日独 製 造 企 業1 こ
主 に経営会計 的視 点か らの比較 分析
お け る環 境 保 全
柳 田 仁
本 稿 は,私 が ドイ ツ留 学 中 の1995年 に 実 施 し た ア ン ケ ー ト調 査 を も と に し
I)
て 作 成 した も の で あ る。 ア ン ケ ー ト項 目 に 関 し て は,論 文 末 に 記 載 し た 。 こ こ で 設 定 さ れ た 各 質 問 を,マ ネ ジ メ ン トプ ロ セ ス に よ っ て 分 類 す れ ば,図 表
2)
1の よ う に な る 。 な お,こ の ア ン ケ ー ト は,Augsburg大 学 教 授A .G℃oenen‑
berg(以 下,C教 授)が1992年 に 行 っ た ア ン ケ ー ト に 準 拠 し て 実 施 し た も の
3)
で あ る。 ち な み に,C教 授 の 行 っ た ア ン ケ ー トに よ る 調 査 は,ア ン ケ ー ト依 頼 会 社1,167社 中513社 が 回 答 し(回 収 率44%),そ の 内 有 効 な 回 答 数 は483社
(有 効 回 収 率41.8%)で あ る。 一 方,私 が 行 っ た ア ン ケ ー トは依 頼 会 社160社 で あ り,在 ドイ ツ 日系 非 製 造 業(A)・ 同 製 造 業(B)・ ドイ ツ 企 業(D)と い う,3つ の グ ル ー プ に 分 類 して デ ー タ を 集 計 し た 。 有 効 な 回 答 を 示 し た 企 業 は,Aが73社,Bが13社,Dが16社 で あ る 。
こ の 集 計 企 業 全 て を 含 め た デ ー タ の 結 果 に 関 し て は,設 問 の 中 か ら特 に 重
4)
要 な 項 目 に 絞 っ て 比 較 ・ 分 析 を 行 い,既 に 論 文 と し て 発 表 し て い る 。 本 稿 で
!)拙 稿 「在 ド イ ツ 日 系 企 業 及 び ド イ ツ 企 業 の 環 境 保 全 一 経 営 会 計 的 視 点 を 中 心 と し た ア ン ケ ー ト分 析 一」 『産 業 経 理 』Vol.56No.1,1996,PP ・44〜45。
2)同 稿,p.46。
3)本 稿 のA.G.Coenenberg教 授 の ア ン ケ ー ト結 果 に 関 し て は,拙 稿 「企 業 政 策 と 環 境 保 全 一A.G.Coenenbergの ア ン ケ ー ト を 中 心 と し て 一 」 神 奈 川 大 学 経 営 学 部 『国 際 経 営
論 集 』Nc].10(1996.3)pp.51〜74を 参 照 の こ と 。
4)前 掲 の 拙 稿 「在 ド イ ツ 日 系 企 業 及 び ド イ ツ 企 業 の 環 境 保 全 … 経 営 会 計 的 視 点 を 中 心 と し た ア ン ケ ー ト分 析 一一」 を 指 す 。
1
図 表1=マ ネ ジ メ ン トプ 回セ ス に よ る質 問 項 目の 分 類 計 画 決 定
・目標 関 連 性 質 問 項 目5
管 理
制 裁
コ ン トロー ル
・権 力 を持 つ グ ル ー ・委 託機 関
プか らの要 請 質 問項 目7
質 問 項 目2・ 経 済1生
質 問 項 目8
・投 資
質 問 項 目10
・管 理
質 問項 目11
・用 具
質 問項 目13
・原 価
質 問 項 目12
は,A・B・D全 体 の ア ン ケ ー ト結 果 の 中 か ら両 国 製 造 業 に 限 定 した デ ー タ を集 計 し,全 体 と製 造 業,そ し て 製 造 業 に お け る 日 系 及 び ドイ ツ企 業,そ れ ぞ れ の 比 較 を行 っ て い る。 具 体 的 に は,Dの16社 の 中 か ら13社 を ピ ッ ク ア ッ
らラ
ブ し,こ れ とBの13社 を比 較 ・分 析 す る と い う形 を と っ た 。
意 思決定
・エ コ ロ ジ ー 指 向 性 質 問 項 目6
、'
実 施
・処 理
質 問項 目3及 び4
・リサ イ クル 質 問項 目14他
1.環 境 保 全 の 問題 が 企 業 の 意 思 決 定 に及 ぼ す影 響
環 境 保 全 の 問題 は近 年,各 方 面 に お い て強 い関 心 を集 め て い る。公 の場 で 活 発 な討 議 が な され,環 境 関 連 の法 律 の施 行 や そ の範 囲 の拡 大 が 見 られ る よ
5)ド イ ツ企 業 に 関 して は,特 に 設 問 に 対 す る記 載 が 少 な か っ た3社 を 除 外 した 。 2国 際 経 営論 集No.ll1996
図 表2=環 境 保 全 の 影 響(設 間2)
日本 製 造 企 業 ドイ ツ製 造 企 業
普通
脚 鍵
普通 非 常 に 強 い{23.1%)強 い (46.1°/a)
非 常 に 強 い (46.1%)
うに な った 。 また,消 費 者 や 公 衆 が 環 境 保 全 に対 して敏 感 に反 応 す る よ うに な っ て きて い る。 こ うい っ た傾 向 に企 業 の意 思 決 定 が どの程 度 影 響 され るか を確 か め るた め に設 定 した の が,設 問1で あ る。 この設 問 に対 し,集 計 企 業 全 て を総 合 した ア ンケ ー ト結 果 で は,回 答 企 業 の48%が 「非 常 に強 く」 あ る
い は 「強 く」作 用 され る,と 回答 して い る。 す な わ ち,約 半 数 の 企 業 が,環 境 保 全 問 題 は企 業 の意 思 決定 に影 響 を及 ぼす と考 え て い るわ けで あ る。 それ
で は,こ れ を 日独 製 造 業 に限 って比 較 した場 合 は,ど の よ うな 結 果 とな る だ ろ うか(図 表2参 照)。
「非 常 に強 く」あ る い は 「強 く」影 響 を受 け る と回答 した企 業 は,日 本 企 業 で約70%,ド イ ツ企 業 で は約85%に 達 した。 また,こ れ らに 「普 通 」 とい う 回 答 も含 め る と,日 独 共 に100%と な る。 この よ うに,程 度 の 差 こそ あ れ,環 境 保 全 問 題 は 日独 いず れ の製 造 業 に とっ て も意 思 決 定 に強 い影 響 を与 えて い
る。 また,集 計 企 業 全 体 との比 較 で は,製 造 業 の 方 が 強 く影 響 され て い る。
2.環 境 保 全 が 目標 シ ス テ ム に も た ら す 効 果
環 境 保 全対 策 が企 業 の経 営 目標 に与 え る影 響 は,企 業 が そ の 目標 を計 画 す る過 程 にお い て考 慮 され る。 設 問5は,企 業 に お い て極 め て重 要 と思 わ れ る
日独製造企業における環境保全3
図 表3=企 業 目標 と環 境 保 全 の 相 関性(設 問5)
日本企業
競争 能力
ドイ ツ企 業
全 く 一 致 せ ず (15.4%)
未 回 答 (7.7%)
効 果 が な い (ユ5.4%)
未 回 答 全 く一一致 せ ず(7.7%)
効 一果 が な い (15.4%)
促 進 的 効 果 が あ る (6L5%)
7%) \・黙\一㎜
娘 1
促 効 (6 促 進 的 効 果 が あ る (69.2%)
流動性
日本 企業 ドイ ツ企 業
未 回 答 (30.8%)
猷 ・、 、
全 く 一 致 せ ず (30.7%)
促 進 的 効 果 が あ る
(23.1%)
効 果 が な い (15.4%)
