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上海の教育改革と科学教育

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Academic year: 2021

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(1)上海 の教育改革 と科学教育 有 賀 克 明. は じめ に. 中 国 の と くに大 都 市 で は 、想 像 を は るか に凌 駕 す る ス ピー ドで 走 って い る この 国 の 姿 に さ ま ざ ま な場 所 で接 す る こ とが で き る。 た とえ ば上 海 市 。 け っ して 誇 張 で な く、 時 々訪 れ るそ の た び に、 林 立 す る近 代 的建 築 物 、 い く らか マ ナ ー の よ くな った 公 用 ・自家 用 の乗 用 車 、 高架 ・高速 道 路 や 地 下 鉄 建 設 な どの交 通 網 、 ハ イ テ ク電 化 製 品 を は じめ デパ ー ト ・商 店 に あふ れ返 る 多種 多 様 な商 品等 々が 、急 速 な増 加 ぶ り、整 備 ぶ りを見 せ て い て、 ど この国 の ど の時 代 に も これ ほ どの急 テ ン ポ な変 化 は な か った の で は な い か と思わ され 、感 嘆 させ られ る。 ほ とん ど あ きれ るほ どで あ る。 1987年 の初 め て の訪 中 の 時 に は もち ろ ん 、92年 に上 海 に2ヵ 月 半 ほ ど滞 在 して 少 して い ね い に 市 内 を 見 た と きで も、 市 内 い た る と ころ大 騒 音 と大 粉 塵 を ま き あげ て の工 事 現 場 だ らけ で あ っ た の だ が 、 そ れ か らわず か5年 後 に 現在 の よ うな姿 に移 り変 わ って い るだ ろ うとは ま ず 想像 不 可 能 で あ った 。 ア ジ アマ ネ ーの膨 張 に も よほ ど翳 りが見 え て きて 、 中 国 の経 済 発 展 も これ まで の よ うな 一 本 調 子 とい うわ け に は い か な い との 見方 が広 が って は い る。 そ れ は 正 しいだ ろ う。 そ れ に して も、 経 済 活 動 の み な らず 、社 会 活 動 、文 化 ・学 術 方 面 の活 動 、そ して 教 育 方 面 と、 中 国 の 人 々が 各 分 野 で見せ る 「 顔 つ き」 の 生 きの よ さは相 変 わ らず で 、先 進 国 と呼 ばれ る 国 々 の人 た ち か らは ず い ぶ ん 陰 を ひ そ め て し ま った ギ ラギ ラ感 が 吹 き出 て い る。 こ うした 中 国 の 「勢 い 」 は 、 筆 者 の 専 門 分 野 と して の科 学 教 育 方 面 に も当然 反 映 して い て 、 か の 地 で は い ま、 国 を 挙 げ て の 科 学 教 育振 興 ま っ さか りで あ る。 国 は もち ろん 、 各 地 方 で 、 各 学 校 で 「科 教 興 市」 を ス ロ ー ガ ンに 科 学 技術 教 育 の 発展 に取 り組 ん で い る。 もち ろ ん科 学 だ け で は な い 。 そ もそ も これ まで 学 校 教 育 と無 縁 の 状 態 に お か れ た お び た だ しい数 の民 衆 が 、 中 国 全 土 で基 礎 教 育 を 保 障 され て 、 学 ぶ こ とが 豊 か に な る こ とに つ な が る とい う、近 代 教 育 の功 利 作 用 を 味 わ い 始 め た のだ 。 長 い こ と社 会 的 低 位 に 甘 ん じて きた教 育 、学 校 、教 師 が どん どん元 気 にな っ て き て 、 そ こで 学 ぶ 民 衆 の 子 ど もた ちが い っそ う元 気 に社 会 に 出 て い って活 躍 を始 め る。 そ うい う循 環 の中 に 、 今 の中 国 の 発 展 が うま く組 み 込 まれ 加速 して い る よ うな気 が す る の で あ る。 矛 盾 も あ る。 発 展 に 逆 行 や 破 壊 は つ き もの だ 。 急速 す ぎる発 展 が もた ら した地 域 や 人 々 の 間 の 富 の不 均 衡 はす で に 日本 で も よ く知 られ て い る。(1)学 歴社 会 構 造 へ の急 接近 に よ る 苛 烈 な 受 験 競 争 が 招 い た子 ど も ら の人 格 発 達 上 の 困 難 は 、 親 を 含 む まわ りの 大 人 の 問題 と して も深 刻 化 した 。 い じめ や 怠 学 、 そ して極 度 の拝 金 主 義 。 世 界 的 な 驚 きを も って 賞 賛 され た 日本 の高 度 経 済 成 長 を 上 回 る速 度 を誇 る、 中 国経 済 の発 展 に 符 丁 を 合 わ せ る よ うに 、 中 国 の 子 ど もた ち の 、 生活 と教 育.

(2) の 現場 に おけ る 「崩 れ 現 象 」 もま た、 日本 以 上 の早 さで 立 ち 現 れ よ う と して い る。 中 国 で い ま、 こ う した 事 態 を どの よ うに 自覚 し、 多 岐 に わ た る 問題 を ど うい う戦 略 で 克 服 して い こ う と して い るの か 。 酷 似 す る状 況 を 一 度 通 り過 ぎ、 そ して また 質 の異 な る困難 に 直 面 して い る 日本 に とって 、 今 日 の 中 国 の動 きを観 察 ・分 析 し、 そ こか ら学 び と ろ うとす る努 力 は け っ して 無駄 で は あ る まい と思 う。 筆 者 は、1997年10月 、 中 国 上 海 市 に あ る華 東 師 範 大学 の 招 請 を 受 け て 当 大学 の研 究 生 院(大 学 院)を は じめ 、 上 海 市 内 お よび 国 内数 ヵ所 の 初 級 ・高級 中学 校(日. 本 の 中学 ・高校 一 以下 と くに. 必 要 の な い限 り単 に 中 学 校 、 高 校 と表 記)で 講 演 会 や談 話 会 を もち 、 日本 の科 学 教 育 の 現 状 や教 育 改革 を め ぐる動 向等 を 報 告 した ほか 、 中 国 に お け る そ れ らの 問 題 に 関 して 聞 き取 りを 中 心 に資 料 、情 報 を収 集 した 。 国 内 の政 治 的 安 定 や 経 済 発 展 に ともな って 、 中 国 の教 育 に つ い て の 現 状 は 日本 で も だ い ぶ知 ら れ る よ うに な って きた が 、 そ れ で も制 度 や 運 用 の 細 部 に わ た る情 報 に は 限 りが あ る。 この た び の訪 中 で 得 られ た も の の中 に は 日本 で は ほ とん ど知 られ て い な い情 報 も含 ま れ て い る の で 、 まだ整 理 不 十 分 で は あ る が ここに 公 表 して お き た い。 これ ら情 報 等 は 聞 き取 りが 多 か っ た こ と もあ っ て、 必 ず し も確 実 な原 資 料 の 判 明 して い る もの ば か りとは 限 らず 、 確 認 が な され て い な い もの も少 な くな い 。 そ の こ とをは じめ に お 断 りして 、今 後 の 調査 研 究 の継 続 に よ る充 実 を期 す こ とにす る。. 1制. 度 の弾 力 的 運 用 一教 育 界 の 「 一国二制度」. 「一 綱 一本 」 と 「多 綱 多本 」 中 国 で は従 来 、 いわ ゆ る 「 一 綱 一 本 」 が 国 家 教 育委 員会(日. 本 の文 部 省 に あた る)の 方 針 で あ. り、 全 国 を覆 う原 則 で あ った。 これ は 教 育 基 準 と して 、全 国統 一 規 格 の教 学 大 綱(日 本 の学 習 指 導 要 領 に あ た る)と そ れ に基 づ く一 種 類 の 教 科 書 の み を 承認 す る とい うこと を意 味 して い る。 し か しそ の後 、開 放 改 革 の 呼 び声 とそれ に よ る経 済 ・社 会 の発 展 に 合 わ せ る よ うに、 国 家 教 委 は教 学 大 綱 は一 本 の全 国統 一 の もの と しつ つ も、 教 科 書 に つ い て は 多 本 、 つ ま り地 域 の 特 性 、実 態 に 合 わ せ た 独 自の編 集 を 認 め る に至 った。 複 数 種 の教 科 書発 行 を 許 可 した の で あ る。 いわ ゆ る 「 一 綱 多 本 」 で あ る。 この場 合 、地 域 の特 性 とか 実 態 とい うの は 、 主 と して そ の地 域 の経 済 発 展 状 況 を 指 して い る と言 って よい。 現 在 、全 国 的 に は 沿 海都 市 部 、 発達 地 区 、農 村 部 、 辺 境 地 区 な ど発 達 度 合 い の異 な る4地 域 程 に分 類 され(2)こ れ ら地 域 の実 情 に 合 った教 科 書 が編 纂 さ れ る よ うに な って い る。 さ らに 中 国 中央 政 府 は 、上 海 市 の強 い 要 望 を 受 け る形 で1988年 、 同市 に対 し特 別 の 権 限 を与 え た 。 そ の一 つ は、 教 学 大 綱 とは別 に、 教 育 課 程 ・内容 に 関す る 上海 市 独 自の基 準 を 持 つ こ と を認 め た もの で あ る。 い ま一 つ は 、や は り全 国 的 に 統 一 され た形 で 行 な わ れ て い る大 学 入 試 制 度 につ いて 、 上海 独 自の入 学 試 験 実 施 を容 認 した こ とで あ った。.

