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Infilling Processesln a Zero Order Basin near Sapporo, Hokkaido, Northern Japan

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Academic year: 2021

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博 士 ( 環 境 科 学 ) 山 田 周 二

学 位 論 文 題 名

Infilling Processesln a Zero Order Basin near      Sapporo, Hokkaido, Northern Japan

( 北 海 道 , 札 幌 近 郊 の 山 地 に お け る0次 谷 の 埋 積 過 程 )

学 位論文内容の要旨

  本 論文 は ,山 地源 流域 のO次谷 にお ける埋積過程に ついて,土層構造および土砂運搬量,

斜面の安定性に関する野外観測結 果を基に論じたものである.

  山 地源 流 域には,0次谷 と呼ばれる水流がない谷が広く分布する.この0次谷の谷底では,

地中 水の 集 中およぴ周囲の斜面から運搬されてきた土 砂の埋積,が原因となって多くの崩壊 が発 生す る .崩壊の発生は,山地斜面の地形を変化さ せるだけでなく,河川への土砂供給に も大 きな 影 響を 与え る. した がっ て, 山地源流域の地形変化および土砂運搬に対 して,O 谷に おけ る 地中水の挙動および土砂の埋積が大きを役 割を果たしていることになる.近年の 斜面 水文 学 の進 展に とも なっ て, 地中 水の集中過程は解明されつっある,しかし ながら,0 次谷の埋積過程を野外観測に基づ ぃて検討された例はない.

  本 研究 で は,0次 谷流 域内 の詳 細な 土層分布を把握 することによって,埋積土砂の供給源 を 特定 した . また ,O次谷 の谷 底(hollow)およ びそ の集 水域 にあ たるnose(尾 根付 近の 斜 面)およびside slope (noseとhollowの間に位置する斜面)において,土壌匍行による土砂運 搬量 およ び 崩壊 の発 生ポ テン シャ ルを 評価した.これらの結果を基に,O次谷の埋積過程を 考察 した , 野外 調査 は, 北海 道, 札幌 近郊の定山渓,冷水沢流域に位置する0次谷において 行った.

  ま ず,99地点 にお ける 土層 断面 の観 察から,1)hollowは,堆積性の土層である崩積土お よぴ礫質崩積土によって埋積され ていること,2)以前に土層 が除去されたことを示す未熟土 は,noseおよびside slopeに分布すること,3)hollowはnoseおよびside slopeから供給された土 砂によって埋積されたこと,があ きらかになった.

  っ ぎに , 土壌 匍行 の機 構を 検討 する ために,表土の変位量および圧力水頭,地 温を3地点 にて19946月 から9月に かけ て連 続観 測し た. 変位 量の 観測 には ,本研究で改良したひず みプ ロー ブ 法を用いた.表土の変位は,夏期には降雨 時に土壌の水分状態が大きく変化し,

(2)

飽和に近い状態に達した時に生じた.この期間の変位は地表面下40 cmよりも上の層で生 じ,地表面での斜面下方への変位量は1.6‑2.4 mmであった.一方,冬期には季節的な凍結融 解によって1.5 mmの変位が生じた.しかしながら,変位が生じた層は地表面付近に限られ た.したがって,土壌匍行による土砂運搬量は,夏期に土壌の水分変化によって生じるもの が大きな割合を占めると考えられる.

  そこで,表土の水分状態を16地点にて1994年7月から10月まで計測した.この期間に,

土壌の水分変化が大きく,しかも飽和に近い状態にまで達した降雨は2回みられた.これら の降雨時の水分変化を積算した値は,noseで956 cmH20,side slopeで778 cmH20,hollowで 373 cmH20とhollowで最も小さい値を示した.これは,hollowには地中水が集中し,高い水 分状態が保たれやすいためと考えられる,

  これらの結果を基に,nose,side slope,hollowにおける土砂運搬量を以下のように見積 もった;1)水分変化量あたり,およぴ単位幅あたりの土砂運搬量Kを変位量の観測結果から 決定し,2)Kおよび水分変化量の積より,単位幅あたりの土砂運搬量5、 を算出した.そし て,3)Sおよぴ斜面の縁辺長の積を土砂運搬量とした.結果として,土砂運搬量は,noseで 207.O,side slopeで159.5,hollowで9.0x10、3m3/yrと見積もられた.さらにこれらの斜面 の土砂収支を算出し,noseでは207.0x10・3m3/yrの土砂が除去され,side slopeおよぴhollow では各々25.1および172.9 x10・31113の土砂が堆積することをあきらかにした‐すなわち,

hollowは土壌匍行によって埋積されていること,そして埋積土砂はnoseから供給されること を示す.

