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SSKA 頸損 No 年 12 月 日発行 東京 2020 オリンピック パラリンピックを機にインクルーシブ社会の実現を!! W.N( 匿名 ) 東京 2020 オリンピック パラリンピック競技大会 の開催が決定した 世界中から障害者や さまざまな人種 宗教 世代の異なる多くの人々

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Academic year: 2021

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東京 2020 オリンピック・パラリンピックを機にインクルーシブ社会の実現を!!

W.N(匿名) 「東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会」の開催が決定した。世界中から障害者や、 さまざまな人種、宗教、世代の異なる多くの人々が、2020 年 7 月 24 日~9 月 6 日に掛けて日本に 訪れる。そのため、組織委員会をはじめ内閣官房 2020 年オリンピック・パラリンピック東京大会 推進室(内閣オリパラ室)、東京都、国土交通省、文部科学省、その他関係省庁では、競技場会場 や輸送計画、ボランティア等の整備に向けて取り組みをはじめた。 こうした国を挙げた動きについて障害者団体では好機と捉え、整備がオリンピック・パラリン ピックに留まることなく、20 数年後を見据えたインクルーシブ社会の実現に向けバリアフリー整 備のあり方や基準を見直すことなど提言をまとめている。 1.50年前の東京オリンピックの負のレガシー 50 年前に東京で開催されたオリンピック (1964 年)では、首都高速道路や新幹線、競 技場等の建物など大規模なインフラ整備が行 われ、現在の東京の都市基盤が構築されたこと がレガシーとされてきた。しかし、その一方で 「負のレガシー」が遺されることになった。都 市や社会の仕組みの作られ方は障害のない人 たちの利便性や効率のみが重視され、その枠か ら漏れた障害者の存在は無視されてしまった。 車いすの障害者が公共交通機関を利用する ことなど想定してなく駅の橋上化や地下化が 進められた。また、道路には歩道橋が架けられ、 建物はデザインのみが重視され、エレベーター やスロープの設置などまったく考慮されるこ とがなかった。通勤、通学、買い物等、社会参 加の機会が奪われてきた。 最近は、街を歩くと車いすや電動車いす、シ ルバーカーを利用する高齢者、ベビーカーを押 す家族連れを目にするようになった。50 年前 は電車やバス等を利用して、通勤、通学し、食 事や買い物、スポーツ観戦などが、あたりまえ にできることを誰が想像したろうか。 この環 境を作り出してきた功績の背景には、長年にわ たる障害当事者の継続的な運動がある。しかし、 バリアフリー整備は大都市に偏り地方の都市 では未だにバリアフリー化が遅れたままで、生 活の足であるバス路線が廃止されたり無人駅 が急増するなど、都市間格差が広がってしまっ た。 東京オリンピック・パラリンピックは首都圏 を中心に隣県で競技が行われ、5 年後に向けて 競技会場等の整備を行うことになる。国際パラ リンピンピック委員会(以下 IPC)では、開催 国に対して整備要件に基づいたガイドライン を作成し、承認を得ることを求めている。しか し、これまでの国内の都市や施設、交通機関の 整備のあり方を見ていると世界に誇れる日本 の姿を見せることができるのか懸念される。 2.IPC のレガシー戦略とガイドライン ○レガシー戦略 IPC では 2006 年に世界各地から専門家を集 めて「IPC アクセシビリティ作業部会」を設置 し「アクセシビリティガイド」をまとめた。ガ イドには、競技場、選手村宿泊施設やホテル、 旅客施設、乗り物等、刊行物、輸送、観光、ト レーニング及びサービスなどの広範な分野に わたり、国際的に認められた技術基準が記載さ れている。 特に、レガシー戦略として「パラリンピック 大会を、大会関連の社会的基盤整備に留まらず、 開催都市と大会関連のすべての社会的基盤や サービスをアクセス可能でインクルーシブな ものとするために用いられることを目的とし ている。」そして開催国に対して、「国の最低基 準、あるいは地元の建築基準が用いられること が極めて多いが、どの国でも最低基準は最低限 のアクセスしかもたらさない。」として、アク セシビリティ基準と設計基準の制定によるア

