英語リーディング授業の展開―読解からライティン
グ、プレゼンテーションへ
著者
野村 和宏
雑誌名
神戸外大論叢
巻
65
号
5
ページ
1-29
発行年
2015-03-01
URL
http://id.nii.ac.jp/1085/00001733/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja英語 リ ーデ ィ ング授業の展開
読解か ら ラ イ テ ィ ング、 プ レゼ ン テー シ ョ ンへ 野村 和宏 1 . は じめに 大学におけ る英語講読あるいは リ ーデ ィ ン グの授業では、 学習者が読解力 を 高め、 内容につい て深 く 理解 し、 論理的思考力や批判力 を高める こ と が期待 さ れ る。 さ ま ざま な分野に わた る教材や それぞれの教員 に よ る工夫 さ れた授業展 開な ど、 リ ーデ ィ ン グの授業には実に多 く の可能性が存在す る。 日本の学校教育 を語 る際に避けて通 る こ と ので き ない学習指導要領は、 ほぼ 10年に一度の改訂 を経てき てい るが、 高等学校英語科の2009年改訂、 2013年度 実施の新課程では、 英語の授業 その も の を言葉 を学ぶ コ ミ ュ ニ ケー シ ョ ンの場 面 と す る ため、 授業 を基本的に英語で行 う と し て話題 と な っ た'。 筆者は英語 教員養成関連科目 を担当す る関係 も あ り 、 実際に高等学校の生徒に こ の新課程 に準拠 し た方法で高校の教科書 を使っ て授業のデモ ンス ト レー シ ョ ン を行 う こ と も あ る2。 英語 を中心に用い ながら内容理解と 発展的言語活動 を促すのは非 常に難 しい も のがあ る。 非常勤 と し て教 え る大学で は 「英語 リ ーデ ィ ン グ」3 を担当 し てい る。 その 授業 も基本的に教員 も学生 も全て英語 を用い て行 う。 リ ーデ ィ ン グと い う 科目 名 で あ るが、 一文ずつ読んで訳す と い う い わゆる 「文法訳読形式」 は と ら ず、 内容理解につい ては英語でパ ラ フ レーズ し 、 その理解 を元に し て自 らの意見 を 英語エ ッ セ ー と い う 形 で書 く と い う 作業 を通 し て ま と め、 さ ら にはポス タ ー を 作製 し 実際に聴衆 を得 た プ レゼ ン テ ー シ ョ ン に発展 さ せ る と い う 授業 を試み た4。 本小論ではこ の授業構成 ・ 展開 と その背景にある考え方、 学生の学び、 今後の さ ら な る可能性につい て論 じ る。 1 文部科学省 ホームペ ー ジでは 「新 しい学習指導要領におい ては、 国語 をは じ め各教科等に おい て、 説明、 論述、 討論、 記録、 要約等の言語活動の充実 を図 る よ う 定めてい る が、 こ の こ と は、 言語活動が、 論理や思考な どの知的活動や コ ミ ュ ニ ケー シ ョ ン、 感性 ・ 情緒の基盤 と な る も ので あ り 、 生徒の思考力 ・ 判断力 ・ 表現力等 を育む た めに有効 な手段 で あ る こ と を 示 し た も ので あ る。 ま た、 英語 に関す る各科目につい て、 授業は英語 で行 う こ と を基本 と す る こ と も 、 こ の趣旨 に 沿 っ た も ので あ る。」 と 記 さ れ て い る。 http://www.mext.go jp/b_menu/ hakusho/nc/1343618 .htm 2 兵庫県立明石城西高校、 網干高校、 三木高校で合計10ク ラ ス授業実施 (2015年 2 月現在)。 3 1 年生科日で前期は 「英語 リ ーデ ィ ン グ I」、 後期は 「英語 リ ーデ ィ ン グ n」 と な る。 半期15 回で完結 し、 学生は前期後期で異な る。 4 大学の授業で も 「英語 を学ぶ」 から 教養や専門科目 を 「英語で学ぶ」 動き が広がっ てい る と い う 報告が あ る。 一方で は、 高度で論理的 な思考 を育む こ と がで き ない と い う 懸念 も 指摘 さ れてい る。 (『朝日新聞』 2014年 9 月19 日)。2 . 教室と い う 空間と 授業の時間 2 .1 教室で共に学ぶ意義 大学では通常、 一週間に一度、 ク ラ スのメ ンバーが教室に顔 を揃 え、 90分の 授業が展開 さ れる。 大学英語教育学会授業学研究委員会は 「70宇で表す く 理想 と す る授業> 」 5 と題 して授業学研究委員会に所属 していた全国の大学教員95 人分のコ メ ン ト をま と めたが、 筆者はそこ に 「学生が毎時間、 期待感 を持っ て 教室に向い、 教室で共に学ぶ こ と の喜び と 意義 を感 じ、 学習の達成感の余韻 を 味わっ て教室 を離れ る こ と がで き る授業」 と 記 し た。 こ の考えは現在に至 る ま で変わっ てい ない。 こ の 「教室で共に学ぶこ と の喜び と 意義」 につい ては、 学習者が共有す る時 間 と 空間がま さ に学生相互の存在 を得て初めて意味のあ る も の と な るべき と い う 考え方 で あ る。 つ ま り わ ざわ ざ定め られた曜日時限に教室に来てい るに も か かわらず、 学生が一人で も でき る、 あるいは場合によ っ ては一人でや る方が効 率がよい よ う な学習活動 を授業の中で行 う こ と をでき るだけ避けたい と い う こ と で ある。 ま た一人ひ と り の学生が教師 と それぞれ一対一で向き 合 う こ と も意 味のあ る こ と で あ るが、 ク ラ ス を学びの コ ミ ュ ニテ ィ と 考え た場合、40人の学 生が同 じ教室にい る こ と で初めて可能に な る学習 を取 り 入れ る こ と に よ り 、 学 生自身 が共に学ぶ学習者 と し ての自覚 と 責任 を も つ こ と に な る。
こ の学習者間の学び合いについ てはRodgers によ る I、 Thou、 lt の概念 を示
し た次の図1 で も明確に示 さ れてい る 6。
図1 l、 Thou、 lt の概念図
5 大学英語教育学会授業学研究委員会編 (2007) 『高等教育におけ る英語授業の研究一授業実 践事例 を中心に』 東京: 松柏社 pp 316-319
6 Carol Rodgers に よ る Reflective Practice Conference (2014) に お け る Keynote Speech の Powerpoint 資料によ る。 こ こ で I は teacher、 Thou は learner、 It は content or subject matter を 示す。
Rodgers に よればこ の図の複数の Thou は共に学ぶ複数の学習者の存在 を示す も ので、 学習者が増 え る こ と に よ り 教室での学習者間の双方向のや り 取 り の可 能性が飛躍的に増えてい く 。 授業 を構成す る学習者が相互に協力 し合い ながら
そ の学 び の意味 を 高 め る方 法 と し て 、 Cooperative Learning が あ る。 Johnson,
Johnson, & Smith はその要素 と して次の項目 を示 してい る。
・Formal cooperative learning groups might last for one class period to several weeks to complete a specific task or assignment.
・ In a cooperative learning group, students work together to accomplish shared goals.
・ They have two responsibilities: to maximize their own learning and to maxi-mize the learning of all the members of the group.
・ Students are expected to interact with members of their group, share ideas and materials, support and encourage each other's academic achievement, orally explain and elaborate the concepts and strategies being learned, and hold each other accountable for completing the assignment, using a criterion- referenced evaluation.