(3) 日本 で も とて も考 え られ な い よ うな 、 教 育制 度 に関 す る 「自由度 」 を 上 海 市 は 手 に 入 れ た の で あ る。 郡 小 平 の 改 革 開放 原則 、 そ して 香港 返 還 問題 で発 揮 され た 「 一 国 二 制 度 」 とい う便 法 が 思 わ ぬ と ころ で応 用 され た と言 え る で あ ろ う。 と ころ で 以 前 に も指 摘 した こ とが あ る が(3)、 中国 では も と も と政 策立 案 や執 行 過 程 で 思 わ ぬ 柔 軟 さ、弾 力性 を示 す こ とが あ る。 融 通 無 碍 と言 うか 、 い い 加 減 な 、 と思 わ され る よ うな こ と に も しば しば 出会 うの で あ るが 、 た とえば 「学 制 」 もそ うい う弾 力 的 な一 面 を持 っ て い る。 つ ま り初 等 ・中 等 学 校 の修 学 年 限 に つ い て の 弾 力 性 で あ る。新 中 国成 立 後 、小 中10年 制 な ど い く通 りか の 試 み を 経 て 、1992年 の 「学 校 系 統 改 革 案 」 で 六 ・三 ・三 制 が基 本 学 制 と な った 。 しか し部 分 的 に は 五 ・三 ・三 制 、 五 ・四 ・三 制 な どの試 行 も行 なわ れ て い る。 国家 教 育 委 員 会 「九 年 義 務 教 育 全 日制 小 学 ・初 級 中 学 課 程 計 画」 で 認 め られ て い る こ とで、 同文 書 「実 施 要 求 」 の 項 で 、 この 課 程 計 画 は 小 学 五 年 ・中 学 四 年 の 「 五 ・四」 制 、 同 じ く 「 六 ・三 」 制 、 そ して 過 渡 的 制 度 と して の 「五 ・三」 制 の い ず れ に も適 用 され る と して お り、 さ らに 「九 年 一 貫」 制 は 「五 ・四」 制 を参 考 に構 成 す る よ う指 示 され て い る。 従 っ て これ は も ち ろん 上 海 だ け の 特 例 だ とい うわ け で は な い。 この学 制 の弾 力運 用 は 、主 と して 中学 校 で普 通 教 育 の 課 程 を 完 成 させ る た め の み な らず 、 職 業 技 術 に 関す る学 習 と労 働 技 能 の十 分 な 養 成 を 図 る こ とを 意 図 した もの で あ る。 ま た就 学 人 口 の変 動 に合 わ せ た調 節 機 能 的 な意 味 も あ る と され 、 上 海 に お け る運 用 な どは この側 面 が 強 い と言 え る か も しれ な い。 す なわ ち、 初 等 教 育 人 口が 膨 張 して い る と きは初 等 第5学 年 ま でを 小 学校 と し、 6年 生 か ら9年 生 ま でを 初 級 中 学 校 期 間 とす るの で あ る 。 さて 、 上 海 市 は 義 務 教 育 法 施 行 の1986年 、 教 育課 程 ・教 育 内容 の基 準 を 示 す 「教 学 大綱 」 の 実 質 改 革 を 開 始 した 。 これ が 先 に 述 べ た 、 上海 市 独 自の教 学 基 準 を もつ こ と、 す な わ ち 教 育課 程 ・ 教 育 内 容 に 関 す る施 行 基 準 を 、 国 家教 委 の教 学 大 綱 と別 に持 つ こ とで あ った 。 そ の 上 で 、一 つ の 教 学 基 準 に 対 して 複 数 の 種類 の 教 科書 編 纂 ・発 行 を認 め た の で あ る。 い わ ゆ る 「多綱 多本 」 で あ る。 もち ろ ん 「多」 とは い って も実 際 に は 国家 教 委 に よ る 教 学 大 綱 と上 海 市 教 育 委 員 会 に よ る 「義 務教 育 課程 標 準」 の2種 類 とい う こ とに な る。 基 準 が2種 あ る とい うの も妙 な も の で あ る。 実 は 、 国 家 教委 に よ る大 綱 は 、上 海 市 に あ っ て は い わ ば必 要 最 低 基 準 を示 した もの と して捉 え られ て い る。 つ ま り全 国統 一 の大 綱 は いわ ば 最 低 限 度 満 た され る べ き条 件 を示 した も ので あ って 、 そ の 前提 の も とに上 海 市 独 自の 内容 を 上 乗 せ す る もの が上 海 市 教 委 の教 育 課 程 標 準 だ と い うわ け で あ る。 順 調 な経 済 発 農 は教 育 水 準 の 高 い 市 民 を 形 成 して こそ 維 持 され 、 更 に 引 き上 げ られ得 る とい う教 育投 資 論 が幅 を 利 か せ て 、 そ の 結 果 、 教 育 界 に も さ ま ざ ま な形 の 「一 国 二 制度 」 とい うべ き二 重 構 造 が作 り上 げ られ て い る と言 って よか ろ うか 。 い ず れ に せ よ、 多 綱 多 本原 則 へ と急 展 開 して い った 上 海 の教 育 課 程 行 政 の も とで 、 じわ りと、 と い う感 じで は あ るが 教 科 に よ って は複 数 種 の教 科 書 が 発 行 され る よ うに な って きた。 教 科 書 が 上 海 市 の み で発 行 ・採 用 され る よ うに な る前 は、 国 家 教 委 の 方 針 に 即 した形 で 、上 海 の場 合 も同 市 と周辺3省 協 同 の統 一 教 科 書 を作 っ て いた のだ が 、 限 定 され た 教 科 で あ る に せ よ、 と うと う一.

(4) 地 域 で 、 しか も複 数 発 行 とい う 「快 挙 」 を成 し遂 げ た の で あ る。 上 海市 で は 、 た と え ば語 文(国 語)に つ い て は 現 在 二 つ の教 育 大 学 が そ れ ぞ れ 持 ち 味 を発 揮 し た 教 科 書 作 りを 行 な っ て い る。 華 東 師 範 大 学 編 纂 に よ るH版. と、上 海 師 範 大 学 に よ るS版 の二 種. 類 で あ る。 理 科 は 、 上 海 市 の教 育 課 程 上 は従 来 か らの 分 科 型 の科 目(「 物 理」 「 化 学 」 「生物 」)と 総 合型 科 目(「理 科 」)と が あ る。 分 科 型 を と るか 総 合 型 を 選 ぶ か は学 校 ご との 決 定 に 委 ね られ る。理 科 の 教 科 書 に つ い て は、 物 理 と化 学 でそ れ ぞ れ 二 つ の 出版 社(上. 海 教育 出版 社 、上海 科学 技術 出版. 社)か ら発 行 され て お り、各 々の 内容 構成 に は か な りの 違 い が 認 め られ る。(4)各 学 校 で 、どち ら の教 科 書 を 採 用 す るか に つ い て は学 校 独 自の 判 断 は 許 され な い。 市 内各 区 の 教 育 委 員 会 が 区 内 学 校 の 教 科 書 採 用 権 を握 っ て い る とい うこ とで あ る。 また 、 後 述 す る教 育 内容 改 革 に 沿 って新 しい 教 科 書 作 りも模 索 され て い る。 た とえ ば、 華 東 師 範 大 学 化 学 系 の範 傑 教 授(国 家 教 育委 員会 中 小 学 教 材 審 査 委 員)が 特 殊 な構 想(STS教. 育)の 下 に 構 成 、提 案 した 新 しい 教 科 書 「自然科 学 」. な ど はそ の一 つ で あ る。 教 科 書 作 りに おけ る こ う した 競 合 の故 か 、 特 に 中 学 校 の理 科 関 係教 科 書 は全 国的 に も高 い評 価 を得 て い る とい う。 上 海 に お け る現 行 の大 綱 、理 科 課 程 表 、 教 科 書 等 に つ い て は 、別 稿 を 参 照 され た い 。(5) な お、 なぜ 国語 と 自然 科 学 関係 の教 科 のみ が 二 種 類 の発 行 に至 って い るの か に つ い て は 、 な ん らか の教 育 行 政 的 な判 断 が あ る の か 、 あ るい は 編 集 発 行 にか か わ る主 体 的 な 条 件 の 問題 が存 在 し て い る のか 、必 ず し もは っき りしな い。 た だ 上 海 市 教 委 は、 子 どもの 転 校 に よ る不 便 を理 由 に 教 科 書 を一 種 類 化 し よ う と試 み て い る とい う情 報 も あ り、 そ のへ ん が関 係 して い る可 能性 もあ る。 よ りよい教 科 書作 りとい う課 題 と教 育機 会 ・水 準 の均 等 、公 平 の保 持 を 両 立 す る こ とは 中 国 に お い て も 日本 同様 困難 な 問題 で あ る よ うだ 。. 大 学 入 試 制 度 の 二 重制 中央 政 府 が 上 海市 に 与 え た特 権 の も う一 つ は 、 大 学 入 試 に 関 し て 市 独 自 の 措 置 を と る こ と で あ っ た。 しか も この入 試 制 度 改革 は、 「多綱 多 本 」原 則 と密 接 に関 連 し、 さ らに 言 え ば 教 育 改革 全 体 の要 に も当 る部 分 の 改 革 な の で あ る。 そ うい う重 要 な制 度 に関 して 二 重 構 造 を 認 め る とい うの は た いへ ん な こ とな の で あ る と思 うの だ が、 新 しい方 針 に沿 っ た大 学 入 試 は 粛 々 と行 な わ れ て い る。 一 般 に 中 国 の 大 学 入試 は 全 国統 一 入学 試 験 と して実 施 され 、受 験 生 は そ の成 績 に よ り入学 大学 が決 定 さ れ て い く。従 って 、 大学 の序 列 が いわ ば公 的 に決 定 され る よ うな もの で 、 そ の 意 味 で 日 本 よ りも大 学 ラ ンキ ン グの程 度 は厳 しい。 文 革 で徹 底 的 に破 壊 され た 教 育 制 度 が 息 を ふ きか え す と同時 に 人 々が こぞ って 求 め だ した 高学 歴 切 符 が 、 中 国社 会 を一 気 に 学 歴 取得 競 争 社 会 へ と変 質 さ せ る こ とに な った 。一 人 っ子政 策 が これ に 拍 車 をか け る。 受 験 教 育(中 国 で は 「応試 教 育」 と 呼 ぶ)が 過 熱 す るに と もな い 、子 ど もた ち の間 の人 間 関 係 が損 なわ れ た りゆ が ん だ りす るだ け で な く、 よ うや く競 争 に 打 ち 勝 って 大学 を卒 業 した もの の 、職 業 現 場 や 生 活 の 中 で 役 に 立 つ よ うな.

