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東京圏における今後の都市鉄道のあり方について

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(1)

東京圏における今後の都市鉄道のあり方

について

(答申)

平成28年4月20日

(2)

目 次

………

○ まえがき 1

………

Ⅰ.東京圏の現状と将来動向 2

………

1.東京圏の都市鉄道を取り巻く環境について 2

… 2.東京圏の都市鉄道の現状について ~第18号答申のフォローアップを中心に~ 3

………

(1)混雑の緩和 4

………

(2)速達性の向上 5

………

(3)都市構造・機能の再編整備等への対応 5

………

(4)空港、新幹線等へのアクセス機能の強化 5

………

(5)シームレス化 6

………

(6)バリアフリー化 7

……… 3.特に対応の必要性が増大している事柄について 8

………

(1)駅空間の質の向上 8

………

(2)遅延対策 8

………

(3)災害対策 8

………

4.鉄道輸送需要等の将来動向について 9

………

(1)前提となる人口の推計 9

………

(2)鉄道輸送需要等の将来動向について 9

………

Ⅱ.東京圏における今後の都市鉄道のあり方 11

………

1.東京圏の都市鉄道が目指すべき姿 11

………

(1)国際競争力の強化に資する都市鉄道 12

………

(ア)航空・新幹線との連携強化 12

……… (イ)国際競争力強化の拠点となるまちづくりとの連携強化 12

………

(2)豊かな国民生活に資する都市鉄道 13

………

(ア)混雑の緩和 13

………

(イ)速達性の向上 13

………

(ウ)シームレス化 13

……… (3)まちづくりと連携した持続可能な都市鉄道 14

………

(ア)ユニバーサルデザイン化 14

………

(イ)郊外部のまちづくりとの連携強化 15

………

(ウ)エコデザイン化 15

……… (4)駅空間の質的進化 ~次世代ステーションの創造~ 16

……… (ア)「駅まちマネジメント」(駅マネ)の推進 16

………

(イ)更なるバリアフリー化の推進 16

………

(ウ)更なる外国人対応の推進 17

……… (エ)分かりやすく心地よくゆとりある駅空間の形成 17

………

(オ)まちとの一体性の創出 17

………

(5)信頼と安心の都市鉄道 18

………

(3)

………

(イ)鉄道事業者における取組の促進 19

………

(ウ)鉄道利用者との協働 19

………

(エ)鉄道利用者への情報提供の拡充 19

……… (6)災害対策の強力な推進と取組の「見える化」 20

………

(ア)災害対策の「見える化」 20

……… (イ)ハード・ソフト両面からの強力な災害対策の推進 20

………

2.具体的なプロジェクトについての検討結果 21

……… (1)国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト 23

…… (2)地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト 33

……… (3)駅空間の質的進化に資するプロジェクト等 55

… (ア)広域的な交通ネットワークの拠点となる駅におけるプロジェクト 55 (イ)国際競争力の向上が求められる地域の拠点となる駅における

………

プロジェクト 56

………

(ウ)駅マネの取組が特に期待される駅 57

………

○ むすび 58

………

付図1 東京圏鉄道網図 59

……… 付図2 東京圏鉄道網図(都区部、横浜・川崎) 60

(4)

○ まえがき

東京圏(東京都心部を中心とする概ね半径50kmの範囲をいう。以下同じ。)の都市鉄

、 ( ) ( 「 」

道については 1956年 昭和31年 の都市交通審議会答申第1号 以下 第1号答申 という。)を嚆矢に、直近では2000年(平成12年)の運輸政策審議会答申第18号(以下 「第18号答申」という。)に至るまで過去8度の答申に基づき、整備が進められてきた。

今日 では 、ネ ット ワー クの 稠密 性やサー ビス水 準につい て世界 に誇るべ き水準 になっ てきたところである。

一方 、近 年 では 訪日 外国 人の 増加 や各 国と の都 市間競 争が激 化する中 での国 家戦略 特別 区域 等を 活用 した 都市 の国 際競争力 強化の 必要性の 高まり 、少子高 齢化の 進展や 人口 減少 社会 の到 来、 首都 直下 地震をは じめと した災害 リスク の高まり 等、東 京圏の 都市鉄道を取り巻く環境は大きく変化している。さらに、2020年(平成32年)には、2 020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京オリンピック・パラリ ンピック」という。)の開催が決定している。

この よう な 状況 の中 、よ り質 の高 い東 京圏 の都 市鉄道 ネット ワークを 構築し ていく 観点 から 、空 港ア クセ スの 改善 、列車遅 延への 対応、バ リアフ リー対策 の強化 、まち づく りと の連 携、 防災 対策 の強 化、外国 人の利 用のしや すさの 向上など 国際化 への取 組、駅空間の質の向上、ICTの活用の拡大等を進めることが急務となっている。

(5)

Ⅰ.東京圏の現状と将来動向

1.東京圏の都市鉄道を取り巻く環境について

、 ( )

東京圏の夜間人口はこれまで増加の一途をたどってきており 2000年 平成12年 と2010年(平成22年)を比較すると、3,502万人から3,724万人へと増加したが、国 立社会保障・人口問題研究所の推計(2012年(平成24年))によれば、2015年(平成 27年 )頃にピ ークを迎えて その後減少に転じ、2030年(平成42年)には2010年(平 成22年)比4%減の3,588万人となる見込みである。

東京 圏の高 齢者の割 合につい て、2 000年(平成12年)と2010年(平成22年)を比 較する と、1 4.5%か ら21% へと増 加してお り、国 立社会保 障・人 口問題研究所の推 計(2012年(平成24年))によれば、2030年(平成42年)には29%に達する見込みで ある。

日本は世界との激しい国際競争を勝ち抜いていかなければならず、その牽引役と して東京圏の機能強化を図っていくことが必要である。訪日外国人に着目すると、2 013年(平成25年)に初めて1,000万人を超え、2015年(平成27年)には1,973万人に 達したところである。また、2020年(平成32年)には4,000万人を、2030年(平成42 年)には6,000万人を目指すこととされている。

東 京オ リン ピッ ク・ パラ リン ピッ クは 、国 を挙 げ て成 功を 目指 すべ き世界 的イベ ント であ る とと もに 、東 京圏 の都 市鉄 道の サー ビス水 準の高 さを世界 にアピ ールで きる絶好の機会である。

中 央防 災会 議首 都直 下地 震対 策検 討ワ ーキ ング グ ルー プの 「首 都直 下地震 の被害 想定と対策について(最終報告)」(2013年(平成25年))によれば、首都直下地震が 今後 30 年以内に 発生す る確率は 70%程 度と予 測されて おり、 地球規模 の気候 変動に 伴う大規模水災害等のリスクも高まりつつある。

な お、 この よう な状 況に 対応 する に当 たっ て、 我 が国 の厳 しい 財政 状況を 踏まえ ると 、こ れ から の社 会資 本整 備は 少な い費 用で 最大限 の効果 が発揮さ れるよ う、既 存ス トッ ク の有 効活 用を 図り なが ら、 選択 と集 中を徹 底しつ つ計画的 に推進 するこ とが求められる。

東 京圏 の交通イ ンフラ について は、羽 田空港に おいて 2010年 (平成 22年) に4本 目と なる D 滑走 路や 国際 線旅 客タ ーミ ナル ビル が供用 開始さ れ、国際 定期便 が再就 航して おり、 2014年 (平成 26年) には国際 線旅客 ターミナ ルビル 拡張等が実施され た。成 田空港 では、2 010年 (平成2 2年)に 年間発 着枠の拡 大に関 して地元との合意 がなさ れ、2 015年( 平成2 7年)に はLCC ターミ ナルの供 用が開 始された。首都圏 空港 の容 量 は拡 大し 、旅 客利用 者数が 増大して いる。 また、5 0年以上 にわた って整

( ) 、

(6)

2.東京圏の都市鉄道の現状について ~第18号答申のフォローアップを中心に~ 東京圏の都市鉄道の総延長(複々線を含む。)は、1956年(昭和31年)の第1号答 申時点では1,566kmであったが、直近の答申である2000年(平成12年)の第18号答申 時点では2,488km、そして2015年(平成27年)には、第18号答申において「2015年(平 成27年)までに開業することが適当である路線(A1路線)」として位置づけられた 路線の80%が開業したこと等により、総延長は2,705kmとなった。

また駅数で見ると、1956年(昭和31年)時点では807駅であったが、2000年(平成 12年)時点では1,377駅に、そして2015年(平成27年)には1,510駅となった。

