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「抗弁権の永久性」法理の検討

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Academic year: 2021

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「抗弁権の永久性」法理の検討

著者

山崎 敏彦

27

発行年

1985

(2)

学 位 の 種 類 学 位 ,記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件

第27号

昭和61年3月7日 学 位 規 則 第5条 第2項 誤 当 層 学 位 論 文 題 目 論 文 審 査 委 員 「抗 弁 権 の 永 久 性 」 法 理 の検 討 (主査) 教授 幾 代 通 ・ 教授 廣 中 俊 雄 教授 鈴 木 禄 彌 1

本 論 文 の 構 成 は、 以 下 の と お りで あ る。 序1「論 問 題 の 所 在 、 研 究 の課 題 第 一 章 民 法 典 の 規 定 、 民 法 典 起 草 者 の意 思 第 二 章 学説 の 展 開 と現在 の問 題 状 況 第 三 章 ドイ ツ法 にお け る 「抗 弁 権 の永 久 性 」 法 理 第 四 章 フ ラ ン ズ法 に お け る 「抗 弁 権 の永 久 性 」 法 理 第 五 章 わ が 判 例 にお け る 「抗 弁 権 の永 久 性 」 法 理 第 六 章 解 釈 の 展 望 2.「 序 論 」 にお いて は、 実 体 法 上 の 権 利 が 、 他 か らの請 求 に対 抗 して 現状 の維 持 を 主 張 す る と い う防 禦 的 な 形 態 で 訴 訟 上 現 象 す る場 合 に は、 期 間 の制 限 に 服 しな い とい う、 い わ ゆ る 「抗 弁 権 の 永 久 性 」 の 理 論 につ き、 これ を認 め るべ き か否 か が 本 論 文 の 主 題 で あ る こ と が 提 示 され る。 そ して 、 この 問 題 につ いて の積 極 論 と慎 重 論 とが 対 立 して い る学 説 の状 況 の も とで 乱 問 題 を い ま一 歩 展 開 さぜ るた め に、 慎 重 論 の可 能 性 と、 そ の 具体 的 な つ め の 方 法9

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向 性 とを 探 ろ う とす る提 出者 の 基 本 的姿 勢 が 示 され る。 「第 一 章 」 に お い て は、 消 滅 時 効 の性 格 づ けに お い て 旧 民 法 の 態 度 を 改 め た と思 わ れ る 現 民 法 典 の 諸 規 定 や 、起 草 者 の 意 思 か ら見 て 、 民 法典 は 期 間 制 限 の 点 で は実 体 法 上 の 権 利 が 現 状 変 更 的 に 現 象 す る場 合 と現 状 維持 的 に 現 象 す る場 合 とで 区 別 を す る こ と に は消 極 的 で あ り、 少 な くと も、積 極 的 で あ る と見 る こ とは 困 難 で あ る、 との 立 法 史 的 考 察 が 展 開 さ れ る。 「第 二 章 」 に お い て 、 昭 和10年 前 後 以 降 、 「抗 弁権 の 永 久 性 」 理 論 を 一 般 的 に肯 定 す べ き こ とを 説 く積 極 論 が現 わ れ 、 次 第 に有 力 とな り、 支 持 者 を 増 や して き た状 況 が 概 観 され る。 と同 時 に 、 昭和40年 頃 以 後 に お いて は、 上 記 積 極 論 に 対 して 、 個 々の 抗 弁 権 の 性 質 と 当該 期 間制 限 の設 け られ た 主 旨 とを考 慮 して 個 別 的 に 期 間 経 過 後 の 抗 弁 権 行 使 の 当 否 を 検 討 す べ き で あ る との慎 重 論 が 出 現 し、 これ ま た か な り有 力 な 地 歩 と支 持 者 を 得 て い る こ と が跡 づ け られ る。 続 い て 、提 出者 は、 わ が 国 に お け る従 来 の 論者 に よ って参 考 と され る こ との 多 か っ た ド イ ツお よ び フ ラ ンス に お け る法 律 の規 定 、 判 例 お よ び学 説 の 状 況 を 検 討 し紹 介 す る。 す な わ ち 、 「第 三 章 」 で は 、 ドイ ツ に お け る普 通 法 学 時代 か ら民 法 典 制 定 を 経 て 最 近 ま で の学 説 の状 況 が 紹 介 され 、結 論 と して 、 ドイ ッに お い て は 、 一般 には 、 期 間 の 付 され て い る実 体 法 上 の権 利 が 防禦 的 な形 態 で 現 象 す る場 合 に は 当 該期 間 の 制 限 に服 しな い と は さ れ て い な い こ と(例 え ば、 遺 留 分 減殺 請 求 権 、 錯 誤 に 基 づ く取 消 権 の場 合)、 そ して 、 か か る取 扱 いが 妥 当性 を 欠 くと考 え られ る場 合 に例 外 的 に 明 文 の 規 定 によ って 、 給 付 拒 絶 権 た る抗 弁 権 の永 久 性 が 認 め られ る もの、 と考 え られて い る こ と、 さ らに 、 同 じ く法 律 行 為 の取 消権 で あ って も、 取 消 原 因 の違 い に よ り、 抗 弁 権 の永 久性 の 点 で の 扱 い が 異 な る場 合 もあ る こと、 な どが 明 らか に され る。 「第 四章 」 に お いて は、 フ ラ ンス に お け る判 例 と学 説 の展 開 が 紹 介 され る。 す な わ ち、 判 例 は、 民 法1304条 の 無効 訴権 に付 せ られ た期 間 制 限 の場 合 な ど、 期 間制 限 が 消 滅 時 効 で あ る場 合 につ いて は一 般 に 抗弁 権 の 永 久 性 を 認 め、 期 間制 限が 予 定 期 間(除 斥 期 間)で あ る場 合 に っ いて は抗 弁 権 の 永久 性 を 認 め て い な い こと が紹 介 され る。一 方 、学 説 は 、19世 紀 に あ って は積 極 論 ・消極 論 の激 しい対 立 を 見 せ たが 、 今 世 紀 に 入 って か らは対 立 の 激 し さ は衰 え、 大 勢 は ほぼ 判例 支持 に固 ま っ た と い い得 る こ と、 しか し消 滅 時効 の場 合 に つ い て は、 な お判 例 理 論 を 批判 す る もの もあ り、 消 滅 時 効 の場 合 に 抗弁 権 の 永 久 性 の 法 理 が学 説 に よ って一 致 して 明 示 的 に承 認 され て い る の は、 ほ ぼ無 効 訴 権 の 場 合 に限 られ る こ と、 な ど が指 摘 され る。 「第 五 章 」 に お いて は、 この 問題 に関 す る わが 国 の裁 判 例 が 詳 細 に検 討 され る 。 そ して 、 法10

