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現場の教員 を支援す る 一教員免許更新講習 (選択 :生徒指導) を実施 して-

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Ⅶ 現場の教員 を支援す る

一教員免許更新講習 ( 選択 :生徒指導) を実施 して‑

1

は じめ に

教員 は,教員免許が生涯有効 な もの として教 職 に就いて きた。今 回の 「教員免許更新制」の 法制化 に戸惑 ったのは現場の教員だけではな く,

この法制化 に伴 う更新講座 を担 わなければな ら ない とされた大学等であった と思われる。先ず 教員 は, 自分 に新たな負担が増 し本務 に しわ寄 せがあると不満の声 をあげ,大学等 も新制度が 必ず しも国民 に周知 されていないことに加 えて,

自 ら計 画す る講習が現職教 貞 の授業改 善や児 童 ・生徒指導能力向上 に具体 的な寄与がで きる のか,鼎の軽重 を問われかねない とい う漠 たる 不安 を感 じつつあった。

この免許更新制の導入 については,様 々な行 余 曲折 を経て最終的には "教員が最新の知識技 能 を修得 し, 自信 と誇 りを持 って教壇 に立つ ことを目的 としている。私 は,本学が免許更新 講習の場 を設 けることについては,地域貢献 を 果たす とい う大学の姿勢 もさることなが ら,学 生の教員免許状取得 に力 を注いで きた立場か ら, 卒業生 を含 む教員の免許更新講習に携わること は当然 の責務であ り,かつその経験が現在教職 課程 を履修す る大学生の学習内容の充実 として 還元 されることを期待 しつつ, この講習の準備 に取組 んだ。

しか し,更新制実施初年度 に政権交代が行 わ れると,政権党がマニ フェス トに本制度の見直 しを掲 げていた経緯 もあ り,10月14日には平 成23年度か ら本制度 を廃止す る とい う新 聞報

岩 揮 啓 子

道が なされた。 また,現行制度下で教員が講習 を受講 しな くて も免許が失効 しない よう平成 23年1月の通常 国会 で,関係法令 を整備す る

との動 きもみ られる。

それ とは別 に,本制度の施行 は新 たな講習 を 企画 した大学 にとっては勿論,受講 した教員 に

とって も貴重 な体験 となったはずである。私 は, この貴重 な機会 に遭遇 したことを幸運 と受け止 め,今後の教職課程 の教育に活かせ るよう努め たい と思 っている

2

更 新 講 習 に向 けた ス イ ッチの切 り替 え 更新講習制度の法制化 に至たる過程やその将 来が どうあれ,今や らなければな らない ことは 速やかに実行す る とい うのが一貫 した私の姿勢 である。たとえ,教育界 に朝令暮改 を生みかね ない政治情勢 とな り, この新 しい制度 を見直 し, これ を変更,或いは廃止す ることとなって も, 学校現場 にあっては現行法令 を準拠 として誠実 に教育 を継続す ることが,教員のあ り方でなけ ればな らない と思 っている。 ようや く成立 した 制度その ものが適切か否か を論ず るのはいわゆ る専 門家 に任せて,教育現場 に身を置 く私たち は,や るべ きことが決 まったな らばいち早 くス イ ッチ を切 り替 え,新たなス ター トラインに立 ち内容の充実‑の道 につなげて行 かなければな らない。 もち ろ ん,約40年 近 く教 育 公 務 員 (公立の教員) と して生 きて感 じた ことは,刺 皮‑の 自分の考 え方や意見 はある として も,い つ まで も持論 を展 開 して為すべ きことに手 を付

(2)

けない人は,理由は様 々であって も自分 に負担 が増す仕事 には携 わ りた くない人であった とい

うことである。

幸い,神奈川大学では教職課程 に携 わる教員 が 「キャリア形成 に果たす神奈川大学の役割」

をテーマ に,共 同研 究 を平成19年度か ら行 っ てお り,20年度 には教 職 にあ る卒業生 の協 力 を得て,更新講習 を視野 に入れた教員の研修 ・ 学習 (講習)のニーズについて聴取 している。

