発生論的運動学に基づいたバレーボール指導の試み:―オーバーハンドパスにおける動感化能力の発生に焦点をあてて―
2
0
0
全文
(2) 21オーバーハンドパス基本技術構造の検討. 験者は,形成位相による自在位相まで達する. K.マイネルの提示した局面構造から,非. ことができ,他者との関係においても自在に. 循環運動となるオーバーハンドパスを準備局. オーバ」ハンドパスをすることができるよう. 面・主要局面・終末局面の3つの動きに分節. になった。それに対し,3個の動感化能力し. し,構造分析を行った結果,技術習得をする. か発生できなかった被験者Cは,観察時の形. ためには,主要局面におけるハンドリングの. 成位相による心と身体のズレが見られた。こ. 「緩衝動作」に重点を置く必要があり,それ. れは,身体の動きは,指導者側がr運動がで. が運動プログラムの中核となるべきと考えら. きた」と評価できる状態にあるにもかかわら. れた。また,一パス技術を習得する上では,8. ず,本人は心と身体が一体化できておらず,. 個の動感化能力(予感化能力,遠近感能力,. 「運動ができない」と思い悩んだまま運動を. 定位感能力,自在化能力,伸長化能力,伝動. 終えていった特異なケースとしてとらえられ. 化能力,調和化能力,直感化能力)が必要な. た。また,2個の動感化能力しか発生できな. ものとして抽出された。. かった被験者Gでは,悩みなどを訳き出す交. 3.オーバーハンドパスの動感化能力発生指導. 信身体知により,運動ができたかどうかを確. 動きを覚えるさせるための重要ポイントは,. 認したが,rできない,分からない」と答え,. r被験者の運動経験を統覚させることにより,. 消極的心理状態にあったたあ形成位相による. 自らの感覚で習練形態を習得できる」ことに. 探索位相のまま運動を終えてしまった。この. あり,プログラムには,金子のいう類似的ア. ような,被験者C・qのように運動発生が体. ナロゴンによる動きを取り入れた。具体的に. 感できないケースも発見でき,今後の課題を. は,①r段ボールと風船を活用した面づくり」,. 見つけ出すこともできた。. ②「バレーボールでの片手直上キャッチパス」,. 指導実践後のパス能力テストにおいて,全. ③「バスケットボ』ルを活用しての片手直上. 被験者のパス回数は指導前よりも上達してい. キャッチパス」,④r目標物を明確にするため. たことから,プログラムによる成果,すなわ. の指導者球出し対人パス」であった。. ち、動感化能力の発生を促すことがパス技術. 上記の考えに基づいて指導した結果,被験. の向上へつながることが確認された。. 者A・F・Hの3名は8個全て,被験者Bは. 】V.経 括. 7個,被験者Jは6個,被験者D・Eは5個,. 今回の研究成果として,「主体を実施者にお. 被験者Iは4個,被験者Cは3個,被験者G. き,その内面(悩み)に共感をすること」の. は2個の動感化能力が発生し,緩衝動作によ. 重要性と可能性が明らかになった。. るハンドリングも習得することができた。中. 主任指導教員 山本忠志. でも,8個全ての動感が発生できた3名の被. 指導教員 森田啓之. 一423一.
(3)
関連したドキュメント
Large sound occurred in two cases: when healds collided with the heald bar vertically near the upper dead point of shedding motion and when healds collided at random by rebounds
方法 理論的妥当性および先行研究の結果に基づいて,日常生活動作を構成する7動作領域より
○本時のねらい これまでの学習を基に、ユニットテーマについて話し合い、自分の考えをまとめる 学習活動 時間 主な発問、予想される生徒の姿
READ UNCOMMITTED 発生する 発生する 発生する 発生する 指定してもREAD COMMITEDで動作 READ COMMITTED 発生しない 発生する 発生する 発生する デフォルト.
コロナ禍がもたらしている機運と生物多様性 ポスト 生物多様性枠組の策定に向けて コラム お台場の水質改善の試み. 第
「職業指導(キャリアガイダンス)」を適切に大学の教育活動に位置づける
一貫教育ならではの ビッグブラ ザーシステム 。大学生が学生 コーチとして高等部や中学部の
小学校学習指導要領総則第1の3において、「学校における体育・健康に関する指導は、児