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生物の生長順序と世代交代に関する子どもの概念形成について

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183

生物 の成長 順序 と世 代交代に関す る

子 ど もの概 念 形 成 につ いて

On  the  Formation  of  the  Concepts  of  Growth  Sequence

and  Alternation  of  Generations  in  Children

Tomohisa  OKUI

ABSTRACT

1.  On  the  formation  of  the  concepts  of  growth  sequence  and  alternation  of   generations  in  children,  three  researches  were  carried  out  with  1,115  children   from  4  to  10  years  old.

2.  The  procedure  for  the  researches  was  as  follows:Children  were  given  some   pictures  showing  stages  of  growth  sequence  respectively,  and  then  they  ar-  ranged  them  in  adequate  order  according  to  their  concepts.

3.  As  the  result  of  the  researches,  the  following  findings  were  obtained.   AThe  concept  of  growth  sequence  is  formed  first,  and  that  of  alternation     of  generations  is  formed  subsequently.  The  formation  ratio  of  these  con・     cepts  changes  with  the  age  of  children.

  B.The  applicable  extent  of  these  concepts  is  limited  within  the  object,  and     transition  of  the  concepts  to  the  other  object  seems  to  be  difficult  for  chil・     dren.

  C  The  formation  of  the  concept  of  growth  sequence  in  kindergarteners  is     affected  by  the  experience  of  cultivating  the  object.

  D  The  extension  from  the  concept  of  growth  sequence  to  that  of  alternation     of  generations  is  able'to  be  facilitated  by  the  preliminary  operation.

  EChildren  over  6  years  of  age  are  able  to  explain  fairly  the  reason  for     arranging  the  pictures.

      ③ は   じ  め   に   理 科 教 育 の主 要 な 目標 の 一 つ は,子 ど も に 自       ロ  然 事 象 の 統 一 的 解 釈 を・可能 に す る基 本 的 概 念 を 習 得 させ る こ とに あ る。 この 目標 を 達 成 す る た め に は,① 基 本 的 概 念 の 内 容 とそ の 階 層 構 造, ② 概 念 形 成 の過 程 お よ び そ れ に 影 響 す る要 因, ③ 概 念 形 成 の最 適 化 の た め の 指 導 方 略,②の究 明 が必 要 であ る。 ① と③ に関 して は,ア メ リカ のPSSC物 理 に は じま る理 科 教 育 現 代 化 運 動 の 中 で 創 出 され た 多数 の プ ロジ ェ ク トに お い て,多 様 な 主 張 と方 略 を読 み と る こ とが で き る。② に関 して は 学 習 心 理 学 の 領域 に また が る こ と に な る が,わ が 国 に お い て 理 科 教 育 の 立 場 か ら この 領 域 に ア プ ロ ーチ した 実証 的 研 究 と して は,大 庭 凹 井 藤 到 楠         くフ         見,高 瀬,森 ら の い く つ か の 報 告 が あ る に 過 ぎ な い 。

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184     滋 大 糸己 要 第    23  号 1973   筆 者 は この 領 域 の 研 究 が 理 科 教育 の 内 容 と方 略 を決 定 す る た め の 基 盤 を 提 供 す る もの と考 え, い くつ か の 自然 科学 の 基 本 的 概 念 に つ い て そ の 形 成 過 程 とそ れ に 関 与 す る条 件 の 解 明 を 試 み て きた。 本 研 究 に お い て は 生 物 に 関 す る基 本 的 概 念 と して 「生 物 は 一 定 の 順 序 で 成 長 し,形 態 が 変 わ る こ と(成 長 の 順 序)」,「生物 は卵 や 種 子 な どに よ って 増 殖 し,親 と 同 じ変 化 を く り返 す こ と(世 代 交 代)」 の 二 つ を 選 び,こ れ らの概 念 形 成 と子 ど もの 年 齢 や 学 習 経 験 との 関 係 に つ い て 調 査 解 析を 行 な った 結 果 を報 告 す る。   本 研 究 に お い て 解 明 を意 図 した 主 要 な 仮 説 は 次 の とお りで あ る。 ① 成 長 の 順 序 の 概 念 は1世 代 内 の変 化 に 関 す   る もの で あ るか ら,世 代 交 代 の 概 念 よ り下 位   に あ っ て年 齢 の低 い 子 ど もに 多 く,年 齢 が 高   くな る と学 習 経 験 の増 加 な ど と相 俟 って 世 代   交 代 の 概 念 の 保 有 老 が増 加 す る で あ ろ う。 ② 成 長 の 順 序 の概 念 か ら世 代 交 代 の概 念 へ の   拡 張 は,世 代 交 代 を 示 唆 す る操 作 を 事 前 に 課   す る こ とに よ って強 化 され,そ の効 果 は 子 ど   も の年 齢 に 比 例 す る で あ ろ う。 ③ 年 齢 に よ る二 つ の 概 念 の形 成 比 率 は,植 物   を 素 材 とす る場 合 と動 物 を素 材 とす る 場 合 と   で は 異 な る で あ ろ う。   研 究1  ア サ ガ オ の 成 長 に 関 す る幼 稚 園 児

    の概念形農

研 究 の 目 的   ア サ ガ オ の 成 長 の順 序 に 関 す る概 念 の 幼 稚 園 児 に おけ る形 成 の 実 態 な らび に そ れ に影 響 す る 要 因 を解 明す る。 研 究 の 方 法 1  ア サ ガオ の成 長 過 程 を,A種 子, B二 葉, C   本 葉 の つ い た つ る,D花,の4段 階 に 区分 し,   そ れ ぞ れ の 段 階 を 葉 書 大 の 画 用 紙 に 原 色 で 描   い た もの を 準 備 す る。(第1図 参 照) 2  調 査 者 は 被 験 児 と対 面 し,A-Dの4枚 の   絵 を示 して 「これ は ア サ ガオ の絵 で す 。 これ   を こち ら(左)か ら,い ち ぼ ん よい と思 う順   に,こ の 紙(枠 入 り台 紙)の 上 に 並 べ て ご ら   ん 唱と発 言 し,児 童 が 並 べ 終 った ら,配 列 を調   査 用紙 に 記 録 す る。 つ ぎに,A∼Dの うち最 初   の 位 置(左 端)に 置 い た 絵 に つ い て そ の理 由 第1図 1㍑ 加 一編 ∴細 細 圃' 几 乱 一 §_,  .。!・一 疑 再. へ 等 璋 廻 航 、、      書       鍛   駕 ご 號       … ・・副'"』

擁 碧 蓉

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童 蒙 .華 -毒 百 ︾ 君 琴 」

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A } 生物 の成長 順序 と世 代交代 に関 す る子 ど もの概 念形成 につ いて(奥 井) 185   を尋 ね,続 い て 配 列 全 体 に つ いて そ の理 由 を   答 え させ,調 査 用 紙 に 記 録 す る。 3  アサ ガオ の 栽 培 経 験 は 幼 稚 園 に お い て幼 児   に 直接 栽 培 させ て い る もの の み を 有 経 験 と み   な し,学 級 担 任 か ら経 験 の 有 無 を 聴 取 す る。 4  被験 児 は 滋 賀 県 内 の 都 市 区域,農 山 村 区 域   か ら2年 保 有 を 実 施 して い る5幼 稚 園 を選 び,   各 幼 稚 園 ご とに4才 児 と5才 児 の 男 女 各10名   を無 作 為 に 抽 出 した 。 被 験 児 の 総 数 は4才 児   男 子50名 女 子50名 計100名,5才 児 も 同様 で   あ る。 5  調 査 を実 施 した 幼 稚 園 は,長 等(大 津市),   小 松(滋 賀 郡),蒲 生(蒲 生 郡),愛 東 北(愛   知 郡),木 之 本 く伊 香 郡)の5幼 稚 園 であ る。   こ の ほか 参 考 と して,滋 賀 大 付属(大 津 市),   中 主(野 洲 郡)に つ い て も調 査 を 実 施 した 。   (後 の2園 は 全 員 調 査 を 行 な った の で,集 計   は 別 に した。) 6  調 査時 期 は 昭 和47年6月 下 旬 ∼7月 上 旬 に   か け て で あ る 。 研 究 の 結 果 と考 察 1  配 列 か らみ た概 念 形 成 の実 態 (第1表) 均 平 1 2   2 0 3   2   0   2   1   9   1 6   2 0 2 2   0 1 1  23 才 5 女 6 2   2 0   2   2   0 2   0  2 2   8   2 0   2 4  0   2 0   22       1 男 6 2   2   0 4   2 0   2   2  6   0   4 2 0   2 0 0 0   2 23 均 平 7 3 2 1 2 0   1 3 4  7   4 7 1 2 6   7 0 5 2   3 才 4 女 8 2 0 0 2 0 2 4 4 8   2  8 0 0 6   6 0  6 4 2 男 6 4   4 2   2 0   0   2   4 6   6   6  2 4 6   8   0 4   0 4 齢 年 性 別 列 配 O   △   x   △   △   x   △   x   △   O    △   x   △   x   x   △   O   △   ○   △