これが,更新講習のベースになる 「教員 のニー ズに合 わせた講習」 を組み立てるヒン トにな り, い ち早 く次のス テ ップ (18時間の割 り振 り) に踏み出す ことが出来たことは, コーデ ィネー

トす る側 に とって大変あ りがたいことであった。

3

教 員 が 受 け て み た い研 修 ・学 習 に つ い て (共 同 研 究 :個 人 ・集 団 イ ン タ ビ ュ ー 回答 か ら抜 粋 )

(1)役 に立 つ研修 と役 に立 たない研修, その ときの教師に気持 ち

ア 「役立つ観」 を持つ とき

・内容 に魅力 を感 じた (今 日的課題 や話題 等) とき

・講師に魅力 を感 じた (著名 な講師や話題の 講師) とき

・時期 的に校務 にゆ とりが有 るとき

・仲 間 と出会 えるとき

・疲れない (評価 されない)内容の とき

・見学 (レクリエーシ ョン的要素)等 を取 り 入れた校外研修

イ 「役立 たない観」 を持つ とき

・忙 しい時期や授業の 自習課題 を置いて出る 研修

・与 えられた (悉皆)研修

・遠距離会場での研修

・出張時間が勤務時間を超 えるとき

・部活動や放課後の活動 に支障 をきたす とき

・内容 に興味 と関心 を抱 けなかった とき

( 2)

更新講習について出 された要望 ア 内容

・スキルア ップにつなが る ものが よい

・教員の質の向上 を図る内容がのぞまれる

・大学の所在地にちなみ,横浜 を学ぶ (例 : 横浜開港150年 にちなんだ もの)等 の よう

な特別講座があって もよいのではないか

・模擬授業や,授業振返 りの実践型研修があ るとよい

丁 や らされてい る講習」 と感 じることが な い ような内容 に してほ しい

・教科 に関す る専 門的な ものを,選択で きる ように

丁 経験 を語 る会」な どは,勉強になる イ 形態

・一方的な講話や講義ではな く,演習の よう な参加型研修 をのぞむ

・講義 を聴 くだけの場ではな く,学校 の現状 等の情報交換 をす る中で,抱 えている悩み

を解決す る場になるとよい り 評価

・スキルが低下 している者 には,単位認定 を しない厳 しさがほ しい

・指導 と評価の一体化 を図 り, きちっとした 評価 をしてほ しい

大方 の教 員 が この講習 に期待 す る こ とは,

「講義 よ り演 習

「ス キルア ップに繋 が る もの を

「情報交換 を有効 に

「最先端の知識や情報 を

「厳 しい評価 を」等 に集約 されてい る。 さ らに具体 的 な内容 と しては

,

「障害 を持つ子 ど もの脳 の働 き方 を学 びたい

「参加者が具体 的 事例 を挙 げて経験 を共有 し,意見交換で きるよ うな研修 を したい。そこにカウンセ ラーや専 門 的ア ドバ イスの出来 る人が同席 して くれ るとあ りが たい

現在,教師の危機管理意識 の低 さ が問題 と感 じている。危機管理意識の高揚 を図 る内容がのぞ まれる

「もう一度, フレッシュ な気持 ちになれる内容 を期待す る」 など,教育 現場 に新 しい風が吹 くのではないか とい う講習

‑の期待感 を込めた言葉が述べ られた。

(3)

4

選 択 「生徒 指 導 」 の大 枠 を考 え る‑ 「子 ど もの 問 題 行 動 , 知 る ・話 す ・考 え る」

大学 を卒業す ると同時に中学校教員 になった 私 は,30代 後半 で生徒 指導専任教 諭 とな り, 他の教員 に比すれば生徒指導 に関す る学習の機 会 を多 く与 えられた。事例研究, カウンセ リン グ演習な どの学習会,学校 ・警察連絡協議会等 での情報交換,地域や関係諸機 関 との連携,少 年院等の施設見学 な どか ら得 たみの りは,その 後横浜市教育委員会 の児童 ・生徒指導担当指導 主事 としての実務 における確かなバ ックボー ン

