コロナ禍のオンライン授業形態
ビデオ会議を利用したシステム系統図
The
St
yl
es
of
Onl
i
ne
Les
s
ons
Dur
i
ng
Cor
onavi
r
us
Di
s
eas
e
A System Diagram Using Video Conferencing
齊藤 彰
SAITO Akira 要旨:新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国の小中高及び特別支援学校に臨時休校を要請 する考えが示され、3月2日から春休みの期間で一斉休校の対応が取られた。当初2週間を目安 にしていた休校措置ではあったが、国内の感染者数が増加し、全国一律の緊急事態宣言となり、 休校措置は延期された。その間にも学生は自宅での遠隔授業や課題を必要とし、各教育機関に授 業提供方法の検討が求められた。このノートでは、本年度の対応策として個人が実施してきた遠 隔授業のスタイルを図表で解説し、記録とする。 キーワード:オンライン授業、通信教育、ビデオ会議システム、遠隔授業、COVID-19 1.はじめに 2020年2月27日、安倍晋三首相(当時)が新型コロナウイルス感染症対策本部で、全国の小中 高、及び特別支援学校に臨時休校を要請する考えを表明し1、3月2日から小中高などの一斉休 校を要請するとした。実際に休校するか否かは学校や地方自治体の判断するところではあったが、 大学においても急な休校要請に、卒業式、入学式をはじめ新学期に向けての対応を模索した。当 初2週間を目安にしていた休校措置ではあったが、休校宣言の後も国内の感染者数は増加を続け、 4月7日に7都府県で緊急事態宣言が出され、同月16日には全国一律の緊急事態宣言となり、休 校措置が延期されることとなった。コロナウイルス感染症の拡大に伴い生活環境が大きく変化し、 教育機関に関しては、「密閉空間で長時間過ごす教室は感染リスクが高い。水面下で感染者がいコロナ禍のオンライン授業形態
ビデオ会議を利用したシステム系統図
The
St
yl
es
of
Onl
i
ne
Les
s
ons
Dur
i
ng
Cor
onavi
r
us
Di
s
eas
e
A System Diagram Using Video Conferencing
齊藤 彰
SAITO Akira 要旨:新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国の小中高及び特別支援学校に臨時休校を要請 する考えが示され、3月2日から春休みの期間で一斉休校の対応が取られた。当初2週間を目安 にしていた休校措置ではあったが、国内の感染者数が増加し、全国一律の緊急事態宣言となり、 休校措置は延期された。その間にも学生は自宅での遠隔授業や課題を必要とし、各教育機関に授 業提供方法の検討が求められた。このノートでは、本年度の対応策として個人が実施してきた遠 隔授業のスタイルを図表で解説し、記録とする。 キーワード:オンライン授業、通信教育、ビデオ会議システム、遠隔授業、COVID-19 1.はじめに 2020年2月27日、安倍晋三首相(当時)が新型コロナウイルス感染症対策本部で、全国の小中 高、及び特別支援学校に臨時休校を要請する考えを表明し1、3月2日から小中高などの一斉休 校を要請するとした。実際に休校するか否かは学校や地方自治体の判断するところではあったが、 大学においても急な休校要請に、卒業式、入学式をはじめ新学期に向けての対応を模索した。当 初2週間を目安にしていた休校措置ではあったが、休校宣言の後も国内の感染者数は増加を続け、 4月7日に7都府県で緊急事態宣言が出され、同月16日には全国一律の緊急事態宣言となり、休 校措置が延期されることとなった。コロナウイルス感染症の拡大に伴い生活環境が大きく変化し、 教育機関に関しては、「密閉空間で長時間過ごす教室は感染リスクが高い。水面下で感染者がいれば爆発的な広がりを招く恐れがある」という専門家の声により、対面での授業を自粛すること となった。特に義務教育機関でない大学においては、履修ごとに教室移動が伴うため、万が一感 染症が確認された場合にも感染の経路を発見しづらい環境にあり、緊急事態宣言を受け全国的に 学生を登校させての授業実施を禁じた。その中にあっても新入学生、在校生への授業提供は必要 で、各教育機関は、その対応に苦慮した。緊急事態宣言が解除されても大学では前期を通して授 業はオンラインで行われ、登校を許可する学校は少なかった。夏休みを終え、後期に入るとゼミ や少人数の授業をはじめ、徐々に対面での授業を取り入れる大学も多く見られるようになった。 今回、この緊急事態宣言下に授業提供方法として取った対策や構築したシステムをまとめた。 11月末現在、首都圏をはじめ大都市での感染がさらに増加の一途をたどっている。