社会系教科教育学会『社会系教科教育学研究』第23号 2011
(pp.31-40)
経 験 知 ・ 直 観 ・ 反 証 可 能 性 を 組 み 込 ん だ 小 学 校 社 会 科 の 授 業 設 計
一 授 業 理 論 の 開 発 か ら授 業 実 践 ・ 単 元 テ ス ト ヘ ー
The Development of the Elementary Social Studies Lesson Plan that Fosters Experiential
Knowledge, Intuition,
and Falsifiability: From the Development of the Theory of Teaching to
Practice and Unit Assessment
I 問題 の所在 と研究 の目的
[表 − 1] に示 し た よう に, 2007 年 に全 国の 公
立 小学 校教員( 学級担 任 のみ) 1872名を 対象 にし
た, ベ ネッセ教 育研究 開発 セン ターの調 査結果 に
よると, 社会科 は理科 と並 び, 授業 者に とって 指
導 しづ らい教科 であ るこ とは明 らかであ る。
[表 − 1] 小 学 校 教 員 が 指 導 し や す い 教 科(1) 国 語 社 会 算 数 理 科 得 意 8.8 7.5 19.6 7.0 ど ち ら か と い う と 得 意 50.7 38.0 66.4 36.6 ど ち ら か と い う と 苦 手 35.5 42.8 11.8 39.7 苦 手 3.8 7.4 1.0 9.8 指 導 し た こ と が な い 0.1 1.7 Oユ 3.8 無 答 不 明 1.1 2.5 匸L 2.9本研 究 は, 授業者 に とって指 導しづ らい 教科で
あ る社会科を, 指導 し やすい教 科に転 換す るこ と
を 目的 として い る。 そ のた めに, 社会 学 の方法 論
に依拠 し た小 学校 社会科 授業 の設 計方 法を提案 す
る とと もに, そ の設 計方法 に基づ い た授業実践 と
授業結 果につ いて述 べ る。
H 小 学校社 会科授業 の設計 方法
1. 小 学校社 会科 の教授過 程
小学 校社会 科授業 の設計方 法を考 え るとき に,
小 学校 社会科 の教授 過程を 明示す るこ とが重要 と
なる。 そのた めに, 社会科学 の研究 過程 を参考 に
するこ ととす る。
こう した手法 が有効 であ るこ とは, い わゆ る経
験主 義社会 科を理 論面 で支え た代表者 の一人 で あ
下 舘 史 嗣 ( 立 命 館 小 学 校) る ジ ョ ン ・ デ ュ ー イ (John Dewey) や , い わ ゆ る系 統 主 義 社 会 科 を 理 論 面 で 支 え ア メ リ カ の 新 社 会 科 の 誕 生 に 大 き な 影 響 力 を 果 た し た一 人 で あ る ジ ェ ロ ー ム ・ シ ー モ ア ・ ブ ル ー ナ ー(Jerome Seymour Bnmer) の著 書 か ら も 明 ら か で あ る(‰ 社 会 科 学 の 研 究 過 程 を 分 か り や す く著 し た 研 究 者 と し て , 社 会 学 方 法 論 の 研 究 者 で あ る 高 根 正 昭 を あ げ る こ と が で き る 。 高 根 は, 社 会 科 学 の研 究 過 程 に つ い て, 次 の よ う に 述 べ て い る。 さ て 問 題 解 決 の 基 本 的 な 要 素 な ど と言 う と い か に も お お げ さ に 聞 こ え る 。 