)Krenkの理論2°)  この理論は面内・面外応力成分ならびに変位成分も Legendre多項式で展開する一方,変位と面外応力に 関しては上下表面での一般的な境界条件を満足させる ための付加項を伴った形でのJacobi多項式P》1,i)(ζ) による展開も同時に実施して次式: σ。β=Σσ↓s)・P。(ζ),ζ=z/c.    n=O 傷}一急⑫)・}Pn(ζ)

一{㌫宏⑤

ヰ(1一ζ・)訓劉酬ζ)・

ここに, ・}一丁{U」(。一、)±μ、伝一。)},・t・. (18) (19) (20) のように得られる一方・面内変位の変位係数がそのま  のような形のままで用いて混合型変分原理により,採 ま面内変位のAWIを表わすことになり,簡略化され  用項数の任意性を保持したままの一般化した形で支配

(5)

Table 1(a)  Flow chart of basic equations of 2D−plate      theory by stress assumption−type theory. Assumption of Stres8 Components a。s=Σ喘・P。(ζ), τ、za=bΣτ2・R。(ζ), ・・一キ+b2Σ・L”)・s・(e Assumption of ln−Plane Displacements  ωα=Σu(m・P。(ζ)・ Table 1(b)  Flow chart of basic equations of 2D−plate       theory by hybrid assumption・type theory. EqUilibrium Equations (Subsiduary Conditions 1) aas,fi+Taz,。=0, τβ。,β+az,。=0. Assumption of Stress Components (Sub8idiary Conditions II) aec=Σa8”・Pn(ζ), Tat=bΣ趨・R.(ζ),、 a2−一フb2Σ謬)・s・(ζ)・ {一・−1P・・nc・・一蒜=1      δπぬ=O lwhere, THR= 1万{σ。(σ、j)+(戊膓」+F・)…}∂Vl l−fs(P、−Pt)u・ds−f。。ρ・it・ds・ 1       __________」 of A.W.L−Antiplane Displacement &A.W.1.−Antiplane Normal Stress u2n」2n+1zl・。・Rn(ζ)∂ζ Q2n)=b君σ。・Pn(ζ)dζ         Geometric−Constitutive  。as・,、+・。i’2・一。,濃一1三躍・・,・;rl)・百2箭1Q鰍}’ 瑞,,+躍一〇.・W”−G(㊧+ω㌶),        _uS・)+b媛」=2吐ユGゲΣ瑠・f,IRm(ζ)Rn(ζ)∂ζ       {QY+2)−Q2”)一…}+…, り        @ − 「−’     ロコ Ip加c’ple°f M’n・C°m・’ement町Ener     δnc=O      l

1・』      l

lnc一万σ。(・、」)∂v−4。P、夙∂・.} l       l l      l L________ _________」 Definitions of A.W.1.−Di8placements &A.w.I.−Antiplane Normal Stress ・r」z1’u−1+lf−lua’Pn(ζ)∂ζ u2nL2ηG1zl晦・Rn(ζ)d9, Qsn)=bf_1(Oz・Pn(ζ)∂ζ (EquiUbl元um) 曝+・巴二〇, 趨、+謬=o. 方程式と境界条件式とを導出した混合型平板理論であ る。なおここではLegendre多項式とJacobi多項式の 関係を用いて式の変換を行っているため,最終的な支 配式にはJacobi多項式展開における変位係数や応力 係数(i.e.∂!〃),τ劉)は現われず, Legendre多項式展 開での係数のみに関する支配式となっている。また上 述のとおり,最初の応力仮定の段階で前述の(E),(F), (G)の理論のような,つり合い式を介しての応力係数間 の従属関係は仮定されておらず,変位に関してもすべ て同一の展開法によった結果,最終的な式が応力ある いは変位係数の微係数に関する階差式を含む形で表示 されている点が,著しい特徴として挙げられよう。な おこれらの表示を簡略化する目的で’?中央差分演算子” Dを定義しこれを用いた定式化が行われている。また 彼は上述の手法により得た一般的な異方性材料よりな る平板の支配式を,板厚方向に等方性を示す平板の場 合に特殊化したうえで応力・変位の採用項数と精度と の関係について,曲げ挙動に限定して低次の項打ち切 りを実施し,Reissnerの最初のせん断変形理論12)なら びにReissner自身のその拡張理論13)とそれぞれ同レ ベルの2組の理論式を具体的な誘導過程を示しつつ提 示し,それらとChengの理論21)およびLur’eの平板曲 げの解22)との関係を比較検討している。なお, (Geometric−Constitutive) 魂一吉(鵡・端し)+1≒・誓Q劉 ㌶=G(鵡+繊), 一・r臓一竿・麟・栖(ζ)…(ζ)d9・ u2・}一一売{(QE”+2)−Qsn)2n十5)(2n−{−3)一…}+…,        (n判) 本理論と著者らの混合型理論19)とは,出発点におけ る仮定からは一見類似した理論のような印象を受ける が,実際にはかなり様相の異なった理論となっている。 この原因は,前述の2点すなわち応力のつり合い式を 介した応力仮定と面外方向変位の仮定における差異に あると言えよう。なお,本論文は,上下表面での任意 の荷重条件をも考慮できるようになっており,物体力 も考慮され,さらにその定式化における構成関係式が 補ひずみエネルギ・一密度関数を用いた一般的な表示で 任忌の異方性の平板をも対象とした一般化理論であっ て,その具体化手法にはかなりの繁雑さを伴うものの, 一応この種の混合型理論では最先端のレベルに位置す る理論と言うことができよう。 3.各理論の平板理論発展過程における位置づけ  前節に述べた平板理論をその発展過程の流れの中に 系統的に整理するのがこの節の目的であるが,ここで は著者らの既発表論文1)における分類に則して位置づ けすることを試みる。まず,Levinsonの理論4)は内容 的にSchmidtの理論7)と同じものであり,それと同じ 系列すなわち変位仮定理論系の同一レベルの所に位置 づけられる。またMengiの理論1°)は本質的には著者らの 一般高次理論1)と同等であり,後者のつり合い式の最 高次数を2次下げて表面の境界条件を完全に満足させ

