果 樹 園 用 収 穫 ロ ボ ッ トの 研 究*
藤 浦 建 史**・ 浦
元 信***・川 村
登***・並 河
清***
要
旨
カ ン キ ツ類 の よ うに大 き な樹冠 を有 す る果 樹 の果 実収 穫 を 行 うた め,大
きな マ ニ ピ ュ レ
ー タ を も つ 果 実 収 穫 ロ ボッ トを 試 作 し,果 樹 園 で ナ ツ ミ カ ン の 収 穫 実 験 を 行 っ た 。 こ の ロ ボ ッ トは カ ラー テ レ ビ カ メ ラ を 用 い て ス テ レ オ 画 像 法 に よ り果 実 の 三 次 元 位 置 を 求 め,マ ニ ピ ュ レ ー タ に 取 り付 け た ゴ ム 製 の3本 指 と ハ サ ミを 持 つ ハ ン ドに よ り果 実 を 収 穫 す る も の で あ る。Fruit Harvesting Robot for Orchard*
Tateshi FUJIURA**, Motonobu URA***, Noboru KAWAMURA***,
Kiyoshi NAMIKAWA***
Abstract
A fruit harvesting robot equipped with a large manipulator was manufactured for trial to harvest fruits on large trees. Automatic harvesting experiments of Summer Orange were done in an orchard. The three-dimensional location of the fruit was obtained by means of a stereo-camera using a color TV camera, and the fruit was picked by the robot hand which was composed of three rubber fingers and a pair of scissors.
•k
Keyword•l robot, fruit harvesting, farm automation, visual sensor, manipulator
Ⅰ 緒 言 こ の 研 究 は,果 樹 園 内 で カ ン キ ツ類 な ど の 果 実 収 穫 を,ロ ボ ッ トを 用 い て 行 お う とす る も の で あ る 。 果 実 収 穫 ロ ボ ッ トの 試 作 研 究 は,近 年 内 外 で 活 発 に 行 わ れ る よ う に な り,研 究 成 果 が 報 告 さ れ て い る1-10)。 し か し,一 般 の 産 業 用 戸 ポ ッ トと 異 な り,果 実 収 穫 を 行 うた め に は,野 外 な ど の 厳 し い 環 境 下 で 果 実 位 置 を 検 出 し,茎 葉 な ど の 障 害 物 の 多 い と こ ろ で 果 実 を 収 穫 し な け れ ば な ら な い た *昭 和63年8月 農業機械学会(北 海道大学)に て講演 **島 根大 学農学部(〒690松 江市 西川津町TEL 0852 -21-7100内 線667)Shimane University,Nishi-kawatsu-cho,Matsue City,690 JAPAN *** 京都大学農学部(〒606京 都市左京区北 白川TEL 0 75-753-6317,6166)Kyoto University,Kita-shirakawa,Sakyo-ku,Kyoto City,606JAPAN
め,ま だ 解 決 す べ き問題 が 多 い 。
こ の研 究 で は,果 実位 置 を 検 出す るた め の画 像
入 力装 置,果
実収 穫 用 ハ ン ド,ロ ボ ッ ト制 御 装 置
な らび に 画像 処理 や 制 御 を 行 う ソフ トウエ ア の作
成 を 行 い,果 実 収 穫 用 に試 作 した 作 動 距 離 の大 き
い マ ニ ピ ュ レー タ と作 業 台 車 を組 み 合 わ せ て 自走
式 果 実 収 穫 ロボ ッ トと し,基 礎 実 験 及 び果 樹 園 で
の 収 穫 実 験 を行 った 。
こ の ロボ ッ トは カ ラ ー テ レ ビカ メ ラを用 い て 果
実 画 像 を コン ピ ュー タ の メモ リに 入 力 し,ス テ レ
オ画 像 の方 法 で果 実 の三 次 元位 置 を 算 出 し,マ ニ
ピ ュ レー タ に 取 り付 け た ハ ン ドに よ り収 穫 す る よ
うに な っ て い る。 果 実位 置 の 検 出 方 法 は,す で に
本 誌 に報 告 した 果 菜 類 収 穫 ロボ ッ ト2)に用 い た も
の と同様 で あ るが,果 樹 園 用 収 穫 ロボ ッ トで は 果