  っぎに,無限長斜面の安定解析式を用いて,斜面の安定解析を行った.この式を変形して 得られる土層中の飽和水深に関する臨界値である限界水深を算出し,これと土層深との関係 から崩壊の発生ポテンシヤルを評価した.解析に必要なせん断強度定数および単位重量,傾 斜は,現地およぴ室内にて測定した.その結果,side slopeでは土層深の増大にともなって限 界水深が低下するのに対して,noseやhollowでは場所によっては土層深の増大が限界水深を 増大させることがあきらかになった.限界水深の低下は,より小さな間隙水圧で崩壊が発生 しうる,すなわちより不安定な状態になることを示す.したがって,崩壊の発生ボテンシャ ルは,side slopeにおいて最も大きいと考えられる,

  以上の結果より,noseからは土壌匍行によって,side slopeからは崩壊によって,hollowを 埋積していると結論した.

(3)

   学位論文審査の要旨 主査    教授   小野有五 副査    教授   平川一臣 副査    教授   福田正己

副査    助教授   中村太士(農学部)

     学位論文題名

Infilling ProcesseslnaZero Order Basin near     Sapporo ,Hokkaido ,Northern Japan

     (北海道,札幌近郊の山地におけるO 次谷の埋積過程)

  山 地源 流域の 斜面 は,0次 谷と 呼ば れる水 流が ない谷から構成されている.このO 次谷 の谷 底(hollo・w)は ,周 囲の 斜面 から 運搬 されてきた土砂によって埋積される こと ,そ して, 埋積 土砂 は崩 壊に よっ て河 川へ と排出されることが知られている.

崩壊 によ って河 川へ と排 出さ れた 土砂 は, 山地 斜面から河川への土砂供給の中で大 きな 割合 を占め る. したがって,O次谷底の埋積を引き起こす土砂運搬は,山地源流 域全 体の 土砂運 搬に 対して大きな影響を与えていることになる.しかしながら,0次 谷の埋積過程を野外観測に基づぃて検討した例はなかった,

  本 論文 では,O次 谷をhollow(谷底に位置する斜面),nose(尾根付近の斜面)お よびside slope (noseとhollowの間に位置する斜面)に区分し,まず,それらの斜面 にお ける 土層構 造を 調査 する こと によ って ,hollowを埋積している土砂の供給源を 推定 して いる. さら 土壌 匍行 によ る土 砂運 搬量 および崩壊の発生ポテンシャルを評 価す るこ とによ って ,こ れら のプ ロセ スに よるhollowへの土砂供給を論じている.

  本 論文 は8章 か ら な り , 第1章で は, 従来の 研究 を簡 潔に まと め, その 問題 点を 指 摘 する と と も に , 埋 積 過 程 を 解 明 す る こ と の 重 要 性 を 指摘 して いる. 第2章で は, 調査 対象と した ,北海道,札幌近郊の0次谷における地形,地質の概要を記して いる.

  第3章で は,99地 点にぉける土層構造の観察から,1) hollowの大部分は,崩積土 および礫質崩積土に占められていること,2) noseおよびside slopeには,残積土およ び 未 熟土 , 匍 行 土 が 分 布 す る こと をあ きらか にし た, この よう な土 層分 布か ら,

(4)

hollowはnoseおよびside slopeから供給された土砂によって埋積されたこと,が推定 された・

  第4章および第5章では,土壌匍行の観測法であるひずみプローブ法の改良と,

それを用いた観測結果を記している.まず,ひずみプローブ法の改良を行い,その 精度を室内実験にて検討した結果,改良されたプローブは表土の変位量の時間変化 を正確に測定できることを示した.そして,この方法を用いて表土の変位を連続観 測した結果,夏期には,降雨時に表土の水分状態が大きく変化し,飽和に近い状態 に達した時に変位が生じること,冬期には,表土の凍結融解によって変位が生じる ことがあきらかになった.さらに,各々の斜面における表土の水分状態の観測か ら,水分量変化に起因する土壌匍行による土砂運搬量を見積もり,hollowが埋積さ れていることを示した,

  第6章では,無限長斜面の安定解析式を用いて,崩壊の発生ポテンシヤルを評価 している.せん断強度定数,単位重量および傾斜を現地および室内にて測定し,こ れを用いて解析を行ったところ,side slopeでは土層深の増大にともなう限界水深の 低下が最も顕著であることがあきらかになった.限界水深の低下は,より小さな間 隙水圧で崩壊が発生しうることを意味するため,崩壊の発生ポテンシャルは,side slopeにおいて最も大きいことが示された・

  第7章では,以上の結果をもとに0次谷の埋積過程を考察している.そして,土壌 匍行はnoseからside slopeを経由してhollowへと土砂を供給していること,そして 崩壊によってside slopeからhollowへと土砂が供給されていること,が示された・

  第8章では,各章で得られた結果を簡潔にまとめている・

  以上のように,本論文は,従来に例がないほど詳細な土層分布をあきらかにする とともに,従来は推測にとどまっていた土砂運搬プロセスに関して,新たな手法を 用いた観測およびカ学的な解析を行うことによって多くの新知見をもたらした.こ の様な成果は,山地源流域での土砂運搬および地形変化の研究に大きな進歩をもた らすもので,今後の発展が大いに期待される.よって,審査委員一同は,申請者が 博 士 ( 環 境 科 学 ) の 学 位を 授 与 され る に十 分 な資 格 があ る もの と 認め た .

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