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No. The Study on Integrated Development Strategy for Danang City and Its Neighboring Area in the Socialist Republic of Vietnam (DaCRISS) JR

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(1)

平成22年12月

株式会社 アルメック

一般財団法人 国際開発センター

独立行政法人 国際協力機構 ダナン市人民委員会

ベトナム国ダナン市都市開発

マスタープラン調査

国 際 協 力 機 構 最 終 報 告 書 ・ 要 約 平成 22年 12

The Study on Integrated Development Strategy for Danang City

and Its Neighboring Area in the Socialist Republic of Vietnam

(DaCRISS)

ベ ト ナ ム 国 ダ ナ ン 市 都 市 開 発 マ ス タ ー プ ラ ン 調 査 ( D aC R IS S )

要約

最終報告書 基盤 JR 10-192 No. 4mm

(2)

独立行政法人国際協力機構(JICA)

ベトナム国ダナン市人民委員会

ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査

(D

A

CRISS)

最終報告書

要約

2010 年 12 月

株式会社

アルメック

財団法人

国際開発センター

(3)

本報告書で用いている為替レート 1 米ドル = 110 円 = 17,000 ベトナム・ドン

(4)

序 文

日本国政府は、ベトナム国政府の要請に基づき、同国のダナン市都市開発マスタープラン調 査(DaCRISS)を行うことを決定し、独立行政法人国際協力機構がこの調査を実施いたしました。 当機構は平成 20 年 6 月から平成 22 年 12 月まで、株式会社アルメックの岩田鎮夫氏を団長と し、同社および財団法人国際開発センターから構成される共同企業体の専門家により構成される 調査団を現地に派遣しました。 調査団は、ベトナム側カウンターパートの協力を得つつ現地調査を実施し、その結果に基づき ベトナム国の政府関係者と十分な協議をいたしました。帰国後の国内作業を経て、ここに本調査 報告書完成の運びとなりました。 この報告書が、ベトナム国ダナン市および周辺地域の開発と発展に寄与するとともに、両国の 友好・親善の一層の発展に役立つことを願うものです。 終わりに、調査にご協力とご支援をいただいた関係各位に対し、心より感謝申し上げます。 平成 22 年 12 月 独立行政法人国際協力機構 経済基盤開発部長 小西 淳文

(5)

平成 22 年 12 月 独立行政法人国際協力機構 経済基盤開発部長 小西 淳文 殿

伝達状

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 さて、ここにベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS)の最終報告書を提出 致します。 本報告書は、貴機構との契約に基づいて、2008 年 6 月から 2010 年 12 月までの間、株式会社 アルメック、財団法人国際開発センターから構成される共同企業体により組織された調査団が実 施した調査結果をとりまとめたものです。 本調査においてはダナン市内 5,000 世帯に対する家庭訪問調査を含む各種基礎調査等、 様々な現地調査を実施いたしました。これらの結果を考慮すると同時にベトナム側の政策との整 合性を図り、カウンターパートと充分に協議を重ねた結果として、「国際的競争力を持つ公害対策 を超えた環境都市の実現」をダナン市の開発ビジョンとして提案しております。 本調査報告書の完成までには大変多くの人の協力を得ております。まず、調査団に対し多大 の協力を頂いた方々に心から感謝を申し上げます。また、調査期間中に共同作業を行ったカウン ターパートおよびそのカウンターパートを組織したベトナム国ダナン市人民委員会に対して、深甚 なる感謝を表す次第です。 また、調査の過程においてご支援と貴重なご助言を頂いた、貴機構の皆様、並びに在ベトナム 日本大使館の皆様に感謝いたします。 最後に、本報告書がベトナム国ダナン市および周辺地域の開発と発展の一助になるように念じ て止みません。 敬具 ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査 団長 岩田 鎮夫

(6)

目次

概要

要約

1 はじめに ... 1 2 中部重点経済圏における現状分析及び開発戦略 ... 3 3 ダナン市の現況分析 ... 5 4 ダナン市の既存計画レビュー ... 13 5 ビジョンと目標 ... 15 6 ダナン市開発戦略 ... 17 7 ジェネラルプランの作成 ... 19 8 交通開発計画 ... 25 9 都市インフラ計画 ... 29 10 環境管理計画 ... 33 11 投資計画 ... 37 12 戦略的環境アセスメント(SEA) ... 39 13 フエ・ダナン・クアンナム地域観光戦略 ... 41 14 結論および提案 ... 45

(7)

表目次

表2.1 中部重点経済圏の各省における役割分担案 ... 4 表3.1 ベトナムにおけるダナン市のプロファイル ... 5 表3.2 ダナン市の沿革 ... 6 表3.3 ダナン市の社会経済プロフィール(2005 年・2007 年・2009 年) ... 7 表3.3 ダナン市の交通システム ... 9 表4.1 ダナン市社会経済開発計画要点 ... 14 表5.1 主要社会経済指標 ... 15 表5.2 代替空間計画シナリオについての迅速検討 ... 16 表8.1 機関分担シナリオによる交通状況(Do-Committed ケース) ... 25 表8.2 提案道路プロジェクト ... 26 表9.1 シナリオごとの電力需要予測 ... 27 表9.2 シナリオごとの水需要予測 ... 28 表9.3 シナリオごとの廃棄物処理需要予測 ... 32 表11.1 ダナン市が負担する期間別プロジェクトコスト ... 35 表11.2 提案する戦略的プログラム ... 38 表12.1 環境計画評価結果 ... 40 表13.1 フエ・ダナン・クアンナム地域における主な観光資源 ... 42

図目次

図2.1 中部重点経済圏の提案空間構造 ... 4 図 3.1 ダナン市における土地利用(2006 年) ... 8 図 3.2 ダナン市における交通ネットワーク(2008 年) ... 10 図6.1 環境都市実現に向けたサブセクター開発戦略 ... 18 図7.1 保全および開発のための環境ゾーニング ... 19 図7.2 交通ネットワーク・土地利用・環境管理の基本構造 ... 20 図7.3 ダナン市の空間構造コンセプト ... 20 図7.4 人口・人口密度分布の変化(2007-2025) ... 22 図7.5 雇用(就業地ベース)分布の変化(2007-2025) ... 22 図7.6 学生(高等教育・就学地ベース)分布の変化(2007-2025) ... 22 図7.7 提案ジェネラル・プラン ... 23 図8.1 機関分担シナリオごとの将来交通需要(Do-Committed ケース) ... 26 図8.2 提案道路およびUMRT プロジェクト位置図 ... 28 図9.1 提案給水計画ネットワーク図 ... 31 図10.1 洪水影響域および常襲域 ... 34 図10.2 産業・医療排水処理コンセプト図 ... 35 図10.3 中間廃棄物処理コンセプト図 ... 36 図10.4 家庭排水処理コンセプト図 ... 36 図13.1 フエ・ダナン・クアンナム地域における主な観光地 ... 42

(8)

略語集

3R 減量・再使用・再利用 (Reuse, Reduce, Recycle) ADB アジア開発銀行 (Asian Development Bank)

ASEAN 東南アジア諸国連合 (Association of Southeast Asian Nations) BRT 高速バス輸送システム (Bus Rapid Transit)

CBD 中心業務地区 (Central Business District)

CDM クリーン開発メカニズム (Clean Development Mechanism) CFEZ 中部重点経済圏 (Central Focal Economic Zone)

CG 中央政府 (Central Government)

CIE 資本投資額 (Capital Investment Expenditure)

DaCRISS ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査 (The Study on Integrated Development Strategy for Da Nang City and Its Neighboring Area in the Socialist Republic of Vietnam) DARD 農業農村開発局 (Department of Agriculture and Rural

Development)

DOCST 文化スポーツ観光局 (Department of Culture, Sport, and Tourism) DOC 建設局 (Department of Construction)

DOET 教育訓練局 (Department of Education and Training) DOF 財務局 (Department of Finance)

DOFA 外務局 (Department of Foreign Affairs) DOH 保健局 (Department of Health)

DOIA 内務局 (Department of Internal Affairs)

DOIC 情報通信局 (Department of Information and Communications) DOIT 産業貿易局 (Department of Industry and Trading)