36 農 業 機 械 学 会 誌 第52巻 第2号(1990) 実 と カ メ ラ の 距 離 が 遠 く な る た め,画 素 数 を 多 く し,遠 い 果 実 の 検 出 精 度 を 改 善 した。ま た,果 実 に 損 傷 を 与 え ず に 確 実 に 収 穫 す る た め,ゴ ム 製 の 3本 指 と ハ サ ミを 持 つ フ レ キ シ ブ ル ハ ン ドを 試 作 し,果 実 収 穫 を 試 み た。な お,こ の 研 究 は 文 部 省 科 学 研 究 費 の 交 付 を 受 け た。記 し て 謝 意 を 表 す る。 Ⅱ 果 樹 園 用 収 穫 ロ ボ ッ ト 1.概 要 試 作 し た 果 樹 園 用 収 穫 ロ ボ ッ トを 図 1,2に 示 す。走 行 部 に は 二 条 刈 り コ ン バ イ ン の 走 行 部 を 使 用 し,こ の 上 に 高 い 位 置 の 果 実 も収 穫 で き る よ う,油 圧 に よ っ て93cm上 下 移 動 で き る 昇 降 台 を 設 け,マ ニ ピ ュ レ ー タ は こ の 台 に 取 り付 け た。こ の 走 行 部 に は,コ ン バ イ ン 用 の デ ィ ー ゼ ル 機 関 が 塔 載 され て お り,マ ニ ピ ュ レ ー タ を 駆 動 す る た め の 油 圧 ポ ン プ は,こ の 動 力 を 利 用 し た。果 実 位 置 検 出 用 に はMOS型 固 体 撮 像 素 子 を 用 い た カ ラ ー テ レ ビ カ メ ラ を 使 用 し,カ メ ラ を 左 右 に 移 動 し て2ケ 所 で 果 実 画 像 の 入 力 を 行 い,ス テ レ オ 画 像 法 に よ り果 実 の 三 次 元 位 置 を 求 め た。カ ン キ ツ 類 の よ う に 大 き な 樹 冠 を 有 す る 果 樹 の 果 実 収 穫 を 行 うた め に は,マ ニ ピ ュ レ ー タ は 作 動 距 離 の 大 き い も の が 必 要 で あ る。ま た,大 き な 樹 に な っ て い る 果 実 に ま っ す ぐハ ン ドを 近 づ け る た め に は,少 な い 自 由 度 で,簡 単 な 制 御 で 樹 冠 部 の 隙 間 か ら中 の 果 実 に も 接 近 さ せ る 必 要 が あ り,極 座 標 形 の マ ニ ピ ュ レ ー タ が 有 利 で あ る と考 え られ る。そ の た め 本 研 究 で は,極 座 標 型 マ ニ ピ ュ レ ー タ(オ フ セ ッ ト付 き)を 用 い た。マ ニ ピ ュ レ ー タ の 先 端 に は 3本 指 を 持 つ フ レ キ シ ブ ル ハ ン ドを 取 り付 け,果 実 に 損 傷 を 与 え な い よ う に 把 握 し て,ハ サ ミで 果 実 の 結 果 枝 を 切 断 す る よ うに した。画 像 処 理 や ロ ボ ッ トの 制 御 に 用 い た コ ン ピ ュ ー タ は,8088型16 ビ ッ トCPU(デ ー タ バ ス は8ビ ッ ト)を も つ 基 板 コ ン ピ ェ ー タ で,処 理 の 高 速 化 を 計 る た め プ ロ グ ラ ム は ア セ ン ブ ラ を 用 い て 作 成 した。使 用 した メ モ リは,プ ロ グ ラ ム,画 像 メ モ リな どを 含 み 約 20キ ロ バ イ トで あ る。 2.マ ニ ピ ュ レ ー タ マ ニ ピ ュ レ ー タ の 動 作 自 由 度 は 腕 の 左 右,上 下 旋 回 及 び 腕 の 直 動 の3つ で,そ れ ぞ れ 油 圧 モ ー タ で 駆 動 した。左 右 と上 下 旋 回 は,油 圧 モ ー タ の 回 転 を ウ ォ ー ム 歯 車 な ど を 用 い,約1/100に 減 速 し て 伝 え る こ と に よ り行 っ た。ま た,腕 の 直 動 は,ラ ッ ク と ピ ニ オ ン を 用 い て 油 圧 モ ー タ の 回 転 を 直 線 運 動 に 変 え て 行 っ た。 マ ニ ピ ュ レ ー タ の 動 作 位 置(関 節 角 度 な ど)の 計 測 は,光 学 式 の イ ン ク リメ ン タ ル 形 ロー タ リエ ン コ ー ダ(1回 転 当 りパ ル ス 数60)を 油 圧 モ ー タ に 取 り付 け て 行 っ た。エ ン コ ー ダ はA,B2相 の 出 力 を 持 つ もの を 用 い,1回 転 当 り120パ ル ス を 得 て,こ れ を カ ウ ン タ に 入 力 す る こ と に よ り左 右 旋 回,上 下 旋 回 角 度 の 分 解 能 を 約0.03°,腕 の 直 動 の 分 解 能 を0.5mmと し た。 3.油 圧 回 路 マ ニ ピ ュ レ ー タ を 駆 動 す る た め の 油 圧 回 路 を 図3に 示 す。