次年度からの 授業提供方法に関しても継続して検討が必要となり、教育機関としてどのような対応が望ましく、 今後の大学教育、教育現場にはどのような授業運営が望まれるのかを考えるにあたって、この ノートが重要な試金石となると考える。 2.基本的な遠隔授業形式 まず、遠隔授業の形式として考えられるものを挙げる。実際には授業の内容や特徴、準備の時 間、従来の授業形態により有効な形式が選ばれている。 ①通信教育型 (1)既存のe-learning教材を使用 (2)作成した紙媒体による資料教材を使用 ②ビデオ教材型 (1)既存のビデオ教材を使用 (2)ビデオカメラで撮影したものを使用 (3)PowerPointを動画に変換したものを使用 (4)Zoom2やTeams3ビデオ会議システムの録画機能を使用 (5)YouTubeのライブ配信機能を使用 ③ビデオ会議4型
(1)ライブ形式で映した授業の模様を使用 (2)添付資料を共有した画面を使用 3.既存の授業形態に合った遠隔授業形態 既存の授業形態から、より相性の良い遠隔授業の形式を前述第2章の①〜③より考える。表1 (1)(2)のように講座の使用教材が準備されている授業であれば、教材を元に学習を進める①通信 教育型を利用できる。また、②ビデオ教材型、③ビデオ会議型の遠隔授業形式には教材と共に講 師の解説が必要となる。特に(6)のように実技を伴う授業では、資料教材だけで実技部分を補う のは困難で、実際に動作を見せる必要もあることから、既存のビデオ教材や実技部分を録画した ものやライブ形式で実技動作を提示する必要がある。 表1 既存の授業形態と相性の良い遠隔授業形式 㓄
4.Zoomを使用したビデオ会議型授業の汎用性 ここで、ビデオ会議ツールであるZoomを使用して実際に行った授業、その他講話のシステム を系統図と解説で見てみる。 4 1 ビデオ会議システムを利用した授業スタイル まず一般的なビデオ会議システムを利用した授業提供スタイルである。(図1)この場合、講 話者Aと顔を合わせながら授業を進めることになるが、主に会話形式、特に視覚物などの資料を 使用しない授業、人数が少ない授業や受講生との面談にもこのスタイルは有効である。 また、視覚物や資料を提示したい場合、資格物の場合にはA個人の表示されているスペースで のアナログ提示が可能であり、パソコン上に保存されたデータ資料であれば、Zoomにしても Teamsにしても資料の「共有」により、受講者の画面に資料を提示することが可能となる。 4 2 ビデオ会議システムを応用した授業スタイル1 「4 1 ビデオ会議システムを利用した授業スタイル」を応用すると、ビデオ会議システム に使用していたパソコン内蔵のカメラで、講話者Aの行う講義をホワイトボードまたは液晶画面 やスクリーンに映った講義資料と共に受講者に提示することが可能となる。(図2)パソコンの . . . 図1 ビデオ会議システムの基本的な利用方法
カメラで顔だけではなく授業全体を撮ることにより、受講生は普段の講義環境により近い雰囲気 で講義を受けることができ、講師も普段通りの授業スタイルで進めることができる。もちろん受 講生のPCでは、Aの映る画面を全画面表示にして受講する。 4 3 ビデオ会議システムを応用した授業スタイル2 次に、パソコン2台とスクリーンまたは液晶画面を使用し、ビデオ会議を2つ同時に立ち上げ ることで、複数のゲストスピーカーが遠隔地から参加可能となる。(図3)「ビデオ会議①」の ゲストPCを介してゲストスピーカーD、Eがスクリーンまたは液晶画面に映し出され、進行役 . 図2 ビデオ会議システムの応用1
Aと共に「ビデオ会議②」のホストPCを介して受講生に映し出される。これにより遠方などで 移動時間が妨げになり参加の難しかったゲストスピーカーの講話も実施可能となる。 4 4 ビデオ会議システムを応用した授業スタイル3 さらに、1台のパソコン(PCあ)を追加し、「4 3 ビデオ会議システムを応用した授業 スタイル2」で「ビデオ会議②」受講者用に据えていたホストPCをゲストPC②とし、ホスト PCを「PCあ」に置く。(図4)ゲストPC②をカメラとして使用することで、遅延者の招待 . . 図3 ビデオ会議システムの応用2
などAの講話の妨げになる作業をホストPCの担当Fに委任することができる。授業の場合、F はクラスリーダー、ゼミナール委員長でも良い。この場合、常にホストPCの画面が受講者画面 に表示されないよう設定を行うと良い。
4 5 ビデオ会議システムを応用した授業スタイル4 「4 3 ビデオ会議システムを応用した授業スタイル3」のカメラをホストでなくゲストP C②に置く応用を活かすことで、授業内の個別の面談や面接形式の試験なども対応が可能になる。 (図5)まず、ホストPCまたはゲストとして参加したゲストPCより、Aまたは面接者1・2 より個別の面談や面接形式の試験における受験者全員に対する説明を行う。 受験者全員に対する説明の後、受験者は全員一度「退出」するが、Zoomを終了せずに継続し て使用すれば、各受験者指定の面接・面談時間に、再度「全員に対する説明」の招待時と同じ URLから参加することができ、ホストPCによって参加が承認されると面接者の画面に表示さ れることとなる。(図6) . . 図5 ビデオ会議システムの応用4