未 回 答 促 進 的
(30.8%)効 果 が あ
(23.1%)
・…1
蝋=妄,
㌔工 耽 、
一一致 せ ず
(7.7%) 効 果 が な い
(38.4%)
売.ヒ 高 増 大
日本企業 ドイ ツ企 業
全 く 一一致 せ ず (23.1%)
・未回 答 (7.7°/v)
効 果 が な い (23.1%)
促 進 的 効 果 が あ る
(46.1%)
未回答
全 く… 致 せ ず (15.4%
効 果 が な い (23,1%)
促 進 的 効 果 が あ る (38.4%)
4 国 際 経 営 論 集No.111996
利益獲得
lI本 企 業 ドイ ツ企 業
未 回 答 全 く … 致 せ ず(0 .0%)
(30.8%)
効 果 が な い (23.1%}
未 回 答 1,15.4%) 促 進 的
効 果 が あ る (46.1%)
全 く 一 致 せ ず 総 諒 下 (15.4%)
効 一果 が な い (23.1%)
促 進 的 効 果 が あ る
(4fi.1%)
市場占有率
日本企業 ドイ ツ企業
未 回 答 (7.7%}
全 く 一 致 せ ず (15.4%)
効 果 が な い (30.8%)
未 回 答 全 く 一 致 せ ず(7 .7%)
(0.0%)
効 果が ない 促 進 的
効 果 が あ る (4fi.1%)
(23,1%)
促 進 的 効 果 が あ る (69.2%}
原価低減
H本 企 業 ドイ ツ企 業
未 回 答 (7.7%)
全 く 一 致 せ ず (23.1%)、 、い ド
促 進 的 効 果 が あ る
(23.1%)
効 果 が な い X46.1%)
T回 答 (7.7%)
全 く 一 致 せ ず や \:緊§ 怒 (53.8%)ミ ≧ミこミ〉ぷ くこ、、〉、1・
§ミ\・ざ 瑛
訣 駁9、 、
促 進 的 効 果 が あ る
(23.1%)
効 果 が な い (15.4%)
日独 製 造 企 業 に お け る環境 保 全 5
目標 をい くつ か設 問 中 に提 示 し,環 境 保 全 が 企 業 に どの よ うな影 響 を与 え る か を調 査 す るた め に設 定 した 。
この設 問 に対 す る集 計 企 業 全 体 の ア ンケ ー ト結 果 で は,42%の 企 業 が環 境 保 全 対 策 の 実施 は"競 争 力 の 強 化"に 「促 進 的効 果 が あ る」 と見 て い る。 そ
れ に対 して,"利 益 獲 得"と い う目標 に対 して は,72%が 「互 い に妨 害 し合 う 関係 にあ る」 と感 じて い る こ と も明 らか にな った 。 これ は,期 間 的 な観 点 の 差 に よる もの と考 え られ る。 す な わ ち,長 期 的 に は環境 保 全 に よ っ て得 られ る利 益 上 昇 潜 在 能 力 が重 視 され るが,短 期 的 に は環境 保 全 に よる原 価 負 担 が 利 益 獲 得 に悪 影 響 を及 ぼ す 要 因 とな る,と い う こ とで あ る。
この 点 に つ い て,日 独 製 造 業 に限定 した 結 果 で は ど うだ ろ うか(図 表3参 照)。"競 争 力 の増 大"に 関 して は,日 本 製 造 企 業 の61.5%,ド イ ツ製 造 企 業 で は69.2%が 「促 進 的効 果 が あ る」と回 答 して い る。 この よ うに,製 造 業 で は集 計 企 業 全 体 よ り も競 争 力増 大 に良 い影 響 を及 ぼす と見 る傾 向 が強 い。"利益 獲 得"に 関 して は,日 本 製 造 企 業 の半 数以 上,ド イ ツ製 造企 業 で も約4割 が 「互 い に妨 害 し合 う関係 に あ る」 と回 答 して い る。 この 回答 結 果 か らす れ ば,製 造 業 にお い て も環 境 保 全 は"利 益 獲 得"と い う 目標 と相 反 す る もの と考 えて い る企 業 が 多 い。 だ が そ の一 方 で,日 独 両 方 の46.1%が"利 益 獲 得"に 「促 進 的効 果 が あ る」 と回答 して い る。 つ ま り,製 造 業 で は環 境 保 全 の 実施 は利 益 獲 得 に有 利 に働 く,と 考 え て い る企 業 も多 い の で あ る。
"原 価 低 減"と い う 目標 との 関連 で は
,集 計 企 業 全体 の79%が 「な ん ら効 果 を及 ぼ さ な い」 と回答 して い る。 この 回答 は,環 境 保 全 対 策 が事 実上 の 原価 上 昇 を導 くと見 て い る と解 釈 で き る。 一 方,日 独 製 造 業 に限定 した 同 答 で も,
「効 果 が な い 」とす る企 業 が 日独 共 に77%と な って お り,こ の 目標 に関 して は 集 計企 業 全 体 と同様 の 傾 向 に あ る。
6国 際 経 営 論 集No.111996
3.意 思 決 定 レベ ル で の エ コ ロ ジ0指 向 性
環境 保 全 対 策 は,前 述 の よ うな企 業 の 目標 設 定 ・達 成 の 段 階 だ けで な く, 企 業 活 動 の全 て の段 階 で 充分 な考 慮 が 払 わ れ るべ き もの で あ る。 この こ とか
ら,以 下 に お い て は付 加 価値 サ イ クル を前 提 と した環 境 保 全 の議 論 を展 開 す る こ と とす る(図 表4参 照)。 これ は,従 来 の付 加 価 値 連 鎖 と異 な り,処 理 と
リサ イ クル の分 野 も含 ん だ もの で あ る。 この連 鎖 で挙 げ られ た各 項 目 に対 し て,企 業 が 環 境 保 全 を どの 程 度 考 慮 して い るか を調 査 す る た め に設 定 した の が 設 問6で あ る。 その 回 答 結 果 につ い て,以 下 に比 較 ・分 析 して い くこ と と
す る。
"廃 棄物 処 分"に 関 して
,集 計 企 業 全 体 の 回答 結 果 で は,今 日で も既 に多 く の企 業 が 環 境 保 全 の 観 点 を考 慮 して い る こ とが 明 らか に な っ た(35%が 「完 全 に 」,36%が 「ほ ぼ全 面 的 に」 考 慮 す る と回答)。 近 年 で は廃 棄 物 処 理 を と
りま く状 況 は厳 しい もの とな っ て お り,そ れ が この よ うな結 果 と して 反 映 さ れ た と考 え られ る。 この 結 果 と日独 製 造 業 に限 定 した もの とを比 較 した場 合,
図表4:付 加価値連 鎖 経 営 管 理
マ ーケテ ィング コ ン トロー リング 人 事 管 理 資 材 管 理
日独 製 造 企 業 に お け る環境 保 全7
図 表5:環 境 指 向 性(設 問6)
(対全 回答 社数比率,少 数点2位 以下 四捨五入) 環境保 全局面
の考慮項 目 国 完全 広範 囲 近 い 将来 全 く 未 回答
考 えず 将来
研究開発 日本 23.1(%}38.4(%}15.4(%)0.0{%}7.7(%)15.4{%)
ド イ ツ 69.215.40.00.00.015.4
購 買 日本 23.146.115.40.07.77.7 ド イ ツ 23.130.77.77.715.415.4
製 造 日本 23.146.17.70.07.715.4 ド イ ツ 30.838.40.00.OI5.415.4
