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マイクロファクトリ技術に関する調査研究

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1.はじめに マイクロファクトリは 1990 年に最初の提案が行わ 1) ,その研究開発には 1994 年に通産省(現:経産省) が最初に着手し2),その後 1997 年頃から公的研究機関や 大学,企業等による研究開発が行われるようになった。 このマイクロファクトリ技術は,工業製品とその構成デ バイスのダウンサイジング動向とマッチングしており, 将来は生産技術の一角を担うようになると予測されてい 3) 。神奈川県には機械関連企業が集積しており,技術 レベルは極めて高いことから,これを活かしてマイクロ ファクトリ技術の開発・実用化に取り組むことは,地域 産業の活性化に大きく貢献すると思われる。 かながわ研究交流推進協議会 (KANAX) は上述の観点 から,マイクロファクトリ技術に関心を持つ企業,団体, 個人に参加を呼びかけてマイクロファクトリ実用化研究 会 **** を組織し,2003 年 9 月から 1 年間,協同してマ イクロファクトリ関連技術の調査を行い,その実用化に 必要な開発課題について検討した。本報告は,その調査 研究の結果について述べる。 2.マイクロファクトリと導入効果 工業製品は小型・軽量化による省エネルギ化が急速に 進んでいる。しかし,それらを生産する工場では,小型 工業製品の場合であっても等身大の機器が主として使わ れているため,工場は著しく大きくなっている。この生 産機械を製造品の寸法に見合った大きさにすると,机上 に設置できる超小型工場(マイクロファクトリ)が実現 する。表 1 は AO 機器製造工場の消費動力の調査結果を 示している4) 。消費動力の内訳では,総消費動力の約 60%を空調が占め,照明は 19%,生産・搬送設備 16% となっている。これから,工場のダウンサイジングは消 費動力の削減に最も有効であることがわかる。 近年では,比較的大きな工業製品であっても,その内

マイクロファクトリ技術に関する調査研究

北 原 時 雄 * ・三 井 公 之 ** ・宮 川 政 義 ***

A Survey on Microfactory Technology

Tokio KITAHARA*, Kimiyuki MITSUI** and Masayoshi MIYAKAWA***

Microfactory has a great potential for innovation of manufacturing systems for small size products. Since the concept of microfactory was proposed by Mechanical Engineering Laboratory (MITI) in 1990, the R&D on microfactory technol-ogy has been performed in various sites such as academies, governmental laboratories and enterprises. In order to put the microfactory into practice at Kanagawa area, KANAX (Kanagawa-kenkyu-koryu-suishin-kyogikai) surveyed the present state of microfactory technology R&D. According to the report, it was clarified that the microfactory consisted of machining and assembly machines larger than A4 size were in a utilization stage. On the other hand, the R&D on the machines less than A5 size are now at starting point. The R&D subjects and approach means to make practicable were shown.

Key words: Microfactory, Desktopfactory, Microparts, Micromachining, Microrobot Vol. 39, No. 1, 2005 * 機械デザイン工学科 教授 ** 慶應義塾大学 *** (財)神奈川高度技術支援財団 **** マイクロファクトリ実用化研究会委員:北原時雄 (プロジェクトリーダー,湘南工科大学),三井公 之(幹事:慶應義塾大学),宮川政義(幹事:(財) 神奈川高度技術支援財団),阿部勝幸(マイクロ ダイヤモンド(株)),雨宮千恵子((財)神奈川 高度技術支援財団),荒井 篤((株)工研),加 藤誠司((株)吉岡精工),木村広幸(湘南工科大 学),清水博美(エヌ・イー(有)),中尾陽一 (神奈川大学),長沼 有(企業組合スターホッ ト),橋本 洋(神奈川工科大学),林 亮((株) ナノ),平山加内(日昇機械(有),福島大二郎 ((株)芝技研),森田 隆(異グ連シフト 21) 平成 16 年 10 月 14 日受付