油 圧 回 路 を 簡 略 化 し消 費 動 力 を 減 少 さ せ る た め,油 圧 モ ー タ は 図 の よ う に 電 磁 弁 を 介 し て 直 列 に 接 続 し,電 磁 弁 の オ ン オ フ に よ り制 御 し た。油 圧 ポ ン プ に は 歯 車 ポ ン プ, 油 圧 モ ー タ に は ラ ジ ア ル ピ ス ト ン モ ー タ を 使 用 し た。そ れ ぞ れ の1回 転 当 り の 理 論 押 し の け 容 積 は,2.43及 び10.8cm3で あ る。機 関 を 最 高 回 転 数 に し た と き の ポ ン プ 回 転 数 は1500rpmで あ った。 図1 果 実 収 穫 ロ ボ ッ ト Fig.1 Fruit harvesting robot
図2 ロ ボ ッ ト に よ る 果 実 収 穫 Fig.2 Fruit harvesting by robot
この と き の左 右 旋 回,上 下 旋 回 の速 度 は 毎 秒 約
20°,腕 の 直動 は 毎 秒 約33cmで
あ った 。 な お,各
ジ ョイ ン トが 設 定 角 や 位 置 に近 づ いた と きに行 過
ぎを 生 じな い よ う,流量 制御 弁 と電 磁 弁 を 用 い て,
速 度 を 通 常 の 約30%に
落 とす よ うに した 。 油 圧 源
の リ リー フ弁 は6MPaに
設 定 した 。
4,果
実 収 穫 用 ハ ン ド 果 実 収 穫 用 ハ ン ドを 図
4に 示 す 。 指 は ゴ ム製 で,ブ
リヂ ス トン社 製 の ラ
バ チ ュエ ー タ(長 さ90mm,直
径9mm)の
収 縮 運 動 を
利 用 して,ラ バ チ ュエ ータ と指 先 を つ な い だ ワイ
ヤ を 引 っ張 る こ とに よっ て指 を滑 らか に 曲 げ る よ
うに な っ て い る。 な お,ラ バ チ ュエ ー タは,空 気
圧 に よ り長 さ が縮 む ア クチ ュエ ー タで あ る。 マ ニ
ピ ュ レー タ の位 置 決 め に よ り,2本
の上 指 の 間 に
結 果 枝 を入 れ て 果 実 を 把 握 す る。 位 置 決 め が 多 少
ず れ て も把 握 可 能 な よ うに上 指 と下 指 の な す 角 を
60° と し,空 間 を広 く して い る。 把 握 後 は 空 圧 シ
リン ダ1を 駆 動 して ハ サ ミを50mm前
方 に 押 し 出
し,空 圧 シ リン ダ2で 切 り刃 を 引 い て 結 果 枝 を ハ
サ ミの根 元 で切 断 す る よ うに した 。
空 気 圧 は490か
ら690kPaと
した 。 指 の 把 握 力 を 調 べ るた め に,直
径70mmの 木 球 表 面 に ひず み ゲ ー ジ式圧 力 変 換 器 を
埋 め 込 み,指
を 曲げ るた め に 内側 に加 工 され た 突
起 部(図4参
照)に 根 元 の方 か ら順 に1か
ら10ま で
の番 号 を 付 け,各 突 起 が こ の圧 力 変 換 器 を 押 す よ
うに木 球 の把 握 位 置 を少 しず つ ず ら して,各 位 置
で の圧 力 を測 定 し,圧 力分 布 図 を作 成 した。 空 気
圧 は490と690kPaと
した 。 そ の結 果,直 径70mm
の木 球 を把 握 した場 合 に は,指 の根 元 の 突 起1,
2,3と 先 の 突 起10で の 圧 力 が 大 き く,圧 力 の ピ ー ク は 空 気 圧490kPaで,上 指 で は 約200kPa,下 指 で は 約400kPa,空 気 圧690kPaで,上 指 で は 約 400kPa,下 指 で は 約600kPaと な っ た 。 こ の 程 度 の 把 握 圧 力 が 部 分 的 に か か っ て も ナ ツ ミカ ン は 皮 が 厚 い の で さ ほ ど 支 障 は な い も の と 思 わ れ る 。 ハ サ ミ に よ る 切 断 力 の 計 算 図 を 図4上 部 に 示 す 。 切 断 力 をF,シ リ ン ダ の 引 張 力 をFcと す る と,モ ー メ ン トの 関 係 よ りF・a=Fc・b・sinδ と な る 。 δ=81°,a=25mm,b=48mm,Fc=116 ∼162Nと し てFを 求 め る と,220∼307Nと な り, 200N以 上 の 力 が 得 ら れ た 。 5.果 実 位 置 の 検 出 装 置 図5に 今 回 実 験 を 行 っ た 果 樹 園 用 収 穫 ロ ボ ッ トの 信 号 の 流 れ を 示 す 。 画 像 入 力 処 理 とマ ニ ピ ュ レ ー タ や ハ ン ド の 制 御 は,同 一 の コ ン ピ ュ ー タ を 用 い て 行 っ た 。 