(5) 能 力 を ほ とん ど身 に つ け て い な い ば か りに仕 事 や 生 き方 に 自信 が 持 て なか った り、 周 囲 か ら疎 ん じられ た りとい う皮 肉 な 事 態 も少 な か らず発 生 し、教 育 関係 者 の注 意 を 引 きつ けた 。(6) こ うした 問 題 が 起 こ った と き、 あ る い は 問題 の存 在 を 自覚 した とき、 手 遅 れ に な ら な い うち に 適 当 な 方 策 が とれ るか ど うか で 、 事 態 が 解 決 に 向 か う可能 性 に大 き な 開 き が 出 て くる。 上 海 市 で は 、 全 国 統 一 大 学 入 試 に か わ る市 独 自の 大 学 入学 試 験 を実 施 す る とい う前 代 未 聞 の手 段 を と る こ とを 、 中 央 政 府 に 認め させ た の で あ った 。 そ の よ うな 方 法 が 中等 教 育 以下 の教 育過 程 で お こ って い る さ ま ざ まな 現 象 に 対 し、 急 ブ レーキ を か け 、 あ るい は逆 に ア クセ ル を踏 む こ とを可 能 に す る と考 え た の で あ る。 市 が どん な に 理 想 的 な 教 育 課 程 ・教 育 内 容 を 独 自に措 定 し、 それ にふ さ わ し い教 科 書 を作 って優 れ た 教 師 に よる授 業 を 展 開 した と ころ で 、教 育 階梯 の最 終 コー ナ で あ る大 学 入 試 の 内容 が、 それ ら と別 も の で あ る国 の 大 綱 に 基 づ い て作 られ た もの で あ った ら、上 海 市 の 努 力 は報 わ れ に く くな る。 つ ま り改 革 が 頓 挫 して し ま うの で あ る。 カギ は 大学 入試 の 内容 と水 準 を も上 海 市 独 自の教 育 基 準 に マ ッチ した 独 自の もの に す る こ とだ った の だ 。上 海 で初 等 中等 教 育 を 受 け た者 は上 海 市 の実 施 す る大 学 入 試 を 受 験 す る。 こ うい う極 め て 明快 な論 理 の も とで 、上 海 市 の教 育 改革 は初 め て そ の軌 道 に乗 る こ とが で きた の だ った 。 市 教 育委 員 会 が定 め る課 程 標 準 に よ り行 な わ れ る高 校 まで の 教 育 内 容 ・水 準 に も とつ い て 実 施 され る試 験 は 、 当然 国家 教 委 に よる統 一 試 験 よ り難 度 が 高 い もの も含 まれ る し、 ま た 全 国統 一 大 綱 の範 囲外 の 内容 もあ りうる。 そ してそ の逆 も また あ り うるが 、 上 海 戸 籍 の 受験 生 は 原則 と して 上 海 市 実 施 の試 験 を受 験 す る こ とに な る。 他 地 域 の 出身 で な ん らか の 理 由に よ り上 海 市 内 に 住 む 学 生 は全 国統 一 試 験 を受 けれ ば よい が、 上 海 市 の試 験 を 受 け て も よい こ とに な って い る。 上 海 市 内 の学 校 に 在籍 し始 め た 時期 に よ る有 利 不 利 を 自分 で判 断 して 選 べ ば よい の で あ る 。 また他 地 方 に 住 む学 生 は 上海 市 内 の大 学 入 学 を希 望 す る場 合 も全 国 統 一 試 験 の 方 を 受 け る。 もち ろ ん一 般 に 市 内 で 高校 時 代 を過 ご して きた受 験 生 は上 海 市 の実 施 す る入 試 を 受 け る方 が 有 利 な の で 、 そ うす る者 が圧 倒 的 に 多 い とい うこ とで あ る。 さて こ うな る と全 国統 一 試 験 の 合格 者 数 と、上 海 市 に よる試 験 の合 格 者 数 を 、 全 国 各 大学 の 入 学 定 員 に 対 して ど う振 り分 け るの か とい う問題 は大 変 興 味 深 い と ころで あ る。 上 海 市 教 育委 員 会 の も とに は 「高 等 学校 招 生辧 公室 」(高 等 学 校 は 中 国 で は 大 学 を 意 味 す る。 した が って 、 「大 学 入 学 事 務 室 」 とで もい うべ き機 関 。)が お か れ 、各 大学 の 入学 者 数 の配 分 は 、大 学 と協 議 しつ つ こ こ で 決 定 され る。 す な わ ち 、 入学 試 験 前 に 受験 生 の志 願 状 況 か ら勘 案 して お よそ の配 分 数 を 決 め る。 入 学 試 験 実 施 後 の成 績 は す べ て 同辧 公 室 に 集 中 され 、 こ こで各 大 学 の入 試 成 績 合 格 ラ イ ン と入 学 者 配 分 数 が 確 定 す るの で あ る。 受 験 生 は 自分 の成 績 が郵 便 で送 られ て くる の で 、公 表 され た 各 大 学 合 格 可 能 ラ イ ンに した が って 入 学 校 を 決 定 す る こ とに な る。 大 学 入 試 に関 す る こ うした シ ス テ ムは 、広 東 で も部 分 的 に行 わ れ る よ うに な って い る とい う こ と で あ り、 政 治 力 の強 い経 済 発 達 地 区 を 中 心 に 、 今後 徐 々に広 が って い く可 能 性 もあ る の で は な いだ ろ うか 。 さ ら に全 国統 一 試 験 と い う、 一 発 で 合 否 を 決 め る選 抜 方 法 に対 して 、 や は り受験 準備 教 育 競 争.

(6) を 緩和 す る 目的 で 、 「高 中 会 考」 と い う制 度 を 取 り入 れ る地 域 も増 え て きた 。 「 高 中 会 考 」 とい う の は 、 市 や 省 で 共通 に実 施 す る高 校 で の教 科 修 業 試 験 の こ とで、 各 教 科 の終 了 時(複 数 年 度 に わ た る教 科 は 、 各年 度 末)に 生 徒 の到 達 水 準 を測 定 す る もの で あ る。 そ の 成 績 と統 一 入 試 の結 果 を 総 合 して 合否 判 定 を行 な うと い う方 法 で あ る。 上海 市 の 大学 入試 改革 の も う一 つ は推 薦 入 学 制 度 の採 用 で あ る。 日本 で は 目新 しい もの で は な い この 方法 の 目的 は、 個 性 的 な学 生 や 、一 般 入 試 で合 格 して入 る者 よ り優 秀 な 学 生 を 確 保 し よ う とす る意 図 もあ る もの の、 む しろ入 試 前 に推 薦 に よ り一 定 数 を 合 格 させ る制 度 を 普 及 させ る こ と で 、激 化 す る受験 戦 争 一義 務 教 育 に お け る入 試 圧 力 を 少 しで も緩 和 し よ うとい う狙 い が こめ られ て い る。 い わ ゆ る 「 応 試 教 育 」 か らの脱 却 の一 つ の方 法 で あ る。 市 内 の 師範 系 大学 は す で に これ を 採 用 して お り、 上海 大 学(前. ・上 海 工 業 大 学)も1994年. か ら実 施 して い て 、 こ うした 動 き は よ. うや く徐 々に 広 が り始 め て い る。 先 に述 べ た 「 高 中 会 考 」 の 成 績 で 推 薦 を決 定 す る とい うよ うな 試 み も 出て きて い る。. 入 学 基 準 の 二 重 制 一公 費学 生 と 自費 学 生 とこ ろで 成 績 や 志 望 状況 に よっ て 、各 大学 の入 学 手 続 き者 数 が 入 学 定 員 を 下 回 る こ と も当然 あ り うる。 そ の補 充 は 、 い わ ば補 欠 合 格 の措 置 に よって 行 な わ れ る こ とに な る 。 しか もそ こに は実 は 金 の力 が か らむ こ とが少 な くな い。 合格 ライ ンに何 点 足 りな い か に よ り、 大学 納 付 金 が決 定 さ れ 、 そ れ を支 払 えば 入学 が許 可 され る の で あ る。 払 うべ き金 が な け れ ば 入学 で きな い。 言 っ て み れ ば、 入 学 許 可 基 準 が 二 重 に な っ て い るわ け で あ る。 日本 の 常 識 か ら見 れ ば 、 これ は 困 った二 重 制 だ が 、 当地 で は 別 に 公然 た る秘 密 な ど と して で な く、 正 式 な 補 充措 置 と して実 行 され て い る の だ か ら驚 く。 さ ら に、補 欠 と して で な く、 あ らか じめ 一 定 の人 数 枠 を こ うした 「 金 力 入 学 」(筆 者)に 当 て て い る大 学 も少 な くな い。 この よ うに して入 学 す る学 生 は 「公 費 学 生=国. 家 計 画 の 学 生(無. 償)」. (国 家 予 算 に よ り定員 が決 ま っ て い る)に 対 して 「自費 学 生」 と呼 ばれ て い る。 た だ し現 在 は国 家 計 画 の学 生 も一 定 の学 費 を納 め る こ とに な っ て いて 、 高 等 教 育 の無 償 制 は 消 失 し て い る。(そ の 結 果 中途 退 学 を 余儀 な くされ る 「 貧 困学 生 」 問 題 が 少 な か らず発 生 して お り、補 助 金 制 度 な ど も実 施 され つ つ あ るに は あ るが 、 中 国 高等 教 育 制 度 の 一 つ の アキ レス腱 に な って い る。) 柔 軟 性 、 融 通 性 に富 む と言 えば 言 え な くも な いが 、 明 らか に経 済 力 に よる教 育 機 会 の不 平 等 で あ る。 長 い伝統 、 社会 全 体 の さ ま ざ ま な局 面 の発 展 に お け る ア ンバ ラ ン ス な ど、 複 雑 な 事 情 も あ っ て一 概 に 評 価 すべ き問題 とも思 わ な いが 、 さ りとて この ま ま継続 さ れ る こ とが 自然 とも思 わ な い。 各 レベ ル 教 育委 員 会 で ま と も に検 討 して い く必 要 の あ る課題 な の で は な いか と思 う。. 以上 見 て きた よ うに 、 中国 に おけ る教 育 行 政 は 、 しば しば い わ ゆ る 自由主 義 諸 国 に比 肩 す べ き、 あ る い はそ れ 以 上 の柔 軟 さ 、融 通 無 碍 を示 す こ とが あ る。 た だ し こ う した柔 軟 さ は法 制 と して で は な く、「決 定」 や 「通 知」 の よ うな形 を とっ て、い わ ば 上 か らお ろ され る こ とが ほ と ん ど で あ る.