し か し そ の 内 容 と は 匚原 因 」 と 「 結 果 」 と を 明 瞭 に 定 め て , 問 題 の 論 理 を 組 み 立 て る 方 法 に 他 な ら な い o つ ま り 研 究 者 が 当 面 解 決 し な け れ ば な ら な い 問 題 を , ま ず 「 結 果 」 と し て と ら え , そ の 厂結 果 」 を 生 み 出 す , 厂原 因 」 と な る べ き 要 素 を 探 り 出 す と い う 方 法 を , 彼 ら は 持 っ て い た の で あ る 。( 略 : 下 舘 ) こ れ は 言 う ま で も な く 因 果 関 係 の 存 在 を 仮 定 し , こ の 仮 定 を 実 証 す る と0 う 論 理 的 構 造 を 持 っ て い た 。C3)(pp.35-36) ま た こ の よ う な 因 果 関 係 に 関 す る 二 つ の 要 素(「 結 果 」 と「 原 因 」: 下 舘 )の 論 理 的 な 関 係 は , 仮 説(hypothesis) と 呼 ん で も よ い 。 こ の 場 合 , 仮 説 と は 「 結 果 」 と な る 現 象 が 一 定 の 方 向 に 変 化 す る よ う な , 条 件 に 関 す る 立 言 (sばement) と 定 義 す る こ と が で き る 。 (3)(p,38 ) そ し て い か に 正 確 な 観 察 に 基 づ い た客 観 的 な 記 録 で あ っ て も , 匚な ぜ 」 と い う 疑 問 を 考 え な い の で あ っ た ら , そ れ は 因 果 関 係 を 問 題 と し な い 記 述 的 な 研 究 に 他 な ら な い 。 そ れ は 科 学 と し て , 低 次 な 段 階 に と ど ま る も の に 過 ぎ な い 。 (3 )(P.40 ) し か し も ち ろ ん , す べ て の 研 究 が こ の よ う な 因 果 関 係 に 基 く 仮 説 を 立 て る だ け で 終 わ る の で あ っ た な ら , そ れ は 経 験 科 学 と は 言 え な い で あ ろ う 。 仮 説 を 立 て た 研 究 者 は , 次 に そ の 仮 説 を 経 験 的 事 実 に 合 わ せ て , テ ス ト し な 31﹁ ’ “ ” ’ ‘ ” ” ’ 一
匳正江豆盃1
因果関係
]白
筧
千
言
一
一
一
“l
玉白 玉]
一
j
一一一一一一一一一一---一一一一一一-一 一-探 り 出 す | I方も
あ
る
。新た
に
提
示
した
事象
と
既習
事項
との
間
で問
題意
識
をもた
せる
とい
う主
張
であ
る
。
この
考
え方
では
,学習
者
は確
実
に
既習
事項
を覚
えて
い
な
けれ
ば
な
らな
い
。既習
事
項の
習
得が
不
十分
な
学習
者
に
問題
意
識が
生
じる
ことは
な
い
。
また
,不
足
して
いる
「経
験
知
」
を補
うた
めに
,
予習
・宿
題
・自学
な
ど家庭
で学
習
を
させ
る
ことで
と
い
う考
え方も
あ
る
。
この
考
え方も
家庭
での
学
習
を全
員が
同
じよ
うにす
る
ことが
前
提
と
な
り
,家庭
での
学
習が
不十
分
な学
習者
に
問題
意
識が
生
ずる
こ
とは
な
い
。
「矛 盾
「対 立
関
− − − −係
[図一
2]
「経験
知」
に頼
る問題意識
一 一︲・ I I− −11111 r  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄“  ̄ ̄  ̄‘ ̄ レ フ V 巳 二 二 二 卜 す る l .-一一 ←-一一一一一一1 --- ●EΞ匹a豆│
匹工
E匹硬
]
[図一
1]小学校社会科の教授過程
けれ
ばな
らない
。検
証(verification)
と呼
ばれ
る
この過
程
はいわ
ば匚
われわれ
の頭の
なか
にある像
」を,
「現実
の
世界
」と照
らし合わ
せて
,その
間に相
違が
な
いか
否か
を調
ぢる過程
に似
ている
。
(3)
(p.56