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クセシビリティガイドを整備することが開催 要件とされている。なお、その際に開催国の基 準が、アクセシビリティガイドに書かれている 要件を上回る場合は国の基準を適用し、下回る 場合に IPC から別段の承認が得られた場合を 除き、IPC 基準を優先することとしている。 そのため東京都、組織委員会、内閣官房が主 催し、組織委員会が事務局となり、昨年 11 月 に「アクセシビリティ協議会」を設立、協議会 の下に「建設部会」「交通・アクセス部会」「コ ミュニケーション・サービス部会」の 3 つの部 会を置いた。各部会では IPC が求める 786 項目 にわたる技術基準に対して、都や国の基準(建 築、道路)、バリアフリー整備ガイドラインと の比較検討を行い、「東京版アクセシビリテ ィ・ガイドライン」を作成し、2016 年 6 月ま でに IPC へ提案、承認を得る予定とされている。 「建設部会」では、各会場における通路・手 すり、エレベーター、駐車場、客席、トイレ、 更衣室等ついて、「交通・アクセス部会」では、 大会へのアクセス経路として空港・駅・港湾・ 道路・バス停への通路・手すり、エレベーター、 駐車場、待機場所、トイレ等および、電車・バ ス・専用車等の輸送車輌のバリアフリー技術仕 様の協議を行う。 また「コミュニケーション・サービス部会」 では、宿泊施設内の設備、情報発信や標識掲示、 スタッフ・ボランティア等による誘導等のトレ ーニングの指針、合わせて心のバリアフリーに 向けた活用方法について協議を行うことにな る。 ◆IPC アクセシビリティガイドでは ①車いす席(アクセス可能な座席)の数 競技場内の車いす席の数ついて、オリンピッ ク・パラリンピック大会を除き、どのようなス ポーツイベントでもアクセス可能な座席の最 低要件として総座席数の0.50%を設置するよ う求めている。そしてオリンピック大会の場合 は最低要件0.75%以上。パラリンピック大会に は1%以上を、また車いすバスケットなど観客 にも車いす使用者が多く見込まれる場合には 1.2%以上の車いす席を設置しなくてはならな い。例えば、メイン会場となる新国立競技場で は当初計画の見直しで約6.8 万席以上の観客 席となる、レガシー時には車いす席を340席、 オリンピック大会には最低でも510席、パラリ ンピック大会には680席~816席を確保しなけ ればならないことになる。 ②車いす席の分散化と選択 車いす席の設置では数だけではなく観る場 所についても重要とされ、車いす使用者をひと つのエリアに集めるのは適切ではないとして、 観たい場所が自由に選択できること、各階層へ の水平・垂直方向に車いす席の分散を計ること が求められている。 ③同伴者用座席 同伴者用座席は、車いす席と同じ割合(前述 のとおり0.5~1.2%)で、車いすエリアの後で はなく、横に準備する。簡単に移動できる椅子 を用いれば、同伴者は車いす使用者と並んで座 ることができ、車いす使用者が2人かそれ以上 の場合は、車いすを横に並べられるよう、椅子 を素早く取り去ることも可能であるとしてい る。 車いすの横に同伴者席が設けられている ④付加(エンハンスト)アメニティ座席 付加アメニティ座席は、車いすを使用してい ないが、歩行困難である場合や足腰・長身・横 幅が広い等何らかの理由で配慮された席が必 要な人のための席を設置することが求められ ている。この座席は、前方と片側のスペースを 通常より広く取っており、車いす使用者と同伴

