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ユーザ参加型の住宅設計システム

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Academic year: 2021

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(1)事例. ユーザ参加型の 住宅設計システム 鈴庄 忠司 日本ユニシス・エクセリューションズ(株) [email protected]. 計を体験することができるが,CAD の導入や操作を施. ■施主が自分の家を自分で設計する仕組み. 主にすべて操作させるのは現状無理である.したがって 煩雑な操作は共有画面を見ている住宅会社 CAD 担当者.  住宅設計は施主の希望する思いがプランとして伝えら. に任せる.住宅会社設計者がプランを作り,その過程を. れず,住宅会社からの提案プランの修正で満足せざるを. 施主の PC で同時に確認してもらう.住宅設計で一番楽. 得ない状況だった.したがって施主のイメージが具現化. しい①部資材の選定②床,壁,天井の素材選定③間取り. されるのにたくさんの図面と仕様書が作成され膨大な時. 作成を施主が行い,自分で設計したという「充実感」を. 間がかかるのが現状である.しかし,インターネット上. 共有できる.インターネットがブロードバンドレベルで. でのコラボレーションツールを活用することでプランの. 普及が進むことにより,一般の施主が自分の好きな時間. イメージを口頭で指示するだけでイメージのプランが構. に,好きな場所でプラン設計が確認できる時代が到来し. 築確認できるようになった.. た.世の中のニーズにマッチしたツールを提供すること により,住宅業界の相互コミュニケーションを支援する. ■システム概要. ことができるのである.  本機能実現のために施主 PC はインターネットに接続.  本システムは住宅会社における業務支援全般をサポー. できる環境でブラウザがあればよく,CAD ソフトのイ. トする.見込み客の登録から施主との会話の中で家族構. ンストールは不要である.. 成や建築時期などを聞きながら,繰り返しプラン提案を 確認,金額的な条件も合意して契約し,確認申請図面を. ■特長. 作る.その後工事担当者が発注,工程計画,現場管理 などをしながら引渡までを実施し,その後アフター,リ. (1)ユーザフレンドリー性. フォーム対策までを一貫処理支援する業務支援システム.  一般ユーザが CAD を使って自分のイメージ通りに住. である(図 -1) .. 宅を作るのは,かなりの習熟度が必要となる.したがっ.  特にインターネットを使って,施主が住宅作りにおい. て具体的な支援策として以下の 2 点を実施.. て一番楽しいプラン作りを会話できるツールを提供する.. 支援①:音声,動画でのマニュアルの準備.. 施主から依頼のあったプランを住宅会社で作成し,そ. 支援②:CAD を使ってアプリケーション共有で CAD 操. の 3 次元プランデータをメール添付ファイルで送付する.. 作支援と音声で住宅設計のノウハウをトータル. ☆1. 施主は自分の PC でビューワ. (図 -2) を無償ダウンロー. ドして 3 次元プランを鳥瞰や外観,内観確認のためプラ ンの中を自由に角度を変え視点を変えながら家族みんな で議論できる環境を提供できる.  さらにユーザ参加型の住宅設計としては,コラボレー ションツール. ☆2. (図 -3)を利用した住宅設計機能を持. つ.施主はインターネット接続の PC 環境だけで住宅設. 716. 45 巻 7 号 情報処理 2004 年 7 月. に支援する方法. ☆1. ビューワ画面:XVL プレーヤと SVG ビューワで構成されてい る.XVL プレーヤ:ラティス・テクノロジー(株)の 3 次元図 形確認ツール.SVG ビューワ:Scalable Vector Graphics の略. 米国 Adobe 社の 2 次元ベクトルデータ確認ツール. ☆2 コラボレーションツール:一例としてコラボテクノロジー (株)のアプリケーション共有ツール.画面と音声で施主と複 数(住宅会社の設計士,営業担当,コーディネータ,CAD オ ペレータなど) 担当者による共有動作環境の提供..