)
以上のことから,小学校社会科の教授過程を
[図一1]のように明示する。すなわち,匚
結果か
らなぜ疑問を発する
程)
」
,匚
原因を探り出す過程
過程
(=問題をとらえる過
(=仮説をたてる過
程)
」
,匚
仮説が正しいかをテス
トする過程
(=検
証をする過程)
」の三つの過程を経るものとする。
2。問題
をとらえる過程
問題意識
をもたせるためには
,新たに事象
を提
示することで
,広
く匚
経験知」といわれ
るもの
と
の間に匚
矛盾
」
・匚
対立関係
」を引き起
こせばよい
とされている
(4
)
。この
ように,広く
匚
経験知」
といわれ
るものの存在
を前提と
して問題意識をも
た
せる主張は数
多く存在す
る。
しか
し
,小学校社会科の教授過程
を考
えた
とき,
授
業は
一対一でおこな
うものではない。この
よう
な主張は
,全ての学習者の匚
経験知」が同
じであ
るという特殊な状況においてのみ
成立する
。多く
の
場合
,個
々の
学習者の匚
経験
知」は異
なる
。よっ
て
,個々の学習者によって異なる匚
経験知」を前
提
とする主張には
,正に
,矛盾がある。この
こと
を図化
匚
経験
したのが
知」の中に,既習事項
,
[図一
2]である。
を含むという考え
32
そ こ で , 小 学 校 社 会 科 の 教 授 過 程 で は , 提示 し た 事 象 と, 同 じ 単 位 時 間 内 に学 習 し た 事 柄 と の 間 に, 匚矛 盾 」・ 厂対 立 関 係 」 を 引 き 起 こ す こ と で , 問 題 意 識 を も た せ る こ と と す る。 こ う す る こ とで , 広 く匚経 験 知 」と い わ れ る も の に 頼 る こ と な く, 全 て の学 習 者 に 問 題 意 識 を もた せ る こ と が で き る 。 3。 仮 説 を た て る 過 程 同 じ 単 位 時 間 内 に 学 習 し た 事 柄 と の 間 に, 匚矛 盾 」・ 匚対 立 関 係 」 を 引 き 起 こ す 事 象 を 提 示 し た と い う こ と は, 学 習 し た 事 柄 で は 解 決 で き な い 事 象 を 提 示 し た こ と に な る 。 当 然 , こ の と き 学 習 者 は , 匚矛 盾 」・ 匚対 立 関 係 」を 容 易 に 解 決 で き な い 状 態 に あ るO だ か ら こ そ , 問 題 意 識 を も つ こ と が で き た の で あ る 。 仮 説 を た て る と い う こ と は, 匚矛 盾 」・「 対 立 関 係」を 解 決 す る 道 筋 を 見 出 す こ と で あ る。 容 易 に 解 決 で き な い 状 態 で , 解 決 す る 道 筋 を 見 出 す こ と は非 常 に 困 難 とい え る。 こ の こ と を 図 化 し た の が, [ 図 一 3]で あ る。 学 習 し た 事 柄 「矛 盾 」・「対 立 関 係 」 提 示 し た 事 象 容 易 に 解 決 で き な い 問題 意 識 を もつ こ と が で き る - 33 − こ の よ う に 困 難 な 状 況 下 に お い て , 学 習 者 に 仮 説 を た て さ せ る た め に は, 学 習 者 の 匚直 観」を 養 う こ と が 大 切 で あ る。 し か し, 学 習 者 の直 観 が養 わ れ る ま で は, 仮 説 を た て さ せ る こ と はで き な い こ と と な る。 ま た , 仮 説 を た て る こ と が で き る学 習 者 が 一 人 もい な か っ た と き , あ る い は, 仮 説 を た て る こ と が で き る学 習 者 が い て も 他 の 学 習 者 が 賛 同 す る こ と が な か っ た と き 授業 は停 滞 し て し ま う。 