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大動脈疾患におけるコンピューター数値流体力学

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Academic year: 2021

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(1)東北大医保健学科紀要 28 (1)大動脈疾患におけるコンピューター数値流体力学 : 5∼13,2019. 総 説. 大動脈疾患におけるコンピューター数値流体力学 植 田 琢 也1,水 藤   寛2 東北大学大学院医学系研究科 保健学専攻 画像診断学分野. 1. 東北大学材料科学高等研究所 数学連携グループ. 2. Computational Fluid Dynamics Modeling in Aortic Diseases Takuya UEDA, MD. PhD.1 and Hiroshi SUITO, PhD.2 1. Department of Clinical Imaging, Tohoku University Graduate School of Medicine 2. Advanced Institute for Materials Research, Tohoku University. Key words : Cardiovascular disease, Aorta, Aneurysm, Computational fluid dynamics.   In recent years, computational fluid dynamics(CFD)has been attracted great attention in cardiovascular medicine. In addition to the traditional assessment based on the anatomical information, CFD-based approach provides an opportunity to add novel insights about vascular pathophysiology by understanding relationship between structure and biomechanical forces in flow dynamics. As CFD modeling is being widely used in clinical situation, it is very important for clinicians to understand the basic principles, benefits and limitations, and pitfalls of CFD modeling. In this paper, we present overview of CFD modeling and its application to aortic diseases, mainly to aortic aneurysms.. 緒   言 コ ン ピ ュ ー タ ー 数 値 流 体 力 学(computational fluid dynamics : CFD)は,液体の流れや熱伝導な どに関連した様々な現象を,コンピューター上の 数値解析の手法にてシミュレーションする機械工 学分野の手法のひとつである。近年では,コン ピューターパワーの急速な発展に伴って様々な複 雑系の解析に用いられ,産業分野にも応用されて いる。CFD モデリングでは,流体の流れを偏微 分方程式をもって記載し,構造と流体の関係性に ついて解析する。医療画像とコンピューター数値 計算法という二つの分野の発展と相まって,近代 では,CFD の臨床医療への応用が急速に進んで いる。心臓血管領域は CFD の臨床応用が最も進. む分野である。 CFD は本来流体力学を専門とする数学者や工 学者によって行われるものであるが,これほどま でに CFD が臨床医療に用いられるようになった 現在,医療者にとっても単にそれを道具としてた だ使用するのみでは無く,基本的な概念,計算方 法の段階,手法が抱える問題点やピットフォール について熟知することが重要であり,CFD の臨 床応用による恩恵を最大限に享受することが可能 となる。 本稿では,大動脈瘤に対する CFD モデリング とその臨床応用についての概要をのべる。. ─  ─ 5. CFD モデリングの手順 CFD モデリングは偏微分方程式により,流体.