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た定式化を行ったものであり,変位仮定型理論系列の 最も高次化された理論の一つに位置づけてよいであろ う。次にReissnerの応力仮定理論11)とRehfield& Valisettyの理論15)は同等の理論であって,これらは応 力仮定型理論系列のB−V理論14)および修正B−V理 論1)とそれぞれ同レベルの理論でありこれらと同じ所 に位置するもので,一応この応力仮定型理論系の中で は最も高次近似の理論となっている。以上の諸理論の 一般化支配式と各理論の関係を表によって示したもの が式(21),②およびTable 2である(M:曲げモーメン ト和,2V:軸力和を表わす)。 (面外曲げ挙動の支配方程式): Q。,。=P, Q・,a−−P銑7・Q・+D7・耀・ 一一 oh2(1+レ) h2 レ121z (1一レ)  10  (1−2ノ)}P,a       −一一一一一一一一…一一一④

+巫堤竺癖膣ヱ1)7、

      Yh2  1          72M   ルf−      40(1一レ2)1十レ

一二≡竺□(5顯1雛座②

(面内伸縮挙動の支配方程式):

1竺・(’獅2・+1;〃刷

+24(vh2 P一レ2)7・N,a 一{      ① vh    が 2(1一レ)      一’一’一“一『一② 48(1−。・)7・ pP,・, 1」・N−24(Yh21一レ2)!112{ll”。

一豊≡七三事縫ヱ)趨

Table 2 Governing equation of various theories given by     Eqs.(21)&(22).

Theory Adopting狽?窒高 Extensionalb??≠魔奄盾浮 κ2

refined B−Vl) all terms consider 5/6

Baluch・Voyiadjis’4) neglect① 〃 〃

extended Reissner11) 〃 neglect 〃 Rehfield・Valisetty’5) 11eglect② consider 〃

Ambartsumyan neglect①∼③ 〃 〃 Reissner13} 〃 neglect 〃

竃鶯・・n・⇒

11eglect①∼④ 〃 ” 麗瓢:e} 〃 〃 not ?奄??

鵠謡}

〃 〃 一 Classical 〃 〃 ○○    させた2次理論として面外直ひずみまで考慮(ただし    面内伸縮挙動は削除)した理論であり,著者らの混合    型理論19)ならびにKrenkの理論2°)はそれらを任意次 (21)    数まで拡張し面内伸縮挙動に関しても明確な定式化を    実施した理論として混合型理論系の先端に並べて位置    づけることができよう。 (22)  一方,上述の3理論((A),(C),(D))を除く他の5種 の理論は,すべて応力と変位(AWI表現の変位も含む) の双方をLegendre多項式等の高次多項式で展開した 混合型の平板理論であり,これらの考え方の源泉は Reissnerの最初のせん断変形理論12)に見ることがで きることから,これらはReissner理論から枝分かれし た混合型平板理論系という,著者らの先の論文中では 示されていない新たな理論系を形成しているものとし て位置づけることができる。すなわちこれらのうち Reissnerの混合型理論17)と古賀の理論18)とがReis− snerのせん断変形理論12)を1次理論とし,これを発展 4.む す び  以上,本論文ではごく最近提案された線形弾性論に 基づく2次元化平板理論のうちから,代表的なものと して8種類の理論を取り上げ,それらの概要と理論特 性について述べ,それらの理論と従来までの他の平板 理論との関係を明確に把握することによって平板理論 の発展過程に沿って系統的な整理を行った。今後は, これらの理論の解析精度上の特性をより明らかにすべ く各種の数値計算を実施し精度検証を行うと同時に, これまでに触れられていない各種の平板理論について もそれらの理論特性と精度特性とを明らかにして行く 必要があろう。

参考文献

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(7)

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