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Johnson, Johnson, & Smith. (1991). iv-v. こ こ に述べ られてい るのは、 達成すへき課題があ る こ と 、 共通の課題 と 日標 に取 り 組む こ と 、 お互いの学習の成果 に責任 を も つ こ と 、 相互に働 き かけ を行 い励ま し あい学習 を高めてい く こ と な どで あ る。 ま たSmith (1996) は十分に 練 られた形式 を もつ協同学習では次のよ う な5 つの基本的な要素が存在す る と 述べてい る。 Positive interdependenceFace-to-face promotive interaction
Individual accountability / personal responsibility Teamwork skills
Group processing
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Smith. (1996) . pp 75-76前述の Johnson, Johnson, & Smith と 重複す る要素 も あるが、 学習者が教室
の前にい る教師に顔 を向け続け るだけではな く 、 学習者同士が顔 を見合わせ な がら積極的に相互に関わり あ う こ と な ど、 学習者一人ひ と り が学習に貢献す る
2.2 ゲー ミ フ イケー シ ヨ ンと い う 考え方 授業の要素 を こ れ ら と は別に 「ゲー ミ フ イ ケー シ ヨ ン」 の観点か ら と ら えた ものに岸本 ・ 三上 (2013) がある。 これは学生の授業への集中力持続と 学習意 欲の向上 に対 し 、 「ゲー ミ フ イ ケー シ ヨ ン」 の要素 が有効 で あ る か ど う か を、 生 ま れた と き か ら ゲー ムが身近 に あっ たい わゆる 「ゲー ムネ イ テ ィ ブ」 と さ れ る大学生 に対 し て 実際の授業 を通 し て検証 し た も ので あ る。 「ゲー ミ フ イ ケー シ ヨ ン」 と い う のは耳慣れない言葉だが、 こ れは岸本 ・ 三上に よ れば 「ゲーム におい て プ レイ ヤー を惹きつけ継続 して遊ばせ る要素で ある 「ゲームの考え方」、 「ゲー ムデザイ ン」、 「ゲー ムメ カ ニ ク ス」 を ま と めた要素」 と の こ と で あ る7。 岸本はその講演8 におい て学生はゲームには強 く 惹き つけ られ るのに、 なぜ授 業には食いつい て こ ないのかと 考えた際に、 ゲームに あっ て授業には欠けてい る要素が明 らかにな っ た、 と 述へた。 そ う し た要素 を意図的に授業に組み込み、 学習意欲の向上 をめ ざす新 しい ス タ イ ルの授業構築 を試みた と こ ろ、 期待 し た 成果があっ た こ と を報告 し てい る。 こ う し た授業に応用で き るゲー ミ フ イ ケー シ ヨ ンの要素は次の6 つで ある。 ・ 達成可能な日標設定 成長の可視化 ・ 称賛演出 ・ 能動的参加 ・ 即時 フ イ ー ドバ ツク 自己表現 筆者自身が自分の授業 を振 り 返っ た と こ ろ、 実はこ う し た要素は筆者の授業 で こ れま で に多 く 取 り 入れて き てい る。 そのせい も あ り 学習意欲の高い学生た ちが さ ら に成長 をめ ざ し て積極的に取 り 組む こ と に役立 ち、 大学の授業評価 ア ンケー ト で も概 し て高い総合評価 を得てい る9。 こ の小論では、 読解から ライ テ ィ ン グ、 プ レゼ ンテ ー シ ョ ンへ と つ な ぐ リ ーデ ィ ン グ授業の実践 を通 し て協 同学習的要素 と ゲー ミ フ イ ケー シ ヨ ン要素に も 触れながら 、 学生た ちの学びに つい て考察 し たい。 7 岸本 ・ 三上 (2013, p.1) 8 外国語教育メ デ ィ ア学会 (LET) 2013年度全国研究大会における基調講演。 2013年 8 月 8 日。 於文京学院大学。 9 本務校の授業評価ア ンケー ト では2009年度から2014年度の 5 年間にア ンケー ト を行っ た担 当科目12科日の総合評価の平均点は 5 点満点の 「4.88」 と なっ てい る。
3 . 授業の構成と 展開 3.1 授業の概要 こ こ で取 り 上げ る授業は筆者が非常勤講師 と し て担当 し てい る神戸大学1年 生の英語 リ ーデ ィ ン グI お よび n '°で ある。 リ ーデ ィ ン グ授業のテーマ と 目標 は同大学の大学教育推進機構全学共通教育と して共通のものが設定さ れてい る。 リ ーデ ィ ン グI は 「高等学校までの既修内容の再確認 を行い ながら、 精読 ・ 速 読 な どの多様 な読みの ト レーニ ン グに よ っ て、 確かな英文読解力の基礎 を身に つけ る こ と を日標 と す る」、 リ ーデ ィ ン グn は 「英語 リ ーデ ィ ン グ I で培 っ た 英文読解力 を も と に、 読解か ら発信へ と つ ない でい く こ と をめ ざす」 と さ れて お り 、 こ の共通テーマ を踏ま えた上で、 実際に用い る教科書の選択や授業展開 につい ては担当者の裁量に委ねられてい る。 授業 を履修 し てい る学生は高校時代の学習や受験勉強 を通 し 、 既 に基本的 な 文法力や語彙力は一定の レベル に達 し てい る と 考え ら れ る。 そのためこ の リ ー デ ィ ン グ授業では、 文法訳読式の授業方法は敢えて避け、 旧課程の高校英語教 育現場ではあま り 取 り 組 んでい ない 「英語の内容 を英語で表現す る こ と を通 し て理解 し、 英語で発信す る こ と につ な ぐ」 と い う授業方法 を と る こ と と し た。 選んだ教材'' は、 音楽、 文化、 環境、 宇宙、 科学技術、 都市開発、 食料、 健康、 自然、 ビ ジネ ス な どについ て最新の ト ピ ッ ク を提供す る も ので、 本文や 練習問題 な ど全て英語で書かれてい る。 1 つのユニ ッ トは 8 ページで構成 され、 その内容は次の表1 のよ う になっ てい る。 こ れは全15ユニ ッ ト 共通で ある。 表1 Opening picture 関連す る 写真 を見て視覚的 に ト ピ ッ ク へ導入 す る。 Pre-reading Questions 関連す る質問に よ り 内容につい て考え るき っ かけ を与 え る。 Vocabulary Warm-up キー ワー ドや フ レー ズ を15取 り 上げて英語の定義 を一致 させ る。 Reading Passage 約500語のメ イ ンテ キス ト で 6 つのパラ グラ フ で構成 さ れる。 Reading Comprehension テ キス ト の主題、 語彙、 細部、 解釈について内容理解選択肢問題。 Short Answers 内容理解問題 で あるが解答は文の形 で ま と め る。 Vocabulary Building タ ー ゲ ッ ト と な る語彙の類義語、 語法 な どについ て理解 を深 め る。 Word Parts テ キス ト の語 に関連 し た接頭辞、 語根、 接尾辞 な ど を理解す る。 Grammar 基本的な文法知識のま と めと 演習。 Listening 関連テ ーマ につい て短い会話や ス ピーチ を聴い て答 え を選ぶ。 Reading 関連テ ーマ につい て短い文章 を読み答 え を選ぶ。
Write about it'2 関連テ ーマ につい て発展的 に自分の意見 を理由 をつけ て ま と める。
10 授業は半期科日で、 学生は前期はリ ーデ ィ ン グ I、 後期はリ ーデ ィ ン グ n を履修する。 前期 と 後期では担当教員 も変 わる ため、 同 じ学生 と の授業は半期15回で完結す る形 と な る。
こ の教材は メ イ ンのReading Passage のテ キス ト 本文 を日本語に訳す と い う 点では、 その英文の難易度か ら し て それほ ど難 しい も ので はない。 し か し内容 を理解 し た上で、 本文の単語や文の意味 を自分が使い こ なせ る レベルの英語 を 用い て説明的に表現す る こ と には学生は慣れてい ない。 そ こ で授業の準備 と 予 習のために本文内容に関す る英語の質問 を記 し たワー ク シー ト を前の週に配布 し てい る。 学生は それ ら の質問の解答 を準備 し て授業に臨む。 授業中はその答 を確認 し ながら 、 教員 が補足説明 を加 えて進めてい く 。 こ れは最初に述べた学 習指導要領の考え方に も通 じ る もので、 教室での教員 と 学習者のや り と り その も のが、 質疑応答や意見発表 と い っ た英語によ る コ ミ ュ ニ ケー シ ョ ンの実践 と な る よ う に心がけてい る。 年度や学期に よ っ て何回目の授業で何 を行 う かにつ い ては若干の前後があ る が、 授業全体の基本的 な構成 を表にま と め る と 次の表 2 のよ う にな る。 表2
回 テ キス ト Reading Writing Presentation 備考
1 Class Orientation, Introduction 教科書の一部 を用 意 し、 英語で言い 換 え る要領説明、 ワー ク シー ト 配布 授業オリエンテー シ ョ ン、 大学で の英語学習につ い て
2 Unit 1 Music and Mind テ キス ト の読解、 次週 ワー ク シー ト 配布 こ の日の宿題 と し てUnit 1 と Unit 2 のテ ーマ で エ ツ セ ー ラ イ テ イ ン グ課題 最初のサイ ク ル 開始
3 Unit 2 Body Language across Cultures テ キス ト の読解、 次のワー ク シー ト 配布 ラ イ テ ィ ン グ課題提出 次週のプ レゼ ン テ ー シ ョ ンについ て説明 4 Presentation 1 ラ イ テ ィ ン グ返却、 フ イ ー ドバ ツ ク 第シ ョ ン1 回プ レゼ ンテ ー 5 Unit 3 Turning Waste
into Wealth テ キス ト の読解、 次週ワー ク シー ト 配布 プ レゼ ンテ ー シ ョ ン 総評、 ベ ス ト ス ピー カ ー表彰 次のサイ クル開 始 6 Unit 4 The Search for
Other Worlds テ キス ト の読解、 次週ワー ク シー ト 配布 こ の日の宿題 と し てUnit 3 からUnit 5 のテーマでエ ツ セ ー ラ イ テ イ ン グ課題 第1 回中間成績 返却 7 Unit 5 Crowdsourcing テ キス ト の読解、 次のワー ク シー ト 配布 ラ イ テ ィ ン グ課題提出 次週のプ レゼ ン テ ー シ ョ ンについ て説明 8 Presentation 2 ラ イ テ ィ ン グ返却、 フ イ ー ドバ ツ ク 第シ ョ ン2 回プ レゼンテー 9 Unit 6 Urban Landmarks テ キス ト の読解、 次週ワー ク シー ト 配布 プ レゼ ン テ ー シ ョ ン 総評、 ベ ス ト ス ピー カ ー表彰 3 つ 目のサイ ク ル開始
10 Unit 7 Food Safety テ キス ト の読解、 次週ワー ク シー ト 配布
こ の日の宿題 と し てUnit 6
からUnit 8 のテーマでエ ツ
セ ー ラ イ テ イ ン グ課題
12 Listening、 Rcading がそれぞれのユニ ッ ト の 8 べ一 ジ日 と な る。 こ の Write about it のペ ー ジについ てはテ キス ト 自体には印刷 さ れてお ら ず、 教授用資料 と し て印刷用のべ一 ジがPDF フ ァ イ ル で別 に提供 さ れてい る。 そ こ にはテ キス ト 本文 か ら発展 さ せ た グルー プデ イ ス カ ツ シ ョ ンが可能 な テ ーマ も 記 さ れてお り 、 それ を経 て最後の ラ イ テ ィ ン グに進む よ う に組 ま れ て い る.