となった。

今 臥 更新講習で 「生徒指導」分野 を担当す るに当たって.いわゆる座学で講義 を聴かせ る のではな く,受講者が講師 と共 に生徒指導のハ ウツーの基礎 となる姿勢 と態度 を創 り上げてい く学 びの場 としての講習 を目指 した。 これ をコ ーデ ィネー トす るためには,かつて学 んだ多 く の研修体験 を踏 まえて実効性 の高い方法の検討 が不可欠であった。その際,講習の大枠 を考 え る上で大変参考 になったのは,教員のキャリア 形成共同研究の一環である本学卒業者の現場教 貞 を対象 とした事前 イ ンタビューで得 られた教 員現場か ら生 まれた切実な意見や貴重 な教訓で あった。

これ らを踏 まえて

,

「や らされてい る講習

よ り 「受講者が講 師 と共 に創 り上 げてい く講 習」 の具体化 を図 るため

,

子 どもの問題,知

る ・話す ・考 える』 を副題 に決定 し,細部調整 が始め られた。

5

「生 徒 指 導 」 の 内 容 を考 え る

学校 の危機管理の主たる対象 は, 自然災害, 事故,健康被害 (感染症) などであ り,行政的 に生ず る事案 も無視 出来 ない場合が ある

「自 然災害」 は,地震災害の発生,風水害の発生, 火災 の発生 な どであ り

,

「事故被害」 は,不審 者の侵入,授業 中の事故 (理科 の実験 ・水泳 な ど),運動部活動等 での事故,交通事故,登 下

現場の教員 を支援す る

校 中の事件 ・事故 などが考 えられている。 また,

「健康被害」 には,伝染病の発生,給食 ・調理 実習等 による食中毒,給食の異物混入,飲料水 の汚染 などが生 じる場合がある。加 えて学校 レ ベルの危機管理の対象 としてクローズア ップさ れてい るのは

,

「子 どもたちの問題行動」であ る。学校 は,安心 して生活が出来る安全 な場所 でなければな らない。そのために教職員 は,坐 命や心身等 に危害 をもた らす様 々な危険 を防止 し,万一事件 ・事故が発生 した場合 には,被害 を最小 限にす るために適切かつ迅速 に対処す る 危機管理能力が求め られている。 この 「子 ども たちの問題行動」‑の対処は, まさに生徒指導 その ものである。従 って,今 回の更新講習では 主 として,子 どもたちの問題行動 について掘 り 下げてい くこととした。

今,学校 では 「生徒 間暴力 ・対人暴力

「対 教 師暴力

「器物破壊行為

「い じめ (ネ ッ ト上 のい じめ を含 む

) 」

「ネ ッ ト上の トラブル

「盗 難 ・万引 き等

「家出 ・プチ家出

「不良行為

「性非行 (性犯罪被害

) 」

「薬物乱用

「いわゆる

『学級崩壊

』 」

「不登校

「自殺 (含未遂

)

」 な ど が発生 している。 これに加 えて,保護者 などと の トラブル (保護者間,保護者 と教員 な ど) も 深刻である。 しか し, これ らの全 てを限 られた 18時間の更新講習で取 り上 げるこ とは困難 な ので,現在教員 に とって緊急性のある もの,必 要性の高い ものな ど,指導等 に苦慮 しているも のを次の

7

項 目に絞 り, これ らを突破 口として 指導力の向上 に資す ることを企図 した。

(1) 中学生 の問題行 動 と学校 の危機 管理 ・・・ (必要性)

(2)モバ イルを媒介 に した トラブル,最薪の 情報‑ (緊急性)