販 売管理 日本 15.446.115.40.07.715.4 ド イ ツ 30.723.17.70.023.115.4
処 理 日本 38.553.87.70.00.00.0 ド イ ツ 61.523.10.00.07.77.7 リ サ イ ク ル 日本 15.453.815.40.00.015.4 ド イ ツ 46.115.423.10.00.015.4
材料管理 日本 15.423.115.47.77.730.7 ド イ ツ 23,023,115.47,715,415.4
人 事 日本 15.453.87.70.07.715.4 ド イ ツ 38.430.80.015.47.77.7
マ ー ケ 日本 15.453.815.40.07.77.7 テ イ ン グ ドイ ツ 38.423.115.40.07.715.4 コ ン トm 日本 7.753.815.40.07.715.4 リ ン グ ドイ ツ 38.415.40.07.723.115.4
日本 企 業 で は 約38%が 「完 全 に 」,約54%が 「広 範 囲 に 」考 慮 す る と回 答 し た (図 表5参 照)。 こ れ ら の 回 答 の 合 計 は,9割 を越 え て い る 。 一 方,ド イ ツ 企 業 で も約62%が 「完 全 に 」,約23%が 「広 範 囲 に 」考 慮 す る と し て お り,こ れ
らの 合 計 も8割 を越 え て い る。
こ の よ う に,"廃 棄 物 処 理"に 関 し て 製 造 業 で は,多 くの 企 業 が 環 境 保 全 の 観 点 を考 慮 して お り,そ の 傾 向 は 全 体 よ り も強 い 。 この こ と に つ い て は,製 造 業 で は廃 棄 物 の 処 理 に 際 し て よ り的 確 な 対 応 を必 要 と し,か つ そ れ を 実 行
し て い る とい う理 由 が 挙 げ ら れ る。 ま た,製 造 業 に お け る 日独 比 較 で は,「 完 8国 際経営論集No.111996
全 に 」 考 慮 す る と 回 答 し た 企 業 の 割 合 は ドイ ツ 企 業 の 方 が 高 率 で あ っ た 。 こ の 原 因 と して は,法 的 規 制 や 消 費 者 の 意 識 の 違 い とい っ た,両 国 の 環 境 の 違 い が 一 つ の 理 由 と し て 考 え ら れ る。
"コ ン トロ ー リ ン グ"に 関 して,環 境 保 全 観 点 を 「完 全 に考 慮 す る 」 と回 答 し た 企 業 は,集 計 企 業 全 体 の 回 答 で は わ ず か16%に す ぎ な い 。 た だ し,「 全 く 考 慮 して い な い 」 と した 企 業 も,11%の み だ っ た 。 つ ま り,後 者 の 回 答 を 除
く89%の 企 業 が,"コ ン トロ ー リ ン グ"は 少 な く と も 「長 期 的 な 視 点 で は 実 施 す べ き事 項 」 で あ る,と 考 え て い る の で あ る。 これ と,日 独 製 造 業 に 限 定 し た も の と を比 較 した 場 合 は ど うだ ろ う か 。
日本 企 業 で は,「 完 全 に 考 慮 」 が 約8%,「 全 く考 慮 せ ず 」 も同 じ く約8%
で あ る。 一 方,ド イ ツ企 業 で は,「 完 全 に 考 慮 」 が 約38%,「 全 く考 慮 せ ず 」 は約23%だ っ た 。 こ の 結 果 か ら,環 境 問 題 を コ ン トmリ ン グ と い う会 計 的 な分 野 に 組 み 入 れ る こ と に 関 して,日 本 企 業 で は環 境 保 全 を 「完 全 に 考 慮 」 す べ き と考 え て い る企 業 は少 な い もの の,大 部 分 の 企 業 に お い て な ん ら か の 形 で 考 慮 し て い る こ とが 明 ら か に な っ た 。一 方 ドイ ツ企 業 で は,「 完 全 に 考 慮 す る 」 と し て い る企 業 も多 い が,「 全 く考 慮 し な い 」 とす る企 業 も ま た 多 い 。 設 問 全 般 に お い て,ド イ ツ企 業 は環 境 問 題 を 考 慮 ・実 施 す る と回 答 す る 場 合 が 多 い の だ が,こ の 設 問 に 関 して は 「全 く考 慮 し な い 」 とい う回 答 が 比 較 的 多 い とい う,意 外 な 結 果 とな っ て い る 。
企 業 の"研 究 ・開 発 部 門"は,企 業 内 の み な らず,今 後 数 年 に わ た る 社 会 全 体 の 技 術 レ ベ ル に 寄 与 す る存 在 で あ る 。 よ っ て,こ の 部 門 で も環 境 保 全 を 考 慮 した 活 動 が 望 まれ る の だ が,集 計 企 業 全 体 で は11%が 「全 く考 慮 しな い 」
と回 答 し て い る。 これ と,日 独 製 造 業 に 限 定 し た も の と を比 較 した 場 合 は ど う だ ろ う か 。
日本 企 業 で は約23%が 「完 全 に」,約38%が 「広 範 囲 に」考 慮 す る,と し て い る。 「全 く考 慮 し な い 」 とい う回 答 は わ ず か 約8%に す ぎ な い 。 一 方,ド イ ツ 企 業 で は 「完 全 」 が 約69%,「 広 範 囲 」 が 約15%で あ り,「 考 慮 しな いJは
日独 製 造 企 業 に お け る環 境 保 全g
0%で あ る。 この よ うに,製 造 業 で は その研 究 開 発 部 門 に お い て,集 計 企 業 全 体 よ り も環 境 保 全 対 策 を考 慮 す る傾 向 が強 い 。 製 造 業 にお け る 日独 の 比 較 で は,ド イ ツ企 業 の 方が この部 門 にお け る環 境 保 全 の 必 要 性 を感 じて い る企 業 が 多 い,と い う こ とが わ か る。
4.環 境 保 全 事 項 の 実施
環 境 保 全 を効 果 的 に実施 す るた め に は,個 人 ・企 業 ・地 方 自治体 ・国家 と い った各 階層 ご とに,環 境 保 全 に対 す る適 切 な意 思 決 定 を行 うべ きで あ る。
以 下 で は,本 ア ンケ ー トの 重 点 に基 づ き,廃 棄 物 処 理 に関 す る付加 価 値 ス テ ップ(図 表4参 照)に お け る特 に重 要 な項 目 につ い て解 説 して い る。廃 棄物 処 理 の厳 格 化 に関 す る状 況 と,周 囲 に存 在 す る影 響 要 因 に対 す る企 業 の 考 慮 の度 合 を調 査 す るた め に設 定 した の が設 問3で あ る。 これ に対 す る集 計 企 業 全 体 の 回 答 に よ る と,有 効 回答 総 数 の7割 以 上 の企 業 が,「 廃 棄 物 処 理 を厳 格 に行 って い る」 と回 答 して い る。 この結 果 につ いて,市 町 村 等 の廃 棄 物 処 理 規 制 が厳 し くな り,適 正 な廃 棄 物 処 理 を実施 して い る こ との証 明 が 難 し くな
っ て きて い る とい う こ とが,一 つ の 原 因 と して考 え られ る。
この よ うな企 業 を取 り巻 く周 囲 の状 況 に関 して,注 目 して お くべ き と思 わ れ る事 例 を挙 げ て お こ う。 す な わ ち,詳 細 な法 的 規 制 が 過 去 数 年 の 間 に,主 に特 殊 廃 棄 物 の分 野 にお いて,新 しい フ レー ム ワー ク を作 り上 げ て い る とい