図 の 左 上 が 画 像 入 力 装 置 の 部 分 で あ る。 使 用 し た カ メ ラ は,MOS型 固 体 撮 像 素 子 を 用 い た 単 板 式 カ ラ ー テ レ ビ カ メ ラ(VKC999)で あ る 。 撮 像 面 の 大 き さ は8.8(水 平)×6.6(垂 直)min2,画 素 数 は 384(水 平)×485(垂 直)で あ る 。 画 像 入 力 に は, カ メ ラ の 内 部 か ら赤 信 号R,輝 度 信 号Y,青 信 号 Bを 取 り出 し て 用 い た 。 果 実 と茎 葉 な ど と の 識 別 は,色(反 射 分 光 特 性)の 違 い を 利 用 し て 行 い, 果 実 画 像 の 入 力 は,図 に 示 す よ う にR信 号 とY信 図3 油 圧 回 路 Fig.3 Hydraulic circuit図4 果 実 収 穫 用 ハ ン ド Fig.4 Fruit harvesting hand
38 農 業 機 械 学 会 誌 第52巻 第2号(1990)
号(ま
た はY信 号 とB信 号 の 平 均 値)を,ア
ナ ロ
グ コ ンパ レー タで 比 較 して 得 た2値 信 号 を,DM
A(ダ
イ レ ク トメ モ リア クセ ス)に
よ りメ モ リへ
転 送 す る こ とに よ り行 った。 入 力 され た 画 像 は,
メモ リ上 で は果 実 で1,果
実 以 外 で0の2値
画 像
で あ る。 入力 画 素数 は 果 菜 類 収 穫 用 ロボ ッ トで は
96(水 平)×81(垂
直)で あ った2)が,こ
の果 樹
園 用 収 穫 ロボ ッ トで は,カ
メ ラか ら果 実 ま で の距
離 が 遠 くな るの で,128(水
平)×240(垂
直)=
30,720画 素(3,840バ
イ ト)と した 。 垂 直 方 向 の 画
素 数 を大 き くした の は,カ メ ラを90° 横 に ね か せ
た 状 態 で左 右 に 移 動 させ,左 右 の2視 点 で の 画 像
を ス テ レオ 画 像 法 の演 算 に用 い た か らで あ る。 こ
の方 法 で は,カ
メ ラ移 動 に よる果 実 のず れ は,カ
メ ラの 垂 直 方 向 に 生 じ,こ の ず れ か ら距 離 を 計 算
した の で,検
出精 度 を あ げ るた め に は カ メ ラ の垂
直 方 向 の分 解 能 を 大 き くす る必 要 が あ った 。 な お
カ メ ラは 飛 越 し走 査 の もの で あ る。 これ は 走 査 線
数 の半 分 を1/60秒
で送 り(第1フ
ィー ル ド),
空 い て い る部 分 を埋 め るた め に残 りの走 査 線 を次
の1/60秒
で 送 り(第2フ
ィ ール ド),両 方 で1
コマ の画 像 とす る もの で あ る。 ス テ レオ画 像 法 を
用 いた の で,位 置 の ば らつ きが 生 じ る と不 都 合 な
た め,第1フ
ィ ール ドの み を 選択 し て入 力す る よ
うに した 。
カ メ ラか ら果 実 まで の 光 軸 方 向 の距 離 の 計 算
は,カ
メ ラを 光 軸 に 直 角 で 横 向 き の方 向 に,15cm
平 行 移 動 す る 前後 の,2回
の 入 力 画 像 間 で の位 置
変 化 量 よ り求 め た 。 また 光 軸 と直 角(上 下,左 右)
方 向 の距 離 は,光 軸 方 向 の 距 離 の 演 算 結 果 と,1
枚 の入 力 画像 内 で の 果 実 の 二 次 元 位 置 に よ り計 算
した。カ
メ ラは ス ラ イ ドベ ア リン グ に よ り直 線 運
よ り移 動 す る台 上 に設 置 し,直 流 モ ー タ と
ね じに 動 させ た 。 画 像 入 力 に 要 す る 時 間
は,第1フ
ィー ル ドの走 査 開 始 時 か ら約1
/60秒 で あ る。1組
の ス テ レオ画 像 の処 理
時 間 は1秒 前 後 で あ るが,カ
メ ラの移 動 に
片 道 約3∼4秒
か か った 。
カ メ ラは焦 点 距 離10mmの 広 角 レ ンズ を用
いた が,マ
ニ ピ ュ レ ー タの作 動 領 域 に比 べ
て 視 野 が 狭 い の で,カメ
ラの取 り付 け位 置
を マ ニ ピ ュ レー タめ 関節 の上 と し,腕 を上
下,左 右 に旋 回 して カ メ ラの光 軸 を 変 え る
