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福 岡 大 学

博 士 学 位 論 文

超臨界および液体二酸化炭素抽出法による 植物からの生体関連物質の抽出

(平成 29 年 3 月)

河 村 弘 文

工学研究科 情報・制御システム工学専攻

(2)

1

目次

第1章 序論

1.1 緒言 ... 4

1.2 本研究の背景および目的 ... 7

1.2.1 背景 ... 7

1.2.2 目的 ... 7

1.2.3 抽出原料/目的成分... 9

1.2.4 液体二酸化抽出および超臨界二酸化炭素抽出について ... 10

1.2.5 超音波照射を利用した超臨界二酸化炭素抽出の世界的動向 ... 11

第 2 章 原理および理論 2.1 緒言 ... 14

2.2 超臨界二酸化炭素抽出... 14

2.2.1 抽出装置 ... 14

2.2.2 抽出部 ... 15

2.3 液体二酸化炭素抽出... 15

2.3.1 原理 ... 15

2.3.2 操作方法および実験条件 ... 15

2.4 超臨界二酸化炭素および超音波を併用した抽出 ... 16

2.4.1 原理 ... 17

2.4.2 超臨界二酸化炭素超音波装置 ... 18

2.5 分析方法 ... 18

2.5.1 原材料 ... 18

2.5.2 HPLCによる定性・定量分析 ... 18

2.6 溶解度測定原理 ... 21

第 3 章 溶解度の測定と相関 3.1 緒言 ... 22

3.2 超臨界二酸化炭素に対するレスベラトロールの溶解度の測定と相関 ... 22

3.2.1 目的 ... 22

3.2.2 試薬類 ... 23

3.2.3 実験装置および方法... 23

3.2.4 実験結果および相関... 24

3.2.5 考察 ... 29

3.3 超臨界二酸化炭素に対するバイカレインの溶解度の測定と相関 ... 30

(3)

2

3.3.1 目的 ... 30

3.3.2 試薬類 ... 30

3.3.3 実験装置および方法... 30

3.3.4 実験結果および相関... 30

3.3.5 考察 ... 33

3.4 結言 ... 34

第 4 章 抽出実験と結果 4.1 緒言 ... 35

4.2 液体二酸化炭素抽出を用いたシソの葉からのルテオリンとアピゲニンの抽出 ... 36

4.2.1 目的 ... 36

4.2.2 原材料 ... 36

4.2.3 実験装置および方法... 36

4.2.4 従来の液体アルコールによる抽出方法 ... 37

4.2.5 HPLC 分析 ... 37

4.2.6 実験結果 ... 38

4.2.7 考察 ... 41

4.3 液体二酸化炭素とエタノールの混合物を使用したアルファルファの葉からの ルテオリンとアピゲニンの抽出 ... 42

4.3.1 目的 ... 42

4.3.2 原材料 ... 43

4.3.3 実験装置および方法... 43

4.3.4 従来の液体エタノールによる抽出方法 ... 44

4.3.5 HPLC 分析 ... 44

4.3.6 実験結果 ... 44

4.3.7 考察 ... 50

4.4 超音波照射によって強化したシソの葉からのルテオリンとアピゲニンの 液体二酸化炭素抽出... 51

4.4.1 目的 ... 51

4.4.2 原材料 ... 52

4.4.3 実験装置および方法... 52

4.4.4 実験計画 ... 54

4.4.5 HPLC システム ... 54

4.4.6 抽出収量における超音波照射の増強効果 ... 54

4.4.7 粒子サイズの影響... 55

4.4.8 抽出温度と圧力の影響 ... 56

(4)

3

4.4.9 超音波力と照射時間の影響 ... 58

4.4.10 助溶媒のモル分率の影響 ... 60

4.4.11 メカニズムの検証 ... 61

4.4.12 抽出方法による抽出物の収量の比較 ... 64

4.4.13 考察 ... 64

4.5 結言 ... 65

第 5 章 柑橘系植物の香り嗅ぎによる脳血流量の変化の fNIRS による測定 5.1 緒言 ... 68

5.1.2 目的 ... 69

5.1.2 原材料 ... 69

5.1.3 脳血流について... 69

5.1.4 fNIRS について... 70

5.1.5 研究用光脳機能イメージング装置 FOIRE3000 による測定 ... 70

5.1.6 ベール・ランベルトの法則 ... 72

5.1.7 実験および結果... 73

5.2 結言 ... 85

第 6 章 結論 ... 86

参考文献 ... 89

APPENDIX 超臨界・液体二酸化炭素抽出における仕込み組成の調整方法 ... 96

1.調整の手順 ... 96

2.二酸化炭素の密度 ... 96

3.エタノールの密度 ... 101

4.二酸化炭素(1)-エタノール(2)の混合量を求める方法 ... 102

謝辞 ... 106

(5)

4

第 1 章 序論

1.1 緒言

食生活の多様化や生活習慣の変化に伴い、人体に機能的な影響を与える成分の様々な研 究が近年行われ、現在では保健機能食品が栄養機能食品・特定保健用食品・機能性表示食品 の三つに分けられ、一般食品と医薬品とは区別されて販売されている。

その機能は、大きくわけて腸、歯や骨、メタボへ機能するものに用途によって分けられて いる。その用途のなかで健康に関係し人々に関心をもたれているものがメタボである。具体 的には、高血圧、糖尿病、動脈硬化、肥満への機能である。

それらに機能する成分は、食物繊維、糖質、乳酸菌、タンパク質、ペプチド、脂質、ポリフェ ノール類などが知られている。その中で前述のそれぞれに多く機能すると考えられている 成分はポリフェノール類である。その用途を別の表現をするならば、血圧、血糖値、コレスト ロール、中性脂質である。作用機能は、ポリフェノール類が栄養素の消化吸収の抑制、循環 系・神経系の調節、代謝系を調節することによって生じている。

これらはポリフェノール類が持つ多機能性に由来する。それはタンパク質と結合し物質 輸送を制御する特性、抗酸化作用による抗炎症作用と酵素活性の抑制である。これらの多機 能性を持つもっとも知られているポリフェノール類は、茶由来の緑茶カテキンのひとつエ ピガロカテキンガレートである。研究者が多く様々な研究論文が発表されている。緑茶とい う昔から飲用されている食経験のある身近な植物から抽出される成分である。安全面につ いても確かめられ食品に食品添加物として広く使用されており、消費者に抵抗なく受けい れられている。このようにポリフェノール類は、その多くが、緑茶のような身近な植物素材 の中から発見されており、抽出と精製技術により製剤化され、主に食品添加物として商品化 され、飲料、デザート、菓子、錠剤、その他加工食品に幅広く使用されている。そこには健康へ の願いと、副作用のない、安全安心に使用できる素材が求められているという背景が存在す る。植物素材からのそれらの成分の抽出には、収率がよく効率的な有機溶媒が使用されるこ とが一般的であるが、成分中に残存するリスクを排除する工程の追加が必要であり、消費者 が受け取るイメージは良いとは言えない。

我々の研究室では、有機溶媒に代わる溶媒として、抽出成分中に残存せず、また生体に対 してもリスクのないものとして、超臨界状態の二酸化炭素に着目してきた。それは以下の理 由があげられる。

(6)

5

①生体に害がなく、抽出時の作業者、環境および食品への応用した場合に安全である。

②供給面で問題のない安価な抽出素材であり安定的な抽出が可能である。

③目的成分を天然原料中から効率的に抽出可能である。

④抽出条件の調整が比較的容易である。

この安全で且つ安定的な抽出素材である二酸化炭素を使用し、生体関連物質であるポリ フェノール類を天然原料である身近な植物からより選択的に効率的に抽出する方法を構築 することが本研究の目的である。