こ のよ うに これ まで 整備 が着 実に 進展 して きた 結 果、 東京 圏の 都市 鉄道は 世界的 にみても稠密なものとなり、相当程度充実してきた。

図1 東京圏の都市鉄道の総延長(複々線を含む。)の推移

東京圏の都市鉄道の流動は2010年(平成22年)時点で2,250万人/日、総交通流動 に占め る割合 は201 0年(平 成22年 )時点で 28%であり 、都市鉄道は東京圏における 基幹的な交通機関として役割を果たしている。

な お、 第1 8号 答申 では 、今後 対応す べき課題 として、(1) 混雑の緩 和、( 2)速 達性 の向 上、(3 ) 都市 構造・ 機能の 再編整備 等への対 応、( 4)空港 、新幹 線等へ のア クセ ス 機能 の強 化、(5) シーム レス化、(6)バ リアフ リー化の 6項目 を挙げ ていた。これらの課題への対応状況は以下のとおりである。

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

1956 1957 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

国鉄(JR)営業キロ 民鉄営業キロ 地下鉄営業キロ 国鉄(JR)複々線キロ 民鉄複々線キロ

10号

15号

(7)

(1)混雑の緩和

新 線 整 備、 複 々線 化、 車両 の長 編成 化等 の混 雑緩 和の 取組 の結 果、 ピ ーク 時に おける主要31区間の平均混雑率は、1998年(平成10年)時点で183%であったもの が、2014年(平成26年)には165%にまで大きく改善した。また、ピーク時におけ る個別路線の最混雑区間の混雑率が180%を超える区間数は、1998年(平成10年) 時点 で23区 間であっ たもの が、20 14年( 平成26 年)には14区間へと大幅に減少し た。

一 方、 第18号 答申及 び交通政 策基本 計画(2 015年 (平成2 7年)閣 議決定 )にお いて定められた、ピーク時における主要31区間の平均混雑率を150%とする目標及 びピーク時における個別路線の最混雑区間の混雑率を180%以下とする目標はいず れも達成するに至っていない。

( ) ( )

ピーク時における混雑区間長について1998年 平成10年 と2010年 平成22年 を比較すると、混雑率200%以上では156kmから44kmへと短縮したものの、混雑率1 80%以上200%未満では103kmから125kmへと増大した。

また、ピーク時の前後の時間帯(ピークサイド)、帰宅時間帯、夜間といった朝 のピーク時と異なる時間帯においても、混雑が生じている。

図2 ピーク時における主要31区間の平均混雑率等の推移 (注)混雑率150%:肩が触れ合う程度で、新聞が楽に読めるような状態。

混雑率180%:体が触れ合うが、新聞は読める状態。

(8)

(2)速達性の向上

新 線 整 備、 複 々線 化、 直通 運転 化、 速達 列車 サー ビス の設 定等 によ り 速達 性の 向 上が 図ら れて きた 。例 えば 、つ くば エク スプ レ ス、 成田 スカ イア クセス 、上野 東 京ラ イン の整 備、 小田 急小 田原 線、 東武 伊勢 崎 線、 西武 池袋 線の 複々線 化、湘 南 新宿 ライ ン、 副都 心線 等の 直通 運転 化等 によ り 、東 京圏 の多 くの 地点間 で速達 性が向上した。

一 方 で 、速 達 列車 の通 過駅 に設 定さ れて いた 駅の 利用 者数 の増 加へ の 対応 や旅 客 が集 中す る速 達列 車と 比較 的混 雑の 少な い各 駅 停車 列車 との 混雑 の平準 化を目 的 とし て、 速達 列車 の停 車駅 が追 加さ れる 場合 が ある 。ま た、 混雑 の緩和 を図る た め、 運行 間隔 を限 界ま で狭 めた 結果 、速 達列 車 の設 定に 支障 が生 じる場 合があ る。これらの要因により、速達性が向上していない路線も存在している。

(3)都市構造・機能の再編整備等への対応

都 心( 大手 町、 丸の 内等)、 副都 心( 新 宿、 渋谷 、池 袋、 臨海 副都 心等)、新拠 点(品川等)、郊外部の拠点(さいたま新都心、幕張新都心、みなとみらい21地区 等 )等 のま ちづ くり と連 携し た新 線整 備や 駅施 設 の改 良等 が行 われ てきた 。一方 で 、駅 周辺 の都 市開 発の 著し い進 展に 伴う 駅利 用 者数 の増 加に 対し て、後 追いで 駅 の容 量拡 大が なさ れる など 、ま ちづ くり との 連 携が 必ず しも 十分 でなか った事 例も存在している。

ま た 、 郊外 部 では 、夜 間人 口の 減少 や生 産年 齢人 口の 減少 又は 少子 化 によ り、 通 勤・ 通学 需要 が減 少し 、駅 前の 商業 地の 衰退 、 鉄道 輸送 サー ビス の低下 など生 活 環境 の質 の低 下が 懸念 され てい る。 実際 に、 郊 外部 の一 部の 路線 におい ては鉄 道需要が減少し、運行本数が減った事例も存在している。

(4)空港、新幹線等へのアクセス機能の強化

羽 田 空 港、 成 田空 港と もに 空港 アク セス の改 善に 向け て様 々な 取組 が 行わ れて きており、輸送力、速達性及び乗換利便性が向上してきた。

例 え ば 羽田 空 港ア クセ スに つい ては 、品 川駅 ~羽 田空 港駅 (現 在の 羽 田空 港国 内線 ターミ ナル駅) 間の所要 時間は 、199 8年(平 成10年 )時点で は最速25分であ った が、京 急蒲田駅 の改良等 により 2012年 (平成 24年) には最速 14分に短縮され た 。2 010年( 平成2 2年)に 開業した 国際線 旅客ター ミナル ビルにつ いても 、品川 駅 ~羽 田空 港国 際線 ター ミナ ル駅 間が 最速 11 分で結 ばれて いる。ま た、浜 松町駅 ~ 羽田 空港第1 ビル駅 間の所要 時間は 1993年 (平成 5年)時 点では 最速18 分であ っ たが 、昭 和島 駅に おけ る追 い越し設 備の整 備及び空 港快速 の設定に より、 2010 年 (平 成2 2年 )に 同区 間の 間に 羽田 空港 国際 線ビル 駅が開 業し、停 車駅が 増えた にも関わらず、同区間は最速17分で結ばれている。

(9)

2 ビル 駅間 の所 要時 間が 最速 52 分で あっ たが 、成田 スカイ アクセス の整備 等によ り、長距離であるにも関わらず2010年(平成22年)には最速36分となった。

こ うし た取組 の結果 、2000 年(平成 12年) の運輸 政策審議 会答申 第19号 で目指 す べき 指標 とし て設 定さ れた 国際 的な 空港 と都 心部 との所要 時間を 30分台 にする ことは達成された。

ま た、 新幹 線駅 への アク セス につい ては、例 えば、 2015年 (平成 27年) の上野 東 京ラ イン の開 業に より 、東 北線 、高 崎線 及び 常 磐線 から 東京 駅及 び品川 駅への 所 要時 間が 短縮 し乗 換回 数が 減少 する など 、ア ク セス 利便 性の 向上 が図ら れてき た。

(5)シームレス化

東 京 圏 の都 市 鉄道 では 、長 年に わた り複 数の 鉄道 事業 者に よる 相互 直 通運 転化 が 行わ れてきた 。196 0年(昭 和35年 )に都 営浅草線 と京成 押上線に おいて 日本で 初 めて の相互直 通運転 が実施さ れ、1 968年( 昭和43 年)に は両路線 に京急 本線も

、 。 ( )

加えて 3事業者による相互直通運転が開始された 近年では2013年 平成25年 に東京メトロ副都心線、東武東上線、西武池袋線、東急東横線及びみなとみらい2 1線の相互直通運転化がなされた。

ま た、 自社 路線 内で も直 通運 転化を 進めてお り、例 えば、2 001年 (平成1 3年) に 湘南 新宿 ライ ンの 開業 によ る東 北線 、横 須賀 線 及び 東海 道線 の直 通運転 化がな さ れ、 2015年 (平成 27年) に上野東 京ライ ンの開業 による 東北線、 常磐線 及び東 海道線の直通運転化もなされてきたところである。

複 数 事 業者 間 の相 互直 通運 転や 同一 事業 者内 のネ ット ワー クを 活用 し た直 通運 転 化の 取組の結 果、1 970年( 昭和4 5年)時 点では、 複数事 業者間の 相互直 通運転 実施区間の延長が155km、同一事業者内の直通運転実施区間の延長を加えると700k mであったが、2015年(平成27年)には複数事業者間の相互直通運転実施区間の延 長は 880km 、同一 事業者内 の直通 運転実施区間を加えると1,831kmとなり、東京圏 の都市鉄道の総延長の75%を占めるまでになった。