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者用の座席に加え、総座席数の1%の座席を用 意するのが望ましいとしている。これら座席に ついても、様々なエリアに分散させ、エリア内 では列の端で、できるだけ階段の上り下りの少 ないところに配置することが望まれている。 ⑤サイトライン(可視線)の確保 競技を楽しむということでは他の人たちと の同一の視界を確保することが重要である。通 常時でも開けた視界の確保が必要とされるが、 競技の模様にエキサイトして立ち上がった前 席の観客により車いす使用者の視線が遮られ てしまうことがある。そのためサイトラインの 確保とは、車いす席と前席の床の高さの差を前 席の観客が立ち上がった際にも観覧が可能と なるよう、舞台やスクリーン、競技スペース等 へのサイトラインを妨げないように設計を求 められている。 建築物の設計標準(劇場、競技場等の客席・観覧席を 有する施設に関する追補版) 車いす席のサイトライン 日産スタジアム ⑥エレベーター、多機能トイレ(アクセス可能 なトイレ) エレベーターについて、かごの有効寸法は、 1,700 ㎜×1,500 ㎜以上(17 名定員)とするこ とを標準とし、スポーツ施設やパラリンピック 選手村のエンターテイメント施設や居住部な ど公共性の高い施設では、かごの寸法は 2,100 ㎜×1,500 ㎜以上(24 名定員)とするようにと している。 また、男女共用の多機能トイレの数について も、一般に設置割合は車いす使用者15人に対し、 1カ所の多機能トイレを設置することが適当だ とされている。 その他にも数多くの項目について考え方や 数値基準が示されている。この IPC アクセシビ リティガイドは、国連障害者権利条約や ADA 法などの考え方が色濃く反映され、他の者との 平等を基本に据えて障害者を特別な存在とし てではなく、同じ移動ルートを使い座席に着い て観戦を楽しむことができるという思想によ るものである。 ニューヨーク ヤンキースタジアムの車いす席配置 海外の施設、アメリカの野球場などは、入場 口から観客席へのルート、トイレなどすべての ルートが一般客と同じ動線になっている。さら に通路幅も広くスムーズに移動できる。車いす 席は球場全体で数百席設けられ、各エリアにあ るので一般客と同じように車いす使用者も観 戦場所の選択ができ、観戦を楽しむことが出来 る。車いす席が多くあるので一般客と同じよう にチケットの入手が容易になっている。また、 サイトラインが確保されており、前席の人が立 ち上がっても視界を塞がれることはない。

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日本では、こうした設計の考え方により作ら れた施設は少ない。多くの競技施設やスタジア ムで車いす席は1~3 カ所程度の限定された エリアにしか設置されておらず選択ができな い、さらに施設全体でも席数が非常に少ない。 多機能トイレやエレベーターの数についても 少なく、行列ができ時間が掛かるなど水準が低 い。同伴者用座席についても同様で、車いす席 の隣に介助者用席が作られているが、車いす使 用者と一緒に競技を楽しむという考え方では ない。 なお、サイトラインの確保ということでは、 まったく概念がなく国のバリアフリー基準か らも抜け落ちていた。急遽オリンピック・パラ リンピックの整備のため、国土交通省では「建 築物の設計標準」の見直しを行い追補版(2015 年 7 月)を出し対応をすることとなった。バリ アフリー法に基づいた移動等円滑化基準は、旅 客施設や建築物、車両、道路、都市公園、路外 駐車場の整備について最低限の義務基準を事 業者に課している。そのうえで努力義務として 望ましい整備基準を設けた移動等円滑化ガイ ドラインが作られている。 しかし、この法律は事業者に対し、高齢者、 障害者等が利用する施設や車両の整備の促進 を行わせるために作られたもので、事業者の立 場に立ち最低の基準で留まっている。また、障 害者の利用を一般人たちと同じように保障し ていくという考え方には立っていない。 3.オリパラ提言プロジェクトと障害当事者の参画 ○障害者団体による提言づくり 交通アクセス問題や障害者の権利擁護に力 を入れて取り組んでいる障害者団体では、オリ ンピック・パラリンピックの環境整備に向け、 障害当事者からなるプロジェクトを昨年 4 月 に立ち上げた。プロジェクトでは、競技場をは じめ、交通機関のアクセス、ホテルや観光地の 情報や接遇等のサービスなどについて、将来に 向けたバリアフリー整備への提言づくりを行 っている。すでに第一次提言、第二次提言が組 織委員会、東京都、内閣官房および関係省庁へ 提出された。 主な提言内容は次の通りである。 1)第一次提言では、競技場や駅等の旅客施設 についてまとめている。 ① 移動ルート 障害者も健常者と同じ動線を 使えることを基本とし複数ルートを確保する。 ② エレベーターは 車いす、障害者、高齢者、 ベビーカー、一般客が同時に多数利用できるよ うに30人定員以上のエレベーターを基本とし て複数台設置する。 ③ 車いす用席 車いす用席は全席数の1%以上 を常設で設置し、決められた場所だけではなく 水平垂直に分散して席を整備して選択肢を提 供する。 ④ サイトラインの確保 前席の人が立ち上が っても車いす席の人の視界が遮られることが ないように高低差をつける。具体的には、前席 の人の身長を175cm以上とし、車いすの目の高 さは105cmとする。さらに小型の車いす、体の 小さい人、リクライニング式車いすなど目の高 さが低い人も観戦を楽しめるように、数種類の サイトラインの高さを設ける(75cm、90cm、 105cm)。 ⑤ 同伴者席 車いす使用者の同伴者は「付き 添い」ではなく「同伴者」であることを理解し て他の観客と同様に対応する。友人や家族と一 緒に観戦することも可能にし、後ろではなく横 に並んで一緒に観戦して楽しめるようにする。 ⑥ トイレ 多機能トイレは15席に1つの割合 で設置し、一般のトイレの男女別には簡易多機 能トイレを必ず1つ整備する。おむつ替えスペ ースは女性トイレだけでなく男性用トイレに も整備する。 2)第二次提言では鉄道、バス、飛行機、船、 タクシー等の交通機関についてである。 ①空港リムジンバス 羽田空港・成田空港路線 の空港リムジンバスは、2020年までに100%バ リアフリー車両にする。 ②新幹線・特急車両のフリースペース 現在は 車いすから座席に移乗することを前提とした 設計のため、移乗ができない重度障害者が乗車