(2) 図 -1 システム概要. 施主が自宅のPCでプランを確認. 図 -2 ビューワ画面. (2)CAD 操作(営業担当) • 条件入力にて類似プランを検索し,一部変更で入力す る. • 設計担当が施主の希望プランを入力し,要望に合わせ て変更する. • アプリケーション共有で,操作支援を仰ぎ完成させる..  ・プラン作成時に,施主とコラボレーション環境で住 宅を設計する.  ・コラボレーションツールのアプリケーション共有機 能を利用し,入力を代行する.  ・アプリケーション共有は,2 人以上の人々が PC 画 面や話す言葉を共有することができ① CAD サポー IPSJ Magazine Vol.45 No.7 July 2004. 717.

(3) コラボレーションツール. 施主が, 自分で外壁の色 を変更 (濃茶→薄茶). 図 -3 コラボレーションツール. トセンタ,②住宅会社営業担当者,③施主等の組合 せで利用できる.音声は電話で施主と複数の担当者 (設計士,住宅営業担当,プランナー,CAD オペレー タなど)が同時に会話をできる環境を提供.  ・動作原理は CAD 導入 PC の画面表示をサーバで取り. たい位置や角度から確認し,空間イメージを理解する ことができる. (4)ユーザ(施主) セルフ検証等 • 完成したプランを間取り,部屋の種類,屋根の形,外 壁の仕上など自分の希望が合っているかを確認できる.. 込み,アプリケーション共有しているすべての PC. • 見積書や仕様書もメーカから入手できるので金額,使. に更新画像を送付する.CAD が導入されていない. 用部材の仕様も確認でき,施主のこだわり点をクリア. PC で操作をすると,そのアクションが CAD 導入 PC. にすることができる.. で再実行される.その結果,画像が再度アプリケー ション共有 PC に配布され,自分の操作が反映される.. ■ユーザ(施主)にとってのメリット.  ・したがって CAD 操作に習熟していない施主が参加 しても,言葉で言うだけで操作を進めることがで.  施主が住宅作りにおいて一番楽しいプラン作りを自宅. き,肝心なアクションは施主にアクションを任せて,. にて実体験できる.. 自分が決めたという「充実感」を持ってもらい,施. • 従来の住宅設計は図面やプレゼンボード,見積,カタ. 主と住宅会社の充実感の共有から信頼関係が深まり,. ログなど,成果物を静的な成果物として見せて施主の. 受注,施工,引渡へとエスカレーションできるので. 意見をもらって繰り返すのが従来のやり方だった.今. ある.. 回のやり方は,関係者全員でプランの検討やノウハウ. • 本システムの部材マスタに必要部材がないときは,本. をその場で会話しながら進めていく,設計コラボレー. システムデータ配信サービスからダウンロードしてそ. ション作業である.住宅作りのノウハウを建築士の助. のままプランの中に配置して図面やプレゼン,見積書 に反映することができる.. ☆3. (3)ユーザ送付(施主) • 完成したプラン(XVL 形式. ☆3. で軽量化したプラン)を. ユーザ(施主)に送付,ビューワを使って確認しても らう. • 施主は 3 次元プランで情報を入手できるため自分の見. 718. 45 巻 7 号 情報処理 2004 年 7 月. XVL:eXtensible Virtual reality description Language の 略. ラ ティス・テクノロジー(株)が開発した CAD やポリゴンなど の 3 次元形状で Web 上で表現するためのファイルフォーマッ トのこと.従来の 3 次元の標準フォーマット (VRML や IGES 等) で問題となっていたファイルサイズが大きくなりすぎる点を 解決している.XVL では精度を維持しながら軽量化を実現し, CAD データのブラウザでの表示や 3D アニメーションのコン テンツ配信を可能にした..

