主要な研究成果
背 景
ローカル系統における大規模な事故時の復旧操作は、広範囲の系統切替が必要になるなど複雑化する。事故
時復旧操作を支援するシステムはこれまでにも開発が進められてきたが、基本となる復旧論理は複雑な組合せ
問題となるため、復旧目標系統とそこに向けた系統操作手順はそれぞれ別々に決定されることが多く、必ずし
も全体として最適性が確保できているとは限らなかった。さらに、復旧操作においては、過負荷発生を回避す
るなどの運用上の制約もあり、これらを条件としつつ、供給支障電力量を最小化する手法の開発が望まれてい
た。
目 的
復旧過程での過負荷発生を回避しつつ、供給支障量を最小化する復旧最適化手法を開発する。
主な成果
1.操作手順を考慮した事故時復旧最適化手法の開発
「復旧目標系統の探索」と「系統操作手順の探索」を一体化することで最適な系統操作を求める、遺伝的
アルゴリズム(GA)を基本とした手法を開発した(図 1)。開発した手法は、以下の手順の繰り返しからな
る。
(1)復旧目標系統の探索
復旧操作終了時の目標系統を GA により探索しつつ、計算高速化の点から局所的な系統切替法と組み
合わせることで、供給支障が局所的に最小となる復旧目標系統を生成する。
(2)系統操作手順の探索
(1)で探索したひとつの目標系統に対し、供給支障が最も小さい切替操作を逐次選択することで操作
手順を決定する。その際、一部の系統に過負荷が生じる場合には、その切替操作を候補から除き、ま
ず供給支障区域に隣接する系統からの供給力を確保する(図 2)。
2.開発した復旧最適化手法の有効性の検証
開発した手法を図 2 に示したテスト系統に適用した結果、すべての事故ケースで高速に最適な復旧操作手
順が得られた(表 1)。隣接系統からの供給力を確保する操作が実施されており、より実態を反映した復旧
操作が実現できることを確認した。
今後の展開
開発した復旧最適化手法の実用化に向けて、より実態を反映した実運用上の制約を考慮することについて検
討を進める。
主担当者 システム技術研究所 情報システム領域 主任研究員 渡邊 勇
関連報告書 「隣接系統からの供給力確保を考慮した二次系統の事故時復旧操作の最適化」電力中央研究
所報告: R05023(2006 年 6 月)
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ローカル系統における事故時の供給支障量を低減する
復旧最適化手法の開発
4.電力流通/流通コストの低減・信頼性確保
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表1 開発した復旧最適化手法の有効性の検証結果
0.07
0.04
0.03
平均計算
時間(秒)
0.07
0.09
0.21
平均計算
時間(秒)
供給支障量(MW分)
供給支障量(MW分)
100
100
100
最適解の
獲得回数
85.0
33.0
30.0
平均値
85
33
30
最適値
6
5
4
事故
ケース
100
122.0
122
3
100
68.0
68
2
100
189.0
189
1
最適解の
獲得回数
平均値
最適値
事故
ケース
0.07
0.04
0.03
平均計算
時間(秒)
0.07
0.09
0.21
平均計算
時間(秒)
供給支障量(MW分)
供給支障量(MW分)
100
100
100
最適解の
獲得回数
85.0
33.0
30.0
平均値
85
33
30
最適値
6
5
4
事故
ケース
100
122.0
122
3
100
68.0
68
2
100
189.0
189
1
最適解の
獲得回数
平均値
最適値
事故
ケース
※遺伝的アルゴリズム(GA)は毎回同じ解が得られるとは限らないので、100回計算を実行した
※全22ケース中、6ケースのみを抜粋
図2 隣接系統からの供給力確保を考慮した切替論理
供給支障区域
供給支障区域
電源ノード
負荷ノード
過負荷
①
②
過負荷となる一部の候補は除外し(①)、
復旧元の一部の負荷を他の系統に移し(②)、
供給力を確保することで復旧過程で過負荷を
生じさせない復旧操作を求める
図1 遺伝的アルゴリズム(GA)を用いたローカル系統の事故時復旧最適化手法
開始
初期目標系統の生成
局所的な
系統切替法※
指定回数に
達した?
貪欲法※
終了
目標系統の探索
最適な復旧操作の出力
(復旧までの供給支障量最小)
開始
初期目標系統の生成
局所的な
系統切替法※
指定回数に
達した?
貪欲法※
No
終了
より良い目標系統
Yes
求まった
目標系統
目標系統に
対する評価
復旧目標系統の探索
目標系統に対する
操作手順の探索
※供給支障を局所的に最小化
※供給支障の最も小さい
切替操作を逐次選択
GAによる
目標系統の探索
時間
供給支
障
電力
復旧までの
供給支障量
時間
供給支
障
電力
復旧までの
供給支障量
最適な復旧操作の出力
(復旧までの供給支障量最小)