様々なポリフェノール類を抽出目的成分とする場合に、原料の植物からその成分を二酸 化炭素によって抽出するプロセスを検証するためには、その成分の超臨界二酸化炭素への 溶解度を把握する必要がある。ポリフェノール類としてレスベラトロールとバイカレンを 選択し超臨界二酸化炭素への溶解度を測定し、正則溶液モデルに基づく溶液モデルによっ て相関できることを確認した。

抽出実験として用いた抽出原料の植物は、一般消費者に馴染みのある身近な植物である シソの葉とアルファルファの葉を選択した。これは将来、その植物から抽出したポリフェノ ール類の成分を食品に添加し活用することを想定し、企業にて工業的に大量生産する場合、

入手可能な原料であることが必要なためである。また食経験があり、生体に安全であると考 えられ、一般消費者に受け入れられやすい植物を選んだ。

抽出目的成分は、シソの葉とアルファルファの葉に含まれる主なポリフェノール類であ るルテオリンとアピゲニンを選択した。

今後、工業的に生産されるためには、コスト面から、制御が容易な方法で、効率よく目的成 分を抽出できる方法である必要がある。本研究においては、天然原料からより効率的に抽出 目的成分を抽出する方法として、液体二酸化炭素による抽出を超音波照射を併用して実施 しその効果を検証した。

超臨界状態の二酸化炭素抽出への超音波照射の応用はこれまで実施事例がほとんどない 方法である。しかし過去の事例において抽出収量が向上しており(1.2.5 項に後述)、これま での有機溶媒抽出、超臨界および液体二酸化炭素抽出と比較し、この方法は植物に含まれる 成分の抽出収量の向上ために非常に有効である可能性がある。またこれまで抽出できなか った微量成分が抽出できる可能性もある。本研究では、抽出目的成分の抽出収量を実験によ り求め、従来の有機溶媒による抽出方法と比較を行い、それぞれの抽出条件を各パラメータ として、単一ファクター法により最適な抽出条件を検証した。そして超音波照射を併用する ことにより抽出収量が向上することを確認した。

本研究の今後の応用のひとつの事例として、柑橘類の植物からのフラボン類(ポリフェノ

(7)

6

ール類)と香気成分の抽出が考えられる。具体的には、食品用香料やアロマテラピーへ応用 する素材の開発方法のひとつとして本方法を活用することである。柑橘系のグレープフル ーツ、レモン、カボス、柚子等の柑橘類からは、圧搾法、水蒸気蒸留法、有機溶媒抽出法など 様々な方法でポリフェノール類やその他の香気成分が抽出されている。そしてその特徴的 な香りのため食品用香料やアロマテラピーに活用されている。柑橘類から超臨界二酸化炭 素や液体二酸化炭素を溶媒に使用して抽出された抽出物は、香料原料として存在するが、そ の抽出に対する抽出コストが他の方法と比較し高価であり広くは普及していない。また、工 業的に超音波照射の併用の応用事例も普及していない。本研究の方法を活用することによ り抽出効率が改善し、人体と環境に有害性のほとんどない二酸化炭素による抽出方法が更 に広がる可能性があると考える。

一方、本研究を柑橘素材に応用していく上で、柑橘類の香りを人体が良い香りとして感じ ることを客観的に評価する方法が、今後必要となると考える。その方法の一つとして、柑橘 類の香りを人体が嗅いだ時の刺激による脳血流量の変化の測定を実施した。島津製作所の 研究用光脳機能イメージング装置 FOIRE3000 を使用した光イメージング(fNIRS)を柑橘果実 の外皮の香り嗅ぎによる人体の脳血流の測定によって行った。柑橘類の香りは、人体をリラ ックスさせる効果がある。この方法は、これまでの人による官能試験などによる人体への影 響の検査方法以外の客観的な評価方法として、そのひとつになり得ると思われる。

食品へ応用する成分の抽出において抽出作業者や人体に安全で安定的な生産ができるこ とは必須条件であり、今後、本研究の方法は天然の植物原料からの生体関連物質の新たな効 率的な抽出方法となると考える。

(8)

7 1.2 本研究の背景および目的

1.2.1 背景

機能性の食品や医療の分野にて利用する目的にて、身近な植物からの有効な成分の抽出 方法は以前から実施されてきた。最も一般的な抽出方法としては、ヘキサン、酢酸エチルな どの有機溶媒にて抽出する方法がある。しかしながら有機溶媒を使用するため、抽出の作業 環境が安全となるように整備する必要があり、また廃棄物の自然環境への十分な配慮が必 要である。より作業従事者および自然環境への負担が極力少ない抽出技術を確立する必要 があると考える。またそれらの成分を科学的に合成する方法も模索されているが、その方法 が複雑であることと、人体への安全面を確認するための費用が高額である。

我々の研究室では、身近な植物素材から、人体の有効な生体関連物質を抽出する方法とし て、ハンドリング面で人体に有害ではなく、扱いが容易である超臨界状態の二酸化炭素に着 目し、そして人体に有効な機能をもつ生体関連物質として、フラボン類、ポリフェノール類 を目的成分としてきた。

1.2.2 目的

本研究の目的は、超臨界および亜臨界状態の二酸化炭素を使用して、安全に且つ安定的に フラボン類やポリフェノール類などの身近な植物に含まれる微量成分をより効率的に抽出 する方法として、超音波照射を併用することが有効であることを検証することである。

抽出原料の植物は、将来的に抽出した成分を食品に添加し活用されることを想定し、一般 の消費者に身近な植物を選択した。これは本研究が企業にてその成分を植物から大量生産 する方法として活用された場合に入手可能な原料であること、一般消費者に受け入れられ やすい植物である必要があるためである。抽出原料をシソの葉とアルファルファの葉を選 択し、抽出目的成分としてルテオリンとアピゲニンを選んだ。

本研究では、超臨界二酸化炭素によって、より効率的に植物からフラボン類とポリフェノ ール類を効率的に抽出する新規の方法として、抽出時に超音波照射を併用する方法に着目 し、従来の方法と抽出収量を比較することを実施した。超音波照射が抽出収量の向上に有効 であるかどうかの検証を実施するため、実験に必要な耐圧セルを独自に制作し行った。

超音波照射を併用することによる抽出実験は、第4章にて以下の内容で実施した。

1)抽出原料にシソの葉を使用した、超臨界二酸化炭素と液体二酸化炭素抽出および従 来の方法である有機溶媒(メタノール・エタノール)抽出の比較

2)抽出原料にアルファルファの葉を使用した、超臨界二酸化炭素と液体二酸化炭素と エタノール(助溶媒)の混合物による抽出および従来の方法である有機溶媒(メタノー ル・エタノール)抽出の比較

(9)

8

3)抽出原料にシソの葉を使用した、超音波照射の有り無しによる、液体二酸化炭素、液 体二酸化炭素とエタノール(助溶媒)の混合物による抽出および従来の方法である有 機溶媒(メタノール・エタノール)抽出の比較