11 Unit 8 Spending a Fortune テ キス ト の読解、 次のワー ク シー ト 配布 ラ イ テ ィ ン グ課題提出 次週のプ レゼ ン テ ー シ ョ ンについ て説明 第2 回中間成績 返却 12 Presentation 3 ラ イ テ ィ ン グ返却、 フ イ ー ドバ ツ ク 第3 回プ レゼ ンテー シ ョ ン
13 Unit 9 Wonders of the
Deep テ キス ト の読解 プ レゼ ンテ ー シ ョ ン 総評、 ベ ス ト ス ピー カ ー表彰 期末筆記試験の 要領説明 14 Final Examination 筆記試験で 、 内容は本文理解や内容のパ ラ フレー ズな ど を問 う 15 Summary 採点 し た答案用紙 を返却、 最終成績表の配布、 お よ び今後の継続的 な英語学習に向 け て のま と め それぞれのサイ ク ル が、 テ キス ト の読解 → エ ツセ ー ラ イ テ イ ン グ → プ レ ゼ ンテ ー シ ョ ン と い う 流れで完結す る よ う に し てい る。 リ ーデ ィ ン グの統合的 な指導について馬場 (2010, p 48-49) は次の図 2 を示 し、 ポス ト ・ リ ーデ ィ ン グ活動の自己表現活動 と し て 「(i) 内容 を要約 し て述へる (書 く ) 、 (ii) 内容 を 加 えて述べ る (書 く ) 、 (iii) 感想や意見を述べる (書 く ) 、 (iv) 話の続き を考え て述へ る (書く ) 」 を提案 してい る'3。 プ レ ・ リ ーデ イ ン グ リ ーデ イ ン グ ポス ト ・ リ ーデ ィ ン グ 図2 ← 1) 導入 2) 新出語句の確認 ← 1) 第一次難読 : 全体的理解 2) 第二次難読 : 部分部分の理解 ← 1) 内容再生 2) 自己表現 授業展開 を示 し た表2 によれば、 例えば第 5 回目の授業ではテ キス ト の Unit 3 の読解 を、 第 6 回目の授業ではテ キス ト の Unit 4 の読解 を行い、 その日に Unit 3、 Unit 4、 Unit 5 の内容に関す る ライ テ ィ ングの宿題 を課す。 第 7 回目
の授業ではラ イ テ ィ ン グの宿題提出、 Unit 5 の読解、 次週の第 2 回プ レゼ ン
テー シ ョ ンの説明 を行 う。 第8 回目の授業では Unit 3、 Unit 4、 Unit 5 のいず
れかか ら一番興味関心 を も つテ ーマ を選び、 学生がプ レゼ ンテ ー シ ョ ン を行 う
と い う 流れで あ る'4。 こ のよ う にラ イ テ ィ ン グと プ レゼ ンテー シ ョ ン と い う形
で自己表現活動 を取 り 入れ る。
13 JACET 教育問題研究会編 (2011, p.121) も ポス ト ・ リ ーデ ィ ン グ活動の第 3 段階日 と して 「理解 し た内容 を活用 し、 意味のあ る コ ミ ュ ニ ケー シ ョ ン活動 を行 う」 と し てい る。
14 第 6 回目の授業日には実はまだ Unit 5は取り 上げていないが、 Unit 3、 Unit 4、 Unit 5 全て を終 え て か ら 初めて ラ イ テ ィ ン グ課題 を出す と すれば う ま く サイ クル を回 し てい く こ と がで き ない た め、Unit 3 と Unit 4が終わっ た段階で その 2 つのユニ ッ ト に さ ら に Unit 5 のテーマ も加 え、 ラ イ テ ィ ン グの ト ピ ッ ク の選択肢 を3 つに し てい る。 こ こ で学生がラ イ テ ィ ン グの た めに選んだ テ ーマ が基本的に その後に続 く プ レゼ ン テ ー シ ョ ンの下敷 き と な る。
こ の授業の評価方法につい て述べる。 こ う し た情報は授業概要や授業展開 と 共に あ ら か じ め大学のウェ ブ で公開 さ れ、 学生には周知 さ れ る。 成績は毎時間 の出席 ・ 授業参加 (10%) 、 授業への貢献 ・ プ レゼ ンテー シ ョ ン ・ 自己評価等 (25%) 、 リ フ レク シ ヨン評価 ・ 期末試験 (40%) 、 ライ テ ィ ング課題 ・ ポス ター 等宿題 (25%) の成績 をパ ソ コ ンによ る グレー ドブ ッ ク (成績管理 ソ フ ト ) '5 を用い てつけてい く 。 学期の途中、 5 回日の授業が終わっ た後と 10回日の授業 が終わっ た後の2 回、 表 2 では第 6 回目と第11回目の授業時にその段階の授業 達成度 を示 し た最新の成績表 を一人ずつ印刷 し て配布 し フ イー ドバ ツク を行 う。 こ れによ り 学生は自分の学習状況 を確認す る。 授業に出席 し着実に学習 を続け てい る学生はほ と ん どが80% 以上のス コ アにな る。 ま た欠席があ り 宿題 を提出 し てい ない学生な どの中には60% を切る成績と なる者もい る。 途中段階で中間 成績 を学生に通知す る こ と の意味は、 学期が全て終わっ て手遅れにな っ てから 不十分な学習態度 を反省 し て も取 り 戻す方法がない こ と を考えれば分かる。 筆 者は授業の成績評価は教員側 も学生側 も双方が納得でき る もので あるべき と 考 えてお り 、 そのために も こ の中間段階での成績確認は大切 で あ る。 こ の成績表 は数宇だけ で な く 、 折れ線 グラ フ で学習成果 も示 し てお り 、 こ れはゲー ミ フ イ ケー シ ヨ ンの観点か ら はま さ に成長の可視化 に他 な ら ない'6。 3.2 ラ イ テ ィ ング 学生が読解のプ ロ セ ス を経て学んだ情報や メ ッ セ ー ジ を元に、 自分の意見 を 考 え表現す る手段の一つ と し て 、 テ キス ト のそれぞれのUnit の内容に関連 し たエ ツセ ー ラ イ テ イ ン グ を課 し てい る。 例えば、 表2 の第 6 回日授業の宿題 と
し て出す第2 回日のライ テ ィ ング課題では Unit 3 Turning Waste into Wealth、
Unit 4 The Search for Other Worlds、 Unit 5 Crowdsourcing と い う それぞれの Unit のテーマ に関連 し た 3 つのエ ツセ ー ト ピ ツク を宿題のプ リ ン ト に提示す
る。 学生はその中か ら一番興味 を も っ たテ ーマ を自分で選び、 約100語の英文
を書 く 。 宿題のワー ク シー ト 冒頭は次のよ う に記 し てい る。
15 筆者が用いてい るのは 0rbis Software 社の Easy Grade Pro 3.5 とい う アメ リ カ製のソ フ ト ウェ ア で あ る。 Macintosh 版 を1997年度から使い始め、 現在 も継続 して用い てい る。 サイ ト には ソ フ ト の詳細、 試用版 な どの情報が あ り 、 最新版はVersion 4.1 と な っ てい る。 印刷 し て配布す る成績表の例はAppendix 2 に示 した。 Cf http://www.easygradepro.com/ 16 こ う し た評価方法は 「総括的評価」 に対 し て 「形成的評価」 と 呼ばれ 語教育 にお け る形成的学習評価 と フ イ ー ドバ ツク につい ては、 野村和宏 子 (2001) において論 じた。 てい る。 大学の外国 対馬輝昭、 中川典
[Homework] Writing Assignment
Choose one of the three topics below. Write a short essay of about 100 words describing your opinions. Give two reasons to support your opinion.