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するスペースがない。自由席も含めて一編成に つき、6~10人程度乗車出来るよう車いすやベ ビーカーが乗車可能なフリースペースを設け る。また、障害特性のために長い車いすを使っ ている人も乗車可能にするよう車いすの長さ 1200mm制限を改善すること。 ③ハンドル形電動車いすの制限解除 ハンド ル形電動車いすも、新幹線やバス等に乗車出来 るようにする。 ④在来線のフリースペース すべての車両に 一カ所ずつ車いす、ベビーカー等が乗車できる フリースペースを設ける。 ⑤エレベーター等設置 駅の規模に応じエレ ベーターの大型化・複数化、複数ルート整備す る。 ⑥駅ホームの安全性の向上 ホームドアの設 置を促進すると共に、車両とホームの段差・隙 間を解消する。 ⑦UDタクシーの普及 すでに車両は開発さ れており、普及促進する。 3)第三次提言として宿泊施設やレストラン、 情報、接遇サービスについては、現在、まとめ を行っている。 提言の作成に際しては、20 数名の障害当事 者が代々木競技場、武道館、有明テニスの森、 日産スタジアム等、8 カ所の競技場のアクセス などの実地調査を行った。 プロジェクトチームによるバリアフリーチェック 東京体育館の調査では、IPC 基準に照らした 30 項目のうち、適合したのはわずか 9 項目し かなかった。調査した 8 競技場を見ると総座席 数に占める車いす席の割合は、IPC 基準を満た すところはなく、0.08~0.4%と低い水準であ る。また、サイトラインの確保については日産 スタジアムを除くと皆無であった。同様に多機 能トイレの設置についても数える程度しか備 えられていなく、これらの結果からも国際的な 評価に値するにはほど遠い現状である。 なお、サイトラインについては、車いす席と 前席の床の高さの差を求める根拠を示すため、 車いす使用者の目の高さのデータを集め 310 件のデータから眼高には 105~115 ㎝と幅があ ることがわかった。その結果、低い車いす使用 者の数値を基準にした場合、女性の車いす使用 者の約 4 割がサイトラインの確保ができない ということが明らかになった。 競技場のバリアフリーチェックや車いす使 用者の人体的な基礎データを基に、国内の整 備の現状と課題、加えて国内外の先進事例を 取り入れながら提言が作られている。こうし た取り組みの結果、サイトラインを含めたガ イドラインの見直しに繋がり、障害当事者を 委員に交えて「劇場、競技場を有する施設の建 築設計標準に関する検討委員会」が開かれるよ うになった。 手動車いすの寸法と眼高 ○オリンピック・パラリンピックへの整備検討 への参画 アクセシビリティ協議会及び部会は、国の関 係行政機関、東京都、関係地方公共団体、事業 者、そして関係団体として日本障がい者スポー ツ協会、日本パラリンピアンズ協会、日本身体 障害者団体連合会、日本スポーツ振興センター

