• 検索結果がありません。

コンクリート中の鉄筋加工部の脆性破断に関する実験的研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "コンクリート中の鉄筋加工部の脆性破断に関する実験的研究"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

原稿受理 平成28年2月26日 Received February 26,2016

総合デザイン工学科 (Department of Integrated Design Engineering)

コンクリート中の鉄筋加工部の脆性破断に関する実験的研究

山中 憲行

Experimental Study on Brittle Fracture of Processing Parts of Rebars in Concrete

Noriyuki Yamanaka

The purpose of this study is to investigate the reasons behind the fracturing of bending part of rebars in ASR concrete, and also to determine the characteristics of the fatigue cycle of pressure-welded rebars in concrete.

The results of this study show that:

(1) The fracturing of rebars subjected to expansion loads in ASR concrete can be attributed to cracks forming in rebars as a result of bending. The rebars are unlikely to fail provided that they are not notched and that the bending radius is at least twice their diameter.

(2) Carbonate stress corrosion cracking (CSCC) of rebars in ASR concrete is likely to occur if the concentration of the carbonate around bending part of rebars is in the range 1.5 mol/L–2.0 mol/L. The cracks of CSCC occurred in a rebar consist of both transgranular and intergranular cracks. The cracks of CSCC were identical to those of rebars failed in the ASR concrete of actual structures.

(3) The fatigue life of pressure-welded rebars in concrete is 1.8 to 4.0 times greater than that of pressure-welded bars in air. The longer fatigue life is a result of the bond stress between rebar and concrete.

Key words:Bending parts, Pressure-welding parts,Rebar,ASR,Fatigue 曲げ加工部,圧接加工部,鉄筋,アルカリ骨材反応,疲労

1 はじめに

現在,日本には15m以上のコンクリート系橋梁構造物 が 10 万橋存在すると道路統計年報(2015)で指摘されて おり,高度経済成長期に建設されたコンクリート系橋梁 構造物では老朽化が進行し,三大損傷(アルカリ骨材反応,

疲労,塩害)が問題となっている。三大損傷の中で鉄筋加 工部の脆性破断が発生する損傷は「アルカリ骨材反応」

と「疲労」である。アルカリ骨材反応が生じたコンクリ ート系橋梁構造物では,構造物内部の鉄筋の曲げ加工部 で脆性破断が発生している。また,疲労荷重を受けるコ ンクリート系橋梁構造物では,構造物内部の鉄筋の圧接 加工部で脆性破断する可能性がある。曲げ加工部及び圧 接加工部の脆性破断は構造物の外観から確認できないの で,維持管理の観点から曲げ加工部や圧接加工部の脆性 破断を防止する必要がある。

そこで,本研究では,コンクリート中の曲げ加工部と 圧接加工部の脆性破断の原因を探ることを目的に実験的 研究を行うことにした。

2 論文構成

本論文は,9編の査読論文1)9)に基づく全6章から構 成されている。各章の概要は次のとおりである。

第1章と第2章では,研究の背景を俯瞰し,既往の研 究を調査するとともに課題を抽出し,本研究の目的をま とめた。

曲げ加工部で脆性破断が発生していた橋梁構造物で は,コンクリートのアルカリ骨材反応が発生して膨張力 がコンクリートに発生していたこと,曲げ加工部の割れ 経路は粒内割れが主体的であり粒内-粒界混合型の割れ が一部にみられたこと,一部の構造物で炭酸カルシウム が検出されたことが特徴である。これらの特徴から破断 原因を推定すると,①コンクリートの膨張力のみの力学 的要因,②コンクリートの膨張力と水素脆化の複合要因,

③コンクリートの膨張力と炭酸塩応力腐食割れの複合要 因という3種類の破断メカニズムが考えられる。しかし,

既往の研究では3種類の破断メカニズムに対して網羅し た研究がない。一方,圧接加工部を有する実構造物では,

(2)

圧接加工部で疲労破断が確認された事例がない。しかし,

2002 年まで道路橋示方書では疲労荷重に対して鉄筋の 許容応力度が設定されておらず,疲労荷重に対する配慮 が不十分であったことや構造物の長寿命化を考慮すると,

将来的には圧接加工部で疲労破断が発生する可能性があ る。

そこで,本研究では,アルカリ骨材反応が生じたコン クリート中の曲げ加工部の破断原因の解明及び疲労荷重 を受けるコンクリート中の圧接加工部の疲労寿命特性の 解明を目的にして実験的な検討を行った。

第 3 章では,「曲げ加工部とコンクリートの膨張力」

と題して,コンクリートの膨張力試験を行い,コンクリ ートの膨張力のみで曲げ加工部が破断するための条件を 示した。膨張力試験では,せん断補強筋の曲げ半径を 2d(d:鉄筋径)に設定して,曲げ加工時に曲げ加工部の内 側で亀裂が発生していないことを確認し,せん断補強筋 のフック形状の違い,均等内圧と偏心内圧,コアコンク リートの切欠きの有無,軸力の有無を考慮して試験を行 った。その結果,曲げ加工部で破断が発生せず,コンク リートの膨張力で曲げ加工部が破断するためには,曲げ 加工時に曲げ加工部の内側で亀裂が発生していることが 条件であることを示唆した。

第 4 章では,「曲げ加工部と炭酸塩応力腐食割れ」と 題して,炭酸塩応力腐食割れ試験を行い,コンクリート の膨張力と炭酸塩応力腐食割れの複合要因で曲げ加工部 が破断するための条件を示した。炭酸塩応力腐食割れ試 験では,炭酸塩濃度を 1.5mol/L~2.0mol/L まで変えて 試験を行った。コンクリートの膨張力と炭酸塩応力腐食 割れの複合要因で曲げ加工部が破断するためには,曲げ 加工部周辺の炭酸塩濃度が 1.5mol/L 以上であることが 条件であることを示した。また,本試験の炭酸塩応力腐 食割れでは,割れ経路が粒内-粒界混合型の割れであり,