(2) 植 田 琢 也・水 藤   寛 表 1. CFD モデリングの手順 1. 解析領域の離散化 2. 流体特性の決定 3. 境界条件の決定 4. 支配方程式による数値解法 5. 後処理. のシミュレーションを行うが,モデリングに際し ては以下のようないくつかのステップに分割され る(表 1) 。各段階を理解することが重要である。 1. 解析領域の離散化 CFD モデリングの第一段階は,流体現象をシ ミュレーションする関心領域の構造を決定するこ とである。撮影された医療画像に関心領域の構造 の境界を設定し,計算を行うための構造を抽出す る。構造の抽出においては,CT,MRI,超音波, 血管造影など様々な医療画像を用いることができ る。空間の離散化は,解析する領域の幾何学的形 状を有限個の区画(elements, cells)に分割し格 子化する。時間の離散化は,連続する時間を有限 個の時間区部へと分割する1,2)。 CFD モデリングのコンピューター解析におけ る正確性は,計算領域をいかに正確に抽出できる かということにかかっている。よって医用画像で は,その後のセグメンテーションおよびデータ抽 出を可能にするのに十分な解像度を提供する必要 がある。CFD モデリングに費やされる時間のほ とんどは,この幾何学的抽出のプロセスに費やさ れる1,3)。心臓血管系の CFD モデリングにおいて は,現在のイメージングツールの解像度は依然と して低いという問題点を有しており,また他の臓 器と異なり心臓周期によって幾何学形状が変形す るという点で時間的変化が大きく,CFD モデリ ングにおいて様々な制限がある1,3)。 一方,CFD のコンピューター計算の必要な時 間は,グリッドの細かさに影響し,計算コストと 密接に関係している。従来は詳細な形態データ処 理に必要な膨大な量のコンピューター解析のコス ト が 問 題 と な っ て い た が, 最 近 の 高 性 能 コ ン ピューティングシステムの発展に伴いあまり問題 とならなくなってきており,より詳細な評価のた. め,より詳細な形態データが用いられるように なっている。 2. 流体特性の決定 心臓血管系の CFD シミュレーションを行うの に先立ち,基本的な血流の流体特性を明確に定義 する必要がある。ほとんどの非生物学的流体は, ニュートン流体に近似し,一定の粘性を有してい る。一方,血漿,血球および他の血性成分からな る血液は,非ニュートンとしての血液作用を引き 起こす傾向があり,血液粘性の特性は流れのせん 断速度に伴って変化する1,2)。従って,扱う血流 現象のせん断速度の範囲に応じて,正しい粘度モ デルの数式を選択する必要がある。大動脈および 大血管のようなせん断速度が十分に高い場合,血 流における粘性は低くニュートン流体としての挙 動を示す。しかしながら,小さな血管では流体の 非ニュートン性の挙動は無視できなくなる1,2)。血 管壁に沿った血管の速度の変化は,壁せん断応力 に比例する。流れの機械的特性はポアズイユの法 則モデルによって記述することができ,せん断応 力と粘性に伴うひずみ成分の直線関係の勾配とし て定義される1,2)。 3. 境界条件の決定 全身の心臓血管系をシミュレーションすること は不可能であるため,CFD 解析を行う領域は少 なくとも 1 つの流れの入口と 1 つの流れの出口を 有することになる。よって CFD モデリングを行 うために,流れの境界条件,すなわち入口/出口 境界における生理学的条件を特定しなければなら ない1,2)。境界条件は,血圧,血流速度,および 温度などの,経時的に変化する生理学的パラメー タのセットである。境界条件の規定は,患者固有 のデータ,母集団データ,物理モデルまたは仮定 に基づき決定される1 3)。 4. 支配方程式による数値解法 上述の 1 ∼ 3 の前処理ステップの後,数値解法 による CFD モデリングを行う。CFD 数値解法は, Navier-Stokes 方程式および連続の式を用いるの が一般的である。Navier-Stokes 方程式は流体の 運 動 を 記 述 す る 非 線 型 偏 微 分 方 程 式 で あ り, ニュートン力学における運動の第 2 法則に相当. ─  ─ 6. -.