Unit 3: Should people be made to pay money for throwing away more than a certain amount of garbage?
Unit 4: How will the world react if we find another planet with intelligent life?
Unit 5: Will the day come when “walk-in” shops disappear and all retail business is done online?
宿題 と し て配布す る こ の用紙の中央には学生がエ ッ セ ー を書 く スペ ースが用 意 さ れ、 一番下には、 ク ラ スの他の学生 と用紙 を交換 して他の学生の書い たエ ッ セ ー を読み、 文法や表現上気づい た問題点の指摘 と 共に、 内容につい ての コ メ ン ト を書 く スペ ース を設け てい る。 宿題 を出 し た次の週の授業の最初の活動が こ の ラ イ テ ィ ン グに関す る も の と な る。 す ぐ に集 め るので はな く 、 こ の ク ラ ス メ ー ト によ る コ メ ン ト 記入 を行 う 時間 を と り 、 その後一度本人に戻 し て本人が 友人の コ メ ン ト を読み、 その後、 回収す る。 こ の段階 で ク ラ ス メ ー ト のpeer evaluation に よ る フ イ ー ドバ ツク が行 われ る こ と に な る。 集 めた ラ イ テ ィ ン グ は教員 が一週間かけて読 んで評価 し、 次の週に返却す る。 評価は表3 のよ う な 判断基準に よ り10点満点で行い、 その点数は homework と い う カ テ ゴリ ーで成 績に組み込む'7。 表3 Excellent (10) 自 分の意見が論理的 に展開 さ れ、 具体例 も示 さ れてい る。 文法 ・ 語 法上、 ほ と ん ど問題 が ない。 スペル も正確で ある。 Very Good+ (9) 自分の意見が論理的に展開 さ れ、 具体例 も示 さ れてい る。 文 法 ・ 語 法 、 スペ ル な どほ と ん ど問題 がない が、 ご く 一部 に誤 り が あ る。 Very Good (8) 自 分 の意 見 が論理的 な 展 開 さ れ てい るが、 具体例に欠け る。 文 法 ・ 語法上、 やや 不自然 な用法 がみ ら れ る。 一部の スペル に誤 り が あ る。 Good (7) や整合性が弱い部分がある。 自 分 の意 見の展開 に論理 的 にや 文 法 ・ 語法上、 やや 不自然 な用法 がみ ら れ る。 一部の スペル に誤 り があ る。 Fair (6) 自 分 の意 見 が十 分 に考 え ら れ て お らず一般論に終始 し てい る。 文法 ・ 語法上、 不自然 な用法 がみ ら れ る。 一 部 の スペ ル に誤 り が あ る。 Poor (5) 十 分 に自 分 の意 見 が述 べ ら れ て い ない。 論理的 な展開 も弱い。 文 法 ・ 語法 、 スペ ル な ど誤 り が散 見 さ れ る。 こ のラ イ テ ィ ン グは15回の授業の中で合計 3 回行 う こ と にな る。 第 1 回目の ラ イ テ ィ ン グ課題 を出す段階では、 書き方の細かい点につい ては事前に注意 を せず、 と にか く 自分で一番良い と 思 う ス タ イ ル で書い てみ る よ う に と だけ伝 え 17 提出 し ない学生は当然ながら ラ イ テ ィ ン グの点数は 0 点 と な り 、 全体の成績に影響が出て く る。 宿題 をす る こ と その も の を忘れてい た、 あ るい は書い たの に家 に忘れ て き た な どの理 由で 、 次週以降に遅れて提出す る場合 も コ メ ン ト は行 う が、 遅れた週の分だけ減点 を行 う。
る。 その結果、 多 く 観察 さ れ る典型的 な問題点は、 パラ グラ フ の概念が十分に理解で き てい ない こ と 自分の意見や主張を支え る理由付けや論理的構成が弱い こ と 文法、 語法、 表現上の誤 り が多 く 残 っ てい る こ と 書き 言葉 と 話 し言葉 を混同 し た表現が多い こ と な どで ある。 パラ グラ フ については開始行のイ ンデ ン ト を行 っ てい ない ものや、 ーつのパラ グラ フ の途中で行の右端に十分なスペ ースが余っ てい るに も関わら ず改行 し 、 あたか も項目 を箇条書き に羅列 し た よ う に な っ てい る も の も あ る。 論理的構成につい ては与え られたテーマ に対 し て まず自分の立場が明確にで き てい なかっ た り 、 理由 と 具体例が示 さ れてい なかっ た り と い つた も ので あ る。 文法、 語法、 表現上の誤 り は、 例えば主語 と 動詞の数の不一致、 現在や過去 と い っ た時制の混乱、 前置詞の誤用、 直説法 と 仮定法の使い分けの乱れ、 スペル の誤 り な どで あ る。 こ れ ら の誤 り に関連 し ては辞書の活用、 特に検索機能に優 れた電子辞書の例文検索の仕方 を説明 し、 労 を惜 し まずに辞書 を十分に活用す る こ と を意識 さ せてい る。 ま た書き 言葉 と 話 し言葉につい ては、 特に多い のが “I think” の多用 で あ る。 こ の表現は口調 を整 え る unmarked な表現 と し て話 し言葉の中に さ しは さ まれ る こ と が多 く 、 く だけ た会話では全 く 問題 にな ら な い ま で も、 読む ために書 く 文の中では多用 を避け るのが望ま しい。 自分の意見 と し て意識的に主張す るな ら代わり に “I insist” や “In my opinion” な ど を使 い、 表現 を和 ら げ るので あれば助動詞 な ど を使 う方がよい と い っ た指導 を行 う。 学生はこ う し た点を意識 して、 第 2 回目のライ テ ィ ング、 第 3 回目のライ テ ィ ン グに取 り 組 んでい く 。 集 めた ラ イ テ ィ ン グ を評価 し て得点 をつけ る際、 個々 の学生の前回、 前々回の得点 をその都度、 比較確認す る こ と はない が、 3 回の 得点の推移 をみれば、 結果的に ラ イ テ ィ ン グの得点が着実に上がっ てい る'8。 学生 も こ う し た向上 を実感す る よ う に な る。 こ れは能動的 な学習活動への参加 と その結果 と し て得 られ る成長の可視化 と もい え る。 4 . プ レゼ ン テ ー シ ョ ン 4.1 プ レゼ ン テー シ ョ ン導入の難 し さ 発信能力向上の重要性が叫ばれ る よ う に な り 、 プ レゼ ンテ ーシ ョ ン コ ンテ ス ト を開催 し た り 、 授業の中で プ レゼ ンテ ー シ ョ ンの機会 を取 り 入れた り す る こ 18 例えば2014年度前期学生 2 ク ラ ス分80名の う ち、 第 1 回目の評価が 7 点で あっ た学生は32 人で あっ た。 その内、 2 回日で評価点が上がっ た学生は23名で あっ た。
と が増 えてい る'9。 プ レゼ ンテ ー シ ョ ン と い えば定番の Powerpoint を用い て ス ラ イ ド を準備 し、 それ を映 し なが ら説明す る と い っ た こ と も多 く 、 筆者 も こ の 形式のプ レゼ ンテー シ ョ ン を2011年度のリ ーデ ィ ン グ授業で取 り入れた。 その と き は 1 ク ラ ス40人の学生 を数名ずつのグループに分け、 それぞれのグループ で テ ーマ を選び、 Powerpoint を用意 し、 グループ メ ンバー全員が交代 し ながら 説明す る と い う形 を と っ た。 中身の濃い プ レゼ ンテー シ ョ ン も あっ た一方、 多 く の グルー プ では グルー プ メ ンバーの一部の学生が準備の多 く を担当 し、 学生 の中には他の学生が書い た英文原稿の一部 を その場で初めて日 に し て聴衆 を見 る こ と な く 棒読みす る な ど2°、 結果的 には グル ー プ発表 と はい え、 当初意図 し た よ う な協同学習にな っ てい ない ケースがい く つ も見 られた。 ま た、 ある グルー プ が教室の前で発表 し てい る際 に、 残 り の大多数の学生は Powerpoint のス ラ イ ドや発表者 に注目 し てい ない な ど、 集中力の欠け た学生 を多 く 目にす る こ と に な っ た。 他の理由 と し ては、 教室に備 わっ てい る天吊 り のプ ロ ジ ェ ク タ ーの ラ ン プ照度が弱 く 、 教室 を あ る程度暗 く し なければ画面が見え ない と い う こ と も発表への集中力低下に関係 し てい た と 考え られ る。 こ の よ う に こ う し た Powerpoint を用い た プ レゼ ンテ ー シ ョ ン で は期待 し た 学習効果 を得 る こ と はで き なかっ たため、 工夫 し改善 を加 えて た ど り つい たの が現在のポス タ ープ レゼ ンテ ー シ ョ ンのス タ イ ル で、 2012年度か ら授業の中に 組み込み、 現在に至 っ てい る。 