そ こ で, 小 学 校 社 会 科 の 教 授 過 程 で は, 仮 説 を た て さ せ る た め に は, 匚直 観 」 が 必 要 と い う 考 え 方 で は な く , 匚直 観 」 も 必 要 と い う 考 え 方 を と る こ と と す る。 仮 説 を た て さ せ る た め に 匚直 観 」 も 必 要 と い う 考 え 方 と は,「 ̄直 観 」 に よ っ て 仮 説 を た て る こ と が で き る学 習 者 が一 人 も い な か っ た と き , あ る い は, 匚直 観 」 に よ って 仮 説 を た て る こ と が で き る 学 習 者 が い て も他 の 学 習 者 が 賛 同 す る こ と が な か っ た と き に 限 り , 授 業 者 が 原 因 を 提 示 す る と い う も の で あ る。
4。検 証を する過 程
仮説 をテ ストす る方法を 考え るた めに は, 例え
ば [図 一4] に例示 し たような, 科学 の基本的 な
営 み に立 ち 返 る必 要 があ る。 仮説 のテ スト は,
[図 一4]中 の予測を 用いて 行う のであ る。
すな わち, 仮説 に合 致 するよ うに新 たに設定 し
た原因 と仮説 か ら,新 たな 結果を 予測 するこ とが
でき るO こ のとき,予 測 した新 たな結果 と同様 な
社会事 象が実 際に みら れるので あれば, 仮説 は実
結 果 京 都 市 営 地 下 鉄 北 大 路 駅 お よび 北 大 路 バ ス タ ー ミ ナ ル の 周 辺 は 、 商 店 街 が 発 達 し て い る。十
人 が 集 ま る 場 所 な の で 、 商 店 街 が発 達 す る 。|
説 明 予 測 1 仮 説 京 都 市 営 地 下 鉄 北 大 路 駅 お よ び 北 大 路 バ ス タ ー ミ ナ ル の 周 辺 は 、 人 が集 ま る 場 所 で あ る 。 原 因 [図 一 4 ] 科 学 の 基 本 的 な 営 み 移 行 す る [図 一 3 ] 容 易 に 解 決 で き な い 状 況 と 解 決 す る 道 筋結
果
京都市
営
地下鉄
今
出川駅
および京都
府
庁の
周
辺
は、商
店
街が
発達
して
いる
。
人が集まる場所なので
商店街が発達する。
、
仮
説
|
京都市
営地下鉄
今
出川駅
および京都
府
庁の
周
辺
は、
人が
集
まる場
所で
ある
。
原因
[図一
5]仮説をテス
トす
る
証された
ことになるのである。
例示
した
[図
一
4]
の仮説
をテス
トしたのが
[図一
5]
である
。最初に,仮説に合致するように新た
に設定した原因を匚
京都市営地下鉄今出川駅およ
び京都府庁の周辺は
,人が集まる場所である」
と
する
。このとき,
「 ̄
人が集まる場所なので,商店
街が発達する
」
という仮説か
ら,
「 ̄
京都市営地下鉄
今出川駅
および京都府庁の周辺は商店街が発達
し
ている
」
という結果
を予測す
ることができる
。
それでは
,予測
した新たな結果と同様
な社会事
象が実際にみ
られ
るのかといえばみ
られ
ないOつ
ま
り
,仮説
をテス
トした結果,
この仮説では不十
分であることが分か
ったのである
。一般的には
,
「 ̄
人が集まる場所なので
,商店街が発達する」
とい
う仮説は正
しく思えるものの
,このようにテス
ト
をする
ことで仮説の真偽が明
らかになるので
ある
。
つま
り
,反証可能性が明らかになるので
ある。
しか
し
,仮説に合致す
るように新たに設定
した
原因は無数に存在す
る
。そのため
,予測
した新た
な結果も無数に存在する
。このように無数に存在
する結果と
,同様
な社会事象が実際にみ
られ
るか
を
一つ一つ判断す
ることは容易ではない。
そこで
,小学校社会科の教授過程では
