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<症例報告>胃癌の転移による所属リンパ節リンパ球亜群の変化 利用統計を見る

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胃癌の転移による所属リンパ節リンパ球亜群の変化

小河原 忠 彦・酒 井 啓 介1)・関 川 敬 義・松 本 由 朗         山梨医科大学第一外科,1)東京大学医学部第一外科 抄録:胃癌所属リンパ節における転移の成立に伴う免疫応答を解明する目的で,所属リンパ節 (RLN)のリンパ球亜群の構成比率変化を80w cytometerで検索した。対象は胃癌手術25例である。 染色はCD3, CD4XCD25, CD4XHLA−DR, CD4×4B4, CD4×2H4, CD8XCD25, CD8XHLA−DR, CD8XCDl!b, Lue7XCD16の各モノクロナール抗体を用いた。  結果 1)転移陽性RLNでは転移陰性RLNと比べCD8+CDllb一細胞(cytotoxic T cell:Tc)が 約4%低下し,Brlght CD8÷CDllb牽細胞(suppressor T cell:Ts)が約1%上昇したことから丁細 胞系の主要防御能の低下が示唆されたが,natural killer:NK細胞(Dull CD8+CDUb+細胞, Leu7+and/or CD16+細胞)比率は上昇していた。  2)RLN内の転移癌細胞:量の増加に従い, Tc比率は負の相関を示して低下し,反対にNK比率 は正の相関を示して上昇が認められた。しかしTs比率は相関がなかった。  3)転移成立にともなうリンパ蝋様熱間の構成比率の変化について関連を検討してみると,Ts比 率とNK比率は互いに正の相関をもって増加していた。また両者はいずれもCD4+, CD8+細胞の 活性化比率,1レ2receptor発現率の各々と正の相関を示した。  以上から,胃所属リンパ節に転移が成立するとTc比率の低下, Ts比率の上昇がみられ腫瘍防 御能の低下を思わせるが,Ts比率の上昇は転移癌細胞量と相関せず, NK比率の上昇などの正の 免疫応答に対する負の免疫応答と考えられた。 キーワード 胃癌,胃癌所属リンパ節,モノクロナール抗体,two color飾w cytometry,リンパ 節リンパ球亜情 緒  言  胃癌に対する免疫防御機構としての胃所属リ ンパ節の役割を検索するために,How cyto− meterを用いてリンパ球亜群の構成比率を解析 した報告が散見される。これらの報告によると, 胃癌の所属リンパ節は転移のないものは非担癌 症例のリンパ節リンパ球亜群の構成比率と比較 して差はなく癌に対する防御機能を有している とみられるが,転移陽性のリンパ節ではheL per T cellの減少, suppressor T cellの増加が みられ,免疫防御能が低下していると推測され ている1)2)3)。このような担癌臓器の局所にお ける免疫抑制状態を解明し,免疫防御能を改善 することが免疫療法の大きな役割と考えられ る。今回,著書らは胃癌患者において胃所属リ ンパ節におけるリンパ球亜群の構成比率を How cytometerを用いて解析し,転移成立の際 のリンパ球亜群の構成比率の変化と亜群間の関 連について若干の知見を得たので報告する。 〒409−38山梨県中巨摩郡玉穂町下河東!110 1)〒113東京都文京区本郷7−3−1 受付:1993年5月19日 受理:1993年7月7日

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74 小河原 忠 彦,他 対  象  胃癌手術で摘出した25症例,50個の所属リン パ節を対象とした。対象の25例は男性17例,女 性8例(平均年齢63.4歳)であった。そのうちリ ンパ節転移陰性(以下n(一)症例)は13例,リ ンパ節転移陽性(以下n(+))は12例であった (表1)。胃癌取扱規約4)に準じ病期別に分類す ると,stage l!lイ列, stage H 5イ列, stage皿5 例,stageW 4例(表2)であった。検索した対 象のリンパ節を,以下のごとく分類した。  ①n(一)症例の1群リンパ節(以下,n(一) Proximal LN)

 ②n(一)症例の2群または3群リンパ節

(以下,n(一)Distal LN)  ③n(+)症例の1群の転移陽性リンパ節 (以下,n(十)Proximal LN Meta(+))  ④n(+)症例の2群または3群の転移陰性 リンパ節(以下,n(+)Distal LN Meta(一)) 表1 対象症例と平均年齢 男 性 女 性 合 計 方  法

