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琉球パイナップル畑土壤の研究 III 西表島畑の現地調査-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川大学農学部学術報告 54 琉球パイナップル畑土壊の研究 Ⅲ 西表島畑 の 現地調査 玉 置 鷹 彦 前報(○8)につづき本報では琉球八重山群島西表(イリオモテ)島東岸,仲間崎地区のパイン畑土壌紅ついて19る5年 5月現地調査を施行した結果紅ついて報告するこの島の土壌調査に関しては横井らに・より・近年ほ既耕地を主とす る琉球中央農菜指導所($・4〉の報告があるまた小林(2)は本島の未耕地原野,森林等の土壌紅閲し詳細な調査を行なっ た結果西表島の農巣開発にほ土壌の改良と合理的な管理が必要であるこ.とを指摘している.以下に述べる報告はこの 島の・一部分のパイン畑土壌について行なったものであるが,調査にあたり琉球産菜株式会社の協力を得たことを感謝 するまた鹿児島大学農学部教授小林寓博士より種々御助言をいただいたことを厚くお礼申し上げる次第である Ⅰ 調 査 地 城 西衰島は前報(6・る)でのべた石垣島の西南方海上約20Km,すなわち東径約125・5皮・北緯約245度に位凱ノ,島の 東西は約25Km,南北は約18Km,周囲約75,5Km,面積290Km2,竹富町を構成している島々のうちで最大の島であ る.本島に.おけるパインはおもに島の東部,海岸寄りの台地あるいは傾斜地に位置する畑で栽培しているこのうら 北部地域すなわち野原しノバル)付近の土壌ほ安山岩系統で,埴賀ながら岩片を多く含むことによって理学性良好な ものが多く,この地域のパイン作は一般に良好であるけ しかし南部地域すなわち仲間峰村近の土壌は解5紀層砂岩の 風化物に由来するものが大部分で,理学性ほ前記北部の土壌より劣り,パインの生育は一般に不良である∴現地調査 ほ仲間崎のパイン畑′5個所について実施した.この地域は御座岳の東方,仲間川をへだてた起伏のゆるい山地をな し,その東端の海岸は勾配200以上の断崖をなしている J工 調 査 方 法 調査方法ほ既報(6)の方法によった本調査に・おいて−も土層区分は動力耕起部を第1屑・その下層の未耕起部を舞2 層とする. Ⅱ 調査結果および考察 検土枚による土壌断面の判定等についで第1表に,土壌のpHと作付状況を第2真にしめす. 第1表より仲間崎地区検土地No、1ほ海岸に迫る断巌 上紅開墾されたパイン畑で,その地質ほ月ANZAWA(1)に よれば八重山巧炭層地帯に鼠する乳5紀屑砂岩である 第1眉は土層5Dcm,砂岩に由来する粘士分を含む微妙 土であり,第2層はかたく人力による検土不能で第1層 と同質の微妙よりなる砂岩風化物に近い土壌である.土 壌は微妙質土であるが粘土分を含むため,現地聞きとり 調査によれば夏期にほ乾燥により固結し易く,このため 植付後間もないパイン宙は根の伸長,発展が妨げられる 結果株の生育不良を招くという“またこの畑は断崖上の 小高い場所に位置しており冬期には海より強風をうける ことが土壌の理学性の不良なことに加わっ■てパインの生 育不良をより著しくしている.したがって19占2年9月に 鱒1表 土壌断面調査結果

毒璧㌍l㌔。苧斗桓画も讃

土 色l土 佐 汚遺褐 黄 褐 FSFS一FSC 汚真褐 黄赤褐 (註)」性記号 F S:細砂土,C:埴土,L=壌±

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

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55 植付けた現作パインほ生育が遅れ貧謁な草体をしめして いる,.この種の土壌ほ岩片や礫を殆んど含まず,パイン 土壌のもつぺき必須条件である通気性,通水性に乏し いしたがって有機物の施用や保水性土壌改良剤の使用 など紅よりその理学性の改善,すなわち土壌の通気,通 水をはかることをまず館山匿考えなければならぬ“また 本島の年間降雨塩は2000nmを越し,既報の石垣島のそ れに比較して約400mm多い,したがってこの種のパイ ン畑は降雨時に微細土砂の流亡がおこり易く,土壌は侵 しよくをうけ易い.このため畑に設置されている排水溝 は土砂くずれ紅よって−満が浅くなっているしたがって 帝1占巻第1号(19占4)