(7) か ら、 そ の 「 決 定 」 に 至 る プ ロセ ス とは 無 関 係 に 、 あ る種 の脆 弱 さ が常 につ き ま と うとい う宿 命 が 潜 ん で い る こ とに は 注 意 して お くべ きで あ ろ う。 中央 の方 針 が変 わ れ ば、 あ る 日突 然 制 度 が ご 破 産 に な る とい う、 従 来 少 な か らず 見 られ た変 化 の仕 方 で あ る。 しか しなが ら、 そ うした傾 向 も 経 済 活 動 の 国 際 化 や 近 代 化 の進 展 と と もに法 治 主 義 的側 面 の強 化 が進 ん で改 め られ て い くに 違 い な い 。 教 育 制 度 や 教 員 養 成 な ど、 教 育事 業 に 関 して も義 務 教 育 法 を は じめ 、 教 育 法 、 教 師法 な ど 次 々に 整 備 され て い る こ とか ら もそ うい う状 況 に至 る の は時 間 の問 題 だ とい うこ とを感 じ させ ら れ る。. 2義. 務教 育 発展 の た め の制 度 改 革. 重 点学 校 の 改廃 問題 一 中学 入 試 の廃 止 先 述 した よ うに 、 中 国 の義 務 教 育 は 法 整 備 が 行 わ れ た1986年 を も って そ の元 年 と い うこ と が で き る とす れ ば 、 日本 に遅 れ る こ と ち ょ うど100年 とい うこ とに な る。 中 国 で は 「 九 年 制 義 務 教 育」 とい う言 い方 をす る こ とか ら も類 推 され る よ うに 、 以 前 は初 等 教 育 の 小学 校 段 階 だ け で 、 あ る い はそ の途 中 で学 校 を 終 え る人 々 も非 常 に 多 か った 。 む ろ ん そ れ で も、学 校 に 行 くこ とな くい わ ゆ る文 盲 と して生 き て い く、 社 会 的 下 層 の 人 た ち に 比 べ れ ば恵 まれ て い る とい うこ とに な る。 文 革 後 の教 育 立 て 直 しは 経 済 発 展 を 担 う人材 養 成 を焦 眉 の急 と して いた か ら勢 い エ リー ト教 育 に 走 る こ とに な る。 これ は 学 校 教 育 体 系 だ け で は まか な い切 れ ず 、 校 外 教 育機 関 と して の少 年 宮 や 少 科站(少. 年 科 学 技 術 教 育 セ ンタ ー とで も呼 ぶべ き校 外 活 動 拠 点)、 そ の他 に ま で そ の 使 命 が. の しか か って い くこ とに な るの で あ る が 、 と くに大 き な役 割 を 果 た した の が復 活 され た重 点 学 校 で あ る 。 い わ ば エ リー ト学校 と して 国や 地 方 政 府 に よ って 指 定 され た特 別 の地 位 を 与 え られ た学 校 で 、 当然 重 点 的 に 多額 の 予 算配 分 を受 け、 選 ばれ た 生 徒 た ち に優 れ た応 試 教 育 を 施 す 。 重 点 中 学 ・高校 の卒 業 生 は重 点 大学 の学 生 と な って や が て 国 家 枢要 の 人物 と して活 躍 す る こ とが 期 待 さ れ る。 とい う こ とだ か ら これ は も う完璧 な立 身 出世 コ ース そ の もの な の で あ る。1950年 代 に は重 点 小学 校 、 中学 校 が存 在 し、文 革 で い った ん廃 止 され た が 、 郡 小平 の復 活 と ともに 息 を 吹 き返 し た(教 育 部:78年1月. 「重 点 中 小学 校 施行 方 案 」、80年10月. 「 重 点 中学 校 の段 階 的 運 営 に 関 す る決. 定 」)。そ の後 都 市 部 を 中 心 に 大 量 の 受験 生 が極 度 に狭 い 門 を め がけ て殺 到 す る こ とに な る。 「応 試 教 育 」 か ら の脱 却 を 図 ろ うとす れ ば 、 中学 校 の入 り 口で の この苛 烈 な 受験 地 獄 を解 消 し な くて は な らな い のは 火 を 見 る よ り明 らか な の で あ る が、 上 海 市 では 果 敢 に も初 級 中学 校 の 入 学 試 験 を 廃 止 す る とい う方 針 を 確定 した。1991年 の こ とで あ る。 そ の こ とは す な わ ち 重 点 中 学 校 (初 級 中 学)の 存 在 そ の もの を認 め な い とい う強 い態 度 の表 明で あ る。 矛 盾 の 原 因 は あ くま で 摘 出 す る とい う断 固 た る姿 勢 な の で あ る。 重 点 学 校 が あ るか ら、 全 て の 中 学 校 に 入学 試 験 が存 在 し た の で あ るか ら、 中学 入試 を な くす に は重 点 中 学 校 を 廃 止 す れ ば よい とい う、 こ こで も単 純 明快 な 論理 を押 し通 した の で あ った。 無 論 、 義 務 教 育 途 中 に 入 学 試 験 を 受 け な くて は な らな い と い う の は お か しい とい う、九 年 制 義 務 教 育 確 立 後 だ か ら こそ 成 り立 つ 議 論 を抜 きに して は生 まれ に く.

(8) い措置 で もあ った 。 さす がに しか し、 これ に は 予 想 以 上 に 強 い抵 抗 が生 じた よ うで あ る。 要 因 は 三 点 あ げ られ よ う。 一 つ に 、存 続 派 は あ くまで も郡 小 平 改革 直後 の 、今 で は 古 くな った 政 策(11期 三 中全 会=・第11期 中 央委 員 会 第 三 回 全 体 会 議 決 定1978年12月)を. 根 拠 と して 、 近 代 化 に 有 用 な 人材 を で きる だ け. 早 く養 成 す るた め に は 国 家 も投 資 して優 秀 な教 師 、 設 備 、 そ して 生 徒 を 集 め な くて は な らな い と 主 張す る決 定 を 錦 の御 旗 に した もの で あ っ た。 別 の一 つ は既 得 権益 擁 護 とい うか 、重 点 学 校 関 係者 が これ まで 受 け て きた さ ま ざ ま な利 点 を 守 ろ う とす る、 ど この世 界 に も見 られ る動 き方 で あ った と言 え る。 さらに 三 つ 目は 、 中学 校 の構 造 的 な問 題 で あ る。す なわ ち 中 国 の 中学 校 概 念 は 何 度 も述 べ る よ うに 日本 で い う中学 と高校 を あ わ せ た中 等 教 育 学校 で あ る。 と くに重 点 中学 とい うの は 初 級 中 学 と高級 中学 の併 設 一 貫 校 とな っ て い るの が 普 通 だ か ら、 も し も中学 入 試 を な く して 、 校 区 の 小 学 校 卒 業 生 の誰 もが重 点 学 校 の(も はや 重 点 で な くな っ た)初 級 中学 に入 る こ とが で き る とい うこ とにな る と、面 倒 な こ とが い ろ い ろ と起 こ って くる こ とは 想 像 に難 くな い 。 重 点 高校 を存 続 させ て い る限 り、 この面 倒 は容 易 に 回避 され な い の で あ る。 そ う した ことが らを 根 拠 と して 、 中 学 入 試 廃 止 反対 論 は なか なか 根 強 く抵 抗 し続 け た。 しか も実 は 、 重 点 学 校 の 校 長 は 、教 育 界 の縦 横 の 組 織 の 中 で実 績 もあ り発 言 力 が 強 く、 地 方教 育行 政 に あ って 政 策 の策 定 に 大 きな影 響 を 与 え て い る者 も多 い の で、 中学 入 試 と重 点 中 学 の廃 止 決 定 に至 る プ ロセ スは 極 め て 困難 に満 ち た もの だ っ た よ うで あ る。 しか し上 海 市 教 育 委 員 会 の強 力 な 改革 推 進 に よ り、 そ れ で も徐 々に 堀 は埋め られ て い っ た。95 年 に まず4校 の 中学 校 が 入 試 を 先 行 的 に廃 止 。96年 に 上 海 市12区 中8区 内 の全 て の 中学 校 が 、そ して97年 に は4校 の重 点 学 校 のみ を例 外 的 に残 して 全 市 的 に廃 止 とな った。 入試 にか わ る、 中学 へ の 生徒 配 分 原 則 は 「就 近 入 学 」、つ ま り 日本 で 言 う小学 区制 に近 い考 え方 に よ って い る。入 試 廃 止 の 例外 の4中 学 とは 華 東 師 範 大 学 付属 中学 、 上 海 中 学 、上 海 第 三 女 子 中学 、 上 海 外 国 語 大 学 付 属 中 学 の4校 の こ とで あ る。 これ らの学 校 は推 薦 制 の 導 入 を条 件 と して 当面 、入 試 を 存 続 す る こ とが 認 め られ た の で あ る。 全 国 的 に もい くつ か の 省 で 中 学校 入試 の廃 止 に 踏 み 切 っ て い る 地方 が あ る。 た と えば 吉 林 省 長 春 市で は区 立 の 中 学校 は100校 ほ どで あ るが 、す で に84年 頃 か ら入 試 を 廃 止 して 、 「就近 入 学」 原 則 に変 わ って い る。 この 原 則 を 支 え る た め の措 置 と して 、 た とえ ば長 春 市 第45中 学 校 で は 、 校 区 内の 入学 生 は 学 費 を 無 料 とす るが 、校 区 外 か ら入 学 す る も の か らは学 費 を徴 収 して い る。 こ うし て ほ とん どの 通 学 生 は校 区 内在 住 で、 各 学 校 の 成 績 は平 準 化 さ れ た。 結 果 、 全 市 的 に 中 学校 で の 「素質 教 育」(全 面 発 達 を め ざす 基 礎 的 な教 育)の 普 及 が 図 られ て い る とい う こと で あ る。. 重 点 中学 存 続策 と ころで 重 点学 校 の抵 抗 は これ で完 全 に 排 除 され たわ け で は な い。 巧 妙 と言 うか姑 息 と評 し よ うか、 は た また知 恵 を しぼ った もの よ と感 心 す べ きか 、 非 重 点 化 され た 中学 校 はそ の ま ま に 、 し.