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部には小さな部品やデバイスが数多く使われている。こ のような製品の製造では,大型部品は在来の工場で行 い,この工場内にマイクロファクトリを組み込んでマイ クロ部品等を製造する複合工場という生産形態が考えら れる。このような生産方式を各種工業製品に適用した場 合の省エネルギ効果の試算結果を表 2 に示す5)。この表 では,製造品目によってマイクロファクトリ (MF) の適用 率を変えており,一般家電製品では 20%,腕時計では 80%としている。さらに,適用するマイクロファクトリ について,現行工場に対するダウンサイジングの程度を 1/21/10 として,複合工場の消費動力を現行工場のそれ に対する % で示している。この表から,マイクロファク トリのダウンサイジングを 1/10 にした場合の工場消費動 力は,家電製品では 81%,腕時計では 24% に低減され ることがわかる。 上述の消費動力低減効果以外にも,いくつかの効果が 期待される。表 3 はマイクロファクトリの生産方式とそ の利用を示している3)。その生産方式としては分散型と 集中型が考えられる。そして前者では,小型軽量化され た生産機械は自動車などの移動体内に設置できることか ら,素形材を搬入し,製品納入先までの走行中に生産す ることが可能になる。また,製品組立ラインに隣接させ たマイクロファクトリにより,必要な部品やデバイスを 必要数だけ生産するオンサイト生産なども考えられる。 後者では,多数のマイクロロボットの協調作業により大 きな製品を製造・解体・再生することも可能になる。 3.生産工場の現状 図 1 は,市販の旋盤の大きさ L(幅)と加工できる最 大径 D との関係を示している6) 。図より,大型部品の場 合を除くと,加工寸法が小さくても旋盤の大きさは同じ で,D が 10 mm 程度以下になると,L/D は 300 を超えて いることがわかる。旋盤以外の加工機械もほぼ同じ傾向 を示している。このような機械の駆動動力は大まかには L2 に比例するので,マイクロ部品の現在の機械加工で は,機械自体の消費動力の割合が著しく高くなっている。 この現状についてヒアリング調査を行った結果,工作 機械の場合は小型化すると加工精度が低下するので,大 幅なダウンサイジングは好ましくないと考えられている ことが明らかになった。また,工作機械等の生産機械の 製造では,構成部品の 80% を購入しており,精度や耐 久性に優れた小型部品の入手が困難であるとの指摘も あった。さらに,大幅なダウンサイジングにより,機器 の操作性を低下させることやメンテナンスの難度が高く なること等も問題点として挙げられた。マイクロファク トリの概念が提案された 1990 年から数年の間,その研 表 2 マイクロファクトリ導入による消費電力の低減 MF適用率 消費動力低減率 (%) 工業製品 (%) 1/2 1/5 1/10 家電製品 20 18 19 19 AO機器 40 36 38 38 カメラ 60 53 57 57 腕時計 80 71 76 76 表 1 AO機器工場の消費動力の内訳 動力消費項目 消費動力の割合 (%) 照明 18.6 空調 一般 49.0 クリーンルーム 10.0 生産・搬送機器 16.0 その他 6.5 表 3 マイクロファクトリの生産方式と利用サイト 生産方式 利用サイト 利用例 移動体内 トラック内部品製造 特殊環境下 宇宙実験 分散型 店頭・オフィス内 パーソナル小物製造 システム オンサイト 交換部品製造 その他 医薬品合成 集中型 工場内 自動車製造・修理 システム 工場外 プラント修理