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C D B D B C C D A D A C B D A D A B B CBBCCDDAACCDDAABBDDAAAAAAAABBBBBBCCCCCCDD DBACx 2 2 2 8 2 5 DBCA△ 22 18 20 6 14 10 DCAB△ 0 2 1 4 2 3 DCBAx 6 14 10 14 10 12 計 100 100 100 100 100 100 (表注)1  表中 の 数値 は 百分 率を 示 す 。       2  配列 の 右肩 の 記 号は,○ が4枚 と も順 序に       適 合す る配列,△ が 隣 接す る2枚 のみ 順 序に       適 合す る配 列,× は 順 序 に全 く適 合 しな い配       列 を示 す。   A種 子,B二 葉, C本 葉 の つ い た つ る, D花 の4枚 の絵 の配 列 は24通 りが 考 え ら れ,第1表 は そ の 配 列 を した幼 稚 園 児 の 百 分 率 を示 して い る。 絵 の配 列 が 子 ど もの 概 念 の表 出 で あ る と い う前 提 に立 っ て,得 られ た 結 果 の分 析 を 試 み る こ とに す る。 (1)成 長 の 順 序 の 概 念 を 保 有 す る 子 ど もは,A BCDの 順 に絵 を配 列 す る と考 え られ る が,こ の 配 列 を した 子 ど もは4才 児 が7%,5才 児b131 %で あ ・っ た。 この ほ か,r次 の 世 代 を も含 め た 順 序 と い う こ と に な る と,BCDA,  CDAB,  DA BC(第1表 中 の ○ 印)が そ れ に適 合す る。 こ れ らの 配 列 を した 子 ど もは 合 計 で4才 児 が9%, 5才 児 が11%で あ った 。 (2)上 の4つ の 配 列 を除 い て,ACDB・ADBC な ど4枚 の うち隣 接 す る2枚 が 順 序 に適 合 す る 配 列(第1表 中 の △ 印)を した 子 ど もは 合 計 で 4才 児 が52%,5才 児 が27%で あ っ た。 (3)成 長 の順 序 に 適 合 しな い配 列(第1表 中 の ×印)を した子 ど もは 合 計 で4才 児 が32%,5 才 児 が31%で あ った 。 (4)24通 りの配 列 の 構 成 率 を 個 別 に 検 討す る と, 4才 児 ではDBCAが 最 も高 い 百 分 率 を 示 して い る。 これ は4才 児 が 全 体 の 配 列 よ り も,個 々の 絵 に 対 す る主 観 的 印 象 に よ っ て絵 を 配 列 した こ とを 示 す も の と考 え られ る。 この こ とは,24通 りの 配 列 に お い て 左 端(最 初 の 位 置)に 置 い た 絵 の 割 合 を 調 べ る と,D花38%,  B二 葉26%,  C 本 葉 の つ いた つ る21%,A種 子15%,と な る こ とか ら・も推 定 す る こ とが で き る。   5才 児 で はABCDの 配 列 が 最 も高 い比 率 を 占 め,成 長 の 順 序 の概 念 形 成 が 進 ん で い る こ と, 配 列 を 個 々の 絵 の 印 象 に と らわ れ ず 全 体 的 判 断

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186    滋 大 紀 要 第    23  号 1973 に 基 づ い て行 な って い る こ とが 推 定 され る。 (5)以 上 の結 果 と比 較 す る 意 味 で,本 学 付属 幼 稚 園 児(4才 児 男 子15名 女 子16名 計31名,5才 児 男 子32名 女 子33名 計65名)お よび 中 主 幼 稚 園 児(5才 児 男 子64名 女 子52名 計116名)に つ い て得 られ た 結 果 を 集 約 して 第2表 に示 す 。 (第2表) μ 4  5  配 列    性別 男 女 平均 男 女 平均 4枚 と も 順 序 適 合 ABCD 20 25 23 66 55 60 そ の他 7 13 10 3 3 3 隣 り合 う2枚 適 合 20 43 32 18 21 20 全 く 適 合 せ ず 53 19 35 13 21 17 (表注)  数 値 は百 分 率 を示 す 。  第2表 の 結 果 を 第1表 と比 較 す る と,4才 児 ・5才 児 の い ず れ もABCDの 配 列 が 高 い比 率を 占め て 両 者 に は 明 らか な差 が 認 め られ,成 長 順 序 の 概 念 形 成 が年 齢 だ け で な くそ の 他 の 要 因 に       ロむ も 影 響 さ れ る こ と を 示 し て い る 。 2  配 列 の 理 由   配 列 の 理 由 に つ い て は,4枚 の 絵 の う ち の1 枚 を 最 初 の 位 置(左 端)に 置 い た 理 由 と,全 体 の 配 列 理 由 の 二 つ を 質 問 し た 。 前 者 に つ い て は ほ と ん ど 回 答 が 得 ら れ た が,後 者 の 回 答 は 無 答 あ る い は 不 明 確 な も の が 多 か っ た 。 そ こ で 本 報 で は,最 初 の 位 置 に 置 い た 理 由 に つ い て 分 析 し た 結 果 の み を 示 す こ と に す る 。 (1)A.種 子 の 絵 を 最 初 に 置 い た 理 由   「た ね だ か ら 」 「た ね が は しめ だ か ら 」 と い う 理 由 が4才 児 で47%,5才 児 で85%と 大 部 分 を 占 め,「 よい と思 っ た 」 が4才 児 で20%,5才 児 で3%と な っ て い る 。 (2)B.二 葉 の 絵 を 最 初 に 置 い た 理 由   「よ い と 思 っ た 」 が4才 児 で23%,5才 児 で 5%,「 芽 が 出 た か ら 」 「葉 が 出 た か ら 」 が4才 児19%,5才 児55%,「 い ち ば ん は じめ だ と 思 っ た 」 が4才 児19%,5才 児10%と 分 散 して い る。 (3)C.本 葉 の つ い た つ る の 絵 を 最 初 に 置 い た 理   由   「好 き だ か ら」 が4才 児 で19%と や や 目立 つ も の の,他 に ま と ま っ た 理 由 は み ら れ な い 。 (4)D.花 の 絵 を 最 初 に 置 い た理 由   「きれ い だ か ら」 が4才 児 で21%,5才 児 で 36%,「 花 だ か ら」 「花 が咲 い て い るか ら」 が4 才 児 で18%,5才 児 で30%,「 好 きだか ら」 が4 才 児 で21%,5才 児 で9%,「 よい と思 った 」 が 4才 児13%,5才 児3%と な って い る。 (5)以 上 の 結 果 か ら,幼 児 が理 由を 表 現 す る場 合 「たね だか ら」「花 だか ら」 と絵 の 内容 を そ の ま ま述 べ た り,「 そ う思 った 」「好 き」 な ど の直 観 的 ・主 観 的 判 断 を述 べ るの が 普 通 で あ り,特 徴 で もあ る と考 え られ る。   種 子 を 最 初 の 位 置 に 置 い た 幼 児 の 回 答 には 「種 子 を ま く」 「種 子 か ら大 き くな る 」 「種 子 が 最 初 」 な どの 内容 が 見 られ,ア サ ガオ の 成 長 順 序 の 概 念 が 形 成 され て い る こ とが 推 定 され る。 3  成 長 概 念 の形 成 と栽 培 経 験   ア サ ガ オ の成 長 順 序 の 概 念 形 成 は 栽培 経 験 と 密接 な 関 係 を 持 つ こ とが 予 測 され る。 そ こで, 絵 の 配 列 と幼 稚 園 に お け る栽 培 経 験 との 関 係 を 分 析 して み た。   分 析 の対 象 と した 幼 児 数 お よび 栽 培 経 験 の 状 況 は 第3表 の とお りで あ る。 (第3表)     ,・ 程度 年 齢 未 経 験 1回 経験 2回 経験 4    才 40 40 5    才 40 40 (表 注)  数値 は 人数 を示 す。 男 女各20名 。  次 に絵 の 配 列 と栽 培 経 験 の 程 度 と の関 係 に つ い て 得 られ た 結 果 を 第4表 に 示 す 。 (第4ノ ∂ 年 齢 4      才 5      才       1-験程 度 配 列 未経験 1回 経験 1回 経験 2回 経 験 ABCD 5 10 25 40 4枚 と も 順 序 適 合 そ の他 0 10 10 10 隣 り合 う2枚 適 合 65 45 30 22 全 く 適 合 せ ず 30 35 35 28 (表住)  数値 は 百分 率 を 示す 。  第4表 か ら判 断 で き る こ とは 以 下 の 通 りで あ る。 、 ' d