(3) 大動脈疾患におけるコンピューター数値流体力学. し,運動量の流れの保存則を数理的に表現したも のである。数値解法には,有限差分法,有限要素 法,有限体積法,スペクトル法などがある1,2)。通 常,心臓血管系の CFD で用いられる数値解法は, 有限体積法である1,3)。典型的な 3D 心臓血管シ ミュレーションでは,数百万の非線形偏微分方程 式がすべての時間ステップで同時に,そしてすべ ての要素にわたって繰り返して計算される。CFD モデリングによる数値解法の結果として,各時間 ステップにおけるすべての要素における圧力およ び速度場などの流れのパラメータが計算される。 5. 後処理 コンピューター内で実施された CFD モデリン グの数値解法の結果は,メモリー内に記憶された 数値の羅列であり,これを人が直接評価すること はできない。また,数値解法では多くの CFD パ ラメータが求められるが,疾患の病理組織学的状 態に関連する重要なパラメータは疾患や病態に よって異なり,医療シミュレーションにおいては これらパラメータの見極めが重要となる。これら の関連するデータを抽出して,人が理解できるた めの視覚化するために,後処理が必要であり,結 果を視覚化することによって研究者はシミュレー ションの結果を容易に理解することが可能とな る。多くの視覚化ツールが開発されており,状況 (表 2) 。 に応じた使い分けが可能である1,3) 心血管病変に関連する CFD モデリングの様々 なパラメータについては,後述する。 大動脈瘤の病態における CFD 解析の位置づけ 大動脈瘤に対する治療介入に際しては,長年に わたり,主に大動脈のサイズを基準とした評価が 行われていた。多くの大動脈瘤の治療ガイドライ 表 2. 様々な CFD 結果の可視化ツール domain geometry and grid display vector plots line and shaded contour plots two-dimensional and three-dimensional surface plots particle tracking color postscript outputs. ンは,最大の大動脈直径(以後,瘤径)および臨 床的な背景リスク因子を,介入のタイミングの決 定のための評価項目に提唱している4)。しかし一 方多くの研究において,小動脈動脈瘤が最大短径 の 55 mm に達する前であっても,破裂に至るケー スがある事が示唆されている5)。したがって,瘤 径以外の動脈瘤破裂および進行のリスクを予測で きる適切な因子が設定できれば,治療介入のタイ ミングをより適切に提供することが可能になり, 現在の治療戦略がより有効なものとなる。また不 要な介入を避けることで,医療経済・人員配置の 効率化という課題の是正につながり,適正な医療 の提供が可能となると考えられる。 心血管医学における CFD モデリングの目的は, 解剖学的情報(血管形状),局所血行力学(血流), 血管壁に対する応力,流体と構造の相互作用(fluid-structure interaction : FSI)を解析し,動脈硬化・ 動脈瘤・動脈解離などの病態との相関を理解する ことにある(図 1)。いくつかのコホート研究に おいて,動脈瘤の発達に影響する生体力学的効果 のなかで,血行力学的な力が重要な役割を担って いることが示唆されている6)。一般に in-vivo で の血行動態評価は,測定自体が困難で侵襲的であ るため,将来の動脈瘤破裂のリスクを予測するた めに,非侵襲的な CFD モデリングを用いた血行 動態の評価にしだいに関心が集まっている。 大動脈の病態に関連する血行動態パラメータ 臨床的および実験的観察から,様々な生体力学 的環境が大動脈瘤の進行に影響していることが明 らかになっている7,8)。図 2 に,大動脈の病態の 生体力学的環境に関連した種々の血行力学的応力 を示す。 Wall shear stress(WSS): ずり応力 ずり応力(Wall shear stress : WSS)は CFD モ デリングのキーとなる要素であり,血管の表面上 を流れる血液が内皮に及ぼす接線方向の力であ る。拍動性血流と大動脈構造との相互作用によっ て,血管壁には時間的・空間的に複雑に変化する (図 3)。この血行力 血行力学の状態が発生する9) 学の状態変化による物理的刺激に反応した血管内. ─  ─ 7.

(4) 植 田 琢 也・水 藤   寛. 図 1. CFD modeling : interaction between morphology, flow, and various biomechanical forces. CFD modeling depicts interaction between vascular morphology and fluid - structure interaction to understand pathophysiology of aortic disease. Difference of morphology(shape of the aorta)generates various different blood flow pattern(flow dynamics). Due to the fluid-structure interaction(FSI), vessel lumen is exposed laminar wall shear stress during the cardiac cycle. Also, pulsatile flow gives pressure to the wall and the vessels are distended during the cardiac cycle. Such continuous biomechanical forces provoke pathophysiological condition of aortic disease such as aneurysm. Aorta may cause rupture when maximum distention force on the vessel wall exceeds tensile strength of the wall. Reproduced from ref. 1 with permission.. 図 2. Various hemodynamic forces of blood flow in the aorta Schematic illustration of various hemodynamic forces of blood flow in the aorta. Through FSI, pulsatile aortic flow generates wall shear stress(WSS) (the tangential force exerted by moving blood along the vessel wall)and tensile stress(the perpendicular forces acting on the vascular wall)on the aortic wall during the cardiac cycle. Reproduced from ref. 1 with permission. ─  ─ 8.