DOJ 法務局 (Department of Justice)

DOLISA 労働局 (Department of Labor, Invalids and Social Welfare) DONRE 自然資源環境局 (Department of Natural Resources and

Environment)

DOST 科学技術局 (Department of Science and Technology) DOT 交通局 (Department of Transport)

DPC ダナン市人民委員会 (Danang People’s Committee) DPI 計画投資局 (Department of Planning and Investment) DUT ダナン技術大学 (Danang University of Technology) DWT 載貨重量トン数 (Dead Weight Tons)

EIA 環境影響評価 (Environment Impact Assessment) EWEC 東西回廊 (East–West Economic Corridor) EZ 経済圏 (economic zone)

FDI 海外直接投資 (Foreign Direct Investment) FEZ 重点経済圏 (Focal Economic Zone) FS 実現可能性調査 (Feasibility Study) GDP 国内総生産 (Gross Domestic Product) GMS 大メコン圏 (Greater Mekong Sub-regional) GOJ 日本政府 (Government of Japan)

GOV ベトナム政府 (Government of Vietnam)

GRDP 地域総生産 (Gross Regional Domestic Product) GSO 統計総局 (General Statistics Office)

(9)

HAIDEP ベトナム国ハノイ市総合都市開発計画調査 (The Comprehensive Urban Development Programme in Hanoi Capital City)

HCMC ホーチミン市 (Ho Chi Minh City) HH 世帯 (household)

HIS 家庭訪問調査 (household interview survey)

HOUTRANS ベトナム国ホーチミン大都市圏都市交通マスタープラン調査 (The Study on the Urban Transport Master Plan and Feasibility Study in HCM Metropolitan Area)

HRD 人材開発 (Human Resource Development) HSR 高速鉄道 (High Speed Railway)

ICT 情報通信技術 (Information–Communication Technology) IEE 初期環境調査 (Initial Environmental Examination) IT 情報技術 (information technology)

IZ 工業団地 (industrial zone)

JICA 国際協力機構 (Japan International Cooperation Agency) JPY 日本円 (Japanese Yen)

KfW 復興金融公庫 (Kreditanstalt für Wiederaufbau) LRT 軽量軌道輸送システム (Light Rail Transit) LUR 土地利用権 (land-use rights)

LURC 土地利用権利証書 (Land Use Right Certificates) LWR 水資源法 (Law on Water Resources)

M/C オートバイ (Motorcycle)

MICE 会議・報奨プログラム・展示会 (Meeting, Incentives, Conference and Exhibition)

MOA 合意覚書 (Memorandum of Agreement) MOC 建設省 (Ministry of Construction)

MoCST 文化スポーツ観光省 (Ministry of Culture, Sports and Tourism) MOF 財務省 (Ministry of Finance)

MOIT 産業貿易省 (Ministry of Industry and Trading)

MONRE 自然資源環境省 (Ministry of Natural Resources and Environment) MOST 科学技術省 (Ministry of Science and Technology)

MOT 交通運輸省 (Ministry of Transport) MP マスタープラン (Master Plan)

MPI 計画投資省 (Ministry of Planning and Investment) NFEZ 北部重点経済圏 (North Focal Economic Zone) NH 国道 (National Highway)

O&M 運営管理 (Operations and Maintenance) OD 起点-終点 (Origin-Destination)

ODA 政府開発援助 (Official Development Assistance)

OECD 経済協力開発機構 (Organisation for Economic Cooperation and Development)

PC 人民委員会 (People’s Committee) PCU 自動車換算値 (passenger car unit)

PIIP 優先インフラ投資プログラム (Priority Infrastructure Investment Program)

PMU プロジェクト管理機関 (Project Management Unit) R&D 研究開発Research and Development

SEA 戦略的環境評価 (Strategic Environmental Assessment) SEDP 社会経済開発計画 (Socio-Economic Development Plan)

(10)

SFEZ 南部重点経済圏 (South Focal Economic Zone)

STRADA 交通需要予測システム (System for Traffic Demand Analysis) SWOT 強み・弱み・機会・脅威 (Strengths, Weaknesses, Opportunities, and

Threats)

UMRT 都市大量高速輸送システム (Urban Mass Rapid Transit) UPI 都市計画研究所 (Urban Planning Institute)

URENCO 環境公社 (Urban Environmental Company) USD アメリカドル (US Dollar)

VITRANSS 1 ベトナム国国家運輸交通開発戦略調査 (The Study on the National Transport Development Strategy in the Socialist Republic of Vietnam)

VITRANSS2 ベトナム国持続可能な総合運輸交通開発戦略策定調査 (The Comprehensive Study on the Sustainable Development of Transport System in Vietnam)

VNAT 観光総局 (Vietnam National Administration of Tourism) VND ベトナムドン (Vietnamese Dong)

(11)
(12)
(13)

中部重点経済圏およびダナン市の写真

ダナン市中心部 フエ王朝遺跡

ホイアンの伝統工芸 ズンクアット石油精製所

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 概要

概要

調査目的と対象地域の概要 1. ベトナム国ダナン都市開発マスタープラン調査(DaCRISS)は 2008 年 6 月から 2010 年 11 月にかけて、ベトナム政府の要請によりダナン市人民委員会と共に将来の持 続可能な都市開発を実現するための総合的な都市開発調査として実施された。調査の目 的は次のとおりである: (イ) 中部重点経済圏のための地域開発戦略の策定 (ロ) ダナン市のための統合的な都市開発戦略およびマスタープランの策定 (ハ) 優先プロジェクトのためのプレ F/S 調査を含んだ 2015 年までの短期アクションプランの策定 (ニ) 都市計画に重点を置いた該当機関職員への技術移転ダナン市及び周辺省のための統合的 な都市地域開発戦略の策定 2. 対象地域はダナン市および周辺省(トゥアティエンフエ省・クアンナム省・クア ンガイ省・ビンディン省)であり、その総面積は 27,976km2、2009 年時点で人口は 610 万人である。 3. 本調査の成果は現行の行政や政治的枠組みの中で使える実用的なツールとしてだ けではなく、ベトナムの中小都市のための貴重な都市開発計画のモデルとなることが期 待されている。同時に、調査過程を通してダナン市及び周辺省にとって、策定するマス タープランやその他の調査成果物に対するオーナーシップや市の持続性を強化する重要 な機会となる。 中部重点経済地域開発戦略 4. 中部重点経済地域は北部重点経済地域と南部重点経済地域と比較して、次のよう な点において不利な立場にある:(イ) 小さな人口規模 、(ロ) インフラの不足、(ハ)自然災害 に対する脆弱性、(ニ) 民間セクターの未発達、(ホ) 世界市場・国内成長拠点との連結の弱さ、 とい諸点に加え、(ヘ) 省間協力の欠如がこれらの傾向に拍車をかけている。しかしながら、 同地域には生かされるべき強みや機会となる点も次のように多くある:(イ) 3 つの世界遺 産や美しい海岸線や山岳を含む豊富な文化的及び自然的資源、(ロ) ゲートウェイとしての 東西回廊、(ハ) ベトナムにおける戦略的位置、(ニ) 中部重点経済地域の成長及び開発の促進 に対する強い政治的コミットメント、(ロ) 労働力・調達・サービスにおけるコスト競争力、 等が挙げられる。 5. 中部重点経済地域が競争力のあるかつ均衡した成長を遂げるためには、ビジョ ン・目標・基本開発戦略は次のように策定した: (イ) 同地域のビジョンとは、「エコ・テク(Eco-Tech)」地域を目指すこと、すなわち、近代的な技術 を最大限に使いながら、経済成長・生態系保持・民族バランスを促進するという考え方である。 (ロ) 同地域のキャパシティを強化するためには、次のように様々なレベルでの地域間連携が強化 されるべきである: (i) 国家開発戦略の中で中部重点経済地域の補完的かつ競争力のある役割の確立 (ii) 国際社会との直接的な連結の強化(例えば空路や海路によるアジア都市との直結

(15)

ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 概要 やGMS 東西回廊の強化) (iii) 省間連携の強化による共通の課題への取り組み (iv) 各省の域内需要やニーズへの対応 6. 中部重点経済地域における統合および協力は持続的な開発の前提条件であること は各省によっても認識および承認され、DaCRISS 調査団が地域の役割分担を示し、ステ アリング・コミッティ等で繰り返し協議した(表ES.1 参照)。 表ES.1 中部重点経済地域の各省における役割分担案 主要課題 トゥアティエンフ エ省 ダナン市 クアンナム省 クアンガイ省 ビンディン 省 ゲートウェイ機能 B

A B

A A 戦略的開発テーマ 観光

A

A

A A A 産業 在来型 B B B

A B 環境 A

A A B B サービス

A

A B A A 人材育成

A

A A A A 環境管理 A A A A A 文化価値増進

A A

A A A 都市開発 A

A A A

A 農村開発 A B A A A 出典:DaCRISS 調査団 注:○A = 地域主導的な役割、A = 主要な役割、B = 副次的役割 1)重工業を含む 2)クリーンビジネス・エコビジネス 3)保健医療・教育等を含む ダナン市の主要開発課題 7. ダナン市の都市開発状況は他の大都市(ハノイ、ホーチミン)と較べて問題は少 なく、マネジメントも良い。また家庭訪問調査の結果でも住環境や都市サービスに関す る住民の評価も概ね良好である。 8. しかし今後都市化が急速に進み開発投資も一層活発になり、環境負荷が増加する ことが予想されるため、将来に向けて次のような課題がある: (イ) 既に進行しつつある都市域の拡張のコントロール、即ちスプロールをいかに防ぎつつ 望ましい土地利用を実現するか:(イ) 周縁部における低密度宅地開発による非効率な 土地利用、(ロ) 市中心部における高層ビル建設による交通混雑、(ハ) 海岸沿いのリゾー ト開発による環境影響等による負の影響を軽減しつつ望ましい成長を誘導する。 (ロ) 環境汚染対策の強化:環境状態は次のような点によってさらに劣化する可能性を孕ん でおり、環境管理体制の強化が必要である。 (i) 都市廃水に対する懸念(多くの場合産業廃水も含む) (ii) 地下水の水質の低さ、帯水層状態の情報の不足 (iii) 多数の建設プロジェクトによる土地造成と水域や森林の安定性に対する影響 (iv) 水域(河川・湖沼・海)に捨てられる廃棄物および医療・産業廃棄物の不十分な

(16)

ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 概要 処理状態 (ハ) 公共交通の開発、自動車の抑制、交通管理の強化:交通状況も競争力のある公共交通 の不在、オートバイから車へのモーダルシフト、市中心部における高層商業・業務施 設の集中による人々の活動の更なる集中、等によって急速に悪化すると考えられる。 効果的な交通管理対策の欠如は市全体の交通問題を更に増幅させると考えられる。 (ニ) 新産業による雇用創出:持続可能な経済成長のためには、市は人口増加および産業構 造の変化(農業から工業・サービスへ)に対応した雇用機会を創出しなければならな い。 (ホ) 総合的な環境管理の強化:都市域が拡大し開発が激しくなるにつれて、自然災害に対 する脆弱性が高まり、生態系も脅かされる危険がある。更に森林の違法伐採・狩猟・ 漁(絶対量としては少ないものの、懸念されるべき点)、又気候変動のインパクトに 対しても準備が始められる必要がある。 ビジョンと目標 9. ダナン市はその開発ビジョンおよび目標として「環境都市」を掲げた。このコン セプトに基づき、提案されたダナン市のビジョンは次のとおりである: 国際的競争力を持つ公害対策を超えた環境都市の実現 10. 上記ビジョンは市内の関係ステークホルダーから全面的に支持されており、さら に次の考え方および意図を含んでいる: (イ) 公害をなくすだけでなく、生態系や文化的資 産を保護することで、より広範な意味での環境持続性を獲得する、 (ロ) ダナン市が明確な アイデンティティを持ち、中部重点経済地域と世界を結ぶアジア太平洋地域における重 要な都市中核としてのイメージを確立する、(ハ) ダナン市が新産業開発の全国センターと なる。このビジョンを達成するために、次の目標が打ち立てられた:(イ) 成長管理を効果 的に行う、(ロ) 競争力のある経済を作り上げる、(ハ) 包括的な社会開発を行う、(ニ) 環境を 効果的に保護する、(ホ) ガバナンスを強化する。 11. 将来市人口は 2025 年までに 210 万人、その後はさらに人口を延ばすことを目標 としている。この将来の人口は市および中部重点経済地域に対して高品質な都市サービ スおよびアメニティを住民のみならず、投資家や観光客にも提供するための基礎となる。 12. サブセクター開発戦略:環境都市というビジョンのもとでは、環境は単に開発の 従属物ではなく、市の持続可能な開発の成長エンジンそのものとなるべきである。この 実現のために、各サブセクターは他セクターと相乗効果を発揮するような環境戦略を持 つべきである。次に示すようにサブセクター開発戦略が作成・提案された。 (イ) 経済開発においては、従来の産業構造から観光・教育・保健・サービスへのシフト、 クリーン産業への移行、環境ビジネス・産業の開発。 (ロ) 社会開発においては、環境に関する社会的啓蒙活動、自然災害に対する効果的な対策 の強化、市・コミュニティレベルでのキャンペーン、初等中等教育における環境教育 の実現。 (ハ) 環境管理においては、生態系保護の強化、自然災害に対する効果的な環境的予防策の 整備、公害撲滅(大気・水・土壌汚染)、気候変動による影響への対応。

(17)

ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 概要 (ニ) 空間開発においては、公共交通に立脚したコンパクトな都市開発、充分なオープンス ペースをもった効果的な土地利用の促進、環境都市イメージの創造。 (ホ) 交通開発においては、効率的・効果的な公共交通システムの実現、 環境にやさ しい輸送手段の整備、徒歩と非動力式交通利用の促進。 (ヘ) 都市インフラ開発においては、公害及び廃棄物減少のための施設の整備と近代化、環 境への負の影響を最小化するための建設手法の改善、維持管理システムの改善(耐用 年数の延長、コストの回収、収入)。 (ト) 住宅生活環境改善においては、中低層所得者のための環境にやさしい・省エネ・災害 対応型住宅開発、コミュニティレベルの問題に対応した住環境改善、コミュニティレ ベルでの住環境改善に向けた啓蒙及び社会参加の促進。 (チ) 人材開発においては、多様なニーズに対応するための人材の開発 、啓蒙活動及び情 報公開の促進、高等教育における環境教育の推進・政府や観光事業者との共同教育シ ステムの開発。 (リ) 都市セクター管理においては、市の組織改善・横断的協力体制の確立、環境に関する サービスの利用者負担制度の導入、環境管理に関する省間協力の強化。 ジェネラル・プラン 13. 空間構造コンセプト:都市交通ネットワークの原則は、交通施設およびサービス が様々なニーズを満たすよう、次のような多様な機能を持つことである:(イ) 都市間貨物 交通、 (ロ) 都市間旅客交通、(ハ) 1 次・2 次道路ネットワーク、(ニ) マストラコリドー。 14. 提案するジェネラル・プラン: ジェネラル・プラン策定に際して考慮した主要点 は次のとおりである: (イ) 環境ゾーニング(環境に対する基本的な配慮) (ロ) マストラに立脚したコンパクト・シティ開発(マストラ沿線において混合的な土地利 用(商業、業務、宅地)を促進、LRT(軽量軌道輸送システム)、BRT(高速バス輸 送システム)によって構成されるUMRT の導入) (ハ) 既成市街地開発(Hai Chau 中心業務地区)

(ニ) 新市街地開発(Lien Chieu 中心業務地区・Ngu Hanh Son 中心業務地区) (ホ) ダナン空港拡張(現在の位置を保持した統合的な開発)

(ヘ) 地域交通ネットワークとの接続強化(高速道路、高速鉄道、東西回廊等) (ト) 交通施設開発( Tien Sa 港、Lien Chieu 港、バスターミナル等)