こ れはゲー ミ フ イ ケー シ ヨ ンの要素で あ る 「達 成可能 な目標設定」 「称賛演出」 「能動的参加」 「即時フ イ ー ドバ ツク」 「自己表 現」 な どの要素 も合 わせて実現で き る方法 と な っ てい る。 4.2 ポス タ ー プ レゼ ンテ ー シ ョ ンの展開 前述の Powerpoint プ レゼ ン テ ー シ ョ ンの反省 をふま え て 改善 し た点の一つ は、 学生全員が常に何 らかの形で活動に参加 し、 授業に貢献でき る よ う にす る こ と で ある。 発表者 と し ての発表その ものと 聴衆 と し て発表 を聴 く と い う 活動、 その後の Reflection sheet への記入 を通 し た内省 ま で全て を90分の授業一 コ マ の内に完結 さ せ る よ う に構成 し てい る。 テ キス ト の内容 を読解 し、 自分の意見 をエ ッ セ ーの形で書き 言葉 と し てのラ 19 神戸大学で は2010年度か ら 国際 コ ミ ュ ニ ケー シ ョ ンセ ン タ ー主催の英語 プ レゼ ン テ ー シ ョ ン コ ン テ ス ト を開催 し てい る。 ま た近畿地区高等専門学校 も2007年度か ら 毎年、 英語 プ レゼ ンテー シ ョ ン コ ンテ ス ト を、 兵庫県高等学校は国際科、 英語科 を もつ学校が中心に な り グロ ー バル英語 プ レゼ ンテー シ ョ ン コ ンテ ス ト を2010年度から開催 し てい る。
20 聴衆 と 良好 な関係 を作 る こ と につい て Hendricks et al. (1996, p.133) は “Building rapport with your audience is critical. I f you develop rapport at the beginning of your presentation, your audience participants will sense that you have a genuine interest in them and will respond posi-tively to what you tell tern ” と 述べてい る。
イ テ イ ン グ課題 にま と め、 さ ら にそれ を発展 さ せて今度は話 し言葉 と し て自 ら の声で聴衆に直接語 り かけ る。 その際に学生は A 4 用紙 1 枚のポス タ ー を作成 し て用い る。 こ の よ う に学生は Powerpoint を一切使 わない プ レゼ ンテ ー シ ョ ン を行 う。 こ のプ レゼ ンテ ー シ ョ ン方法の説明のためにプ リ ン ト を用意 して配布す る2
'。
ポス タ ー作成はパ ソ コ ン を使 っ て も よい し、 手書き で も構わない。 教室には印 刷 し た ポス タ ー一枚 を持参 さ せ る。 それ を用い た実際の授業時の進行手順は次 の よ う な も ので あ る。 (1) 40人の学生は座席の近い学生224 名ずつ10の異な る グループ を作 る。 (2) グループ に対 し それぞれ グループ 1 から グループ10ま で を指定す る。 (3) 各 グル ー プ内 で じ やんけ ん を し て勝っ た順 に発表者 A、B、C、D を決め る。 (4) 教室の前後、 横の壁 な ど10箇所 に分かれ、 発表者 A がポス タ ー を貼 る。 (5) A の学生の発表に対 し て B、 C、 D の学生が周 り に集 ま っ て発表 を聞 く 。 (6) A は同 じ発表 を 2 回行 う 。 2 回目は異な る グル ー プの B、 C、 D が聞 く 。 (7) 同様に B の学生が発表す る と き は A、 C、 D の学生が聴衆 と し て聞 く 。 (8) B も A と 同 じ く 聴衆の グル ープ を変 えて 2 回発表 を行 う。 (9) こ の手順 に従い ながら順次 C、 D へ と 発表 を進め る。 発表の様子がよ く 分か る よ う に写真 を示 し た。 図 3 は教室前方の黒板方向 を 写 し た も の、 図 4 は前か ら教室の後 ろの方向 を写 し た も ので あ る。 図 5 は教室 の窓にポス タ ー を貼 っ て プ レゼ ンテ ー シ ョ ン を行 っ てい る男子学生の様子で あ る 。21 Appendix 1 参照。 The Chicago Handbook for Teachers (1999, p 45) で も グループ ワー ク 等 を与 え る際に “Be sure to give students guidance in advance, so that they will understand what they are going to do and what is expected of them ” と し て、 学生が十分に内容や日的 を理解 す る大切 さ を述べてい る。 22 座席は毎時間自由に好 き な場所に座 らせ てい る。 こ れは学生の自発性 を尊重 し てい る た め で あ る。 授業開始後す ぐ に行 う 出席確認 の際、 学生は必ず教員 に アイ コ ン タ ク ト を し なが ら 返事 をす る。 その時に名 簿の欄 に 「3F2」 と か 「5B3」 のよ う に瞬時に書き入れてい く 。 こ の 意味はその学生が 「右か ら 3 列目の前から 2 番目」 「右から 5 列目の後 ろか ら 3 番目」 に着席 し てい る と い う こ と で ある。
図 3 ポス タ ー プ レゼ ン テー シ ョ ンの様子 (写真) 図 4 ポス タ ー プ レゼ ン テー シ ョ ンの様子 (写真) さ ら に詳 し く 説明す れば、 グル ー プ 1 の発表者 A が発表す る場合、 その 1 回目のプ レゼ ン テ ー シ ョ ンでは同 じ グル ー プ 1 の B、 C、 D が回 り に集 ま っ て 聴衆 と な る。 同 じ よ う に グル ー プ 2 の発表者 A が発表す る場合、 その 1 回目 のプ レゼ ンテ ー シ ョ ンでは同 じ グループ 2 の B、 C、 D が聴衆 と な る。 発表者 A の 2 回目のプ レゼ ンテ ー シ ョ ンでは、 聴衆で あ る B、 C、 D が 3 人
一緒に時計回 り に 隣の グルー プの場 所に移動 し、 その グ ル ー プ の A の 発表 を聞 く こ と に な る。 グル ー プ 1 の A は 2 回日 に は隣のグループ10 の B、 C、 D を聴 衆に もつ。 こ う し て A が 2 回の発表 を終え る 図 5 ポス タ ー プ レゼ ン テー シ ョ ンの様子 (写真)
●
I A●
2A●●● ●●●
I B, C, D 2B, C, D●
10A●●●
10B, C, D●
3A●●●
4B, C, D 図 6 各グルー プ A の 1 回目発表 と 、 次は B の発表 と な る。 B は元々の自分の グル ー プ の場所 に ポ ス タ ー を貼 る。 C、 D は さ ら に時計回 り に次のグループの B の発表者の場所に移動す る。 発表 を終 え た A は自分の グルー プの C、 D に合流 し 、 他の グル ー プの B の発 表 を聞 く 。 B の 1 回目が終わる と 、 再び、 A、 C、 D は時計回 り に次の グル ー プの B の発表 を聞 く 。 発表その ものは 3 分程度、 その後に質疑応答 を 1 分程度、 合計で 1 回の発表 は 4 分 と し てい る。 も う 少 し長い発表時間 を与えたい と こ ろだが、 グループ を 作 り 、 順番 を決 め、 ポ ス タ ー を貼 っ た り 、 発表者 が入 れ替 わ っ た り 、 最後 にReflection sheet に 記入 し た り と い っ た作業 を全て授業 の90分の枠の中で 終わ らせ る ために 止む を得 ない と こ ろ で あ る。 こ う し た プ ロ セ ス を繰 り 返す。 こ のこ と で結果的に は学生一人ひ と り が、 2 回の発表で 合計 6 人の聴衆に 対 し て話 し、 聴衆 と し ては他の 6 人 の発表 を聞 く こ と に な る。 こ の形式 に よ り 、 学生はま ずは物理的に立 ち 続け、 常に話すか 聞 く と い う 活動 を 続け る こ と で、 集 中力 を保 ちなが ら 授業の活動に積極 的に参加す る こ と に な る23。
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I B●
2B●●● ●●●
9A, C, D 10A, C, D●
10B●●●
8A, C, D●
3B●●●
I A, C, D 図 7 各グルー プ A の 2 回目発表●
I A●
2A●●● ●●●
10B, C, D I B, C, D●
10A●●●
9B, C, D●
3A●●●
