[Water Resources Development Projects: Several Reports of the Water Resources Development Projects: Nam Kam Project in Thailand]

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開発計画

農林省農地局建設部 農林省関東農政局計画部 電源開発株式会社海外協力部 加 壱

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私 達 は 日本 政府 Mekong 河 Nam Kam 調査団 の一員 と して現 地調査 に参加 し, タイ Nam Kam 流域総合 開発計画 の うち農業部 門を担 当 し, 1962年 12月 Nam Kam 流域総合 開発調 査報 嘗 書 お よびNam Pung開発計画 予備設計書 を作成 した｡ここに調査 まで の経緯 お よび開発計画 の概 要 を紹介 す る｡ l Nam Kam 開発計 画 の経緯 日本政 府 は1959, 60, 61年 の 3カ年 にわ た り Mekong河主 要支 流 踏査 の ため 現 地 に調査団 を 派遣 し,1961年 9月 には ｢Mekong河主要 支 流 踏査総合報 告書 ｣ を提 出 し, Mekong河下 流 域 の早 期 開発 には特 定支 流 にお け る PilotProjectの開発 調査 を先行 せ しめ ることを 提 唱 し,

タイの Nam Kam Projectが その うちの一 つ に取 り上 げ られ た｡

H本 政府 は1961年以 降,Nam Kam 流 域 の電 力

,農

業 ,洪水 調節な どの開発 に関す る現 地調 査 を行 な うた め, 電 源 開発 K.K.お よび

農

林 省 を主 体 とす る調 査 団 を タイ に派遣 した｡ 政府 調 査 団 は1962年 12月 には ｢Nam Kam 流 域総合 開発 計画 調査報 告書｣ お よび ｢Nam Pung開発計

画予備設 計書 ｣ を

ECAFE

(メ コ ン委員会 )に提 出 した｡

タイ政府 は 日本 政府 供 与 の タイ特 別 円を もって ,Nam Kam流域 組 合開発 計 画報 告書 お よび Nam Pung開発 計画 予備設計 苦 を もとに これ ら開発計 画 の早 期実施 を計 り,1962年12月電

源闘

発 K.K.に精密設 計 を依頼 した｡ダ ムお よび発 電所 の施二[二は タイのChristianNielsenThailand が請 負 い,電 源 開発K.K.の工事 監督 (1964年 12月契 約)によ り1966年 10月を完 工 目途 と して現 在 建 設 が 進 め られ て い る｡ か んが い部 門 につ い て は まだ具 体 的実施 の段 階 に入 って い な い｡

JI Nam Kam 流域総 合 開発計 画 につい て

1

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流 域 の 概 況

Nam Kam 流 域 は Khorat高原 の北 東 に 位 置 してい る｡ Nam Pung河 は流域 の西 部 ,軒高 約

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69

-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第 4号

500mの丘 陵地帯 に 涼 を発 し, 北 東 に向 って流下L NongHan湖 に注 いで い る｡ また,Nam Kam河右 岸 の諸河 川 も西南 部丘 陵地帯か ら北 東 に向 って流下LNam Kam 河本 流 に注 いで い る｡ Nan Kam 河左岸 の諸河川は標高 約200mの北部 丘 陵地帯 に源 を発 し, おおむね 南 東 に 流 れ Nam Kam河本流 に注 ぐ緩流河 川で あ る｡

Nam Kam河本 流 はNongHan湖 に源 を発 し,水 門(Nan Ram Gate)か ら緩か に蛇行LThat Phanom地先 で Mekong河本 流 に注 ぐ延 長 約 133kmにお よぶ河 川で あ る｡

NongHan湖 の流域面積 は1,561km2で あ り,Nan Kam流域面 積 3,440km2に対 しその45%

余 りを 占め る大潮 で あ る｡ この湖水 は平 常 時湖水 面 積 約100km2,湖水 位 標 高 156.5m,最 大水 深 3.50m で あ るが , 異常洪水 時 には Nam Kam 河 本 流- の流 出量 を調整 す る役 目を も果 してい る｡既 往 記録 によ る最 高水 位時 (標高 158.72m)には最 大水深 5.70m に達 し,湖水面 積 約 166 km2,南 北 17km,東西 約 14km にお よん だ｡NongHan湖 は魚類 の種類が豊かで あ り, また魚 獲 高 も多 い｡ タイ国水 産庁 は同湖 の出 口に調整水 門を設 け,乾季 の湖面 維 持 を行 な って水産 資 源 の保 護 ,水産 業 の育 成 に努 力を払 ってい る｡ (図