(3)少年の相談事例,少年相談保護セ ンター の対応 ‑ (必要性)

(4)性非行の実態 と指導の在 り方‑・(苦手意 識が先行 しがちな指導の必要性)

(5)保護者相談か ら学ぶ保護者 との関わ り方

・‑ (必要性)

(4)

(6)教育相談体制の充実‑ (必要性) (7)ス クールカウンセラーの活用・‑(緊急性)

6

講習 プログラム

◇ 190,14コマ ◇ 8:50開始16:10終 了

1日目 85日 (水 ) 2日目 86日 (木) 3日目 87日 (金) (開講式 .ガイダ ンス) 警察 に寄せ られた少年相談「ス クールカ ウンセ ラーの活用」

生徒 指導上 の今 日的課題① 講義 「少年の相談事例 か ら」 (∋講義 「教 育相談体制 の充実 と活

① 講義 「中学生 を中心 と した問題行動 と学校 の危機 管理」 (「ス クールカ ウンセ ラー との連携 」参集 団討論 .事例研 究用」 ※ (自己評価)

② 情報交換 「子 どもの問題 と学校 (∋危機 管理演習 「子 どもの問題行

事情」 動 と対応 」

※ (ア ンケー ト) ※ (自己評価 )

「モバ イル時代 の子 どもた ち」 性非行イ 保護者対応」

① 講義 「モバ イル を媒介 に した ト (∋講義 「性非行 の実態 と指導 の在 ラブル,最新 の情報」 り方」

(参討論 「モバ イ)I,の トラブル,そ (参講義 と討論 「保護者相談 か ら学 「ま とめ」

の対 策 と予 防」 ぶ保 護者 とのかかわ り方①論述試験(診全体 の振返 りとまとめ

※ (自己評価 ) ※ (自己評価 )

7

評価 について

最終 日に行 う論述式の試験 (2問)の内容 と 各テーマの評価観点等 は,以下の とお りである。

(1)論述試験

①次の間の中か ら一つ を選 び,論述 しなさい。

ア 「ネ ッ ト上 のい じめ」や 「出会 い系サ イ ト」等,ネ ッ ト社会の負の問題が深刻化 し てい ます。学校 に携帯電話 を持 ち込 まない 等の措置 をとる自治体 も出て きましたが, 今後新 たに発生す ると考 え られる問題点 と, 対応策 についてあなたの考 えを述べ なさい。

イ 児童生徒 の健全育成 には,保護者 と教師 の間の よ りよいパ ー トナーシップづ くりが 重要であると言 われていますが,具体的に どの ようなことを した らよいかあなたの考 えを述べ なさい。

ウ 性非行 は,子 どもの性 に対す る意識 ・モ ラルの低下 と,子 どもを取 り巻 く環境 ・要 因が大 きく影響 してい ます。学校 における 予防的取組みについて,あなたの考 えを述

ベ なさい。

(参 「クラス担任 はこんなに楽 しい」 と新任教 師 に語 るときに,あなたは どの ような話 を しま すか,具体的な事例 をあげて述べ なさい。

( 2)

各テーマの評価 の観点 (自己評価) (∋ 「中学生の問題行動 と学校 の危機管理」

ア 中学生 に発生す る問題行動 について, ま たその要 因等 を理解 している

イ 問題行動の未然防止,早期発見 ・早期対 応等,学校 の危機管理 を理解 し,説明す る

ことがで きるか

② 「モバ イルを媒介 に した トラブル,最新の情 報

ア モバ イルを媒介 に した最近の トラブルに ついて,理解 している

イ モバイルの トラブルについて,未然防止 に向けた学校の対応策 を理解 し,説明す る ことがで きるか

③ 「少年の相談事例,少年相談保護セ ンターの 対応

(5)