症例数(人) 17   8   25

平均年齢(齢)68.4±iO.4 56.8±9.7 63.4±11.6 表2 対象症例のリンパ節転移の有無とstage リンパ節転移 陰 性 陽 性 症例数(人) stage 症例数(人) 13 I  H !1  2 12 H 田 IV 3 5 4 1.胃所属リンパ節のリンパ球分離法  摘出標本より採取したリンパ節を2分割し, 一方を病理組織標本とし,他方をリンパ球の分 離に供した。リンパ節をハサミで細切りし5% 仔牛胎児血清加PBS(phosphate buffer saline) 中でpipe£tingを行い単離細胞浮遊液を作成, ナイロンメッシュ(100μm)で漉過した。これ をPBSで2回洗浄したあと, Ficoll比重遠心 法により単核細胞層を回収しPBSでさらに洗 浄しリンパ球浮遊液とした。 2.リンパ球亜群のHow cytometryによる解 析法  1)single cOlor解析  1x106/m♂の濃度に調整したリンパ球浮遊液 50μ♂に,Huorescen isothiocyanate(以下 FITC)で標識したmonoclona1抗体(CD3)50 μZを加え,氷冷下で30分incubateしPBSで2 回洗浄した後,How cytometry法(以下FCM) でFCM−1(日本分光)を用いて測定した。 stageは胃癌取扱い規約(胃癌研究会編)に準じた。  2) two color解析  同様に調整したリンパ球浮遊液にFITC標 識monoclona1抗体5)(CD4, CDllb, CD25, HLA−DR, Leu7)とphycoerythin(以下PE)標 識monoclonal抗体(CD8, CD16, CD4,2H4, 4B4)を加えFCM(FCM−1D)にて測定した。 なお測定したリンパ球凹凹は以下の通りであ る。  CD3+細胞:mature T cell, CD4+HLA− DR+細胞:活性化CD4細胞6)7), CD8+HLA− DR÷細胞:活性化CD8細胞6)7), CD4+CD25+ 細胞:IL−2 receptor(以下1レ2R)発現CD4細

胞,CD8+CD25+:IL−2R発現CD8細胞,

CD4+2H4+細胞:suppressor inducer T ceU (以下Ts. i.)8), CD4+4B4+細胞:helper in− ducer T ce11(以下Th. i.)9), Bright CD8+ CDllb+:suppressor T cell(以下Ts), Dull CD8÷CDllb+ :照tural killer ce11(以下 NK/K), CD8+CDllb一:cytotoxic T ceU(以 下Tc), Leu7+and/orCDI6+:NK/K細胞 subpopulation(Leu7℃D16+:NK活性3+, Leu7÷CD16+:NK活性2+, Leu7+CD16一 :NK活性1+)10)11)である。そこでNK活性 を考慮した指標としてNK indexを以下のごと く定義して,NK index=(Leu7一CD16+)X3 十(Leu7+CD16+)X2十(Leu7+CD16…)の値で 表現した。

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3.胃癌の各所属リンパ節における転移の有無 とリンパ脚気晶群の構成比率の検討  以下の順に検討した。  1) n(一)Proximal LNとn(一)Distal LNを比較した。  2) n(十)Proxilnal LN Meta(十)とn (+)Distal LN Meta(一)を比較した。  3) n(一)Proximal LNとn(十)Proximal LN Meta(+)とを比較した。  4) n(一)Distal LNとn(十>Distal LN Meta(一)を比較した。  5) n(一)Proximal LNとn(十)Proximal LN Meta(+)を対象とし転移癌細胞の有無, 多寡によるリンパ球亜群の構1成比率の変化を検 討した。近位リンパ節の2等分割面において病 理組織学的に転移を認めないものをGrade O (鷺訟13),癌細胞がわずかに認められるもの Grade 1(n訟3),癌細胞の占拠面積が50%以 下のものGrade 2(nユ3),50%以上のものを Grade 3(n=6)と判定し癌細胞の転移量とし て,各リンパ節リンパ球亜群の構成比率との関 連について検討した。  6) n(一)Proximal LNとn(十)Proximal LN Meta(+)を対象として各リンパ球亜群の 構成比率の相関の有無について検討した。 4.統計処理  結果は平均±標準偏差(Mean±S.D.)で表記 した。有意差の検定はnon−parame頴。 t法と, non−parametric Wilcoxo簸法を用い,危険率5% 以下のとき有意差ありと判定した。 結  果 1.各リンパ節群におけるリンパ球亜群の構成 比率の比較  1) n (一)Proximal LNとn(一)Distal LNの比較;リンパ節転移陰性症例では近位リン パ節と遠位リンパ節間でリンパ球亜群の構成比 ︶0 %0 ︵雪犀 50 0 銅ean土SD  (%) 転移陰性症例 近位   遠位 転移(一)  転移(一) 60.8=ヒ10.8  69.3よ12.0 CD3+    転移隅性症例 α) 100 50 0   近位   遠位  転移(の  転移(一)  50.3ま葉6.3  64.7±11.5