(5) 大動脈疾患におけるコンピューター数値流体力学. 図 3. Time course change of flow vector and WSS Time course change of flow vector of blood flow(upper row)and WSS(lower row) . Note that the pulsatile nature of blood flow produces complicated temporal and spatial WSS patterns. Reproduced from ref. 1 with permission.. 皮細胞の応答によって,血管壁の恒常性(ホメオ スタシス)に変化が生じる。一定の層流を保った 接線方向の WSS による刺激は,血管内皮を保護 する方向に働く10)。一方で,WSS の変動によっ て生化学的シグナルの変化が生じることで,大動 脈瘤11) および冠状動脈12) を含むいくつかの心臓 血管疾患の発生や進行が促進されることが知られ ている。 様々な WSS や OSI を評価する上でのピット フォール WSS は心血管疾患で最も研究されている血行 力学的パラメータの 1 つだが,研究で使用されて いる CFD モデリングでの WSS の扱いは,論文に より異なっており,その解釈に注意を払う必要が ある。心周期中に拍動する血流は,複雑な時間的 および空間的 WSS パターンを示すため,心臓血 管 と 関 連 す る 様 々 な WSS パ ラ メ ー タ(WSS at peak systole ; time-averaged WSS ; time-averaged spatial WSS gradient)が観察される。また,多く の研究では WSS は大きさ(絶対値)のみが評価 されており,WSS のベクトル的挙動にはあまり 注意が払われていない13)。例えば,WSS の大き さそのものではなく,流れの方向に垂直な横方向 の WSS が,有意なパラメータであることがいく. つかの論文で示されている14)。よって,方向性を 持ったベクトル値であり,これが時間と共に方向 をかえるという WSS の本質を考えると, 「各時点 での WSS の大きさを時間的に平均したもの(the time-average of magnitude of WSS)」 と「 時 間 的 に 平 均 し た WSS の 大 き さ(the magnitude of 」が異なるという点に注意し time-averaged WSS) なければならない。両者の差は,WSS ベクトル の方向が複雑に変化する流れにおいて特に顕著に なる。 Oscillatory Shear Index(OSI): 振動剪断指数 振動剪断指数(Oscillatory shear index : OSI)は, WSS を評価するための別の重要な血行力学的パ ラメータである。血流の拍動に伴い血流が血管壁 に及ぼす壁面せん断の方向が空間的に変化する割 合を示す指標であり,心臓周期中の血流の基本的 な流れの方向に対して,どれだけ WSS の方向が 変動したかという割合を定量化したものである (図 4) 。例えば,絶え間なくながれが変動する血 流は,平均 WSS が低いにもかかわらず高い OSI を示す。 WSS の変動は血管壁の恒常性を乱し, 大動脈病変を誘発する可能性がある11)。 Vessel wall strain and distensibility 最近,いくつかの研究者によって,破裂のリス. ─  ─ 9.