-1

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4

お よび巻末 の地 図 を参照) 西 側湖 畔 にはSakoINakorn市 (人 口16,500人 ,郡 部 を含 む と153,600人)が あ り当地域 の政 治経済 の 中心 とな ってい る｡SakoINakornよ りNam Kam河本 流 に沿 って 河 口付近 の That Phanom(人 口11,000人 ,郡部 を含む と68,900人 )まで 国道 が あ り,比較 的多 くの人家 が 点在 し, 水 稲栽 培が営 まれ て い る｡ Nam Kam河 のMekong河合 流 地点 よ りMekong河 沿 いの 地域 は Nam Kam河 の流域外 で は あ るが ,人 口多 く農 地 もひ らけ国道 が河 沿 い に通 じてい る｡ 合 流点 上 流部 約 55km地 点 には NakornPhanom (人 口12,000人 ,郡 部 を含む と62,500人 ),下 流 約45 km地点 にはMukdahan (人 口12,000人 , 郡 部 を含 む と70,200人) が あ り, それぞれ 対 岸 ラ オ スの主 要都市 の ThakhekとSavannakbetに相対 してい る｡ Nam Kam流域 の地質概況 は南 東方 向 に傾動 す る大 きな地塊 で ,基盤 は三 畳 紀- ジュ ラ紀 に 属 す るKhorat銃 で あ る｡Kborat銃 は主 と して厚 い陸成 層 の砂 岩 , 硬 岩か ら構成 され てお り, Nam Pung河上 流 の ダ ム計 画 地点 の基盤 はKhorat続 の 中で も若 い地質 時 代 に属 す るものの よ

うで , ほ とん ど水平 に堆積 して極 めて ゆ るやか に槽 曲 して お り,上記 の基 盤 をおお って黄色 な い し黄 褐色 の砂質 表土 が存在 して い る｡ 地形 の平 坦部分 は ラテ ライ ト化 を うけ,小塊状 の ラテ ライ トが み られ る｡ 本 地域 の気候 は熱帯原野気候 で ,熱帯植物 の繁茂 す る熱帯 雨林気候 地域 に比べ る と総 降雨量 も比較 的少 な く降雨 量 に季 節変 動が あ るのが特 徴 とな って い る｡夏季 (6月∼ 9月) にな ると 南 西季 節風が 吹 き こんで きて連 日降雨 を もた らす｡ しか し冬 季 (11月∼ 4月) は乾 きき った北 東季 節風 の影 響 で ほ とん ど降雨が な く,夜 間 は気 温が下 が り砂 漠気候 とな る｡ この ため, この 地域で は熱帯樹林 と草木が ま じる景観 が み られ る｡ 年 間雨 量 は1万00mm前 後 ,気 温 は10

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Cを 下 ることが あ ま りな く,最 低 で 5oC 程 度で あ りその年較 差 は比較 的少 ないが , 一 日の最低 ,

種 目 降 雨 量 (n1111) 気 温 (oC) 義一1 月 別 平 均 降 雨 量,平 均 気 温 11 21.8:23.9!27.5 29.3 28.8･28.3 27.9 27.7 27.3.26.2!23.6 21.7 注) 降 雨 量 は1958.ll-1959.10の SakoINakornにお け るもの . 気 温 は1947-1958の10ヶ年平均 値 で SakoINakornにお け るもの . 最 高 の差 は大 陸性 気候 の ためか な りの変 動が み られ る｡ 2. 開発 計 画 の基本構 想

SakoINakorn市南西 約 30km,Nan Kam 河 の支 流 Nam Pung河 の上流 部 には数 カ所 の滝が あ り, 連 続 した急 流 を形成 してお り約 60m の落 差が利 用可能 で あ る｡ 滝 の上流 地点 に露 出 し てい る岩 盤上 に約 40m の ロ ックフ ィル ･ダ ムを築造 し,有 効貯水 量 約 122×106m3の Nam Pung