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究開発の広がりが比較的緩やかだったことは,生産機械 に対する上述の認識が支配的であったことによると考え られる。 4.マイクロファクトリの実現可能性 旋盤やフライス盤等の工作機械では,加工精度や加工 面粗さが基本的な重要性を持っている。したがって,そ の大幅なダウンサイジングによる加工精度等の低下はマ イクロファクトリの実現可能性における基本問題として 挙げられる。この点を明らかにするために,1996 年にマ イクロ旋盤が開発された7) 。この外観写真を図 2 に示す。 この外形寸法は 3.2 cm(長さ)2.5 cm(奥行き)3.1 cm (高さ),重量は 1 N で,旋盤としては最小寸法・最軽量 である。積層型ピエゾ素子を内蔵させたインチワーム式 直動機構を 2 個組み合わせて x –y 駆動デバイスを構成さ せている。主軸とコレットチャックは一体構造になって おり,直径 f2 mm のワークを把持することができる。主 軸は 1.5 W の DC マイクロモータで駆動し,104rpm で回 転する。 この旋盤による加工例を図 3 に示す。図の左端はアセ タール樹脂(デルリン),中間の 2 本は快削黄銅である。 快削黄銅は最も細い部分の直径が 100 mm となっている。 図 4 は快削黄銅を直径 1.8 mm に旋削した面の送り方向 表面粗さと 3 カ所の真円度の測定例を示している。この 例では,最大粗さの値が 1.6 mm となっている。また,真 円度は 2.5 mm である。これらの測定値は実用旋盤で得ら れる値よりも幾分小さい。この研究結果は,工作機械の 大幅なダウンサイジングがマイクロ部品の品質をむしろ 向上させることを示しており,従来の工作機械に対する 考え方を変革させたといえる。 図 5 は上述のマイクロ旋盤の主軸系の消費動力を測定 した結果を示している。切削条件は回転速度 10,000 rpm, 旋削直径 1.8 mm,送り速度 15 mm/s である。そして,切 り込み量 200 mm における消費動力はわずか 1.59 W であ り,これは実用旋盤に比べて著しく小さい値である。な お,この切り込み量において旋削に要した動力は 0.07 W であり,この値は主軸系消費動力 1.59 W のわずか 4.5% に過ぎない。 これらの実験結果により,工作機械の大幅なダウンサ イジングは,加工精度等をむしろ向上させる可能性があ るとともに,極めて大きな省エネルギ効果も期待できる 図 1 市販旋盤の寸法(幅)と加工できる最大直径 図 2 マイクロ旋盤の外観 図 3 マイクロ旋盤による加工例

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ことが実証された。 5.研究開発状況 マイクロファクトリを実用化するためには,各種生産 機械の大幅なダウサイジングを図るとともに,効率的な 生産システムの構築が必要となる。このマイクロファク トリの実用化に関して,マイクロ加工・組立機械,マイ クロ生産システム,および要素技術(デバイス,計測) の研究開発状況を調査した。 5.1 マイクロ加工・組立機械 腕時計に使われている外形が mm 寸法のマイクロ機構 部品は,当初は主軸だけをモータで駆動する卓上型タ レット旋盤などで製作されていた。その後,生産量の増 大に対処するために,等身大の自動タレット旋盤や歯切 盤などが開発され,これらの加工機械は量産性や加工精 度の向上を図るための改良が施され,現在も数多く使わ れている。 前述のマイクロ旋盤の開発を契機に,研究機関や企業 が各種加工・組立機械の大幅なダウンサイジングを試み るようになった。表 4 はこれまでに開発,開発中,また は実用化された主な加工・組立機械を示す。 表における NC マイクロ旋盤(産業技術総合研究所)8) は,前節で挙げたマイクロ旋盤をベースとして,これに 2個のリニアエンコーダを組み込むことによって,クロー ズドループ制御方式の NC 化を図った。これにより,X–Y ステージの位置決め分解能 0.1 mm を達成している。黄銅 の旋削では,最小直径 50 mm,旋削面の最大粗さ 0.5 mm, 真円度 0.5 mm が得られた。 既に商品化されたマイクロ旋盤として,マイクロター ニングシステム MST1((株)ナノ)がある9) 。これはベー スが 100150 mm で,はがきサイズである(図 6)。また, パーソナルコンピュータによる CNC を採用し,最小送り 単位 0.2 mm で直径 5 mm までの被削材を任意形状に旋削 加工できる。加工面の測定結果では,最大粗さ 0.2 mm, 真円度 0.19 mm が得られており,これは精密旋盤を超え る値である。主軸およびテーブルを駆動する 3 個のマイ クロモータの定格出力の合計は 6 W である。そして,こ のような低消費動力旋盤の商品化事例は過去になく,大 幅なダウンサイジングによって可能になったといえる。 図 4 マイクロ旋盤による旋削面の表面粗さと真円 図 5 マイクロ旋盤主軸系の消費動力 図 6 超小型精密 CNC 旋盤((株)ナノ)