また、様々なポリフェノール類を抽出目的成分とする場合に、原料の植物からその成分が二 酸化炭素によって抽出するプロセスを検証するためには、その成分の超臨界二酸化炭素へ の溶解度を把握する必要がある。第3章では、ポリフェノール類の超臨界状態の二酸化炭 素への溶解度の確認について、メリンジョのやぶどうなどに含まれるレスベラトロールと シソ科のコバネバナの根である黄ゴンにふくまれるバイカレインにて実施した。レスベラ トロールについては、別の論文〔1〕によって既に液体二酸化炭素抽出における挙動を報告 している。Fig.1.1 にその結果を示す。またバイカレインについては、当研究室の以前の論 文〔2〕にて、コバネバナの根からバイカリンとバイカレインが分離できることを報告して いる。Fig.1.2 に超臨界流体抽出によって得られたバイカレインとバイカレンの HPLC のク ロマトグラムを示す。

Fig.1.1 25℃、10MPaでの液体二酸化炭素とエタノールの混合物によるメリンジョ の根からのレスベラトロールの抽出におけるエタノールのモル分率の影響

◆:測定値の平均値

Fig.1.2 超臨界流体抽出によって得られたバイカレインとバイカレン の HPLC によるクロマトグラム

(10)

9

更に、今後の本研究の応用例のひとつとして、柑橘系植物からのフラボン類(ポリフェノ ール類)とその他の香気成分の応用が可能であると思われる。様々な柑橘系の植物の香りを 人間が嗅ぐことで、リラックスできるかを客観的に確認することは、今後の本研究の活用に おけるバックデータとして有効である。第5章では、島津製作所の研究用光脳機能イメー ジング装置FOIRE3000を使用し、柑橘系果実の外皮の香り嗅ぎを行った場合の脳血流量 の変化を測定し、光イメージング(fNIRS)にて表すことにより、香り嗅ぎが人体をリラック スさせるかを客観的に確認した。

1.2.3 抽出原料/目的成分

本研究には、その抽出原料として、身近な植物であるシソ(Perilla frutesence (L.) Britt.)およびアルファルファ(Medicago sativa L.)を選択した。これらの葉は、アレル ギー抑制物質として知られるフラボン類であるルテオリンとアピゲニンを含んでいる。一 般的に植物素材由来のフラボン類の中でルテオリンは特に抗酸化作用が高いといわれてお り注目されるようになってきている。これらの植物から抽出する目的成分は、ルテオリン とアピゲニンとする。

ルテオリン(luteolin)とアピゲニン(Apigenin)はフラボノイドの一種であり、黄色~

白色が特徴の植物色素である。植物としては、シュンギク、ピーマン、セロリ、パセリ、ブ ロッコリー、ニンジン、キャベツ、オリーブオイル、ペパーミント、タイム、ローズマリー、

オレガノ等のシソ科の植物に多く含まれてあり、その抗アレルギー性、抗酸化作用とが注目 されている。

シソは、中国を原産とする植物で、平安時代に日本に伝来して以来、薬味、香辛料、染料 などの用途で日本の文化に深く馴染んできた。また、伝統医療や漢方においても薬草として 多用されてきたが、近年の研究においてシソは抗アレルギー、抗炎症、抗酸化、抗細菌とい った生理活性を有することが示唆されている。シソ中には様々なポリフェノール類が含ま れているが、中でもシソの葉から抽出されたルテオリンは特に高い抗アレルギー活性、抗炎 症活性を示すことが報告されている〔3〕。ルテオリンとアピゲニンの構造式を Fig.1.3 に示 す。

(11)

10

luteolin

Apigenin

Fig.1.3 ルテオリンとアピゲニンの構造式

シソの葉とアルファルファの葉を Fig.1.4 に示す。

シソの葉 アルファルファの葉

Fig.1.4 シソの葉とアルファルファの葉

1.2.4 液体二酸化炭素および超臨界二酸化炭素抽出について

抽出には有機溶媒を用いることが多いが、環境への負荷が問題視されている。そこで、代 替手段として注目されているのが、液体二酸化炭素や超臨界二酸化炭素(Supercritical Carbon Dioxide)を使用した抽出法である。

超臨界流体とは、圧力、温度が共に臨界点を超えた状態の流体であり、気体のような分散 性と、液体のような溶解性を併せもっている。Fig.1.5 に超臨界状態図を示す。圧力や温度 などのパラメータを調整することによって、物性を幅広いレンジで細かく制御できるため、

(12)

11

工学分野への応用がよく研究されている。成分抽出において、溶媒の物性を細かく制御する ことは、目的物質の選択的抽出などにも有効である〔4〕。

Fig.1.5 超臨界状態図

超臨界流体として利用される物質には、水、メタン、エタン、プロパン、メタノール、エ タノール、アセトンなどが挙げられる。ただし、これらの中には超臨界状態にするために高 い温度と圧力を要求するものがある(Table1 1.1)。比較的マイルドな条件下で超臨界状態 を実現できるものとして、二酸化炭素がある。成分抽出をする場合、目的物質が熱変性する 可能性を考慮しなくてはならない。二酸化炭素は、ほぼ常温で超臨界状態にすることができ るため熱変性する可能性が少ない。また扱いが比較的容易で資源的にも豊富であり、かつ低 コストであるという利点もある。

Table1 1.1 臨界点の温度および圧力

臨界温度 (℃) 臨界圧力 (MPa)

二酸化炭素 31.1 7.4

窒素 -147.2 3.4

水 374 22.1

メタノール 239.5 8.1 エタノール 240.8 6.1

改訂七版,化学工学便覧(丸善出版㈱,2011)より抜粋 1.2.5 超音波照射を利用した超臨界二酸化炭素抽出の世界的動向と本研究の新規性

超臨界二酸化炭素を用いた成分抽出としては、コーヒー豆からの選択的なカフェイン抽 出(デカフェ)が比較的初期から行われており、1978年にはドイツ・ブレーメン州において 初の大規模なプラントが建造されている。緑茶中からのカテキン類抽出やマンゴスチン果 皮からのキサントン誘導体抽出においても超臨界二酸化炭素を使用した例がある〔5.6〕。い ずれにおいても、従来の抽出法に比べて様々な利点が示されており、抽出収量の向上はもち

(13)

12

ろんのこと目的物質を選択的に抽出可能であり、かつ溶質の活性に影響を与えないことが 確認されている。

超臨界二酸化炭素と超音波を併用した研究としては、2004 年にアーモンド(Prunus dulcis (Mill.) D.A.Webb)からのオイル抽出〔7〕、2006 年にショウガ(Zingiber officinale) からのジンゲロール(gingerol)抽出〔8〕、2009 年にマリーゴールドからのルテインの抽出

[9]などがある。これらは、抽出原料を入れた容器(抽出セル)へ超音波照射する振動子を接 触させ、超音波を間接照射させている。

最近では、2013 年にペッパーからのオレオレジンの抽出[10]、2016 年にトウガラシから のカプサイシンの抽出[11]において、更に超音波照射による抽出収量の向上を効果的に行 う方法として、円柱上の振動子をガラス球を装填した抽出セル内に入れ、ガラス球の固体振 動を発生させる、半直接照射法が報告されている。

2015 年にはクロレラからのルテインの抽出[12]において、超臨界二酸化炭素の助溶媒に エタノールを使用し、立方体状の振動子を抽出セル内に入れた半直接照射法が報告されて いる。

これらの方法の報告は、まだ多くはない。その理由は超臨界状態下の流体に超音波をかけ るには超音波発信源を設置した特別な耐圧セルが必要であるからである。しかし、これらの 研究においては超臨界二酸化炭素のみを使用した場合よりも抽出収量の向上が著しく、次 世代の抽出方法としては有望である。