(9) か し実 質 的 に まん ま と重 点 中 学 を 残 す こ とに成 功 して い る学 校 もあ る の で あ る。 そ の 方法 は とい うと、 同 一 敷 地 内に あ る 自校 の 中 学 部 は 非 重 点 中学 と して存 続 させ つ つ 、別 の場 所 に 私立 学 校 と して 新 た に 中 学 校 を 併 設 す る とい う方 法 を とる こ とで あ る。 中 国 で は 公立 学 校 が直 営 の会 社 や 工 場 、農 場 、 商店 な どを 持 ち(こ れ らを 「 校辧 産 業 」 とか 「 校辧 企 業 」 と呼 ぶ)、 さ ら に は学 校 を も 経 営 して い い こ とに な って い る か ら こそ 可能 な方 法 で あ る。(7) 私 が この た び 訪 れ た 上 海 の重 点校 の一 つ 、延 安 中学 は そ う したや り方 を採 用 してそ の エ リー ト 校 と して の 不 動 の 地 位 を 確保 して い る 。 少 な か らぬ重 点 学 校 が こ う した 措 置 を とっ て お り、 高学 歴 志 向 の親 の 支 持 を 集 め て い る 。 上海 市 の 重 点 中 学 は 現 在 、市 重 点 が26校 、 区重 点 が50校 、 あわ せ て76校 あ る。 近 年 、 上 海 市 は この うち 当 面11校 を 選 ん で 、郊 外 に最 新 設 備 を誇 る近 代 的 な校 舎 を建 築 、 移 設 して い るが 、 これ に 際 して市 や 区 は 一校 に つ き二 億 元 の 巨費 を投 じてい る。 いず れ も大 学 も顔 負 け の た い そ うす ば ら しい建 物 ・施 設 を 誇 る学 校 に な って い る。 過 当な 受 験 競 争 か ら子 ど もた ち を 救 い だ しつ つ 、 一 方 で義 務 教 育 を 普 及 充実 させ る た め に 、 中学 入 試 を 廃 止 して 重 点 学 校 の 中 学 部 を 非 重 点 化 す る政 策 を進 め る 上海 市 で あ る が 、他 方 で こ う した重 点 学 校 へ の手 厚 い 振 興 策 を と るの は 奇 妙 な 不 整 合 と して 映 る。 実 際 、 上海 の あ る大 学 教 師 は、 市 が この よ うな 巨額 な 学 校 建 設 費 を 注 い で重 点 学 校 の移 設 新 築 をす す め て い る とい う事 実 は 、市 民 に必 ず しも広 く公 表 され て い な い と証 言 して い る。 全 国 に先 が け て義 務 教 育 に お け る応 試 教 育 か ら の脱 却 、 受 験 競 争 緩 和 に挑 戦 す る上 海市 の 、 同 時 に 、教 育 レベ ル を 高 い水 準 に保 と う とす る苦 肉 の策 な の で あ ろ うか 。 初 級 中 学 と高 級 中学 の 分 離 、す な わ ち義 務 教 育 と義 務 教 育 後 教 育 とを は っ き りと切 り離 す こ とで 、 義務 教 育過 程 で 引 き起 こ され る さ ま ざ ま な 矛盾 、 問題 の解 決 を 図 ろ うとす るか の よ うで あ る。 一 方 、 高等 部 か ら切 断 され て重 点 学 校 と して の地位 を 失 った 中 学校 は 、学 校 に さ まざ ま な 特 色 を持 たせ る こ とで そ の特 殊 な存 在 意 義 を ア ピール し よ うとす る努 力 を 行 な って い る。 それ は 今 の と ころ、 「並 み」 の 中学 校 とは 違 うのだ とい うプ ライ ドに後 押 し され て い る感 もあ る が 、本 来 す べ て の学 校 で取 り組 まれ るべ き努 力 で あ る と言 って よか ろ う。 た だ しそ れ が 本 当 に 子 ど もに喜 ん で 受 け入 れ られ 、彼 らの健 全 な発 達 を保 障 す る も ので あ るな らば の 話 だ が 。. 特 色 を ア ピー ル す る重 点 学 校 一二 つ の 実 例 ここ で重 点 学 校 の具 体 的 な姿 を紹 介 してお こ う。 筆 者 は 上 海 市 内を 中 心 に 中 国 各 地 の重 点 学 校 7校 と実 験 学 校 、普 通 学 校 を 各 一 校 訪 れ た 。 重 点 、 一 般 の 別 に か か わ らず 、 参 観 した 学校 の 教 室 は どこ も適 度 な緊 張 と快 活 さ に満 ち、 ま こ とに 熱 心 に 授 業 に 参 加 す る子 ど もた ち で あ ふ れ て い た 。 50∼60人 の ク ラ ス が多 い の で、 文 字 通 りあふ れ ん ば か りで あ るが 、 昨 今 問 題 に な り始 め て い る と 聞 い て い る規 律 や 秩 序 の乱 れ は、 こ の時 は ま った く目撃 す る こ とが で きな か った 。 大 半 が 訪 問 を 予 告 して あ った か ら 、多 少 は準 備 も あ っ たか も しれ な い 。 しか し中 に は ほ とん ど突 然 お じゃ ま し た学 校 ・教 室 も あ る の で、 や は り 日本 の現 状 か ら比 べ る と、 少 な くと も今 の と こ ろは ま るで 別 天 地 の状 況 に あ る と 言 っ て い いだ ろ う。.

(10) な お特 に強 い要 望 を繰 り返 し 口に しな い 限 り、 あ らか じめ 依 頼 して 参 観 や 交 流 を 図 って も ら え る学 校 は、 ど う して も重 点 学 校 に な りが ちに な る。 これ は以 前 か らの 傾 向で 、 わ か らな い で もな い が こ の あ た りが まだ 少 々、 対 外 開 放 とい う建 て 前 の 持 って い る限 界 を 表 わ して い る よ うに も思 わ れ る。. 七宝中学の学校改革 概 況: 上 海 市 七 宝 中 学 校 は50年 の 歴 史 を持 つ市 内有 数 の学 校 で あ る が 、 も と も とは上 海 県 の中 学 校 と して 発 足 した 。 の ち に 上 海 市 関 行 区 の 、 そ して上 海 市 の重 点 学 校 へ と移 り変 わ って い った 。 現 在 の 新 しい 校 舎 は97年9月. に建 築 され た ば か りの真 新 しい建 物 で壁 や 廊 下 まで 人 造 大 理 石 や 御 影 石. を 用 い た 、 た い へ ん 立 派 な もの で あ る。 建 設 費2億 元 は 区政 府 が 出資 して い る。 授 業 料 は 一 学 期 480元 。 寮 費 は一 学 期100元(一. 年 は二 学 期 間)と. な っ て い る。. 教 職 員数208人 。 生 徒 数44ク ラス 約2200人 。 中学 部 の非 重 点化 に よ り2000年 に は 高 校 だ け の 学 校 とな る予 定 。 面積 は137毒(約91400平. 方 メ ー トル)、 寄 宿 舎 生 徒 数 は 約1700人 。 大 学 進 学 率. 98%。 教 師 の水 準 、教 育 レベ ル は高 く、 一 方 生 徒 た ち の ス ポ ー ツ も伝統 的 に盛 ん な上 、 活 動 課 程も 活 発 で 、太 鼓(100人)、. 民 族 楽 団(100人)な. どや 学 生 記者 ク ラブ、文 学 、法 学 、書 道 、彫 刻 、撮 影. 等 々、 種 々 の ク ラ ブ が あ っ て、 いわ ゆ る 「 校 園 文 化」 を 形成 して い る。 教 育 目標 と方 針 の特 色: 七 宝 中学 校 の教 育 目標 は 校 長 の 説 明 に よる と 「 全 面 発 達 、人 文 見 長(=人. 文 精 神 の重 視)」 とい. う こと で あ る。 中 国 で は さ きに も述 べ た よ うに全 体 と して 自然 科 学 ・技 術 方 面 の教 育重 視 が 叫 ば れ てい る。 そ れ は も っぱ ら生 産 力 と経 済 の急 速 な発 展 を達 成 す るた め に 学校 に課 せ られ た任 務 で あ り、 期 待 で あ る。 この 学校 で も もち ろ ん科 学 教 育 に 力 を 注 い で は い るが 、 あ え て この よ うな指 導 方 針 を た て た とい うの は 、 「応試 教 育」 の弊 害 を克 服 し よ う とす る動 機 か らで あ った。 一 般 に 重 点 学校 で は 、 高学 歴 取 得 を 強 く願 う親 の 存 在 が と くに顕 著 で あ る。 家 庭 の教 育 要 求 は 何 と言 って も大学 進 学 で あ る が 、一 方 学 校 は 、 国 家 的 な 教 育方 針 か らの要 請 も あ って 全 面 発 達 を 標 榜 し、入 試 の な い科 目に も力 を注 こ うとす る か ら、 家庭 と学 校 との間 の矛 盾 は だ ん だ ん 大 き く な る。 家 庭 か らの学 歴 圧 力(「 題 海 戦 争 」=宿 題 の 要 求)と 、 学歴 圧 力批 判 を 強 め る 国 家 と の 間 で、 学 校 、 生 徒 も強 い葛 藤 に 陥 る。教 師 は家 庭 に よる評 価 を気 に し、 授 業 で は 応試 学 力 向 上 とそ の ため の宿 題 に 力 点 を 置 きが ち だ が 、 国家 的 要 請 と して の素 質 教 育 、 全 面 発 達 の教 育 を少 な くと もた て まえ 上 は 引 き受 け ざ るを得 ず 悩 み 深 い と こ ろな ので あ る。 こ うした 相 剋 の 克服 が緊 急 に必 要 だ との認 識 に 向か わ せ た き っか け は 、 や は り子 ど もた ち の現 実 の 姿 で あ る。 冒頭 に も述 べ た よ うに 、 中 国 各 地 の 学 校 で も不 登校 や 怠 学 、 い じめ 、 さ らに は こ れ まで あ ま り見 られ なか った授 業 中 の 規 律 の悪 さな どの 否 定 的 現象 が急 増 し、 一 人 っ子 に よ る人 間 関係 希 薄 化 の悪 影 響 も 出て きた の で あ る。 背 景 に は 、 上海 経 済 が急 激 に市 場 経 済 化 して きた こ.