ア 児童生徒 の問題行動 について,外部機 関 (少年相 談保護 セ ンター) の捉 え方 を理解

している

イ 相談保護 セ ンター と学校 の連携 の必要性 を理解 し,説明す ることがで きるか

④ 「性非行 の実態 と指導 の在 り方

ア 性非行 の実態 と学校 における指導の在 り 方 を理解 してい る

イ 性非行 の未然 防止 に向けた学校 の取組 み を理解 し,説明す ることがで きるか

⑤ 「保護者相談か ら学 ぶ保護者 との関わ り方

ア 保護者が教員 に何 を期待 してい るか理解 している

イ 保護者 との トラブル回避 を踏 まえたのぞ ま しい関わ り方 を説 明す ることがで きるか

⑥ 「教育相談体制の充実」

ア 様 々な問題,課題 に対す る組織 的 な相談 体制 を理解 してい る

イ 教 育相談体制 の充実 に向けた校 内の組織 体制 を理解 し,説明す るこ とがで きるか (丑 「ス クールカウンセ ラーの活用」

ア ス クールカウンセ ラーの役割,連携 の在 り方 について理解 している

イ ス クールカウンセ ラーの活用 について理 解 し,説明す ることがで きるか

現場の教員 を支援する

(3)前2項の ほかの,評価対象

① 各テーマ毎 に,学 んだこ とや気づいたことの 自由記述 (振返 りレポー ト)

(参各 テーマ毎 に,学習 にのぞむ姿勢等の 自己評 価

(3段 階記入 :A概 ね良好 B何 とも言 え ない C反省点あ り)

ア 研修意欲 ・態度

イ 討 論 や情 報 交換 での発 言 (協 力 や協 調 性)

集団‑ の貢献度

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知 人友人で固めた講師陣

初 日午前 中に行 った 「中学生 を中心 とした問 題行動 と学校 の危機管理」 については,私が担 当 した。内容 は,今 日的な中学生の問題行動 と 初期対応 ,学校 の危機管理体制等 を講義 し, さ らに関係諸機 関 との連携 を取 り上 げてその後の 各 テーマ にスムーズ につ なが るよう配慮 した。

他の講義 を依頼 した講師陣は,私の中学校教 員時代 や大学教員 となってか らの知人 ・友人で ある。それぞれが各分野で活動 している人たち で,多忙 な中講師依頼 を快諾 して くれた ことに 感謝す るとともに,改めて 日頃の人間関係 の大 切 さに思い を致す こととなった。

7ーマ モバイルを媒介にした トラブル,最新の情報

講師 卯野 智喜

主要職歴 神奈川県警察 サイバー犯罪対策センター 専門分野 情報セキュリティーア ドバイザー

7一一マ 警察に寄せられた少年相談 .‑少年の相談事例から

講師 新倉アキ子

主要職歴 帝京大学大学院 客員講師,元 神奈川県警察 少年相談保護センター 所長 主な専門分野 .業績 日本社会心理学会

「¥3の代償‑出会いに潜む危険性」(共著)等 7ーマ 性非行の実態と指導の在 り方

7ーマ 保護者相談から学ぶ保護者とのかかわり方

講師 範夫

主要職歴 神奈川大学 人間科学部 非常勤講師,元 横浜市立中学校 校長 主な専門分野 .業績 全国性教育研究団体連絡協議会 元理事

(6)

7‑‑マ スクールカウンセ ラーの活用.‑教育相談体制の充実 と活用

講師 成井 香苗

主要職歴 神奈川大学 人間科学部 特任教授 ,福 島県ス クールカウンセラー 主 な専 門分野 .業績 臨床心理学

「臨床例 に見 る青年期 の 自我 同一性達成 までの心理発達課題」 (単著)等 T‑マ ス クールカウンセ ラーの活用,集団討論 「事例研究」

補助講師 小棒 真理子

主要職歴 東京都 ス クールカウンセ ラー,北 区保育課巡回指導員 都立七生特別支援学校相談支援室講師 (臨床心理士 特別支環教育士)