,授
業者
が仮説に合致するように原因を設定
し
,授業者が
予測
した結果
を提
示することで仮説
をテス
トする
こととする。つま
り,反証可能性
をテス
トす
るこ
とになる。
-Ⅲ
授
業実践
厂
火事
をふせ
ぐ」
1.社会学の方法論
との関連
社会学の
方法論を組み込むことで
,匚
問題をと
らえる過程」
,匚
仮説
をた
てる過程」
,匚
検証をする
過程」
の三つの過程
を経る小学校社会科の教授過
程
を
示す
ことができた。
しか
し
,社会学の研究は
,基本的に
,研究者が
目標
を定め
,一人の研究者が目標に向か
うもので
ある
。それに対
して,小学校社会科の授業は,基
本的に
,授
業者が
目標
を定め,複
数の学習者が目
標
に向か
うものである
。その
ため
,社会学の方法
論
をその
まま組み込むだ
けでは
,小学校社会科の
教授過程と
して成立
しない
。こう
した問題点を解
消す
るため
,三つの過程の全てにおいて
,社会学
の方法論
を基に
しなが
らも
,独
自の
小学校社会科
授業の設計方法を示すことができた
。
具体的には
,「
 ̄
問題意識
をとらえる過程」
では
,
広
く匚
経験知」
といわれ
るものの存在
を前提と
して
問題意識をもたせ
る主張には
,正に,矛盾が
ある
ことが明
らかとなった
。そのために,提示
した事
象と
,同
じ単位時間内に学習
した事柄
との間に
,
匚
矛盾」
・厂
対立関係」
を引き起
こす
ことで
,問題意
識
をもたせ
る
ことを提案
した。
また
,匚
仮説をたてる過程」では
,学習者に問
題意識
をもたせることがで
きた
ときには
,仮説
を
たてさせ
ることが非常に困難であることが
明らか
となった
。そのために,匚
直観」が必要という考
え方ではなく
,匚
直観」も必要という考え方をと
る
ことを提案
した
。
続
いて
,匚
検証
をする過程」
では,仮説をテス
ト
ための事象は無数に存在することが
明らか
となっ
た
。そのために,授業者が仮説に合致するように
原因を設定
し
,授
業者が予測
した結果
を提
示する
ことで仮説
をテス
トする
ことを提案
した
。なお,
匚
検証
をする過程」
そのものが
,従
来の小学校社会
科授
業の設計方法では軽視され
ていた
。
以上の
ことを踏まえ実践
した社会科授業につい
て述べる。
34−
2。 本時(4 /15) の目標
京 都 市 中 心部 か ら遠 方 の集 落 で は、 消 防 出張 所 があ っ た り消 防 団を 組 織し た りし て い る ので 、 消 防署 が
京 都 市 中 心部 に偏 っ てい て も 消火 活 動 がで き る。
3。 授 業 の 展 開 過 程 授 業 者 の 活 勣 学 習 者 の 活 動 問 題 を と ら え る 過 程 1 . 名 古 屋 市 の 消 防 署 の 分 布 地 図 を 提 示 す る 。 1 . 提 示 さ れ た 資 料 か ら 、 様 々 な 社 会 事 象 を 発 見 す る 。 ○ 名 古 屋 市 の 消 防 署 は16 署 あ る 。 ○ 全 体 に ま ん べ ん な く 分 布 し て い る 。 2 . 全 体 に ま ん べ ん な く 分 布 し て い る 理 由 を 考 え る。 ○ ど こ で 火 事 が 起 き て も 素 早 く 消 火 で き る よ 引 こ。 ○ 不 平 等 の な い よ う に 。 3 /‘ 世 の 中 の ル ー ル ” を 創 り だ す 。 ○ ど こ で 火 事 が 起 き て も 素 早 く 消 火 で き る の で 、 消 防 署 は 全 体 に ま ん べ ん な く 分 布 し て い る 。 名 古 屋市 の消 防署 の分 布 Y 回 国 口元 才 国 回 団 E 蠅 団 団 団 国 丶`、゛ ゛、`⊃