貯水 池 によ り 296km2の流域流 量 を貯 溜 す る｡

この貯水 池 か ら取水 して最 大 出力 6,000kwの発電所 を建 設 す る｡ この電 力 は SakoINakorn 7吊まもちろん遠 く Mekong 河 本流 沿岸 の NakornPhanom,ThatPhanom,Mukdahanの諸都 市 に供給 す る｡

また発 電所 か らの 放 水 を下 流 Nam PungBridge地点 において取水 す ることによ り, Nam

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東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第 4号

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+.MO STORAGE CAPa lTY HOt.,I') 図-2 Nam Pung貯水池の貯水量 とたん水面積

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図-3 Nam Pung貯水池の流入量曲線

Pung河 の左 右 岸 の 耕 地 (10,000ha)にか ん が い用水 を供 給 す る｡ またNongHan湖 の貯 水 容 量 は有 効 水 深 を2.0m とす れ ば 約 196:く106m3と見 積 られ る｡ この湖 は 現 在 雨季 の 洪 水 調 節用 遊 水 池 の役 割 を果 して い るが ,Nam Kam河 本 流 の通 水 能 力が 不足 して い るた め 例 年湖 周辺 に氾 濫 を起 して い る｡ この湖 を 貯 水 池 と して 利 用 す る こ とは 現 状 の ま まで も可 能 で あ り, 湖 岸 に ポ ンプ場 を設 置 して湖 水 を 揚 水 しか ん が い に利 用 す る｡ そ の 開 発 面 積 は4,500haで あ り,Nan Pung河 か ん が い面 積 とあ わせ 14,500haを 農業 用 開発 の対 象 とす る｡ Nong Han湖 な らび に

Nam Kam河 本 流 周辺 の 低 温 地 帯 の氾 濫 はNam Pung

貯

水 池 の築造 に よ り 大 幅 に軽減 され る で あ ろ う｡Nam Kam河 本 流 の 洪 水 疏 通 能 力 は Nam Kam 水 門下 流 部 にお い て わず か に約 35 m3

/

Sで あ るが ,下 流 の氾 濫 を 防止 す るに は雨 季 出水 期 にお い て最 低 155m3

/

S の疏 通 能 力が 必

要 で あ る｡NongHan湖 を 雨 季 出水 JijjJTyにお い て水 位 を 157.5m以下 に推 持 す るた め に は ,Nan Kam本 流 の河 道 を改修 す るよ りはむ しろNongHan湖 よ り北 方 に約 7.3kmの排 水 路 を掘 削 し て ,NalTIKam河 の北 側 に隣 接 す る Nam SongGram河 小 支 流HuaiNalTIUn に直 接 放 流 す る 万が 合理 的 で あ る｡ 同時 に本 排 水路はNongHan湖 揚水 か ん が い計

画

に利 用 す る｡(図-1,2,3)

3.

Nam Pung発 電 計 画 諸 元

発

電

所 位 置 ;Mekong河 水 系 Nam Kam河支 流 Nam Pung河

発 電 方 式 ;ダ ム水 路 式 水 力発 電 流 域 面 積 ;296.0km2

満

水

位 ;

284.0m

貯

水 容 量 ;155.55×106m3 堤 高 :く 堤 長 ;40mxl,719m 最 大 使 用 水 量 ;8.8m3

/

S

年 間 発 ft 電 力 ;15×106kwh 総 工

事

費 ;

5.211〉く106ドル ダ ム 型 式 ;ロ ック フ ィル た ん 水 面 も昌 21.97km2 放 水 位 ;270.0m 有 効 貯 水 量 ;122.25×106m3

堤

体 精 ;730,000m3 最 大 出 力 ;6,000kw

運転

開始 (予定);1966年 9月 Ⅲ 農 業 開 発 計 画

1

.