(チ) 工業団地開発(クリーンな環境配慮型産業への移行) (リ) ウォーターフロント開発:(環境改善、景観保全) (ヌ) 緑地およびオープンスペース整備(森林および海域の保全、公園整備) (ル) 住宅地開発(災害に強い省エネ型の低所得者用集合住宅) 交通開発計画 15. ダナン市の交通インフラは現在比較的良い状態にあり、需要も満たされているが、 将来において状況は異なってくると予想される。そのため、次の諸点を考慮して計画を 行った:(イ) 全国交通ネットワークとの効果的な接続、(ロ) 明確な機能・階層構造を持った

(18)

ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 概要 都市交通ネットワークの開発、(ハ) コンパクトな都市開発と統合した公共交通システムの 整備、(ニ) 環境配慮型車両の導入、(ホ) 非動力化車両利用のための空間整備、(ヘ) 都市景観 保持のための交通空間の開発。また様々な異なる機関分担が交通状況に与える影響を分 析するために 5 つの代替シナリオを検討した結果、オートバイ:車:バス=50%: 15%:35%を最も適切な機関分担率として、交通計画の目標およびベースとする。 16. 提案した優先プロジェクトは「UMRT1 号線のフィージビリティ調査および市街 地中心部・主要交通コリドー総合交通管理」としてパッケージ化した。 環境管理計画 17. 過去 10 年間におけるダナン市の環境が改善を見せた一方、急速な都市化および 工業団地が環境劣化の原因であり、適切な対策が取られなければ、その影響はさらに深 刻化すると見込まれている。さらに市の人口は2025 年までに 210 万人に達すると予測さ れており、このような急激な人口増加は環境に重い負荷をかけることが明らかである。 したがって、将来のダナン市の開発にとって主要な事項は環境管理である。特に次のよ うな重要な制度的改善が喫緊の課題である:(イ) より実効性のある規制、(ロ) 住民参加、 (ハ) 事業者による貢献の促進、(ニ) 環境配慮型産業における研究開発の積極的導入、(ホ) 政 府間・省間協力の促進、(ヘ) 資金増強および人材育成。 18. 提案した優先プロジェクトは「環境都市実現に向けた汚染除去および持続的衛生 システム確立」としてパッケージ化した。 投資計画 19. 各サブセクターにおける候補案件は、市の総合開発戦略との整合性および優先度 を考慮しながら、次の視点から評価された:(イ) 総合政策との整合性、(ロ) 経済的側面、 (ハ) 社会的側面、(ニ) 環境的側面、(ホ) 実施・管理面。DaCRISS 試算によると、このシナリ オにおける2010-2015 年期間の資本投資額は 13.6 兆 VND(約 8.0 億 USD)であり、こ れは優先順位付けされた結果の上位 66 のプロジェクト1に相当する。経済成長率に応じ て、市予算に加え、中央政府の補助金や ODA の活用によって資金を補完することで必要 なプロジェクトを実現することが可能である。 20. 市の開発ビジョンである「国際的競争力を持つ公害対策を超えた環境都市の実 現」は (イ) 経済開発、(ロ) 都市開発およびインフラ整備、(ハ) 環境管理、(ニ) 住みやすさ、 (ホ) マネジメント、という 5 つの目標のもと、各プロジェクトは 20 の戦略的プログラム としてまとめた。 フエ・ダナン・クアンナム地域観光戦略 21. 中部地域には、3 つの世界遺産、美しいビーチ、趣のある沿岸地域、保護された 森林や山岳地域が比較的コンパクトな地域に集積しており、観光地としてのポテンシャ ルは非常に高い。その一方で、次のような改善が必要とされている:(イ) 省間協力の促進、 (ロ) 明確な地域イメージの確立、(ハ) 環境マネジメントの強化、(ニ) 交通接続性強化。 22. 提案した優先プロジェクトは「観光開発における省間協力および人材開発」「コ ミュニティおよびエコツーリズム支援」としてパッケージ化した。 1 進行中・政府計画済の交通プロジェクト、環境都市計画に示された環境プロジェクトは全て含まれている。

(19)

ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 概要 結論および提言 23. CFEZ の将来発展ビジョンは”エコ・テク(Eco-Tech)地域の実現”であるが、こ れはベトナムの将来の開発モデルたるべき経済成長、生態系保全、民族バランスを近代 的技術を最大限に活用して、同時に促進することを意図している。このためには、ダナ ンの拠点性の強化や CFEZ 内のそれぞれの地域クラスターの発展、全国交通ネットワー クとの連結強化、自然資源保全と一体的な整備等の対策が必要である。 24. ダナン市は CFEZ と互いのシナジーを最大限に引き出しながら発展することが重 要である。このために、ダナン市のビジョンとして”国際的競争力を持つ公害対策を超え た環境都市の実現”を掲げ、環境汚染除去のみならず、生態系保全、防災、気候変動への 対応を行いながら、環境配慮型産業の拡大によって新たな国際競争力を持つ都市として 発展することを提案した。そのためには、既に始まっている都市スプロール問題への対 応や、将来問題となるであろう交通状況の長期的視点からの改善、また現在問題となっ ている汚染除去等が課題となっている。 25. フエ-ダナン-ホイアンは 3 つの世界遺産と美しい海や山を持つ世界でも類の少 ない観光地であるが、今後はこれらの省間協力を促進し、それぞれが補完的に発展して いくことが重要である。また観光産業開発が遅れている西側地域のインフラ整備、観光 産業全体を支える高品質な人材の育成等を行うことで、観光を多様化し増加するであろ う国内外の観光客のニーズに対応できるようにする必要がある。さらに同地の観光産業 の持続的発展のためには、観光活動の負荷に耐えうる適切な環境対策を取ることが重要 である。

(20)
(21)

ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約

1

はじめに

調査の背景 1.1 ベトナムの社会経済成長は急速な都市化とともにもたらされ、2009 年時点で 30%、将来はさらに都市化が進み、2030 年には約 40%に達する見込みである。政府の工 業化及び近代化政策もまた、都市化への拍車を掛ける一因となっている。 1.2 ダナン市は 1997 年にクラス 1 都市に指定されて以来、ベトナム全土がそうであ るように、急速な社会経済変化を遂げた。経済の自由化は投資機会を拡大し、経済成長 を促し、社会変化をもたらした。しかしながら、ダナン市はベトナム中部に位置してお り、首都のハノイや経済の中心地であるホーチミンからそれぞれ 764km と 964km 離れ ている。この地理的特性が成長の足かせとなっている一方、ダナン市の成長は南北との 一体的な開発、ひいてはベトナム全土の開発にとって、非常に重要かつ必須である。 1.3 ダナン市は2010 年から 2020 年までの社会経済開発計画を持っており、建設計画 といった他のセクター別の計画を持っている。これらの計画は各関連機関の正式な承認 を得ているが、その承認から数年が経ってしまっている。その間、ダナン市の経済環境 は国内外ともに大きな変化を経ている。 1.4 このような状況の中、ベトナム政府は日本政府に対して、ダナン市における持続 的な開発を実現するために、総合的な都市開発調査を実施することを要請した。これを 受けて、株式会社アルメック及び財団法人国際開発センターで構成される調査団が選定 され、調査実施のために現地に派遣された。 調査の目的 1.5 本調査の目的は次のとおりである: (イ) 中部重点経済圏1のための地域開発戦略の策定 (ロ) ダナン市のための統合的な都市開発戦略およびマスタープランの策定 (ハ) 優先プロジェクトのためのプレ F/S 調査を含んだ 2015 年までの短期アクションプランの策定 (ニ) 都市計画に重点を置いた該当機関職員への技術移転 1.6 本調査は次の具体的な成果を含んでいる: (イ) 中部重点経済圏における開発戦略 (ロ) ダナン市の都市開発戦略およびマスタープラン(目標年次 2025 年) (ハ) ダナン市都市交通プログラム (ニ) ダナン市の持続可能な包括的環境プログラム (ホ) 実行計画(目標年次 2015 年) (ヘ) 都市データベースとキャパシティ・デベロップメント 1.7 本調査の成果は現行の行政や政治的枠組みの中で使える実用的なツールとしてだ けではなく、ベトナムの中小都市のための貴重な都市開発計画のモデルとなることが期 待されている。 1 トゥアティエンフエ省・ダナン市・クアンナム省・クアンガイ省・ビンディン省を含む。