(4) 言を聞きながらプラン作成に活かし,自分のこだわり. アプリケーション共有では,実行速度 4 ∼ 5MB の速. は,コーディネータの助言でリラックスできる空間色. 度が望ましい.. でコーディネートし,家族の楽しい住宅作りを支援で. • 現在の日本では光ケーブルが施設できる場所に制限が. きる環境として今回の仕組みが生きると考える(図 -4,. あり,専用線を引けば別だが気軽にネットワークス. 5,6,7).. ピードを上げるのは難しいこともあり得る.情報イン. • 従来にも,リモートアクセスに代表されるような共有. フラの整備は今後の大きな課題である.. システムはあったが,画面情報のフルスクリーン転送. • 部材データベース標準化. のため,ADSL の環境では上りのキャパシティと下り.  ・部材データベースが共通的に管理され多くの CAD. のキャパシティが異なるため伝送遅延が起こりやすい.. ベンダで共通的に利用できるようになれば,建材. ネットワーク全体で複数メンバが別の物件で同時にア. メーカもデータ提供が楽になり,利用者にとっても. プリケーション共有をしてもネットワークがダメージ. 新製品がすぐ使える環境が整う.現実問題としては. を受けるほどの負荷にはならない.. CAD ベンダの利用するデータ形式が異なり,建材. • 施主は自分の PC で鳥瞰や外観,内観などを 3 次元で自. メーカとしても求められるデータ形式を複数用意し. 由に角度を変え,視点を変えながら家族みんなで議論. なければならず,手間と費用が大きな負担になって. し確認できる.. いる.. • アプリケーション共有機能により,アプリケーション 共有画面の動作と,電話. ☆4.  ・(財)日本住宅・木材技術センターでは,意匠 CAD. での会話により,住宅設. とプレカット CAD のデータ連携時の個別対応の煩. 計を自分で決定したという「充実感」を住宅会社の営. 雑さ解消のため,業界標準データ形式の実証実験. 業担当者と共有でき,お互いの信頼感が増す.. を実施している(林野庁補助金事業).これにより 意匠 CAD メーカもプレカット連動するときのデー. ■住宅会社にとってのメリット. タ形式を標準化でき,データの精密度でプレカット CAD 側の作業負荷に多少のばらつきはあるが,業. • 住宅会社の営業担当はこの仕組みを使うことにより,. 界での標準化は一本化,開発コスト削減,プレカッ. 施主との会話を進めることができる.施主に対して設. トコスト削減につながる.. 計士,プランナーなどがその場で助言することにより.  ・CAD データの各社共通フォーマットの検討やデー. 多くの会話を引き出すのに役立っている.施主は,自. タ形式のコンバージョンツールの整備など住宅にか. 分のイメージは持っているが,表現できない場合が. かわる人たちの協力体制も重要になってきている.. 多い.そこで見識を持った多くの人が同時に参加して,. この問題の解決のためには,強いリーダーシップと. 施主の意見を聞くことで矛盾も明らかになる.たとえ. 業界横断的な協力体制が必要不可欠である.. ば,施主の好みだけで色などを決めると,落ち着かな い配色になってしまうこともあるが,本システムを使. ■今後. うことにより,その場で改善策を具体的に示すことで, 手戻りが激減する..  建材データ配信サービスの準備を進めており,2004. • 決定までのプロセスが早くなることにより,従来は 、. 年度内に建材 CAD データ配信サービスを開始予定.本. 契約まで約 3 カ月位かかっていた契約までのプロセス. 配信サービスはユーザが ASP 利用にてデータ配信サービ. が,本システムを利用することにより,約 1.5 カ月に. スを受けて,部材データをダウンロードでき,そのデー. 短縮された.住宅会社としては人件費削減や処理棟数. タの属性に本システム固有の属性を付加し,本システ. を増やすことにより売上の増加につながる.. ムの CAD データとして利用できる.現在 CAD データは, CAD 導入各社が自社に適合したものを各社が自前で作. ■課題. 成しなければならない.しかし今後は本データ配信サー ビスを利用することで,CAD データメンテナンスの負. ネットワークの重要性 • 今回紹介した機能(①データ配信②アプリケーション 共有③ XVL プラン送信)は,すべてネットワークの活 用なしでは実現できない.しかし,施主の PC 利用環 境は高速のブロードバンドが完備しているところは増 えてはいるが,ほとんどが ADSL の環境が多い.特に. ☆4. 電話(IP 電話,携帯電話,PHS,固定電話など)とアプリケー ション共有の画面を見ながら,複数の人が同時に会話をして 作業(住宅の間取りや色決めを専門家の意見を聞きながら自 分で決定する作業)をスムースに推進する(例:施主と住宅 会社の営業担当,住宅会社のコールセンタメンバなどのコラ ボレーションが想定できる).. IPSJ Magazine Vol.45 No.7 July 2004. 719.