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生物 の成長 順序 と世 代交代 に関す る子 どもの概念形 成に ついて(奥 非) 187 (1)同 一 年齢 にお いては 経 験 度 の 多 い方 がABC Dの 配 列 をす る 割 合が 高 く,成 長 の 順 序 の概 念 形 成 が よ り進 ん で い る と推 定 され る. (2)同 一経 験 度 で あ って も年 齢 の 多 い 方 がABC Dの 配 列 を す る割 合 が 高 く,幼 稚 園 に お け る栽 培 経 験 に 加 え て 年 齢 が 概 念 形 成 に 影 響 す る要 因     ゆ であ る こ とが 推 定 され る。   研 究II  ア サ ガ オ の 成 長 に関 す る 小 学 校 低       ゆ        学 年 児 童 の 概 念 形 成 研 究 の 目 的   アサ ガ オ の 成長1順序 お よ び世 代 交 代 の 概 念 形 成 の 小 学 校低 学 年 児 童 に お け る実 態 を 調 査 し, そ れ に 影響 す る要 因 を 解 明 す る と と もに,そ の 結 果 を 幼 稚 園 児 と比 較 す る。 研 究 の 方 法 1  調 査 法  (1)ア サ ガ オ の 成 長 過 程 を,A種 子, B二 葉,   C本 葉 の つ い た つ る,D花,  E実 のつ いた つ る,   の5段 階 に 区 別 し,各 段 階 を5cm×6cmの 大   き さ で画 用 紙 に 印 刷(白 黒)す る。 これ ら の       第2図    調 査 絵 は 段 階 ご とに 切 り離 し,A2枚 ・B∼E各1 枚 の 合 計6枚 を 封 筒 に 入れ る。 こ れ を 被験 児 数 だ け 準 備 す る。(第2図 参 照) (2)調 査 者 は 調 査 対 象学 級 に 行 き,被 験 児 に 調 査 用 紙 と絵 を 入れ た封 筒,貼 布 用 の りを 手 渡 す 。 児 童 間 の話 や 観察 は禁 止 す る。 (3)封 筒 か ら6枚 の絵 を取 り出 し,調 査 用 紙 の 定 め られ た 枠 内 に 左か ら適 当 と 考 え る 順 序 に 絵 を 貼 付 させ る。 第3図    調  査  用   紙   1.葦.ゴ 訊 嵩 、、≒億 ∵ ・'1∴ ず;∼ ・、',一.・ ・.・∵ 謡 ∴',;弼   、・鞍 ∵ 、、∵5・ ・:'乳.   、・・』もゲ ヤ1会 ∵ 糖 〉 ・ 一・∵ 一 ・ 一 ・ 一 ・…・1一   ・・、

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188 滋 大 紀 要 第    23  号 1973 (4)貼 付 後,調 査 用 紙 の 各 質 問 事 項 に答 え さ せ る。(第3図 参 照) 2  調 査 対 象 ・時 期   調 査 対 象 と した の は,滋 賀 県 守 山 市 立 守 山 小 学 校 児 童 男 子112名,女 子118名,合 計230名 で, 内わ け は 第5表 の とお りで あ る。 (第5表) 学 年 ・組 1年1組 1年4組 2年1組 2年2組 3年2組 3年3組 性 別 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 人 員 21 21 21 20 19 19 19 20 16 20 16 18 学年計 男  42    女  41    計  83 男  38    女  39    計  77 男  32    女  38    計   70  調 査 時 期 は 昭 和47年7月 上 旬 で あ る 。 研究 の 結 果 と考 察 1  配 列 か らみ た 概 念 形 成 の実 態   絵 の 配 列 に つ いて 得 られ た 結 果 を 第6表 に示 す 。 (第6表) 学年 第1学 年 第2学 年 第3学 年     性 配   列    ii 男 女 平 均 男 女 平 均 男 女 平 均 AABCDE 53 34 44 10 10 10 9 5 7 AABCED 22 42 31 29 25 27 9 3 6 AABECD 5 8 6 5 3 3 5 4 AABEDC 2 5 4 3 1 AACBDE 2 1 AACDBE 3 1 AAEDCB 3 1 ABCDEA 7 2 5 45 46 46 50 55 53 ABCEDA 7 5 6 8 10 9 9 21 16 ABECDA 2 1 3 1 3 5 4 ABEDCA 3 1 ACDBEA 3 1 BDCAAE 2 1 CABDAE 2 1 3 1 DCBAAE 3 3 3 DCEBAA 3 1 EBDCAA 3 1 豪 楽 疑 合  計 100 100 100 100 loo 99 98 100 98 (表注)1  表 中 の数 値 は百 分 率 を示 す。       2  ※印欄 が100に な らない のは 端 数 を切 捨 て         た た め であ る。   A2枚,  B∼E各1枚 合 計6枚 の 絵 の 配 列 は 重 複 を 除 け ぽ360通 りが 考 え ら れ る が,調 査 の 結 果 得 ら れ た 配 列 は1∼3学 年 を 通 じ て わ ず か17 通 り で あ っ た 。 (1)各 学 年 に お け る 配 列 総 数 は1学 年 が10通 り, 2学 年 が9通 り,3学 年 が12通 りで学 年 に よ る 特 性 は 認 め られ な い。 (2)AABCDEの 配 列 は,種 子 か ら実 に い た る 変 化 の順 序 で あ って,こ の 配 列 を 行 な っ た 児 童 に は 成 長 順 序 の概 念 が 形 成 され て い る と判 断 さ れ る。 こ の配 列 を した 児 童 は1学 年44%,2学 年10%,3学 年7%で あ る 。 な お,児 童 中 に はEの 実 を つ ぼ み と誤 認 した 者 が 多 数 い る こ と が 調 査 後 に 判 明 した ので,Eを つ ぼ み と考 えて 成 長 の 順 序 に 配 列す れ ぽAABCEDと な る。 (3)AABCDEとAABCEDの 二 つ の配 列 を 成 長 順 序 の概 念 保 有 者 と考 え て 両 者 の 合 計 を 第6表 か ら求 め る と,1学 年 で75%,2学 年 で37%, 3学 年 で13%と な る。1学 年 の 値 は 第1表 の5 才 児 の そ れ と比 較 す る と約2.5倍,第2表 の5 才 児 と比 較 して も15%高 い 値 で あ り,研 究1と IIの 調 査 方 法 に若 干 の 相違 が あ る こ とを 考 慮 し て もな お,5才 か ら6才 に か け て 成 長 順 序 の概 念 形 成 が 急 速 に進 む こ とを 示 して い る と 考 え ら れ る。 (4)2学 年 と3学 年 に お い て は,AABCDE・ AABCEDに 代 わ って, ABCDEA・ABCEDA . の 配 列 が 増 加 して い る。 こ の 配 列 は 種 子 か ら実 に な る ま で の 順 序 に 加 え て,次 世 代 の 出 発 点 と して の 種 子 を そ の 次 に 配 置 した も の と考 え られ, 世 代 交 代 の概 念 の 表 出 で あ ろ うと推 定 され る。 (5)ABCDEA・ABCEDAの 二 つ の 配 列 を した 児 童 の割 合 は,1学 年 で11%,2学 年 で55%, 3学 年 で69%と,1学 年 か ら2学 年 の 間 で5倍 に ふ え,2学 年 か ら3学 年 で は14%ふ え て いる。 この結 果 か ら,ア サ ガ オ の 世 代 交 代 に つ い て の 概 念 形 成 は1学 年 か ら2学 年 の間 に 飛 躍 的 に 増 大 す る と判 断 され る。 ■ ず