( 相 互 )直 通 運転 化に 伴い 、乗 換回 数の 減少 やホ ーム 、コ ンコ ース 等 の混 雑緩 和が図られるなど、鉄道利用者の利便性が向上してきた。

そ の 一 方で ( 相互 )直 通運 転が 高度 化す るゆ えに 、列 車の 行き 先表 示 や列 車種 別 が多 様化 ・複 雑化 して いた り、 乗り 入れ る鉄 道 事業 者ご とに 車内 の路線 図が統 一 され てい ない など 、訪 日外 国人 をは じめ とし た 日頃 東京 圏の 都市 鉄道に 乗り慣 れ てい ない 利用 者に とっ ては 、分 かり にく い運 行 サー ビス とな って いる場 合があ る。

(10)

ま た 、 Su i ca やP AS MO とい った 交通 系I Cカ ード の導 入及 び 共通 利用 化 、都 営地 下鉄 と東 京メ トロ のサ ービ スの 一元 化 、複 数鉄 道事 業者 が乗り 入れる 。 駅における案内サイン等の統一等のサービス面でのシームレス化も進展してきた

加 え て 、移 動 全体 のシ ーム レス 化の 観点 から 、他 モー ドと の乗 換利 便 性も 考慮 した駅前広場の整備や運行ダイヤの設定等の取組も行われてきた。

(6)バリアフリー化

駅のバリアフリー化について、第18号答申では、生活空間倍増戦略プラン(199 9年(平成11年)閣議決定)に基づき、段差が5m以上あり、かつ、1日当たり平 均利用者5,000人以上の駅について、原則として2010年(平成22年)までに所要の 。 エレベーター・エスカレーターを整備することが目標とされていたところである 東 京圏 では、2 014年 度(平成 26年度 )末時 点で対象 駅の所 要のエレ ベータ ー・エ

、 。

スカレーターの整備率が99%となるなど 駅の段差解消が着実に進められてきた 1日当たり平均利用者3,000人以上の駅については、2011年(平成23年)に移動等 円 滑化 の促進に 関する 基本方針 におい て、20 20年度 (平成3 2年度) までに 原則す べ てバ リア フリ ー化 を行 うと いう 目標 が設 定さ れ た。 東京 圏に おい ても、 この目 標 の達 成に向け て取組 が進めら れてお り、20 14年度 (平成2 6年度) 末時点 で1日 当たり平均利用者3,000人以上で段差解消済みの駅は89%となった。

ホ ーム ドア につ いて は、 交通 政 策基 本計 画に おいて 定めら れた、2 020年 度(平 成32年度)までに全国でホームドア設置駅数を800とする目標の達成に向けて、取 組が進められており、2015年(平成27年)9月末時点で、東京圏で322駅(全国で 621駅)に設置された。

鉄 道車 両に つい ては 、移 動等 円 滑化 の促 進に 関する 基本方 針におい て、20 20年 度 (平 成3 2年 度) まで に全国 で総車 両数の約 70%の 車両を バリアフ リー化 すると い う目 標が設定 されて いるが、 2014 年度(平 成26年 度)末 時点で東 京圏の 鉄道事 業者(JRを除く。)では総車両数の78%(全国では総車両数の62%)の車両がバ リアフリー化された。

(11)

3.特に対応の必要性が増大している事柄について

第 18号 答 申ま では 対応 の必 要性 が指 摘さ れて こなか ったも のの、最 近の東 京圏の 都市 鉄道 に おい ては 、都 市機 能に とっ てそ の重 要性が 増大し ている駅 、効率 的な都 市生 活の 基 礎と なっ てい る定 時性 、安 全な 都市 生活の 基盤と なってい る防災 の各分 野において、以下のとおり、特に対応の必要性が増大していると考えられる。

(1)駅空間の質の向上

駅 は 交 通ネ ッ ト ワー ク の ノー ド ( 節) であ り、 他の 鉄道 事業 者の 路 線や 他モ

、 。 、

ードも含めて 円滑な人の移動に資する駅空間であることが必要である また ま ち づ くり に おけ る拠 点的 な役 割を 果た す「 まち の顔 」と して の機 能 も重 要性 が 増 大 して お り、 ゆと りあ る快 適な 空間 の創 出等 につ いて はこ れか ら の大 きな 課題である。

ま た 、 複数 の 鉄 道事 業 者 、地 方 公 共団 体、 バス 等他 モー ドの 交通 事 業者 、道 路 管 理 者、 駅 ビル 管理 者等 、駅 につ いて の関 係者 は多 岐に わた って お り、 関係 者相互の連携が十分に取れているとは言い難い状況である。

(2)遅延対策

混 雑 に よる 乗 降 時間 の 増 大や ラ ッ シュ 時間 帯に おけ る高 頻度 の列 車 運行 等に 伴 い 短 時間 の 遅延 が慢 性的 に発 生し てい る。 加え て、 異常 気象 や機 器 故障 、線 路 立 ち 入り 等 によ る長 時間 にわ たる 遅延 も広 範囲 に発 生し てお り、 発 生回 数も 増 加 し てい る 。ま た、 遅延 発生 時等 にお ける 情報 提供 のあ り方 につ い ても 改善 の 必 要 性が 指 摘さ れて いる 。長 年の 遅延 対策 の取 組に より 高水 準な 安 定輸 送を 実 現 し てい る 鉄道 事業 者も 存在 する が、 鉄道 事業 者に よっ て、 その 取 組や 成果 には、ばらつきが存在している。

東 京 圏 の都 市 鉄 道が 稠 密 な運 行 ダ イヤ を前 提と しつ つも 定時 性を 確 保し てき た と い う点 に つい ては 世界 に誇 るべ きも ので ある が、 近年 そう した 鉄 道輸 送の 信頼性について懸念が生じる事態となっている。

(3)災害対策

東 京 圏 の鉄 道 事 業者 は こ れま で 、 多様 かつ 甚大 な災 害の 頻発 を踏 ま え、 災害 対 策 に つい て 数多 くの 取組 を進 めて きた 。一 方で 、東 日本 大震 災発 生 時に は駅 構 内 に 帰宅 困 難者 の滞 留が 発生 した ほか 、降 積雪 時等 には 駅構 内に 鉄 道利 用者 の 滞 留 が発 生 する 事態 も生 じた とこ ろで ある 。加 えて 、近 い将 来、 高 い確 率で

。 、 、 、

(12)

4.鉄道輸送需要等の将来動向について

概ね 15年後 (203 0年(平 成42年 )頃)を 念頭に 置いた東 京圏の 都市鉄道のあり方 につい て定量 的な検討 を行う ために、 2030 年(平成 42年) の鉄道 輸送需要について 需要 推計 を 行っ た。 なお 、需 要推 計モ デル 等の 詳細に ついて は、テク ニカル レポー トとしてまとめ、後日公表するものとする。

(1)前提となる人口の推計

需 要推 計の 前 提と なる 203 0年 (平 成4 2年 )の夜 間人口 は、国立 社会保 障・人 口問題研究所における推計値(2013年(平成25年))を用いた。

2 03 0年 (平 成4 2年 )の 従業 人口 につ いて は、国 立社会 保障・人 口問題 研究所 の 推 計 が存 在 しな いこ とか ら、 夜間 人口 の推 計値 と過 去の トレ ンド に より 、東 京圏全体の従業人口を推計した。

地 域 別 の従 業 人 口に つ い ては 、 近 年、 都心 部等 への 従業 人口 の集 中 が著 しい 一 方で 、国 土形 成計 画( 20 15年( 平成27 年)閣議 決定) において 東京一 極集中 の 是 正 と均 衡 の取 れた 東京 圏の 形成 を推 進す るこ とと され てい るこ と 等を 踏ま え 、 都 心部 等 への 従業 人口 の集 中度 合い が異 なる 2つ のケ ース を想 定 し、 推計 値 に 幅 を設 定 した 。す なわ ち、 近年 の著 しい 従業 人口 の都 心部 等へ の 集中 傾向 が2030年(平成42年)まで継続するケース(以下「集中継続ケース」という。) と 、近 年の 著し い従 業人 口の 都心部 等への集 中傾向 が2020 年(平 成32年 )まで は 継続 し、 その 後2 03 0年( 平成4 2年)ま で集中傾 向が緩 和される ケース (以下 「集中緩和ケース」という。)の2つのケースを想定し、取りうる値の範囲とし て設定した。

以上によると、2030年(平成42年)時点における夜間人口は、東京圏全体で3, 588万人(2010年(平成22年)時3,724万人)、2030年(平成42年)時点における 従業人口は東京圏全体で1,818万人(2010年(平成22年)時1,919万人)、そのう ち 東京 都区 部の 従業 人口 は集 中継続 ケースで 811万 人、集中 緩和ケ ースで7 85万 人(2010年(平成22年)時783万人)となった。