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提 出 者 は 、 わが 判 例 は、 実体 法上 の権 利 が 現 状 変 更 的 な い し攻 撃 的 に主 張 され る場 合 と現 状 維 持 的 な い し防禦 的 に 主 張 され る場 合 とを 自覚 的 に区 別 して 扱 って は お らず 、 後 者 の場 合 で あ って も、 権 利 の抗 弁 的 主 張 を 期 間 制 限 を 理 由 に却 け るの が 一 般 で あ る こと、 と 同時 に 、 期 間経 過が 争 点 とな った 事件 に お い て 、 抗 弁 権 の 永 久 性 と は異 な る何 らか の 法 的 構 成 を も って、 権 利 の現 状 維 持 的 。防禦 的 主 張 を 結 果 的 に 承 認 した裁 判 例 もあ る こと、 を 指 摘 す る。 「第 六章 」 に お い て は 、前5章 で の 考 察 を ふ ま え て の 総 括 と して 、 抗 弁 権 の永 久 性 の法 理 に つ い て の積 極 論 の着 想 と 視点 とを 基本 的 に は 評 価 しつ っ も、 この法 理 の 妥 当 根 拠 ・存 在 理 由、 この法 理 の妥 当範 囲 ・適 用 要 件 な ど を め ぐ って 、 な お 綿 密 な吟 味 を 必 要 とす べ き 、 い くつ か の点 が あ る こと を論 述 す る。 そ して 、 日本 民 法 上 にお いて 抗 弁 的 主 張 の 期 間 鯛 限 が 問題 と な る取 消 権i、担 保 責 任 を 追 及 す る権利 な ど、 具 体 的 な 権 利 ご と に、 期 間 制 限 か ら の 自 由 を認 め るべ き か否 か、 認 め るべ き 場 合 の 要件 な ど にっ いて の 提 出者 の 解 釈 論 を 提 示 す る。'

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本 論 文 は 、 「抗 弁 権 の 永 久 性 」 の法 理 に つ い て の 最 初 の 総 合 的 ・本 格 的 な研 究 で あ る と い う こ とが で き る。 特 に、 わ が 国 で この法 理 の承 認 が 提 唱 され る に あ た り、 また この 法 理 の 承 認 の 問題 性 が 意 識 され る に あ た って も、 つ ね に参 考 と され た ドイ ッ お よ び フ ラ ンスの 立 法 、 判 例 お よ び学 説 に つ いて 、 お び た だ しい 量 の 諸 文 献 を 渉 猟 して 丹 念 に検 証 し、 本 問 題 に関 し て の この両 国 に お け る理 論 状 況 を詳 細 か つ 正 確 に 紹 介 した こ と は、 高 く評 価 され るべ き点 で あ る。 す な わ ち、 この両 国 法 に お い て は 抗弁 権 の 永 久 性 の 理 論 が さ した る問 題 もな く一 般 的 に承 認 されて い る か の よ うな、 や や 大 づ か み な 従 来 の わ が 学 界 で の理 解 に対 して 、 よ り精 密 な比 較 法 的知 見 を 提 示 した もの で あ って 、学 界 に お け る本 問 題 を め ぐる論 議 を 一 段 と深 化 し 前 進 させ た もので あ る。 ま た、 本 論 文 は 、権 利 主 張 の 期 間 制 限 につ いて の わ が 民 法 典 の 法 構 造 の も とで の、 具 体 的 な解 釈 論 を も提 示 して い る。 そ して 、 そ こで の 結 論 は、 傾 向 と して は 前 述 の慎 重 論 に分 類 され るべ き もの で あ り、 そ れ は 上 記 の よ う な比 較 法 的 研 究 を ふ まえ て い る だ け に 、 そ れ と して 強 い説 得 力 を もつ もの と思 わ れ 、 本 論 文 は全 体 と して 、 学 界 に対 し多, 大 の 寄与 を す る もの と認 め られ る。 以 上 に よ って、 本 論 文 提 出 者 は 法 学博 士 の 学 位 を 授 与 され る に値 す る もの と認 め る。 法11

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