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同社はその後,複数本の切削工具を装着した機種等を商 品化している。 極小径部材の高品位加工を行う NC 旋盤として,超微 細 NC 旋盤(高島産業(株))が最近市販された。この 装置の外形寸法は 800(幅)640(奥行)1600(高さ)mm で本体部分(上部)は卓上型に近い大きさである(図 7)。直径 0.1 ∼ 1 mm,長さ 200 mm の線材を主軸の背部 から自動供給することができる。主軸回転速度を最高 50,000 rpmとして,最小径の線材でも約 16 m/min の旋削 速度が得られる。また,5 本の切削工具を装着し,多様 な形状加工を可能にしている。極小径線材の自動供給と 高速回転主軸の組合せは,マイクロ部品の旋削加工に欠 かせない要件であるが,これを満たす旋盤はこれまで実 用化されていなかった。 近年,複雑形状のマイクロ部品が増大し,その加工や 金型製作にはマシニングセンタが使われている。一方, マシニングセンタは工具マガジンや ATC など,ツーリン グに必要な機構が複雑であるために,大幅なダウンサイ ジングは実現しなかった。 しかし最近, 外形寸法が 6008001000 mm,重量 1800 N のマイクロマシニングセ ンタ((株)ピーエムティー)が市販された(図 8)。こ の装置は従来のマシニングセンタに比べて,寸法が 1/5 程度で,かなり大幅なダウンサイジングが実現したとい える。工具の着脱にはプルスタッド方式を採用し,5 本 の工具が収納できる工具マガジンを装備している。 マイクロ部品の量産では,プレス機や射出成形機が使 われている。プレス機については,図 9 に示す外形寸法 111(幅)66(奥行)170(高さ)mm,プレス荷重 3 kN, 定格動力 100 W のプロトタイプのマイクロプレス機(産 図 7 超微細 NC 旋盤(高島産業(株)) 図 8 マイクロマシニングセンタ((株)ピーエム ティー) 図 9 マイクロプレス機(産業技術総合研究所)

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総研)が開発された10) 。この装置に打抜きや曲げなど順 送り 6 工程の金型を取り付けて,厚さ 0.15 mm のりん青 銅帯板から外形が約 0.9 mm のキャップ状部品の加工実 験を行い,500 個/min の生産能力を確認した。この実験 結果はマイクロ部品用プレス機の大幅なダウンサイジン グが十分に実用可能であることを示している。一方,マ イクロ射出成形機については,行政独立法人産業技術総 合研究所や(財)理化学研究所などで研究開発が進めら れている段階にある。 放電加工機のダウンサイジングについては,卓上型の 微細放電加工機(松下電器産業(株))が実用化され, マイクロ部品やその金型加工に極めて有効であることが 実証されている11) 。さらに最近,手のひらサイズの超小 型放電加工機(松下電器産業(株))が開発された(図 10)。この装置はマイクロファクトリの利用サイトの一 つである宇宙ステーションでの活用などが検討されてい る。 マイクロ部品やデバイスの組立機械として利用可能と 考えられるマイクロハンドリングロボットの研究開発が 数多く行われている12。その中に,マイクロファクトリ における部品の搬送や組立に使うことを想定した 2 方式 のロボット,2 本指マイクロハンドとマイクロ搬送アー ムがあり13) ,これらは後述する機械加工マイクロファク トリの構成機械として使われている。電子部品などを高 精度で位置決め・接合する卓上型の装置としてマイクロ ワークセル(アデプトジャパン)が実用化されている。 この装置(図 11)は外形寸法 600700800 mm,重量 4000 Nで,IC チップを 1 mm の位置決め精度で接着・接 合できる。 上述の加工組立機械の中で,商品化されている装置の 多くは卓上サイズであり,在来の加工・組立機械とマイ クロファクトリ用機械の中間に位置する寸法と重量に なっている。そしてこれらは,既存の生産システムへの 組込みや部分代替が容易であることから,現時点ではむ しろ,このサイズに市場性があると考えられる。 5.2 マイクロファクトリシステム マイクロファクトリについては,先導的研究がほぼ終 了し,システムコンセプト提案を含めた実用システムに ついて種々の研究が進められている段階にある。それら の研究開発事例を表 5 に示す。 (1)先導的研究 マイクロファクトリの研究開発は 1993 年,NEDO の 委託を受けて(財)マイクロマシンセンター(MMC) が最初に着手した。MMC はマイクロファクトリをマ イクロマシン技術の応用分野の一つとして位置づけ, その実現に必要な要素技術の研究を進め,マイクロ ファクトリ試作システムを開発した14) 。このシステム は,加工ステーション,精密組立ステーション,部品 ストックステーション,およびこれらを結ぶ自動搬送 装置で構成されており,加工ステーションでは電気化 学的加工も取り入れている。外形寸法は 600650 図 10 超小型放電加工機(松下電器産業(株)) 図 11 マイクロワークセル( アデプトジャパン (株))