(6) 植 田 琢 也・水 藤   寛. ための三次元画像によるアプローチを提案してお り, 様 々 な 画 像 化 モ ダ リ テ ィ に 適 用 さ れ て い る18)。Stevens らは,フロー関連の生体力学的特 性の変化がいかに壁在応力による壁の歪みに影響 するか,という点について CFD の手法を検討し ている19)。さらなる臨床研究が必要であるが,血 管壁の歪みおよび壁の伸張性に関するこの仮説 は,動脈瘤破裂の正確なリスクを予測するための より多くの洞察を加えるであろう。図 4 に流れ, WSS,OSI,および血管壁に対する圧力(膨張力) の間の相互関係を示す。 大動脈瘤発生における胸部・腹部の 血行動態のちがい. 図 4. Inter-relationship between flow, time-averaged WSS, OSI, and pressure on the vessel wall(distention force).    Inter- relationship between flow vector at peak systolic phase, time - averaged WSS, OSI, and pressure on the vessel wall(distention force) .  The interactions with pulsatile blood flow and arterial structures generate complex hemodynamic forces on the vessel wall with fluid-structure interaction. Note that WSS is high and OSI is low in the distal aortic arch due to constant laminar blood flow, while WSS is low and OSI is high in the thoraco- abdominal junction because of the fluctuation of flow direction and WSS vector during the cardiac cycle. Reproduced from ref. 1 with permission.. クを予測するために WSS 以外の他の生体力学的 パラメータが提唱されている。 Di Martino らは, 組織の剛性(硬さ)は壁強度と逆相関し,低い剛 性を示す血管においてより動脈瘤破裂の可能性が 高いことが示した15)。Wilson らは,拡張期の圧力 が高いと言うだけで無く,経過観察経過における 動脈の拡張性(拡張しやすさ)の変化が,破裂の リスクと相関することを示唆した16)。いくつかの 超音波検査では,腹部大動脈瘤全体の局所的な壁 の歪みをインビボで評価している17)。 Satriano ら は,インビボで大動脈壁の歪みをマッピングする. 大動脈瘤の発生について,部位毎の発生率がな ぜ変わるのかということについて,あまり研究が 進んでいない。同じ直径を示していたとしても, 大動脈瘤発生のリスクは部位によって異なる。通 常,腹部大動脈(特に腎動脈下)は,胸部大動脈 とくらべて動脈瘤を生じやすい。同じ径を有して いたとしても,大動脈局所毎に血行動態が異なる という事実が,胸部・腹部によって大動脈の発生 頻度が異なるという挙動の違いを説明するひとつ の要因となりうる7)。 また,構造上の大動脈壁の構築においても大動 脈の領域毎に違いが見られる。胸部から腹部へと 移行するにつれ,エラスチンのコラーゲンの割合 は,次第にエラスチンが減少しコラーゲン優位と なり,このために弾性と壁収縮性が減少する。 腹部大動脈の血流においては,大動脈分岐部お よび末梢側の動脈から反射してきた逆行性脈波の 存在が知られている。この反射波は遠位大動脈の 弾性力の低下と相まって血管内の圧力を増大させ るので,大動脈壁のテンションが増大し,動脈瘤 の発生を増長していると示唆されている21)。 遠位大動脈において優位に大動脈瘤が発生する という病態生理に最も関連する要因のひとつは, 胸部大動脈と腹部大動脈において WSS の挙動が 著しく異なることが挙げられる。心臓近位の胸部 大動脈では,流れは心周期全体にわたって順行性 で あ り, 血 管 的 に は 恒 常 的 に 順 行 性 で 層 状 の. ─  ─ 10.

