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JR EAST Technical Review-No.33

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データ量(336byte)を有し、このカードを持った使用者が 電極を踏むことにより、「入場」および「出場」の表示を入 出端末(PC端末)に行う。(図2、図3)

 本研究ではタッチレスゲートを実現するため、人体近傍通 信技術を用いた。この技術は人体の表面に微弱な電界を誘 起し、送信機または受信機内の高感度電界センサーにより、

電界の変化を検知することで通信を行う仕組みである。人 体内に直接電流を流さないため、心臓ペースメーカーの方で も安心・安全に使え、人体の状態(衣服、靴などの上から)

に依存することなく、通信が出来、双方向通信が可能である。

この人体近傍通信技術を用い、デモ用タッチレスゲートを作 製し、アンケートおよび使用者観察から、使用者が使用する 際に課題となる問題点の抽出と人体近傍通信のデータ通信 時間および歩行速度に関する測定を行った。(図1)

2. 開発概要

2.1 システム概要

 本研究のシステム構成は、【電極(365mm×365mm)⇒

床側送受信機⇒入出場用端末】を1組とし、デモ機では2組 を用いた。電極間の距離は現行自動改札機(EG2)の通 路長(1750mm)とした。

 カード型送受信機(90×55×5mm)はSuicaとほぼ同等の

タッチレスゲートへの応用に向けた 人体近傍通信技術の

基礎調査研究

●キーワード:タッチレスゲート、人体近傍通信技術

 フロンティアサービス研究所では、快適な駅空間を形づくる改札システムを目指し 利便性が高い 誰でも使いやすい バリア フリー をコンセプトとしたタッチレスゲートシステムを検討している。本研究では触るだけで情報通信ができる人体近傍通信技術を 用いて、タッチレスゲートの実現に向けたユーザービリティに関する課題抽出と必要な通信処理性能の検証を行った。

*JR東日本研究開発センター フロンティアサービス研究所

三田 哲也*

篠谷 洋一郎*

1. はじめに

図1 人体近傍通信の仕組み

図2 デモ用タッチレスゲート全体システム構成図

図3 システム構成図

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JR EAST Technical Review-No.33

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 現行のSuicaタッチ動作については、「やや不便」、「不便」

と感じているモニターも存在した。特に女性はSuicaやモバイ ルSuicaをカバンに入れているケースが多く、これらをカバンか ら取り出す動作に「不便」と感じる声が聞かれた。

③  「人体通信」にどのようなイメージを持ちましたか?(結果を 図7に示し、縦軸は件数)

 『人体通信』に対するイメージは、「人体への影響」や「セ キュリティ不安」といったネガティブイメージを持つモニターが 存在した。人体近傍通信の安全性については電波法の微 弱無線の基準を満たしており、またペースメーカーの代表的 な機種において影響のないことを確認済みである。

④ その他、ご意見・ご感想がございましたらお聞かせください。

【結果】

 99件の回答があり、項目分けして評価した。肯定的意見 29件、否定的意見4件、問題提起22件、利用シーン提案8件、

改善提案その他31件

 肯定的意見は「利便」と「実現を期待」という意見が 大多数であり、タッチレスゲートに対するユーザーニーズの高 さが伺える。一方で、否定的意見は改札通過の確実性に 対する不安の声が聞かれた。問題提起では、無賃乗車へ の対応や、人体近傍通信カードを複数枚保持時の対応、

混雑時の対応などに関する課題が挙がった。

 利用シーン提案では、他鉄道事業者との連携や他ポイント カードとの連携を望む声や、携帯電話機能としての搭載を期

待する声が聞かれた。

 改善提案・その他ではカード型送受信機の小型軽量化、

特に薄膜化を望む声が多く聞かれた。

3.2 使用者観察

 デモ使用者の観察を行うとともに、デモ用タッチレスゲート システムに関するユーザービリティ調査を行った。観察件数 は739件であった。

2.2 システムシーケンス

 床側送受信機はカード型送受信機に対して絶えずポーリン グ(接続要求)を行っている。接続確立が行われると、「接 続確認(連続 3 回)」、「認証」、「利用データ読み出し(2 回)」、

「利用データ書き込み(2 回)」の順となるシーケンス(処理)

になっている。(図 4)

3. 性能評価

3.1 ユーザービリティ評価

 デモ使用者に対して、アンケートを行い、ユーザービリティ 調査を行った。アンケート回収件数は345件であった。

■アンケート項目

① 現行の改札機に比べ、改札処理性能はどのように感じま したか?(結果を図5に示し、縦軸は件数)

 現行改札機に比べて処理速度が「普通」もしくは「速い」

と感じており、これはユーザーが改札処理を意識せずに通過 できる可能性を示している。

② 現行の改札機を通過する際のタッチ動作についてどう感じ ていますか?(結果を図6に示し、縦軸は件数)

図4 シーケンス図

図5 デモ用改札機処理性能結果

図6 現行Suica改札機体感速度結果

図7 人体通信に関するイメージ結果

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無線通信

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巻 頭 記 事

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特 集 論 文 5

 体重による認識成功回数にばらつきは見られないが、身 長が高いほど認識成功回数が低くなる傾向が見られた。こ れは高身長なモニターは男性であり、保持方法に起因してい る可能性が高いと考えられる。電極側の設置箇所や電極枚 数などにより通信品質を上げて、カード保持方法によるバラつ き軽減をする必要がある。