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覧 生物 の成 長順序 と世 代交 代 に関す る子 ど もの概 念 形成 につい て(奥 井) 189 2  概 念 形 成 と観 察 経 験   概 念 形 成 に 影 響 す る要 因 と して,ア サ ガ オ の 観察 経 験(記 憶)を と りあげ,A∼Eの 各段 階に つ い て経 験 の 有 無 を調 査 した 。 そ の結 果 を 第7 表 に 示 す 。 (第7表) 学  段 A種 子 B二 葉 Cつ る D花 E実 1学 年 94 95 78 90 72 2学 年 96 95 92 95 92 3学 年 96 93 87 90 83 (表注)  数 値 は 百分 率 を示 す 。 調 査 人員 は1学 年8銘,       2学 年77名,3学 年70名 。 (1)上 表 の結 果 か ら,観 察 経 験(記 憶)は1学 年 と3学 年 でCつ る ・E実 の 二 つ が や や 低 率 で あ るが,そ の 他 の 段 階 は いず れ も90%以 上 観 察 (記 憶)さ れ て い る こ とが 明 らか に な っ た。 (2)1学 年 でE実 の段 階 の 観 察 が 少 な い ことは, 調 査 時 期 が7月 で あ り1学 年 で栽 培 す る ア サ ガ オ は 実 を つ け る まで に 至 って い な い こ とか ら, 小学 校 入 学 以 前 の 観 察 経 験 を示 す もの と解 釈 さ れ る が,Cつ る の場 合 に は こ の 解 釈 は 適 合せ ず, 結 局Cは 児 童 の 興 味 を ひ く観 察 対 象 とな りに く い こ とが 低 率 の 原 因 で は な い か と思 わ れ る。 (3)2学 年 はA∼Eの どの 段 階 も92%以 上 と よ く観 察(記 憶)し て い る。 これ は1学 年 で ア サ ガ オ の観 察 を 行 な い 直 接 栽 培 を した こ とか ら 当 然 期 待 され る結 果 で あ る。 (4)概 念 形 成 と観 察経 験 との 関 係 を 明 らか に す るた め に は,観 察 経 験 の 有 無 と絵 の 配 列 との 相 関 を と らえ る必 要 が あ る。 そ こ で,観 察経 験 の 比 較 的 低 いCとEに 注 目 し,そ の 一 方 また は 両 方 の 観 察 を 欠 く児 童 の 絵 の 配 列 に つ い て 分 析 を 行 な った 。 そ の 結 果 を 第8表 に 示 す 。 (第8表) 年 ・ 学 鞍 経   配 列 AABCDE   型 ABCDEA   型 その 他 Cつ るの 観察 経 験 を 欠 く 5(6> 1(1> 1   学   年 E実 の 観 察経 験 を 欠 く 8(1① 3(4) CとE両 方 の 観 察 経 験 を 欠 く 7(8) 2(2) 3(4) 小     計 20⑫ の 3(4) 6(7) Cを 欠 く 4(5) 1(1) Eを 欠 く 2(3) 2(3) 1(1) 2   学   年 CとEを 欠 く 1(1) 小   計 6(8) 4(5) 1(1) Cを 欠 く 1(1) Eを 欠 く 1(1) 2(3) 1(1) 3   学  年 CとEを 欠 く 1(1) 3(4) 3(4) 小      計 、 3(4> 5(7) 4(6) (表注)  数 値 は人 数 を示 す 。 た だ し(  )内 は学 年 全     員に 対す る百 分率 。 第9表 も同 じ。   上 表 に対 応 して,CとEの 両 段 階 と も 観 察 経 験 の あ る 児 童 の 配 列 結 果 を 第9表 に示 す 。 (第9表)       配 列 学 年 AABCDE型 ABCDEA型 そ の 他 1  学  年 426D 6  (7) 6  (7) 2  学 年 23⑬ Φ 38㈲ 5  (6) 3  学   年 6  (5) 43㈹ 9  (1鋤   第8表 と9表 を 比 較 す る と,1学 年 で は 観 察 経 験 の 有 無 に か か わ らずAABCDE型 の 配 列 を す る児 童 とABCDEA型 の 配 列 を す る 児 童 の 比 は ほ ぼ 同 じで あ る。2学 年 で は 観 察 経 験 を 欠 く 児 童 はAABCDE型 の 配 列 が優 位 で あ る の に, 観 察 経 験 を もつ 児 童 はABCDEA型 の 配 列 が 多 く,AABCDE型 とABCDEA型 の比 は 観 察 経 験 を 欠 く児 童 が3:2で あ るの に 対 し,観 察 経 験 の あ る児 童 で は ほ ぼ2:3と 逆 に な って い る。 3学 年 で も2学 年 と 同様 に 観 察 経 験 を 欠 く児 童 はAABCDE型 の配 列 の割 合 が 高 い 。 しか し な が ら結 果 の統 計 的 検 定 に お い て は 両 者 に 有 意 の         差 は 認 め られ な か った 。 3  概 念 形 成 と栽 培 経 験   観 察経 験 は 概念 形 成 に 影響 を 与 え る が,児 童 自身 の 栽 培 経 験 は 観 察 経 験 よ りさ らに 大 き く概 念 形 成 に 影 響 す る で あ ろ うと推 測 し,そ の 実 態 を調 査 した。 そ の 結 果 を 第10表 に 示 す 。 (1)栽 培 経 験 あ りと答 え た 児 童 の 割 合 は1学 年 ・ に お い て86%に 達 し,学 年 が 進 む と少 しず つふ え て い る。 小 学 校 で は1学 年 理 科 の学 習 内 容 と