補助講師 山本 直美

主要職歴 神奈川県,横 浜市 スクールカウンセ ラー

神奈川県,横浜市 スクールスーパ ーバ イザー (臨床心理士)

補助講師 望月 桂

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各 講 師 と本 講 習 に関 す る共 通 認 識 ・共 通理解 を図 る

テーマやその内容 は もちろん重要であるが, 受講す る教員の気持 ちをどう理解す るか,講師 がそれ を共通認識 として共有す ることが出来 る か否かが講習成果の善 し悪 しを決めてい く。そ して,その過程が講習モ ラールを高めてい くた めには特 に重要 だ と私 は認識 している。従 って, 共 同研究で行 った事前調査結果 に基づいて受講 す る教員の気持 ちを付度 し,受講者の期待 に応 え られるように講師 との共通理解 を図 り,講習 で使用す るテキス ト (冊子)作成等のポイン ト を提示 して各講師に依頼 した。

(1)受講 す る教 員 の気持 ち (共 同研 究 で行 っ た 「研修 について事前調査」 か ら抜粋) (∋ 専 門分野で活動 している (いた)人の話

を聞 くことで,知識 を広 げたい。

② 話す ことで, 自校 ・自分の関わっている 生徒指導上の問題 ・課題 を整理す る機会 と

したい。

③ 情報交換 の場で,校種 を超 えた子 どもた ちの問題行動の実態 を知 りたい。

④ 講師や受講生 とのネ ッ トワークづ くりで, 生徒指導‑ の対応能力の向上が期待で き

そ うである

⑤ 現場 を離れ,大学で学ぶ ことで リフレッ シュが期待 さjtる。

( 2)

能動的な姿勢 ・態度の育成 を目指す

① テーマ にそ って 自分 ・自校 が 関 わ った (関わってい る)子 ども (たち)の問題行 動や 課題 を振返 ってまとめる (事例 の整 理)

(多 子 ども (たち)の問題行動事例報告 (情 報の交換)

③ 問題 ・課題の本質 を探 る (質疑応答で深 める)

④ 解決策 を考 える,解決事例体験 を話 し合 う (解決‑の思考)

⑤ 校種 を超 えて,生徒指導上の今 日的課題 を知 る (理解す る)

(3)演習の視点

① もし,私が

○学校 の教員だった とした ら, この間題 について, どの ように考 える か。 (問題 点 の 明確 化, 問題 の整 理, 問 題 ・課題の発見)

② この間題 について,私だった らどこで ど の ような対応 を してい くか。 (情報収集, 初期対応)

③ 対応 に伴い,予想 されるリス クと回避方

(7)

法 を考 える。 (問題 の拡大 を最小 限 に留 め る手 だて,情報 の管理)

④ この間題 について, この後 どの ように取 組 んでい くか。 (説 明責任 と協 力依頼,再 発防止)

(4)受講者用冊子の作成ポ イン ト

① 講習内容が一 目瞭然 として分 か り, まと め と して も活用で きる もの

(参 ノー ト代 わ りに記入で きる もの

(参 学校現場で活用で きる資料 を充実す るこ と

④ 講義で取 り扱 わなか った内容や発展 的 な 内容 は,資料編 に挿入す る

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講 習 を終 え て・‑受講 者 の ひ とこ とか ら ここに来 るまで嫌 だ と思 っていた免許更新講 習で したが,始 まる と毎 日が充実 していて興 味深 い話 しが聞け,大変勉 強 にな り楽 しい気 持 ちで通 うことが 出来 ま した。

・岩揮先生 は じめ,新倉先生,宇野先生,関先 生,成井先生,貴重 なお話 をあ りが とうござ い ま した。 メモ は しっか りとらせ ていただい たつ も りですが,今 で も話 しの内容が耳か ら こぼれそ うな くらいなイ ンパ ク トで残 ってい ます。パ ワー をいただ きあ りが とうござい ま した。