う こ とで あ る。 企 業 の廃 棄 物 処 理 政 策 の 目標 は,企 業 の組 織 面 ・管 理 面 あ る い は技 術 面 か らの 要 求 に左 右 され る。 その 上 で,こ の よ うな フ レー ム ワー ク が,処 理 行 為 の全 て の 時 点 で 環境 適 応 性 を確 保 す る こ とを要求 す るの で あ る。
また,企 業 の廃 棄 物 処 理 状 況 に影 響 を与 え る外 的 な要 因 の 中 で,「廃 棄 物 処 理 設 備 の収 容 能 力 」 とい う制 約 が,重 要 な要 素 と して存 在 して い る。
設 問4に 対 す る ア ンケ ー ト結 果 に よれ ば,廃 棄 物 処 理 コス トが 総 製 造 原価 に 占 め る割 合 に関 して,集 計 企 業 全 体 で は約8割 の企 業 が無 回 答 で あ った 。
10国 際 経 営 論 集No.111996
図 表6
廃棄物処理 に際
す る考慮項 目 国 全 く その通 り
大 体 その 通 り
そ 言 処理企業 または 日本 38.4(%) 23.1(%) 7
処理設備 のt路 ドイ ツ 23.1 7.7 Q
地方廃棄物処理 日本 30.8 38.4 7 条例 の強化 ド イ ツ 30.7 15.4 23 秩序 づ けられ た 日本 i 15.4 15
処理証明 ド イ ツ 46.1 15.4 7
法令 の強化 日本 30.7 23.1 7
ド イ ツ 15.4 o.o 38
お役 所 との 日本 15.4 23.1 15
トラ ブ ル ド イ ツ 7.7 o.o 23
廃棄物 の増加 日本 23.1 15.4 15
ド イ ツ 23.E o.o 7
顧 客 か らの 日本 23.1 30.7 7
回収要求
:廃 棄 物 処 理 の 厳 格 化(設 問3)
(対全 回答社 数比 率,少 数点2位 以下 四捨 五入) そ う と も 全 くそ う 未 回答 茜 え な い で は な い
7.7(%) 0.038.4
7.70.0 23.10.0
15.40.0 7.70.0 7.77.7 38.415.4
15.47.7 23.138.4 15.415.4 7.74s.1 7.77.7
0.0{%)30.8{%) 15.4 23.1 15.4 38.4 15.4 i I5.4 38.4 15.4 30.7 7.7 i
豪 ドイツ企業の合計値が100%に ならないのは,廃 棄物 処理 を厳格 に行 っていな い と回 答 した企業が2社 あったため。 ゆ えに,こ の2社 が除外 され てい る。
※ 「顧 客か らの回収要求」 に関 しては,ド イ ツ企業の 数値が集計 で きなか った。
また,回 答 の あ っ た 企 業 の 大 多 数 が0〜5%の 範 囲 内 で あ っ た 。 この 点 に つ い て,日 独 製 造 業 に 限 定 し た 回 答 で は ど う だ ろ う か 。回 答 企 業 の 中 で6〜10%と
した の は ドイ ツ 企 業 の1社 に過 ぎ ず,残 り は 日独 全 て0〜5%で あ っ た 。 そ し て,残 念 な こ と だ が,製 造 業 で あ る に も関 わ らず,日 独 共 に 未 回 答 が 約7割
に及 ん だ 。
ま た,同 じ く 「廃 棄 物 処 理 に要 す る コ ス トが 高 額 で あ る た め,全 面 的 な リ サ イ ク ル 戦 略 が 経 済 的 に も有 利 で あ る」 と い う設 問 に 対 し て,日 本 製 造 企 業 で は 「全 く そ の 通 り」 と い う 回 答 が0%,「 大 体 合 っ て い る 」 が30.76%と い う 結 果 が 出 た 。 一 方,ド イ ツ 製 造 企 業 で は 「全 くそ の 通 り」が46.15%,「 大 体 合
っ て い る」 が1538%と い う結 果 が 出 た 。 こ の ドイ ツ 企 業 の 回 答 割 合 の 合 計 は,6割 を超 え て い る 。 この よ う に,リ サ イ ク ル 戦 略 の 必 要 性 に 関 して は,
日独製造企業における環境保全11
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国 際 経 営 論 集No.111996 12
ドイ ツ企 業 の 方 が 前 向 き な 姿 勢 を見 せ て い る 。
こ の リサ イ ク ル に つ い て,2次 原 材 料 の 発 生 源 の認 識 とそ の 移 送 先 を 調 査 す る た め に設 定 した の が 設 問14で あ る。 この 設 問 に対 す る集 計 企 業 全 体 の 回 答 結 果 に よ れ ば,自 社 の 生 産 過 程 か ら生 ず る2次 原 材 料 を 次 の 段 階 に 引 き渡 す と い う作 業 は,主 に 「専 門 の 処 理 業 者 」 に よ っ て 行 わ れ る 。 ま た,そ の 生 産 過 程 に 通 常 の 原 材 料 の 代 替 品 と して 他 者 か ら 引 渡 さ れ た2次 原 材 料 を投 入 す る 体 制 を取 っ て い る企 業 は,廃 棄 物 取 引 所 を 情 報 交 換 の 場 所(も し くは 用 具)と し て 利 用 し て い る。 た だ,残 念 な が ら こ の 設 問 に 対 す る有 効 回 答 数 の 割 合 は か な り少 な い 。 こ れ とa日 独 製 造 業 に 限 定 し た もの と を比 較 した 場 合
は ど うだ ろ うか(図 表7参 照)。
集 計 企 業 全 体 と の 比 較 に お い て,ま ず 本 設 問 に 対 す る 有 効 回 答 割 合 の 多 さ が 指 摘 で き る 。 これ は,製 造 業 で は リサ イ ク ル に対 し て よ り積 極 的 な 企 業 が 多 い と い う こ と示 し て い る,と 言 え る だ ろ う。 また,2次 原 材 料 の 各 発 生 源 に 関 して"現 時 点 で 既 に 認 識 ・把 握"し て い る とい う回 答 の 状 況 は,以 下 の よ う な 結 果 とな っ た 。 「自社 生 産 物 」を 発 生 源 とす る と い う回 答 は,日 本 企 業 で30.76%,ド イ ツ企 業 で53.84%だ っ た 。 「他 社 生 産 物 」は 日本 企 業7.69%,ド イ ツ 企 業46.15%で あ る 。 「消 費 領 域 」 は,日 本 企 業15.38%に 対 し て ドイ ツ 企 業 は30.76%で あ る 。 これ ら の 結 果 か ら,2次 原 材 料 の 発 生 の 認 識 と把 握,及
び そ の 利 用 に 関 し て も,ド イ ツ企 業 の 方 が 進 ん で い る こ とが わ か る 。
ま た,同 設 問 の 「発 生 した2次 原 材 料 が そ の 後 リサ イ ク ル の た め に どの よ う な場 所 に 送 ら れ る か 」 と い う質 問 に対 し て,日 独 製 造 業 の 場 合 は次 の よ う な 結 果 が 出 た 。 ヂ特 別 な 回 収 業 者 へ 」とい う回 答 は,日 本 企 業30.75%,ド イ ツ 企 業53.84%で あ る。 「生 産 に 使 用 す る企 業 へ 」は 日本 企 業0%,ド イ ツ企 業46.