か ん が い地 域 の現 況 (1) 地 勢

本 地 域 の西 部 は標 高 500m内外 の NongHan段 丘 と呼 ばれ , 地 域 内を 流 れ るNam Pung河 ,

Nam Kam河 の2河 川 は この段 丘 に源を発 す る｡ 関 係 地 域 の 地勢 は平

面

状 を な し比 較 的起 伏 に 乏 しいが,Nam Pung

下

流地 区 の右 岸刑は東 南 東 に向 い,こ う配 は お お むね1/1月00,Nam Kam 河 沿 い に1/1,200,同 じ く左

岸

側 はNongHan湖 に向 い1/600-1/1,500の傾

斜

を なす｡NongHam

湖 西 部地 区 は NongHan湖 に 向 って1/1,200-1/1,600,NongHan湖 北 郡 地 区 は 同 じ く同湖 に 向 って1/700-1/1,200の こ う配 で傾 斜 す る｡

3-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第 4号 (2) 土 壌 本 地域 の地質 は 巨視 的 には 中生 代 の砂 質岩 の地層 と これ を覆 う砂 質岩 を母 体 とす る薄 い細砂 壌土 か ら構 成 され て お り,腐植 に乏 しく赤 褐色 の貯 薄 な もの で あ る｡ (3) 水 質 本 地域 関係 の水 質 は表-2の とお りで ,か んが い用水 と して支 障 はな い｡ 義-2 河 iiiZ 衣 の 分 析 成 績 (mg/∫) 盲 完 1 嘉 京 丁盲 示 T i{ W g 】 Na ｢一言 丁 義 元 1956.∼7 ChiangSaen

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蒸発

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白陶土 1mg//の濁度 を1とす る. **CaCO3mg//であ らわす . (小林純 :東南 ア ジア諸国の河川 の化学的研究による) (4) 地 下 水 NongHan湖 周辺 に展 開す る耕 地 はか な り湖 面 に近 く位 置す る もの もあ り, 一方 湖 水 位 の変 動 を既 往 (1950- 1961年)の記 録 よ り判 断 す る と約 4m 近 く変 動 して い るので ,年 間 または各 年 間 の地下 水 位 の変 動 はか な り大 きな もので あ ろ う｡ NongHan湖 の洪水 調 節計 画 は その最 高潮 水 位 を158.17m に設 定 す るので ,過 去 の地下 水 位 の推 定 と技 術 的観察 によ り永 年畑 の標 高 はお おむね 160m 以上 と し安 全 を図 った｡ 乾季 地下 水 位 は雨季 地下 水 位 に比 べ 例 年 お おむね 3-5m の低 下 を示 す模 様 で あ るので ,水 田裏 作 の乾 季 畑 作 耕地 には根群 域 の浅 い短 期 畑作 物 を栽 培 す るこ と とす れ ば, と くに水 田の標 高 を 問題 にす る必要 はな い｡ (5) 営 農 現 況 タイの農 業経 営 は零 細 経 営 で あ る｡ -戸 当 り耕 地面 積 は約3haで, そ の うち約2.8haは水 田 で あ る｡ 米 の ほか に落花 生 ,

ゴ

マ,豆類 ,キ ャ ッサ バ ,ヒマ,カ ポ ッ ク , トウモ ロ コ シ,さと

うきび, タバ コ,棉花 な どが栽 培 され てい る｡ また酪 農 品, 肉類 の生産 は少 な く,大家畜 と し て は主 と して水 牛 ,牛が飼育 され てい る｡養 鶏 は都 市近郊 で最 近著 しい発展 をみせ てい る0 タイの化学 肥料 はすべ て輸入 に頼 ってい るので,硫安 ,塩加 , トーマ ス燐肥 ,尿素 な どの価 格が 高 く, た とえば SakoINakOrnで は硫安 1kg当 り

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12-0.14ドルで あ るので水 稲栽 培で は 利 潤が得 られ ない｡ 2. 農業 開発計 画 の基本構 想 本計画 地域 の計画対象面積 は 14,500haで あ り, それ ら地域 の地 目現 況 を表-3に示 す.｡ 表-3 関 係 地 域 現 況 地 目別 面 積 地 区 名 受 益 面 積 (ha) 水 田 畑 !樹林 その他 計 Nan Pung 下流地区 9,000 0 1,000 ; 10,000 NongHan 湖 西部地区 2,500 0 0 2,500 r NongHan 湖 北部地区 1,500 0 500 2,000 計 13,000 0 1,500 14,500 本計画で は, この地方 の開発 改良 の方 針 を従 来 の雨季水 稲単 作か ら原則 的 には通 年 作の方 向 に切 り変 え ることと し,比較 的高位部 の畑 地経営 に適 す る場所 にはで きるだ け収益性 の高 い畑 作 を持 ち こむ ことと した｡ この よ うな意 味 に加 えて現在 稲 作を行 な ってい る耕地 は栽 培の 自然 条件 か らい って も雨季 には湿 地状 を呈 し通 年畑 作 には適 しない所 が 多 いので ,従 来 の よ うに水 田 と して経営 し,新 しくか んが い施設 を取 り入 れ ることによ って移植適 期 の確保 とか んが い期 間を通 しての用水 量の確 保 によ り,