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(JSC)など 200 名近いメンバーで構成されて いる。しかし、バリアフリー関係の有識者の参 加はなく、障害者団体は1団体しか入っていな いなど、極めて偏った構成である。また会議は 非公開で行われ、資料も厳重取扱となり東京都 が日本語訳した IPC アクセシビリティガイド (前述)は関係者のみしか配布されず、それ以 外の者は WEB からの英語版しか手に入れない など、非常に閉鎖的な体制となっている。 障害者団体からは、アクセシビリティ協議会 に対して、多様な意見を持つ各障害者団体を抜 いた閉鎖的な体制に抗議文が提出された。その 結果、事務局の下に障害者団体からなるワーキ ング部会が設けられた。しかし意見を聴く場で しかなく、ガイドライン素案への討議で直接意 見が言えるものはない。本来なら、新たな競技 場等の建築物の基準づくりに障害者団体が係 わることはあたりまえのことであるが認めら れなかった。オリンピック・パラリンピックの 整備に関しては、これ以外にも新国立競技場の ユニバーサルデザイン設計や、東京都の大会準 備局でも同様に閉鎖的な体制がとられており、 どのようなことが検討されているか外部から まったく計り知ることができない状況である。 そうしたなか構造物を中心に検討を進めて きた協議会から、本年 5 月に暫定基準が IPC へ提案された。障害者団体の実質的な参加がな されてなく認めがたいもであったが一定水準 の基準は担保されていた。その後、事務局から 今後の検討の進め方についての提案がなされ た、来春までに建築物以外の残された項目につ いて障害者団体の参加の上で検討を進めたい とのことであった。 各部会の下に、構造物、鉄道輸送、道路輸送、 航空輸送、船舶輸送、宿泊施設、情報・標識、 接遇の 8 つの作業部会を設け、各部署に障害者 団体から当事者の出席を求めることとなった。 ようやく障害者団体の参画の必要性を認識し たようである。 現在、各作業部会において事務局、有識者、 事業者、関係省庁等に混じって活発で建設的な 意見が各障害者団体より多く出され検討が進 んでいる。 4.おわりに 障害当事者の参画については、2006 年に制 定されたバリアフリー法で、プロセスへの参画 が明文化された。また、同年に国連で採択され た 障 害 者 権 利 条 約 の 作 成 プ ロ セ ス で は 「Nothing About Us Without Us」(私たち抜き で私たちのことを決めないでほしい)というス ローガンが広く支持され、様々な決定プロセス に障害当事者が参画していくことの重要性は 国際的に広く認識されているところである。 50 年前の東京オリンピックでは障害当事者 を抜きにすべてが決められ、負のレガシーとし て障害者の社会参加の機会を阻害してきた。5 年後の東京オリンピック・パラリンピックでは、 その轍を踏まないようにしなければならない。 スタート時の躓きがあったが「東京版アクセ シビリティ・ガイドライン」は、遅れながらも 実質的な障害者団体の参加によって密度の濃 い肌理細やかな、国内的にも国際的にも水準の 高い内容になることが期待できる。レガシーは 目に見えるものだけではなく、また一過性で終 わらせては意味がない、将来日本社会の発展に 財産としてどのようなレガシーを残すのかを 意識して取り組む必要がある。他の者との平等 を基礎とするインクルーシブ社会の実現に向 け、検討過程の障害当事者の実質的参画の仕組 みを定着させると共に、作成されたガイドライ ンは東京大会だけの基準とすることなく、日本 全体のバリアフリー化のボトムアップに繋げ なければならない。

参照

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