3.3 人体近傍通信処理性能評価

 体型別の通信処理性能と各保持方法による通信処理性 能評価を実施した。通信処理性能は通信ログ(開始時刻

〜終了時刻)の差分から算出しまとめた。実施対象者(モ ニターリスト)を表6に示す。

3.3.1 モニター別通信処理時間

 モニターが複数回通信処理性能試験を行い、通信処理 時間ごとに回数をまとめた表である。結果から通信に掛かる 時間は241〜243msecが大半をしめた。

3.2.1 デモ用タッチレスゲート認識成功率

①結果

 認識成功率結果は成功96%、失敗4%であった。

②考察

 タッチレスゲートの認識成功率は96%で、入場・退場別に 見ると入場側の成功率は97%、出場側の成功率は94%であっ た。出場側はデモ用ゲートを設置していなかったので、電極 の端を踏んだことにより、エラーが発生したと考えられる。

3.2.2 カード保持方法別認識成功件数

 「上着ポケット」および「胸ポケット」に保持した場合の認証 成功率がほかに比べて低いことがわかる。これはカード型送受 信機の重みにより体表面との接触率が低くなり、通信エラーが生 じたためと想定される。カード側送受信機の小型軽量化や形状 および携帯電話への搭載を検討する過程において、体表面へ の密着率を高める工夫を行うことにより改善できると考えられる。

3.2.3 性別別認識成功件数

 女性は100%の認証成功率であり、失敗のすべてが男性 によるものであった。しかし、女性で「上着のポケット」およ び「胸ポケット」に保持したモニターは存在していないことか ら、性別が認識成功率に影響を与えているのではなく、上

述のカード保持方法に起因していると考えられる。

3.2.4 身長・体重別認識成功率

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表6 モニターリスト 表5 身長・保持方法別認識失敗回数

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表1 カード保持方法別認識成功結果

表2 性別別認識成功結果

表3 身長別認識成功結果

表4 体重別認識成功結果

表7 モニター別通信処理時間結果

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②保持方法

 「衣服のポケット」 や「カバンに入れる」という意見が大 多数であったため、保持方法ごとで通信品質にバラつきが 発生しないようにハード面、ソフト面から通信性能の最適化 を行う必要がある。

③シーケンス

 今回のシーケンスは8往復の通信処理を行っており、1往 復でカード処理に20msec加算されている。課金決済処理は 4往復で処理されているため、同等のシーケンスにすれば、

4往復分(80msec)の短縮が可能であると考えられる。

④カード媒体

 カード媒体はバッテリーを搭載しているため媒体厚さが 5mm、重さが40gであった。人体近傍通信はカード媒体にバッ テリーが必要なため、携帯電話などのバッテリーを搭載した 機器との連携する方法を考え、モバイルSuica会員向けのイ ンセンティブサービスへの展開などが考えられる。

⑤Suicaとの連携

 実導入を考えた際にSuicaチップとの連携を考える必要が ある。例えば、媒体側にSuicaチップと人体近傍通信チップ の両方を搭載し、SuicaR/W(Suica読み取り装置)ではタッ チして処理が出来、人体近傍通信の電極があった場合は、

電極に触ることで通信が可能な仕組みが必要であると考えら れる。

 通信シーケンスはあくまでもSuicaのシーケンスを用い、人 体 近 傍 通 信は土 管の役 割として使う。 電 極は現 行の SuicaR/Wに容易に接続できる方式を考える必要がある。

5. おわりに

 本文中には結果を示さなかったが、タッチレスゲートに関す るニーズ調査に関するアンケートも行っている。タッチレスゲー トのニーズの高さを改めて実感した。また人体通信に関する 通信速度や歩行速度に関して多くのことが確認できた。今 後は導入に向けて課題を克服し、お客さまサービスの向上を 実現していきたい。

3.3.2 保持方法別通信処理時間

 データ送受信におけるデータ送信開始から送信完了まで の通信処理時間は239msec〜245msecの範囲となった。性 別や年齢、個別体型による差は見られないと考えられる。また、

保持方法による通信処理性能差も無いことが確認できた。

 通信処理時間のバラつき発生したのは、PC端末の時刻 データを利用したことが原因であると考えられる。

3.4 歩行速度処理性能

 2組の電極間の通信開始・終了時間の差分から歩行速度 をまとめた。評価件数は739件であった。

 デモ利用ということもあって相当のばらつきがみられた。処 理時間が長いものは説明しながらのデモであったためだと考 えられる。

実現化にむけた課題

4.

 本章では実用化に向けた課題について記載する。

①電極

 電極を踏むことで通信を行っていたが、踏み外しや踏むた めに歩幅をあわせるストレスがあることが分かった。また実導 入時の施工などを考えた場合電極設置位置や電極サイズ、

形状を検討する必要がある。

 今回使用した人体近傍通信は電極から20cmぐらいの距 離でも通信ができることがわかっているので、側面に設置し た際に通信できるエリアの検証を行う必要がある。

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表8 保持方法別通信処理結果

80 70 60 50 40 30 20 10 0 通過回数

通過秒数

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1.4上1.5未満 1.6上1.7未満

1.8上1.9未満 2.2上2.3未満

2.4上2.5未満 2.6上2.7未満

2.8上2.9未満 2.0上2.1未満

3.2上3.3未満 3.4上3.5未満

3.6上3.7未満 3.8上3.9未満 3.0上3.1未満

4.2上4.3未満 4.4上4.5未満

4.6上4.7未満 4.8上4.9未満 4.0上4.1未満

図8 歩行速度処理性能結果

参照

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