15%で あ る 。 「最 終 消 費 者 へ 」 は 日 本 企 業0%,ド イ ツ 企 業38.46%で あ っ た 。 こ の よ う に,2次 原 材 料 を リサ イ ク ル す る領 域 に 関 し て も,ド イ ツ の 方 が 広 範 囲 で 実 施 さ れ て い る 。
以 上 の 結 果 を総 合 す る とy日 独 製 造 業 を比 較 した 場 合,ド イ ツ の 方 が リサ 日独 製 造 企 業 に お け る環境 保 全13
イ ク ル に 関 して 全 般 的 に進 ん で い る こ とが わ か る。 こ の こ とに つ い て は,2 次 原 材 料 を生 産 活 動 等 に利 用 す る段 階 に お い て,そ の 実 施 が 可 能 な 体 制 の 整 備 が どれ だ け な さ れ て い る か と い う こ とが,0つ の 要 因 と し て 挙 げ ら れ る だ
ろ う 。
5.管 理 と コ ン トロ ー ル の 用 具
企 業 を と り ま く周 辺 状 況 は,刻 々 と変 化 す る 。 これ は 「変 化 し続 け る環 境 」 と い う,危 険 性 を持 つ 要 素 と して 企 業 に認 識 さ れ る 。 企 業 は,常 に この 問 題 に 直 面 し て い る と言 っ て よ い 。
環 境 マ ネ ジ メ ン トの 役 割 と は,ま ず 第 一 に,企 業 が そ の 環 境 保 全 目標 達 成 の 際 に,障 害 要 素 が 及 ぼ す 悪 質 な影 響 を認 識 ・評 価 す る こ とで あ る。 そ の 上 で,第 二 に,リ ス ク 克 服 の た め の 適 切 な 対 策 を検 討 ・開 発 す る。 そ し て 第 三 に,こ の よ う な作 業 を 通 じ て,市 場 の 獲 得 ・拡 大 可 能 性 及 び 製 品 の 潜 在 性 を 認 識 す る と い う形 で,企 業 の 経 営 上 の チ ャ ン ス を表 現 す る。 こ れ ら全 て が, 環 境 マ ネ ジ メ ン トの 役 割 で あ る。
企 業 は,こ の 環 境 マ ネ ジ メ ン ト も含 ん だ 環 境 関 連 の 活 動 を 実 施 す る こ と に よ っ て,経 営 上 の チ ャ ン ス を得 る 一 方 で リ ス ク も負 う。こ う い っ た チ ャ ン ス ・ リ ス ク と環 境 関 連 活 動 の 長 所 ・短 所,こ れ らの 体 系 的 な 分 析 と評 価 を 可 能 と す る,会 計 的 あ る い は数 学 的 な 用 具 が い くつ か 存 在 して い る 。 図 表8で は, 製 造 業 に お け る これ ら の 用 具 の 利 用 状 況 を 示 して い る 。 この 状 況 を 示 した ア
ン ケ ー ト結 果 に 関 し て,以 下 に比 較 ・分 析 して い く こ と と し よ う。
付 加 価 値 段 階 に お け る環 境 関 連 の 情 報 を 得 る た め の 用 具 と して は,ま ず"チ ェ ッ ク リ ス ト"が 挙 げ ら れ る 。 集 計 企 業 全 体 の 回 答 結 果 で は,回 答 企 業 の38
%が 既 に こ れ を 用 い て い る 。 一 方,日 独 製 造 企 業 に 限 定 し た デ ー タ 集 計 で は, 日本 企 業 で は38%,ド イ ツ 企 業 で は61%が 「既 に こ の 用 具 を 用 い て い る 」 と 回 答 し て い る。 こ の よ う に,日 本 製 造 業 は 全 体 とほ ぼ 同 じ傾 向 ・割 合 を示 し
14国 際経営論集Nolll996
図表8:環 境 保 全 関 連 用 具 の利 用 状 況(設 問12)
(対全回答社数比 率,少 数点未満 四捨五入)
利用用具 国 既 に採用 採用 計画中 未 回答
チ ェ ッ ク リ ス ト 日本 38(%)8(%}54(%7
ド イ ツ 61831
代替分析法 日本 15877 ド イ ツ 151570 投 入 ・算 出 日本 S1577 バ ラ ン ス 法 ド イ ツ 38062
環境指向指数 日本 8884 ド イ ツ S1577 環 境 に優 しさの 日本 15877
検査 ド イ ツ 46S46
生 産 ラ イ ン分析 日本 15877 ド イ ツ 31861
操業休止分析 日本 01585 ド イ ツ 23077
環境原価計算 日本 SS84
i ド イ ツ 152461
1環 境 日本 81577
ポ ー ト フ ォ リ オ ド イ ツ 831fit
その他 日本 D892
ド イ ツ 00goo
て い るが,ド イ ツ製 造 業 で は全 体 及 び 日本 製 造 企 業 よ りも,か な り割 合 が 多 い。 また,こ の ドイ ツ製 造 企 業 の 数 値 は,C教 授 の 対 ドイ ツ企 業 ア ンケ ー ト
6)
結 果 とほ とん ど 同 じ数 値 を 示 し て い る。 こ の 結 果 か ら,環 境 関 連 の 用 具 と し て の"チ ェ ッ ク リス ト"は,多 くの ドイ ツ企 業 に お い て 有 効 視 され て い る こ
とが わ か る 。
原 材 料 及 び エ ネ ル ギ ー 投 入 要 素 と,生 産 結 果 に 関 す る 情 報 は,"イ ン プ ッ ト とア ウ トプ ッ トの バ ラ ン ス"で 把 握 で き る。 集 計 企 業 全 体 で は,回 答 企 業 の
6)ち な み に,C教 授 の 結 果 は58%で あ っ た 。 前 掲 『産 業 経 理 』p49。
日独 製 造 企 業 に お け る環 境 保 全15
12%が 現 在 既 に この手 法 を用 い て い る。 これ と 日独 製 造 企 業 に限 定 した 回答 結 果 とを比 較 した場 合,日 本 企 業 で は8%,ド イ ツ企 業 で は38%が この 用 具 を 用 い て い る。 この よ う に,ド イ ツ製 造 企 業 は 日本 製 造 企 業 及 び全 体 よ り も こ
の用 具 を使 用 して い る割 合 が か な り大 きい。
生産 プ ロセ ス に影響 を及 ぼ す 要素 をチ ェ ッ クす るた めの"代 替 分 析"に 関 して は,集 計 企 業 全体 の場 合,14%の 企 業 が 「既 に用 い て い る」 と回答 した。
一 方,製 造 業 にお い て は,日 独 双 方共 に15%が 「既 に この用 具 を用 い て い る」
と回 答 して い る。 い ず れ の 区分 で もほ とん ど同 じ割 合 を示 して い るが,そ の 数 値 は決 して大 きな もの で はな い 。 この よ うに,生 産 プ ロ セ ス との関 連 を強 く持 つ用 具 で あ るに も関 わ らず,製 造 業 で もあ ま り用 い られ て い な い とい う 意 外 な結 果 に終 わ っ た 。
投 資 プ ロ ジ ェ ク トが環 境 面 に及 ぼ す影 響 を評 価 す る際 に は,評 価 方 法 と し て"環 境 適 応 試 験"を 用 い る こ とが で き る。 集計 企 業 全 体 で は,回 答 企 業 の 20%が 既 に この技 法 を用 い て お り,18%は 採 用 を計 画 中 で あ る と回 答 した 。 これ と,日 独 製 造 企 業 に限 定 した もの とを比 較 した場 合 は ど うだ ろ うか 。 日 本 企 業 で は15%が 既 に用 い て お り,8%が 採 用 を計 画 中 と回答 した。 ドイ ツ企 業 で は46%が 既 に用 い て お り,8%が 計 画 中 で あ る。この よ うに,日 本 製 造 企 業 は この 用 具 へ の関 心 が薄 い よ うで あ る。 一 方,ド イ ツ製 造 企 業 で は,全 体 も し くは 日本 製 造 企 業 と比 較 して この 用 具 へ の 関 心 の高 さが 見 て取 れ る。C 教 授 は ドイ ツ で この技 法 が比 較 的 広 い範 囲 で 普 及 した理 由 として,あ る特 定