一期

稲 作 の安定 化 と二期 作化 を図 る方 向で改良 を加 え る｡ この ため, さ らに NongHan湖 oj北岸 に大規 模 な排 水路 を開削 し,NongHan湖 周辺 な らび にNam Kam 河 沿 いの地域 にわ た る洪水 を調 節 し,その洪水 位 を抑制 し, 毎 年起 る水 田の浸水 害 を除去 す る｡ このため には作付 品種 の選定や 品種 の改良 が必要 で あ る｡ つ ぎに, この地方 の農家 の経営改善 に新 しい息吹 きを与 え る方 向 と しての畑 作導入 につ いて は二つ の形 式が あ る｡す なわ ち水 田の裏 作 と しての形 の もの と永年畑 とが これで あ る｡ 用水確保 によ って今 まで乾季 に放 置 され ていた土 地が高 い生産性 を もっ こととな る｡水 田裏 作 の畑 は雨季 に極 めて高 い 地下 水 位 も乾季 にはほぼ 3-5m 低下す るので , その裏作 と して の 畑 作 は湿害 を受 け ることはない｡ また永年畑 は雨季 で も地下 水 位が作物 の根群 域 内 に浸入 しな い よ うな,比 較 的高 い地勢 の既 耕地 や林地 の開拓畑 を選定 し,年 間を通 じてか んが い用水 の確 保 を図 ることと した｡ 畑地 で は比 較 的高価 な肥料 を与 え て もその収益性 の面 で均衡が とれ るので,高 い生産性 を期 - 17

5-東 南 ア ジ ア 研 究 第 3巻 第 4早 待 す るこ とが で きる｡ この よ うな構想 に従 い計画後 の耕地面 積 をそれぞ れ

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の よ うに定 め た｡ 秦-4 関 係 地 域 計 画 後 の 地 目別 面 積 表 地 区 名 N｡ng Han 湖西部地区 上,ooo NongHan湖北部地区 計

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を比較対 照すれ ば明 らか なよ うに

a Nam Pung河下 流地 区 は計画 前後 の水 田地 目に変化 はな く,樹 林 地 1,000haを 開墾 して 標高 おおむね 163-165mの畑 地 を造成 す る｡

b NongHan湖西 部地 区 は現在 の水 田 2,500haの うち比較 的高 い地勢 の標高 おおむね 162m にあ る 1,500haを畑地 に転換 し,残 余 1,000haを水 田 と して残 す｡

c NongHan湖北 部地 区は現在 の水 田 1,500haの うち,標高 160- 162.5mの水 田 500haを 畑 地 に転換 し, さ らに樹 林地 500ha (標 高 160- 162.5m)を関畑 す る ことに したので , 開 発 畑地 は 1,000ha,水 田は 1,000haとな る｡

この よ うに して全 地域 の計画後 の耕地面 積 の 区分 は水 田 11,000ha,姐 3,500ha,計 14,500ha

とな る｡

さ らに水 田 11,000haの経営 につ い ては,一 期作 の後 各地 区共 それぞ れ 約1/3の地積す なわ ち 全 域合 計 3,800haは続 いて水 田二 期作 を行 ない,他 の約 1/3の地積 3,700haは短 期畑作 に移行

(したが って この期 問の畑 作面 積 は永 年畑 3,500haと合 わせ 7,200ha),残 余 の 3,500haは休 閑 す る｡ さ らに水 田経営地 につ いては,二 期作期 間 中は この よ うな輪 換 を順次 に行 な い,池 力 の 維持 と収益増 を はか ることとす る｡ この ため と くに一 期作水 稲 には標 準 的 に 全 生育 期 間175日 (苗代 期35日,か んが い 日数 120日),二 期作水 稲 には150日(苗 代期30日,か んが い 日数 100日) の水 稲 品種 を導入 す ることが必 要 とな る｡ 現 地 は年 間を通 しての高 温 ,多照 の気候 に恵 まれ てい るので ,適正 なかんが い を行 なえ ば従 来の単調 な農業 を脱 して,多 角的農 業が可能 にな ると考 え られ る｡

3

.