(2)鉄道輸送需要等の将来動向について

夜 間 人 口、 従 業 人口 等 の 想定 を 基 に、 概ね 既存 の鉄 道ネ ット ワー ク 及び 運行

( ) 、

サービスを前提として2030年 平成42年 時点における需要推計を行った結果

( ( ) )、

(13)

人 ) と なる 見 込み とな った 。ま た、 空港 及び 新幹 線駅 への 鉄道 のア ク セス 需要

、 ( ( ) ) 。

は 1日当たり63万人 2010年 平成22年 時53万人 となる見込みとなった こ の場 合、 20 30 年( 平成 42年) において 、例え ば第18 号答申及 び交通 政策基 本計画において定められた、ピーク時における主要31区間の平均混雑率を150% とする目標の達成も困難であると推計される。

ま た 、 大手 町 駅 、豊 洲 駅 、東 京 駅 、渋 谷駅 、新 横浜 駅等 、駅 利用 者 数が 今後 大幅に増加すると推計される駅も存在する。

(14)

Ⅱ.東京圏における今後の都市鉄道のあり方 1.東京圏の都市鉄道が目指すべき姿

東京圏の都市鉄道が目指すべき姿は以下の(1)~(6)のとおり設定した。 (1)国際競争力の強化に資する都市鉄道

(2)豊かな国民生活に資する都市鉄道

(3)まちづくりと連携した持続可能な都市鉄道

(4)駅空間の質的進化 ~次世代ステーションの創造~ (5)信頼と安心の都市鉄道

(6)災害対策の強力な推進と取組の「見える化」

、 、

近年のアジア主要都市の急速な台頭により 国際的な都市間競争が激化しており 特に 我が 国 の成 長を 牽引 する 東京 圏の 国際 競争 力を強 化する ことが喫 緊の課 題とな って いる 。 交通 は成 長を 牽引 する 経済 活動 等を 支える 基盤で あり、都 市鉄道 におい ても その 機 能強 化を 図る こと が極 めて 重要 であ ること から、 東京圏の 都市鉄 道が目 指すべき姿として、(「 1)国際競争力の強化に資する都市鉄道」を設定した。

ま た、 東京 圏の 都市 鉄道 は既 に世 界ト ップ レベ ル のサ ービ ス水 準に あり、 豊かな 国民 生活 に 寄与 して きた が、国 民生活 をさらに 豊かな ものにす るため、「守り」(=

) 「 」( ) 、 。

維持 のみならず 攻め =向上 として サービス水準の引き上げが必要である このような観点から目指すべき姿として「(2)豊かな国民生活に資する都市鉄道」 を設定した。

加 えて 、今 後急 激な 人口 減少 や高 齢化 等が 見込 ま れて いる が、 その ような 社会情 勢の 変化 に 対応 し、 質の 高い サー ビス を持 続的 に提供 してい くため、 まちづ くりと の連携を図ることが重要である。このような観点から目指すべき姿として「(3)ま ちづくりと連携した持続可能な都市鉄道」を設定した。

駅 につ いて 、交 通ネ ット ワー クの ノー ド( 節) と して の役 割と とも に、ま ちづく りの 拠点 と して も重 要性 が増 大し てい ると ころ であり 、駅空 間の質の 向上を 図る必 要性が増大している。駅空間の質の向上については、上記「(1)国際競争力の強化 に資する都市鉄道」~「(3)まちづくりと連携した持続可能な都市鉄道」のいずれ にも 密接 に 関連 する もの では ある が、 新た に焦 点が当 てられ た特に対 応の必 要性が

、「( ) 」

増大している事柄であり 4 駅空間の質的進化~次世代ステーションの創造~ を目指すべき姿として設定した。

(15)

(1)国際競争力の強化に資する都市鉄道

近 年 の アジ ア 主 要都 市 の 急速 な 台 頭に より 、国 際的 な都 市間 競争 が 激化 して お り 、 特に 我 が国 の成 長を 牽引 する 東京 圏の 国際 競争 力を 強化 する こ とが 喫緊 の 課 題 とな っ てい る。 交通 は成 長を 牽引 する 経済 活動 等を 支え る基 盤 であ り、 都 市 鉄 道に お いて もそ の機 能強 化を 図る こと が極 めて 重要 であ る。 国 際競 争力

、( ) 、( )

の強化に資する都市鉄道を実現するため ア 航空・新幹線との連携強化 イ 国際競争力強化の拠点のまちづくりとの連携強化を推進すべきである。

(ア)航空・新幹線との連携強化

空港 へ の アク セ ス 利便 性 の 向上 に つ いて は 、 都心 か ら のア クセ ス 利便 性を 向 上 す るこ と は 引き 続 き 重要 で あ るが 、そ れに 加え 、日 本全 体を 牽 引す る東 京 圏 の 国際 競 争 力の 向 上 や観 光 立 国の 実現 のた めに は、 ビジ ネス の 観点 や観 光 立 国 の観 点 、 圏域 外 へ の広 域 移 動の 観点 、ま たそ れら の観 点で の アク セス 利 便 性 の向 上 に 資す る 乗 換利 便 性 の観 点等 、よ り幅 広い 観点 で取 り 組む べき である。

、 ( )

新幹線駅へのアクセス利便性の向上についても 国土形成計画 全国計画 に お い て、 全 国 各地 に お ける 対 流 の促 進や リニ ア中 央新 幹線 によ り 三大 都市 圏 を 一 体化 さ せ るス ー パ ー・ メ ガ リー ジョ ンの 形成 を推 進す るこ と とさ れて お り 、 東京 圏 と 他圏 域 と の対 流 の 促進 、ス ーパ ー・ メガ リー ジョ ン の効 果の 増 大 と いっ た 観 点か ら 、 重要 と な って いる 。リ ニア 中央 新幹 線の 始 発駅 とな る 品 川 駅や 各 方 面へ の 新 幹線 の 始 発駅 とな る東 京駅 のほ か、 大宮 駅 、新 横浜 駅 及 び 橋本 駅 へ のア ク セ スに つ い て、 空港 アク セス 同様 、幅 広い 観 点か ら利 便性を向上すべきである。

なお 、 東 京オ リ ン ピッ ク ・ パラ リ ン ピッ ク の 開催 を 見 据え 、空 港 アク セス 関連の駅について、後述する「(4)駅空間の質的進化 ~次世代ステーショ ンの創造~」を踏まえた早急な対応を行うべきである。

(イ)国際競争力強化の拠点となるまちづくりとの連携強化

特定 都 市 再生 緊 急 整備 地 域 等に お け る都 市 機 能の 集 積 の効 果を よ り増 大さ せ る た めに は 、 当該 エ リ アの 都 市 開発 事業 者等 と連 携し 、ま ちづ く りの 進展 を 見 極 めつ つ 、 これ に 遅 滞な く 当 該エ リア への アク セス 利便 性を 向 上さ せる べきである。

(16)

また 、 既 存駅 周 辺 の都 市 開 発に 伴 う 駅の 利 用 者数 の 増 加に 対し て は、 都市 開 発 の 計画 段 階 から 、 鉄 道事 業 者 と都 市開 発事 業者 にお いて 綿密 な 連携 を図 り、適切に対応すべきである。

(2)豊かな国民生活に資する都市鉄道

東京圏の都市鉄道は世界トップレベルのサービス水準にあり、豊かな国民生活

、 、( ) 、

に寄与してきたが 国民生活をさらに豊かなものにするため ア 混雑の緩和 (イ)速達性の向上、(ウ)シームレス化を推進すべきである。

(ア)混雑の緩和

、 。 、

複々線化 車両の長編成化等の混雑緩和の取組を推進すべきである また ソ フ ト 面の 対 策 とし て 、 一億 総 活 躍社 会の 実現 によ り働 き方 が変 容 して いく こ と も 踏ま え つ つ、 オ フ ピー ク 通 勤の 取組 も進 める べき であ る。 そ の際 、事 業 所 に おけ る 始 業時 刻 の 変更 、 フ レッ クス タイ ム制 の導 入等 に加 え 、鉄 道事 業 者 に おい て も 引き 続 き 鉄道 利 用 者に 対す るオ フピ ーク 通勤 への イ ンセ ンテ ィブの付与といった取組を進めるべきである。

これ ら の 取組 を 通 じて 、 引 き続 き 、ピ ーク 時に お ける 主要 31区 間 の平 均混 雑 率を 15 0% にす ると とも に、 ピー ク 時に おける 個別路線 の混雑 率を18 0%以 下 に す るこ と を 目指 す 。 また 、 ピ ーク 時の 混雑 区間 長に つい ても 短 縮を 図る ものとする。