(11) とに よる 、経 済 ・社 会 環 境 の変 化 とそれ に と も な う人 間 関 係 の 希 薄化 が 著 し く、 と くに兄 弟 姉 妹 が い な い こ とで家 庭 で子 ども が孤 独 な一 方 、 親 に よ る過 保 護 で 生活 能 力 が 育 ち に くい とい う状 況 の急 速 な一 般 化 が あ げ られ る。 七宝中学校 が 「 校 園 文 化 」 と称 して、 学 校 で の 人 間 関 係作 りに 力 を入 れ て い る こ とに は 、 こ う した状 況 へ の強 い警 戒 感 が あ った ので あ り、 そ れ を理 論 的 に強 化 す る意 味 もあ っ て上 述 の よ うな 目標 を 打 ち 出 した の で あ った 。 こ う した 教 育 目標 に 実 践 的 に 接 近 す るた め に 、同校 が採 用 した 方 針 は 、「合 作 と競 争」 と 呼 ば れ る指 導 原 理 で あ る。 教 師 同 士 、 生 徒 同 士 、 ク ラス と ク ラス、 部 と部 、 教 育 研 究 組 織 と教 育 研 究 組 織 、学 校 と学 校 な ど、 あ らゆ る レベ ル で の協 同 と競 争 が推 進 され て 、 そ うい う意 識 が 育 て られ て い る とい うこ とだ 。 同校 で は一 般 教 員 か ら校 長 ま で、 上 の考 え 方 を 貫 徹 す る こ と、 そ して 生 徒 と 教 師 の 関 係 を い っそ う密 接 にす る よ う全 力 を あげ て い る とい うこ とで あ る。 さ らに 同校 で は儒 教 の考 え方 に学 び、 ① 義 ② 利 の順 番 を 大 切 に しよ うとい う考 え ま で提 示 して い る。 社 会 と、 そ れ を反 映 した子 ど もの現 実 に おけ る、 自己 の 利 益 の 拡 大 ば か り図 ろ う とす る風 潮 が あ ま りに強 い こ とに対 す る批 判 意 識 が そ うさせ た の で あ ろ う。科 学 な どの授 業 で も人 間 関 係 の教 育 を意 識 的 に重 視 し、 知 識 や 技 術 のみ な らず 人 間 的 な 能 力 、 人格 の発 達 に も大 い に留 意 して い る こ とを強 調 して いた 。 学 校 管 理 経 営 の特 色: こ う した 特 色 を単 な るか け 声 、 ス ロー ガ ンで 終 わ らせ ず実 践 的 に実 現 して い くため に、 い くつ か の 工 夫 が 行 な わ れ て い る。 そ の 一 つ は 授 業 実 践 に 直 結 す る研 究 活 動 で あ る 。学 校 と して そ う した 研 究 を 保 障 す るた め に資 金 的 裏 づ け を 備 えた 制 度 と して 確 立 した もの で 、研 究 目的 の意 義 、 水 準 に 照 ら して 三 つ の レベ ル に 区 分 け して 活 動 を 奨 励 して い る。 申 請 した研 究 テ ー マ が 国 家 的 機 関 に よ り承 認 さ れ た も の を 「国 家 級 」 と し、 通 常 年 間一 件 、 ま た 上海 市 に よ り承 認 され た も のが 「上 海 市 級 」 で あ り、 これ が 二 件 。 そ して 十 件 以 上 の テ ー マ が 、現 在 「 学 校 級 」 と して研 究 され て い る。 この よ うな 自主 的 な 研 究活 動 を 支 え る財 政 基 盤 は、 現 在 の中 国 の 中 央 ・地 方 政 府 の 支 出 に よ る こ とは と うて い 望 め な い。 そ こで この研 究 資 金 を ど う確 保 す るか とい う問題 が 第二 点 目の 工 夫 で あ る。 実 質 的 な 負担 者 は一 般 企 業 で あ る。 そ の寄 付 金 が こ う した 研 究 や活 動 を支 え る。 寄 付金 は 基 金 と して運 用 され る。 現 在 、七 宝 中学 で運 用 状 態 に あ る基 金 額 は250万 元 で 、 「 基 金 会 章 程 」 と呼 ば れ る校 内 の規 定 で運 用 方 法 が 決 め られ て い る。 企 業 ・会 社 等 の長 が委 員 長 を務 め る の が一 般 的 な 「 基 金 委 員 会 」 が運 用 に 当た るが 、 基 金 の分 配 に 関 して は 実 際 の と ころ は校 長 の裁 量 に よ る と こ ろが 大 き い とい うこ と で あ る。 基 金 は 研 究 活 動 のた め の 資 金 と して の み 使 わ れ るの で は な い。 教 員 の勤 務 状 況 に応 じて担 任 賞 、 授 業 賞 、 道 徳 教 育 賞 、 教 育 科 研 賞 、 后 勤 賞(授 業 等 以外 の仕 事 に対 す る報 奨)な. どのか た ち で教. 師 へ の 報 奨 金 と して 与 え られ る。近 年 よ うや く教 員 の社 会 的評 価 と地 位 が 高 ま って きた と は い え 、.

(12) 本 来 の給 与 額 は ま だ まだ 不 十 分 な こ とか ら、 こ う した 報 奨 金 は 給 与 額 を 上 回 る こ と もあ り、 教 師 に とっ ては 仕 事 へ の熱 意 を 強 く刺 激 され る こ とに な る。(8) ま た、 前 述 した 、 家 庭 の 教 育 要 求 に 対 す る対 応 の 一 つ と して 、 親 と学 校 の 相 互 理 解 を 図 るた め の 組 織 作 りとそ の 活 用 が あ る。 「 家 長 会 」 とい うの がそ れ で 、日本 で 言 うPTA組. 織 に 類 似 した も. の で あ って ど この 学校 に も存 在 して い る。 一 般 に 、学 校 家 長 会 、学 年 ・学 級 家 長 会 な どが あ る が 、 よ り小 さい 単位 で の 家長 会 もあ り、 また 生徒 も参 加 す る場 合 もあ る な ど比 較 的 柔 軟 な組 織 形 態 に な って い る 。七 宝 中学 で は これ を 毎学 期定 期 的(一 ヵ月 に一 回 ぐら い)に 開 い て会 議 を行 な い 、 あ らゆ る 問題 に つ い て親 との協 議 、説 明 、教 育 経 験 の交 流 な ど を図 って 家 族 の安 心 を確 保 す る こ とを ね らっ て い る とい う。 同校 は上 海 市 の重 点 校 の中 の重 点 校 と して の30校 の示 範 学 校(模 範 校)に. 指 定 され る こ とを め. ざ して い る とい う ことで あ るが 、 一 連 の改 革 や 工 夫 が そ うした 目標 を励 み に 実 行 に 移 され る こ と を 日論 む上 海 市 の教 育 政 策 は 、 あ くま で も現 実 的 だ と評価 され よ う。. 次 に 、人 文 系 重 視 の 七 宝 中学 との 対 比 上 、 自然 科学 重 視 の学 校 を紹 介 し よ う。 科 学 教 育推 進 は、 現 代 中国 社 会 の 教 育 に お け る最 重 要 課 題 の 一 つ で あ る。 ほ とん どの学 校 が これ を 目標 の一 つ に据 え て い るが 、 あ らゆ る教 育活 動 の 中 心 に位 置 づ け るほ ど重 視 して熱 心 に取 り組 む学 校 も少 な く な い 。 そ の一 つ が 、 や は り上 海 市 内 の重 点学 校 で あ る閔 行 中 学 で あ る。. 行 中 学 の 科学 教 育 と学 校 経 営. 閔. 概 況: 31ク ラス 、1340人 。 教 職 員230人 。 うち 学 校 で 教 育 に 当 る教 職 員 は150人 。 他 は 校辧 企 業 で 従 事 す る技術 員 、工 員 な ど。 上 海 市 の 中 で も科 学 技 術 方 面 の教 育 に力 を 注 ぐ学校 と して 以 前 か ら有 名 で あ る。 も と も と伝 統 的 に理 科 教 育 が 盛 んだ った が 、96年 、 上 海 市 に お け る 四 つ の科 学 技術 機 関 一 大 学 、 科 学 研 究所 、 企 業 、基 礎(小. 中学 教 育)一 の 交 流 が 開 始 され た と き、閔 行 中学 が基 礎 部 門 の 科技 方 面 代 表 と し. て選 ばれ た こ とに よ りい っそ う活 発 な 教 育 研 究 活 動 が行 わ れ る よ うに な っ た。 大学 へ の進 学 競 争 は激 しいが 、 中 学 部 の 半 数 は 関 行 高 校 に 進 学 。4割 は他 校 に進 む。 残 り10%ほ. どは 中等 専 門学 校. な どに進 学 して い る。 カ リキ ュラ ム等 の 特 色: 授 業:一 週 間35授 業 時 間 の うち24、5時間 は必 修 。 残 り10時 間 ほ どが 選 択 授 業 と活 動 課 に 割 りふ られ て い る 。選 択 科 目の置 き方 は学 校 に よる 自由裁 量 に まか され て い る。 この 学 校 で の 選 択授 業 は 英 語(手 紙書 き、 口語)、 文 学 、 音 楽 、 撮 影 、 生物 、物 理 ・化 学 実 験 、 環 境 、 創 造 、 等 々多 彩 で 、 生徒 は通 常2∼3科. 目を 選 択 す る こ とが で き る。. 素 質 教 育:選 択 科 目の 「創 造 」 を、 この学 校 で は 高 一 、 中一 の 必修 課 程 に 置 い て 、 生徒 の創 造 性 や 多面 的 な能 力 の形 成 を 図 れ る よ うな活 動 を 行 な う よ うに して い る。 独 自な 教科 書 は教 師 が 自.