2B, C, D 図 8 各グルー プ B の 1 回目発表 4.3 プ レゼ ン テー シ ョ ンの評価 教室で行われ る教育活動の全て に意味がある と すれば、 こ う し た全員参加型 のプ レゼ ンテ ー シ ョ ンにおい て も個々の学生の取組みは正 し く 評価 さ れなけれ ばな ら ない。 一方、 1 人の教師が40人の学生一人ひ と り のプ レゼ ンテー シ ョ ン の行 われてい る ま さ にその状況 を全て把握す るのは物理的に不可能で あ る こ と は明白で ある。 そ こ で こ の取組みでは評価の全て を教師一人が行 う と い う こ と を まず放棄 し 、 学生に も その評価の一端 を委 ね る こ と と し、 次のよ う な 3 つの 23 Harmer (2001 , pp.117-118) で は グル ー プ ワ ー ク の advantage の一 つ と し て “It promoteslearner autonomy by allowing students to make their own decisions in the group without being told what to do by the teacher ” と 述べてい る。 学生が自 ら 考え て参加す る こ と に意味がある。
多角的 な評価方法 を取 り 入れてい る。 ・ 教師から学生への評価 学生から学生への評価 学生自身によ る評価 まず教師か ら 学生への評価は、 発表後に提出 さ せ る ポス タ ーの英語表現、 レ イ ア ウ ト 、 仕上げについ ての評価 と 、 Reflection sheet に書かれた学生の内省に 対 し ての評価で ある。 学生から学生への評価は次のよ う な方法で行 う。 学生は 6 人の発表 を聞い た後、 説得力、 ポス タ ーの出来ばえ、 発表の仕方 な ど良かっ た と 思 う 発表者 2 名の名前 を最後に投票す る。 こ れは音楽 コ ン ク ール でい う 「聴衆賞」24 のよ う な意味合い を も つ。 こ の相互投票の投票数 を基本点数に加 算す る もので ある。 具体的な方法は4.3.3 で述べる。 そ して学生白身によ る評価 は Reflection sheet の質問項目に対す る自己評価の得点で あ る。 こ れ ら を全て 取 り 込む形 で プ レゼ ンテ ー シ ョ ン評価 と す る。 次に こ れ ら につい て順次詳 し く 述べ る。 4.3.1 ポス タ ーの評価 第 1 回日の発表に向けて説明す る際に Appendix 1 に示 し た プ リ ン ト を配布 す る。 こ の プ リ ン ト にはポス タ ー レイ ア ウ ト の縮小イ メ ー ジ図 を示 し、 解説 も 加 えてい る。 実際に学生が準備 し て く る ポス タ ーの中には、 パ ソ コ ン を使用 し た も のの多 く が WORD の A 4 サイ ズの文書作成の基本 フ オーマ ツ ト を そのま ま用い、 上下左右に大き く マ ー ジ ンが残 っ てお り 、 文宇のサイ ズ も小 さ く 、 さ ら に文章 を ぎ っ し り タ イ プ し てい る よ う な も のがあ る。 こ のよ う な ポス タ ーで あ る と 、 発表す る際に学生本人 も ず っ と ポス タ ーの方 に目 をや り 、 そ こ に書い て ある文章 を読み続け る こ と が起こ る。 ま たせ っ か く ポス タ ー を用意 し てい る に も かかわら ず、 文宇ばか り で視覚的 にメ ッ セ ー ジが伝わ り に く い も の も あ る。 第 1 回日のポス タ ー評価においては上記のよ う な点について重点的に コ メ ン ト を行い、 第 2 回目に向けては、 上下左右のマ ー ジ ン を狭 く し て用紙のスペ ー ス を最大限に活用す る こ と 、 文字は項日の要点 を文ではな く 短い フ レーズで箇 条書き のよ う に示すに と どめ長い文章は入れない こ と 、 文宇のサイ ズ を大き く し 、 読みやすい フ ォ ン ト を使 う よ う にす る こ と な どに注意す る よ う 伝 え る。 第 2 回日のプ レゼ ンテ ー シ ョ ンでは こ う し た観点 を十分に理解す る こ と に よ 24 例えば日本音楽 コ ン ク ールで は参加規程の最後に 「聴衆賞」 につ い て 「各部門の本選で聴 衆によ る投票 を行い、 強い印象 を受け感動 し た と し て最 も多 く 得票 し た出場者 (作品) に対 し、 主催者か ら 贈 り ま す。」 と 記載 し てい る。 http://oncon.mainichi-classic jp/common/entry4.shtml
り ポス タ ーの仕上が り 自体が大 き く 改善 さ れて く る。 見た瞬間に目 を引 く よ う な力強い ポス タ ー も 見 ら れ る よ う に な る。 さ ら に良い も のにす る ために レイ ア ウ ト 、 写真やイ ラ ス ト の使用、 白黒印刷ではな く カ ラ ーの使用 な ど、 改善で き る点につい て指摘 を行 う と 、 第 3 回目の最終回には素晴 ら しい ポス タ ーが多 く 見 ら れ る よ う に な る。 こ のポス タ ーの改善につい ての一例 と し て同一学生に よ る 3 回のポス タ ーの変化 を図 9 と 図10に示 し た。 ポス タ ーについ ては発表後に 回収 し、 教員 に よ る10段階の評価 を与え、 コ メ ン ト をつけて次週に返却す る。 こ の評価は成績処理の際に homework のカ テ ゴリ ーに加 え る。 i n, 1470096L Tamae M aeno t , ,l l
c: Sho d the study ' im gu; go be a p of lea
-
ng orei gn language?clem on: Yes,we should
Reaeon 1
Wh n we say Bomet hi ng to other p ple
一70% of what we say co g m non erbal comm tion.
一we can under tand who we talk to eeh g fa的 e,【 roe ion. 1・ l
Reason 2:
We have many body langua
→n ca能, we mem totally dif11en nt using same go tun . 一we n understandm g about each other
j
Conclusion:
For y n a ns, the etudy of body lm guage houldbe a par t of lear ning a fo ign language
' ・ 1' .
-r・Poster
1470096l Tamae Maeno一
hould we ban on
importing food?
My opinion: Yes, We Sh o u ld . Reason 1:Importing food for long distance
→needs food preservative.
→causes environmental pollution. Reason 2:
Importing too much food can make our own country s agriculture weaken.
Conclusion:
We should ban on importing food
図 9 学生 T.M の第 1 回目のポス タ ー 図10 学生 T.M の第 3 回目のポス タ ー 4.3.2 デ リ バ リ ー にお け る到達目標設定 こ のプ レゼ ンテ ー シ ョ ンの取組みにおい て最初か ら優れた ポス タ ーの作成や 質の高い英語、 十分 な アイ コ ン タ ク ト や ジェ スチ ヤーの あ る発表 な ど を要求す る と 、 あま り の難 し さ に それま で高校時代 に こ う し た プ レゼ ン テ ー シ ョ ン を全 く や っ た こ と がない学生は戸惑 っ て し ま う。 そのため 3 回のプ レゼ ンテ ー シ ョ ンの機会 を利用 し 、 達成すへき 目標の難易度は回 を経 る ご と に少 し ずつ上げて い く よ う にす る。 デ リ バ リ ーは具体的には次の表 4 のよ う に目標 を定め る。