また 、 朝 のピ ー ク 時の み な らず 、 ピ ーク サ イ ド、 帰 宅 時間 帯、 夜 間等 の混 雑 状 況 につ い て も鉄 道 利 用者 に 対 する 「見 える 化」 の検 討を 鉄道 事 業者 にお い て 進 める こ と が重 要 で ある 。 そ のう えで 、輸 送需 要と 輸送 力の 関 係に つい て 、 区 間別 ・ 時 間帯 別 の 詳細 な 分 析を 行い 、需 給バ ラン スを 踏ま え た運 行サ ービスを設定すべきである。

(イ)速達性の向上

速達 性 の 向上 に 当 たっ て は 、複 々 線 化等 の 輸 送力 増 強 等を 図る こ とが 重要

。 、 、 「( )

である 特に 空港や新幹線駅への速達性の向上に当たっては 先述の 1 (ア)航空・新幹線との連携強化」を念頭に取組を推進すべきである。 (ウ)シームレス化

(17)

なお、(相互)直通運転の高度化に伴う運行サービスの複雑化に対応して、 列 車 の 行き 先 表 示の 工 夫 や路 線 図 の共 通化 を行 うな ど、 相互 直通 運 転を 行う 鉄 道 事 業者 間 で 連携 を 図 り、 よ り 一層 きめ 細や かな 鉄道 利用 者へ の 情報 提供 を図るべきである。

また 、 近 接し て い るに も 関 わら ず 乗 換え に 時 間を 要 す るも のや 駅 名が 異な る も の など 分 か りに く い 乗換 駅 の 改善 を図 ると とも に、 線路 別複 々 線区 間に お け る 快速 線 と 緩行 線 相 互の 乗 換 利便 性の 向上 につ いて も検 討を 行 うべ きで ある。

サー ビ ス 面の シ ー ムレ ス 化 に当 た っ ては 、 鉄 道事 業 者 間の サー ビ スの 一元 化 等 に つい て 引 き続 き 取 組を 行 う こと が重 要で ある 。特 に東 京オ リ ンピ ック ・ パ ラ リン ピ ッ クの 開 催 を見 据 え ると 、案 内、 サイ ン等 の分 野で は 早急 に取 組を行うべきである。

さら に 将 来的 に は 、I C T の進 展 を 踏ま え 、 例え ば 改 札内 外で 駅 構内 を仕 切 ら な い駅 ( ラ ッチ フ リ ーの 駅 ) の実 現可 能性 につ いて 検討 する な ど更 なる 利便性の向上に努めるものとする。

また 、 他 モー ド も 含め た 移 動全 体 の シー ム レ ス化 に 向 けて も、 駅 前広 場の 整 備 や 運行 ダ イ ヤの 調 整 等、 引 き 続き 関係 者間 で適 切に 連携 ・協 力 を図 るべ きである。

(3)まちづくりと連携した持続可能な都市鉄道

今後急激な人口減少や高齢化等が見込まれているが、そのような社会情勢にあ っても、質の高いサービスを持続的に提供していくために、まちづくりとの連携 を図ることが重要である。まちづくりと連携した持続可能な都市鉄道を実現する ため、(ア)ユニバーサルデザイン化、(イ)郊外部のまちづくりとの連携強化、 (ウ)エコデザイン化を推進すべきである。

(ア)ユニバーサルデザイン化

「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザイン の 考 え 方 を 踏 ま え な が ら 、 す べ て の 人 が 社 会 活 動 に 参 画 で き る 社 会 を 目 指 す 必 要 が あ り 、 障 害 者 や 高 齢 者 、 妊 産 婦 、 子 ど も 連 れ の 人 、 外 国 人 を 含 め 、 居 住 者 も 来 訪 者 も す べ て の 人 が 安 心 し て 安 全 に 都 市 鉄 道 を 利 用 出 来 る よ う 、 車 両 や 駅 の バ リ ア フ リ ー 化 、 外 国 人 の 利 用 の し や す さ の 向 上 等 に つ い て 他 の 鉄 道事業者やまちづくりとも連携を図りながら、取組を進めるべきである。

また、障害者、高齢者等にどのような配慮が必要なのか等について、当事者 に ニ ー ズ を 聞 き な が ら 的 確 に 対 応 す る こ と が 重 要 で あ る 。 例 え ば 、 タ ッ チ パ ネ ル 式 券 売 機 、 案 内 表 示 ・ 音 声 案 内 、 ハ ン ド ル 型 電 動 車 い す 利 用 者 の 移 動 の 円滑化等については改善に向けて検討を行うべきである。

(18)

備 状 況 に つ い て 積 極 的 に 情 報 提 供 を 行 う こ と が 重 要 で あ る 。 例 え ば 交 通 エ コ ロ ジ ー ・ モ ビ リ テ ィ 財 団 に よ る 「 ら く ら く お で か け ネ ッ ト 」 の 更 な る 活 用 等 について検討を行うことが重要である。

また、「心のバリアフリー」(障害者、高齢者等に対する理解及び協力)を含 めたソフト面の取組を進めるべきである。

外国人の利用のしやすさの向上については、無料公衆無線LANの整備、異 常 運 行 時 に お け る 情 報 提 供 の 多 言 語 化 、 企 画 乗 車 券 の 開 発 及 び 周 知 徹 底 等 の 取組を行うべきである。

なお、駅のユニバーサルデザイン 化に係る取組については、後述の「(4) 駅空間の質的進化 ~次世代ステーションの創造~」の「(イ)更なるバリア フリー化の推進」及び「(ウ)更なる外国人対応の推進」を踏まえた取組を推 進すべきである。

(イ)郊外部のまちづくりとの連携強化

郊外部 において 、少子 高齢化や 住宅等 の老朽化 、コミ ュニティ の希薄化等

、 、 、

について 鉄道事業者は問題意識と危機感を持って 地方公共団体と協働し 郊外住宅地の持続と再生に向けた取組を行ってきたところであり、引き続き 取組を推進すべきである。そして、改めて鉄道の沿線に都市機能を計画的に 誘導・集積しながらまちづくりを進め、鉄道も沿線のまちづくりと連携を図 る「鉄道沿線まちづくり」を推進することも併せて重要であり、鉄道沿線の

、 、 。

地方公共団体 鉄道事業者 住民等の関係者間の連携強化を図るべきである (ウ)エコデザイン化

地球温 暖化によ り、極 端な降水 現象の 増加や海 面水位 の上昇等 、地球環境 全体への影響が進行している状況において、我が国の運輸部門の二酸化炭素 排出量は、全体のおよそ2割を占めており、その削減は低炭素社会の実現に 資するものである。また、我が国のエネルギー需給の脆弱性に鑑み、一層の 省エネ化を進めることも重要である。

(19)

(4)駅空間の質的進化 ~次世代ステーションの創造~

東 京 圏 の都 市 鉄 道は 、 ネ ット ワ ー クの 稠密 性や サー ビス 水準 につ い て世 界的 に み て も相 当 程度 充実 して きて いる とこ ろで ある 。一 方で 、駅 につ い ては 、交 通 ネ ッ トワ ー クの ノー ド( 節) とし ての 役割 に加 えて 、ま ちづ くり の 拠点 とし て も 重 要性 が 増大 して いる が、 先述 のと おり 駅に 係る 関係 者間 の連 携 が取 れて い な い など 、 改善 の余 地は 大き い。 今後 駅に つい ては 、様 々な 主体 が 参画 し、 ま ち と の一 体 感が あり 、全 ての 利用 者に やさ しく 、分 かり やす く、 心 地よ く、 ゆとりのある「次世代ステーション」の創造を図ることが重要である。

(ア)「駅まちマネジメント」(駅マネ)の推進

個別 駅 ご とに 、 地 方公 共 団 体等 の 主 導に よ り 、関 係 鉄 道事 業者 や 必要 に応 じ て 駅 周辺 の 施 設管 理 者 が一 堂 に 会し て駅 に係 る課 題を 共有 し調 整 を図 る場 (「駅 まち 会 議」)を 設置 し、 PD CA サイ クル を実 施し なが ら課 題 の解 決を 図 る こ とが 重 要 であ る 。 また 、 課 題の 共有 やP DC Aサ イク ルの 実 施に 当た っ て は 、各 駅 の 様々 な 取 組の 進 捗 状況 を「 見え る化 」す るた め、 指 標を 導入 すべきである(「駅のカルテづくり」)。

また 、 鉄 道利 用 者 等に よ る 介助 、 案 内等 の 接 遇の 補 完 や、 非常 用 停止 ボタ ン の 適 切な 使 用 、避 難 誘 導に お け る協 力等 の安 全性 向上 の機 運を 醸 成す るた め、鉄道利用者等への啓発活動を行うことが重要である。