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190    滋 大 紀 要 第    23  号 1973 (第10表) 学    ・ あ  り な  し 無 答 1  学    年 86 13 1 2  学    年 91 8 1 3    学    年 93 4 3 (表注)  数値 は 百 分 率を 示 す。 して,ア サ ガオ の 種 子 か ら実 に 至 る過 程 の 観 察 が と りあ げ られ て お り,1学 年 で 実 際 に 栽 培 を 行 な っ て い るの で,栽 培 経験 の あ る 児 童 が 高 い 割 合 を 占 め るの は 当 然 で,む しろ経 験 な しと答 えた 児童 の 方 が 問 題 で あ る。 調 査 対 象 校 で は 各 児 童 に ア サ ガ オ の鉢 を 与 えて 栽 培 させ て お ワ, 経 験 な しと答 え た 児 童 は 質 問 の意 味 を じゅ うぶ ん理 解 せ ず に答 を 書 い た 可 能 性 が 強 い 。 (2)栽 培 経 験 な し と い う回答 が 信 頼 で き る もの と仮定 して,そ れ と絵 の 配 列 との 関 係 を み る と 次 の よ うに な る。(第11表)   学 年 が 進 む に つ れ てAABCDE型 の 配 列 が 少 な くな り,ABCDEA型 の 配 列 が 増 加 す るの は 第6表 にみ られ る よ うに 一 般 的 傾 向 で あ り,栽 培 経 験 が な い と答 え た 児 童 に 関 して特 徴 的 な 配 ア 直接 観察 (1'll表)       配 列 学年 AABCDE型 ABCDEA型 そ の 他 1  学  年 6  (7) 1(1) 4  (5) 2  学   年 3  (4) 2  (3) 1(1) 3  学   年 1(1) 2  (3) 0 (表注)  数 値 は人 数 を示 す 。     す る百 分率 。 ()内 は学 年 全 員 に対 列 の しか た とは い え な い 。 (3)幼 稚 園 児に お い て は 幼 稚 園 で の 栽 培 経 験 が 絵 の 配 列 に 影 響 を与 え る と推 定 され る デ ー タ が 得 られ た が,小 学 生 で は 原 則 と して 全 員 に栽 培 経験 を 持 た せ て い る た め,栽 培 経 験 の 有 無 と絵 の 配 列 の しか た との 明 確 な相 関 を判 定 す るデ ー タを 得 る こ とは で き なか っ た 。 4  概 念 形 成 と情 報 入 手 の方 法   最 近 は身 近 な 動 植 物 で あ って も,直 接 観 察 以 外 に テ レ ビ ・図 書 な ど の 間 接 的 観 察 を通 じて 認 識 した り,情 報 を入 手す る こ とが 多 い。 そ こで, 情 報 の 入 手 方 法 と概 念 形 成 との 関 係 を 分 析 して み た。 第12表 と13表 は情 報 入 手 の方 法 とそ の頻 度 を 示 して い る。 (第12表)       『察場所 学 年 学      校 自       宅 近       所 道   ば  た 1  学   年 41(0.49) 62(0.75) 29(0.35) 19(0.23) 151(1.82) 2  学  年 70(0.91) 62(0.81) 41(0.53) 13(0.17) 186(2.42) 3  学  年 60(0.85) 66(0.94) 45(0.64) 21(0.30) 192(2.74) (表注)  数 値 は 回答 数 を,()内 の 数 値 は 児 童1人 当 た りの 観 察頻 度 を示 す 。 第13表 も同 じ。 イ  間接観 察 (第13表)     情報源 学年 教  科   書 テ    レ    ビ 本 計 1  学   年 51(0.61) 40(0.48) 32(0.39) 123(1.48) 2  学   年 48(0.62) 48(0.62) 37(0.48) 133(1.73) 3  学 年 55(0.79) 37(0,53) 51(0.73) 143(2.04) 」 (1)直 接 観 察 の 場 合,1∼3学 年 を 通 してみ る と 自宅 観 察 の頻 度 が 最 も高 く,学 校 に お け る観 察 は 第2位 とな って い る。 これ は 調 査 対 象 校 の 校 区 の 自 然 環境 を 示 す もの で あ るが,同 時 に ア サ ガ オを 自宅 に 持 ち帰 って 観 察 させ て い る こ と も影 響 して い る。 (2)間 接 観 察 で は 教 科 書 で アサ ガ オ を 見 た と答 え た 児 童 が 最 も多 い が,そ の 頻 度 は3人 中2人 の 割 合 で 予 想 よ り低 率 で あ った。 (3)児 童1人 当 た りの 観 察 頻 度 は 学 年 が 進 む に つ れ て 多 くな って お り,児 童 の 観 察 ・認 知 能 力 の 向 上 を 示 して い る。 (4)直 接 ・間 接 観 察 の うち学 校 ・自宅 ・教 科 書 ・テ レ ビの4つ の情 報 源 と絵 の 配 列 との 関 係 を

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罵 生物 の成 長順 序 と世 代交 代に関 す る子 ど もの概 念形成 につ いて(奥 井) 191 分 析 す る と第14表 の よ う に な っ た 。 (第14表)      配列 革 情 報 、 AABCDE型 ABCDEA型 そ の 他 学   校 32(52) 3(33) 6(50) 自  宅 48(77) 6(67) 8(67) 1    学     年 教 科 書 40(65) 4(44) 7(58) テ  レ ビ 29(47) 5(56) 8(67) 実 人 数 62(100) 9(100) 12(100) 学   校 28(97) 37(88) 5(83) 自  宅 19(66) 37(88) 6(100) 2    学     年 教 科 書 20(69) 26(62) 2(33) テ  レ ビ 18(62) 25(60) 5(83) 実 人 数 29(100) 42(100) 6(100) 学   校 7(78) 41(85) 12(92) 自   宅 7(78) 48(100) 11(85) 3    学     年 教 科 書 8(89) 35(73) 12(92) テ  レ ビ 6(67) 23(48) 8(62) 実 人 数 9(100) 48(100) 13(100) (表注)  数値は人数を示す。  ()内 は百分率。   上表 の結 果 を み る と,1学 年 で は どの 配 列 で も 自宅 観 察 が 最 も高 い比 率 を 占 め て い る。2学 年 で は 学 校 で の 観 察 が 配 列に 大 き く影響 を与 え, 自宅 観 察 が それ に 次 ぐ。3学 年 で は 自宅 観 察 と と もに 教 科 書 に よ る間 接 観 察 の 影 響 が 大 き くな って い る。 (5)全 般 的 に み て,学 年 が進 む に つ れ て 直 接 ・ 間 接 両 方 の 観 察 頻 度 が 増 加 し,そ れ と と も にA BCDEA型 の 配 列 が 増 加 す る こ とが 明 らか に な った。 この傾 向 に 関 して 自宅 で の 観 察 と教 科 書 を通 じて の 間接 観 察 が 大 きな 要 因 と な っ て い る こ とは 確 実 で あ る。 析 し,そ の 結 果 を ア サ ガ オ の場 合 と比 較 す る。 研 究 の 方 法 1  調 査 法 (1)被 験 児 を ④ 実 験 学 級,⑧ 対 照 学 級 に 区 分   す る。(こ の調 査 では,同 一 学 年 の うち 任意 に   抽 出 した2学 級 を 被験 学 級 と し,⑧ ・⑧ に ふ   り分 け た 。 た だ し4才 児 は ④ の み1学 級)   (2)実 験 学 級 で は,ア 事前 調 査,イ 本 調 査 と   名 づ け た2種 類 の 調 査 を 実 施 し,対 照 学 級 で   は イ の み 実 施 した 。   (3)事 前 調 査 では カエ ル の 成 長 段 階 を,Aタ   マ ゴ,Bオ タマ ジ ャ ク シ, Cカ エ ル の 三 つ に 区   分 し,各 段 階 を5㎝ ×5cmの 大 き さ の 画 用 紙   に 白黒 印 刷 した もの を 封 筒 に入 れ て 児 童 に 与   え,所 定 の台 紙 の 枠 内 に 児 童 が 適 当 と考 え る   順 序 に 貼 付 させ た 。(第4図 参照) 第4図     事前 調 査に 使用 した 絵 と調 査 台紙 ね ん  くみ   な まえ 3ま い の え を した の3つ の は こ に い ち ば ん よい とお も う じゅ ん ば ん に な ら ぺ て`よ りつ け な さ い 。

`       ↑

 ,

18㎝ (台   紙) 28 ㎝

簿

  研 究IIIカ エ ルの 成長 に 関 す る幼 稚 園 児 ・       ロお        小 学 校 児 童 の概 念 形 成 研 究 の 目 的 1  成 長 順 序 の 概 念 か ら世 代 交 代 の概 念 へ の拡 張 が操 作 に よ って 強 化 され る可 能 性 な ら びに そ の 程 度 と子 ど も の年 齢 との 関 係 を 明 らか にす る。 2  カ エ ル の 成 長 順 序 お よび 世 代交 代 の概 念 形 成 の幼 稚園 ・小 学 校 児童 に お け る実 態 を 調 査 解  (4)本 調 査 で はAタ マ ゴ,Bオ タマ ジ ャ ク シ,   Cカ エ ル の 絵(事 前 調 査 とは 異 な る もの)を   各2枚 計6枚 ず つ 児 童 に 与 え,台 紙 の枠 内 に   児童 が 適 当 と考 え る順 序 で 左 か ら順 に貼 付 さ   せ た 。(第5図 参 照)  (5)貼 付終 了 後,絵 の 配 列 理 由 に つ い て 答 え   させ た 。 2  調 査 対 象 ・時 期   調 査 対 象 は 本 学 教 育 学 部 付 属 幼 稚 園 お よび 付 属 小学 校 児 童473名 で,そ の 内 わ け は 第15表 の と お りで あ る。

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192 滋 大 紀 要 第    23  号 1973 第5図    本 調 査 に使 用 した絵 と調 査 台紙

    .、       ρ 瀞 噺 .舅i ・ 翠. ・     . ●     ● 9 ● 1'曇.・ '卍 ・弓 o         ・   ・     ・ ●   ■  _ ● ,。 ニ ニ= ・ ・'二=「