一________」一

    Pく0.05      P〈0.05 CD4+2H4+G9 CO4+2H4一(26.7箔)

CD42H4

CD4+2H4“←(9.9鰯)*

墜一艀

CD44B4

CD4’←4B4+(5.0鮨)   CD4+4B4+(6.O麗) CD4+4B4一(39,5κ)

陰繍ガ

 近位   近位 転移(一) 転移(+) *P〈0.01 図1.胃癌所属リンパ節におけるリンパ球亜群(CD3, CD4・2銭4, CD4・4B4)の構成比率    転移陽性症例の近位転移(+)リンパ節においてCD3+, CD4+2H4+, CDザ2H4一, CD4    +4B4一細胞比率は,転移(一)リンパ節に比べ低値:を示した. CD4+細胞の低下は主に    CD4+4B4一細胞の低下と考えられた.

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76 小河原 忠、彦,他 率に差を認めなかった。  2)3) n(十)Proximal LN Meta(十)とn (十)Distal LN Meta(一)の比較,およびn (十)Proximal LN Meta(十)とn(一)Pro− ximal LNの比較;  n(十)Proximal LN Meta(十)はn(一) Proximal LNやn(十)Distal LN Meta(一)に 比べCD3÷細胞(mature T cell)比率, CD4+ 2H4+ (Ts,i.), CD4+2H4一, CD4+4B4…細胞 比率は有意に低下していた(P<0.05)(P <0.01)(P〈0.Ol)(P〈0.01)(図1)。 また CD4÷HLA.DR+/CD4÷(全CD4陽性細胞に対 する活性化CD4陽性細胞割合), CD8+HLA− DR+/CD8+(全CD8陽性細胞に対する活性化 ︶︻9 % ︵ 4 3 2 1 0    (CD40CD25’/CD4つ ×100 転移陰性症釧       転移磯性症例        (瓢)          322        25          2&5 20 曝5 箋0 5

響SD 近位   遠位 転移(一〉 転移(一) t6士1.2   1.8±e.7 0   近位   遠位  転移(+) 転移(一)  13,6ま=10.5   3.3=ヒ1.8

し___」一

    P<0.01      P<0.0肇   (CD8やCD25◆/CO8◇) ×竃00       転移隅性症働 転移陰性症擁        (瓢)          49、4      5.1        25 (覧) 40 20  (CO4’HLA−DRソCO4◆)×…0◎ 転移瞳性症鰍        転移陽性症例        (漏) 593          、,:1        40

王麹

紛5 ︵ 20 4 3 2 1   0       0     近位   遠位      近位   遠雷    転移(一) 転移(一)    転移(+) 転移(一) 肥a轟士SD  5.4±2。1  6.7±2.6       29.6±茎7.2  可0.5:上5,1

 (饗)   _誰_

         Pく0.0匪      Pく0.01 20 15 10 5

α50 40 30 20 等0  (CD8やHしA−DR←/CD8つ×100 転移険性症例       転移陽性症例        (瓢)        50 40 30 20 10        0      0    0      近位   遠位      近位   遼位      近位   遠位      近鼓   遠声     紙移(一) 転移(一)    転移(+) 転移(一)      転移(一) 転移(一)    紙移(+) 転移(一) 暇∋ar1士SD  1.7虫1.5   1.7±13       19.5±:14.8  2.7虚0・5         mean土S9  13.3±7.7  16.5士8,2       4L5±15.4  27.3±14.6  (翼)    L_」一」        (瓢)    」__」_       P<0,01       P〈α01       P<O.GI       P〈O.01 図2.胃癌所属リンパ節におけるリンパ球亜群;CD4, CD8細胞における活性化(1{LA−    DR)細胞割合とIL−2R陽性(CD25)細胞害U合    転移陽性症例の近位転移(+)リンパ節において,転移(一)リンパ節に比べ活性化    率,IL−2R発現率の増加を認めた.