なお 、 駅 マネ の 取 組の 実 効 性を 確 保 する た め 、国 、 地 方公 共団 体 等は 、駅 の 流 動 、滞 留 状 況等 の 現 状把 握 調 査や 課題 解決 の取 組に 対す る支 援 を行 うと と も に 、駅 周 辺 開発 に 伴 う広 場 整 備、 駅コ ンコ ース 空間 拡張 等の 公 共貢 献を 容 積 率 等の 設 定 にお い て 積極 的 に 評価 する など の措 置を 講ず るこ と が重 要で あ る 。 また 、 必 要に 応 じ て駅 マ ネ の取 組が 容易 とな るよ うな 枠組 み づく りに ついても検討を行うものとする。

(イ)更なるバリアフリー化の推進

駅の バ リ アフ リ ー 化に つ い ては 、 移 動等 円 滑 化の 促 進 に関 する 基 本方 針で 定められた、1日当たり平均利用者3,000人以上の駅について2020年度(平成

) 、

32年度 までに原則すべてバリアフリー化を行うという目標の達成に向けて 着実に取組を推進すべきである。

ホー ムド アに つい ては 、交 通政 策基 本計 画で 定め ら れた 202 0年 度(平 成32 年度)までに全国でホームドア設置駅数を800とする目標の達成に向けて、着 実に取組を推進すべきである。

また、「 心の バ リ アフ リ ー」( 障 害者 、高 齢者 等に 対す る理 解及 び 協力 )を 含めたソフト面の取組を進めるべきである。

(20)

ピ ッ ク ・パ ラ リ ンピ ッ ク 競技 大 会 に向 けた アク セシ ビリ ティ 協議 会 」で 策定 予 定 の 「ア ク セ シビ リ テ ィ・ ガ イ ドラ イン 」を 踏ま えた 施設 整備 を 実施 する ものとする。

(ウ)更なる外国人対応の推進

無料 公 衆 無線 L A Nの 整 備 、必 要 と され る 情 報の 量 と 質や 状況 に 応じ た標 識 等 の 多言 語 化 、案 内 表 示の 連 続 性や 統一 性の 確保 、駅 ナン バリ ン グの 整備 ・ 周 知 徹底 、 駅 にお け る 宅配 カ ウ ンタ ー、 荷物 の一 時預 かり 所の 設 置等 につ いて、取組を進めるべきである。

(エ)分かりやすく心地よくゆとりある駅空間の形成

ベン チ 等 を備 え た 滞留 空 間 の創 出 、 店舗 等 の 機能 の 再 配置 、コ ン コー ス拡

、 「 」 、

張等による駅空間の快適性の向上を図るとともに 駅を まちの顔 と捉え まちのシンボルとしてデザイン性の向上を図るべきである。

(オ)まちとの一体性の創出

自由 通 路 等の 整 備 によ る 近 隣駅 と の 乗換 え の シー ム レ ス化 や駅 周 辺の 回遊 性の向上を図るべきである。

特に、東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、(ア)~(ウ)の 取組を早急に実施すべきである。また、「次世代ステーション」の創造に当たっ て は 、 駅の 属 性に 応じ て主 とし て以 下の とお り取 組を 行う こと が重 要 であ る。 ○ 広域輸送拠点駅

・ 空港駅(空港の最寄り駅)

空 港 ア ク セス 路 線 の運 行 情 報等 に つ い て、 鉄 道 事業 者 ご とで は な く、 複 数鉄 道 事 業者 で 統 合し て 鉄 道利 用 者 に提 供 す ると と も に、 外国 人 対応 の高 度化を図る。

・ 空 港ア ク セス 乗換 駅( 東京 都区 部の 1日 当た り 平均 利用 者3 0万 人以 上の 駅のうち、空港アクセス最速達列車が停車する駅)・新幹線駅(新幹線の乗 換駅)

(21)

○ 都市再生拠点駅(特定都市再生緊急整備地域内にある駅)

まち と の シー ム レ ス化 、 商 業施 設 と 一体 的 な 駅改 良 、 自由 通路 整 備等 によ る回遊性の向上やゆとりと潤いのある駅空間の形成を図る。

( )

○ 都心部周辺拠点駅 東京都区部外の1日当たり平均利用者20万人以上の駅 高齢 者 等 の公 共 交 通機 関 を 利用 し た 外出 が 容 易に な る よう 、複 数 の鉄 道事 業者間や鉄道と他モードとの間の乗換えのシームレス化を図る。

○ 観光拠点駅(例えば「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に掲載(2 つ星又は3つ星)された地域の拠点となる駅等)

観光立国の拠点として、更なる外国人対応の推進を図る。 ○ 生活拠点駅(上記以外の駅)

高齢 者 等 の公 共 交 通機 関 を 利用 し た 外出 が 容 易に な る よう 、鉄 道 と他 モー ド と の 間の 乗 換 えの シ ー ムレ ス 化 を図 ると とも に、 保育 所等 の生 活 支援 機能 の集積や地域住民が集い憩うことができる空間の形成を図る。

(5)信頼と安心の都市鉄道

東 京 圏 の 都 市 鉄 道 に お い て は 短 時 間 の 遅 延 が 慢 性 的 に 発 生 し て い る ほ か 、 長 時 間 の遅 延 も 広範 囲 に 発生 し て おり 、 発 生回 数 も 増加 し て いる こと か ら、 対策 を 行 うこ と が 重要 で あ る。 平 時 はも と よ り異 常 気 象時 や 輸 送ト ラブ ル 発生 時に お い ても 、 鉄 道利 用 者 から の 信 頼が 厚 く いつ で も 安心 し て 利用 でき る 「信 頼と 安 心 の都 市 鉄 道」 を 実 現す べ き であ る 。 安全 運 行 が最 優 先 であ ると い う大 前提 を徹底しつつ、信頼性の向上を図るため、以下の取組を行うべきである。

(ア)遅延の「見える化」

、 、

遅延対策について 鉄道事業者に対して更なる改善の取組を求めるとともに 鉄道利用者に対しても理解と協力を求めていくためには、まず遅延に関する適 切な指標を設定し、遅延の現状と改善の状況を分かりやすく「見える化」する ことが特に重要である。

(22)

(イ)鉄道事業者における取組の促進

( 「 」 。) 、

日常的に短時間で発生する遅延 以下 日々の小規模な遅延 という は 混雑に起因するものが多く、遅延の発生源となる障害の解消のため、駅ホーム の増設・拡幅、信号設備・運行管理システムの改良等のハード面の対策や、乗 降・乗換えを円滑化するための駅係員による案内等ソフト面の対策が有効であ り、運行実績データ等の分析を踏まえ取組を促進すべきである。

比 較 的長 時 間で 発生 する 遅延 (以 下「 大規 模な 遅延 」と い う。) は 、異 常気 象や機器故障、線路立ち入り等が原因であり、発生した場合には迅速な運転再 開を目指すとともに、その影響を最小限にとどめ、早期に回復することが重要 である。そのため、折り返し設備の導入など線路設備の改良等のハード面の対 策 や、 遅 延発 生時 の迅 速か つ的 確な 折り 返し 運転 の実 施、(相 互) 直通 運転の 中止等の運転整理等ソフト面の対策を実施すべきである。

(ウ)鉄道利用者との協働

遅延のうち日々の小規模な遅延については、混雑やドア挟み、線路への落と し物等に起因するものであり、これらは鉄道利用者の行動によって改善できる 余地は大きく、鉄道利用者との協働が重要である。そのためには、例えば「小 さな気づかい」といったキャッチフレーズを用い、他の鉄道利用者に配慮した 所作により、遅延が抑制できるという認識を広め、鉄道利用者の主体的な行動

。 、 、

を促すことが重要である その実現に当たっては 国と鉄道事業者の協力の下 キャンペーンを実施すること等が考えられる。

(エ)鉄道利用者への情報提供の拡充

降積雪や台風などにより、運行本数を大幅に減らす場合には、旅客需要に供 給が追いつかなくなり、大規模な遅延が発生する可能性が高いことから、鉄道 利用者の行動判断に資するような情報を事前に提供することにより、需要をマ ネジメントすることが重要である。また、企業、学校等の始業の繰り下げに資 するような情報の提供も重要である。

そのためには、鉄道利用者への情報提供について、降積雪時など想定される 事態に応じ、最低限提供すべき内容とその表現方法に関する共通のルールを確 立すべきである。その際には東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据 え、外国人に対する情報提供方法についても、併せて検討すべきである。

(23)