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  6■     ご       C C B'           B             A             A (台 紙) ね ん  くみ  な まえ 田6ま い の え を   した の6つ のは こに   い ち ば ん よ い とお も う じ ゅん ば ん に   は りつ け な さ い。 5cm 7 cm 図 な らべ た わ け を か ぎ な さい。 36㎝ 14㎝ (第15表) 区 分  学   幼 ・4才 幼 ・5才 小  1 小  2 小  3 小   4 小   5 計 実  験   学   級      32 33 40 37 37 35 40 254 対 照  学 級 31 41 37 37 36 37 219 計       32 64 81 74 74 71 77 473   調 査 時 期 は 昭 和46年12月 中 旬 で あ る。 研 究 の 結 果 と考 察 1  事 前 調 査  (1)配 列 か らみ た 概 念 形 成 の 実 態    第6図 は 事 前 調 査 に お い て タ マ ゴ ・オ タマ         正 答 率 % 100 80 60 40 20 0 第6図     事 前調 査に おけ る正 答率 d 5 4 4 4 3     年 4 2     学 幼 5 幼 4 ジ ャ ク シ ・カ エ ル の3段 階 を 成 長 の 順 序 に 正 し く配 列 した 児童 の割 合 を 示 して い る。 幼 稚 園 の4才 児 に お い て も約70%の 正答 率 が み ら れ,小 学2年 以 上 で は 全 員 が 正 しい 配 列 を 行 な っ て い る。 ア サ ガ オ で も カ エ ル と同 じ方 法 で調 査 す る と 同 じ結 果 が 得 られ て い る(手 元 の 未 発 表 の 資 料 に よ る)の で,成 長 順 序 の概 念 は 小 学2年 ま で に ほ ぼ 完 成 され る と考 え て よい よ うに 思 わ れ る。 (2)特 定 の 枠 に お け る成 長 段 階 の選 択   第4図 の 調 査 台 紙 の 枠 の うち 三 角 形 の 頂 点 に あ た る位 置 に あ る も の に 注 目 し,こ の 枠 に カ エ ル の 三 つ の成 長 段 階 の どれ が 選 択 され た か を 分 析 した と ころ,第7図 の よ うな結 果 が 得 られ た 。   第7図 を み る と,4才 児 で は タ マ ゴ の 選 択 ﹂

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「 生 物の成 長順 序 と世代交 代に関 す る子 ど もの概 念形 成 につ いて(奥 井) 193 Ioo   80 選 択   60 率   40 (%)   20 0 第7図     上枠 へ の 成長 段 階 の選 択 24 第8図    各 学 年に お け る配 列 総 数 唖 タ マ ゴ カ エ ル \       オ タマジャクシ     ∼ 配20 裂 、6 藝 通12 ε   8 弓 5 小 4 小 3 小 2 幼 5 幼 4 年 学  率 が や や 高 い もの の三 つ と も比 較 的 近 い値 を  示 し,特 に意 識 す る こ とな くそ の 枠 に何 れ か   の段 階 を選 択 した(そ の場 合 の 確 率 は33%)   と考 え られ る 。一 方5才 児 以 上 で は タ マ ゴ を   この 枠 に選 択 す る もの が 他 の二 つ よ り圧 倒 的   に多 くな り,こ の 傾 向 は 小 学3年 まで 続 い て   い る。     4年 ・5年 で は この 枠 に カエ ル を 選 択 す る   児童 が ふ え て い る 。 オ タ マ ジ ャ ク シを こ の枠 に 選 択 す る 児 童 は 年 齢 と と もに 減 少 し5年 で は ほ とん ど い な い 。 こ の結 果 は6枚 の 絵 を 配  列 させ る本 調 査 の 結 果 と相 関 を も って お り, 三 角 形 の頂 点 の位 置 が 成 長 の 出 発点 また は 最   も強 い 印 象 を 持 つ もの を 表 出す る位 置 とな っ て い る よ うに思 わ れ る。 2  本 調 査   ・ (1)配 列 か ら み た概 念 形 成 の実 態    この 調 査 で 用 い た カ'エル の成 長 段 階 を アサ   ガオ の 場 合 と 同 様 に タ マ ゴをA,オ タ マ ジ ャ   クシをBとB'(後 者 は 足 の 生 え た もの),カ エ ル をCで 示 す と,AABB℃Cの6枚 の絵 の 配 列 は理 論 的 に は180通 りあ る。 幼 稚 園 の4才 か ら 小 学5年 まで の 児 童 が 実 際 に行 な った 配 列 は,そ の うちの60通 りで あ っ た。 配 列 の 種 類 と そ れ を 行 な っ た 児 童 の 数 ・全 体 に対 す る 百 分 率 は紙 数 め関 係 で 省略 す る。 ア.各 学 年 児 童 が 行 な った 配 列 の種 類 数 を 第   8図 に 示 す。 この 図 をみ る と配 列 の種 類 の 最 も多 い のは 幼 稚 園4才 児 で24通 り,最 も少 な い の は4通 り(小1・2・4・5)で あ る。 小学 生 は全 般 に 配 列 の種 類 が 少 な く,学 年 に よる 変 動 も 少 な い 。 第6表 に お け る ア サ ガ オ の配 列 の数 と比 較 す る と,同 一 学 年 では カエ ル の 方 が 配 列 の 数 は 少 な くな って い る。 この 4 0 ﹂ 5 j 4 ﹂ 3 年 ︼ 2 学 幼 5 幼 4 原 因 の一 つ は アサ ガ オ の 絵 の 重 複 はAの 種 子 のみ で あ るの に,カ エ ル に お い て はAタ マ ゴ ・ Cカ エ ル の二 つ の 絵 が 重 複 して い る こ とに 求 め られ る で あ ろ う。 イ.配 列 の数 を 実 験 群 と対 照 群 と で 比 較 す る と,幼 稚 園5才 児 で は 大 きな 差 が 認 め られ る が 小 学 校 の 同 一 学 年 間 では ほ とん ど差 が な く, また 群 ご との 特 性 も見 出す こ とが で き な い 。 した が っ て 事 前 調 査 に おけ る操 作 は 配 列 の 数 に は 相 関 を もた な い と判 断 され る。 ウ.児 童 が構 成 した60通 りの 配 列 の うち,最 も高 い 比 率 を 占め た の は:AABB℃CとCABB' CAの 二 つ であ った。 前 者 は成 長 の 順 序 の概 念 の 表 出 と考 え られ,後 者 は そ れ に 加 えて 世 代 交 代 の 概 念 を 表 出 してい る もの と考 え られ る。 AABB℃Cの 配 列 を行 な った 児 童 の 各 学 級 に お け る割 合 を 第9図 に,CABB℃Aの 配 列 を した 児 童 の割 合 を 第10図 に示 す 。 100 80 60 40 20 構 成 率 % 0 第9図   AABB℃C配 列 構 成 者 の 推 移 対照群 実験群 ﹂ 5 ﹂ 4 づ 3 ﹂ 2 年 学 幼 5 幼 4 エ .第9図 の 結 果 を み る ・と,AABB℃Cの 配 列 は4才 児 か ら し だ い に 増 加 し て 小 学2年 で ピ ー クに 達 し,小 学3年 ま で 続 い て い る 。 こ の 傾 向 は 実 験 群 ・対 照 群 と もほ ぼ 同 じで あ る。