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CD8陽性細胞割合), CD4+CD25牽/CD4+(全 CD4陽性細胞に対するIL−2R発現CD4陽性細 胞割合),CD8+CD25+/CD8+(全CD8陽性細 胞に対するIL−2R発現CD8陽性細胞割合)は 有意に上昇していた。さらにBright CD8+ CDIlb+(Ts)細胞比率は上昇し(P〈0.05), CD8+CDllb『iTc)細胞比率は低下していた(P 〈0.05)。NK/K細胞についてみるとDull CD8+CDllb+, Leu7+and/or CD16+(NK index)は,ともに上昇していた(P〈0.05)(P 〈0.01)(図3)。 2.リンパ節における転移癌細胞量と各リンパ 球亜群の構成比率の変化との関連についての検 OO Q0    CD8+CDU だぽぬゼあ      だゆみ あが      (毘    ユ26       碧。

浮く

  0      0    近位   遠佼      近位   溝位   転移(一)  転移(一)     転移(斎)  転移(一〉 肥an±SD  ヨ匡、2±3,6   13.8±6.7       7.3土2.4  14.6士7、O (漏)       Pく0.05 ︶O覧5 25

嚇5 討:NK index, CD8−CDUb÷, Dull CD8牽 CDllb牽はそれぞれP<0.Ol,P〈0.01, P〈0.05 の危険率をもって転移量と正の相関を示した (図4)。一方CD8+CDUb…(Tc), CD4+ 4BザはそれぞれP〈0.05, P<0.01の危険率を もって転移量と負の相関を示した(図4)。 3.近位リンパ節における各リンパ球亜群の構 成比率の変化の相関についての検討  Bright CD8+CDUb+(Ts)は NK index, CD8}CD11+, Dull CD8+CDllb+, CD4÷ HLA−DR+, CD8+HLA−DR+に対して正の相 関を認めた(いずれもP〈0.01)(図5)。Dull CD8+CDUb+(NK/k)はNK index, CD8一 4 3 2

11

e      十    十   8right CD8  CO1!        転移陽性症倒 転移殆性罵倒      α)  6」    5.了      5 4 3 2 1    CD8 CDI1+ ぬゆ      ゆ         鵯

25         0    近嬢   出直      近位   遠位   転移(一) 転移(一)    転移(+) 転移(一) 鐸賠3n±SD  O,了±0.4   G.8虚O.8         2.0ゴヒ1.8   12=ヒ1.9 α)   L______       PくO.05          十    十       Du雛 CO8 CD1コ       の  (罵)  転移陰性症倒    (葡   転移陽性症携 2 1

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2 1

10 5   ・…d・一(・・u7;CD・6よ》・・     ‡能謡+器{9一;鄭 転移陰性症鯛       転移隣性症鯛 召:1       謂 40 30 20 可0          5       ご       む          む    近位   遼位      近位   遠位      近位   遠位      近位   遮位         近位   遠健      近位   二二        転移(+)       転移(一)   簸移(一〉 簸移(一〉    転移(の  転移(一)       転移(一) 転移(陶)    転移(+) 転移(卿)        転移(幽〉 転移(『) 肥、,士SO臓丘87,2蝋  290土11.6…1網.9  繍士Sδ0,5ま0.403±02  1,3土13砿3全02 ’θan土Sり5・8土4・2蹴2・、 30鯉略・263士3・5 (覧)  ___一_      (瓢)  一一    (瓢)  一一一一一一一一       P<0,01   Pくe.01         Pくe.。5   P〈0.。5       Pく。・。准        P〈o.01 図3.胃癌所属リンパ節におけるリンパ球亜群の構成比率(CD8・CDU, NK index)    転移陽性症例の近位転移(+)リンパ節において,転移(一)リンパ節に比べCD8+CDlr(Tc)の    低下,Brlght CD8牽CD11+(Ts), Dull CI)8+CDll幸(NK/K), CD8}CD11+, NK lndexの増加    を認めた. \ミ王

(6)

78 小河原 忠 彦,他 X e d 9 .一鈴 K N 循665巳遡%拐199 口 ノロσ 0口U r冨0.55 a滋7.46 b・8.68 (Pく0.01) コ       ヨ 転移量(Grade) 3 CD8℃DI r(%) 29 霊8 16 !4 !2 ,. 10 8 6 4 6 0、OO 、 \  ∼ 、 ㌔ か O  O r鴇一〇.56 a・11.57 b・一1.75 (P〈0.01) た        転移量(Grade) 3 Dull CD8℃D11督(Z)  5 4 3 2 1 6 9 .,,.昼_…一一μ目 口 r30.50 a冨034 b冨0.39 (P〈0.05)        転移量(Grade) 3 CD4◎4B4廓(%) 0 6a T9