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表 4 加工・組立機械の主な開発例 名称(開発機関・企業) 備 考 マイクロ旋盤(機械技研,現産業技術総合研究所) 開発終了 デスクトップ型複合加工機(産業技術総合研究所) 開発終了 複合自動旋盤(信濃川テクノポリス開発機構) 開発終了 ピエゾ素子応用マイクロ加工機(福井県工業技術センター) 開発終了 超小型精密 CNC 旋盤((株)ナノ) 商品化 超微細 NC 旋盤(高島産業(株)) 商品化 マイクロマシニングセンター((株)ピーエムティー) 商品化 マイクロプレス機(産業技術総合研究所) 開発終了 超小型放電加工機(松下電器産業(株)) 商品化 マイクロ射出成形機(産業技術総合研究所) 開発継続 マイクロ射出成形機(理化学研究所) 開発継続 マイクロワークセル(アデプトジャパン(株)) 商品化 表 5 マイクロファクトリの主な開発例 名称(開発機関・企業) 備 考 機械加工マイクロファクトリ(産業技術総合研究所) 開発終了 マイクロファクトリ試作システム((財)マイクロマシンセンター) 開発終了 デスクトップファクトリ DTF(三協精機(株)) 商品化 デスクトップファクトリ DTF(長野県テクノ財団) 開発継続 ミニ生産システム(東葛・千葉コンソーシアム) 開発終了 微小光学系組立機(オリンパス光学工業株) 開発終了 マイクロロボットファクトリ(電気通信大学) 開発継続 ミニ組立工場 CAC((株)デンソー) 開発終了 マイクロワークショップ(理化学研究所) 開発継続

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750 mmである。このシステムで歯車式マイクロ減速機 を製造し,マイクロファクトリの実用可能性を実証し た。 機械加工マイクロファクトリ(図 12)は機械技術研 究所(現:産業技術総合研究所)が 1999 年に開発し たプロトタイプ生産システムである15) 。これは,マイ クロ旋盤,マイクロプレス機,マイクロフライス盤, および 2 種類のマイクロロボットで構成され,機械加 工と組立を行う世界最初のマイクロファクトリとして 注目された。このシステムで 4 種類の部品からなるマ イクロ動力伝達軸系を製作し,マイクロファクトリの 実現可能性を実証した。 (2)実用化研究