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194     滋 大 系己 要 第    23  号 1973 100 80 60 40 20 0 第10図    CABB'CA配 列 構成 者 の推 移 実験 詳 対照群 小 5 弓 4 小 3 小 2 幼 5 幼 4 年 学 実 験 群 と対 照 群 のAABB℃C構 成 率 を 比 較 す る と,実 験 群 の 方 が 低 い 値 を 示 して い る が 全 体 を 統 計 的 に 検 定 す る と全 体 で は 有 意 の差 が       ロや み られ な い。 学 年 ご とに 構 成 率 の 差 を検 定 し た 結 果 で は,幼 稚 園5才 児 ・小 学4年 ・5年         に つ い て 有 意 で あ る こ とが 認 め られ た。 この こ とは,事 前 調 査 に お け る 操 作 が 少 な く と も この 三 つ の学 年 で は 本 調 査 の 結 果 に 何 らか の 影 響 を 与 え た こ と を意 味 して い る。 影 響 の 程 度 は 小 学2年 以 上 で は年 齢 と と もに 大 き くな って い る が,小 学2年 以 下 で も実 験 群 と対 照 群 の 差 が 開 い て お り,影 響 の 程 度 が 年 齢 に比 例 す る とは い え な い 。 と くに 幼 稚 園5才 児 に お い て 対 照 群 が 実 験 群 よ りAABB℃Cの 構i 成 率 が 高 い こ とは,CABB℃Aの 構 成 者 が な い だ け に,事 前 調 査 の 影 響 と して 解 釈 に苦 し む と こ ろ で あ る。 オ.第10図 の 結 果 に つ い て 検 討 す る と,CA BB℃Aの 配 列 は 幼 稚 園 児 では 全 くみ られ ず, 小学 生 で も3年 まで は低 い 構 成 率 を 示 して お り,こ の配 列 が 急 激 に増 加 す るの は 小 学4年 と5年 に お い て で あ る。 全 体 を 通 じて 実 験 群 の 構 成 率 は 対 照 群 よ り高 く,両 者 の差 は ほ ぼ 年 齢 に 比 例 して 大 き くな って い く傾 向が み ら      れ る。 カ.第9図 と10図 の結 果 を 合 わ せ 考 察 すれ ば, カエ ル の 成 長 順 序 の概 念 の 形 成 期 は 幼 稚 園 か ら小学3年 まで 続 き,小 学4年 に な って世 代 交 代 の 概 念 形 成 が 急 速 に進 展 す る と考 え られ る。 この 結 果 を 第6表 の ア サ ガ オの 場 合 と比 較す る と,ア サ ガ オ で は 世 代 交 代 の 概 念 形 成 は 第2学 年 で 急 激 に進 展 して お り,カ エ ル の 場 合 とは 明 らか に 異 な って い る。 こ の こ とか ら直 ち に 結 論 を 述 べ る とすれ ぽ,「生 物 学 的 に は 同 一 の 概 念 で あ って も,そ の形 成 時 期 は 素 材 ご と に異 な るdと い うこ とに な る。 しか し な が ら,研 究IIとIIIの 調 査 の方 法 に は 若 干 の 相違 が あ り,小 学 校 理 科 の 教 材 と して ア サ ガ オ は1年 で 扱 わ れ,カ エ ルは2年 と5年 で扱 わ れ る とい う違 い もあ るの で,上 の 結 論 は 現 在 の と ころ 仮 説 に と ど ま っ て い る。 キ.第9図 と10図 に つ い て 事前 調 査 の 影 響 を み る と,事 前 調 査 で 行 な っ た操 作 はAABB℃ Cの 配 列 を 減 少 させ,CABB'CAの 配 列 を 増 加 させ て い る よ うに み え る。 つ ま り,こ の 操 作 は 世 代 交 代 の概 念 形 成 を 促 進 す る方 向 に は た らい た と考 え られ る。 ク.第9図 ・10図 の 結 果 を 第7図 の そ れ と比 較 す る と,第7図 の 考 察 で 述 べ た よ うに 両 者 に は 相 関 が み られ る。 第7図 に お け る タマ ゴ の選 択 率 の 変 化 は 第9図 の 構 成 率 の 推 移 と対 応 して:おり,同 じく7図 の カ エ ル の 選 択 率 の 小学1年 以 上 で の変 化 は 第10図 の 構 成 率 の 推 移 と対 応 して い る。 この 相 関 が 偶 発 的 な もの か,そ れ と も必 然 的 な もの か に つ い て は 現 在 の と ころ 説 明 で き る資 料 を も って い な い 。 (2)配 列 の 理 由   児童 が 記 述 した 配 列 の 理 由 は 多 種 多 様 で あ って,表 現 の 内 容 を 区 分 す る評 価 基 準 の 設 定 は極 め て 困 難 で あ った 。 こ こ で は 概 念 形 成 と 年 齢 との 関 係を 明 らか に す る とい う 目的か ら, 一 応 次 の よ うな 基 準 を 設 定 して 結 果 の 分 析 を 行 な った 。 a  成 長 の 順 序 お よび 世 代 交 代 の 両 方 を 表 現 して い る も の (例)か え る が卵 を 産 み,お た ま じ ゃ く しに   な り,足 が 生 え て か え る に な り,ま た そ の   か え るが 卵 を産 む 。 この く り返 し。 b.成 長 の 順 序 は表 現 され て い るが 世 代 交 代 の表 現 を 欠 く もの (例)か え る は卵 か らだ ん だ ん 育 っ て,お た   ま じ ゃ く し,か え るに な る か ら。 C.  配 列 の 一 部 分 しか 説 明 して い な い も の, 主 観的 な 表 現 ま た は 成 長 と無 関 係 な表 現 を し た もの (例)か え るが 卵 を 産 むか ら,お も しろ いか   ら,よ く似 て い るか ら ∼

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P o 虚   ﹂ 9 論 守 唱 い 生物 の成長 順序 と世代 交代 に関 す る子 ど もの概 念形 成 につ いて(奥 井) 195 d.  全 く 説 明 で き な い も の,絵 の 内 容 を 誤 認 した も の (誤 認 例)卵 → ブ ド ウ ・花 ・あ わ,お た ま じ   や く し→ ドジ ョ ウ   上 記 のa-dの 基 準 に よ っ て,幼 稚 園4才 児 か ら 小 学5年 の 児 童 ま で の 絵 の 配 列 理 由 を 分 析 す る と 第11図 の よ うに な る 。 80 60 40 構   20   o 成 80 率   60 (%) 40 20 0 第11図    絵 の 配 列理 由 の比 較 分 析       '、

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      o  \ ■ 「' 小 5 小 4 小 3 年 小 2 小 一 学 幼 5 幼 4   こ の評 価 基 準 に よ る分 析 結 果 は,絵 の配 列 につ い て 得 られ た 結 果 と よ く似 た傾 向 を 示 し て い る。 第11図bの 構 成 率 は 第9図 のそ れ と, 第11図aの 構 成 率 は 第10図 の そ れ と変 化 の傾 向 は ほ ぼ 同 じで あ る。 これ は理 由 の 表 現 が絵 の配 列 に 基 づ い て 行 なわ れ る こ とか ら も当 然 期 待 され る結 果 で あ る。   理由 の記述 に関す る一般 的傾 向 と して は,d は幼 稚 園 児 に 多 く,小 学1∼3年 でbが 増 加 し,/」・学4・5年 でaが 増 加 してbと 交 代 す る こ とが あ げ られ る。 お   わ   り  に 本 研 究 は 理 科 教 育 に お い て 児 童 に 習 得 さす べ き基 本 概 念 の うち,生 物 の成 長 と世 代 交 代 の二 つ を と りあ げ,こ れ らの 概 念 が幼 稚 園 児や 小学 校 児 童 に 形 成 されて い る実 態 を 調 査 す る と と も に,概 念 形 成 に 影 響 す る要 因 を 解 明 す る こ とを 意 図 して 行 な った もの で あ る。   概 念 形 成 を解 明 す る方 法 と して,生 物(7サ ガ オ と カ エ ル)の 成 長 段 階 を い くつ か に 区分 し, 各 段 階 を 描 写 した 絵 を 児 童 に 与 え て,児 童 の 判 断 に よ りそ れ らを 適 当 と思 う順 序 に配 列 さぜ る 方 法 を 用 い た。 この 方 法 が概 念 形 成 の 測 定 法 と して 妥 当 な もの で あ るか,ま た 各 段 階 を 示 す 絵 は ど の よ うな も のが 最 適 か な ど今 後 検 討 す べ き 問 題 点 は あ るが,現 在 の と こ ろ こ の方 法 に よ っ て 頭 初 の 目的 で あ る二 つ の概 念 形 成 の 実 態 を 測 定 す る こ とが で きる と確 信 して い る。   絵 の 配 列 は,① 個 々の 絵 め 内容 の判 断,② そ れ らの絵 全 体 に共 通 す る 内容 の判 断,③ 絵 の配 列 順 序 お よび そ の 妥 当 性 の 判 断 の三 つ の ス テ ッ プ を踏 ん で 行 な わ れ,③ の ステ ップに お い て 児 童 の概 念 が 反 映 され 表 出 され る と考 え られ る。 ③ の ス テ ップは 児 童 に 与 え る絵 の 枚 数 に よ って 単 純 に も複 雑 に もな り,ひ い て は そ の こ とが絵 の 配 列 す な わ ち 概 念 の 表 出 に 影響 を 与 え る の で, 絵 の 枚 数 と配 列 との 関 係 を シス テ マ テ ィ ックに 追 跡 して お く必 要 が あ る。 これ は 本 研 究 の方 法 上 の 問 題 点 で あ り,研 究1,11,IIIを 相 互 に 比 較 す る場 合 の 難 点 で もあ る。   研 究 対 象 児 の 総 数 は1,115名 に 達 し,母 集 団 の 大 き さ と して は 適 当 で あ る と考 え られ る。 た だ,被 験 児 の 知 能 検 査 成 績 の 記 録 を 残 して い な い の で,実 験 ・対 照 両 群 の比 較 に お い て 知 能 的 に 両 群 が 等 質 で あ る と判 断 で き ない こ とは 本 報 の弱 点 で あ る。   頭 初 に設 定 した仮 説 に つ い て 研 究 の 結 果 か ら 可 能 性 の あ る結 論 を述 べ る と次 の よ うに な る。 ① 児 童 に お い て は成 長 順 序 の 概 念 が まず 形 成   され,そ の 後 世 代交 代 の 概 念 形 成 が 行 なわ れ   る。 ② これ らの 概 念 形 成 に は,児 童 の 年 齢 と飼 育   ・栽 培 経 験 が 影 響 を与 え る よ うに 思 わ れ る。 ③ 成 長 順 序 の概 念 か ら世 代 交 代 の 概 念 へ の拡   張 は,事 前 に強 化 操 作 を 加 え る こ とに よ って   促 進 され る と推 定 され る。 そ の効 果 は 年 齢 に   必 ず し も比 例 しな い。