の企 画 の もた らす影 響 の認 識 ・描 写 及 び評 価 が,1990年 か ら環 境 適 応 テ ス ト (UVPG)に 関 す る法 律 に よ って規 定 され た こ とを挙 げ て い る。 この よ うな企 業 を取 り巻 く環 境 の違 い が,こ の ア ンケ ー ト結 果 の差 異 と して現 れ て い る。
以 上 の よ うな 用具 の使 用 も重 要 で あ る が,企 業 が達 成 す べ き環 境 保 全 事項 を実 現 す るた め に は,「 適 切 な組 織 」も必 要 で あ る。 この点 に関 してi企 業 が どの よ うな組 織 を設 置 して い るか を調 査 す るた め に設定 した の が 設 問7で あ る。 集 計 企 業 全体 で は,「 本 社 」とい う回 答 が 回 答 企 業 の 中で 最 も多 く,こ れ
16国 際 経 営 論 集No、111996
に「法 的 に規 制 され た環 境 保 全 特 別 委 員 会 」,そ して 「任 意 の環 境 保 全 委 員 会 」 が続 いた 。 ち な み に,C教 授 の ア ンケ ー ト結 果 で もこれ ら三 つ の 回 答 が 上 位
3位 を 占 めて い るが,こ の う ち最 も多 い回 答 を得 た の は 「法 的 に規 制 され た 環 境 保 全 特 別 委 員 会 」 で あ る。 これ につ い て は,ド イ ツ に お け る この種 の 委 員 会 に関 す る法 律 上 の規 定 が 存 在 す る とい うこ とが,一 つの 原 因 と して挙 げ られ る。 これ と,日 独 製 造 企 業 に限 定 した もの とを比 較 した場 合 は ど うだ ろ うか(図 表9参 照)。
日本 製 造 企 業 に お い て,最 も多 い 回答 を得 た の は 「本 社 」 の38 .46%で あ り,こ れ に 「参 謀 部 門」の30.76%が 続 く。 一 方 ドイ ツ製 造 企 業 で は,「 本 社 」 と 「企 業 委 員 会 」が共 に53.84%で 最 も多 く,こ れ にC教 授 の ア ンケ ー ト結 果 で は1位 だ っ た 「法 的 に規 制 され た環 境 保 全 の た めの 特 別 委 員 会 」の38 .46%
が続 いた 。この よ うに,製 造 業 に お け る環 境 保 全 の 実行 機 関 として も,「本 社 」 が そ の 中 心 的存 在 と して位 置 して い るの で あ る。 な お,ド イ ツ製 造 業 に関 し て上 記 の法 的 な規 定 の存 在 を考 慮 した場 合,「 環 境 保 全 の 特別 委 員 会 」を設 け て い る と回答 した企 業 が半 数 に満 た な か った の は意 外 な結 果 と言 え る。
第2章 で述 べ た よ う に,環 境 保 全 が 短 期 的 な収 益 に不 利 な影響 を及 ぼ す と 考 えて い る企 業 は多 い。 しか し,設 問8に 対 す る集 計 企 業 全 体 の 回 答 結 果 に よ る と,企 業 の 大部 分 は環 境 保 全 関連 の意 思 決 定 に よっ て生 ず る戦 略 的 メ リ ッ ト ・デ メ リ ッ トを厳 密 に計 算 した こ とが ない 。 この こ とを考 慮 した な らば, 環 境 保 全 と短 期 的収 益 につ いて 上 記 の よ うな 関係 が 成 立 す る,と 断 言 す る こ
とは で きな い。 この点 につ い て,製 造 業 に限 定 した デー タ と比 較 した場 合 は どうだ ろ うか(図 表10参 照)。
「計 算 は行 っ て い な い 」と回答 した の は,日 本 企 業15.38%,ド イ ツ企 業 で は 23.07%で あ る。 この よ うに,計 算 を全 く行 っ て い な い企 業 は少 な い。 た だ し,「 企 業 全体 と して計 算 」 とい う回答 を これ に加 え る と,日 本 企 業69 .22%, ドイ ツ企 業53.83%と な る。つ ま り,日 独 共 に過 半 数 の 企 業 が 厳 密 な計 算 を行 って い な い,と い う こ とに な る。 この 結 果 か ら,こ の 問題 に関 して製 造 業 は
日独製造企業における環境保全17
図 表9:企 業 の 環 境 保 全 機 関(設 問7)
本 社 参 謀 本 部 企 業 委 員 会 。 環 境 保 全 特 別 委 員 会 プ ロ ジ ェ ク トチ ー ム
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図表 柵:環 境保全 に基づ く意思 決定の計算単位(設 問a)
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製 品 グ ル ー プ 別
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18国 際 経 営 論 集No.111996
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集 計 企 業 全体 と同 様 の傾 向 に あ る こ とが わ か る。
企 業 が 投 資 を行 う際 に,環 境 保 全 対 策 を どの よ うに考 慮 して い るの だ ろ う か。 設 問10に 対 す る集 計 企 業 全 体 の 回答 結 果 で は,回 答 企 業 の約3割 が,投 資 に関 す る意 思 決 定 を行 う際 に環 境 保 全 を 「単 な る要 請 事 項 」 と して 考慮 し て い る,と 回答 した 。 その 一 方 で,環 境 保 全 に関 す る諸 活 動 を 「数 量 化 して 把 握(数 量 化 部 分+質 的面 も数量 化)」 して い る企 業 も,3割 強 に の ぼ って い る。 これ ら を比 較 した場 合,外 部 の 要 請 に応 え る とい うレベ ル に留 まっ て い る企 業 が か な り多 い,と 言 う こ と もで きよ う。 だ が,こ れ ら を合 計 す る と6 割 を超 え る。 つ ま り,過 半 数 の企 業 が な ん らか の 形 で 環 境 保 全 を考慮 した 上
で,投 資 に関 す る意 思 決 定 を行 って い るの で あ る。 この よ うに捉 えた な らば, 企 業 の環 境 保 全 措 置 は今 や,企 業 が 経 営 上 の意 思決 定 を行 う際 の フ レー ム ワ
ー ク を構 成 す る制 約 と して存 在 して い る,と 解 釈 しう るで あ ろ う。 で は,日 独 製 造 企 業 に 限定 した 回 答 結 果 で は ど うだ ろ うか(図 表11参 照)。
「要請 に対 応 」 は 日本 企 業 で30、76%,ド イ ツ企 業 で23.07%と な っ て い る。
「数 量 化 部 分 に対 応 」 は,口 本 企 業 で30.75%,ド イ ツ企 業 で68.86%だ っ た。
この よ うに,日 本 製 造 企 業 は全 体 とほぼ 同様 の傾 向 を とっ て い る。 一 方 ドイ ツ製造 企 業 で は,全 体 及 び 日本 製 造 企 業 よ り も,厳 密 な計 算 を行 って い る企 業 が か な り多 い こ とが わ か る。