論2619

0 o ︹︼ 0 r・一〇,70 a=36.33 b冨一8.69 (P〈0.01)        転移量(Grade) 3 C◎8’CD1γ(鑑) 59 r=0.73 a冨7.54 b=7.56 (P〈0.01) Bright CD8℃D等1辱(%)

765432 

B r驚0.28        o  鋤       B       o  29       0     〆ド”     〔】  16       ロ        ロ  6   り       ヨ      ビ       ヨ        転移量(Grade)      転移量(Grade) 図4.胃癌近位リンパ節における癌の転移量とリンパ球亜群の相関    CD8−CD!1+, NK lndex, Dull CD8+CD11+の順に転移量に対し正の相関を示し    た.    またCD4+4B4『, CD8+CDlrは負の相関を示した. Brlght CD8℃D11+(Ts)は    相関を認めなかった.    回帰直線をY翼a+bXで相関係数をrで表わす. CDUb+, Bright CD8+CDUb+, CD4+HLA, DR+, CD8+HLA−DR+に対して正の相関を認 めた(いずれもP<0.01)(図6)。CD4+HLA− DR+とCD8+HLA−DR+との問にも正の相関 を認めた(P〈O.Ol).CD8+CDIIゼ(Tc)と

CD4+4Bザの間にも正の相関を認めた(P

〈0.01)。CD8−CDU♂とNK indexの間にも 正の相関を認めた(P<0.01)(図7)。 考  察 FITC標識monoclonal抗体, PE標識mono一 clona1抗体を利用しHow cytometerで解析す る,いわゆるtwo color且ow cytometryが普及 し,リンパ球亜群をより機能的な方向から分類 できるようになった。それに伴い胃癌において 所属リンパ節のリンパ球亜群の構成比率の解析 が進み転移の成立した所属リンパ節ではTh比 率の低下やTs比率の上昇がみられ局所の腫瘍 防御能の低下が報告されている1)2>。  著者らは,胃癌の所属リンパ節において転移 の成立に伴いリンパ球亜群の構成比率がどのよ うに変化するか,また転移癌細胞量とリンパ球 亜群比率の関連についてβow cytometryを用

(7)

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 83物蘭5a絶謁23166 κ 糾 。〔po 調噌:・ 0 0 o r駿0.73 a罵5.7肇 b=10.72 (P〈0.01>  ど       お 8right CD8℃D葉董’(Ts) (%) CD41HLA−DRI(%) C98,CDIlb◎(潟)  日 戸   o       .,一〆        o ,.  o       o   o 29    0   ロ       の  る山D 6 9 a 2−9987654321日 o O o   O      O  Oo     ロ      ロ 『。・9 o 0 r寓0,61 a擢2。62 b=1.2 (P〈e.01) CD81HしA−DR+(潟) 巳 5432甕098765432歪  ど      ま      ど Bright cD8℃D壌γ(τs) (%) r・0.58 a獄1t76 b・531 (Pく0.01)       の        8right CD8℃D11+ぐ「s) (%) α 口 O O oo ロO o♂ O B o r・0.57 a=1.92 b桟08 (P〈0,09          と       お Bright CD8℃D1γ(Ts) (%) Dult CD8壱CD11壱(%)  (酎K/K)   5 4 3 2 O  o 口      〔コ 1  田    0   田臼 D  // 〆/ r=0,9肇 a獄0.09 b=O.66 (P<O.01>   6    2   4   6  (麗)     8right CD8℃D11+(τs) 図5.胃癌近位リンパ節におけるTs(Brlght CD8+CD11+)と各リンパ球亜群間の相関    回帰直線をY=a+bXで,相関係数をrで表わす. いて解析した。その結果,転移陽性リンパ節で は転移陰性リンパ節に比べT細胞比率(CD3÷) が約10%減少しており黒井ら1)や渡会2)の報告 とほぼ一致していた。また転移陽性リンパ節で のCD4+細胞比率は約20%の低下を認め従来の 報告とほぼ同じであった1)2)13)。これをtwO color解析でみると渡会2)の報告同様, CD4+ 4Bザ細胞比率が約23%低下し, CD4+4B4+ (helper inducer T)細胞比率は不変であった。 またTs.i.(CD4+2H4+)細胞比率は黒井1>らの 報告と同様に約10%低下していたが,CD4+ 2H4一ラ胞比率も約12%低下していた(CD4+細 胞としては約22%の低下となる)。したがって CD4+2H4÷:CD4+2H4一は転移陽性リンパ 節,転移陰性リンパ節ともにほぼ4:5で同じ であった。すなわち転移成立に伴うCD4÷細胞 比率低下の直接的な要因は,主にCD4+4B4… 細胞比率の低下によるものと考えられた。 CD4÷4B4一ラ胞は機能的にはhelper,および suppressor lnducer T細胞を含んでいると考え られるが,転移癌細胞量の増加に対し負の相関 を示して低下し,さらにTc(CD8+CD!lb一) 細胞比率の低下と正の相関を示し低下したこと から,転移成立に伴う所属リンパ節の抗腫瘍能 の低下の機序を知るうえで意義のある現象と考 えられた。  CD8+細胞比率についてみると,転移陰性リ ンパ節に比べ,Ts(Brigh重CD8+CDUb+), NK/K(Dull CD8牽CDllb+)がそれぞれ約1% の上昇を認め,Tc(CD8+CDUb一)は約4% の低下であった。したがって,3者の合計では CD8+細胞比率としては約2%の低下となるが