表 4 第 1 回日 発表の際に原稿 を持っ て も よ い が、 聴衆 を意識 し て で き る だけ原稿 を読み続け る こ と がない よ う に心がけ る。 第 2 回日 原稿 につい ては手のひ ら サイ ズ程度の大き さ のメ モ で あれば持っ て も よ い。 3 人の 聴衆に対 し てバ ラ ン スのよ い アイ コ ン タ ク ト を心がけ る。 第 3 回日 原稿や メ モ を用い ない。 手には何 も 持た ない。 聴衆に し っ か り と 話 し かけ る よ う に す る。 両手は時には ジ ェ スチ ヤー をす る こ と で要点 を強調 し てみ る。 第 3 回目は原稿 を始めと し て両手には何 も持た ない と い う 目標設定 を行 う。 こ のこ と に不安 を感 じ る学生や完璧 を日指す学生の中には、 話す文章 を何度 も 推敲 し て まずは完全原稿の形 で ま と め、 時間 をかけ て練習 し、 し っ か り 暗記 し て manuscript speech と memorized speech の両方の利点 を活か し た形で本番に 臨む者 もい る。 一方、 完全原稿 を作 っ た り 、 完璧に覚 え る ために必要 と な る時 間 を割い た り す る こ と がで き ない と い う 理由で、 要点 を箇条書き にす る な ど し て、 自分の伝えたい メ ッ セ ー ジの重要点 をまずは十分に理解 し、 完全暗記は最 初から放棄 し、 要点 を思い起こ し ながら その場でつ ない でい こ う と す る学生 も い る。 十分 に準備 がで き て お ら ず、 ほ と ん ど当日 に impromptu speech に近い 状態 で 発 表 す る と い う のは論外 で あ る が、 そ れ以外 の manuscript speech や
memorized speech、 そ し て extemporaneous speech は場面に よ っ て使い分け るへ き 重 要 な ス ピーチ の ス タ イ ル25 で あ る。 第 3 回目に なれば、 学生自身 が自分 の発表能力に合わせて、 結果 と し て良い発表にす る ためには どのよ う な ス タ イ ル を用い るべき か、 どのよ う に練習すへき かな ど考えて準備 を し てい る。 こ の よ う に積極的 で能動的 な取組みが見 られ る よ う にな る。 第 3 回日の Reflection sheet の自由記述欄 には、 完全に暗記 し て自信 を も っ て発表 し た こ と で余裕が生まれ、 十分に聴衆にアイ コ ン タ ク ト を取 り なが ら話 しかけ る こ と がで き た と い う 内省 と 共に、 逆にき ちん と 暗記 し てい た こ と で融 通が利かな く な り 聴衆の予期せぬ反応に臨機応変に対応で き なかっ た と い う内 省 があ る26。 ま た原稿 を暗記 し て く る こ と な く 聴衆の反応 を確かめなが ら自分 が理解 し て用い る こ と ので き る生の言葉で説明 し よ う と し た学生の中には、 や は り 急 には適切 な表現が思い浮かばない こ と がよ く 分かっ た と い う反省点 も あ る。 し っ か り 準備 し て重要な表現は練習 し て覚 えてお く こ と で自分の ものに し、 本番では聴衆の反応 を確かめなが ら柔軟に自発性 を も っ て語 る、 い わゆる ex- temporaneous speech のス タ イ ル が理想的 な プ レゼ ンテ ー シ ョ ンの姿で あ る。 25 ス ピーチのス タ イ ルの特徴や それ ら の具体的 な練習方法につい ては野村 (2011 ) で論 じ た。 26 アイ コ ン タ ク ト につい て レイ ノ ル ズ (2011, p 84) は 「聴衆 と 白然な アイ コ ン タ ク ト を保つ こ と はき わめて重 要だ。 原稿 を読んだ り 、 メ モ に頼 っ た り し ない よ う に私が忠告す る理由の 一つ が こ こ に あ る 原稿 に目 を落 と し な が ら 、 同時に人々の目 を見つ け る こ と は難 し い か ら だ。」 と 述べ、 アイ コ ン タ ク ト で聴衆 と 心 を通わせ る こ と の重要性 を述べてい る。
4.3 .3 学生によ る相互評価 プ レゼ ンテ ー シ ョ ンの発表点は準備 し て発表 を行 っ た学生全員 に基礎点 と し て合格点に相当す る 6 点 を与える。 こ れは どのよ う な発表であっ て も人前に立っ て定め られた時間、 英語に よ る プ レゼ ンテ ー シ ョ ン と 質疑応答 を行 っ た、 と い う こ と に対す る一定の評価で ある。 こ れに加 えて前述の聴衆賞に相当す る学生 の投票 に よ る得点 を加 え る こ と に し てい る。 全ての学生が 2 回発表す る。 1 回の発表で 3 人の聴衆 を もつため、 2 回の発 表に よ り 合計 6 名のク ラ ス メ ー ト に発表 を聞い て も ら う こ と に な る。 ま た聴衆 と し て自分が A で あっ た場合は、 他のグループの B を 2 人、 C を 2 人、 D を 2 人 と 6 人の発表者 を聞 く こ と にな る。 こ の 6 人の中か ら自分が良かっ た と 思 う 2 名の名前 を投票す るので あ る。 こ の場合の判断は総合的評価で、 ポス タ ーの 出来栄え、 意見の説得力、 英語の分か りやす さ 、 発表のマナーや自信 ・ 態度、 質疑応答な どの項目から印象的だ っ た学生 を 2 名選ぶこ と にな る。 6 人の聴衆の う ちの 3 名から投票 さ れた場合は、 基礎点の 6 点にその 3 点 を 加 えた合計 9 点 をプ レゼ ンテー シ ョ ンの点と す る。 も し 4 名か ら投票 さ れた場 合は10点 と な る。 中には 5 名 さ ら には 6 名全員から優れた発表者 と し て投票 さ れ る学生 も あ る。 こ の場合は基礎点に加 え る と 合計が11 点あるいは12点に な る が、 上限は10点 と して扱 う。 こ のよ う に評価に対 して も能動的に参加す る こ と を促 し てい る。 こ の相互投票 で 10点 を得 た学生は次週に Best Presenter と し て 表彰 を行 う。 市販のハガ キサイ ズの小 さ い表彰状用紙に印刷 し て表彰状 を用意 し 、 順番に名前 を呼び、 ク ラ スの前で表彰状の授与式 を行 う。 こ れはま さ に称 賛演出の実践で あ る。 熱心に取組 んだ結果、 相応の評価 を受け、 拍手の中で表 彰状 を受け る こ と は学生に と っ て大き な励みにな る よ う で、 中には非常に意欲 的に取組み、 3 回のプ レゼ ンテ ー シ ョ ン全て におい て Best Presenter Award を
獲得 し た学生 もい る。
4.3.4 Reflection sheet による内省
全員の発表が終わっ た後に行 う 作業は 3 つ ある。 1 つはポス タ ーの提出、 2 つ 目は優れ た発表者名 の投票、 そ し て 3 つ 目が Reflection sheet への記入 で あ る。 こ の Reflection の用紙は 2 部か ら成っ てお り 、 5 つの質問項日に対 し て自 己採点す る部分 と 、 自分の発表への取組みと その成果につい て振 り 返っ て記述 す る部分で あ る。 こ の記入作業は自 ら の学び を振 り 返 る ために重要な部分で あ る こ と か ら 、 授業の最後に10分ほ どの時間枠 を確保す る よ う に努めてい る。 Reflection sheet 前半はプ レゼ ンテ ー シ ョ ンについ ての自己採点 と な っ てい る。 こ れは次のよ う な項目か ら行 う。Evaluation on Poster Presentation
1 means Lowest, 5 means Highest except question No 5 1. 発表の練習 な ど準備は十分に行い ま し たか。 (Did you prepare enough?) 1 2 3 2. 聞 き 手の目 を し っ か り 見て話せま し たか。 (Did you make good eye contact?) 1 2 3 3. 十分大きい声で話せま したか。 (Did you speak loud enough?) 1 2 3 4. 質問に要領 よ く 答 え ら れま し たか。 (Did you answer questions well?) 1 2 3 5. 白分の全体評価は何点ですか。 (What is your overall evaluation?) 6 7 8
5 5 5 5 0 発表に向けての準備は十分に時間 をかけ て行 っ てい るのが明 ら かな学生がい る一方、 少数では あるが、 直前に な っ て発表のこ と を思い出 し急い で ポス タ ー を走 り 書き し て き た よ う な学生 もい る。 問 1 の質問は どれ く らい準備 を し たか につい て一番 よ く 知 るのは本人で あ る と い う 考えか ら で あ る。 問 2 ~ 問 4 も発 表の際に自分が感 じ た手応 え を評価に反映 さ せ る た めの質問で あ る。 そ し て問 5 は自分のプ レゼ ン テ ー シ ョ ン を10点満点で採点す る と 何点に な るか、 と い う 質問で ある。 こ の評価点 も学生各自が自分の判断で行 う。 図10は他の学生 6 人の う ち 5 人から投票 さ れた学生で あるが、 自分白身は厳 し く 自己評価 し てい る。 一方、 図11 は他の学生の誰か ら も投票 さ れてい ない に も かかわ らず、 それで も自分白身はプ レゼ ンの総合評価10点 と つけてい る例で あ る 。 1 8 5 mOan0 1. 表0●●な9事0は十分に行いましたか. (pld youplopa・o enough?1 l 2.