こ と に よ り,視 野 を 広 げ た 。 図6は そ の 様 子 を 示 し た も の で,1回 の 画 像 入 力 で 得 ら れ る 視 野 は 上 下 方 向(カ メ ラ の 水 平 方 向)47.5°,左 右 方 向(同 ・垂 直 方 向)36 .5° で あ る が,マ ニ ピ ュ レー タ の 関 節 を 上 中 下,左 中 右 と15° ず つ 旋 回 さ せ,1カ 所 で9組 の ス テ レ オ 画 像 を 得 る よ う に し た 。 ま た,高 い と こ ろ の 果 実 収 穫 を 行 う場 合,昇 降 台 に よ り マ ニ ピ ュ レ ー タ を80cm持 ち 上 げ て 画 像 入 力 と 収 穫 を 行 う よ う に した 。 果 実 収 穫 を 行 う と,果 実 の 重 さ の 変 化 に よ り枝 の た わ み 量 が 変 化 す る こ と が あ る た め,制 御 プ ロ グ ラ ム で は1組 の ス テ レ オ 画 像 を 得 る ご と に,そ れ に よ っ て 検 出 さ れ た 果 実 を 収 穫 す る よ うに し た 。 図5 信 号 の 流 れ . Fig.5 Signal flow図6 テ レ ビ カ メ ラ の 視 野 Fig.6 Vision field of TV camera
Ⅲ 収 穫 方 法 及 び ソ フ ト ウ ェ ア 1.姿 勢 計 算 の 方 法 上 記 に よ り求 め た 果 実 位 置 は,カ メラ を 基 準 と し て い る の で,マ ニ ピ ュ レ ー タ の 座 標 系 に 変 換 し て 用 い た。マニ ピ ュ レ ー タ 座 標 系 に 変 換 さ れ た 果 実 位 置 か ら 関 節 角 度 と 腕 の 長 さ を 求 め る計 算 は,図7に 示 し た マ ニ ピ ュ レ ー タ の 概 略 図 よ り幾 何 学 的 に 行 っ た 。 同 図 でOが マ ニ ピ ュ レ ー タ 原 点,Bが 腕 の 上 下 旋 回 中 心,Cが ハ ン ド取 付 点 を 表 し て い る。s1は 原 点 か ら上 下 旋 回 軸ABま で の 距 離s2は 左 右 旋 回 軸(z軸)か ち腕 ま で の 矩 離 と し,果 実 中 心pは,ハン ド取 付 点Cよ りh2進 ん でh1下 に 下 が っ た 位 置 と し た 。 各 寸 法 は,S1=330,s2=220,h1=45,h2=188mm で あ る 。 果 実 位 置 を(x,y,z)と す る と,図 よ り (s3+h2)2=x2+y2+(z+S1)2-(s2+h12) こ れ よ り, S3=-h2+√x2+y2+(z+s1)2-(S2+h12) …(1) (1)式 に よ っ て 腕 の 長 さS3が 計 算 で き る。 ま た,腕 の 上 下 旋 回 角 度 θ2は 次 の よ う に な る。 θ2=β-α …(2) た だ し, sinβ=(z+s1)/√h12+(h2+S3)2 sinα=h1/√h12+(h2+S3)2 次 に 腕 の 左 右 旋 回 角 度 θ1は, θ1=ψ+φ …(3) た だ し,tanψ=y/x,sinφ=S2/√x2+y2で あ る 。 S3,θ2,θ1の 計 算 後,0.3° 刻 み で 作 成 し た 変 換 表 に よ り,各 関 節 を 回 転 さ せ る 油 圧 モ ー タ に 取 り付 け た ロー タ リエ ン コ ー ダ の パ ル ス 数 を 求 め た 。 2.収 穫 方 法 ロ ボ ッ トで 果 実 収 穫 を 行 う と き の ソ フ ト ウ エ ア の 流 れ 図 を 図8に 示 す 。 ま ず,P PI(入 出 力 ポ ー ト)を 初 期 設 定 し て マ ニ ピ ュ レ ー タ を 原 点 復 帰 さ せ る。 そ し て あ ら か じ め 決 め ら れ た 移 動 時 の 姿 勢 に マ ニ ピ ュ レ ー タ を 動 か し,ロ ボ ッ トを 一 定 距 離 走 行 さ せ る 。 な お 今 回 の 実 験 で は,ロ ボ ッ トの 走 行 及 び 昇 降 台 の 上 下 移 動 は,手 動 に よ り制 御 した 。 次 に 画 像 入 力 を 行 うた め マニ ピ ュ レー タ を 動 か す が,カ メ ラ の 視 野 が 狭 い の で 前 述 の よ う に,9通 りの 位 置 で 画 像 入 力 を 行 う よ う に した 。 記 号Cpは そ の と き の 位 置 を 表 し た も の で あ り,最 初 は1を 入 力 し て お く。CP=1∼ 9ま で の 姿 勢 は プ ロ グ ラ ム 内 に テ ー ブ ル(表)と し て 記 憶 さ せ て お き,ま ずCp=1の と き の 姿 勢 図7 マ ニ ピ ュ レ ー タ の 概 略 図 Fig.7 Sketch of manipulator
図8 流 れ 図 Fig.8 Flow chart