・生徒指導 とい うテーマでサ イバー犯罪や少年 相 談,性非行,保護者 との関わ り,スクール カウンセ ラー と,それぞれの専 門家 の先生方 のお話 を聞 くことに よ り,今 までの視野の狭 さに気づ き,た くさんの事例や指導方法 を学 ぶ ことがで きま した。

・日々の仕事が忙 しく, ゆっ くり研修 を受 ける ことが なか ったのですが, 自分 の指導 の方法 を振返 る とて も良い機会 にな りま した。

・様 々な校種 の先生方 と討議す ることで,様 々 な事例 を通 じて小 ・中 ・高それぞれの様子が 分 か り,つ なが りも見 えて きま した。

・今 , 自分が持 ってい る生徒 についての不安が

現場の教員 を支援する

少 し減 り,今後 の指導 に役立 ちそ うな情報 を た くさん得 て帰 ることが出来そ うです。

・生徒 指導 についての今 日的課題 について まと めて知識 を得 る と共 に,今 までの教 育活動 を 振返 る機会 ともな りま した。

・サ イバ ー犯 罪 について,いか に今子 どもたち が危 険 にさらされているか を具体 的 に知 るこ とがで き,ネ ッ ト社会 に潜 む大変大 きな社会 問題 について認識 を深 めることがで きま した

・講義 の中に出て くる事例や,最終 日のス クー ルカウンセ ラーの先生の講義や討論 を通 じて 様 々な知識 を得 ることがで き

,2

学期 か ら目 の前 の生徒 とのかかわ りの中で生か していけ ると思い ます。

この講習 は大変役立 ちま した。学校 (教員) が連携 していか なければな らない関係機 関が た くさんある中で 「このケースは何処‑相談 すれ ばいいの だろ うか ?

「この程 度 で は相 談す るに至 らないのではないか」 な どと思 っ ていた こ とが

,

「そ うか, この場合 は ここの 機 関へ相 談す ればいいのか

「この程度 の こ とで も気軽 に相談で きるのか」 とい う考 えに 変 ることが出来 ま した。職場 に戻 って,各 関 係機 関の活用 を勧 めてい きたい と思い ます

・講師の先生方が それぞれに熱意 を持 ってい ら っ しゃると同時 に,専 門的かつ実際的な講義 を提供 して くだ さ り, 中身の濃い研修 とな り ま した。

・何年かぶ りに生徒 の気持 ちになって講義 を受 ける場面があった こと,他 の先生方か ら全 く 思い も寄 らない体験談 を伺 えた り,逆 にほ と ん ど同 じ思い を していることが分か る機会が あったこと‑な ど,受講前 には 「わ ざわ ざや らな くて も

・ ・ ・

」 と及 び腰 だったことが今 では 全て プラスに思 えてい ます。

・あ らか じめ最終 に行 われる試験 の内容が分 か っていたので,安心で きま した。

・学校現場が直面 してい る問題 に触 れていて良 か った と思い ます。現場 での悩み を解決 して くだ さる内容が一番大切 で,役立つ内容 で し

(8)

た。

・具体 的な事例がた くさんあ り, とて も刺激的 でためにな りま した。

・今 さら更新の講習 ?と思 ってい ましたが,残 された数年間や る気が出ました。毎 回新 しい 発見があ り,知 らないこともた くさんあ り, 各先生方がエ ネルギ ッシュに教 えて くだ さっ たことも心に残 ってい ます。資料 もた くさん いただ きあ りが とうございま した。

・受講す る前 は,正直 こんな くだ らない制度, また負担が‑ とも考 えま したが,い ざ受講 し てみ ると逆 の感想 です。3日間あっとい う間 に過 ぎ, もっ と話 しを して欲 しい !とい う場 面が本当に多かったです。