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約 調査対象地域 1.8 本調査ではダナン市および周辺省(トゥアティエンフエ省・クアンナム省・クア ンガイ省・ビンディン省)を対象として行った。その総面積は 27,976km2であり、2009 年時点で人口610 万人である。 調査の過程 1.9 2008 年 6 月の調査開始時から開催した主な会議や活動は次のとおりである: (イ) ステアリング・コミッティ:ステアリング・コミッティは調査の進捗や成果物をより 上位で議論するために定期的に開かれた。第1 回ステアリング・コミッティでは初期 段階での調査フレームワークを示した。第 2 回ステアリング・コミッティではダナン 市の都市開発マスタープランの初期コンセプトが議論されると同時に各種調査結果も 示した。第3 回ステアリング・コミッティではプログレス・レポートに基づき中部重 点経済圏(CFEZ)におけるより具体的な開発戦略について議論された。第 4 回ステ アリング・コミッティではインテリム・レポートに基づいたダナン市の都市開発マス タープランについて議論された。第5 回ステアリング・コミッティではドラフトファ イナル・レポート I に基づきより具体的にマスタープランについて議論された。第 6 回ステアリング・コミッティでは優先案件を含む調査の最終結果について議論された。 (ロ) カウンターパート・ミーティング:より良い連携と要求に対する迅速な行動を目的と して、詳細かつ最新情報での議論については毎週カウンターパート・ミーティングを 開催する中で話し合った。特定のテーマを選定し、毎週綿密な議論が行われた。 (ハ) アウトリーチセミナー:第 1 回セミナーでは、調査対象地域である 4 つの周辺省(ビ ンディン省、クアンガイ省、クアンナム省、フエ省)すべてにおいて行われた。 CFEZ およびダナン市の開発戦略の初期コンセプトを示し、省間の役割分担について 話し合われた。第 2 回セミナーではプログレス・レポートに基づきより具体的な CFEZ およびダナン市の開発戦略について議論された。第 3 回セミナーは建設局・交 通局・自然資源環境局それぞれに対して開催された。その中で出た意見や議論を受け て、それぞれフォローアップを第4 回セミナーとして行った。 (ニ) 各種調査:都市のさまざまな面について住民の意見や評価を集めることで、統計資料 から得られる情報を補うことを目的として、各種調査を実施した。調査を受けた対象 者は次のとおりである:ダナン市の住民(家庭訪問調査)、CFEZ に属する全てのコ ミューンの長(コミューン調査)、ダナン市の主な事業所(事業所調査)、フエ省・ クアンナム省・ダナン市における主要な観光事業者(観光事業者調査)である。既存 の統計資料をこのような情報で補うことは、実状についての広い理解が得られるだけではなく、 為政者にとって市の将来政策策定のための具体的な根拠となり得る。 (ホ) トレーニング:GIS および STRADA について、概要説明のワークショップと具体的 なトレーニングを実施した。 (ヘ) ステークホルダー会議:SEA の一環として開発シナリオを評価する為にステークホ ルダー会議を開催し、政府・大学・組合・民間からの参加を得て活発な議論があった。 (ト) 展示会:調査の最終結果を示す展示会がダナン市の Truong Vuong Theater にて 10 月

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約

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中部重点経済圏における現状分析及び開発戦略

中部重点経済圏における主な課題 2.1 中部重点経済圏(CFEZ)は南北におよそ 400km で 27,953km2の面積を持つ。人 口は2009 年時点で 610 万人を擁し、うち 200 万人が都市人口である。都市化率は 33% と全国平均(30%)よりは高いがまだまだ低く、今後経済成長と産業化によって急速に 大きくなることが予想されている。 2.2 CFEZ は北部重点経済圏(NFEZ)と南部重点経済圏(SFEZ)と比較して、不利 な立場にある:(イ) 小さな人口規模 、(ロ) インフラの不足、(ハ)自然災害に対する脆弱性、 (ニ) 民間セクターの未発達、(ホ) 世界市場・国内成長拠点とのつながりの弱さ、等が挙げら れる。こうした制約がある一方、活かされるべき強みや機会となる点も多くある。これ には(イ) 豊富な文化的及び自然的資源、(ロ) ゲートウェイとしての東西回廊、(ハ) ベトナム における戦略的位置、(ニ) CFEZ の成長及び開発の促進に対する政治的コミットメント、 (ロ) 労働力・調達・サービスにおけるコスト競争力、等が挙げられる。 開発戦略 2.3 提案するビジョン:CFEZ は急速な投資によって社会経済及び環境問題を引き起こ している NFEZ や SFEZ とは異なる開発戦略をとるべきである。ハノイやホーチミンは 悪化する交通混雑、大気汚染、交通事故、住宅不足、廃棄物処理、緑樹の減少、犯罪の 増加、貧富の差の拡大等の問題に直面している。NFEZ 及び SFEZ は引き続き経済的な成 長を果たすことが期待される中こうした問題が改善・解決されないと、将来の持続可能 性は不確かである。CFEZ はそのポテンシャルと戦略的な位置を活かすことによって南北 両経済地域との連携を強め、両経済地域の機能を補完しつつ開発の相乗効果を高める役 割を目指すべきであろう。 2.4 CFEZ のビジョンとは、「エコ・テク(Eco-Tech)」地域を目指すこと、すなわ ち、近代的な技術を最大限に使いながら、経済成長・生態系保持・民族バランスを促進 するという考え方である。観光開発促進、環境産業・医療・教育産業誘致、技術志向型 解決、徹底した環境管理、文化的価値の保全、人材育成、戦略的なインフラ整備等によ り、そのビジョンを達成することを意味している。 2.5 提案する空間構造:本調査では既存の地域計画で示されている 4 つの都市クラス ター、南北及び東西の交通回廊のネットワークをベースとした CFEZ の空間構造を基本 的に採用したが、次の修正を入れて提案した:(イ) 3 つの都市クラスター:Hue-Danang -Hoi An(都市開発・観光開発), Tam Ky-Dung Quat-Quang Ngai(重工業開発), Quy Nhon-Xuan Hai(CFEZ と中部高原の連携拠点)、(ロ) 南北回廊:国道 1 号線・貨 物・航空・高速道路・高速鉄道で構成される沿岸回廊およびホーチミン道路を中心とす る高原回廊、(ハ) 東西回廊:国道 9 号線・19 号線・14B 号線で構成される国際東西回廊お よび国道24 号線・49 号線等で構成される国内東西回廊(図 2.1 参照)。 2.6 分析結果及び各省での議論に基づき、提案した CFEZ の基本開発方向は次のとお りである:(イ) 国家開発戦略の中で CFEZ の補完的かつ競争力のある役割の確立、(ロ) 国 際社会とのつながりの強化、(ハ) 省間連携の強化による共通の課題への取り組み、(ニ) 省・ コミューンの内部需要やニーズへの対応、である。

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約 図 2.1 中部重点経済圏の提案空間構造 出典:建設計画(建設省) 出典:DaCRISS 調査団 省間協力強化の必要性 2.7 CFEZ における統合および協力は持続的な開発の前提条件である。各省において さまざまな開発が同時に進んでいるが、その投資は優先度を考慮して行われるべきであ る。同地域は北部重点経済地域および南部重点経済地域の発展に追いつくことが必要で あり、地域全体としての効果的な発展のためには各省の役割分担は不可欠である。この 点は各省によっても認識および承認され、DaCRISS 調査団が地域の役割分担を示し、ス テアリング・コミッティ等で繰り返し協議した(表2.1 参照)。 表 2.1 中部重点経済圏の各省における役割分担案 主要課題 トゥアティエンフ エ省 ダナン市 クアンナム省 クアンガイ省 ビンディン 省 ゲートウェイ機能 B

A B

A A 戦略的開発テーマ 観光振興

A

A

A A A 工業開発 在来型 1) B B B

A B 環境指向型2) A

A A B B サービス向上3)