n
事の日をしつかり1'
てl f t ましたか。(Didyol.l malo good contact?) 13. 十分大書い: l でE t ましたか。・01M youopoak loud onol.lah?) l
4. 「 間に要
a
:く書えられましたか。 u youn _ r que,l0ono wldl?1 l 5. i 分の: i 体■l f は何a か。,CM Ht io ya ir oven■ll ovalu■non?) 0 図11 厳 し く つけて いる例 l一一
No 5 3 I S :j) 4 ・s l '5 / 4 5 8・ 0・ 10 l t 5 m ns H- - -
OnM
第表の
a
置などl事●は十分に行いましたか。(Dia you propare onough?) 1 2 3 0 5 口書手の目を見てEせましたか。(Did you make g00d oye contace1l) 1 2 3 4 0十分大a 、声でE せましたか。(Dld you spoak bud enough?) 1 2 3 4 0
量関にしつかり書えられましたか。(Did you answer quooaons well?) 1 2 3 4 0 2 j
a 分のプレゼンa 合
M
は何点ですか。CWhat l8your ovelaII ovaIuation?) 6 7 8 9 ⑩図12 甘 く つけて いる例 こ の点数 につい ては自分の学習への取組み と その成果 を分析的に振 り 返 る meta cognition の大切 さ か ら 、 し っ か り と 自分自身 に問い かけ対話 し な が ら 点 数 をつけ る よ う に伝 えてい る。 学生 と の信頼関係 と い う 観点か ら、 結果的に学 生がつけ た こ の 5 項目合計30点満点に対す る点数の数字はそのま ま全てパ ソ コ ンの成績処理 ソ フ ト の performance の カ テ ゴリ ーに入力す る よ う に し てい る。 Reflection sheet の下半分は取組みに対す る振 り 返 り と 得 ら れた成果、 今後の 課題 につい ての記述で あ る。 第 1 回日、 第 2 回日、 第 3 回日の用紙にはそれぞ
れ次の問い かけが載せ ら れてい る。 第 1 回日のプ レゼ ンテ ー シ ョ ンは う ま く で き ま し たか。 ま た今後 さ ら に よ り よい プ レゼ ンテ ー シ ョ ン をす る た めに向上 し たい部分は どのよ う な と こ ろ で し よ う か。 第 1 回日 と 比べて今回努力 し た点は どのよ う な と こ ろ ですか。 ま た それは う ま く 成果 につ な がり ま し たか。 今後、 さ ら に良い プ レゼ ン をす る た めに向上 し たい と 思 う 点は どのよ う な と こ ろ で し よ う か。 (1) プ レゼ ンに対す る白分の取組み をふ り かえ り 、 第 1 回目、 第 2 回目 と 比べて今回は どのよ う な 意識で取 り 組みま し たか。 (2) 今回は どのよ う な点がこ れま で に比べて う ま く で き ま し たか。 それははぜ で し よ う か。 (3) こ の 3 回のプ レゼ ン テ ー シ ョ ン を通 し て学んだ こ と は どのよ う な こ と で し よ う か。 その他、 コ メ ン ト があれば記入 し て く だ さ い。 こ の記述は白 ら の学び を振 り 返 るために重要な部分で あ る こ と から 、 授業の 最後 に十分 な記述の時間 を確保す る よ う に し てい る。 良い Reflection に見 ら れ た コ メ ン ト の代表例 を抜き 出 し て示す27。 ・ 内容 を十分に吟味 し て理解 し ておけばその場で文 を作 る こ と がで き た。 ・ 原稿 を作 る と き に ポス タ ー を意識 し、 ポス タ ー を作 る と き に原稿 を意識 し た。 ・ 客観的デー タ と 具体的体験 をバ ラ ン ス よ く 組み込む こ と で よ り し っ か り し た 意見にで き た。 ・ プ レゼ ンテー シ ョ ンは暗唱と は違っ て自分の考え を相手に伝え、 分かっ て も ら う こ と が大切で、 ただ覚 え るだけではいけ ない こ と を学んだ。 ・ ポス タ ー を読むだけだ っ た り 原稿の再現だけ に集中す る人がい るのは も っ た い ない。 ・ プ レゼ ンテ ー シ ョ ンは一方的 に話すのではな く 、 聴衆の反応 を見なが ら一緒 につ く っ てい く も のだ と い う こ と を学んだ。 ・ 暗記 し た こ と を話すだけではぎ こ ちないので、 言い方が変わっ て も自分の言 葉 で説明 し た。 ・ 聴衆が一度聴い て理解でき る よ う長文 を避け、 な るべ く 簡単な単語 を使お う と し た。 ・ 人の目 を見て話 さ ない と 自分の意見 を強 く 訴 えかけ る こ と がで き ない と 感 じ た。 ・ ど う すれば聴衆が聞きやすい か を人のス ピーチ を聞い て発見で き た。 ・ 何回 も く り かえ し練習すれば慣れて き て上達で き る んだ と 思っ た。 ・ プ レゼ ンの難 し さ 、 楽 し さ 、 準備がいかに大切か を学ぶ こ と がで き た。
27 提出 さ れた Reflection sheet は全て ス キャ ン し て PDF 化 し保存 し てい る。 Appendix 3 で実際 の学生 の書い た も の 2 例 を参考に示 し た。
プ レゼ ンは数日の準備 では間に合わない こ と を学んだ。 一方、 自分の取組みへの振 り 返 り が十分 で ない Reflection には次のよ う な さ ら に踏み込んだ記述 を求 めたい コ メ ン ト が見 られ る。 ・ ポス タ ー を工夫 で き た。 (← どのよ う に工夫 し、 どのよ う な反応があっ たか。) ・ 人の目 を見て話すのは少 し難 しい。 (←なぜ そのよ う に感 じ たのか。) ・ 余裕 を持 っ て話せ る よ う に し たい。 (←なぜそ う感 じ るのか。) ・ す らす ら話せ る よ う にな り たい。 (← 「す らす ら」 と はど う い う こ と か。) ・ も っ と し っ か り し た英語 で話せ る よ う に し たい。 (← 「 し っ か り し た英語」 と は具体的に ど う い う も のか。 ) 準備か ら始 ま り 、 実際の発表 と 聴衆の反応 ま で、 取組み と その成果、 その理 由 と 考え られ る も の を十分に論 じ てい る非常に優れた Reflection があ る一方で、 記述量 も少 な く 内容 も単純に 「楽 しかっ た」 と か 「勉強に な っ た」 と だけ書い て あ る と い う 稚拙 な記述 も 見 ら れ る。 つ ま り 何が楽 しかっ たのか、 何 を学んだ のか、 それはなぜ起き たのか、 と い っ た と こ ろ に踏み込む こ と が大切で あ る。 こ の Reflection につい ては10段階で教員に よ る評価 を与え、 寸評 も書き加 えて 次週に返却す る こ と に し てい る。 得点は Test & Quiz のカ テ ゴリ ー28 に加 え る。 4.3.5 プ レゼ ン テー シ ョ ン評価の フ イー ドバ ツク 発表者は準備か ら 最終のプ レゼ ンテ ー シ ョ ン発表に至 る プ ロ セ スの中で、 ど のよ う な フ イ ー ドバ ツク を得 るので あ ろ う か。 ポス タ ー を準備す る中では自 ら の意識の中で白分自身に対す る自己評価が行われる。 発表当日はまずは自分の ポス タ ー を壁に貼っ た段階で聴衆から の Verbal あるいは Nonverbal な反応 を受 け る。 次に実際に発表 し てい る間、 どれ く らい聴衆が自分の発表に対 し て熱心 に耳 を傾け て く れ るかはす ぐ に分か る。 こ れ ら は リ アル タ イ ムの即時 フ イ ー ド バ ツ ク と な る。 発表終了後は Reflection sheet で自己採点 を行い、 発表 を振 り 返っ て記述す る こ と で自 ら あ る一定の評価 を下す。 次の週には ポス タ ーや Reflection に対 し て得点が加 え られた教員からの評価が戻 さ れ、 さ ら に他の学生からの投票 を多 く 得 た学生は Best Presenter と し て表彰 を受け る。 学生は授業内外の学習活動
28 Test & Quiz の カ テ ゴ リ ーには こ のプ レゼ ン テ ー シ ョ ンの Reflection の得点10点 X 3 回分 と 最終期末試験の得点170点 ( こ れは年度や学期に よ っ て問題が異な る ため多少の変更はある) が入 る。 中間成績返却段階 で は Test & Quiz の カ テ ゴ リ ー には こ の プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン の Reflection の得点のみと な る た め、 こ の出来栄えが中間成績の結果 に大き い影響 を もつ。
に対す る こ う し た フ イ ー ドバ ツク のプ ロ セ ス を経 る こ と で 、 学習者 と し て の自 ら の姿 を振 り 返 る よ う に な る。 その概念は次の図 に示 さ れてい る29。 Beliefs 図13 l、 Thou、 lt の発展的概念 こ こ で Thou の横に点線の半円の矢印が示 さ れてい る。 こ れはま さ に学習者自 身 が他の学習者 と 相互にや り 取 り (interactions) をす るだけで な く 、 自 ら の内 面 と の対話 (,nneractions) をす る こ と によ り 自 ら の学び を振 り 返 る様子 を図式 化 し た も ので あ る。 ま た教材 を意味す る It も授業 で中心 と し て扱 う 教材 その も のに対 し、 その教材が実社会におい て もつ意味 な どが関わっ て く る こ と を複 数の It で示 し てい る。 つ ま り 授業で の教材は教室の中だけ に と どま ら ず、 教 室 を超 えた外の世界 と つ ながる意味 を もつ と い う こ と で あ る。 学生が読解 を通 し て得 た理解 を基に し て自 らの意見 を ラ イ テ ィ ン グの形で展開 し 、 さ ら に それ を プ レゼ ンテ ー シ ョ ン と い う形 で外に向け て自分の声 を使 っ て発信す る と い う プ ロ セ ス を経 て 、 対象 と な る教材 It も さ ま ざま な角度か ら振 り 返 ら れ る こ と に な る。 5 . おわ り に 一 学びの可能性 と 発展 こ こ で紹介 し た基本 フ オーマ ツ ト は、 大学の授業におい てのみな ら ず高校の 英語授業で も十分に活用でき る。 教科書のい く つかのレ ッ ス ンで学んだテーマ か ら プ レゼ ンテ ー シ ョ ン用 に数種類の ト ピ ッ ク を選択肢 と し て用意 し、 生徒に 一番感心のあ る も の を選択 さ せ、 ポス タ ー を用意 さ せて授業で発表 さ せ る と い う方法で ある。 今回の大学授業での実践同様、 生徒数が40人で あれば、 4 人ず つ10の クルー を作 らせ、 教室の中で10の場所に分かれ、 同時進行で一 回が 2 分 29 Rodgers (2014) の Powerpoint ス ラ イ ドか ら。