4 . 京 都 市 の 消 防 署 の 分 布 地 図 を4A 示す る 。 4 . 提 示 さ れ た 資 料 か ら 、 自 分 た ち が 創 り だ し た 世 の 中 の ル ー ル ” と 矛 盾 す る 社 会 事 象 を 発 見 す る 。 ○ 消 防 署 が 中 心 部 に 偏 っ て い る 。 5 . 問 題 を と ら え る 。 ○ な ぜ 、 京 都 市 の 消 防 署 は 中 心 部 に 偏 っ て い る の だ ろ う か 。 京 都 市 の 消 防 署 の分 布 Y Y 図 Y Y Y Y Y二 大
嵋-提 示 し た 事 象 と 、同 じ 単 位 時 間 内 に 学 習 し た 事 柄 と の 間 に、「 矛 盾」 ・「対 立 関 係」 を 引 き 起 こ す こ と で 、 問 題 意 識 を も た せ る 。 仮/
6 . 直 観 的 に 原 因 を 探 り だ す 。 y 部 人 皿 t 住 ん で い る 大 が 少 な い な ら 消 火 し な く て い い の か * 1 ク ラ ス の み 、 1 人 の 学 習 者 の 経 験 か ら 消 防 団 か お る か ら 心 配 な い と い う意 見 と な る 。 ― 35説
を
た
て
る
過
程
検
証
を
す
る
過
程
7。京都市北区の
図を提
示する
。
人口分
布と消
防施設分
布
京都市北区
人口分布
京都
市北
区
消
防
地
10.
京都
市
山
科
区
の
消
防
施
設
の
分
布
の
地
図
を提
示す
る
。
京都市山科区 消防関係施設
7
。提
示され
た資料か
ら、分析
的に原因を探
り
だすため
に必要
な社会事
象
を発
見す
る
。
○北部
○消防署
には
はな
、少な
いけれ
いなが
ど、消防出張
らも人が住ん
所や消防団
で
いる
。
かお
る
。
○北部の
集落
に消防出張
三つの
集落の
所が
おか
中で
れ
、最も人口が
て
いる
。
多い
.
「消防団」
と
いう用語
につ
いて教
科書
で確認
する
。
新
しい
“世の
中の
ル
ー
ル”
を劍
りだす
。
京都市
中心部か
ら遠方の
集落では
、消防出
張所が
あ
った
り消防団
を組織
した
りして
い
るので
、消防署が京都市
中心部に偏
って
い
て
も消
火活動が
で
きる
。
「直観」
が必要
という考え方
ではな
く
、「
直
観」
も必要
と
い
う考え方をと
る。
10.
ー
ル
提
示
”
の
され
真偽
た
を判
資
料
断
か
す
ら
る
、新
。
しい
“世
の
中の
ル
授業者が仮説
に合致するよ
うに原因を設
定
し、
授
業者が
予測
した結果
を提示するこ
とで仮説をテ
ス
トす
る。
-36−
IV
小学校社会科授
業の設計方法と
授業実践
との関連
1.問題をとらえる過程
本授
業では
,匚
京都市の消防署は中心部に偏っ
ている
」という
“結
果となる社会事象”か
らなぜ
疑問
を発する
ことを想定
している
。よって,
“結
果となる社会事象”を読み
取
らせるために
,
[図一
6]の
資料
を提
示す
る必要が
ある。
しか
し
,既に述べ
たよ
うに
,
[図一6]
を提
示す
るだけでは
,
全ての学習者に問題
意識
をもたせること
はで
きない
。なぜな
らば
,匚
京都市の消
防署は中心部に偏っ
ている
」という
“結
果となる社会事象”
を素直に受け入れ
,
その社会事象から
[図一
6]
京都市の消防署の分
厂
矛盾
」
・匚
対立関係
」を引き起
こす
ことなく,匚
納
得
」する学習者が存在する可能性が
あるか
らであ
る
。そこで,
「 ̄
京都市の消防署は中心部に偏って
いる
」
という
“結果となる社会事象”との間に
匚
矛盾
」
・厂
対立関係
」
を引き起
こす
ことができる事
柄を学習した後に,
[図一
6]を提示する必要が
ある。
本授業では
,匚
京都市の消防署は中心部に偏っ
ている
」
という
“結果となる社会事象”との間に
厂