実構造物の曲げ加工部の割れ経路と一致することを明ら かにした。更に,コンクリートの膨張力と水素脆化の複 合要因を調査するために水素脆化試験を行ったら,割れ 経路が粒界割れであり,実構造物の曲げ加工部の割れ経 路と一致しないことを明らかにした。コンクリートの膨 張力と水素脆化の複合要因で曲げ加工部が破断する可能 性は低いことを示した。

第 5 章では,「圧接加工部と疲労荷重」と題して,気 中とコンクリート中の圧接加工部の疲労試験を行い,コ ンクリート中の圧接加工部の疲労寿命特性について生存 確率を用いて解明した。コンクリート中の圧接加工部の 疲労試験では,コンクリートの圧縮強さを 5N/mm2

33N/mm2まで変化させた試験体を使用した。その結果,

生存確率50%のときの疲労寿命は,コンクリート中の圧

接加工部の方が気中の圧接加工部より 1.8 倍~4.0 倍に なることがわかった。また,コンクリートと鉄筋間の付 着力がコンクリート中の圧接加工部の疲労寿命に影響を 与えていることを示した。

第6章では「まとめ」と題して,本研究を統括し,残 された課題をまとめた。

3 結論

本研究では,コンクリートでアルカリ骨材反応が発生 した構造物内の曲げ加工部の破断原因の解明と,コンク リート中の圧接加工部の疲労寿命特性の解明を目的にし て,膨張力試験,応力腐食割れ試験,水素脆化試験,疲 労試験等を行った。その結果,次の知見が得られた。

(1) コンクリートの膨張力のみで曲げ加工部が破断する ためには,曲げ加工時に曲げ加工部の内側で初期亀 裂が発生していることが条件であることを示唆した。

(2) コンクリートの膨張力と炭酸塩応力腐食の複合要因 で曲げ加工部が破断するためには,粒内-粒界混合型 の 割 れ の 場 合 は 曲 げ 加 工 部 周 辺 の 炭 酸 塩 濃 度 が

1.5mol/L~2.0mol/L であることが条件であることを

示した。また,コンクリートの膨張力と水素脆化の 複合要因で曲げ加工部が破断する可能性は低いこと を示した。

(3) 生存確率 50%のときの疲労寿命は,コンクリート中

の圧接加工部の方が気中の圧接加工部より 1.8 倍

~4.0 倍大きくなることがわかった。また,コンクリ ートと鉄筋の付着力がコンクリート中の圧接加工部 の疲労寿命に影響を与えていることを示した。

参考文献

1) 山中憲行,岡村雄樹:ステンレス鉄筋の高サイクル疲労特性,

コ ン ク リ ー ト 工 学 年 次 論 文 集 ,Vol.35,No.2, pp.679-683(2013).

2) N.YAMANAKA, Y.OKAMURA, and K.TAKEWAKA:

PROBABILITY FOR CARBONATE STRESS CORROSION CRACKING IN REBARS AND PC RODS IN THE CARBONATE CONCRETE,EASEC-13(2013).

3) 山中憲行,東村淳平:カルシウムが炭酸塩応力腐食割れに与 え る 影 響 , 日 本 コ ン ク リ ー ト 工 学 会 ,Vol.34,No.1, pp.1090-1095(2012).

4) 山中憲行,林 貞夫,澤田友理恵,松島 巌:コンクリート中 の鉄筋の応力腐食割れ,日本建築学会大会構造系論文集,

第630号,pp.1317-1321(2008).

5) 山中憲行,林 貞夫:過大なコンクリートの膨張力が生じた RC構造物のせん断補強筋の変形性状,セメント・コンクリ ート論文集,pp.426-433(2006).

6) 山中憲行,林 貞夫:コンクリート中の圧接鉄筋の疲労寿命特 性,日本建築学会構造系論文集,第593号,pp.103-110,

(2005).

7) 山中憲行,林 貞夫:塑性変形を受けた鉄筋の疲労特性,コン ク リ ー ト 工 学 年 次 論 文 集 , Vol.26 , No.2 , pp.1045-1050(2004).

8) 山中憲行,林 貞夫:コンクリート被覆による圧接鉄筋の疲労 寿 命 の 変化 ,セ メ ント ・ コンク リ ー ト論 文集 ,Vol.57,

pp.380-385(2003).

9) 山中憲行,林 貞夫,岡村雄樹,舌間孝一郎:圧接鉄筋の疲労 性 状 , コ ン ク リ ー ト 工 学 年 次 論 文 集 ,Vol.25,No.2, pp.1111-1116(2003).

参照

関連したドキュメント

In this, the first ever in-depth study of the econometric practice of nonaca- demic economists, I analyse the way economists in business and government currently approach

The purpose of this paper is to guarantee a complete structure theorem of bered Calabi- Yau threefolds of type II 0 to nish the classication of these two peculiar classes.. In

[11] Karsai J., On the asymptotic behaviour of solution of second order linear differential equations with small damping, Acta Math. 61

He thereby extended his method to the investigation of boundary value problems of couple-stress elasticity, thermoelasticity and other generalized models of an elastic

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

Kilbas; Conditions of the existence of a classical solution of a Cauchy type problem for the diffusion equation with the Riemann-Liouville partial derivative, Differential Equations,

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

Our method of proof can also be used to recover the rational homotopy of L K(2) S 0 as well as the chromatic splitting conjecture at primes p > 3 [16]; we only need to use the