(6)災害対策の強力な推進と取組の「見える化」

東 京 圏 の鉄 道 事 業者 は こ れま で 、 多様 かつ 甚大 な災 害の 頻発 を踏 ま え、 災害 対 策 に つい て 数多 くの 取組 を進 めて きた とこ ろで ある 。一 方で 、東 日 本大 震災 発 生 時 には 駅 構内 に帰 宅困 難者 の滞 留が 発生 した ほか 、豪 雨、 豪雪 時 には 駅構 内 に 鉄 道利 用 者の 滞留 が発 生す る事 態も 生じ たと ころ であ る。 加え て 、近 い将 来 、 高 い確 率 で首 都直 下地 震の 発生 も予 測さ れて いる 。特 に、 東京 圏 には 、我 が 国 の 政治 、 行政 及び 経済 の中 枢機 能が 集積 して おり 、こ れら の中 枢 機能 を支

。 、

える基盤として災害に強靱な都市鉄道が必要である このような状況を踏まえ 以下の取組を行うべきである。

(ア)災害対策の「見える化」

我が 国 は 災害 の 多 い国 で あ るが 、 こ れま で 鉄 道事 業 者 は災 害対 策 に懸 命に 取 り 組 んで き た とこ ろ で ある 。 今 後は 、鉄 道利 用者 の安 心感 の醸 成 や災 害発 生時の適切な行動や協力等を促すため、例えば「災害対策レポート」(鉄道事 業 者 が 毎年 発 行 する 安 全 報告 書 の 災害 編) の発 行等 によ る災 害対 策 の「 見え る化」を推進すべきである。

(イ)ハード・ソフト両面からの強力な災害対策の推進

災害 対 策 に当 た っ ては 、 ハ ード 面 の 対策 が 重 要で あ る こと はも と より 、特 に 東 京 圏に お い ては 、 鉄 道利 用 者 数が 多く 災害 時に おい て駅 構内 の 鉄道 利用 者の滞留等の発生も予測されることから、ソフト面の対策も重要である。

ハ ー ド面 の 対 策と し て は、 地 震 動に よる 高架 橋等 の破 壊モ ード と して 、構 造 物 が 倒壊 に 至 るせ ん 断 破壊 先 行 型と 構造 物が 倒壊 しな いも のの 大 きく 変形 す る 曲 げ破 壊 先 行型 が あ るが 、 そ のう ちせ ん断 破壊 先行 型を 優先 し て補 強を 実 施 し てき た と ころ で あ る。 今 後 はそ れを 継続 して 一刻 も早 く進 め ると とも に 、 さ らに 次 の ステ ー ジ とし て 、 曲げ 破壊 先行 型の うち 耐震 性の 低 い高 架橋 柱 等 に つい て 更 なる 耐 震 性能 の 向 上の 取組 を推 進す べき であ る。 ま た、 地下 鉄 や こ れに 接 続 する 地 下 街、 ビ ル の管 理者 等と の連 携の もと 浸水 対 策を 推進 すべきである。

(24)

2.具体的なプロジェクトについての検討結果

東 京圏 にお ける 今後 の都 市鉄 道の あり 方に つい て 、目 指す べき 姿は 先述し たとお りで ある が 、こ れを 具現 化す るの は地 方公 共団 体や鉄 道事業 者、都市 開発事 業者等 によ る具 体 的な 取組 にほ かな らな い。 また 、過 去8度 の答申 では具体 的な事 業を挙 げて その 実 現を 促し てき た経 緯も 踏ま え、 本答 申でも 関係都 県・政令 指定都 市及び 鉄道 事業 者 並び に委 員か ら提 案の あっ たプ ロジ ェクト につい て、目指 すべき 姿を実 現す る上 で 意義 のあ るプ ロジ ェク トで ある か否 か等に ついて 検討を行 った。 なお、 ここ でい う プロ ジェ クト とは 鉄道 ネッ トワ ーク のプロ ジェク ト(路線 の新設 及び既 設路線の改良をいう。以下同じ。)並びに駅のプロジェクトを指す。

鉄 道ネ ット ワー クの プロ ジェ クト の検 討に 際し て は、 東京 圏の 都市 鉄道が 目指す べき 姿と して示 した「(1)国 際競争力 の強化 に資する 都市鉄道」、 (「 2)豊 かな国 」、「( ) 」、「( ) 民生活に資する都市鉄道 3 まちづくりと連携した持続可能な都市鉄道 5 信頼 と安 心 の都 市鉄 道」 及び「(6) 災害対策 の強力な 推進と 取組の「 見える 化」」 に各 プロ ジ ェク トが どの 程度 資す るも ので ある かにつ いて、 需要推計 等によ り可能 な限 り定 量 的に 分析 を行 った。 なお、 (「 4) 駅空間の 質的進 化 ~次 世代ス テーシ ョン の創 造 ~」 につ いて は、 東京 圏の 都市 鉄道 におい て新た に焦点が 当てら れた事 柄で あり 、 特に 対応 の必 要性 が増 大し てい るこ とから 、駅の プロジェ クトに ついて は、 鉄道 ネ ット ワー クの プロ ジェ クト と分 けて 検討結 果を示 す。また 、輸送 需要見 通し 、費 用 便益 比等 によ る社 会的 経済 効果 分析 、財務 分析等 を可能な 限り行 い、事 業化 に向 け た関 係者 の検 討の 熟度 等を 踏ま え、 鉄道ネ ットワ ークのプ ロジェ クトに つい ては そ の意 義と 事業 化に 向け た主 な課 題を 整理し 、駅の プロジェ クトに ついて はそ の意 義 と想 定さ れる 効果 を整 理し た。 また 、駅マ ネの取 組が特に 期待さ れる駅 の類型についても併せて整理を行った。

、 、 、

今後 以下に挙げたプロジェクトを含め 各プロジェクトを進めるに当たっては 地方 公共 団 体、 鉄道 事業 者等 にお いて 、課 題の 解決に 向けた 取組を進 めるこ とを期 待す る。 特 に、 駅の プロ ジェ クト の推 進に 当た っては 、駅マ ネの実施 が求め られる が、 その 際 には 空間 デザ イン 、浸 水対 策、 避難 誘導等 におけ る連携も 併せて 図るこ とを期待する。

な お、 鉄道 事業 者が 良質 なサ ービ スを 安定 的に 提 供し てい くた めに は、健 全な経 営の 確保 が 必要 であ り、 その ため には 鉄道 輸送 に適し た鉄道 需要が安 定的に 存在す るこ とが 必 要で ある 。そ のた め、 プロ ジェ クト の整備 着手に 当たって は、関 係地方 公共 団体 ・ 鉄道 事業 者等 にお いて 、改 めて その 時点で 将来的 な需要の 見通し 、採算 性等 につ い て十 分な 見極 めを 行う 必要 があ る点 に留意 すべき である。 例えば 、沿線 開発 に伴 う 定住 人口 の増 加を 見込 んで 鉄道 整備 を行っ たが、 実際には 沿線の 定住人 口の 増加 が 想定 を下 回っ た結 果、 輸送 実績 も需 要予測 を大き く下回り 、最終 的に事 業再 生手 続 を行 うに 至っ た鉄 道事 業者 も存 在し ている ところ であり、 今後こ のよう な事 態が 生 じな いよ う、 鉄道 整備 に当 たっ ては 沿線開 発の動 向を慎重 に見極 めるこ とが必要である。

(25)

るこ とは 言 うま でも ない 。整 備・ 営業 主体 が確 立して いない プロジェ クトに ついて は、十分な検討を行うことが必要である。

さ らに 、都 市鉄 道の 整備 は、 投資 規模 が大 きく 、 かつ 資本 の懐 妊期 間が長 期にわ

、 、 、

(26)

(1)国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト

空 港ア クセ スの 向上 に資 する プロジェ クト( <1>~ <4>) 及び国際 競争力 強化の 拠点 とな る地域 へのアク セス利 便性の向 上に資 するプロ ジェク ト(<5 >~<8 >)の 検討結果を示す。

な お、 国際 競争 力の 強化 に資 する 鉄道 ネッ トワ ー クの プロ ジェ クト はここ に掲げ るプ ロジ ェ クト に限 られ るも ので はな く、 地方 公共団 体、鉄 道事業者 等にお いて必 要な検討が進められることを期待する。

<1> 都心直結線の新設(押上~新東京~泉岳寺)

・押上駅において京成押上線と相互直通運転を行う。 ・泉岳寺駅において京急本線と相互直通運転を行う。

【意義】

・成田空港及び羽田空港と国際競争力強化の拠点である都心や都区部東部の 観光拠点とのアクセス利便性の向上。

(27)