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80 小河原 忠 彦,半 睡Kindex 9 90 X臼 W635巳紀鎗26m6 口 。    〆2・!’

r・0.77 a・4.80 b器15.56 (P〈0。01)        る ◎u日  CD8+CI)1葉昏(NK/K) (%) CD4←HLA−DR’(%) CD8曹CDIlb華(%) 臼 5432匪6987654321       ノコ 鰻.

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  2       4 ◎ull CD8℃DIr(糧K/K) (%) r・O,67 a=10.44 b・8.46 (P〈0.01)        く Du口 CD8書CD11壱(NK/K) (%) o   〔】     /1 ;〆: o r=O.73 a=1.38 b篇1.88 (P〈0.01)   を       ム 【)ull CD8+CD1γ(NK/K) (%) Bright CD8℃D1γ(%)

765ぐ32

1 0 o 0/ FO.90 a・O.09 b筥t25 (P〈0.0葉) 9     2     、  1(%)    DuIl CD8華CD1箋+(NK/K) 図6.胃癌近位リンパ節におけるNK/K(Dull CD8+CD11+)と各リンパ球亜群間の相関    回帰直線をY篇a+bXで相関係数をrで表わす. 有意差は認められず,渡会らのsingle colorに よる解析結果2)とほぼ同じであった。しかし胃 癌の転移陽性リンパ節におけるCD8+CDllb+ の上昇は,渡会2)や,黒井ら1>の報告にあるよ うな単なるsuppresssor T ceU比率の上昇で なく,Bright(Ts)とDu11(NK/K)に分類する と7)いずれもほぼ同率の上昇を示しており,Ts, NK/K細胞両者の上昇を示唆していた。さら に興味深いことは,リンパ節1個当りの転移癌 細胞量と同リンパ節の各リンパ球亜群比率の変 動との関連についての検討では,Ts比率の上 昇は転移量の増加に相関しないのに対し, NK/K(Dull CD8+CDllb+)細胞比率の上昇は 転移量の増加に対し正の相関を示したことであ

る。またNKのsubpopulationであるLeu7÷

and/or CD16÷(NK index)でも転移量に対し正 の相関を示したことから,転移成立時にリンパ

節ではNK/K細胞比率の上昇およびNK活性

の増強が示唆された。この結果は免疫組織染色 を用いた従来の報告のなかでは,NK/K細胞 の増加はないとした岡林ら13)の報告よりある とした稲垣ら14)の報告を支持する結果であっ た。  一方,Ts比率は, Dull CD8+CDllb+, NK index, CD8一CDllb+, CD4+HLA−DR+, CD8+HLA−DR÷のそれぞれの比率と正の相関 を示した。すなわちTs比率は転移が成立した ことよりも,NK/K細胞比率の上昇,あるい

(9)

Cl)8◎HしA−DR響(%) NK index 1

21日98765432!91

︷匡二一      楠 〔】  0 0 /o r・o.91 a=一〇.56 b・O.85 (P〈O.01)