表 5 に お け る MIF (Miniaturized Integrated Factory) は,動力やガス供給,情報通信等のコネクタを設けた プラットフォームを標準化し,その上に複数の生産機 械モジュールをはめ込んでサブシステムを構成させ, さらにサブシステム間を搬送モジュールで連結すると いう生産システムコンセプトである16。標準プラット フォームの寸法は 100100 mm としている。制御につ いては,プラットフォームにある程度までの自律性を 与える必要があるとしている。現在,各種のモジュー ル開発が進められている。 図 13 に示すデスクトップファクトリ(DTF :三協 精機)17は生産工程における熱処理,洗浄,接合,組 立,検査等に必要な装置をそれぞれ同一外形寸法でモ ジュール化し,これを作業工程に合わせてデスク上に 配置し,全工程を通して自動搬送車で接続し,1 個流 しで生産するシステムである。各モジュールに必要な 補機類は全てデスク内に収納できる構造になっている。 この生産システムはフレキシビリティが高く,マイク ロファクトリの普及段階で標準システムの有力候補に なる可能性がある。長野県テクノ財団は企業を中心と する DTF 研究会を発足させ,上述の DTF(三協精機) のコンセプトに基づいて機械加工機等のモジュール化 も図り,多様な製品の製造に対処できる実用システム 開発を進めている。 ミニ生産システム(東葛・千葉コンソーシアム)も ほぼ同様のコンセプトに基づいて開発した生産システ ムで,研削加工,洗浄,検査などの機能をセル化し, ロボットにより加工部品の搬送を行っている18。この システムの研削加工セルは,従来の研削加工機に比べ て,床面積は 1/30,重量 1/80,駆動動力 1/5 を達成し ている。 微小光学系組立機(オリンパス光学工業(株))は, 内視鏡用光学系のレンズ,撮像素子,レンズ枠などの マイクロ部品を自動組立する卓上型システムで,生産 量に応じた柔軟な生産ラインの構築ができる19)。設置 面積は 500350 mm である。 図 12 機械加工マイクロファクトリ(産業技術総 合研究所) 図 13 デスクトップファクトリ DTF(三協精機 (株))

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マイクロロボットファクトリ(電通大)は走行する 約 25 mm 立方の複数のマイクロロボットが協調し,検 査や加工などの作業を行うマイクロファクトリである。 これは表 3 に示した集中型マイクロファクトリに近い 実用化コンセプトと捉えることができる。現在,顕微 鏡ステージ上などの狭い領域内で微細加工や検査を行 うシステムとして実用化研究が進められている20) ミニ組立工場 CAC((株)デンソー)は,従来考え られてきたマイクロファクトリよりも寸法は大きい。 しかし,中・小ロットの部品のストック,物流,組立 を自動化小規模工場としてまとめたもので21),これは マイクロファクトリにおいても利用できる 1 つのコン セプトを提示している。 マイクロワークショップはマイクロ加工,検査,組 立などを小型機器として開発し,これを工房に設置し て,今後一層重要度が増すマイクロ・ナノ研究に役立 てることを目指している。 5.3 デバイス マイクロファクトリを実用化するためには,生産機械 で使用する超小型の主軸,モータ,スライダ,ハンドな ど,精度と信頼性の高いマイクロ機構デバイスが必要で ある。また,インラインの形状・寸法計測や生産機械評 価のための精密計測も必要である。これらに関しては, 十分な調査をするには至らなかったが,今回の調査範囲 で得られた結果を表 6 に示す。 マイクロスピンドル回転精度測定装置(慶応大学) は,高い回転精度が要求されるマイクロ工作機械主軸の 評価に適用できる開発中の装置である。マイクログリッ パ(機械技研)22)とマイクロハンド(長野県テクノ財 団,図 14)は 100 mm 未満のマイクロ部品も把持するデバ イスで, 後者は寸法 90( 長さ)40(幅)30(高さ) mm,重量 2.5 N で,部品を離すときに振動させて部品と 指部分の分離を容易にしている。マイクロスピンドル (日本精工(株),図 15)は寸法 f 2828 mm,最大回転 速度 300,000 rpm のスピンドルで,直径 1 mm のワークを 把持するコレットチャックが主軸と一体化されている。 表 6 小型デバイスの開発例 名称(開発機関・企業) 備 考 マイクロスピンドル回転精度測定装置(慶應義塾大学) 開発継続 マイクログリッパ(機械技術研究所,現産業技術総合研究所) 開発終了 マイクロハンド(長野県テクノ財団) 開発終了 マイクロスピンドル(日本精工(株)) 開発終了 図 14 マイクロハンド(長野テクノ財団) 図 15 マイクロスピンドル(日本精工(株))