環 境 保 全 に関 す る 目標 を実 現 し,か つ その達 成 度 を評 価 す る た め に,企 業 は どの よ うな用具 を用 い て い るの だ ろ うか。 この点 に関 す る状 況 を調 査 す る た め に設 定 した の が,設 問11で あ る。 集 計 企 業 全 体 で は,回 答 企 業 の76%が
「法 的規 制 の 達 成 度検 査 」を用 いて い る。 つ ま り,多 くの 回 答企 業 は少 な く と も,強 制 要 因 に対 す る反 応 的 な 環境 保 全 の 履 行 と管 理 は行 って い る,と い う こ とに な る。 この点 につ い て製 造 業 で は,日 本 企業 の7692%と ドイ ツ企 業 の 69.23%が この用 具 を用 い て い る(図 表12参 照)。 この よ うに,分i類 区 分 を問 わ
ず,多 くの企 業 が この用 具 を用 い て い る とい う結 果 が 示 され た。
「環境 保 全 プ ロ ジ ェ ク トで プ ラ スの レ ンデ ィー テ」を見 込 ん だ り,あ る い は 日独製造企業における環境保全lg
図 表11=環 境 局 面 が考 慮 され た 投 資(設 問 佃)
これ までない
要請 に対応
数量化 で きる部分のみ
質的 な面 も数量化
未回答 0246
灘
:日 本 企 業.,:ニ:.ド のロロ コロじコロロ ィ ッ 企 業...● ■ ■ ・ ・
図 表12=環 境 関 連 目 標 の 実 現(設 問11)
法 的 規 制 の 適 性 度 検 査
環 境 活 動 予 算
環 境 保 全 プ ロ ジ ェ ク ト
そ の 他
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20国 際 経 営 論 集No.111996
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「環 境 保 全 活 動 の た め の予 算 」を設 定 して い る企 業 は,集 計 企 業 全体 で は共 に 10%を 切 って い る。 これ に関 して は製 造 業 で も同様 の結 果 が 出 て お り,例 え ば前 者 の用 具 を既 に用 い て い る と回 答 した の は 日本 企 業 で0%,ド イ ツ企 業 で も約8%に す ぎ な い。 後 者 の 「環境 保 全 活 動 の た めの 予 算 」に して も,日 本 企 業 約15%,ド イツ企 業 約8%と い う結 果 が 出 て い る。 この よ うに,こ れ らの用 具 を現 時 点 で採 用 して い る企 業 は少 な い。 だ が,こ れ らの 用 具 の 使 用 は,企 業 が環 境 を破壊 してか らそれ を補 償 す るの で は な く,前 もって 環境 保 全 を計 画 的 に行 お う とす る姿 勢 の現 れ と取 る こ とが で きる。 今 後 の採 用 の増 加 が 大 い に期 待 され る用 具 で あ る。
これ らの 方法 を用 い る際 に,環 境 保 全 の実 施 の た め に費 や され た費 用額 の デ ー タ が入 手 可 能 な らば,非 常 に有 用 で あ る。 この 費 用 は,「 環 境 保 全 原 価 」
と呼 ば れ る。この 原 価 は,「企 業 の環 境 保 全 の た め に消 費 され た物 財 の 評価 額 」 と して定 義 で き る。 す なわ ち,"企 業 活 動 に よ っ て発 生 す る環 境 へ の 負荷"の 予 防,減 少,再 利 用,処 理 の た め の対 策 費 で あ る。 この概 念 で は,環 境 保 全 費 が 廃 棄物 処 理,水 質 保 全,騒 音 防止 及 び大 気 保 全 別 に並 べ られ てお り,ド
イ ツ統 計局 の 用 い る境 界 設 定 よ り範 囲 が 広 い。 環 境 保 全 原 価 を考 慮 す る際 に 用 い られ る内部 管 理 用 具 と して は,原 価 計 算 が挙 げ られ る。
環 境 保 全 は企 業 の 全 て の 分 野 に関 与 す るた め,そ の 活 動 に伴 い発 生 す る費 用 は,前 記 の付 加 価 値 サ イ クル に応 じて分 類 され て い る(図 表4参 照)。 この 結 果,例 えば環 境 保 全活 動 の た め に他 者 の発 表 した特 許 を用 い た場 合,そ こ で 発 生 した費 用 はそ の性 質 に よ っ て"使 用 料"と して把 握 され る とい う こ と に な る。 また,他 の法 的 な規 制 に よ り生 じた コス トも,原 価 種 類 と して把 握 され て い る。 これ らの原 価 はs主 に発 生 原 因 別 に分 け られ る。 この こ とは エ ネ ル ギー,水,廃 棄 物 処 理 及 び排 水 処 理 等 につ い て も言 え る。
この点 に関 して,製 造 業 に お け る状 況 は ど うだ ろ うか。 これ を調 べ るた め に設 定 した の が 設 問13で あ る。しか し残 念 なが ら,「該 当 す る コス トを分 離 把 握 して い るか否 か 」 とい う設 問 に対 して は,設 定 され た 原 価 項 目の ほ ぼ全 て
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に対 して,8割 以 上 の企 業 が未 回答 とい う結 果 に終 わ った 。 と ころが その 反 面 で,同 じ原 価 項 目 に対 して 「どの よ うな形 で 賦 課 を行 っ て い るか 」 とい う 設 問 に対 して は,約 半 数 の企 業 が 回答 して い る。 賦 課 を行 う以 上,な ん らか の形 で これ らの環 境 保 全 に関 す る原 価 を把 握 して い る と考 え るな らばs日 独 共 に約 半 数 の企 業 は これ らの 原 価 を認 識 ・把 握 して い る と解 釈 で き る。
その 賦 課 に関 して,ド イ ツ製 造 企 業 で は,設 定 され た 原価 項 目の ほ とん ど を 「発 生 単位 別 」 に細 か く賦 課 して い る,と 回 答 した 企 業 が3割 弱 に及 んだ 。
これ に 「全 体 に対 して 」賦 課 を行 う,と い う回 答 も加 えれ ば,約5割 とな る。
一 方,日 本 製 造 企 業 で は,「 発 生 単 位 別 」 と 「全 体 に対 して」 を併 せ る と,約 4割 が 賦 課 を行 って い る こ とに な る。しか しその 内訳 を見 た 場 合,「 全 体 に対 して 」が2〜3割 を占 め,「 発 生 単 位 別 」の細 か い賦 課 を行 って い る企 業 は全 て の原 価 項 目で1割 に満 た な い。
この よ うに,日 独 共 に 回答 企 業 の半 数近 くが,環 境 保 全 に関連 す る原価 を な ん らか の 形 で 賦 課 して い る。 またiそ の賦 課 に関 して は,日 本 よ り ドイ ツ の 方 が 細 か い対 応 を行 って い る企 業 が 多 い とい う結 果 が 示 され た 。
6.制 裁 企 業 の環 境 政 策 に影 響 を及 ぼ す領 域
