中国赴日本国留学生予備学校 30 周年記念式典参加報告
田山のり子
(2009. 10. 31 受)
【キーワード】 赴日本国留学生予備学校、留学生日本語教育センター、日本語予備 教育、派遣、30 周年記念式典
1.はじめに
東京外国語大学では、文部科学省の依頼により、1979 年に設立された中国、東 北師範大学中国赴日本国留学生予備学校に開始当初から毎年欠かさず教員を派遣 し、中国政府派遣の留学生たちに対して継続的に日本語予備教育を行っている。
ここ 15 年ほどは学内の留学生日本語教育センターがその派遣業務を一手に担い、
中国側の教師団と協同歩調をとりながら、本プログラムを盛り立ててきている。
今年(2009 年)、中国赴日本国留学生予備学校(以下、「予備学校」と略す)は、創 立 30 周年を迎え、8 月に長春において盛大な記念式典が催された。本学も中国と 日本、両大学のこれまでの深いつながりにより予備学校の李若柏校長からご招待を いただいた。これを受けて、祝意を表すために本学を代表し、亀山学長がご出席さ れることになり、留学生日本語教育センター長である筆者も同行することとなった。
今回、私は 1993 年の派遣以来、15 年ぶりに長春を再訪したが、毎年派遣された教 員たちの話に違わず、中国の発展ぶりには目を見張らされるものがあった。現地で は、盛大な歓迎と心からの饗応に与った。ここに今夏の 30 周年記念式典ならびに 同時開催の日本語教育国際シンポジウムについて報告する。
2.東京外国語大学関係の参加者
東京外国語大学学長 亀山郁夫 留学生日本語教育センター長 田山のり子 同センター教授 伊東祐郎 同センター准教授 楠本徹也 同センター准教授 土屋順一
同センター准教授 花薗悟(2009 年度派遣基礎日本語団長)
東京外国語大学
留学生日本語教育センター論集 36:161~166,2010
同センター非常勤講師 稲村すみ代(2009 年度派遣者)
同センター元助教授 川上京子
同センター元非常勤講師 西谷まり(2000 年度派遣者)
同センター元非常勤講師 塩川絵里子(2009 年度派遣者)
3.開催場所
中国、吉林省長春市、東北師範大学
赴日本国留学生予備学校 1 階 多目的ホール
4.日程
2009 年 8 月 15 日(土)16:00
李若柏校長、花薗悟基礎日本語教師団団長以下、関係者の出迎えを受け、中国、
長春空港に到着。
19:00 予備学校主催の夕食会 海航紫荊花ホテル。同ホテル泊。
2009 年 8 月 16 日(日)
午前の部 9:10 ~ 11:30 創立 30 周年記念式典 1. 来賓および校友の方々の紹介
2. 創立 30 周年記念式典開幕 中国赴日本国留学生予備学校校歌演奏 3. 東北師範大学学長 史寧中氏祝辞
4. 中華人民共和国教育部副部長 郝平氏祝辞
5. 日本国文部科学省文部科学審議官 森口泰孝氏祝辞 6. 中国吉林省代表 王化文氏祝辞
7. 日本国駐華大使館特命全権大使 宮本雄二氏祝辞 (同参事官 川上文博氏代読)
8. 在審陽日本総領事館総領事 松本盛雄氏祝辞 9. 東京外国語大学学長 亀山郁夫氏祝辞 10. 東京工業大学副学長 大倉一郎氏祝辞 11. 厳浩学友代表祝辞
12. 羅毅学友代表祝辞 13. 祝電発表
14. 貢献者表彰式(プレゼンテーター:盛連喜東北師範大学書記)
対象者:予備学校開校当初およびここ 10 年間の貢献者
30 名ほどの表彰者の中には、本学の楠本徹也准教授ならびに土屋順一准 教授も含まれる。
15. 学友会新体制発表
16. 記念撮影(予備学校正門前) 約 150 名 17. 駐日友誼木記念石除幕式
昼食 12:00 ~ 13:30 南湖賓館にて
中華人民共和国教育部副部長 郝平氏主催による主立った出席者 を招いての昼食会
郝平氏は北京外国語大学の学長でもあり、東京外国語大学学長と の出会いを大変喜んでおられた。
午後の部 13:10 ~ 13:50 予備学校見学
教育・研究成果(1F ロビー)、予備学校史写真展(2F)、教育施設(4F)
14:00 ~ 16:00
A:第 7 回日本語教育国際シンポジウム(1F126 教室)
・開会の挨拶 李若柏予備学校校長 ・9 名からの研究発表
「パワーポイント利用の日本語教授法 日本事情教育を重視 した文型・読解教育の可能性をさぐる」稲村すみ代氏
・閉会の挨拶 田山のり子
B:校友論壇(パネルディスカッション)(1F 多目的ホール)
夜の部 17:00 ~ 19:00 海航紫荊花ホテル 3F 宴会ホール
交歓懇親会 約 100 余名出席 中国古典楽器楽団による演奏 2009 年 8 月 17 日(月) ・ハルビンツアー(亀山学長に花薗准教授同行)
・松花湖ツアー(伊東教授、田山外数名参加)
2009 年 8 月 18 日(火) 12:00 長春より亀山学長と帰国の途につく 空港まで李校長外の見送りを受ける 同日 19:30 成田空港着 帰国
【シンポジウム閉会の挨拶】
「皆様、長時間にわたるシンポジウムへのご参加、お疲れ様でした。本日は、
9 名の方々から熱のこもったご発表をいただいたわけですが、それを伺っての感想 を一言述べさせていただきたいと思います。
