氏 名 門田
カ ト ゙ タ充
ミ ツ弘
ヒ ロ所 属 理工学研究科 電気電子工学専攻 学 位 の 種 類 博士(工学)
学 位 記 番 号 理工博 第
339号 学位授与の日付 令和
2年
9月
30日
課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当
学 位 論 文 題 名
LED照明の光の質向上を実現するコンデンサインプット方式点灯回 路に関する研究
論 文 審 査 委 員 主査 准教授 和田 圭二 委員 教授 清水 敏久 委員 准教授 五箇 繁善
【論文の内容の要旨】
2010
年頃から急速に普及している
LED照明は,白熱電球や蛍光ランプといった在来光源 に比べて省エネ性と寿命に優れている。国連サミットにて採択された「持続可能な開発目 標」でもエネルギー効率の向上が重要視されており,多くの団体が目標達成に向けて
LED照明の導入を推進している。LED 照明は低炭素社会に向けたキーアイテムとして,今後の 更なる普及が期待されている。
LED
の発光効率や放熱技術の向上により,LED 照明の光量は在来光源と比べて遜色ない レベルに達しており,今後は光の質が重要になると考えられる。本研究では,LED 照明の 中でも
LED電球を対象とし,光の質としてフリッカ低減,配光改善,白熱電球向け調光器 による調光の三点に着目する。これらの実現には,点灯回路が重要な役割を果たす。まず,
フリッカ低減には,点灯回路の出力電流脈動を低減することが要求される。一般的な
LED照明の点灯回路は,商用電圧を全波整流して利用するため,商用周波数の
2倍周波数の出
力電流脈動を発生させ得る。日本の電気用品安全法は,これをフリッカの原因として規制
しており,また
IEEEの標準化グループ
P1789は,電流脈動の健康への影響を議論し,脈動
度の推奨上限値を示した。次に,配光改善には,点灯回路の小型化が重要となる。LED 電
球では,点灯回路の搭載スペースを削減することで,配光を白熱電球に近づけるための光
学設計が行い易くなる。以上のフリッカ低減と小型化は,点灯回路の基本性能への要求で
あり,本研究ではこれらを光の質を向上させるための基本課題に位置付ける。最後に,
LED電球を白熱電球用の調光器に対応させる。これには,調光器が生成する位相制御電圧に従
って点灯回路が出力電流を変化させる必要がある。また,点灯回路の動作によって調光器
内部の半導体素子である
TRIACを安定に動作させることも重要となる。このような点灯回
路の課題により,現在では調光器付きの器具で利用できない
LED電球が多く,このことが
LED電球普及の妨げになっている。
本研究では,前述の基本課題を踏まえて,コンデンサインプット(以下,
Cインプット)方 式の点灯回路に着目する。同方式では,全波整流電圧をコンデンサで平滑した後,DC/DC コンバータによって出力電流を制御する。
Cインプット方式は,部品数が少なく,小型の平 滑コンデンサ(以下,平滑コン)でフリッカを低減できる利点を持つ。本研究の目的は,C イ ンプット方式に基づく調光器対応
LED点灯回路,及び,電解コンデンサ(以下,電解コン) レス
LED点灯回路を提案することである。調光器対応に関しては,C インプット方式と同 様に
1段の
DC/DCコンバータを利用し,平滑コンをその出力側に接続する方式について多 数の研究が報告されている。本研究では,これを
Cアウトプット方式と呼ぶ。同方式では,
入力側に平滑コンを接続しないことから,DC/DC コンバータによる力率改善(以下,PFC) が可能であり,
Cインプット方式と比べて電源高調波を低減できる。また,
PFCによって点 灯回路のインピーダンスが純抵抗性となるため,白熱電球向け調光器と相性の良い方式と 言える。しかし,
Cインプット方式と比べて平滑電圧が低くなり,さらに,入力電圧がゼロ となる期間において
DC/DCコンバータの出力もゼロになることから,フリッカ低減のため に大型の平滑コンが必要となる。本研究では,
Cインプット方式の利点を生かし,
Cアウト プット方式と比べて小型の平滑コンでフリッカを低減する。しかし,
Cインプット方式点灯 回路は白熱電球と異なるインピーダンス特性を示し,このような回路によって
TRIACを安 定に動作させることが課題となる。また,
TRIACの点弧時に突入電流が発生することから,
これを低減するための突防抵抗の小型化も課題となる。これら
Cインプット方式に特有の 課題を解決し,調光による光の質の更なる向上を実現する。
電解コンレス化は,配光改善のための回路小型化に関連する。点灯回路の平滑コンとし て,体積や価格あたりの静電容量が大きい電解コンがよく利用されている。しかし,小型 化によって点灯回路が
LEDの発熱を受け易くなり,電解コンの寿命が問題になる場合があ る。この問題を解決するために,電解コンを他種のコンデンサに置き換える。前述の電解 コンの特長から,一般に電解コンレス化によって平滑コンの容量は減少する。これによっ て平滑電圧の脈動が増大するため,フリッカ低減との両立が課題となる。調光器対応と同 様に,
Cアウトプット方式に基づいてこの課題を解決するための研究が多数報告されている。
しかし,これらの研究では,電解コンレス化により大容量の平滑コンを利用することが難 しい中,補助主回路を追加することでフリッカを低減している。本研究でも,平滑コンを 大型化させることなく電解コンレス化を図るため,平滑電圧脈動の増大は避けられない。
しかし,このような条件でもフリッカを低減可能な
DC/DCコンバータの回路・制御方式を 提案する。
第
1章では,LED 照明の光の質に関する課題,及び,本研究の目的について述べる。
第
2章では,LED 点灯回路の概要を述べた後,本研究の対象である調光器対応
LED点灯
回路,及び,電解コンデンサレス
LED点灯回路について従来研究を示す。また,本研究が
着目する
Cインプット方式と, 多数の研究が報告されている
Cアウトプット方式を比較し,
C