前述 の環 境 保 全 に関 す る管 理 及 び コ ン トロー ル の手 法 は,そ れ ら に よ って 得 られ た情 報 を フ ィ ー ドバ ック ル ー プ に投 入 し,変 更 の必 要性 を示 す こ とに よっ て,企 業 の 環 境 政 策 を計 画 す るプ ロセ ス に影 響 を及 ぼ す 。 この 内部 フ ィ ー ドバ ック可 能 性 の他 に,企 業 の外 部 に も,企 業 の環 境 政 策 に影 響 を与 え る 制 裁 シス テ ムが 存 在 す る。 例 えば,消 費 者,国 家,競 合 者,代 理 人,公 衆, 債 権 者 及 び 出資 者 とい う よ うな,異 な った 要 求 団体 が その 例 と して挙 げ られ
る。 この よ う な影 響 要 因 が企 業 が行 う環境 政 策 に どの 程 度 影 響 を与 え るか を,
「廃 棄 物 処 理 」とい う一 つの 事 例 に絞 っ て調 査 す るた め に設 定 した のが 設 問3 で あ る。設 問 上 設 定 され て い る要 因 を考 慮 す るか とい う質 問 に対 し,「全 くそ
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の 通 り」 も し くは 「だ い た い そ の 通 り」 と い う 回 答 の 合 計 値 で 比 較 を行 っ て み る と,以 下 の よ う な 結 果 が 出 た 。 ま ず 集 計 企 業 全 体 で は,「 地 方 廃 棄 物 処 理 条 例 の 強 化 」(66.6%)が 最 も多 くの 回 答 を得 た 。 ま た,「 法 令 の 強 化 」(53.8
%)も3位 に 入 っ て い る。 こ れ は,国 家 が 法 律 を作 る 機 関 と し て,現 行 の 法 律 と規 制 に よ っ て 企 業 に 強 い 影 響 力 を 及 ぼ す こ と を示 して い る。 ち な み に2 位 は,「 処 理 企 業 ま た は処 理 設 備 の 隆 路 」(56.4%)で あ っ た 。
この 点 に つ い て,製 造 業 に 限 定 し た 回 答 結 果 で は ど う だ ろ う か(図 表6参 照)。 「全 くそ の 通 り」 と 「だ い た い そ の 通 り」 と い う 回 答 の 合 計 値 が 多 か っ た 項 目 を上 位 か ら挙 げ る と,日 本 企 業 で は 「地 方 廃 棄 物 処 理 条 例 の 強 化 」(69.2
%)と 「処 理 企 業 ・処 理 設 備 の 阻 路 」(61.5%)が1位,2位 を 占 め た 。 一 方,ド イ ツ 企 業 で は 「秩 序 づ け られ た 処 理 の 証 明 に 関 す る規 則 」(6L5%)が
1位 で,こ れ に 「地 方 廃 棄 物 処 理 条 例 の 強 化 」(46.1%)が 続 く。 な お,「 法 令 の 強 化 」に 関 し て は,日 本 企 業 が53.8%に 達 した の に対 し て,ド イ ツ企 業 で は 15.4%と い う結 果 に 終 わ っ た 。
この 結 果 は,ド イ ツ 企 業 は 外 部 か らの 強 制 要 因 に 対 して 反 応 が 鈍 い と い う こ と を表 して い る,と 取 れ な く も な い 。 だ が,他 の 項 目全 般 の 傾 向 か らす れ ば,ド イ ツ 企 業 は 「環 境 保 全 対 策 を考 慮 ・実 施 し て い る」 と回 答 す る 企 業 の 割 合 が 多 い の で あ る 。 こ の こ と を考 慮 した な ら ば,ド イ ツ 企 業 は外 部 の 強 制 要 因 に も対 応 す る が,自 主 的 な 対 応 を よ り重 視 す る とい う姿 勢 を取 っ て い る,
と解 釈 で き る だ ろ う。
ま と め
本 論 文 で は,ア ンケ ー ト結 果 を集計 企 業 全 体 と製 造 業,そ して 製 造 業 に お け る 日本 企 業 と ドイ ツ企 業,こ れ らを それ ぞ れ比 較 す る とい う方 法 を とっ た。
この 結 果,以 下 の よ うな結 論 が得 られ た 。 第 一 に,環 境 保 全 問題 が 企 業 及 び 目標 シ ス テ ムへ 与 え る影 響 で あ る。 この 点 に つ い て は,全 体 よ りも製 造 業 の
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方 が よ り強 く影 響 を受 け る とい う こ とが 示 され た。 目標 シス テ ム につ いて は, 製 造 業 そ の 中 で も ドイ ツ企 業 にお い て環 境 保 全 活 動 が 良 い影 響 を及 ぼ す と見
て い る傾 向が 強 か っ た。 また,集 計 企 業 全 体 で は悪 影 響 を及 ぼ す とい う回答 が 多 か っ た 「利 益 獲 得 」 とい う目標 に関 して も,製 造 業 で は良 い影 響 が 出 る とい う回答 が 多 く見 られ た 。 この 結 果 は,製 造 業 で は環 境 保 全 に よ る長 期 的 な利 益 増 大 に まで意 識 を向 け て い る,と 解 釈 す る こ とが で き る。 もっ と も, 製 造 業 で は環 境 保 全 が短 期 的 利 益 に も大 きな影 響 を与 え る,と い う事 実 を示
して い る と捉 え る こ と も可能 で あ る。
第 二 に,意 思 決 定 領 域 と環境 指 向 で あ る。 企 業 が その 意 思 決 定 の 際 に環 境 局 面 を どの程 度 考 慮 す るか に つ い て は,以 下 の よ う な結論 が 得 られ た 。 す な わ ち,集 計 企 業 全 体 で は 「材 料 管 理 」 及 び 「コ ン トロー リン グ」 を除 くす べ て の領 域 で,「 完 全 に」 また は 「広 範 囲 にわ た っ て」環 境 局 面 を考 慮 す る と回 答 した企 業 が過 半 数 にの ぼ っ た。 これ に対 して製 造 業 で は,日 独 共 に 「材 料 管 理 」 を除 く全 て の 項 目が 半 数 を超 えた。 しか も,環 境 局 面 を考 慮 す る とい う回答 の割 合 は,集 計 企 業 全 体 よ り も大 きい とい う結 果 とな った 。 この よ う に,製 造 業 で は設 定 され た項 目の大 部 分 にお い て,集 計 企 業 全 体 よ りも環 境 局 面 を強 く指 向 す る とい う状 況 が 明 らか にな った 。 なお,製 造 業 に限 定 した デ.̲̲̲タ集 計 に おい て も,「 材 料 管 理 」に対 して環 境 的 な配 慮 を あ ま り払 っ て い な い とい う,意 外 な 結 果 も得 られ た。
第 三 に,環 境 保 全 事項 の実 施 で あ る。 現 在 の 一般 的 な傾 向 と して,環 境 関 連 の法 ・規 則 等 の厳 格 化 が 進 み,消 費 者 も環 境 に対 す る配 慮 を意 識 す る よ う にな って きて い る。 この よ うな流 れ の 中 で,製 品 ラ イ フサ イ クル 全体 にわ た って の企 業 側 の責 任 範 囲 が 拡 大 しつ つ あ る。そ れ と共 に,環 境 保 全 事項 が 徐 々 に実 現 化 され てい る。 この点 につ い て,集 計 企 業 全 体 よ り も,製 造業 の 方 が 積 極 的 な 姿勢 を示 して い る企 業 が 多 か った。 また,日 独 製 造 業 に限定 した 集 計 結 果 を見 て み る と,こ の方 面 に関 して も,ド イ ツ企業 の 方 が よ り進 んだ 活 動 を展 開 して い る企 業 の 割 合 が 多 い,と い う状 況 が 示 され た 。
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