用 水 計 画 (1) 計 画 の 概 要

(i)Nam Pung

河下

流地区

取 水施設 と してはNam Pung河 に頭首工 ,NongHanll/鮎南岸 にNongHan第一 揚水 機場 を新 設す る

｡

侠卜係耕地 は

頭首工

か ら取水 してか んが いす る耕地 (不 足 時 は湖 水 を揚水 してか んが いす る耕地 を含む) と, もっぱ ら揚水か んが い によ る耕地 とにわ け られ る｡

前者 は Nam Pung河 の 自然 流 量 お よび Nam Pungダ ムか ら

a

)放水 量 を 利 用 してか んが いす るのを原則 とす る地域 で あ り,関係面積 は水 m7,273.6ha,畑 785.2ha言 卜8,022.8haとな る｡後 者 は頭首工 か らの取水水 量 には一 切斬 らず , も っぱ らNongHan第 一揚水 機 か らの湖水 をか ん が いす る地域 と し, 関係面積 は水 田 1,762.4ha,畑 214.8ha,計 1,977.2haで あ る｡

つ ぎに頭首 工 か らの取水 によ りか んが いす る地積 の うち, さ らに214.8haの畑 地 は標 高が 高 くこの ままで はか んが いで きない ので, BanLatDu揚水 機場 よ り再 び揚 水 を行 ないか んが い す る｡ (ii)NongHan湖西 部地 区 NongHan第二 揚水 機場 よ り揚水 され る湖水 によ ってか んが い され るが , この揚水 機場 はNongHan湖 の洪水 調 節対 策 の ため同湖北 部 に開 削 され る大

排

水 路 の左岸 BanThungMon西 部 に設 置す る｡

(iii)NongHan湖北 部地 区 再 郡地 区 と同株 ,排水 路 の右 岸 Ban PhollSawang 附近 に NongHan第三 揚 水機場 を設 置 し, 湖 水を揚 水 しか んがいす る｡ (2) 用 水 量 用水 量の算定 は水 稲 作 と畑 作 とにわ けて行 な う｡ (i) か んが い期 間 標準 と して一 期 作水 稲 は6月10日苗 代 に播種 ,35日百 を 7月15日移植 , 以後120日間か んが い し,移植 後140日後 に (12月3日) 収穫す る.二 期 作水 稲 は12月10日苗 代 に播 種,30日苗 を 1月 4日移植 ,以後 100日か んが い ,移植後 120日で収穫 す る もojとす 6｡ し ろか きは各地 区 とも40日以 内に完 了す るよ うに し, その しろか き期 間の前半で全 かんがい面積 の 約2/3を完 了す る計画 と した｡ 畑 地 かんが い は原則 と して年 間 を通 じて行 な うこ とと した｡ (ii)単 位 用水 量 水 間用水 量 は地 形 ,土性 ,地下水 位 ,気 象条件 ,水稲 の生育 時 期 な どに よ り変 化す る もので あ り,3- 5カ年 の実測資料 に基 づ き決定すべ きもので あ るが ,調査期 間 が 短 く実測資 料 が得 られ なか ったため,草

は

F_タイ東北 地方 のかんが い計画 に使 用 され てい る諸 資 料 を もとに検 討 し,単 位用水 量 10mm/dayを採用 し, しろか き用水 量 は 150mm と した｡ 苗 代面 積 は移植 面積 の1/20と し, 苗 代準 備水 量 は 150mm,補給水 は 10mm/dayと した｡ 畑地 かんが い用水 量 は Blaney-Criddle 公式 か ら算定 した｡ 計 算 の結果 は表-5の とお りで あ る｡ (iii)純 用水 量 純 用水 量 は単位 用水 量 にそれぞれ の 対 象 区域の面精 を乗 じて求 めた｡ 各 地 区の湖別純 用水 量 は表-6の とお りで あ る｡ - 177