本研究では、新規の方法として以下の方法で液体二酸化炭素抽出の際に超音波の直接照 射を併用し抽出実験を実施した。

①溶媒:液体二酸化炭素に助溶媒としてエタノールを使用した混合物

②超音波振動子:ホーン型振動子

③超音波照射:ホーン型の振動子を抽出セルに挿入し、原料と溶媒の混合液に超音波を 直接照射。

Table1 1.2 にこれまでの研究報告事例を示す。また Fig.1.6 にそれぞれの報告の抽出セル と超音波振動子の模式図を示す。

(14)

13

Table1 1.2 超臨界二酸化炭素抽出に対し超音波を併用した研究報告事例

報告年 抽出原料 抽出物 抽出溶媒 超音波照射法

① 2004 年 アーモンド オイル 超臨界二酸化炭素 間接照射

② 2006 年 ショウガ ジンゲロール 超臨界二酸化炭素 間接照射

③ 2007 年 ハト麦の種 オイル 超臨界二酸化炭素 間接照射

④ 2009 年 マリーゴールド ルテイン 超臨界二酸化炭素 間接照射

⑤ 2013 年 ペッパー オレオレジン 超臨界二酸化炭素 +エタノール

半直接照射 (固体振動)

⑥ 2015 年 クロレラ ルテイン 超臨界二酸化炭素 半直接照射 (平面型振動子)

⑦ 2015 年

(本研究) シソの葉 ルテオリン アピゲニン

液体二酸化炭素 +エタノール

直接照射 (ホーン型振動子)

⑧ 2016 年 トウガラシ カプサイシン 超臨界二酸化炭素 半直接照射 (固体振動)

Fig.1.6 Table1 1.2 の報告事例における抽出セルと超音波振動子の模式図

(本研究)

(15)

14

第 2 章 原理および理論

2.1 緒言

我々の研究室では、植物からの生体関連物質の抽出に用いる溶媒として二酸化炭素を使 用し、様々な植物の種類と目的成分を選択し、研究を実施してきた。本章では、本研究で実施 した、超臨界状態の二酸化炭素を用いた植物からの基本的な抽出装置と抽出方法および本 研究で実施した超音波照射の原理・理論および抽出した目的成分の分析方法について述べ る。

2.2 超臨界二酸化炭素抽出 2.2.1 抽出装置

ここでは、抽出実験に使用した抽出装置の基本的な構造と抽出プロセスを記載する。第3 章と第4章の実験に使用した抽出装置と方法は、それぞれの実験内容によって仕様と方法を 変更した。変更した仕様と方法は、各章にてそれぞれ記載している。

Fig.2.1 に流通型の超臨界流体抽出装置を示す。装置は、ボンベ(1)から流量調節弁 (Expansion valve)V-1 までの昇圧部およびその下流の抽出部よりなる。昇圧部:ボンベ(1) は、二酸化炭素ガスを圧力計付ポンプ(5)へ送るため、サイフォン式の二酸化炭素ボンベを 用いた。ボンベから送られる二酸化炭素ガス中の水分を除去するために、ボンベとポンプの 間に乾燥管②を置いた。乾燥管により水分を除去された二酸化炭素ガスは、冷却ユニット (4)(SCINICS COOL Circulator CH-20I)によって約-3.5℃に保たれたポリエチレングリコー ルにより冷却され、圧力計付ポンプ(5)(JASCO SUPER-200;最大使用圧力 30MPa)に送られる。

この圧力計には上限接点出力端子が付いており指定圧力でポンプの電源を切るように設定 した。ポンプヘッド部分には、二酸化炭素ガスの気化を防ぐために冷却ユニットを装着して いる。また、ポンプ内にゴミなどの不純物が混入することを防ぐためにフィルタ(3)を使用 した。系内の圧力は、ポンプ(5)により任意の圧力に設定される。このバルブは± 0.1 MPa で系内の圧力を制御できる。昇圧部の圧力を制御するために、昇圧部と抽出部の間にストッ プバルブ V-1 を設置した。ストップバルブには、JASCO 製の 2 Way Valve 02-0120 (最大使 用圧力 98.0 MPa)を用い、二酸化炭素ガスを超臨界流体にする。なお、昇圧部のボンベから フィルタまでの区間以外の配管には、1/16inch のステンレス管(材質 SUS316、外径 1.588mm、

内径 0.8mm)を用い、他の部分はすべて 1/8 inch のステンレス管(材質 SUS316、外径 3.175mm、

内径 2.17mm)を用いた。

(16)

15

Fig.2.1 超臨界二酸化炭素抽出装置

2.2.2 抽出部

抽出部は、槽全体の高さ調節が可能な空気恒温槽(6)(JASCO 温度制御器 866-CO)内に設置 した。空気恒温槽の内容積は、24dmであり、測定温度± 0.1℃で制御できる。昇圧部から供 給される超臨界二酸化炭素を平衡セル(7)に導入した。平衡セルとして JASCO(株)製の高圧 用抽出セル(材質 SUS316、設計圧力 34.3MPa、設計温度 373.15K、内径 45mm、高さ 161.5 mm、

内容積 250m3)を用いた。また試料の凝縮による管内の閉塞を防止するために高圧用フィル タ(8)を流量調節弁の上流側に設置した。圧力調節弁 V-2 で減圧後、析出した試料をトラッ プ(9)で回収した。トラップは、パイレックスガラス製のものを使用した。

2.3 液体二酸化炭素抽出 2.3.1 原理

二酸化炭素の超臨界状態は、臨界温度 31.1℃以上、臨界圧力 7.4 MPa 以上にて実現できる が、意図的に系の温度を下げることで、亜臨界状態(液体)で反応を行うことができる。本 研究ではセル内の温度を下げるため、氷をセルで覆った状態で実験を行った(Fig.2.2)。

Fig.2.2 液体二酸化炭素抽出の模式図(セル部のみ)

1.CO2Gas cylinder 2.Dryer

3.Filter 4.Cooling unit 5.Pump,Pressure

gauge 6.Air bath

7.High-pressure cell 8.Filter 9.trap

V-1.Back pressure regulators V-2. Pressure Controller

(17)

16 2.3.2 操作方法および実験条件

まず、試料を高圧抽出セル(内容積 V=50mL)に充填する前に凍結粉砕装置(SPEX、6770 FREEZER/MILL)を用いて、液体窒素中(-196℃)にて砕いて粉末状にした。高圧抽出セル(7) の中に試料 0.10 g と助溶媒としてエタノールを一定量充填した。助溶媒として用いるエタ ノールの質量 w2は、高圧セル内の二酸化炭素に対して一定の濃度(二酸化炭素とエタノー ルの混合物においてモル分率x2が一定)になるように、抽出実験の温度T,圧力Pを考慮し て、純溶媒の密度データから決定した(Appendix に示す)。決定したエタノールの質量 w2を Table 2.1 に示す。また、その計算の際に用いた液体二酸化炭素密度(文献データより、

Appendix に示す内挿法で決定)を Table 2.2 に示す。

Table 2.1 添加するエタノールの質量

w

2 [g](x2=0.131 の場合)

278.15 K 293.15 K 298.15 K 8 MPa 6.2101 5.532 5.237 10 MPa 6.272 5.761 5.535 14 MPa 6.452 6.014 5.813

Table 2.2 抽出実験条件 P=8,10,14 MPa、T=273.15、280、300 K における

液体二酸化炭素の密度ρ[kg/m3](文献データより計算(Appendix に示す)) 8 MPa 10 MPa 14 MPa

273.15 K 961.53 973.87 994.98 280 K 922.51 938.12 963.68 300 K 764.44 802.11 904.33

また、エタノールのモル分率を変化させた場合の添加量を Table 2.3 に示す。

Table 2.3 添加するエタノールの質量

w

2 [g](T=25℃、P=8、10、14 MPa の場合)