40 農 業 機 械 学 会 誌 第52巻 第2号(1990) を と り,最 初 の 画 像 入 力 処 理 を 行 う。次 に こ の カ メ ラ 座 標 系 の 位 置 デ ー タ を マ ニ ピ ュ レ ー タ 座 標 系 に 座 標 変 換 し,そ の 姿 勢 が マ ニ ピ ュ レ ー タ の 作 業 領 域 内 で あ れ ば,マ ニ ピ ュ レ ー タ を 動 か し て,腕 を 果 実 に 近 づ け ハ ン ドを 操 作 し て 果 実 を 切 り離 し, 腕 を 縮 め て 下 に 向 け,収 穫 カ ゴ に 入 れ る。(C)に 戻 っ て 次 の 果 実 を と る た め の 動 き と な る が,果 実 が な く な っ た 場 合 に は 位 置xPの メ モ リ番 地 に9999 H(16進)が 入 力 され て い る。こ の デ ー タ を 検 出 し た らCpに1を 加 え て(B)に 戻 り次 の 画 像 入 力 の 姿 勢 に マ ニ ピ ュ レ ー タ を 移 動 させ る。Cp=9で の 収 穫 が 終 わ れ ば(A)に 戻 っ て マ ニ ピ ュ レ ー タ を 移 動 時 の 姿 勢 に 戻 し て ロ ボ ッ ト走 行 ま た は 昇 降 台 の 上 下 移 動 と な る が,実 験 で は,こ こ で マ ニ ピ ュ レ ー タ の 動 き を 停 止 さ せ た。 Ⅳ 実 験 結 果 と 考 察 1.果 実 位 置 検 出 精 度 カ メ ラ か ら果 実 ま で の 光 軸 方 向 の 距 離 の 検 出 結 果 を 図9に 示 す。野 外 で は 果 実 の 実 際 の 位 置 を 正 確 に 測 定 し に く い た め, カ メ ラ に よ る 距 離 検 出 の 正 確 さ を 調 べ に くい。こ の た め,こ の 実 験 は 室 内 で 行 い,ね じ に よ り移 動 す る 台 に 果 実 を 固 定 し,カ メ ラ と 果 実 の 相 対 位 置 を 変 え て 検 出 精 度 を 調 べ た。用 い た 果 実 は ナ ツ ミ カ ン で あ る。実 験 の 結 果,マ ニ ピ ュ レ ー タ の 作 動 距 離(カ メ ラ か ら ハ ン ドの 先 端 ま で の 最 大 距 離 は 約1.8m)の 範 囲 内 で は,ほ ぼ 満 足 で き る 検 出 結 果 で あ っ た。 野 外 で は 風 の 影 響 で 果 実 が 揺 れ る こ と が あ り, 左 右 の 画 像 入 力 時 で 果 実 位 置 が 変 化 す る と,ス テ レ オ 画 像 法 で は 位 置 検 出 精 度 が 低 下 す る と考 え ら れ る。風 に よ る 揺 れ の 問 題 は,カ メ ラ を2台 用 い て 同 時 に 画 像 入 力 す る こ と に よ り改 善 さ れ る が, 1台 の カ メ ラ の 場 合 で も,あ る 程 度 検 出 誤 差 が あ っ て も収 穫 で き る よ うな ハ ン ドや,マ ニ ピ ュ レ ー タ の 運 動 軌 跡 を 制 御 す る こ と に よ り収 穫 は 可 能 と 考 え ら れ る。こ の 誤 差 は,カ メ ラ か ら果 実 を 望 む 方 向 に 生 ず る の で,今 回 の 収 穫 実 験 で は,ハ ン ド を 手 前 か ら や や 遠 く ま で 移 動 さ せ て か ら 把 握 動 作 を さ せ る と,収 穫 す る こ と が で き た。な お,2個 の 果 実 が 重 な っ て 見 え た 場 合,ソ フ ト ウ エ ア に よ り判 断 し,そ れ ぞ れ の 果 実 位 置 を 求 め る プ ロ グ ラ ム を 作 成 し た が,ナ ツ ミ カ ン は 独 立 し て な っ て い る こ と が 多 い の で,今 回 の 実 験 で は 使 用 し な か っ た。 2.果 実 収 穫 作 業 ナ ツ ミ カ ン を 把 握 し て,ハ サ ミを 前 に 押 し 出 し結 果 枝 を 切 断 す る 状 態 を 図10 に 示 す。腕 の 上 下 旋 回 角 は 上 向 き20°,結 果 枝 は 垂 直 軸 に 対 し て 約12° で ほ ぼ 直 線 的 に 枝 よ り延 び て い る。そ の た め 切 断 しや す く,ハ サ ミの 根 元 で 切 断 で き,切 断 後 の 長 さ は31mmで あ っ た。 果 実 とハ ン ドの 相 対 位 置 関 係 を 図11に 示 す。果 実 は 平 均 的 な ナ ツ ミ カ ン の 大 き さ と し,直 径85 mm ,高 さ72mmで 図 示 し て い る。腕 の 上 下 旋 回 角 度 を θmと す る と,一 点 鎖 線 で 示 し た 果 実 の 中 心 を 通 る 直 線 とx軸 の な す 角 も θmと な る。シ リ ン ダ の 支 点 か ら ハ サ ミ先 端 に い た る 線 と,上 の 一 点 鎖 線 との な す 角 は 実 験 中10° で あ っ た た め 幾 何 学 的 図9 果 実 ま で の 距 離 の 検 出 結 果 Fig.9 Measuring result of distance to fruit