(13) 分 た ち で作 って い る。 国家 教 委 の教 学 大 綱 で は労 働 技 術 の こ とは 比較 的 多 く扱 って い るが 、 そ れ だ け で は 不足 だ とす る この学 校 で は 「 創 造 」 や 「多 面 的 能 力」 に つ い て 重視 して 、応 試=知 識 詰 め込 み型 の 教 育 か らの脱 却 を意 図す る と ともに 、 科 学 教 育 の 目的 ・方 向 に 合 致 した 教 育 体 制 を と って い るの で あ る。 この あ た りが、 国家 教 委 の教 学 大 綱 に 制 限 され な い 、独 自の教 育課 程 を実 施 し得 る上 海 の学 校 の面 目だ と言 え よ う。 こ う した 教 育 方 針 を 具 体 化 す る手段 と して次 の よ うな 活 動 を 行 な って い る。 ・科 技 節(=科. 学 技術 祭 、11月)、 体 育 節(10月)、. (年 末 の 一週 間)等. 芸 術 節(5月)、. 環 境 節(4月)、. 芸術演技 会. 々。. この うち た とえ ば 科 技 節 で は工 場 、企 業 、 会 社 、 研 究 所 な ど と合 同 で 発 明 品 の展 示 発 表 な どを 行 な って い る。 ・科 学 技 術 関 係 の 多 くの ク ラブ活 動:発. 明 、 コ ン ピ ュー タ、 物 理 、 数 学 、 あ るい は労 働 技 術 等 々。. と りわ け 発 明 活 動 は 盛 ん で 、 発 明 コ ン クー ル に は多 数 の作 品 が 出品 され るだ け で な く、世 の 中 に 出 て も不 思 議 で は な い 優 れ た 発 明 品 が 多数 生 み 出 され 、 特 許 の 申請 に 至 る もの も少 な くな く、 生 徒 の 意 欲 を ます ます 刺 激 して い る とい うこ とで あ る。97年3月. には 日本 の 豊 田市 で の頭 脳 オ リ. ン ピッ クに ロボ ッ トを 出 展 す るな ど国 際交 流 も盛 ん に行 な っ て い る。 学 校 財 政: 校辧 企 業 の経 営 は きわ め て 順 調 で 、潤 沢 な教 育財 源 が確 保 され て い る。 この校辧 企 業 が 開設 した 校辧 企 業 立 中 学 校 を 数 校 経 営 して い る。 つ ま り、 公立 学 校 が企 業 を経 営 し、 そ の 企業 が い くつ か の学 校 を 私 立 学 校(10)として作 って運 営 す る とい う二 重 構 造 に な って い る。そ の うち 半 数 ほ どの 学 校 の授 業 料 は閔 行 中 学 と同 額 で あ るか ら、一 般 の 私立 中学 と比 べ る と格 段 の安 さで あ る。 しか も あ との半 数 の中 学 は授 業 料 無 料 な の で あ る。 実 は そ れ らの学 校 に は この校辧 企 業 の 会 社 員や 役 員 の子 ども な どが 通 学 して お り、 事 実 上 企 業 内 学校 な の で あ る。 これ ら企 業 は 自設 の 私 立 学校 の 科 学 技 術 教 育 をサ ポ ー ト、 指 導 も行 な って い る。 現 在 建 築 中 の も の も含 め 、 す べ ての 校 舎 を 新 築 。 教 学 大楼(=講 約2300万 元)の. 義 棟97年7月. 完 成 、建 築 費. ほ か、 芸 術 セ ン タ ー棟 も完 成 した ば か りで 、 労技 セ ンタ ー棟 は ち ょ う ど建 築 中 で. あ った。 トー タ ル で約4000万 元 の建 築 費 に な るが 、 うち閔 行 区 が70/100を 支 出す る とい う。 ま た 、 学 校 予 算 年 間1000万 元 の うち、 区 が50%を 支 出 。 あ との50%や 負担(校辧. 、 建 築 費 の残 り30%は 学 校 の 自 己. 企 業 の利 潤 投 入)と い うこ とな る。. な お 、閔 行 中学 も現 在 の 中学 部 は あ と3年 ほ どで 廃 止 す る こ とを 決 定 して い る。. 3科. 学教 育 改 善 に 向 け て の諸 措 置. カ リキ ュ ラム 改 革 自然 科 学 や 技術 の 教 育 に 大 い に 力 を 入 れ て い る 中 国 で も、 実 は徐 々に 理 科 嫌 い の 子 ど もが 増 え て い る よ うで あ る。 これ は1992年 に筆 者 が 日本 の青 少 年 層 に お け る理 科 離 れ 現 象 と呼 ば れ る傾 向.

(14) に つ い て 少 科站 で 紹 介 ・説 明 を す る と、 そ れ を 聞 い た 中 国 側 理 科 教 育 関 係者 の多 くが 、 中国 で も 同 様 な傾 向 に あ る と指 摘 して い た が 、 今 回 も状 況 は 同様 で あ った 。 い じめや 不 登 校 、 騒 が しい授 業 とい った 状 況 が 中 国 で も問題 に な り始 め て い る とい う時 代 だ か ら、理 科 嫌 い が増 加 す る の も ま た 不 思 議 で は な い の か も しれ な い 。 そ うした傾 向 へ の対 処 とい う意 味 もあ っ て、 子 ど も の学 習 関 心 の 掘 り起 こ しの た め の 工夫 は理 科 カ リキ ュラ ム上 で も顕 著 で あ る。 上 海 市 の理 科教 育 は① 必修 科 目② 選 択 科 目③ 活 動 科 目の三 部 分 か ら構 成 され る。 この うち ① の 必 修 科 目は 中学 お よび 高校1・2年. が対 象 で あ る が、 一 方 ② の選 択 科 目は中 学 で 始 め る もの と高. 校 に な って か ら始 め る もの とが あ る。 この選 択 科 目は一 般 に 以 下 の三 つ の 目的 ・性 格 を 付 与 され て 、 生 徒 の 実 情 ・希 望 に 合 わ せ て提 供 され て い る。 a.生. 徒 の 視 野 を広 げ る た め の科 目. b.進. 路 指 導(職 業 指導)の 一 部 と して行 なわ れ る科 目. c.理. 論 的 把 握 の レベ ル を 高 め る た め の科 目(大 学 進 学 希 望 者 対 象). 学 校 に よ って は この 三 つ の他 に 、 d.学. 習 に 関 す る興 味 の触 発. e.手. 工的能力を高める. の二 点 が 加 え られ る こ と もあ り、 た とえ ば 「 生 物 ・化 学 選 択 科 目」 と名 付 け られ た科 目 もあれ ば 、 室 内で の 工 作 、 動 物 飼 育 科 目 とい った もの も用 意 され て い て生 徒 の多 様 な ニ ーズ に応 え られ る よ うな 努 力 が な され て い る 。2週 間程 度 の短 い授 業 で終 わ る も の もあれ ば 、 一 学期 間 を通 じて実 施 され る選 択 科 目 もあ って 、 そ の形 態 もま た さ ま ざ まで あ る。 大 同 中 学 校(南 市 区 の重 点学 校)や 建 青 実 験 学 校(長 寧 区:幼 い)な. ど23∼4科. 稚 園 ∼高校 −重 点学校 では な. 目の 選択 科 目を用 意 して い る学 校 も あ る とい うこ とで 、 そ の意 気 込 み に は敬. 服 す るが 、 日本 の 常識 で考 え る と教 員 の 負担 の重 さ も相 当 な も ので あ ろ う。 ただ し、 中 国 で は紹 介 した 実 例 に示 した よ うに 、一 般 に学 校 の教 員 数 は か な り多 く、 教 師一 人 当 た りの担 当授 業 時 数 は 日本 の そ れ と比 して も多 くは な い。 前 述 した閔 行 中学 の場 合 で見 る と、教 員 の担 当授 業 数 は 高 校 で は12コ マ/週 、 中学 で14コ マ/週 と な って い る。. 科 学 教育 改 革 プ ロゲ ラ ム ー上 海 市 の試 み 中 国 の科 学 教 育 改革 は80年 代 に入 ってSTSの. 影 響 を 受 け る形 で 推進 され て い く。 上 海 市 で も. た とえ ば華 東 師範 大 学 を 中心 と した次 の よ うな 改 革 努 力 が試 み られ た 。(9) ① 事典 『科 学 教 育 と社 会 制 度 』(全 四 冊)の 編 集 出版 。 これ に は華 師 大 のほ か 北 京 師 大 、 南 京 師 大 、 南京 大 な どが編 集 参 加 した 。 ②教 科 別 『興 味 事 典 』 の作 成. 例 えば 前 出の 範 傑 教授 は この シ リーズ の一 つ 『興 味 化 学 事 典 』 を. 編 纂 して い る。 ③ 「 科 学 技 術 と社 会 」 と い うテ ー マの 下 で 多 くの 本 を 出版 して 、教 師達 の参 考 に 供 した 。 ④ 各 地 方 で科 学 教 育 の研 究 が 盛 ん に 行 わ れ る よ うに な った。 た とえ ば近 年 上 海 で 二 つ の 国 際 シ ン.