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196 滋 大 紀 要 第    23  号 1973 ④ 児 童 の 概 念 形 成 は 素 材 依 存 性 が 強 く,生 物   学 的 に は 同 一 概 念 で あ っ て も,素 材 が 異 なれ   ぽ 概 念 の 転 移 は 困難 で あ る よ うに 思 わ れ る。 ⑤ 絵 の 配 列 理 由 を言 葉 や 文 字 に よ って 説 明す   る こと は,小 学1年(6才)以 上 に お い て 可   能 に な る。   これ ら の結 論 が ど の程 度 一 般 性 を 持 つ か に つ い て は,目 下 対 象 校 を 拡 大 して 継 続 調 査 中 で あ り,今 後 の報 告 に お い て引 き続 き明 らか に して い く予 定 で あ る。 付 昌一一n 己   本 研 究 に お い て,研 究1の 資 料提 供 に ご協 力 いた だ き,デ ー タ の一 部 転 載 の 承 認 を い た だ い た 滋 賀 県総 合 教 育 セ ン タ ー 当局 な らび に 本 学 付 属 幼 稚 園 ・中 主 幼 稚 園 の 教 官 各 位 に 深 く感 謝 す る。 研 究IIに 関 しては 守 山 市 立 守 山 小学 校,研 究IIIに関 して は 本 学 付 属 幼 稚 園 ・付 属 小学 校 の 教 官 各 位 に 大変 お 世 話 に な った 。 あ わ せ て 感 謝 の 意 を 表 した い 。 な お,研 究IIIは当研 究 室 昭 和 47年 度卒 業 生 石部 吉信 君 の 努 力 に 負 う と ころ が 大 きい。 心 か ら 感 謝 す る次 第 で あ る。 注 (1)Fundamental  concepts,自 然 科 学 の 諸 概 念 の う ち     の 最 も 基 本 的 な も の 。 エ ネ ル ギ ー 概 念 は そ の 一 例 。 (2)Strategyの 邦 訳 。 method(方 法)よ り広 い 意 味 で     用 い ら れ,技 術 的 ・実 践 的 な 意 味 合 い が 強 い 。

(3)Physical  Science  Study  Commiteeの 開 発 した ア     メ リ カ の 高 等 学 校 物 理 教 育 改 革 の た め の 新 教 育 計 画 、     理 科 教 育 現 代 化 運 動 の 先 駆 と して,世 界 中 に セ ン セ     ー シ ョ ンを ま き 起 ヒ し た 。 (4)大 庭 景 利,高 知 大 学 教 育 学 部 研 究 報 告 第2部 第22号     1 ∼76   1969 (5)  井 藤 芳 喜,  島 根 大 学 教 育 学 部 糸己要 第5巻   109∼129     1971 (6)楠 見 久,広 島 大 学 教 育 学 部 紀 要 第3部 第18号   57∼     65  1969 (7)  高 瀬 一 男,  茨 城 大 学 教 育 学AST,己要 第20号   31∼42     1970 (8)森 一 夫,教 育心 理 学研 究 第21巻 第1号  32∼42     1973 ⑨ 本 研 究 の一 部は 滋 賀 県総 合 教育 セ ンター との 共 同研    究 に 基 づ くもの で あ る。 (1① 概 念 形成 の要 因 に 年齢 を 採 用す る ことは 不 適 当 であ     る。 こ こで はPiagetの い う成熟 ・経 験 ・社会 伝達     の複合 された もの の調 査対 象 学 級 に お け る平 均 的状 態     とい う極 め てあ い ま いな 意味 しか 持 た ない 。 (11)こ れ は いわ ゆ る地 域 差 ・学 校 差 を 意味 し,児 童 の生     活 環 境 の相 違 に基 づ くもの であ ろ う。 ⑫   この 点 に関 して は00)と同 様 であ る。 (13)本 研 究 は第22回 理 科 教 育学 会(昭 和47年8月 富 山市)     に お い てそ の 一部 を 発 表 した 。 (14)観 察経 験 を 持 つ 児童 と持 た な い 児童 を独 立 した集 団     と見 て,各 集 団の 総 数 に対 す る配 列 者 の比 を求 め,     そ の 比を 順 位 尺度 に 変換 してU検 定 を 行 な った とこ     ろ,U=5が 得 られ, n,=n2=3の 値 はP=0.65で 両 者     に 差 は認 め られ な い。 両 者 を 相互 に 関 連 のあ る集 団     と見 てサ イ ン検 定 法 を用 い て も同 様 な 結果 に な った。 ⑱  本研 究 は研 究11と 同 じ く第22回 理 科 教 育学 会 に おい     てそ の 一 部を 発 表 した。 ⑯  一 元 配 置の 分 散 分 析法 に よ って 検 定 す る と次 表 の よ     うに な る。 変動因 SS df MS F 方 法(B) 群 内(W)   208.34 1,425.33 1 10 208.34 142.53 1.46 全 体(T) 1,633.67 11     F=1.46<4.96(P=0.05)よ り有 意 と は 認 め ら れ な     いo (切   群 と して 有 意 差 が 認 め ら れ な い の で 本 来 以 下 の 検 定     は 無 意 味 で あ る が,有 意 差 の 限 界 を 調 べ る た め あ え     て 行 な っ た 。 検 定 に 用 い た の は 次 式 で あ る 。     t・=XrX2/MSw  l nl十1/nx       MSw=142.53,  n,=n2=6で あ る か ら,分 母 は,     6.89と な る 。tが5弩 の 危 険 率 で 有 意 で あ る 値 は, t=     1.812(片 側 検 定,df;10で,又'一X2の 差 が8.14以     上 で あ れ ば こ れ を 満 足 す る 。 そ の 該 当 学 年 が 幼 稚 園     5才 児,小 学4年 ・5年 で あ る 。 (18)(16)と 同 じ方 法 で 検 定 を 行 な う と 次 の よ うに な る 。 変動因 SS df MS F 方 法(B) 群 内(W)   90.76 1,482.16 1 10 90.76 148.21 0.61 全 体(T) 1,572.92 11 F=0.61<4.96(P=0.05)よ り,こ の 場 合 も 有 意 と は 認 め られ な い 。 ¥ ' } 5 ・隻 声       " こ1'葺

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