図10 ハ ン ド に よ り ミ カ ン を 把 握 Fig.10 Hand holding an Orange
関 係 よ り,ハ サ ミ先 端 と果 実 中 心 を 結 ぶ 線 の 長 さ は89mm,そ の 線 とx軸 と の な す 角 は49°+θmと な る 。 結 果 枝 とzと の な す 角 を δ1と す る と δ1と θmと の 関 係 は 次 の よ う に 表 せ る。
これ を 図示 す る と図12の よ うに な り,こ の 曲線
の 内側 で は結 果 枝 を切 断 で き る こ と に な る。し か
し,腕 を上 か ら下 に急 傾 斜 で近 づ け て行 くほ ど果
実 を遮 る枝 葉 が多 くな り,把 握 が 難 し くな る。ま
た 下 か ら上 に近 づ く場 合 に は,δ1が 問 題 とな る。
よっ て,腕 の上 下 旋 回角 度 範 囲 は-20° か ら20°程
度 とす る こ とが 好 ま し い こ とがわ か っ た。
収 穫 実 験 は,油 圧 ポ ン プの 回転 数 を1500rpmに
して 行 った。収 穫 に要 した 時 間 は テ レ ビカ メ ラの
左 右 方 向移 動 な どに約8秒,腕
が 動 い て 結 果 枝 を
切 断 す る の に約7秒,果
実 を 運 ん で 収穫 カ ゴに 入
れ る の に約7秒
で あ った 。 この 結 果,1組
の ス テ
レオ画 像 に1個 の み の果 実 が 写 った 場 合 の収 穫 所
要 時間 は約22秒 で あ った 。 複 数 の果 実 が 写 った 場
合 は,2つ
め の果 実 か らは 画像 関 係 の 時 間 だ け 短
縮 で きる。 試 作 機 で あ る た め に 作 業 速 度 に 関 して
は あ ま り考 慮 しな か った が,画 像 関 係 で は,画 像
処 理 時 間 は比 較 的短 い の で,カ
メ ラ を2台 使 用 す
る こ とに よ って 高 速 化 で き る。 また 今 回 の実 験 で
は,カ
メ ラが 往 復 す るの を 待 って か らマ ニ ピ ュ レ
ー タを 動 か した が
,マ ニ ピ ュ レー タ で収 穫 作 業 を
しな が ら カ メ ラを 次 の 画 像 入 力 位 置 へ 移 動 させ て
お くと,片 道 分 の 移動 時 間 が 節 約 で き る。 マ ニ ピ
ュ レ ー タの 作 業 速 度 も上 昇 させ られ るた め収 穫 所
要 時間 は か な り短 縮 で き る もの と思 わ れ る。 なお
マ ニ ピ ュ レ ー タの 速 度 を 大 き くす る場 合,安 全 性
に つ い て は,よ
り以上 に 検 討 す る必 要 が あ る と考
}ら れ る
。
ハ ン ドの 問題 点 と して ,取 ろ うとす る果実 の前
に枝 や葉 が あ る場 合,ゴ
ム の指 が 枝 ・葉 を押 す こ
とに よ って 変 形 し,そ の た め うま く果 実 を把 握 で
きな い こ とや,指 の 長 さが 果 実 の大 きさ に比 べ て
不 十 分 で あ った た め,把 握 後 ハ サ ミで結 果 枝 を強
く押 した場 合,把 握 され た 果 実 の 位 置 がず れ,把
握 が 不安 定 に な る こ とが あ った 。 また,樹 冠 の奥
の果 実や 茎 葉 に 隠 れ た果 実 は,収 穫 が 困 難 で あ っ
た 。 で き るだ け 多 くの 果 実 を 収 穫 す る こ とが 今後
の 課 題 と考 え られ る。
Ⅴ
結
言
果 実 位 置 を検 出す るた め の画 像 入 力 装 置 ・果 実
収 穫 用 ハ ン ド ・ロボ ッ ト制 御 装 置 な らび に画 像 処
理 や 制 御 を行 うソ フ トウエ アの 作成 を 行 い,果 実
収 穫 に適 した 大 きいマニ ピ ュ レ ー タ と作 業 台 車 を
組 み 合わ せ た 自走 式 果 実 収 穫 ロボ ッ トを試 作 し,
ナ ツ ミカ ンを 自動 収 穫 す る研 究 を 行 った 。
1)マ
ニ ピ ュ レ ー タは 油 圧駆 動 と し,3個
の 油
圧 モ ー タの 直 列 回 路 に よ り腕 の左 右 ・上 下 旋 回 と
直 動 を 行 った 。 腕 の 旋 回 速 度 は 毎 秒 約20°,直 動
速 度 は 毎 秒 約33cmで あ った 。