A

A B A A 人材育成

A

A A A A 環境管理 A A A A A 文化価値増進

A A

A A A 都市開発 A

A A A

A 農村開発 A B A A A 出典:DaCRISS 調査団 注: ○A = 地域主導的な役割、A = 主要な役割、B = 副次的役割 1)重工業を含む 2)クリーンビジネス・エコビジネス 3)保健医療・教育等を含む 従来の計画 提案する空間構造

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約

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ダナン市の現況

地域におけるダナン市の位置づけ 3.1 ダナン市はベトナムの5 つの中央政府直轄市1のひとつで、ベトナム中部における 経済・文化の中心地である。ダナン市は南北に長い国土のなかで北部の拠点で首都のハ ノイから764km、南部の拠点都市のホーチミンから 964km に位置しており、ベトナムの 社会経済発展が進むにつれ南北統合の要としての役割が一層強く期待されるようになっ てきている。古くから港が発達し中部地域の貿易拠点として機能してきたが、同時に GMS 経済圏の開発を担う東西回廊の玄関口としてその戦略的重要性が急速に高まってい る。加えて航空路の整備も進んでおり、バンコク、クアラルンプール、シンガポール、 マニラ、台湾、広州、香港、南寧更には沖縄等地域の成長拠点が、半径 1,000km – 2,000km に位置していることから、その拠点性は一層高まることが予想される。 3.2 ダナン市は中部重点経済圏(CFEZ)の中核都市であるが、CFEZ のベトナムに おける拠点性は人口や経済の集積度から見ても北部や南部の重点経済圏(それぞれNFEZ、 SFEZ)と比べるまでもなくまだまだ低い。都市人口は NFEZ と SFEZ がそれぞれ全国の 20%と 30%を占めているのに CFEZ は 8%にすぎず、GRDP もそれぞれ 21%、43%、 5%と CFEZ の低さが目立つ。こうしたなかでダナン市は CFEZ 都市人口の 38%と GRDP の 25%を占め CFEZ における拠点性は大きく、ここにダナンを牽引力とする中部 地域の発展戦略を強化する必要性が認められる。 表 3.1 ベトナムにおけるダナン市のプロファイル(2009 年) 項目 重点経済圏 全国 ダナン市 北部 中部 南部 面積 km 2 15,594 27,976 28,099 331,051 1,283 全国に占める割合(%) 5 9 9 100 0.4 (4.6)2) 人口 千人 14,328 6,109 15,535 86,025 890 全国に占める割合(%) 17 7 18 100 1.0 (14.6)2) 年間成長率 (%):00-09 年 1.35 0.58 2.98 1.15 2.7 都市人口 千人 5,000 2,024 8,304 25,466 773 全国に占める割合(%) 20 8 33 100 3.0 (38.2)2) 年間成長率 (%):00-09 年 4.33 2.80 3.58 3.48 2.8 GRDP1) 10 億 VND 239,241 62,585 486,366 1,144,015 15,474 全国に占める割合(%) 21 5 43 100 1.4 (24.7)2) 年間成長率 (%):00-07 年 11.9 11.0 11.8 11.3 12.3 一人当たり人口1):百万VND 10.2 17.7 36.1 13.8 19.1 FDI 案件数:88-09 年 3,106 416 7,665 12,575 164 百万USD:88-09 年 36,626 15,755 92,683 194,430 2,640 注:特記事項のない限り、省統計書2009 年データ。 1) 2007 年値、2007 年価格、実質成長率(1994 年価格で計算)。 2) 括弧内はダナン市の中部重点経済圏に占める割合。 1ハノイ、ホーチミン、ダナン、ハイフォン、カントの5 市が含まれる。

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約 都市プロフィール 3.3 16 世紀半ば頃、ダナン市は小さな中継港であったが、20 世紀初期には地域貿易 の中心地として発展した。ベトナム戦争時(1960 – 1975 年)は激戦地の一つであったが、 1975 年に独立を果たした。1986 年に市の復興が本格的に始まり、以来急激な成長を見せ ている。1996 年にクアンナム省から分離され、CFEZ の中心都市としての地位を確立し た。表3.2 に市の沿革をまとめた。 表 3.2 ダナン市の沿革 時期 歴史的経緯 16 世紀半ば 小さな中継港として発展(小規模貿易や船舶修理等) 18 世紀初期 ホイアンに替わる商業港として発展 1835 ハン港を中部地域唯一の貿易港として認定(最大の商業港として発展) 1889 フランスによるベトナム全土の統治の始まり ダナンのクアンナムからの分離(トゥーランとして改名) 20 世紀初期 中部地域の主要貿易地点としての地位の確立 1950 市行政に関するフランスからバオダイ政権への権利委譲 1965 アメリカ軍用基地の建設 1967 中央直轄市としての認定 1975 独立 1986 本格的な復興活動の始まり 1996 第9 回全国大会第 10 回セッション決議 (クアンナム-ダナン省からダナン市およびクアンナム省へ) 出典:ダナン市ウェブサイト(http://www.danang.gov.vn) 3.4 ダナン市の面積は 1,256 km2(島嶼を除いて 950 km2)である。市の都市化地域 が南シナ海の東側に発達してきた一方で、市の西側はほとんど山岳性の農村地域である。 開発可能地域は 341 km2である(河川・湖沼・森林・空港・港湾・軍用地・墓地等除 く)。ダナン市は8 つのディストリクトおよび 56 のコミューンで構成されている。 3.5 2009 年時点ではダナン市は人口 890,490 人(うち 87% は都市人口)であり、 2005 年から 2009 年の間に年率 2.7%の成長をしている。Hai Chau や Thanh Khe といっ た既成中心市街地における人口成長率は低いが、Lien Chieu のような外縁都市域におい ては高い。それにもかかわらず、既成中心市街地の人口密度は高く、その他の地域では 低い。都市域はしだいに周縁部に広がっている。これらの人口には公式登録されていな い転入人口も含んでおり、世界銀行による調査によればこうした転入人口は登録人口の 20%にも達すると言われている。 3.6 人口の転入が進むことによって、人口増加がより一層加速することが見込まれて いる。その影響で低価格住宅需要の増加や自然人口増加率の上昇が予測され、場合によ っては経済停滞時の失業率も高くなり得る。さらに、人口転入や社会的慣習の変化に伴 い、平均世帯構成員数も減少することが見込まれる。一方、ホーチミン市等の他成長拠 点への人口転出による熟練労働の不足も想定される。これらの変化は、CFEZ の絶対的な 発展と、NFEZ と SFEZ と比較した相対的な発展によって決まる側面が強い。