【課題】

・都 心 部 での 大 深 度地 下 に おけ る ト ンネ ル や 駅等 の 施 工条 件を 考 慮す る必 要 が あ り 、事 業 計 画を 精 査 した 上 で 事 業性 の 見 極め が 行 われ る こ とを 期 待。

(28)

< 2> 羽 田空 港ア クセ ス線 の新 設( 田町 駅付 近・大 井町駅 付近・東 京テレ ポート ~ 東 京 貨物 タ ー ミナ ル 付 近~ 羽 田 空港 )及 び京 葉線 ・り んか い線 相 互直 通運 転化(新木場)

・田町駅付近において東海道線と相互直通運転を行う。

・大 井 町 駅付 近 及 び東 京 テ レポ ー ト 駅に お い てり ん か い線 と相 互 直通 運転 を行う。

・新木場駅において京葉線とりんかい線の相互直通運転を行う。

【意義】

(羽田空港アクセス線の新設)

・羽 田 空 港と 国 際 競争 力 強 化の 拠 点 であ る 都 心や 新 宿 、渋 谷、 池 袋、 臨海 部等副都心とのアクセス利便性の向上。

・J R 東 日本 等 の 既存 ネ ッ トワ ー ク との 直 通 運転 に よ る多 方面 と 羽田 空港 とのアクセス利便性の向上。

・東 京 駅 で東 北 新 幹線 等 と 連携 す る こと 等 に より 、 北 関東 等と 羽 田空 港と の大幅なアクセス利便性の向上。

(29)

(京葉線・りんかい線相互直通運転化)

・国 際 競 争力 強 化 の拠 点 で ある 臨 海 副都 心 と 舞浜 地 区 ・幕 張新 都 心地 区と のアクセス利便性の向上。

・さ ら に 、羽 田 空 港ア ク セ ス線 ( 臨 海部 ル ー ト) と の 連携 によ り 千葉 方面 と羽田空港とのアクセス利便性の向上が可能。

【課題】

(羽田空港アクセス線の新設)

・他 の 空 港ア ク セ ス路 線 と の補 完 関 係を 考 慮 しつ つ 、 事業 化に 向 けて 関係 地 方 公 共 団体 ・ 鉄 道事 業 者 等に お い て 事業 計 画 の検 討 の 深度 化 を 図る べ き。

・羽 田 空 港国 際 線 ター ミ ナ ルへ の 延 伸に つ い ては 、 今 後の 羽田 空 港国 際化 の状況を踏まえ、検討が行われることを期待。

・な お 、 久喜 駅 で の東 武 伊 勢崎 線 と 東北 本 線 の相 互 直 通運 転化 等 の工 夫に よ り 、 さ らに 広 域 から の 空 港ア ク セ ス 利便 性 の 向上 に 資 する 取 組 につ い ても検討が行われることを期待。

(京葉線・りんかい線相互直通運転化)

・関 係 鉄 道事 業 者 等に お い て、 運 賃 収受 方 法 の課 題 等 につ いて 、 解決 に向 けた検討が行われることを期待。

(30)

<3> 新空港線の新設(矢口渡~蒲田~京急蒲田~大鳥居) ・矢口渡駅において東急多摩川線と相互直通運転を行う。 ・大鳥居駅において京急空港線と相互直通運転を行う。

【意義】

・矢 口 渡 から 京 急 蒲田 ま で の先 行 整 備に よ り 、京 浜 東 北線 、東 急 多摩 川線 及 び 東 急 池上 線 の 蒲田 駅 と 京急 蒲 田 駅 間の ミ ッ シン グ リ ンク を 解 消し 、 早期の事業効果の発現が可能。

・東 急 東 横線 、 東 京メ ト ロ 副都 心 線 、東 武 東 上線 、 西 武池 袋線 と の相 互直 通 運 転 を 通じ て 、 国際 競 争 力強 化 の 拠 点で あ る 新宿 、 渋 谷、 池 袋 等や 東 京都北西部・埼玉県南西部と羽田空港とのアクセス利便性が向上。 【課題】

・矢 口 渡 から 京 急 蒲田 ま で の事 業 計 画の 検 討 は進 ん で おり 、事 業 化に 向け て 関 係 地 方公 共 団 体・ 鉄 道 事業 者 等 に おい て 、 費用 負 担 のあ り 方 等に つ いて合意形成を進めるべき。

(31)

<4> 京急空港線羽田空港国内線ターミナル駅引上線の新設 ・京急品川駅において改良(2面4線化)を行う。

【意義】

・羽田空港発着列車の増発等によるアクセス利便性の向上。 【課題】

(32)

<5> 常磐新線の延伸(秋葉原~東京(新東京))

【意義】

・国 際 競 争力 強 化 の拠 点 で ある つ く ば国 際 戦 略総 合 特 区を 含む 常 磐新 線沿 線と都心とのアクセス利便性の向上。

・つ く ば 国際 戦 略 総合 特 区 と新 幹 線 のタ ー ミ ナル で あ る東 京駅 を 直接 結ぶ ことによる研究開発拠点と圏域外との対流促進を期待。

【課題】

・高 度 に 土地 利 用 が進 ん だ 都心 で の 事業 と な るた め 、 関係 地方 公 共団 体・ 鉄 道 事 業 者等 に お いて 、 導 入空 間 に か かる 事 業 費等 を 踏 まえ つ つ 事業 計 画の十分な検討が行われることを期待。

(33)

< 6> 都 心部 ・臨 海地 域地 下鉄 構想 の新 設及 び同構 想と常 磐新線延 伸の一 体整備 (臨海部~銀座~東京)

・東京駅付近において常磐新線と相互直通運転を行う。

【意義】

・国 際 競 争力 強 化 の拠 点 で ある 都 心 と臨 海 副 都心 と の アク セス 利 便性 の向 上。

・山手線等の混雑の緩和。 【課題】

・都 心 部 ・臨 海 地 域地 下 鉄 構想 は 事 業性 に 課 題が あ り 、検 討熟 度 が低 く構 想 段 階 で ある た め 、関 係 地 方公 共 団 体 等に お い て、 事 業 主体 を 含 めた 事 業計画について、十分な検討が行われることを期待。

(34)

<7> 東京8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉)

【意義】

・国 際 競 争力 強 化 の拠 点 で ある 臨 海 副都 心 と 都区 部 東 部の 観光 拠 点や 東京 圏東部・北部地域とのアクセス利便性の向上。

・京葉線及び東西線の混雑の緩和。 【課題】

(35)

<8> 都心部・品川地下鉄構想の新設(白金高輪~品川)

【意義】

・六 本 木 等の 都 心 部と リ ニ ア中 央 新 幹線 の 始 発駅 と な る品 川駅 や 国際 競争 力強化の拠点である同駅周辺地区とのアクセス利便性の向上。

【課題】

(36)

(2)地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト

( )

地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト <9>~<24> の検討結果を示す。

なお、地 域の成 長に応じ た鉄道 ネットワ ークの充 実に資 するプロジェクトはここ に掲げるプロジェクトに限られるものではなく、地方公共団体、鉄道事業者等にお いて必要な検討が進められることを期待する。

< 9> 東 西交 通大 宮ル ート の新 設( 大宮 ~さ いたま 新都心 ~浦和美 園(中 量軌道 システム))

【意義】

・ま ち づ くり が 進 めら れ て いる 大 宮 駅周 辺 地 区と 浦 和 美園 地区 と のア クセ ス利便性の向上を期待。

【課題】

(37)
(38)

<10> 埼玉高速鉄道線の延伸(浦和美園~岩槻~蓮田)

【意義】

・埼玉県東部と都心部とのアクセス利便性の向上を期待。 【課題】

(39)

<11> 東京12号線(大江戸線)の延伸(光が丘~大泉学園町~東所沢)

【意義】

・都 区 部 北西 部 、 北多 摩 北 部及 び 埼 玉県 南 西 部と 都 心 部と のア ク セス 利便 性の向上。

【課題】

・光 が 丘 から 大 泉 学園 町 ま での 延 伸 につ い て は、 導 入 空間 とな り うる 道路 整 備 が 進 んで お り 、事 業 化 に向 け て 関 係地 方 公 共団 体 ・ 鉄道 事 業 者等 に おいて、費用負担のあり方等について合意形成を進めるべき。

・大 泉 学 園町 か ら 東所 沢 ま での 延 伸 につ い て は、 事 業 性に 課題 が あり 、関 係 地 方 公 共団 体 等 にお い て 、事 業 性 の 確保 に 必 要な 沿 線 開発 の 取 組等 を 進 め た 上 で、 事 業 主体 を 含 めた 事 業 計 画に つ い て十 分 な 検討 が 行 われ る ことを期待。

参照

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