(7) 大動脈疾患におけるコンピューター数値流体力学. 図 5. Different patterns of anatomical geometry, flow, and various biomechanical forces. CFD modeling simulates time-averaged WSS and OSI in patients who developed aneurysm on the aortic arch(a), descending aorta(b), and abdominal aorta(c). To simulate the shape of the aorta before showing elongation and dilatation(virtual pre-pathological condition), we generate aortic shape with uniform diameter and a coarse-grained curve by decreasing the number of control points in Non-Uniform Rational BSpline(NURBS)representation(24): original shape(right)and coarse-grained shapes(left) .  a) CFD simulation in a patient with aneurysm on the aortic arch showed high OSI on the lessor cuvature of the aortic arch both in original shape and coarse-gained shape.  b) CFD simulation in a patient with aneurysm on the descending aorta showed high OSI on the descending aorta and thoraco-abdominal junction in the coarse-gained shape.  c) CFD simulation in a patient with abdominal aneurysm showed high OSI on the thoraco-abdominal junction and abdominal aorta in the coarse-gained shape.. WSS がかかっている7)。既述のように,一定の層 流を示す正常範囲内の大きさの WSS は,血管内 皮の恒常性を保つのに重要である10)。胸部大動脈 においては,流れは一方向の層流であるため,時 間平均した WSS(総和)は高いにもかかわらず, WSS の変動の指標である OSI は低くなる。これ と対照的に,腹部大動脈においては,心周期中の 収縮末期および拡張期に胸部大動脈では観察され ない渦形成を伴う複数の二次逆流が観察され る7,12,22)。その結果,腹部大動脈では,平均 WSS は低いにもかかわらず,OSI は高い値を示すこと になる。血行力学的影響におけるこれらの明確な 局所的な差は,胸部および腹部大動脈の間で動脈 瘤発生のリスクが異なることを説明しうる。 患者間において動脈瘤形成の部位には個人差が 見られる。多くの患者は腎下部大動脈において動 脈瘤を形成するが,一方で,遠位大動脈弓上に動 脈瘤を形成する症例,胸腹移行部に動脈瘤を形成 する患者もみられるなど,大動脈瘤発生部位には 個人差がある。大動脈の形状の違いによって,患. 者固有の CFD パターンと FSI が観察され,これ が大動脈瘤発生の個人差を生み出す要因と考えら れる23)。このように CFD モデリングを用いるこ とで,患者間の動脈瘤形成の位置が異なると言う ことを理解するのに役立つ(図 5) 。 CFD モデリングのピットフォール このように CFD モデリングの臨床応用は,視 覚的にも魅力的な有用な手法ではある物の,CFD モデリングのデータそのものを盲目的に信じる前 にまずしっかりと検証を行わなければならない。 モデリングの精度は,どのようにモデルを構築し たかという手法の選択と入力データそのものの精 度によって決定される。CFD モデリングは,解 析領域の離散化の精度・境界条件の設定・流体特 性・コンピューター計算精度の設定によって,大 きく妥当性が左右される24)。CFD モデリングで は計算に当たって多くの仮定と単純化が行われて おり,その計算結果を臨床的に評価する前にその 妥当性をしっかりと評価する必要がある24)。. ─  ─ 11.

(8) 植 田 琢 也・水 藤   寛. 特に医師は CFD モデリングを盲目的に信じる のではなく,CFD 固有の限界とピットフォール を理解した上で,計算結果について医学的な観点 から検証し,臨床的な妥当性をしっかりと評価し ていく必要がある3)。. 294 (3), C659-C661, 2008 7) Dua, M.M., Dalman, R.L. : Hemodynamic Influences on Abdominal Aortic Aneurysm Disease : Application of Biomechanics to Aneurysm Pathophysiology, Vascul. Pharmacol., 53(1-2), 11-21, 2010 8) Wang, Y., Joannic, D., Delassus, P., Lalande, A., Juillion, P., Fontaine, J.-F. : Comparison of the strain field of ab-. 結   語. dominal aortic aneurysm measured by magnetic reso-. CFD モデリングの進歩によって,心血管疾患 の評価に,血管血行動態を理解するという新たな 視点からの病態理解が可能になった。CFD モデ リングによる患者毎の血行動態の評価によって, 血管の形態,血行動態,血流の血管壁への相互作 用を包括的にとらえることができる。大動脈の各 種病態における生体力学的解析は, 大動脈瘤発生・ 破裂のリスクを予測し,適切な治療を決定する有 用な臨床ツールとなる可能性がある。. nance imaging and stereovision : a feasibility study for prediction of the risk of rupture of aortic abdominal aneurysm, J. Biomech., 48 (6), 1158-1164, 2015 9) Kwak, B.R., Bäck, M., Bochaton-Piallat, M.