さらに、ゲストPC②を追加すれば、面接の状況を別室で見ることが可能となる。(図7)
図6 面接・面談時の配列1
4 6 ビデオ会議システムを応用した授業スタイル5 Zoomでは「ブレイクアウト・ルーム」という機能がある。グループワークなどを行う際に、 ホストが決めたメンバーで参加者がグループに振り分けられる。しかしながら、指導教官が一人 の場合、ブレイクアウトされたどちらかのルームに入室し指導を行っていると、他のルームから の声が聞こえづらくなる。従って、PCの設備環境にもよるが、グループの数だけPCを用意し、 グループワーク時に新しいZoomを立ち上げることが望ましいと感じた。(図8) . 図8 グループワーク時の配列
4 7 ビデオ会議システムを応用した授業スタイル6 iPadなどのモバイル端末を使用し、移動しながらの配信、実技を撮影しながら配信する場合に も、ビデオ会議システムを使用することができる。特に受講者からのコメントを求める場合、ゲ ストPCとして繋いだもう1台の端末よりコメントに対して返信することが可能となり、コメン ト担当者Aが返信を行う。(図9) . 図9 実技や移動を伴う撮影・配信
5.おわりに
緊急事態宣言が出され、遠隔授業の教材として動画での授業配信が必要とされた4月中旬に、 「MicrosoftOfficeのPowerPointソフトを使用したmp4動画の作り方」5をYouTubeにて配信した
ところ、1週間で約5,000回の再生回数が見られた。あまりに急な休校措置とそれに手探りで対 応していかなければならない大学教職員の状況を物語る。個人が研究するホテル、ブライダル業 界に関してもビデオ会議システムを利用しての婚礼打ち合わせなど対応に追われながらシステム を構築していった。今後、コロナウイルス感染症が完全に収束したとしても一部で遠隔ビデオ会 議形式の授業が残るであろう。前期定期試験ではオンラインアンケートシステムのGoogle Formsを利用して遠隔地で登校のできない学生も受験ができた。一部登校した学生に関しても Google Formsを使用したが、試験前の注意として「テキスト、プリント資料、筆記用具を全て しまってください。スマートフォンを出してください。」と伝えた。コロナウイルスの感染が始 まる前は「テキスト、プリント資料、スマートフォンは電源を切って、筆記用具以外全てしまっ てください。」と案内していたはずだ。自分の発言に驚いたのを記憶している。それでも、 Google Formでの解答後に「送信ボタン」を押すと同時に各自の点数と正解が見られるなど、良 い点を発見することもできた。急な生活環境の変化は、大学の生活にも大きな影響を与えている が、これを機に今までの授業提供形式、授業運営方法を見直すこともできた。今後も機器類をう まく活用し、より効果的で教育効果のあるシステムを考えていきたい。 注 1.臨時休校を要請する考えを表明するにあたり首相発言のポイントは以下の通り 一、子どもたちや教員が長時間集まることによる感染リスクに備える 一、全国全ての小中高、特別支援学校に3月2日から春休みまで臨時休校を要請する 一、入試や卒業式などの実施は必要最小限の人数に限って開催するなど万全の対応を求める 一、民間企業は休みが取りやすくなる環境を整え、子どもを持つ保護者に配慮してほしい 一、措置に伴って生ずる様々な課題に政府として責任を持って対応する 一、感染拡大を抑制し、国民生活や経済への影響が最小となるよう必要な法案を早急に準備する 2.Zoomは、Zoom Video Communications,Inc.が提供しているビデオ会議ツール、ソフトウエア。
パソコン、スマートフォンなどあらゆるデバイスでビデオ会議を開催できる。コロナ禍での遠隔 授業にあたり、Zoomを用いてライブでの授業を配信する教育機関も多い。また、教育機関の使 用では接続時間を無制限としたことで話題となった。
3.Teamsは、MicrosoftCorporationが提供しているビデオ会議ツール、ソフトウエア。事前にメン バーを参加チームに登録し、ミーティング時間になると各メンバーが主催者の承認なく会議に参 加できる。
4.最近では「WEB会議」、「オンライン会議」とも言う。
5.「MicrosoftOfficeのPowerPointソフトを使用したmp4動画の作り方」は、普段使用することの多 いマイクロソフトのパワーポイントのオプション機能を利用した動画の作り方を紹介している。
参考文献
『日本経済新聞』 日本経済新聞社, 2020年3月
YouTube動画『MicrosoftOfficeのPowerPointソフトを使用したmp4動画の作り方』, https://youtu.be/M_VJY1rSGU8 2020年4月.