-束 南 ア ジ ア 研 究 第 3巻 第 4号

項別 義-5 畑 作 用 水 量 (単位 mm) 月 間 消 費 水 量 注 公式 の作物係数は K-0.75を使用 した. 表-6 純 地 区 名 Nan Pung下 流地 区 対ongHan湖西部地 区 NongHan湖北部地 区 iゝ ｢｢ 計 用 水 量 ＼ ＼ 項 如 純 用 水 量(103m3) ＼ 期 ㌫ ､､ 水 田 聖 畑 計 二 二二 3∴2,386! 6二7,550 年 計 160,721 6-11月 13,358 12-5月 4,526 年 計 r 17,884 6-11月 13,358 12-5月 4,526 年 計 17,884 6-11月 152,073 45,535 206,256 9,9851 23,343 享亘 [二重 f7:3 _

6

:

5

_

O

i

_空 ,響 竺 竺 ｣竺 竺 竺空 1__讐竺 29,840i181,913 1 年 計 196,489i 88,778L285,267 1 (iv)計 画基準年 年 間純用 水 量 の うち雨季

6-1

1月 の純 用水 量 の年 間合 計 に対 す る比率 は63.7%で あ り, また雨季 にお け る水 田純 用水 量 の比率 は83.6% で あ るか ら,本 用水 計画 の重 点 は雨季 の水 稲作 にお くこ とにす る｡ いいか えれ ば計 画 基 準 年 の設 定 は雨季 にお け る水 田の有 効 雨 量 お よび 同李 にお け るNamPung頭首工 地 点 の流 量 によ って定 ま るが,本 計画 で は ほぼ5 年 に一 度程 度 の用水 不足 を克服す る こ とを 目標 と した｡ この観 点 か ら1959年 は年 間有 効 雨 量 ,雨季 の有 効 雨 量 ともに過 去13年 間 の最 小 2位 にあた る し, 年 間 のNam Pung河 流 量 は過 去12年 間 の 渇水 第 二位 にあた るので この年 を も って 用水 計 画 基 準年 と した｡ (Ⅴ)基 準 年 にお け る用水 補給量 の計 算 1958年

1

1月 よ り1959年10月 まで5日ご とに要 補 給 水 量 を計 算 した｡ ただ し補 給水 量 には畑 地 の場 合 ,水 路損 失 を含 めてかん が い効率 を60% とみ こみ,水 田の場 合 は水 路 損失 を20% と した｡ - 179

-東 南 ア ジ ア 研 究 第 3巻 第 4号

ダ ムの放 流 量 は電 灯 その他 常 時電 力 需要 の た め放 流 す る1.7m3

/

Sの他 に, 揚 水 か ん が い の た

め に必 要 な電 力 を得 るに要 す る追 加 放 流 量 を加 え た｡ そ の計 算表 は膨 大 で あ るので割 愛す る｡

4

.

主 要 工 事 計 画

(1) 概 要

Nam Pung河 下 流 地 区 はNam PungBridge下 流 約 700mの地 点 に頭首 工 を築 設 し, 取 入方 式 は両 岸 取入 方 式 とす る｡

右 岸 取 入 水 路 は第 一 幹 線水 路 と第三 幹 線水 路 につ なが るが ,河 水 の不足 す る場 合,NongHam

第一 揚 水 機場 よ り補 給 す るた め揚 水 幹 線水 路 と頭首 工 よ り約 200m下 流 の地 点 にお い て合 流 す る｡ 左 岸 取入 水 門 か ら第 二 幹 線水 路 につ なが る｡

つ ぎにNongHan第 一 揚水 機場 は NongHan湖 辺 に近く BanThaW atとBanYangAtの ほ ぼ 中間 に建 設 す る｡ 第三 幹 線水 路 の末 端 には BanLatDu揚 水 機場 を設 置す る｡Nong Ham