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マイクロ部品の旋削や研削では,このような超高速回転 主軸の使用により,加工面の品質が大幅に改善される23) 6.技術的課題 マイクロファクトリの構築に必要な機械寸法を区分し, 上述の調査と今後の課題を整理した結果を表 7 に示す。 マイクロファクトリを構成する生産機械の単体寸法を A4とすると,その一部は既に実用化されており,生産 機械の機種の拡大とその応用先の開拓が今後の主な課題 となっている。しかし,この機械寸法では机上に設置で きる生産機械は数台が限度となり,机上に設置できるマ イクロファクトリを構築する場合,応用先がかなり制約 される。 機械寸法を 100 mm 立方程度にすると,多様なシステ ムの構築が可能になるが,現状では要素技術やシステム 概念などが未だ確立されていない。現時点では,ター ゲットにする効果的な適用先を絞り,その要求仕様に合 わせた生産機器やシステムを開発するアプローチが必要 と考えられる。また,長期的には,システム概念の構築 も進める必要がある。 機器寸法が 50 mm 立方程度以下では,まだ実用可能性 も明らかでないことから,その実証を含めた基礎研究が 必要と考えられる。 7.おわりに 本研究会では,国内外におけるマイクロファクトリ関 連技術について,上述の調査を行った。その結果,企業 や公的機関における研究開発状況をほぼ明らかにできた。 また,今後の研究開発や実用化のガイドラインを示した。 これを契機として,参加企業の間や企業・大学の間で得 意分野を活かした協同開発や実用化への取り組みが展開 されることを期待したい。 参 考 文 献 1)(社)日本産業用ロボット工業会:マイクロロボッ トに関する調査研究報告書 (1990-3),p 102–103,お よび同(1991-3),p 384–396 2)(財)マイクロマシンセンター:マイクロマシン, No. 5 (1996-4), p 5 3) マイクロファクトリ共同研究会:マイクロファクト リ,機械の研究(養賢堂),Vol. 49, No. 6 (1997), p 619–625 4)(財)マイクロマシンセンター:マイクロファクト リ共同研究会調査研究報告書(1998-6), p 36–39 5) K. Kawahara, S. Suto, T. Hirano, Y. Ishikawa, T.

Kita-hara, N. Ooyama and T. Ataka: Microfactories, Mi-crosystem Technologies (1997), p 34–37 6) 北原時雄,石川雄一:マイクロ旋盤の開発とその効 果,摩擦圧接,Vol. 3, No. 4 (1996), p 157–162 7) 北原時雄,石川雄一,寺田 健,中島尚正,古田 表 7 マイクロファクトリの現状と課題 機器イメージ 現状と課題 実用機比(寸法) 重量 到達レベル 課 題 1/3 5 kN ・加工機全般で実用化が進行 ・既存機の代替促進 (600 mm 立方) ・普及段階 1/6 1.5 kN ・マシニングセンタ等の実用化が進行 (300 mm 立方) ・機種の拡大 1/10 400 N ・旋盤等が実用化 ・応用先の開拓 (200 mm 立方) ・ DTF :一部が実用化 1/20 ・デバイス:実用化の段階 ・応用(仕様)の明確化 50 N ・システム概念の構築 (100 mm 立方) ・システム:概念構築の段階 ・要素技術の確立 1/40 5 N ・基礎研究の段階 ・実用可能性の検証 (50 mm 立方)

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一吉:マイクロ旋盤の開発,機械技術研究所所報, Vol. 50, No. 5 (1996), p 117–123 8) 岡崎祐一,北原時雄: NC マイクロ旋盤の開発と評 価,精密工学会誌,Vol. 67, No. 11 (2001), p 1878–1883 9) 林 亮:超小型 CNC 旋盤「マイクロターニングシ ス テ ム の 開 発 」, 砥 粒 加 工 学 会 誌 , Vol. 46, No. 7 (2002), p 330-333 10) 芦田 極,矢野 宏,森田 昇,田中 誠:マイ クロプレス機の開発,機械技術研究所所報,Vol. 54, No. 6 (2000), p 262–266

