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発生論的運動学に基づいたバレーボール指導の試み:―オーバーハンドパスにおける動感化能力の発生に焦点をあてて―

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Academic year: 2021

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(1) 発生論的運動学に基づいたバレーボール指導の試み オーバーハンドパスにおける動感化能力の発生に焦点をあてて一.                    教科・領域教育学専攻                    生活・健康一総合内容系コース                    M09219F 足立 学. I.目 的. きを感じ取るための8個の動感化能力を発生.  大学の授業(球技「バレーボール」)におい. させることを目的に,指導プログラムを作成. て,基本技術であるオーバーハンドパスがで. し指導を行った。. きない学生が多い事実に遭遇した。その原因. 皿.結果及ぴ考察. はいくつか考えられるが,特に,実施者が自. 1.「発生論的運動学」に関わる諸概念の検討. らの動きの感じ(動感)や動きの本質を味わ.  この運動学の重要概念として,実施者の学. えず,技術習得できないまま学習を終えてい. 習状態を知る動きの「形成位相」,指導者が教. たことに問題を感じた。そこで,本研究.では,. えるために必要な「動感促発身体知」,指導者. これまで球技では用いられてこなかったr自. と実施者が覚えるために必要なr動感創発身. らの感覚で動きを覚えることのできる」,金子. 体知」,自らの感覚で動きを覚えるためのr動. の発生論的運動学に着目し,それがバレ」ボ. 感化能力」の4つのキーワードが抽出された。. ール指導において有効であるか検証すること.  そあうえで,発生論的運動学の指導プロセ. を目的とした。. スは,以下のように理解された。まず,動き. 皿’.方 法. の構造を明確に説明した上で示範をし,練習. 1.「発生論的運動学」に関わる諸概念の検討. に入る。練習中に被験者の学習状態が,どの.  発生論的運動学に関わる著書及び学術論文. 形成位相にあるのか観察を行い,運動中に探. を対象に,諸概念を整理した。. 索位相と見られる状態を発見した時点で,動. 2.オーバーハンドパス基本技術構造の検討. きのヒントを与え,動感を発生させる。次に,.  バレ」ボールに関わる文献を対象に,オ」. 偶発位相に瞬間的に出会えたことを確認し,. バーバンドパスの基本技術構造を把握した。. 続けて図式化位相となるよう指導者側よりリ. 3、オーバーハンドパスの動感化能力発生指導. ズムをとるように連続的に声をかけることで,.  バレーボール経験者小学六年女子児童10. いつでも自在に動けるようになるのである。. 名を対象とし,2010年4∼1O月の間,計6.  さらに,発生論的運動学の分析方法として. 回の指導を行った。指導前のパス能力テスト. は,構造分析,形態発生分析,促発処方分析. の結果から課題を抽出し,習得が必要とされ. の3つの手法が用いられるべきであるとした。. るパス技術(緩衝動作)と,自らの感覚で動. 一422一.

(2) 21オーバーハンドパス基本技術構造の検討. 験者は,形成位相による自在位相まで達する.  K.マイネルの提示した局面構造から,非. ことができ,他者との関係においても自在に. 循環運動となるオーバーハンドパスを準備局. オーバ」ハンドパスをすることができるよう. 面・主要局面・終末局面の3つの動きに分節. になった。それに対し,3個の動感化能力し. し,構造分析を行った結果,技術習得をする. か発生できなかった被験者Cは,観察時の形. ためには,主要局面におけるハンドリングの. 成位相による心と身体のズレが見られた。こ. 「緩衝動作」に重点を置く必要があり,それ. れは,身体の動きは,指導者側がr運動がで. が運動プログラムの中核となるべきと考えら. きた」と評価できる状態にあるにもかかわら. れた。また,一パス技術を習得する上では,8. ず,本人は心と身体が一体化できておらず,. 個の動感化能力(予感化能力,遠近感能力,. 「運動ができない」と思い悩んだまま運動を. 定位感能力,自在化能力,伸長化能力,伝動. 終えていった特異なケースとしてとらえられ. 化能力,調和化能力,直感化能力)が必要な. た。また,2個の動感化能力しか発生できな. ものとして抽出された。. かった被験者Gでは,悩みなどを訳き出す交. 3.オーバーハンドパスの動感化能力発生指導. 信身体知により,運動ができたかどうかを確.  動きを覚えるさせるための重要ポイントは,. 認したが,rできない,分からない」と答え,. r被験者の運動経験を統覚させることにより,. 消極的心理状態にあったたあ形成位相による. 自らの感覚で習練形態を習得できる」ことに. 探索位相のまま運動を終えてしまった。この. あり,プログラムには,金子のいう類似的ア. ような,被験者C・qのように運動発生が体. ナロゴンによる動きを取り入れた。具体的に. 感できないケースも発見でき,今後の課題を. は,①r段ボールと風船を活用した面づくり」,. 見つけ出すこともできた。. ②「バレーボールでの片手直上キャッチパス」,.  指導実践後のパス能力テストにおいて,全. ③「バスケットボ』ルを活用しての片手直上. 被験者のパス回数は指導前よりも上達してい. キャッチパス」,④r目標物を明確にするため. たことから,プログラムによる成果,すなわ. の指導者球出し対人パス」であった。. ち、動感化能力の発生を促すことがパス技術.  上記の考えに基づいて指導した結果,被験. の向上へつながることが確認された。. 者A・F・Hの3名は8個全て,被験者Bは. 】V.経 括. 7個,被験者Jは6個,被験者D・Eは5個,.  今回の研究成果として,「主体を実施者にお. 被験者Iは4個,被験者Cは3個,被験者G. き,その内面(悩み)に共感をすること」の. は2個の動感化能力が発生し,緩衝動作によ. 重要性と可能性が明らかになった。. るハンドリングも習得することができた。中.          主任指導教員 山本忠志. でも,8個全ての動感が発生できた3名の被.          指導教員   森田啓之. 一423一.

(3)

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