(文献データより計算(Appendix に示す))

x2 0.08 0.131 0.2 0.25 0.3 8 MPa 3.207 5.237 7.985 9.97 11.951 10 MPa 3.231 5.535 8.421 10.458 12.493 14 MPa 3.56 5.813 8.844 10.965 13.054

試料を仕込んだセルを超臨界流体抽出装置の所定の位置に設置した。次に、ボンベ(1)よ り二酸化炭素を供給し、系内のすべての空気を二酸化炭素で完全に置換するために、二酸化 炭素を 10 分程度流した。同時にあらかじめエタノールを入れたトラップを圧力調節弁の後 に設置した。次に、ポンプ(5)の圧力を操作して系内(昇圧部)の圧力を上昇させた。流量

(18)

17

調節弁とポンプの性能をチェックするために、流量調整弁 V-1 から上流側を 30 分操作圧力 で運転した。その後、平衡セルを測定圧力にするため、60 分程度放置した。この間に、空気 恒温槽の温度を測定温度± 0.1℃に調整した。また、系内の圧力および温度が一定になった 後、超臨界流体二酸化炭素の測定流速を調整するために、圧力調節弁 V-2 により流量を調節 した。流量調整後、試料のサンプリングを開始した。圧力調節弁で減圧し、溶解力を失った 二酸化炭素から析出した試料をトラップで回収した。セル内の試料に含まれる目的成分の濃 度を HPLC にて測定した。

2.4 超臨界二酸化炭素および超音波を併用した抽出 2.4.1 原理

Fig.2.3 は、本研究室で開発をした超臨界流体に超音波をかける装置の装置図である。図 中 12 は高圧セルで、ここにサンプルや助溶媒を入れる。また、13 は超音波発生装置であり、

超臨界状態にあるセル内の流体に対して超音波を照射できる。

Fig.2.3 超臨界二酸化炭素と超音波照射抽出装置

1.Gas cylinder 2.Dryer

3.Cooling unit 4.Filter 5.Pump

6.Pressure gauge 7.Safety valve 8.Check valve 9.Safety valve 10.Pressure gauge 11.Water bath

12.High-pressure cell

13.Ultrasonic horn V-1.Back pressure regulators V-2~V-4.Stop valves

(19)

18 2.4.2 超臨界二酸化炭素超音波装置

実験で使用する超臨界二酸化炭素超音波装置は Fig.2.4 を使用した。

Fig.2.4 超臨界二酸化炭素超音波装置 2.5 分析方法

2.5.1 原材料

原料のシソは、福岡の地元の農家で栽培されたものを購入した。購入したシソの葉は、水 でよく洗浄した後、液体窒素に浸しながら真空に引くことで凍結乾燥させた。乾燥後、

FREEZER MILL 6750 で凍結粉砕した。ルテオリン(3',4',5,7-tetrahydroxyflavone,含量 95%

以上,生化学用)、メタノール(液体クロマトグラフィー用)、酢酸(液体クロマトグラフィー 用)は、和光純薬工業㈱から購入した。

2.5.2 HPLC による定性・定量分析

シソならびにアルファルファのそれぞれの抽出物の分離、定性分析および定量分析には HPLC を使用した。まず分析条件の決定を行った。ここでは、シソの葉からの抽出物のルテオ リンの定性・分析の例を記載する。

凍結粉砕したシソ葉の粉末を 1 g とり、50 mL の 80 vol% メタノールにいれ、40℃で 2 時 間振盪した。振盪水恒温槽には TBK202DA 41-0399(SANSYO)を用いた。操作後、CA 膜(マ イショリディスク W-13-5、TOSOH)で濾過しサンプルとして用いた。

HPLC の装置構成について、ポンプには L-7100(HITACHI)を、移動相のミキサーには MX- 8010(TOSOH)を、オートサンプラーには AS-8020(TOSOH)を、カラムヒーターには CO-8010

(TOSOH)を、UV 検出器には 875-UV(JASCO)をそれぞれ用いた。またクロマトグラムの取 得には USB Marina を、波形記録ソフトウェアには Rec-PRO を、波形編集ソフトウェアには Chromato-PRO を、それぞれ用いた。抽出物の分離には、逆相カラムとして TSKgel ODS-80Ts 0017202(TOSHO)を用いた。カラムヒーターの温度は、40℃に設定した。また、移動相には、

メタノールおよび 1 vol% 酢酸水溶液の二種類を使用し、これらの混合比を経時的に変化さ せた(グラジエント)。グラジエントのタイムテーブルは、Cristea らの文献〔1〕を参考に して作製した。しかし、ピークの分離が不十分であったこと、カラムにサンプルが残存して 以降の測定に影響を与えたことがあったことから、以下のようにグラジエントカーブを緩 やかにし、かつ分離時間を延長した。

(20)

19

Table 2.4 移動相であるメタノールの1 vol% 酢酸水溶液に対するグラジエント

Time [min] 0 25 40 50 60 65 75

Methanol [vol%] 25 40 60 90 90 5 5

HPLC で分離した抽出物は UV を用いて検出したが、このときの測定波長を決定するため、

紫外・可視光分光光度計 V-550(JASCO)を用いてルテオリン純物質の吸光スペクトルを測 定した(Fig.2.5)。純物質は、80 vol% メタノールで溶解し、10 μg/mL とした。最大吸収 波長は 346 nm であった。測定には波長 343 nm を用いた。

Fig.2.5 ルテオリンの吸光スペクトル

得られたシソの葉抽出液を、上記の条件下で、HPLC を用いて分析した(Fig.2.6)。カラ ムへのインジェクション量は 100 μL に設定した。ピークが分離していることから、今後の 分析には上記の分析条件を採用した。

Fig.2.6 シソの葉抽出物のクロマトグラム(実線)およびグラジエントカーブ(破線)

1 26.28 2 29.27 3 31.84 4 36.93 6 46.39 7 50.95 5 43.29 8 56.93 9 59.16

0 20 40 60 80 100

30 80 130

0 20 40 60

Gradient of methanol [v/v%]

[mV]

Time [min]

(21)

20

次に、抽出液中にルテオリンが存在することを確認するため、また、ルテオリンが存在す る場合は定量するため、純物質を同様の条件下で分析した(Fig.2.7)。純物質は 80 vol% メ タノールで溶解し、100 μg/mL とした。この結果を踏まえ、以降の実験では、ルテオリン の定性にリテンションタイムを、定量にピーク面積を用いた。Fig.2.8 にシソの葉の抽出物 質の分析条件を示す。

Fig.2.7 ルテオリン純物質のクロマトグラム Table 2.5 ルテオリン純物質の測定

サンプル濃度 [μg/mL] 注入量 [mL] 保持時間 [min] ピーク面積

100 0.1 43.43 35348289.2

Fig2.8 シソの葉の抽出物の分析条件 100

300 500 700 900

0 20 40 60

[mV]

Time [min]

Luteolin 43.43

メタノール 0.1%酢酸

0-40min 550 95 50

40-50min 50 →70 50 →30

50-60min 70 30

60-70min 70 5 30 5

メタノール 0.1%酢酸

0-40min 550 95 50

40-50min 50 →70 50 →30

50-60min 70 30

60-70min 70 5 30 5

(22)