矛盾」
・匚
対立関係」を引き起
こす
ことができる
事柄と
して
,
「どこ
で火事が起きても素
早
く消
火できるの
で
,
消防署は全体にまん
べんな
く分布
してい
る
」という仮説をた
てる
こととする
。そ
こで
,本授
業の
冒頭
には
,厂
消防署は全
体にまんべんなく分
布
している
」という
“結
果となる社会事
象”を読み取らせるために
,
[図一
7]の資料
を
提示する
。なお,学習者が小学生であることを考
慮
し
,授業中は,仮説という言葉では
なぐ 世の
中の
ルール
”という言葉を使用する。
学習者にとって
,匚
消防署は全体にまんべんな
く分布
している
」とい
う
“結果となる社会事象”
の原因を探
り出すことは難
しいことではない
。
“結果となる社会事象”を読み取ると同時に
,
匚
どこで火事が起きても素早く消火できる
」とい
う原因も探
り出す
ことができると考える
。
こうして
,匚
どこで火事が起きても素早く消火
できるので
,消防署は全体にまんべん
なく分布
し
ている
」
という仮説をたてさせることができた
こ
ととなる
。ここで
,
[図一
6]を提
示
し,
「矛盾
」
・
匚
対立関係
」を引き起こすことで,全ての学習者
に問題意識
れ
ら一連の流れ
をもたせることができるの
を図化
したのが
[図一
8]である。
である
。こ
結果
とな
る社会事象
名古屋市の消防署
は
まんべん
な
く分布
し
て
いる
京都市の消防署
は中
心部
に偏
って
いる
原
因
と
な
る
社会
事
象
ど
こで
火事
が
起
きて
厂
ごプ
]
火事
が
た
場
所
に
よ
って
唯
く消
火
で
き
な
い
●
結
[図一
果となる社会事象
8]問題意識
をもたせるために
原因となる社会
事象
2。仮説をたてる過程
本授
業では
,匚
京都市中心部か
ら遠方の集落で
は
,消防出張所があった
り消防団を組織
した
りし
ている」という
“原因となる社会事象”を探
り出
す
ことを想定
して
いる。
しか
し
,既に述べ
たように
,学習者の直観だけ
に頼
っていては授
業が停滞
して
しま
うことが
ある
O
なぜ
ならば
,
“原因となる社会事象
”が分か
らな
いか
ら問題意識
をもつ
ことが
できるにも関わ
らず
,
その数分後に
,直観によって,いままで分か
らな
か
った 原因となる社会事象”を探
り出す
ことが
できることなど皆無に等
本授業では
,匚
京都市北部には人があま
しいか
らである
O
り住ん
37 ―
京 都市 北区 人 口分 布 -て 結 果 も 無 数 に存 在 し , こ れ を 一 つ 一 つ 判 断 す る こ と は 容 易 で は な い 。 本 授 業 に お い て は, 匚中 心 部 か ら 遠 方( 消 防 署 の な い )の 集 落 で は, 消 防 出 張 所 が あ っ た り 消 防 団 を 組 織 し た り し て い る] と い う 社 会 事 象 が み ら れ る の か を テ ス ト す る こ と と な る。 京 都 市 の 場 合 を 考 え て も北 区以 外 に , 左 京 区 , 右 京 区 , 西 京 区 , 伏 見 区, 山 科 区 と 周 辺 部 に 位 置 す る 区 が あ る。 更 に, 京 都 市 か ら離 れ る な ら ば, そ の ケ ー ス は 無 数 に 存 在 す る 。 そ れ ぞ れ の ケ ー ス に お い て ,「 ̄中 心 部 か ら 遠 方 ( 消 防 署 の な い ) の 集 落 で は, 消 防 出 張 所 が あ っ た り 消 防 団 を 組 織 し た り し て い る 」 と い う 社 会 事 象 が み ら れ る の かを テ ス ト す る こ と は 容 易 で はな い 。 