・校種 を超 えたメンバーであったことも重要で, 生徒 の発達 を確認 してい く良い機会であった

と考 えます。

・学校現場が直面 している深刻 な問題 について, その分野のエキスパ ー トか ら大変熱心 にその 要 となるポイン トや心構 えを教 えていただ き,

この講習 を受講で きて本当に良かった と心か ら思 っています。

・更新講習以外 にも定期 的にこの ような研修 を 企画 していただ きたいです。

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あ わ りに

更新講習 の選択

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時間が長い ものであ った か短い ものであったかは,受講者 に対す る動機 付 けが如何 に成果 を収めたか否かのバ ロメー タ ーであるとも言 えよう。受講者 にとっては どん な時間であったのか,それぞれの興味 と関心が どう働 くかによ り大 きく分かれるところではあ るが,企画 (コーデ ィネー ト) した者 の

1 8

時 間はあっとい う間に経過 したが,準備期 間は随 分長か った とい う印象であった。それは例 のな い,そ して講習の受講 を必ず しも望 んでいない 教員 を満足 させ る企画 は確 たる姿 をなかなか現 さなか った。文部科学省が大学等 に期待す る内 容 を,果 して組織化 で きるのか, また元 同僚 と も言 える教員に.懸案であった新 たな良 き学 び

の機会 を設けることがで きるかなどの課題が, 終始念頭か ら離れなかった。

私 は,受講者が 「この大学の講習 を選んで よ かった,内容が具体的なので現場で役 に立つ 情報交換 の場 に加 えて リフレッシュがで きて得

した」 とい う思いを間違いな く実現で きる内容 と,それに応 える実力のある講師陣 を構築す る ところか ら始 まった。そのために,受講者 に配 付す る冊子の充実 を図るとともに,講義内容 に は直接触 れていないがそれぞれの学校現場で役 立つデー タ等 を,資料編 に付加 して使用の便 を 図ることとした。各講師 もこの意図を是 として, 有益 な資料 を多 く準備 して くれたので, この冊 子は特 に価値 の高い ものが出来上がった。いず れの講師 も,十分 な事前調整 を踏 まえてサー ビ ス精神 に徹す るとい う気持ちを共有 してのぞん だ講習であった。

講習終了後,事務局か ら 「受講者は概ね満足 しているようです」 と評価表 を見 なが ら声 をか け られた ときは,素直 に喜ぶ 自分 を認めること がで きた。それに加 えて,同僚か ら 「ご苦労様 です。良い評価 で よかったですね

」 と労 われ た ときは,気疲れが一気 に解消 される思いであ った。 また,依頼 した講師の方々か ら 「受講者 が聞 き上手で,時間を気 に しなが らも 『あれ も 話 したい, これ も伝 えたい』 とい う気持ちにさ せ られ, もっ と時 間が欲 しか った

「新鮮 な体 験で. とて も楽 しかった」 とい う反応 と 「また この ような機会があった ら呼んで ください,お 手伝 い します」 と言われたことが私 の財産 とな った。講師が楽 しく講義がで きれば,受講者 は 楽 しく学ぶ ことが出来 る。講師の熱心 な講義は, 受講者の各学校 での授業等 を振返 る契機 を与 え ることがで きたのではないか と思われる。受講 者数 を30名 に限定 したことも,一斉講義 とグ ループ討議 を展開 させ るのには適当な人数であ った と思われる。 また,研修場所が大学のキャ ンパスであったことは受講者 にとって も教育委 員会等が計画する悉皆研修 とは異 な り, リフレ ッシュす る格好の機会で もあった ようである。

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現場の教員 を支援す る

最後 に,私 は希有 なこの機会 を与 えられた こ と, また講習形態やその内容 など自由な企画 を 認めていただいた大学担当事務局 に重 ねて感謝 をす るとともに, この得難い実験教育 とも言 う べ き体験か ら得 た成果 を教職課程 を履修す る学 生 に還元すべ く内容の検討 に入 りたい と考 えて いる。

参照

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