21 2.6 溶解度測定装置

本研究では、ポリフェノール類の超臨界状態の二酸化炭素への溶解度の確認を実施した。

一般に溶解度測定装置は、大きく分けてバッチ式(Fig.2.9)と流通式が用いられる。本研究 においては、当研究室で開発した流通式の超臨界二酸化炭素溶解度測定装置(第 3 章 Fig.3.2)

を用いて超臨界二酸化炭素におけるレスベラトロールとバイカレインの溶解度を測定した。

Fig.2.9 バッチ式超臨界二酸化炭素溶解度測定装置

1.Gas cylinder 2.Dryer

3.Filter 4.Cooling unit 5.Pump

6.Charging pump 7.Vacuumpump 8.Air bath

9. High-pressure cell 10.Stirring blade 11.Pressure controller V-1.Back pressure regulator V-2~V-5.Stop valves

PG.Pressure gauge SV.Safety valve H.Ribbon Heater

(23)

22

第 3 章 溶解度の測定と相関

3.1 緒言

本研究では、植物からの超臨界および液体二酸化炭素によるポリフェノール類抽出にお いてより効率的な方法として超音波照射を用いた方法の効果を検証した。原料の植物にシ ソとアルファルファの葉を使用し、目的成分のポリフェノール類としてルテオリンとアピ ゲニンを選択した。しかし今後様々なポリフェノール類を抽出目的成分とする場合に、原料 の植物からその成分が二酸化炭素によって抽出するプロセスを検証するため、その成分の 超臨界二酸化炭素への溶解度を把握する必要がある。

ポリフェノール類の超臨界状態の二酸化炭素への溶解度の確認については、メリンジョ の種やぶどうなどに含まれるレスベラトロールとシソ科のコバネバナの根である黄ゴンに ふくまれるバイカレインにて実施した。

3.2 超臨界二酸化炭素に対するレスベラトロールの溶解度の測定と相関 3.2.1 目的

ぶどうなどの植物に含まれるレスベラトロールは現在注目されているポリフェノール類 の一つである。その理由はその薬理学的特性および癌防止特性[1]などのためである。神経 [2]や心臓[3]への効果についてはいくつかの動物モデルの研究で確認されている。レスベ ラトロールの抽出収量を向上させるために様々な抽出技術が開発されており、超臨界流体 抽出(SFE)は、レスベラトロールを天然の原材料からの抽出するために実施可能な技術であ る。最近ではその合成法[4]と食品添加物としての使用が研究されている。高純度のレスベ ラトロールは、結晶化によって得ることができる。しかしながら、効率的なプロセス設計に は、抽出または合成されるレスベラトロールの溶解性についての知識を必要とする。

この研究では、絶対温度 308.2K、313.2K および 318.2K において、圧力 8.1MPa、10.2MPa、

15.3MPa にて超臨界二酸化炭素におけるレスベラトロールの溶解度を流通式の溶解度測定 装置により測定した。レスベラトロールの化学構造を Fig.3.1 に示す。またこれらの物質の 溶解度がジガー(Ziger)とエッカート(Eckert)によって提案された正則溶液モデルに基づ く溶液モデル[5]によって良好に相関できることを確認した。

Fig.3.1 レスベラトロールの化学構造式

(24)

23 3.2.2 試薬類

レスベラトロール(純度 99.0wt%、和光特級)は和光純薬工業㈱から、純度 99.9vol%以上 の二酸化炭素(CO2)は福岡酸素㈱から購入し、購入品をそのまま使用した。

3.2.3 実験装置および方法

当研究室で開発した流通式の溶解度測定装置(Fig.3.2)を用いて超臨界二酸化炭素にお けるレスベラトロールの溶解度を測定した。測定温度として 308.2K、313.2K および 318.2K を選定した。測定圧力は 8.1MPa、10.2MPa、15.3MPa とした。装置および操作手順の詳細な説 明は、我々の以前の論文に記載されている[6]。ガスボンベを出た液化二酸化炭素は、暖まっ て蒸発することを防止するように冷却装置を通過させた。その後二酸化炭素は最高流速 5.2ml/min(液化二酸化炭素基準で)、最高圧力約 60MPa が可能な圧縮器へ導入した。±0.1 MPa の圧力制御精度でセル内を一定圧力に維持するため背圧調整器を使用した。平衡圧力は、

精度±0.3%のひずみ圧力計に対して目盛り設計されたブルドンゲージにより測定した。

二酸化炭素は、予熱コイルを通過させ、それからレスベラトロールを含む平衡セルの中に入 れた。そのセルは SUS316 ステンレス鋼製で、その内径、高さおよび体積は、それぞれ 30mm、

30cm および 210cm3だった。固形成分は、チャネリングを防止するようにガラスビーズと一 緒に 2 番目のセルに充填した。一方最初のセルは緩衝用タンクとして使用した。これらのセ ルは、予熱コイルに取り付けられて、±0.1K の温度制御精度によってコントロールされた水 恒温槽に浸した。固体成分が溶解した超臨界流体は、膨張弁を通じて減圧し、氷にて温度を さげた水槽の中で冷却した U 字形のガラス管のなかに通した。ガス状の二酸化炭素と固体 成分は、チューブのなかで分けた。トラップした固体成分の量は、質量によって決定した。チ ューブの中に集めた溶質は、はかり(精度 0.1mg)を使用し直接重量を測定した。二酸化炭素 の体積は、±0.4%の測定精度の湿式ガスメーターで測定した。通常は溶質の 0.1~0.3g が トラップする。そして膨張した二酸化炭素の流速は、気化二酸化炭素基準で 0.3~3.5L/min になるように調節した。チューブと膨張弁の中に残った少量の固体成分は、バイパスライン を通して超臨界二酸化炭素を使うことによって取り除きトラップした。

(25)

24

1. CO2Gas cylinder 8. Preheating column 15. Trap

2. Drying tube 9. Check valve 16. Water bath

3. Filter 10. Preequilibrium cell 17. Saturator

4. Cooler 11. Equilibrium cell 18. Wet gas meter

5. Pump 12. Water bath V-1 Back-pressure regulator

6. Pressure gauge 13. Filter V-2~V-5 Stop valve

7. Safety valve 14. heating unit V-6 Expansion valve

Fig.3.2 流通式の超臨界二酸化炭素溶解度測定装置

3.2.4 実験結果および相関

レスベラトロールの溶解度と二酸化炭素の流速の関係を Fig.3.3 に示す。二酸化炭素の 流速を 0.5~3.5L/min で変化させた場合、測定圧力 8.1MPa、10.2MPa、15.3MPa のそれぞれの 圧力でのレスベラトロールの溶解度は、それぞれ一定であった。このことから用いた流速の 範囲では、溶解度は変化しておらず、測定において流通した二酸化炭素は、レスベラトロー ルで飽和していたことがわかった。得られたデータは飽和溶解度であることがわかった。圧 力 8.1MPa、10.2MPa、15.3MPa、測定温度 308.2K、313.2K および 318.2 K で得られた超臨界二酸 化炭素におけるレスベラトロールの溶解度を Table3.1 に示しす。溶解度の実験値は、各圧 力での複数の測定平均値(再現性:±4.0%以内)から算出した。

5

CO2

2 3

v-1

4 v-2

6 7

8

9

12 v-3

v-4 v-5

13

14 v-6

16 17 18

1 10 11

15

(26)

25

Fig.3.3 レスベラトロールの溶解度(y2)と二酸化炭素の流速の関係(308.2K)

Table 3.1 超臨界二酸化炭素におけるレスベラトロールの溶解度(y2) T[K]