3579量113

   CD4旧しA−DR垂 羽η6353蘭鎗2臼199 0 0 0          .・!        ・・       r=0.75

・/Q・嚇、

15(%)『1臼, 26 CD8『CD1γ 遡 (%) CD4’484響(%)  66 50 蘭 36 29 16 巳 蹟 co α  o o 0 o o 〔】 Ω D o o   ρ  r=0.59 口  a壽5.34  b・2.19   (P〈0.01) 8        12        16  CD8寺CDIt(Tc) 29(%)   図7.胃癌近位リンパ節におけるリンパ球亜群間の相関     回帰直線をY=a+bXで相関係数をτで表わす. は活性化T細胞比率の上昇に対し,これらを 抑制するかのごとく上昇した可能性が考えられ た。この結果は胃癌患者の転移陽性リンパ節や 脾臓においてTsを除去することによりNK活 性の増強が認められたとする世戸12)の報告に より,間接的に支持されるものと考えている。  他方,Tc比率が転移癌細胞の増加に従い低 下(負の相関)を示したことは,相関を認めない とした渡会の報告2)とは異なっていた。  また全CD4+細胞比率に対する活性化CD4÷ 細胞比率の割合,およびIL−2R発現CD4+細 胞比率の割合はそれぞれ約30%,約14%と著し く上昇しており,転移に対する免疫応答が惹起 されている可能性が示された。このことは CD8÷細胞においても認められた。これは稲垣 ら14)が免疫組織染色を用いて転移陽性リンパ 節を調べ,IL−2R陽性細胞の増加を確認した 結果と合致した。

 また転移陽性リンパ節においてCD8…

CDllb÷細胞比率は転移量や, Bright CD8+ CDIIb+細胞比率, Dull CD8+CDUb+細胞比 率,NK indexと正の相関を示し上昇しており, CD8−CDUb+細胞比率の増加はNK/K細胞, Ts細胞比率の上昇のよい指標になると考えら れた。とりわけ転移陽性近位リンパ節にて, CDllb+細胞比が30%の高値を示した4例で は,同リンパ節でのRK indexが40以上の高値 を示しており,NK活性の簡便な指標となりう

る可能性が示唆された。これはCDl!b

(OKM1)が成熟したNK細胞の表面マーカー であることによると考えられる。  また大和田ら15)は胃癌の転移陰性リンパ節 をstage4)別に解析し, stage Wにおいてのみ CD16+(NK)細胞の上昇を認めたと報告してい る。著者らの検討では転移の成立したリンパ節 においてのみCD16+細胞比率の上昇を認め, CD16+細胞比率は癌細胞の転移量と正の相関 を示していた。特にCD16+細胞比率が10%を 越えた転移陽性の5例ではstage H 2例, stage 皿2例,stage lV 1例でstageとの相関は認め

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82 小河原 忠 彦,他 られず,むしろリンパ節1個当りの転移癌細胞 の量と相関していた。  すなわち胃所属リンパ節に転移が成立すると 丁細胞比率は低下する。低下したT細胞は主 にhelper T cell, suppressor inducer T ce11を 含むCD4+4B4…亜群であった。 Tc比率はわず かに低下し,それを補うかのごとくNK/K細 胞比率が上昇していた。さらにTs比率もわず かに上昇していたが,癌細胞の転移量に相関せ ず,N:K/K細胞比率の上昇や活性化T細胞比 率の上昇に相関していた。このことはTs比率 が転移成立に伴って直接的に上昇したと考える より,活性化T細胞比率の上昇や,IL−2R発 現T細胞比率の上昇,NK/K細胞比率の上昇 に伴う免疫防御能発現に対するnegative feed back様の反応と考えられた。したがってTs 比率が上昇しているといえども活性化丁細胞 比率の上昇や,IL−2R発現丁細胞比率の上昇, NK/K細胞比率の上昇は,転移癌細胞に対す る生体防御の免疫応答が十分発現している可能 性を示唆した。これについて著者らは胃癌患者 23例の転移陽性近位リンパ節のNK indexと遠 位のリンパ節転移の有無を調べ,近位リンパ節 のNK indexの高い症例では,遠位リンパ節へ の転移が少ない傾向にあることを確認してい る。しかし,これらの結果は単にリンパ球の表 面マーカーを見たに過ぎず,実際のkiller活性 やNK活性を測定していないので, S重einhauer 8如∠16)の報告しているNK細胞の機能障害な どがあって防御機能を果たしていない可能性も 残されており今後の検討課題としたい。 文  献 1)黒井克昌,峠哲哉,山口佳之他.Tw・C・1・r  解析による胃癌所属リンパ節におけるT細胞  亜群の同定.0簸cologla 1987;20:100−106. 2)渡会伸治.胃癌所属リンパ節内の丁細胞各種  亜群の構成比率の変化.日外会誌.1986;90:   1009一玉018. 3)木場文男,秋吉 毅,有永信哉他.胃癌所属リ   ンパ節の細胞性免疫能.日野外会誌.1986;   19:854−857. 4)胃癌研究会編.胃癌取扱い規約.改訂第11版.   東京.金原出版. 5) Evans RL, Faldetta TJ, Humphreys RE,θ彦αZ.   Perlpheral humaa T cells sensitlzed in mixed   leukocyte cu霊ture synthesize and express Ia−   1圭ke  ar}t壼gens. J  Exp  Med  l978; 148:   1440−1婆45. 6)Yu DTY, Wunchester RJ, Fu SM,θ‘α♂.   Perlpheral blood Ia−posltive T cells. Exp Med   l980;151:91−100. 7)高瀬浩造,矢田純一.リンパ球亜群分析.臨床   免疫。1986;18:149−162. 8)Morimoto T, Norman LL, Andrew WB,麗αZ.   The iso韮atio難 an(i characterization of the hu−   man helper inducer T cell subset・JImmun・1   }985;134,:3762−3769. 9) Abo T, Charles A, Larry G,認α乙Differentia−   tion s亀age of難uman natural klller cells in   lymphoid tissues from fetal to ad櫨life・J   £xp Med夏983;157:273−284. 10)安保徹.モノクロナール抗体を用いたヒト   NK細胞の解析.最新医学,1984;39:5レ55. lD Park DR, Hardy RR, Herzenberg LA. Dual im−   mUnOfluOresce数Ce−new frOn重ierS in Cell analySiS   and sorting. Immunol Today 1983;4:145−150. 12)朝戸芳博.胃がん患者における所属リンパ節お   よび脾リンパ球平群の免疫組織学的解析と免疫   応答性に関する研究.広島大医誌.1986;34:   495−510. 13)岡林孝弘,堀見忠司,折田薫三他.胃癌所属リ   ンパ節の免疫組織化学的研究.田外会誌.   1987;88:529−542. 14)稲垣貴史,森瀬公友,森島泰雄他.胃癌所属リ   ンパ節の免疫組織化学的検討.日消誌1987;   84:840−850. 15)大和田 進,竹下正昭,宮本幸男,泉 勝.胃   癌患者の免疫能に関する臨床的概究一第2報   所属リンパ節のT細胞サブセットについて一.   日替会誌.1990;91:1560−1566. 16) Steinhauer EH, Doyle AT, Reed J,6‘αZ. De−   tenα孟Ve natUra韮CytO−tOXiC量ty霊n patientS With   carclnoma:Normal number of ef艶ctor cells   but decrease(i re(:ycling capacity 圭n patieats   wlth advanced dlsease. J ImmunoB982;129:   2255−2259.