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約 3.7 市の社会経済プロファイルは表3.3 に示されるが、主な点は下記である: (イ) 高度な経済成長が続いており、2005 – 2009 年の成長率は平均年率 16%である。これ によって1 人当り GRDP も 2005 年の US$883 から 2009 年には US$1,629 と上昇し ている。経済は2 次部門の安定的な拡大に加えて観光業を中心とする 3 次部門の成長 に支えられており、FDI の果たす役割も大きい。 (ロ) 住民の貧困率は 3.5%、失業率も 5.0%とベトナムの他都市と較べて低い2。 (ハ) インフラサービスは改善の余地がある。水道、通信、廃棄物、下水等のカバレッジは 不十分で、特に郊外部の整備率が低い。 (ニ) 医療については比較的良く整備されているが、教育については学校あたりの生徒数が 多く、供給不足となっている3。 表 3.3 ダナン市の社会経済プロフィール(2005 年・2007 年・2009 年) 項目 2005 2007 2009 成長率 05 - 09 (%) 1. 社会 人口 合計 779,019 806,744 890,490 2.7 都市 (%) 86 87 87 0.1 農村 (%) 14 13 13 -0.8 労働力 雇用者 (no.) 386,487 399,550 442,818 2.8 安定雇用者 (no.) 367,356 379,493 420,475 2.7 失業者(%) 4.95 5.02 5.05 0.4 2. 経済 GRDP VND billion (現在価格) 11,691 15,474 24,663 16.1 一人当たり GRDP VND thousand (現在価格) 15,007 19,181 27,696 13.0 US$ (1 US$=17,000 VND) 883 1,128 1,629 13.0 産業構成 (%) 第 1 次産業 5.1 4.3 3.9 -5.3 第 2 次産業 50.2 45.6 44.6 -2.3 第 3 次産業 44.7 50.2 51.5 2.9 一人当たり生産高 (VND000) (現在価格) 農業 1,152 1,292 1,783 9.1 工業 21,532 26,062 34,868 10.1 サービス 10,498 15,065 21,904 15.8 FDI (95-09) プロジェクト数 - - 164 - 登録資本 (US$ mil.) - - 2,640 - 実施資本 (US$ mil.) - - 589 - 貿易 輸出(US$ mil) 349 470 476 6.4 輸入 (US$ mil) 438 522 532 3.9 観光 No. (000) 2) 国内 432 1,000 - - 国外 228 350 - - 収入 (US$ mil) 22 30 42 - 3. 公共 サービス アクセス率1) 電気 - 100.0 - - 水道 - 63.4 - - 通信 - 66.8 - - 保健医療 ベッド 台数 3,270 3,587 3,819 3.2 千人当たり台数 4.20 4.45 4.29 0.4 教育 初等 生徒数 63,871 59,317 63,217 -0.2 学校数 96 100 101 1.0 中等 生徒数 93,604 93,473 86,176 -1.6 学校数 67 70 71 1.2 高等 生徒数 131,840 122,502 138,491 1.0 学校数 22 20 23 0.9 注:データは各省の2009 年統計書より。ただし、次を除く。 1) DaCRISS コミューン調査(2008) 2) ダナン市スポーツ文化観光局 2全国の貧困率は13.4%、失業率は 6.5%である(2009 年)。 3全国の千人あたりベッド数は2.7 台。全国の学校あたり生徒数は初等教育で 455 人・中等教育で 605 人・高等 教育で4,457 人であり、それぞれダナン市の 0.73 倍・0.50 倍・0.74 倍である。

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約 3.8 ダナン市の現在の空間開発には次のような特徴がある: (イ) ダナン市は市の西と北を市域の約 60%を占める山地と森林域で覆われており、東側 には南シナ海が広がり美しく長い砂浜が続いている。山と海をつなぐ河川が平地を 流れ所々に湖沼を形成しオープンスペースも 28%にのぼる。こうした豊かな自然環 境がダナン市の基盤を形作り同時に比類のない眺望と景観をもたらしている。 (ロ) 都市的土地利用が行われているスペースはわずか 10%にすぎず、ダナン市は高い人 口密度を持つコンパクトな市街地と郊外に散在する農村域で構成されている。一方 近年の都市化によって市街地は急速に郊外へ拡大しており、特に南部や南西部で顕 著である。海岸部でも高級リゾートによる開発が進行している。 (ハ) ダナン市の成長をどう管理するかが最も基本的な課題であるが、ハノイやホーチミ ンの例をみるまでもなく、スプロールを回避し、競争力があって住みやすく環境が 保全されるようなコンパクトで効率の良い市街地の形成を図ることが最も基本的な 課題である。現在行われている郊外部における中高層所得層向けの低人口密度開発 はその実現を難しくするものである。 図 3.1 ダナン市における土地利用(2006 年) 出典:DaCRISS 調査団(MONRE データより作成)

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約 環境および交通 3.9 過去 10 年間におけるダナン市の環境が改善を見せた一方、急速な都市化および 工業団地が環境劣化の原因であり、適切な対策が取られなければ、その影響はさらに深 刻化すると見込まれている。さらに市の人口は2025 年までに 210 万人に達すると予測さ れており、このような急激な人口増加は環境に重い負荷をかける。したがって、将来の ダナン市の開発にとって主要な事項は環境管理である。観光、土地利用の拡大、インフ ラ建設、伝統工芸村からの大気汚染等の問題がある中、今後表面化すると見込まれる潜 在的な環境課題は次の点である: (イ) 将来需要を満たせるような水資源管理

(ロ) 将来水力発電プロジェクト(Hoa Vang 地区における Song Nam Song Bac ダム、 Tuy Lan ダム等)のインパクト (ハ) 弱い財政基盤を持つ URENCO による廃棄物管理制度の脆弱性 (ニ) 都市的土地利用の拡大に伴うインフラ開発、観光開発、サービス施設建設、住宅建 設等による環境への影響 (ホ) 特に洪水災害等のリスク管理、危険物の移送、航空交通の増加による騒音等 3.10 豊かな環境を維持していくためのシステムは必ずしも効果的に用意されてはいな い。市は:(イ) 現行の環境都市計画にしたがい、汚染を除去もしくは減少させること、(ロ) 自然災害に対する備えおよび対策を強化すること、(ハ) 都市開発およびその活動の基盤を 作るための環境資源の統合的利用の促進することが必要である。 3.11 ダナン市の交通システムを表 3.3 に示す。現状においてはダナン市には深刻な問 題はないが、将来については不確定である。したがって、市は(イ) 成長戦略と統合された 効果的な公共交通の開発のための政策の確立、(ロ) 省間交通のインターフェースの整備、 (ハ) 安全、交通ルール、非動力化車両、歩行者等に対する意識の向上等を行う必要がある。 表 3.4 ダナン市の交通システム 交通モード インフラ サービス 交通量レベル 道路 都市内 • 都市的道路 (311 km) • 信号/環状交差 • 橋梁およびフライオーバー • 私的交通:自転車・オートバイ・ 車 • 公共交通:バス・タクシー・バイ クタクシー • 交通モードが混在し、安全性の低い 状態 • ピーク時の混雑 都市間 • 国 道 1A (37 km) お よ び 国 道 14B (32km), 地方道路 (100 km) • 私的交通:オートバイ・車 • 地方バス(各地) • 交通モードが混在し、安全性の低い 状態 • 建て込んだ場所では混雑あり 鉄道 • ハノイとホーチミンを結ぶ南北線 (市内区間は42km) • ダナン駅を含む 5 駅 • 日当り運行量 18 の旅客電車 12 の貨物電車 • 2006 年における交通量 出発: 364,755 pax 到着:377,030 pax 航空 • ダナン国際空港(3,048 m x 45 m の滑 走路 2 本。最大機体は A320。ター ミナルビルのキャパシティは年間 100 万 pax) • 週当り便数(出発便) 7 の国際便 120 の国内便 • 2007 年における交通量 国際:27,000 pax・100 ton 国内:141 万 pax・8,800 ton 港湾 • ダナン港は次の港によって構成さ れている: テ ィ エ ン サ ター ミ ナ ル(バース延 長:965m、水路深:10-17 m) ソンハンターミナル(バース延長: 528m、水路深:6-7 m) • テ ィ エ ン サ タ ー ミ ナ ル は 最 大 45,000 DWT の貨物船、200 TEU のコ ンテナ船、75,000 GRT の旅客船を収 容できる。キャパシティ:年間450 MT • ソンハンターミナル:最大 500DWT の貨物船を収容。キャパシティ: 年間100 万 MT • 2008 年における取扱量 貨物合計:270 万 MT - 輸入:526,000 MT - 輸出:1,231,000 MT - 国内:985,000 MT コンテナ:61,881 TEU 旅客合計:29,642 pax 内陸水運 • 13 の内陸水運路(162.7km)および 18 の旅客用ターミナル • 主に貨物輸送に使われており、旅 客用の定期便はない • N.A. 出典:DaCRISS 調査団

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約

図 3.2 ダナン市における交通ネットワーク(2008 年)