(5) 建材データ現状確認 建材CADデータ現状確認. 変更前 I型キッチン 変更前 内観XVL表示. 図 -4 建材 CAD データ現状確認. 建材データの選択と ダウンロード. キッチンユニットを 希望の色で選択し, CADデータダウンロード. 図 -5 建材 CAD データダウンロード. 荷を軽減し,新商品部材データもタイムリーに活用で. ます需要が多くなると考えている.. きる.  また VR(バーチャルリアリティ)へのモデル連携も現 在検討中である.正確な 3 次元プランを作成しているの. ■情報技術活用での住宅設計の効率化と さらなる展開. で,既存の VR システムへの連携もスムースにでき,実 寸での確認が可能となった.施主は住宅を立てる前に自.  今まで述べたように,新しい住宅設計支援技術によ. 分が設計したプランの間取りや,住宅設備機器の高さや. りツールの操作性向上が実現した.これによりインター. 動線確認などをしたいのである,住宅購入が一生に一度. ネットでプランをすぐに見ることができ,空間の確認,. の仕事といわれている現在,IT 技術を活用した住宅設計. 見積の確認,見積に対する考え方(材,工分離)も確認. の VR シミュレーションは,精度の向上と比例してます. できる.このようにプラン作りにおける空間設計の正確. 720. 45 巻 7 号 情報処理 2004 年 7 月.

(6) CADシステムにシステムキッチンデータ を保存し, システムキッチンの置き換え 準備をする.. 建材CADデータ取り込み. 図 -6 建材 CAD データ取り込み. 選択したシステムキッチンを厨房の中に配置して全体イメージを確認する. 建材CADデータ反映. 変更後 内観XVL表示. 図 -7 建材 CAD データ反映. 性と見積根拠の正確性を両立できる環境がより早くより. 作業の効率化,営業支援の強化など住宅業務全般へ展開. 簡単にできることで「家を建てるのがどう変わるか」を. されると考えている.. 紹介した.  本システムを活用した実績は,十数社の住宅会社にお いて住宅プランを XVL データで作成し営業担当者が施主 に XVL データをメール送信し,施主は自分の PC で確認 している.. 参考文献 1)「住宅資材利用高度化推進事業報告書(CAD/CAM 連携システムの標準 化)」,( 財 ) 日本住宅・木材技術センター (Mar. 2003). 2)「軽量 3D データ形式 XVL の基礎」,NIKKEI DIGITAL ENGINEERING (July 2001). 3)「IP 電話,コスト削減の条件」,日経コンピュータ (2003.3.10). (平成 16 年 4 月 2 日受付).  情報技術はこれまで設計・積算などの限られた分野で しか利用されてこなかったが,今後のビジネスモデルと してコンテンツ提供も含めて展開することにより,設計 IPSJ Magazine Vol.45 No.7 July 2004. 721.

(7)

図 -1  システム概要 施主が自宅のPCでプランを確認 図 -2  ビューワ画面 (2)CAD操作 (営業担当) • 条件入力にて類似プランを検索し,一部変更で入力す る. • 設計担当が施主の希望プランを入力し,要望に合わせ て変更する. • アプリケーション共有で,操作支援を仰ぎ完成させる.  ・プラン作成時に,施主とコラボレーション環境で住宅を設計する. ・コラボレーションツールのアプリケーション共有機能を利用し,入力を代行する. ・アプリケーション共有は,2人以上の人々がPC画面や話す言葉を共有す

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