内容について言えば、初期の開始当初の日本語のテキストや教育方法に関する歴 史的視座のものから、日本語と専門教育に関わる言語教育へのご提言、そして、最 新の機器を駆使した教育方法のあり方に至るまで、実に幅広い研究領域となってお りました。私は 1993 年に予備学校に派遣されてこちらとのご縁をいただきました。
今から 16 年前の当時のことを振り返ると、ささやかなテキストの勉強会をやって いたくらいのものでしたので、それに比べて、今日の予備学校における教育と研究 の力がいかに向上したかをまざまざと感じ取ることができました。
先ほど、開始のご挨拶の中で李若柏校長が論語の言葉を引用されて、「30 歳にし て立つ」という言葉をご紹介されていましたが、私がこちらに来ていた頃は、予備 学校もまだ 15 歳くらいの青少年と言っていいような時だったでしょうか。そして、
30 周年を迎えた今では、自力で立っていける立派な大人に成長しました。予備学 校では、日本語と専門教育に関わる数多くの教員が毎年日本から派遣され、経験豊 富な予備学校の先生方と協力して、中国全土から選ばれた優秀な学生たちに教育を 施してきています。これからは、中国と日本双方の教員が全く対等の形で教育プロ グラムを組み、かつ、互いの強みを生かせる形で教育に当たっていくことが必要で あり、今こそそれができるのだと思います。ここには、共同研究を推し進めるに非 常にいい環境が整っています。一人ひとりがこのことをしっかりと認識して、今後 もたゆまずにすばらしい研究成果を出していってくださることを期待しておりま す。中日の交流を通じて、この予備学校がこれからも発展していくことを心から願っ ております。皆様、本日はどうもありがとうございました。」
5.巡り会い
この記念式典への出席によって、筆者が派遣された 1993 年度の学生 2 名と再会 を果たせたのは、望外の喜びであった。その 1 名は、施維氏であり、大阪大学大学 院を経てカナダにも留学し、吉林大学の教授(医学博士)となっている。また、も う 1 名は、于化東氏で、千葉大学大学院に留学し、現在は長春理工大学の学長(工 学博士)である。
式典に向かう朝、事務長の劉柴氏と運転手の梁万喜氏、お二人のにこやかなお顔 を見つけ、うれしかった。さらに、共にプログラムの運営に携わった董将星副校長
(当時)、張群舟先生、張為国先生、高在学先生、盧麗先生にも再会でき、旧交を温 めることができた。しかし、元予備学校校長の賈修義先生は、数年前にお亡くなり になったと伺い、再会を果たせず非常に残念に思った。
また、今回初めて、張麗先生、金英淑先生、李軍先生、馬軍先生にもお近づきを 得て、いろいろとお世話になった。翌日の松花湖ツアーでご一緒した対外経済貿易 大学副校長の胡福印先生とは、1993 年当時、直接の面識はなかったものの、教育 部から予備学校に来ていたということで、共通の思い出話に花が咲いた。
本学以外からの招待者も多く、予備学校開設当時に文部省で深く関与したという 光田明正氏(杏林大学孔子学院長)や国際交流基金にいらして尽力なさった椎名和 男氏(国際日本語研修協会(IJEC)理事長)、また、留学生の受け入れや送り出しで 関係が深い日本学生支援機構の吉野利雄氏など多彩な顔ぶれの招待者であった。
6.備忘録
- 1994 年度~ 2009 年度派遣の基礎日本語教師団-
1994 年度 楠本徹也、猪崎保子、稲村すみ代、増子久美子、別府直苗、玉置充子 1995 年度 川上京子、丸谷しのぶ、菅原和夫、高木裕子、押尾和美、大口玲子 1996 年度 姫野昌子、岡本佐智子、坂本勇人、森永昌子、本橋啓子、小林加代子 1997 年度 柏崎雅世、岡崎智己、足立さゆり、松本芳行、長田佳奈子、石沢亮二 1998 年度 伊丹千恵、梅木由美子、杉山智子、谷口正昭、早矢仕香、山本勇雄 1999 年度 横田淳子、衣川隆生、松田みゆき、渡部和子、小森和子、新内明子 2000 年度 伊東祐郎、西谷まり、三浦香苗、和栗雅子、奥原淳子、水落いづみ 2001 年度 藤村知子、小林典子、横井雅子、辰馬玲、小笠原雅子、和栗雅子 2002 年度 坂本惠、斎藤美智子、原野亮子、一圓道子、伊集院郁子、有馬忠友 2003 年度 土屋順一、山下好孝、奥村徹、辰馬玲、川村光代、遠山千佳 2004 年度 藤森弘子、増田幸子、梓沢直代、日比野新、中西悦子、山田勇人 2005 年度 善如寺俊幸、小野正樹、岩田一成、山田勇人、池辺明子、本藤由梨 2006 年度 楠本徹也、橋本ゆかり、関裕子、富田優子、吉田こずえ、田中惠子 2007 年度 中村彰、稲村すみ代、清水淳、石倉さやか、仙崎幸子、奥山和子 2008 年度 土屋順一、藤田朋世、中野智子、藤間貴子、小林暉子、板東朋子 2009 年度 花薗悟、稲村すみ代、塩川絵里子、橋本玲子、嶋本紀子、竹田慎吾 なお、1979 年度~ 1993 年度までの教師団については、『東京外国語大学留学生日 本語教育センター論集』第 21 号 pp.157-158 を参照のこと。
参考資料
研究代表者:李若柏(2009. 8)『東北師範大学中国赴日本国留学生予備学校創立 30 周年記念事業共同研究 中間発表論文』 中国、東北師範大学中国赴日本国留 学生予備学校
『慶祝建校三十周年 1979-2009 中国赴日本国留学生預備学校 筒史曁 紀事摘要』
(2009. 8)
『中国赴日本国留学生預備学校教育部出国留学人員培訓部』(学校紹介の冊子)