(15) ポ ジ ウ ムを 開 催 した:上 海 ・香 港 科 学 教 育 研 究会(93年)、. ア ジ ア太 平 洋 地 域. 理 科教 育研 究. 会(95年) ⑤ 理科教育改革の方向を定めた a.理. 科 も素 質 教 育 を 重 視 す る。 子 ど もの全 面 発 達 を 目指 す 。. b.教. 育課 程 と教 科 書 の 多様 化 を 図 る。(今 日、中国 の教 科 書 は これ まで に な く多種 多様 に な っ. て い る。) c.実. 践 と実 験 の重 視 。 実 験 技 能 とそ の評 価 に 重 点 を お い た 指 導 を 行 な う。 実 践 面 と して は生. 徒 が工 場 、農 村 な どの現 場 に行 っ て学 ぶ 機 会 を 作 る よ う努 力 す る 。 d.理. 論 と実 践 、 と くに生 活 的 実 践 と結 合 す る こ とを 重視 す る 。. e.試. 験 の様 式 の改 革 。 問 題 作 りの 上 で は 中 国 と外 国 、 古代 と現代 とを接 続 す る こ とに 留 意 す. る。 f.生. 徒 の能 力 を 高 め る 一記 憶 、 理 解 、 応 用 、 独学 、表 現 、 操 作 、 思 考 、 創 造 等 々の能 力 。. g.電. 化 教 育=エ. レ ク ト ロ ニ ク ス 技 術 の 積 極 的 導 入 に よ る 教 育 の 更 な る 発 展 を 図 る。 コ ン. ピ ュ ー タ等 を 用 い た 視 聴 覚 教 育 に つ い て は 上海 で は60%の 学 校 が 実 施 して い る。 と くに化 学 教 材 で 進 展 が 著 しい 。 た だ し、 これ は 今 の と ころ 中 国全 土 的 に一 致 して 推進 され て い る わ け で は な く、 地 域 に よ る差 異 が 大 きい 。 h.理. 科 の 中 で も思 想 を 含 め た 教 育 が 行 われ るべ き で あ る。 愛 国 教 育 、 科学 的認 識 の態 度 の教. 育 な ど。 i.理. 科 の発 展 方 向 の研 究。鄧 小平 に よる 「で き るだ け 先進 的 な科 学 技術 を取 り入 れ る」 とい. う方 針 を 、政 治 的 分野 の み な らず 科 学 、教 育 方 面 で も示 唆 され た もの と して実 行 。87年 の理 科 教 科 書 は この方 針 の下 に編 集 され た。 j.理. 科 の活 動 科 目。 学 生 の特 質 に沿 った 教 育 内容 ・方法 に す るた め の一 つ の方 策 と考 え られ. て い る。 これ は全 体 の質 を高 め るだ け で な く、特 色 の あ る学 生 を 養 成 す る と い うい わ ば エ リー ト教 育 と して も有 効 で あ る。 k.科. 学 研 究 の 中 で教 育 の質 を 高 め る、 とい う認識 が教 師 の 間 に も広 げ る ことが で きて きた 。. 課外活動の活発化 上 に述 べ た 活 動 科 目、 中 で も理 科学 習 に 関す る校 外 活 動 に 関 しては 、 中 国 、 と りわ け この 上海 で は 日本 に 比 べ て 活 発 な 印 象 を 受 け る。 しか し これ は上 海 市 な ど都 市 部 で の 観 察 に よ る もの で 、 地 域 に よ って か な り差 の あ るの が実 態 で あ る よ うだ。 上 海 の 少 年 宮 や 前 出の 少 科站 な どは立 派 な もの だ し、 中学 生 科学 趣 味 グル ー プ とい った独 自な組 織 もあ った り して 活 発 で あ る が 、農 村 な ど で は あ ま りや られ て い な い よ うで あ る。 も っ とも農 家 の 子 ど もな どは 当 然 そ の 環境 か ら、工 作 な どの活 動 に利 用 で きそ うな材 料 は豊 富 で あ る。 工 作 経 験 の 可 能 性 に つ い て は都 市 部 の 子 ども よ り 有 利 で あ ろ う。 実 際 、小 実 験 だ とか 代 用 品 を 作 るな どの 理 科 的 活 動 は 学 校 が 意 図 的 ・積 極 的 に実 施 して い る とい う こ とで あ る。 活 動 科 目の 内容 に つ い て は学 校 ご との 自由度 も大 き く、 また 生 徒.

(16) の 自 主 性 に 委 ね ら れ る 部 分 が た い へ ん 大 き い こ と が 上 海 の 課 程 標 準 で も述 べ ら れ て い る 。 応 試 教 育 か ら の 脱 却 を 図 り、 素 質 教 育 を 強 調 す る の で あ る な ら ば 、 課 外 活 動 を 中 心 と した 活 動 科 目の 充 実 に つ い て 綿 密 な 計 画 と戦 略 が 重 要 で あ ろ う と 思 わ れ る。. 注. (1)謝. 安邦 「 現 代 の 中 国 教 育 改 革 とそ の発 展 の動 向 一義 務 教 育 を 中 心 と し て 一」 『生 活 文 化 研 究 第8集. 』. 名 古 屋 市 立 女 子 短 期 大 学 生 活 文 化 研究 セ ン タ ー1997年3月 (2)こ. の分 類 に つ い て は 、 華 東 師範 大学 化 学 系 の 範 傑 教 授 の 説 明 に よる も ので あ る。1997年10月8日. 聞き. 取 り。 (3)謝. 安邦、有賀克明 「 義 務 教 育 に お け る理 科 教 育 の 比較 研 究 一 日本 と中 国 一」 『名 古屋 市 立 女 子 短 期 大 学. 研 究 紀 要 第57号 終 刊 号』1997年3月 (4)こ. こで は 内 容構 成 の違 い につ い て具 体 的 に は 触 れ え な い が 、例 えば 記 述 量 に 関 して 言 え ば 、 両 者 の 問. に お よそ30%ほ (5)拙. ど もの差 が あ る。. 稿 「 中 国 義 務 教 育 課 程 に お け る科 学 教 育 の特 徴 と課 題 」『名 古 屋 市 立 大 学 人文 社 会 学 部研 究 紀 要 創 刊. 号』1996年11月 (6)謝. 安邦 「 現 代 の 中 国教 育 改 革 とそ の 発 展 の動 向 一 義務 教 育 を中 心 と して 一」 『生 活 文 化 研 究 第8集 』79. ペー ジ (7)「. 名 古 屋 市 立 女 子 短 期 大 学 生 活文 化 研 究 セ ンタ ー1997年3月. 教 育体 制 改 革 に 関す る決 定 」で は 、学 校 は 政 府 管 理 か らあ る程 度 自立 した 経 営 を 認め られ た。 これ は. 教 育経 費 の 国家 負 担 を減 らす こ とが 主 目的 で あ る。 具体 的 に は 、中 央 政 府 出 資:款 、各 級 政 府 出資:税 、 学 費:費 、 学 校 財 産 に よ る副 業:産 、 そ して企 業 ・団体 ・個 人 か らの義 援 金:捐 な どで あ る (8)も. ち ろ ん 自校 が 経 営 す る企 業 、 工場 等 、 校辧 企 業 に よる収 益 を学 校経 営 に 回す と い う形 態 は さ ら に 一. 般 的 で あ る。 (9)こ. こに示 した 内容 は 華 東 師 範 大学 の範 傑 氏 か ら の 聞 き取 りに よる 。. (10)企. 業 立 だ か ら とい って 私 立 だ とは限 ら な い のが 中 国の 学 校 で あ る。 一 般 に 私 立 学 校 とい うの は 中 国 で. は原 則 と して 「 独 立 採 算 」 の 学 校 とい うほ どの 意 味 であ り、 生徒 の学 費 な ど の学 校納 付 金 で運 営 す る 学 校 の ことで あ る。 従 って 、 企 業 立 で あ って も必 ず し も私 立 で あ る とは限 らな い 。 筆 者 が 訪 れ た 湖 北 省 の 葛 洲 覇 水 利 水 電 集 団 公 司 は 、 宜 昌市 の葛 洲  地 域9平 方 キ ロあ ま りにわ た り管 理 して い て 、 各 種 企 業 、 工 場 、商 店 、 ホテ ル な どを そ の参 加 に 治 め て い るの み な らず 、 幼 稚 園か ら大 学 まで の 各種 学 校 を21校 擁 して い る、 ほ とん ど 自治 体 そ の もので あ り、 もち ろん 教 育委 員 会 もそ の 中 で 機 能 して い る の で あ る。.

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参照

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