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約 課題のまとめ 3.12 持続可能な成長管理:ダナン市の基本的な課題は急速に増加する人口や投資を梯 子に経済成長を強固なものにし、居住環境性を高め環境保全を同時に強化することで持 続可能な発展を確保するところにある。 3.13 経済開発:ダナン市はCFEZ の成長エンジンとして機能することが期待されてい るが、そのためには、持続的な経済成長が必要で、次のような課題を克服すること必要 がある。 (イ) 競争力のある経済開発戦略:従来の 2 次産業を中心とした投資は、NFEZ や SFEZ と 競合し、CFEZ は将来とも充分な誘致力を持たないと考えられる。従って従来の政策 に加えてCFEZ の強みである観光や環境をベースにした経済開発戦略の確立が必要 である。又2 次産業部門を始めとする国内民間および外国投資促進のためには情報 技術、運送コスト、船舶の頻度、交通状態、交通コスト、労働コスト、電力供給、 制度、財務や土地へのアクセス、税金、セキュリティ等投資環境の一層の改善が必 要である。 (ロ) 人材開発:ダナン市の将来の経済開発を支える最も重要なファクターの一つに人材 の確保がある。2 次産業部門のみならず、拠点都市として観光を始めとするサービス や新たな産業の新興・開発には高品質の人材が不可欠であり、CFEZ のみならずベト ナム全体のニーズに応えるべく、ダナン市の産業の柱に育てることが必要である。 また人材開発はダナン市の経済開発戦略に沿って行い、需給のミスマッチが起こら ないようにすることが重要である。 3.14 社会開発:急速な都市化と経済成長は社会面に様々なインパクトを及ぼすので下 記の諸点への留意が必要となる。 (イ) 人口増への対応:人口増は社会増によって加速し平均成長率は 2015 年にかけて年率 2.6%さらに 2020 年にかけて年率 3.8%となる。既存住民の需要に加えてこうした増 加人口に対する適切な雇用機会、住宅、生活サービスの供給が必要となる。 (ロ) 中低所得者への対応:特に中低所得者層への住宅やサービスの供給を適切に行うメ カニズムを確立しないと大都市で顕在化しているように、都市内格差が拡大するこ とが危惧される。 (ハ) 都市開発に対する社会的意識の向上:望ましい都市開発は住民を始めとする様々な ステイクホルダーの参加なしには実現しない。このためには教育やキャンペーンを 通じて関係者の意識の向上を図る必要がある。 3.15 空間開発:ダナン市にはスプロールの潜在的脅威がある。これをコントロールす るためにダナン市がなすべき基本的なことは、(イ) 都市人口の継続的な伸びへの対処(空 間開発戦略)、(ロ) 中部重点経済圏およびベトナムにおける役割の拡張、(ハ) 環境を保護し ながら土地の効果的活用、である。このためには環境、土地利用、交通の一体的な開発 が不可欠である。

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約 3.16 都市インフラ:全体的な状況は改善し続けているものの、地域によって異なる。 都市インフラおよびサービスに関する課題および懸念は次のとおりである: (イ) 電力供給:急速に増加する需要に対応するに充分な信頼性ある電力供給を提供する。 発電所の建設、代替エネルギーの開発、需要のコントロール等も必要である。 (ロ) 水供給:中央型給水システムを改善し、郊外部には独立したシステムを導入する。 漏水の減少、総合的な資源管理、地下水源の開発、キャパシティディベロップメン ト等も必要である。 (ハ) 排水処理:排水処理マスタープランの策定、産業汚水の管理、水供給計画との整合 性等が必要である。 (ニ) 廃棄物管理:産業廃棄物および危険物処理システムの確立、埋め立てゴミの減少等 が必要である。 したがって、市はまず(イ) 電力供給・水供給・排水処理・廃棄物管理についての施設およ びサービスの継続的改善、(ロ) 水質改善、公園・水域・主要道路付近の公共トイレ整備、 排水状態改善等人々の具体的ニーズを特定することが必要である。 3.17 交通開発:交通インフラとサービスの強化は中部経済圏とダナン市にとって非常 に重要である。中部地域においては、成長拠点や開発資源を連結し、地域の競争力を強 化するために交通の果たす役割は大きく、これによってダナン市の拠点性も大きく高ま る。ダナン市においては、市街地の面的拡大を効果的に誘導する手段としてのみならず、 良好な都市活動を支え投資環境を改善する上でもその重要性は高い。即ち交通は将来の 持続可能な開発を促進する上での重要な戦略的手段である。 3.18 環境管理:環境はダナン市の持続的開発に決定的な役割を果たす。したがって汚 染除去は勿論であるが、生態系保全、防災、気候変動への対応も含めて、社会経済活動 全体の中で環境改善の取り組みを考える必要がある。 3.19 地方財政:2007 年の市予算合計は 7 兆 9540 億 VND であり、設備投資はその 27%を占めた。市は土地の利用転換によって多額の資金を得ているが、このような事業 の持続性は保証されない。ダナン市の都市開発のための公共財政管理における課題は(イ) 地方財政基盤確立、(ロ) 初期投資と継続費用のバランス化、(ハ) 維持管理作業の管理の 3 点にあり、このために、(イ) 土地をより効果的に管理すること、(ロ) 市歳入源を多様化する こと、(ハ) 施設やサービス提供における民間セクターの参加を促進することが必要である。

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ベトナム国ダナン市都市開発マスタープラン調査(DaCRISS) 最終報告書 要約

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ダナン市の既存計画レビュー

4.1 現在ダナン市には承認された政府計画がいくつもあり、それらが市の将来開発や 管理に対するフレームワークとして市全体や主要セクターに影響を与える。DaCRISS で レビューした関連計画は次のとおりである: (a) 社会経済開発計画(2006-2010):本計画1はダナン市人民委員会およびダナン市計画 投資局を中心とする各局によって作成された。ダナン市の経済状態、機会や課題のみ ならず、2006-2010 年期間における目的や目標について記されている。同計画におい て市の特徴とされておりまた経済成長に寄与すると思われる事柄は、地域の主要な観 光資源や施設であり、経済やマーケットを開放することの重要性が謳われている。し かしながら、同計画には市が次のような深刻な課題を抱えていることを挙げている: (イ) 他地域と比較して相対的に低い現在の経済成長状態、 (ロ) 需要が高いにもかかわら ず、資金不足に陥っている投資環境、(ハ) 市の都市マネジメントキャパシティ増強の 必要性、(ニ) インフラ整備が需要に追い付かない急速な都市化、 (ホ) 市の急激な拡張に よる様々な環境問題。 (b) 2020 年社会経済開発計画:ダナン市計画投資局は 2008 年に「2020 年社会開発計画 に関する報告」をまとめた。市人民委員会は2008 年 7 月 3 日に同計画を承認し、現 在は首相による最終承認を待っている。必要な手続きを経たのち、計画が公認され実 行に移される。表4.1 は同計画の要約である。 (c) ダナン市マスタープラン(建設計画):ベトナムにおける全国的な都市計画システム、 建設法とその関連法に基づき、都市建設計画もしくはマスタープランは都市域および 詳細地区におけるジェネラル・プランと、地域計画によって構成されている。「ダナ ン市2000-2020 年ジェネラル・プラン」は主に 1999 年にハノイの都市農村計画研究 所(NIURP2)によって作成され、2003 年に見直しを行っている。2007 年にマスタープ ランに対してさらなる調整が行われた。マスタープランを作成するにあたり、NIURP は計画投資局、建設局プロジェクトマネジメント事務所、都市計画研究所、自然資源 環境局、労働傷病兵社会局等と協調したとされている。 (d) ダナン市土地利用計画(2006-2010):本計画は 1997-2010 年、2004-2010 年期間と して作成された既存計画に基づく。南および西方向の開発および郊外部における新都 市センター開発を計画しており、2010 年時点で都市的土地利用面積を全体の 42.3% とすることを目標としている。 (e) ダナン環境都市開発計画:「環境都市としてのダナン市」のコンセプトは同市を環境 都市とするために公式化されたものであり、同時にそれは持続的な開発を追求し人々 の住環境を改善する目的を持ったものであった。計画の実施を 2008 - 2010、2011 - 2015、2016 - 2020 の 3 期に分けており、大気・水・土壌汚染それぞれにおいて、特 に緊急性の高い汚染から着手することが明記されている。また期間別・分野別に達成 目標値を掲げ、対応するプロジェクトを提案している。本計画は上述の社会経済開発 計画にも反映されている。 1世銀の評価は2005 年 5 月のドラフト版に基づいている。同 SEDP は 2005 年 12 月 28 日に承認されている。 2現在は建設省下「ベトナム建築・都市農村計画研究所(VIAP)」に再編されている。

参照

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