-L., et al. : Biomechanical factors in atherosclerosis : mechanisms and clinical implications, Eur. Heart J., 35 (43) , 30133020, 2014 10) Wasserman, S.M., Topper, J.N. : Adaptation of the endothelium to fluid flow : in vitro analyses of gene expression and in vivo implications, Vasc. Med. Lond. Engl., 9(1), 35-45, 2004 11) Biasetti, J., Hussain, F., Gasser, T.C. : Blood flow and. 謝   辞. coherent vortices in the normal and aneurysmatic. 我々の CFD モデリングの研究は,JST, CREST, JPMJCR15D1, Japan により支援を受けている。. aortas : a fluid dynamical approach to intra - luminal thrombus formation, J. R. Soc. Interface, 8(63), 14491461, 2011 12) Chatzizisis, Y.S., Coskun, A.U., Jonas, M., Edelman,. 文   献. E.R., Feldman, C.L., Stone, P.H. : Role of endothelial. 1) Ueda, T., Suito, H., Ota, H., Takase, K. : Computational Fluid Dynamics Modeling in Aortic Diseases, Cardiovasc. Imaging Asia, 2(2), 58-64, 2018 2) Wong, K.K.L., Wang, D., Ko, J.K.L., Mazumdar, J., Le, T.-T., Ghista, D. : Computational medical imaging and hemodynamics framework for functional analysis and assessment of cardiovascular structures, Biomed. Eng. Online, 16 (1), 35, 2017 3) Lee, B.-K. : Computational Fluid Dynamics in Cardiovascular Disease, Korean Circ. J., 41(8), 423, 2011 4) Moll, F.L., Powell, J.T., Fraedrich, G., et al. : Management of abdominal aortic aneurysms clinical practice guidelines of the European society for vascular surgery, Eur. J. Vasc. Endovasc. Surg. Off. J. Eur. Soc. Vasc. Surg., 41 Suppl 1, S1-S58, 2011 5) Elefteriades, J.A., Farkas, E.A. : Thoracic aortic aneurysm clinically pertinent controversies and uncertainties, J. Am. Coll. Cardiol., 55 (9), 841-857, 2010 6) Hsiai, T.K. : Mechanosignal transduction coupling between endothelial and smooth muscle cells : role of hemodynamic forces, Am. J. Physiol.- Cell Physiol.,. shear stress in the natural history of coronary atherosclerosis and vascular remodeling : molecular, cellular, and vascular behavior, J. Am. Coll. Cardiol., 49(25), 2379-2393, 2007 13) Arzani, A., Shadden, S.C. : Characterizations and Correlations of Wall Shear Stress in Aneurysmal Flow, J. Biomech. Eng., 138 (1), 0145031-01450310, 2016 14) Peiffer, V., Sherwin, S.J., Weinberg, P.D. : Computation in the rabbit aorta of a new metric-the transverse wall shear stress-to quantify the multidirectional character of disturbed blood flow, J. Biomech., 46(15) , 26512658, 2013 15) Di Martino, E.S., Bohra, A., Vande Geest, J.P., Gupta, N., Makaroun, M.S., Vorp, D.A. : Biomechanical properties of ruptured versus electively repaired abdominal aortic aneurysm wall tissue, J. Vasc. Surg., 43 (3) , 570576, 2006 discussion 576 16) Wilson, K., Bradbury, A., Whyman, M., et al. : Rela-. ─  ─ 12. tionship between abdominal aortic aneurysm wall compliance and clinical outcome : a preliminary analysis, Eur. J. Vasc. Endovasc. Surg. Off. J. Eur. Soc. Vasc..

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図 1. CFD modeling : interaction between morphology, flow, and various biomechanical forces

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