11) T. Masaki, K. Kawata and T. Masuzawa: Micro Electro-Discharge Machining and its Applications, Proc. IEEE MEMS (Feb., 1990), p 21–26

12) マイクロマシン技術総覧編集委員会:マイクロマシ

ン技術総覧,産業技術サービスセンター (2003), p 705–723

13) N. Ooyama, S. Kokaji, M. Tanaka, K. Ashida, N. Mishima, T. Tanikawa and K. Kaneko: Desktop Machin-ing Factory, Proc. 2nd Int. Workshop on Microfactory (Oct., 2000), p 13–16

14) K. Furuta, M. Suda, T. Harada, H. Terashima, Y. Naruse, T. Matsuo, E. Yonezawa and O. Tohyama: Experimental Microfactory System for Processing and Assembling, Proc. The 7th Int. Micromachine Symposium (Nov., 2001), p 155–172

15) 田中 誠,芦田 極,三島 望,谷川民生,前川

仁,金子健二:機械加工マイクロファクトリ,機械 技術研究所所報,Vol. 54, No. 6 (2000), p 247–253

16) T. Gaugel, H. Dobler, B. Rohrmoser J. Klenk, J. Neuge-bauer and W. Schafer: Advanced dular production con-cept for miniaturized products, Proc. 2nd Int. Workshop on Microfactory (Oct., 2000), p 35–38 17) 常田晴弘,小池一秀:新しいものづくり,デスク トップファクトリ,三協精機製作所技報 TERESA, Vol. 12, No. 1 (2003), p 42–46 18) 大田真士,宇野武志,友瀧 桂,中村幸正,木原 弘之,高比良 彰,加藤秀雄,ヨシザワ LA,森 正緑:ミニ円筒研削セルの開発,2002 年度精密工 学会春季大会講演論文集(2002-3), p 86

19) H. Ogawa: Indispensable Technologies for Microassem-bly, Proc. Proc. 2nd Int. Workshop on Microfactory (Oct., 2000), p 103–106

20) 淵脇大海,庄司裕一,青山尚之:顕微鏡 XY θ小

型自走機械の開発(第 2 報),精密工学会誌,Vol. 69, No. 1 (2003), p 69–73

21) 瀧口昌之,鈴木伊知郎,田中雅三,酒井政彦,小

南哲也,大熊 学:ミニ組立工場 CAC (Circular As-sembly Cell), 精 密 機 械 工 学 会 誌 , Vol. 68, No. 4 (2002), p 499–502 22) 安藤泰久,澤田浩之,岡崎祐一,石川雄一,北原 時雄:マイクログリッパの開発,機械技術研究所所 報,Vol. 50, No. 2 (1996), p 29–34 23) 佐藤孝博,若林直樹,荒牧宏敏,北原時雄:マイ クロ部品の高速旋削,マイクロメカトロニクス,Vol. 48, No. 3 (2004), p 13–21

表 4 加工・組立機械の主な開発例 名称(開発機関・企業) 備 考 マイクロ旋盤(機械技研,現産業技術総合研究所) 開発終了 デスクトップ型複合加工機(産業技術総合研究所) 開発終了 複合自動旋盤(信濃川テクノポリス開発機構) 開発終了 ピエゾ素子応用マイクロ加工機(福井県工業技術センター) 開発終了 超小型精密 CNC 旋盤( (株)ナノ) 商品化 超微細 NC 旋盤(高島産業(株) ) 商品化 マイクロマシニングセンター( (株)ピーエムティー) 商品化 マイクロプレス機(産業技術総合研究所) 開発終了
表 5 に お け る MIF (Miniaturized Integrated Factory) は,動力やガス供給,情報通信等のコネクタを設けた プラットフォームを標準化し,その上に複数の生産機 械モジュールをはめ込んでサブシステムを構成させ, さらにサブシステム間を搬送モジュールで連結すると いう生産システムコンセプトである 16) 。標準プラット フォームの寸法は 100  100 mm としている。制御につ いては,プラットフォームにある程度までの自律性を 与える必要があるとしている。現在,各種の

参照

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