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肝癌における

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Academic year: 2021

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(1)

Vol.2 (2014) pp.53-57

1)内科学系消化器肝臓内科学分野 2)病態病理学系微生物学分野 楡井和重:[email protected]

2.対象および方法

対象は,当院消化器外科にて2011年より肝細胞 癌の診断にて血管造影を施行され,検体使用の許諾 を得たHBs抗原陽性4例,HCV抗体陽性4例である。

これらの症例より末梢血10mlをヘパリン添加採 血した。この後直ちにリンパ球を分離し,培養後

各々10細胞をカウントした。

1.HBVゲノムの組み込みの検出は以下の如く行っ

た。

1) 末梢血10mlをヘパリン添加採血した。この後直 ちに血球を分離して培養後,プレパラート上に 薄層に添付する。

1.はじめに

肝癌(HCC)におけるHBV遺伝子のヒト遺伝子 への組み込みの有無については,様々な検討が現在 までなされてきた。現状では,HBV遺伝子のヒト遺 伝子への組み込み形式は,ランダムであり特定の部 位への組み込みはないとされている。今回の研究の 目的は,HCC症例でOccult HBV感染例の全塩基配 列を増幅するPCR法を行い,そのPCR産物をProbe として用いるFISH法にてHBV遺伝子のヒト染色体 への組み込み部位の検索を行い,B型およびC型 HCC例についてHBV遺伝子の組み込み部位を確認 することである。

楡井和重1),森山光彦1),黒田和道2)

要旨

肝癌(HCC)におけるHBV遺伝子のヒト遺伝子への組み込み様式について検索した。本年度の研 究には,Fluorescence labeled in situ hybridization (FISH) 法を用いて,HBs抗原陽性およびHCV抗体 陽性HCC例の末梢血リンパ球より,HBVゲノムのヒトゲノムへの組み込みの有無と組み込み様式の 特徴について検索した。対象は,2011年より肝細胞癌の診断にて手術切除され,検体使用の許諾を

得たHBs抗原陽性4例およびHCV抗体陽性4例の計8例である。これらの症例の末梢血リンパ球を

用いて,前年度に作製したprobeを用いてFISH法を行い, この結果,HBs抗原陽性例では全例に HBVゲノムの組み込みを示す蛍光を認めた。またHCV抗体陽性例では4例中3例にHBVゲノムの組 み込みを示す蛍光を認めた。 比較的hot spotに近い部位へのHBVゲノムの集積を認めたが,全例に 同一の組み込み部位は認められず,HBVゲノムのヒト染色体上への組み込み部位はランダムであっ た。一方HBs抗原陰性かつHCV抗体陽性例においても,HBs抗原陽性例と同様に,末梢血リンパ球 からも多数のHBV genomeのヒト染色体への組み込みが認められたが,同様に同一の特定部位への

HBVゲノムの組み込みは確定されなかった。以上より,FISH法を用いてHBs抗原陽性HCC例の末

梢血リンパ球より,HBVゲノムのヒト染色体上へのHBVゲノムの組み込みを検出した。一方HCV 抗体陽性のいわゆるC型 HCCにおいても,HBVゲノムのヒト染色体上への組み込みを確認したこ とより,C型慢性肝炎・肝硬変からのHCC発生には,HBVが関与していることも考慮すべきである ことが示唆された。

肝癌における B 型肝炎ウイルス遺伝子の ヒト遺伝子への組み込み様式の解明

Analysis of rearrangement of HBV integration in patients with HCC

Kazushige NIREI

1)

Mitsuhiko MORIYAMA

1)

Kazumichi KURODA

2)

(2)

2) Fluorescence labeled in situ hybridization (FISH)