第2表 土壌のpH測定結果

亮態警偲禦 作付状況 (H20)【(KCl) 19占2年 9月植付 19占2年 8月植村 19る2年 9月格付 この場合排水溝はコンクリ−・ト製または石組みとするこ とが好ましい.さらに.草生法をはしめ土壌保全対策を講ずることも必要であるり 検土地No・・2も検土地No・、1に地 っづきの傾斜畑で,解1層ほ.17cm,粘土分を含む微妙土,館2層はかたく人力による検土不能の灰責褐色の砂岩風 化物紅近い壌土であるこの畑は普通畑として19占1年大豆を播種したが生育せず,現作パインは19占2年8月植付けた ものである.帝2層は密で非常にかたいので第1,2眉間に停滞水を生じ易く,また傾斜畑のため降雨に・より土壌は 侵しよくをうけて流亡し易いので検土地No..1同様土壌保全対策を講じなければならぬ・換土地Nol・5は検土地No・・ 1,2とはややはなれて位置しているが,地質は検土地No..1,2同様算5紀層砂岩であるしかしその風化物は検 土地No.1,2のそれより赤色を帯びている“小林(2)は本島の土色を植生に・よって2大別し,森林下のものは巽色 土塾,原野のものは赤色士塾に.属するものとみているが,本検土地は赤色土型に相当するものであることが土色殊に 下層土のそれがより赤色を帯びていることから思考されるところである.鮮1層ほ24c恥 壌土,算2層ほかたく人 力による検土不能の糞赤褐色の砂岩風化物に近い壌土である.また第1,2眉間の通水ほ艮好である・したがってパ イン作紅適している現作パインは19占2年9月に植付けたもので,その生育状況は検土地No・1,2のそれに比較し で良好である. 欝2表より鱒1層土壌の反応はpH(H20)5..4−5ふpH(ⅩCl)4‖2−・4ふpH差1、D一−1L5であり,箱2眉のそれ はpH(H20)5.4−・5.5,pH(KCl)5、8−4.6,pH差0小9−11・6で,鰭1,2屈ともpH差は試料No・502を除き1以上 の値をしめている前報(6・8)に.おいてはpH差018以上の試料は更新畑土填であったが,本報の土壌はすぺて:未更新畑 のものであるいそれにも係らずpH差の著しいことほ.その母岩が第5紀層砂岩であり,この種の砂岩に由来する土壌 は−・般紅強酸性であること(5)が知られて−おり,本地区の土壌の場合も第2層の岩石風化物に近.い土壌のpH(KCl)が 試料No502は4.る,試料No.5D4は.5.8,試料No・50るは4・2といずれも置換酸性の著しいことを暗示し,したがって−母 岩の風化によって生成する土壌の潜酸性の強度が著しいことがその原因をなしているものであろう1 以上本地区のパイン畑は5個所の現地調査の結果だけであるので,この結果によって西表東部における南地域に分 布するパイン畑のすべての土壌に関する判定を行うことは因兼である..したがってこの5個所のパイン畑と土質や地 形あるいは地質を同じくするこの島のその他のパイン畑土壌にたいして以上の調査結果を参考とすることが望ましい Ⅳ 摘 要 琉球,八重山,西表島仲間崎地区のパイン畑土壌につき19占5年5月現地調査を施行しつぎの結果を得た (1)土壌が砂質で勾配の著しい傾斜畑においては降雨による土壌侵しよくをうけて表層土が著しく流⊂し,このた め排水溝が土砂で埋められる傾向が著しい.これを防止するため排水溝はコンクリ−ト製または石組づくりとするな ど排水摺置を完備することがのぞましい (2)土壌が砂質でしかも粘土分の多い畑土壌は乾燥により固結し易いしたがってその理学性を改善することが好 ましく,保水性土壌改良剤の使用あるいは有機物の施用が有効と考えられる (3)第2層が著しく埴質で第1,2眉間に停滞水を生じ易い畑においてはこの部分の排水につとめるよう注意しな ければならぬ. r41土壌のpH差は第1層1.0・−1.5,第2屑0.9−1け占をしめし,大部分の試料は1以上のpH差をもっており土壌

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5る 香川大学農学部学術報告

酸性の強度が著しい

引 用 文 献

(l)HANZAWA,S:Sci‖ Reph Tohok11Univ., (5)佐伯秀童:農林地質学156,東京,朝倉書店 Ser.Ⅱ,17,59(1954) (1950)

(2)小林寓:鹿児島大,農学報10,108,124(19る1)..(6)玉置鷹彦;本誌15,1占(19占5) (3)琉球政府経済局:土壌調査成陪審第1骨(1957) (7)−・一−−・:同上15,155(19朗) (4)仙:同上 算17号(1957) (8)剛一−・一・・・:同上15,141(19朗)

Studies on Ryukyu pineapple field soil

Ⅲ SoilsurveyinIriomoteisland

Takahiko TAMAX王

Summ&ry SoilsuIVey On pineapple field soilin Nakama district.h・iomoteisland,Yaeyama,Ryukyu WaS Carried outin March,1965and following resl11ts were obtained:

(1)In Nakama district.there occurs seveIe SOilerosion by rain fal1at the s11rface of pineapple field Slopes which consist of sandy clayloam.Ditches of these fields are destroyed byIIain waterstI・eamaZld burried with carried away soil.Drainage ditches cf these fields have to be builtwith concretes or stones to protect from the destructiYe pOWer Of rain wateI・.

(2)It was recognized that sandy clayloanin this distz’ictis apt toharden whenitgets dry.It seem8 desirable that use of oIganic materials such as green manuve and water holding soil conditioners is pzeferable toimprove such soilfo工nOrmalgrowth of pineapple plants.

(3)pH−Value differencesbetween pH(H90)and pⅡ(KCl)range froml.otol.5in cultivated topsoil, from(〕.9tol.6in uncultivated sub−SOil.The most parts of soilsaznples havel.O pH−Value difference and strong soilacidities.

(Received.Tune9,19d4)

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