(11)

Cemparison of Lymphocyte Subpopulation in the Lymph Nodes with or without Metasttaes in Gastric Cancer Patients

Tadahiko Ogawara, Keisuke Sakaii>, Takayoshi Sekikawa, and Yoshiro Matsumoto

First DePartment ofSurgery, Yamanashi Medical College and i)Fi7st DePartment ofSurge7rv, Facudy ofMedicine,

[rlhe University of Todyo

The proportions of lymphocyte subpopulations in the regional lymph nodes of 25 gastric cncer patients were analyzed using two color flow cytometer.

The antibodies against human lymphocytes were anti-CD8, CD4xHLA-DR, CD4xCD25, CD4x2H4, CD4x4B4, CD8xHLA-DR, CD8xCD25, CD8xCDl1 and Leu 7xCD16.

The results were as foIIows:

1) The percentage of CD8'CDIIM cells in metastatic lymph nodes was about four points lower than that iR non-metastatic Iymph nodes. The percentage of bright CD8"CDII" cells was about one point higher in

metastatic lymph nodes than in non-metastatic lymph nodes, while in metastatic lymph nodes the proportion of

dull CD8"CDII', Leu7'andlor CDI6' cells, which are natural killer cells, was larger than that in

non-metastatic lymph nodes.

2) The percentage of Leu7" andlor CDI6' and dull CD8"CDIl' cells correlated with the vo}ume of cancer

ceEls in metastatic lymph nodes. However the percentage of CD8'CDIl" cells was decreased in relation to the volume of cancer of cells in metastatic lymph nodes. The change in percentage of bright CD8"CD11" cells had no correlation with the volume of cancer cells in metastatic lymph nodes.

3) The percentage of bright CD8'CDIl' cells and that of dull CD'CDII' cells correlated in metastatic

lymph nodes, and they also correlated with the percentage of Leu7' andlor CD16" cells, activated CD' cells and activated CD8' cells.

These results suggest that in metastatic lymph nodes, naturai killer cells instead of cytotoxic T cells play an important defensive role against cancer cells.

Key words: Gastric cancer, RegionaHymph node of gastric cancer, Monoclonal antibody, Two color fiow cytometry, Lymphocyte subsets of lymph node.

参照

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