P[MPa] 308.2 313.2 318.2 8.1 3.73E-08 9.26E-08 1.62E-07 10.1 7.72E-08 1.37E-07 5.47E-07 12.2 8.40E-08 2.00E-07 9.98E-07 15.3 9.17E-08 3.29E-07 1.53E-06

測定温度 308.2K、313.2K および 318.2 K におけるレスベラトロールの実験データを Fig.3.4 に示す。測定圧力にともなう密度の急激な増加により、レスベラトロールの溶解性 が増加したことを示している。溶解度は、全ての場合において一定の温度で圧力とともに増 加することを示した。これは溶質-溶媒相互作用を増加させる分子間距離を縮める圧力の増 加とともに二酸化炭素の密度が増加したためと考える。

-9.5 -8 -6.5 -5 -3.5

0 1 2 3 4

V [L/min]

(◆) 8.1 MPa (■) 10.2 MPa (▲) 15.3 MPa

(27)

26

Fig.3.4 超臨界二酸炭素に対するレスベラトロールの溶解度(y2) (-):計算値

超臨界流体に対する物質の溶解度をモデル化することは、超臨界流体-プロセス設計のため に重要である。実験データの信頼性を確認するために、エッカートらの方法[7]にならって、

純粋な二酸化炭素の密度ρ1に対するエンハンスメントファクター(Enhancement factor)

Eをプロットした。エンハンスメントファクターは、次式で定義される。

E = Py2 / p2sat (1) ここで

y2 :超臨界流体に対する第 2 成分の溶解度 [-]

P :平衡圧力 [MPa]

p2sat:第 2 成分の飽和蒸気圧 [MPa]

また、第 2 成分の飽和蒸気圧は、アブラムスーマサルディープラウスニッツ(Abrams−

Massaldi−Prausnitz ;AMP) 式 [8]により計算した。AMP 式は、蒸気圧を推算するためにア ブラムスら[9]によって提案されたもので、モイルウィン-ヒューズ(Moelwyn-Hughes, 1961) の運動論[10]に基づいた理論を拡張している。

二酸化炭素の密度は、文献値[11]を使用した。Fig.3.5 に示すように、エンハンスメント ファクター対数 In Eが各成分についてρ1溶媒濃度の良好な線形関数であることが観察さ れた。

その関係は次式で定義される。

-8.00 -7.50 -7.00 -6.50 -6.00 -5.50 -5.00

6 10 14 18

Logy2

P[MPa]

(◆) 308.2K (■) 313.2K (▲) 318.2K

(28)

27

In E = A + Bρ1 (2)

ここで

ρ1:二酸化炭素の密度 [g/cm3] A,B:パラメータ。係数AとBをTable 3.2 に示す。 [-]

Fig.3.5 エンハンスメントファクターEと純粋な二酸化炭素の密度の関係 (-):式(1)による計算結果

Table3.2 式(2)の係数

T [K] A B

308.2 -5.6597 0.0043 313.2 -4.8793 0.0042 318.2 -4.7815 0.0061

ジガー(Ziger)とエッカート(Eckert)〔5〕は、超臨界流体中の固形成分の溶解性が正則溶液 モデルに基づく溶液モデルによって表現されることを想定している。

エンハンスメントファクターの対数 lnEを、次式で示す。

ν2s1δ2-δ21) δ21

RT ln

(

P

)

ɶ 摧䃧

lnE = η - 1+ +ν (3)

ρ1[kg・m-3

(◆) 308.2K (■) 313.2K (▲) 318.2K

(29)

28 ここで、

T:絶対温度 [K]

R:普遍気体定数 [8.314J・mol-1・K-1]

δ

1 :ギディングズら[12]によって提案された方法により算出された超臨界二酸化 炭素の溶解度パラメータ [-]

P:実験圧力 [MPa]

δ2: フェドロス(Fedors)法[13]により算出した固体成分の溶解度パラメータ [-]

ν2s:第 2 成分(固体)成分のモル体積 [cm3・mol-1]

フェドロス(Fedors)法[13]で求めたハードコアファンデルワールス体積

VWとほぼ比例している。

η,υ:それぞれ式(3)によって定義されたパラメータ [-]

K =ν2s/ VWは、比例定数であり山本ら[14]とおなじように約 1.5 と仮定した。レスベラト ロールのν2sは、VWと K = 1.5 のそれぞれの値を用いて計算した。レスベラトロールの物理 的特性を Table 3.3 に示す。ηおよびυの値は、一般的な線形最小二乗法を用いて計算する ことができた(Table 3.4)。エンハンスメントファクターの対数は、正則溶液モデルによっ てよく相関した。超臨界二酸化炭素中のレスベラトロールの溶解度も Fig.3.4 に示したよ うによく相関している。

Table 3.3 レスベラトロールの物理的特性 103ν2s

[m3mol-1]

δ2

[MPa1/2]

102p2sat[kPa]

T=308.2K T=313.2K T=318.2K 0.1335a 27.015097b 1.198c 1.906c 2.981c a:フェドロス(Fedors)法によって与えられるν2s = 1.5 VW

の関係によって推算

b:フェドロス(Fedors)法によって推算 c:AMP 式によって推算

Table 3.4 式(3)におけるηおよびυの最適値と偏差

T [K] η υ 100σa

308.2 0.48176 -3.1431 -0.4673 313.2 0.50157 -2.4168 -0.9122 318.2 0.73146 -1.2246 -0.2640 aσ = (1/N)|yexp - ycalc|/yexp, Nはデータ数

(30)

29 3.2.5 考察

超臨界二酸化炭素におけるレスベラトロールの溶解度は、8〜15MPa での圧力範囲にわた って温度 308.2K、313.2K および 318.2K において流通式の溶解度測定装置により測定した。

溶解度は温度と圧力が増すとともに増加した。これらの溶解度はジガー(Ziger)と エッカ ート(Eckert)によって提案された正則溶液モデルに基づく溶液モデル[5]によって相関で きることを確認した。

(31)

30

3.3 超臨界二酸化炭素に対するバイカレインの溶解度の測定と相関 3.3.1 目的

シソ科のコガネバナの根である黄ゴンは、古くからアジアで広く用いられ健胃消化薬、

高血圧症用薬などとして知られおり[1.2]、その主成分であるバイカレインは、より高度な 分離・精製技術の開発が望まれていた。最近では、合成法[3]が研究され、食品へ応用され ている。我々は、既に超臨界二酸化炭素を用いる超臨界クロマト法により黄ゴンから、バ イカリン、バイカレイン、オウゴニンを抽出分離する方法を提案した[4]。しかし、超臨 界二酸化炭素に対するこれらフラボン類の溶解特性に関する実験データは乏しく、製造プ ロセス設計には、より詳細な溶解度データが必要である。

この研究では、絶対温度 308.2K、313.2K および 318.2K において、圧力 8.1MPa、10.2MPa、

15.3MPa にて超臨界二酸化炭素におけるバイカレインの溶解度を流通式の溶解度測定装置 により測定した。バイカレインの化学構造を Fig.3.6 に示しす。またこれらの物質の溶解度 がジガー(Ziger)とエッカート(Eckert)によって提案された正則溶液モデルに基づく溶液 モデル[5]によって良好に相関できることを確認した。

Fig.3.6 バイカレインの化学構造式

3.3.2 試薬類

バイカレン(純度 98.0wt%、生薬試験用)は、和光純薬工業㈱から、純度 99.9vol%以上の 二酸化炭素(CO2)は福岡酸素㈱から購入し、購入品をそのまま使用した。