湖 西 部 お よび北 部 に対 して は,NongHan湖 の洪水 調 節 の た め に新 規 に同湖 北 端 か ら東北 にむ けて開 削 され る大 排 水 路 の左右 両 岸 にNongHan第 二,NongHan第 三 揚水 機場 を設 置す る｡ (2) 頭 首

工

頭首 工 は雨季 にお け る異 常 洪 水 量 を支 障 な く流下 させ るた め, 固定 ゼ キを設 けず す べ て可 動 ゼ キ とす る｡ ま たダ ムか らの発 電 に と もな う放 流 量 を調整 す るた め, 計 画 取水 位 か ら0.5m上 を最 高取 水 位 とす る｡ この 0.5mの セ キ上 げ によ る一 日調 整 水 量 は約10万m3で あ る｡ 頭首 工 の計画 取水 位 は 163.7m,調 整 時水 位 は 164.2mで あ る｡最 大 取水 量 は右 岸 8.0m3/S,左 岸 2.66m3/Sで あ るO セ キ 長 ;37.5m 門 数 ;3連 (3) 揚 水 機 ポ ンプ の諸 元 を義一7に示 す ｡ SJ 揚 水 機 場 名 計_揚水量画 門 扉 (巾 ×高 さ);10×3.4m 持 上 方 式 ;油圧 式 ン プ 諸 プロ プ 径 ン ポ ロ 大 程 揚 最 総 h3/min･1 NongHan罪11 407i 〝 算2 〝 第3 BanLaもDu 計 Tlュ 9.7 1,l2nnl00 Z;喜 F l喜:Z: ;.oZj ポンプ 台 数 原 動 機 型原 動 機 台 数 2 ･6,000vモー ター 3 56,000Vモー ター 2 400vモー ターt l ｣ 総設備 電

力

1m3当 り

平

均 電 力 量 3 ! 750i46.71×10-3 30.10×10-3 52.08×10-3

(4)

水

路

水

路 は原 則 と して切土 区 間 は土 水 路 , 盛土 区 間 は ア ス フ ァル ト ･ライニ ング台形 断面 と し, 水 路 縦 断 こ う配 はお お むね 1/2,000- 1/6,500の範 囲 とす る｡各 地 区 にお け る水 路 延 長 は表-8 の とお りで あ る｡ 表-8 各 地 区 に お け る 水 路 延 長 l Nan Pung下流地区 53km Nong Han洞西部地区 27 Nong Han湖北部地区 23 計 (5) 所 要 工 事 費 総 工 事 費 は真一9の とお りで あ る｡ (6) 事 業 効 果 木 地 区 にお け る事 業 効果 につ い て は木 村 学 而 氏 が 詳 細 に分 析 して い るので こ こで は 省 略す る｡ 67km 1120km 17 44 97 200 表-9 総 工 事 費 地 区 名 l 総 工 事 費 I Nan Pung下流地区 $10,239,078 Nong Han湖西部地区 2,757,092 Nong Han湖北部地区 1,939,411 計 14,935,581 む す び この計 画 に も とづ いて か ん が い を行 な うこ とは この 地域 を 開発 す るの に きわ め て重 要 な こ と で あ るが, これ ら耕地 に所 期 の生 産 を 期待 す るた め に は さ らに排 水 路 , 小 用水 路 , 農 道 な どの 配 置, 適 正 耕 地 区画 の設 定 お よび部 落 配 置 な どを 含 む農 村 計 画 の樹 立 な どが必 要 で あ り, 基 幹 工 事 の工 程 の進 捗 に あ わせ て合理 的 に事 業 化 す る配 慮 が 望 まれ る｡ さ らに作 物 の 品 種改 良 , 施 肥 改 善 , 適 正 な労 力配 分 を含 む営 農 改 善 法 な どに対 す る本 格 的 な 試 験 研 究 な らび に農 民 - の そ の成 果 の展 示 は事 業 効 果 に与 え る影 響 が大 き く, しか も長 年 月 を 要 す る もの で あ るか ら, 以 上 の諸 事 顎 を解 決 す るため の農 業 試 験 展 示場 を 早 急 に設 け る こ とが 必 要 で あ ろ う｡ な お,現 地 農民 の 指導 と相 談 に あず か る農 業改 良 普 及 員 の 養 成 も急 務 の一 つ と 思 わ れ る｡ - 1