図11 果 実 と ハ ン ド の 相 対 位 置 Fig.11 Relative location of fruit to hand図12 θmと δ1 Fig.12 θmandδ1
42 農 業 機 械 学 会 誌 第52巻 第2号(1990) 2)果 実 に 損 傷 を 与 え ず に 収 穫 作 業 を 行 うた め に,ゴ ム 製 の3本 指 を 持 つ ハ ン ドを 使 用 した 。 果 実 把 握 後 の 結 果 枝 の 切 断 に は 空 気 圧 駆 動 の ハ サ ミ を 用 い た 。 固 い 結 果 枝 で も 切 断 で き る よ うに200 N以 上 の 切 断 力 を 得 ら れ る よ う に し た 。 3)腕 の 上 下 旋 回 角 度 の 範 囲 は ハ ン ドの 構 造, 果 樹 の 枝 葉 の つ き 方 や,結 果 枝 の 角 度 な ど か ら考 }て-20° ∼20° の 範 囲 が よ い と 思 わ れ た 。 4)1個 の 果 実 の 収 穫 に 要 した 時 間 は 約22秒 で,遅 か っ た が,こ れ は 画 像 入 力 に 要 す る カ メ ラ の 移 動 時 間 を 少 な くす る こ とや,マ ニ ピ ュ レ ー タ の 作 業 速 度 を 上 昇 さ せ る こ と に よ り,か な り短 縮 で き る も の と思 わ れ る 。 参 考 文 献 1)川 村,並 河,藤 浦,浦:農 業用 ロボ ッ トの研究(1),農 機誌46(3),353-358,1984 2)川 村,並 河,藤 浦,浦:農 業用 ロボ ットの研究(2),農 機 誌47(2),177-182,1985 3)川 村,藤 浦,浦,近 藤:果 実 収 穫 用 ロ ボ ッ ト,農 機 誌47 (2),237-241,,.1985 4)田 中,小 川,榊 原,永 田:果 実 収 穫 を 目 的 と し た 簡 易 ロ ボ ッ トシ ス テ ム,四 国 工 業 技 術 試 験 所 研 究 報 告19(1), 1-8,1987 5)近 藤,.川 村:マ ニ ピ ュ レ ー タ 装 着 用 カ メ ラ に よ る 果 実 の 位 置 検 出,農 機 誌47(1),60-65,1985 略)谷 脇,吉 田,佐 藤,宮 沢:視 覚 装 置 を 持 つ エ ン ドエ フ ェ ク タ の 試 作,農 機 学 会 第45回 講 演 要 旨,p.195,1986 7)林,上 田,鈴 木:農 用 ロ ボ ッ ト の 開発,第6回 ロ ボ ッ ト 学 会 学 術 講 演 会 予 稿 集,579-580,1988..㌦ . 8)Tuttle,E..G.:Image Controlled Robotics inA
gri-cultural Environments,Proc.First Intern.Conf. Robotics and Intelligent Machines in Agric.,84 -95 ,ASAE,1983
9)d'Esnon,A.G,:Roboric Harvesting ofA pples, ibid.8),112-113,1983
10)Slaughter,D.G.,Harell,ER,C.:Color Vision in Robotic Fruit Harvesting,firans.ASAE30(4),1144
-1148 ,1987 (原 稿 受 理 平 成 元 年4月7日 ・質 問 期 限 平 成2年5月31 日) コ メ ン ト [閲 読 者 の コ メ ン ト] ス タ ン フ ォ ー ドマ ニ ピ ュ レ ー タ(Robot Man-ipulators,R.P.Paul著,Mit Pressよ り)な ど の 本 論 文 中 の ロボ ッ トに 類 似 の ロ ボ ッ トに 関 し て は,機 構,運 動,動 力 学 的 な 解 析 が な さ れ て お り,ロ ボ ッ ト設 計 の 上 で 用 い られ る こ と が 多 い の で は な い か と 思 わ れ る が,実 際 の 農 用 目 ポ ッ ト開 発 の 上 で こ う し た 理 論 が ど れ く ら い 役 に 立 つ も の か 教 え て 下 さ い 。 [コ メ ン トに 対 す る 著 者 の 見 解] 本 報 で 述 べ た 果 樹 園 用 収 穫 ロ ボ ッ トは,野 外 で の 使 用 の た め ロ ボ ッ トの 駆 動 を 油 圧 で 行 い,消 費 動 力 の 低 減 と簡 略 化 の た め オ ン オ フ 制 御 と し ま し た 。 した が っ て サ ー ボ モ ー タ や サ ー ボ 弁 を 用 い た β ポ ッ トの 制 御 ア ル ゴ リズ ム は 使 え ま せ ん が,目 標 位 置 か ら の 各 関 節 の 目 標 値 の 計 算 法 は,類 似 し て い る と 思 い ま す 。