3.3.3 実験装置および方法

3.2.3 に記載の内容と同様の実験装置と方法にて実施した。

3.3.4 実験結果および相関

バイカレインの溶解度と二酸化炭素の流速の関係を Fig.3.7 に示す。二酸化炭素の流速 を 0.5~1.2L/min で変化させた場合、測定圧力 8.1MPa、10.2MPa、15.3MPa のそれぞれの圧力 でのバイカレインの溶解度は、それぞれ一定であった。このことから用いた流速の範囲では、

溶解度は変化しておらず、測定において流通した二酸化炭素は、バイカレインで飽和してい たことがわかった。得られたデータは飽和溶解度であることがわかった。圧力 8.1MPa、

(32)

31

10.2MPa、15.3MPa、測定温度 308.2K、313.2K および 318.2 K で得られた超臨界二酸化炭素に おけるバイカレインの溶解度を Table 3.5 に示す。溶解度の実験値は、各圧力での複数の測 定平均値(再現性:±4.0%以内)から算出した。

Fig.3.7 バイカレインの溶解度(y2)と二酸化炭素の流速の関係 (308.2K)

Table 3.5 超臨界二酸化炭素におけるバイカレインの溶解度(y2) T[K]

P[MPa] 308.2 313.2 318.2 8.1 2.66E-08 3.97E-08 5.78E-08 10.1 4.98E-08 6.52E-08 1.07E-07 12.2 5.25E-08 7.81E-08 1.28E-07 15.3 6.99E-08 9.99E-08 1.51E-07

測定温度 308.2K、313.2K および 318.2K におけるバイカレインの実験データを Fig.3.8 に 示す。測定圧力にともなう密度の急激な増加により、バイカレインの溶解性が増加したこと を示している。溶解度は、全ての場合において一定の温度で圧力とともに増加することを示 した。これは溶質-溶媒相互作用を増加させる分子間距離を縮める圧力の増加とともに二酸 化炭素の密度が増加したためと考える。

-8 -7.6 -7.2 -6.8 -6.4 -6

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

logy

V [L/min]

(◆) 8.1 MPa (■) 10.2 MPa (▲) 15.3 MPa

(33)

32

Fig.3.8 超臨界二酸炭素に対するバイカレインの溶解度

(-):計算値

また超臨界二酸化炭素へのバイカレインの溶解度が、ジガー(Ziger)とエッカート (Eckert)によって提案された正則溶液モデルに基づく溶液モデル[5]によって相関できる ことを前項のレスベラトロールと同じく確認した。

Fig.3.9 にエンハンスメントファクターEと純粋な二酸化炭素の密度の関係を示す。

Fig.3.9 エンハンスメントファクターEと純粋な二酸化炭素の密度の関係 (-):3.2.4 項の式(1)による計算結果

-7.70 -7.50 -7.30 -7.10 -6.90 -6.70 -6.50

6 8 10 12 14 16

Logy2

P [MPa]

(◆) 308.2K (■) 313.2K (▲) 318.2K

(◆) 308.2K (■) 313.2K (▲) 318.2K

ρ1[kg・m-3

(34)

33

Table 3.6 に 3.2.4 項の式(2)におけるバイカレインの係数AとBを示す。

Table 3.6 3.2.4 項の式(2)の係数

T [K] A B

308.2 -1.8351 0.0043 313.2 -1.2143 0.0035 318.2 -0.9693 0.0033

Table 3.7 にバイカレインの物理特性を示す。

Table 3.7 バイカレインの物理的特性 103ν2s

[m3mol-1]

δ2

[MPa1/2]

102p2sat[kPa]

T=308.2K T=313.2K T=318.2K 0.121a 26.96b 1.753c 3.006c 5.054c

a:フェドロス(Fedors)法によって与えられるν2s= 1.5 VW

の関係によって推算

b:フェドロス(Fedors)法によって推算 c:AMP 式によって推算

Table 3.8 に 3.2.4 項の式(3)におけるバイカレインのηとυの最適値と偏差を示す。

Table 3.8 3.2.4 項の式(3)におけるηおよびυの最適値と偏差

T [K] η υ 100σa

308.2 0.5278 0.9133 -0.4098 313.2 0.4483 0.9993 -0.1150 318.2 0.4353 1.1290 -0.1698 aσ = (1/N)|yexp - ycalc|/yexp, はデータ数

エンハンスメントファクターの対数は、正則溶液モデルによく相関した。また、超臨界二 酸化炭素中のバイカレインの溶解度もFig.3.8 に示したようによく相関している。

3 . 3 . 5 考 察

超臨界二酸化炭素におけるバイカレインの溶解度は、8〜15MPa での圧力範囲にわたって 温度 308.2K、313.2K および 318.2K において流通式の溶解度測定装置により測定した。溶解 度は温度と圧力が増すとともに増加した。これらの溶解度はジガー(Ziger)と エッカート (Eckert)によって提案された正則溶液モデルに基づく溶液モデル[5]によって相関できる ことを確認した。

(35)

34 3 . 4 結 言

超臨界二酸化炭素におけるレスベラトロールとバイカレインの溶解度は、8〜15MPa での 圧力範囲にわたって温度 308.2K、313.2K および 318.2K において流通式の溶解度測定装置に より測定した。レスベラトロールとバイカレインの溶解度は、両方とも温度と圧力が増すと ともに増加した。これらの物質の溶解度はジガー(Ziger)と エッカート(Eckert)によって 提案された正則溶液モデルに基づく溶液モデル[5]によって相関できることを確認した。

今後の植物からの二酸化炭素によるポリフェノール類の抽出のプロセス設計の参考とな る超臨界二酸化炭素に対するこれらフラボン類の溶解特性に関する実験データを得ること ができた。

(36)

35

第 4 章 抽出実験と結果

4.1 緒言

本研究では、超臨界二酸化炭素を使用して、効率的に植物からフラボン類とポリフェノー ル類を抽出する方法として、抽出時に超音波照射を併用する方法に着目した。実験に必要 な耐圧セルは独自に制作した。本章では超音波照射の有効性を超音波照射有り無しでの同 一の抽出条件で実施し検証した。

原料として、身近にあり入手が容易であり、将来の数量供給にも問題がないと考えられる シソとアルファルファの葉を選定した。抽出目的成分は、シソとアルファルファの葉の主 成分であるルテオリンとアピゲニンとした。

抽出実験としては以下の三つの実験を行った。

1)抽出原料にシソの葉を使用した、超臨界二酸化炭素と液体二酸化炭素抽出および従 来の方法である有機溶媒(メタノール・エタノール)抽出の比較

2)抽出原料にアルファルファの葉を使用した、超臨界二酸化炭素と液体二酸化炭素と エタノール(助溶媒)の混合物による抽出および従来の方法である有機溶媒(メタノー ル・エタノール)抽出の比較

3)抽出原料にシソの葉を使用した、超音波照射の有り無しによる、液体二酸化炭素、液 体二酸化炭素とエタノール(助溶媒)の混合物による抽出および従来の方法である有 機溶媒(メタノール・エタノール)抽出の比較

過去の研究では、複数の植物の葉の種類からフラボン類(ポリフェノール類)の様々な溶 出および分離方法を報告されており、抽出溶媒として、従来はエタノール、メタノール、アセ トン、トルエンなどの有機溶媒が使用されている。本研究では、それぞれの抽出実験におい て従来の有機溶媒であるメタノールとエタノールを用いる方法と比較し実施した。

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