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鳴門教育大学学術研究コレクション

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Academic year: 2021

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知的好奇心を引き起こし「主体的に学習に取り組む態度」を育てる授業の研究 ―離散グラフを題材にしてー 教科・領域教育専攻 自然系コース(数学) 村田 真人 1.はじめに PISA やTIMSS の調査結果において,数学に 対する学習意欲面での課題があることが報告さ れている。本研究では,調査結果で明らかになっ た課題を克服するためには学習者の知的好奇心 を引き起こす」受業を行い「主体的に学習に取り 組む態度」を育てることが必要であると考えた。 本研究の目的は,高等学校の離散グラフの単 元において,学習者の知的好奇心を引き起こし 「主体的に学習に取り組む態度」を育てる授業 を開発することである。 研究の目的を達成するために,最初に文部科 学省の「主体的に学習に取り組む態度」の解釈 をまとめ,本研究での「主体的に学習に取り組む 態度」の解釈を提示する。次に先行研究での知 的好奇心の解釈をまとめ,本研究での知的好奇 心の解釈を提示する。最後に本研究での「主体 的に学習に取り組む態度」と知的好奇心の解釈 をもとに授業を設計する。 2.主体的に学習に取り組む態度について 平成元(198の年から平成30ロ01司年までの間 に告示された高等学校学習指導要領解説総則編 と数学編理数編で,「主体的に学習に取り組む態 度」がどのように角鰍されているかを知るため に,具体的に記述されている部分や関係すると 考えられる部分の分析を行った。その結果,文部 指導教員 佐伯 昭彦 科学省の「主体的に学習に取り組む態度」の解 釈は以下のようにまとめることができる。 ・「主体的に学習に取り組む態度」は「学びに 向かう力,人間性等」に含まれており,「学び に向かう力,人間性等」の学習評価は「主体 的に学習に取り組む態度」の観点で見取るこ とができる。 ・数学の学習を通して,知的好奇心を含む創造 性の基礎を養うことが重要であり,それを養 うことが「主体的に学習に取り組む態痩」を 含む「学びに向かう力,人間性等」を育てる ことにつながる。 文部科学省の解釈を踏まえて,本研究では「主 体的に学習に取り組む態度」を以下のように解 釈することとする。 数学の学習を通して,学習者の知的好奇心を引 き起こすことが「主体的に学習に取り組む態 度」を育てるための要素の1つである。 3.知的好奇心について 波多野・稲垣(197のと辰野(1987)の解釈をま とめると以下のようになる。 ・人間はもともと,知的好奇心を持っており常 に情報を求めている。その情報を求める傾向 には,はっきりした方向性を持たない「拡散的 好奇心」と知識が不十分であるとわかったと -251 ー

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きに生じる「特殊的好奇心」の2 つのタイプ がある。 ・知的好奇心を引き起こすためには,学習者の 「感情」を引き起こすことが必要である5 そ の「感清」は学習者が既に持っている信念や 先入見,知識と実際に起こる現象との差異に よって生じる。 ・拡散的好奇心が働いて情報収集を行っている うちに,「新奇陶「驚き」などの感情が生じ たときに特殊的好奇心が生じると言える。 ・知的好奇心に訴えかけることにより,学習意欲 を引き起こすことができる。 以上の解釈を踏まえて,本研究では知的好奇 心を図1のように解釈することとする。拡散的 知的好奇心が働いて情報収集を行っているうち に,学習者が既に持っているものと実際に起こ る現象・事柄との差異により,感情が引き起こり, 特殊的好奇心が引き起こる。そして,特殊的好奇 心が引き起こった後にも拡散的好奇心や特殊的 好奇心が引き起こり,さらに情報収集が行われ, それを繰り返すことで,「主体的に学習に取り組 む態度」が育まれると考えた。 医蔽的好奇心 1が働いて情報 1 収集を行う 実際に起こる 現象・事柄 ’さらに拡散的 I 好奇心が働い ;て情報収集を ~行う 4 . . . .

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特殊的好奇心 が引き起こる

篇忘鷲曹ノ

参三るーー. -、 図1 本研究における知的好奇心の解釈 4.知的好奇心を引き起こし「主体的に学習に 取り組む態度」を育てる授業の研究 4.1 題材について 本研究では,題材として「離散グラフ」を選ん だ。離散グラフとは,頂点と,頂点を結ぶ辺で構 成された図のことである。授業では,次の問題を 扱うこととする。 問題;(1)~G)のグラフに一筆書きができる グラフがいくつ隠れていますか? ルール)・各点を一回しか通れません。 ・ー度使った辺は使えません。 (1) (2) (3) 4.2 授業設計 本研究では授業設計において以下の活動を取 り入れた。 a 問題を解き,全体で解法を共有する。 b 一筆書きができる条件を考える。 a の活動では,解法を考え始める時は,頂点の 個数や辺の本数などの情報を収集しており拡散 的好奇心が働いている状態であることが予想さ れる。他者の解法を見た時に,自分の解法との差 異を感じ,「新奇陛」「驚き」 といった「感情」 カ潟は起こり,特殊的好奇心が引き起こると考 えられる。b の活動では,問題の解法をもとに, 一筆書きができる条件を考えることが予想され る。ここでは,「頂点の個数や辺の本数が条件に 関係する」という考えが予想される。活動a で 得た頂点の個数や辺の本数などの情報が,一筆 書きができる条件に関係するという発見により, 「驚き」が引き起こり,さらに特殊的好奇心が引 き起こると考えられる。 5.今後の課題 本研究では授業実践ができなかったため,学 習者の知的好奇心を引き起こされたかという評 価が行えなかった。今後は本研究をもとに学習 者の知的好奇心を引き起こ封受業の設計とその 後の評価が必要である。 - 252 -

参照

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