法により,染色体上へのHBVゲノムの組み込み の検出を行う。

2.固定細胞FISHプロトコルを以下に提示する。

1)細胞の変性処理を以下のごとく行う。

・細胞標本を70℃ホットプレート上で2時間ハー ドニング後,70℃の70%ホルムアミド/2×

SSC中2分間変性処理した後,氷冷した70%エ

タノールに5分浸漬する。

・ 70%エタノールで洗った後100%エタノールに

5分浸漬後風乾もしくは37℃インキュベーター

で乾燥する。

2)プローブの変性処理を以下のごとく行う。

・ 1スライドあたり10μlのプローブをチューブ に入れ75℃で10分変性して,5分以上氷冷する。

3)ハイブリダイゼーションを行う。

・細胞標本にプローブをアプライしカバーグラス をかける。この後37℃で必要時間ハイブリダ イズする。

4)洗浄および検出を行う。

・ 2×SSC中5分浸漬しカバーグラスを静かには ずして,37℃の50%ホルムアミド/2×SSC中 20分浸漬する。

・ 1×SSCですすいだ後1×SSC中15分浸漬した

後,DAPI染色後マウントし蛍光観察を行う。

3.結 果

1) HBs抗原陽性HCC例のリンパ球からのヒト染色 体上のHBVゲノムの組み込みの検出

ヒト染色体上にHBVゲノムの組み込みを示す蛍 光を認める。Fig.1にcase 1の1細胞の染色体上に HBVゲノムの組み込みを示す蛍光を提示する(矢 印)。

Fig.2に4症例各々20細胞分のkaryogramのまと めを提示する。同一染色体上のほぼ同一部位に 最大8細胞がHBVゲノムの組み込みを認めた。

しかしながら大多数は4細胞以下であり,ヒト染 色体上への特徴的な組み込み部位は認められず,

ランダムにHBVゲノムの組み込みがあることが 確認された。

2) HCV抗体陽性HCC例のリンパ球からのヒト染色 体上のHBVゲノムの組み込みの検出

Fig.3にcase 5の1細胞の染色体上にHBVゲノム の組み込みを示す蛍光を提示する(矢印)。

Fig.4に4症例各々10細胞分のkaryogramのまと めを同様に提示する。同一染色体上のほぼ同一 部位に,最大8細胞がHBVゲノムの組み込みを 認めた。しかしながらHCV抗体陽性例でも同様 に,大多数は4細胞以下であり,ヒト染色体上へ

Fig.1 HBs抗原陽性 Case 1 karyogram

Fig. 1 HBs抗原陽性 Case 1 karyogram

(3)

Fig.2

HBV4症例のideogramのまとめ

Fig. 2 HBV4症例のideogramのまとめ

Fig.2 HCV抗体陽性 Case 1 karyogram

Fig. 3 HCV抗体陽性 Case 1 karyogram

(4)

HCCにおいても,HBVゲノムのヒト染色体上への 組み込みを確認したことより,C型慢性肝炎・肝硬 変からのHCC発生には,HBVが関与していること も考慮すべきであることが示唆された。

現在,組み込み部位と発癌に関与する遺伝子発現 の有無など背景因子について,次世代高速シークエ ンサーを用いて検討中である。

文 献

 1)Yamamoto T, Kajino K, Kudo M, et al. Determination of the clonal origin of multiple human hepatocellular carcinomas by cloning and polymerase chain reac- tion of the integrated hepatitis B virus DNA.Hepatol- ogy 1999; 29: 1446−1452.

 2) Matsuoka S, Nirei K, Tamura A, et al. Influence of Occult Hepatitis B Virus Coinfection on the Inci- dence of Fibrosis and Hepatocellular Carcinoma in Chronic Hepatitis C. Intervirology 2009; 51: 352−361.

 3)Wang J, Lin J, Chang Y, Li P, Yang Y.MCM3AP, a nov- el HBV integration site in hepatocellular carcinoma and its implication in hepatocarcinogenesis.J の特徴的な組み込み部位は認められず,ランダ

ムにHBVゲノムの組み込みがあることが確認さ れた。

4.考 察

Fish法の結果では,末梢血リンパ球からも多数の HBV genomeのヒト染色体への組み込みが認められ た。しかしながら,ヒト染色体上への特定の部位へ の組み込みの集積,いわゆるhot spotは今のところ 認められていない。

HBs抗原陽性例におけるHBVゲノムのヒト染色 体上への組み込み部位はランダムであった。

一方HBs抗原陰性かつHCV抗体陽性例において も,HBs抗原陽性例と同様に,末梢血リンパ球から も多数のHBV genomeのヒト染色体への組み込み が認められた。今までのところ,HBs抗原陽性例と 同一の特定部位へのHBVゲノムの組み込みは確定 されていないが,HCV抗体陽性のいわゆるC型 

Fig.4

HCV4症例のideogramのまとめ

Fig. 4 HCV4症例のideogramのまとめ

(5)

Huazhong Univ Sci Technolog Med Sci. 2010; 30: 425−

429.

 4) Tamori A, Yamanishi Y, Kawashima S, et al. Altera- tion of gene expression in human hepatocellular car- cinoma with integrated hepatitis B virus DNA. Clin Cancer Res 2005; 11: 5821–5826.

Fig. 1 HBs抗原陽性 Case 1   karyogram
Fig. 2 HBV4 症例の ideogram のまとめ

参照

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