そ こ で, 本 授 業 で は , 京 都 市 の 東 端 に 位 置 す る 京 都 市 山 科 区 を 取 り 上 げ, 京 都市 北 区 と 同 様 に , 消 防 出 張 所 が あ っ た り 消 防 団 を 組 織 し た り し て い る の か を 確 認 す る こ と で 仮 説 の 真 偽 を 明 ら か にす る こ と と し た 。 そ の た め に,[ 図 一10 ] を 提示 し, 匚中 心 部 か ら遠 方 ( 消 防 署 の な い ) の 集 落 で は , 消 防 出 張 所 が あ っ た り 消 防 団 を 組 織 し た り し て い る」と い う 社 会 事 象 が み ら れ る の か を テ スト す る 。 京都 市 山科区 消 防関 係施 設
[図一10] 京都市 山科区 の消防 関連施設
38 − [図 一 9] 「京 都 市 北 区 の 人 口 分 布 」 と「京 都 市 北 区 の 消 防 関 連 施 設」 で い な い か ら 」 と い う 社 会 事 象 を 原 因 と し て 探 り 出 す 可 能 性 が 高 い と 考 え , 続 い て ,「 住 ん で い る 大 が 少 な い な ら 消 火 し な くて い い の か 」 と い う意 見 が 出 る こ と も 考 え た 。 こ う し た 意 見 を 出 さ せ た 後 , “原 因 と な る 社 会 事 象 ” を 読 み 取 る こ と が で き る 資 料 で あ る [ 図 一 9] を 提 示 す る。 こ の と き , 授 業 者 の 想 定 し た “ 原 因 と な る 社 会 事 象 ” と 学 習 者 が 探 り 出 し た “ 原 因 と な る 社 会 事 象 ” が 同 一 の場 合 は, こ れ ら の 資 料 が 裏 付 け と な る。 ま た , 同一 で な か っ た 場 合 や 学 習 者 が 探 り 出 せ な か っ た場 合 は, こ れ ら の 資 料 に 基 づ い て 分 析 的 に “原 因 と な る 社 会 事 象 ” を 探 り 出 す こ と と な る。 実 際 の 授 業 で は , 4 ク ラ ス の う ち, 工つ の ク ラ ス で 1 人 の学 習 者 の 経 験 知 か ら 匚消 防 団 」 の 存 在 に 着 目 し , 匚消 防 団 が あ る か ら大 丈 夫 だ」 と い う 意 見 が で た。 な お , 資 料 を 京 都 市 北 区 の も の と し た の は, 小 学 校 の 所 在 地 が 京 都 市 北 区 で あ る だ け で は な く, 消 防 署 の 所 在 地 が 区 の南 端 に 位 置 し て い る か らで あ る。 3。 検 証 を す る 過 程 本 授 業 で は,「 京 都 市 中 心 部 か ら 遠 方 の 集 落 で は , 消 防 出 張 所 が あ っ た り 消 防 団 を 組 織 し た り し て い る の で , 消 防 署 が 京 都 市 中 心 部 に偏 っ て い て も消 火 活 動 が で き る」 とい う “仮 説 ” を テ ス ト す る こ と を 想 定 し て い る。 し か し, 既 に 述 べ た よ う に, こ の 仮説 に合 致 す る原 因 は無 数 に存 在 し , よ っV 小 学 校 社 会 科 授 業 の 設 計 方 法 と 単 元 テ ス ト か ら 考 察 す る 授 業 結 果 以 上 の よ う に 小 学 校 社 会 科 授 業 を 設 計 し て い く こ と で , 学 習 者 の 理 解 は ど の よ う に 変 化 し て い っ た の か を 述 べ る。 第 4学 年 の 最 初 の 単 元 は「 ̄交 通 事 故 を ふ せ ぐ」 で あ っ た 。 5月 に行 っ た 単 元 テ ス ト で は,[ 図 一11] の よ う な 問 い を 設 定 し た。