香 川 大 学 経 済 論 叢 第 72巻 第 3号 1999年12月 315-339
資本コスト,税制および投資
阿 部 文 雄
し は じ め に 本稿で取り上げるテーマは,企業の資金調達を明示的に組み込み,資金調達 と投資経路が最適解として同時的に決定される投資モデルの研究である。この テーマは,投資理論と企業金融の理論というそれぞ、れ独立して研究されてきた 分野を含んでおり,一種のギャップが存在している。というのは通常,投資理 論のアプローチでは,資金調達を明示せずに最適投資経路を導出しようとし, 他方,企業金融理論のアプローチでは,投資計画を所与として最適な資本構成 を検討してきたという背景があるからである。周知のように,このことには, Modigliani and Miller (1958)のいわゆる 'M-M理論」の存在が深く関わって いる。税制の存在しない完全な資本市場を想定した上で打ち立てられた,投資 と資金調達の聞の否定的な関係を主張する命題である。しかし,M-M理論以降, 投資理論と企業金融の理論の聞に存在するギャップを埋めるべく,資本市場の 不完全性や税制,非対称情報といった要素を考慮したモデルも多く展開されて きている。それらの中で重要な役割を果たしているのは,資本コストと企業価 値という概念であり,異なった結論が出てくるのもこれらの概念に関する定式 化の違いを反映しているように思われる。そこで,本稿では,不確実性の存在 しない状況で, Brock and Turnovsky (1981)による資本コスト概念の定式化 とOsterberg(1989)による「負債のエージェンシーコスト」概念の定式化を基 礎として,企業税制を組み込んだlつのモデルを再構成し,上記資金調達と投 資に関する問題を考えていく。さらに,法人税率をはじめ各種パラメータの変 化が最適投資経路や最適資本コスト,最適負債一自己資本比率に及ぽす影響を316- 香川大学経済論叢 1130 比較動学分析によって検討する。 本稿で重要な役割を果たす資本コストについてあらかじめ述べておこう。資 本コストとは,企業に対する資金提供者が要求する期待収益率と定義され,ま た,企業価値,すなわち,ネットキャッシュフローの割引現在価値総額を求め る際に使われる割引率と考えられている。しかしながら,投資を実行するため に内部留保や負債,自己資本といったいくつかの資金を組み合わせて利用する 場合,具体的に資本コストをどのように定式化するか(どのような値に設定す るか)については,議論が分かれている。本稿では, Brock and Turnovsky (1981)が定式化した資本コスト概念を採用する。彼らの定義した資本コストは, ネットキャッシュフローの割引現在価値総額である初期時点の企業価値を求め る際の割引率として,モデルの中で内生的に決定されるという特徴を持ってい
る。
さて, Brock and Turnovsky (1981)でもそうであるが, この種のモデノレに おいて,最適な負債一自己資本比率は,端点解になっていることが多い。負債 に有利な企業税制の下で,可能な限り負債による資金調達をおこなうというの が基本的なパターンである。これに対して, Osterberg (1989)は I負債のエー ジェンシーコスト」を明示的に考慮、してモデル化を行った。すなわち,負債一 自己資本比率に関して逓増的な増加関数としての「負債のエージェンシーコス ト関数」の定式化である。Osterberg(1989)による負債のエージェンシーコスト は,
J
.
ensen and Meckling (1976)流の考え方に沿って,負債を発行する際に, 株主と負債所有者の利害を調整するための財務制限条項(bondcovenants)と いった契約上の制約に関連したコストとして定式化されている。すなわち,そ こでは,企業を株主(=経営者)と債権者(負債所有者)の利害が調整される (1) 彼らのモデノレは,一般均衡論的マクロモデルとして展開されており,本稿では,その企 業部門に焦点を当てている。また,鴨池治(1986,1987, 1990)においても独自に,目的関 数としての企業価値および割引率が類似の定式化によって内生的に導出されている。 (2) r企業が企業価値あるいは株価を最大化するときに,純収入(netcash flow)の流列を割 りヲ│く利子率,すなわち,資本コストは何が適当かという問題が起きる。」永谷(1982)p. 102。
1131 資本コスト,税制および投資 -317-場という企業観を基礎にしている。そしてこの負債のエージェンシーコスト関 数により,最適な負債一自己資本比率が内点解として決定され,あわせて,最 適資本コストが負債一自己資本比率の関数として内生的に求められている。 II節以降の構成は以下のとおりである。まずII節において,モデノレが定式化 され,企業の目的関数が内生的に導出される。 III節では,最適性の必要条件と 最適解の特徴が明らかにされる。続いて
I
V
節において,各種パラメータの変化 が最適経路に及ぼす影響が検討される。最後に, V節で結果の要約と今後の課 題が述べられる。 II.モ デ ル 資本Kと労働Lを利用しである 1種類の生産物を生産している企業(株式 会社)を想定する。この企業の売上額ρ
,F(K,L)から賃金ωL
を差し引いた営 業利益は,労働Lに関して最大化され,資本ストックKの関数として次のよう に表されるものとする。R(K)zm?x[ρ
,F(K, L)一ω'L,
l
R'(K)>
0
, R"(K)<
0
(1) ここで,ρ
は生産物価格,F(K, L)は生産関数,Wは賃金率である。この最大 化された営業利益R(K)は,投資に伴う調整費用C
(I), 負債(社債を想定)B
に対する利子支払いrB,負債のエージェンシー・コスト α(}.)B,法人税T,配 当 Dとして支払われ,残額が内部留保REとなる。 R(K)=
C(I)+rB+T十RE+α(}')B+D,(
2
)
α
(
0
)
=
0
,
a'(}.)>
0
,
a"(}.)>
0
また法人税率をじ法定資本減耗率を δとし,利子支払いと投資に伴う調整費 用が企業の課税所得から控除されると仮定すると,法人税T
は, T =r
[
R(K) -C(I) -rB -oK] (3) となるから,これを(2)式に代入すると,(1-r)[R(K)-C(
I)-
rB]+ roK = RE+α
(}.)B+D (4) を得る。ここで, (4)式左辺の roKは,減価償却控除に基づく節税効果を表して~318 (3) いる。 香川大学経済論叢 1132 次に,企業は t時点で
E
(
t
)
単位の株式,B
(
t
)
の負債(社債)を発行してい るものとし,株価をz
(
t
)
とすると,市場で評価された企業価値V(
t
)
は,V
(
t
)
=B(
t
)
+
z
(
t
)
E
(
t
)
(
5
)
で定義される。ただし,初期時点で,E
(
O
)
=Eo
>
0であるとする。 (5)式を時 間 tで微分すると次式が得られる。17=
β +乏E+zE
(
6
)
投資費用が,社債の新規発行β,株式の新規発行zE(
時価発行),および内 部留保RE
によって調達されるとすれば,以下の制約条件が満たされなければ ならない。I=B
十zE+RE
(7) また社債と株式が家計部門によって保有されるとすれば,その税引後の収益 率は一致しなければならないので次式が成立する(株式市場での裁定条件)。 (1~ s3)iE十
(1~ s2)D = (l~ßl)r (8) ここで,slは利子所得税率,s2は配当所得税率,s3はキャピタルゲイン税率で あり, (8)式左辺は株式の税引後収益率,右辺は社債の税引後収益率である。 (8) 式は, 乏E =
芋鉛
D
+
t
鉛
rzE=
ぬD +
仰 と表すこともできる。ここで,(
9
)
a
z
t
鉛
ω
82=
士
会
ト
(lV である。そこで(
4
)
(
6
)
(
7
)
および(
9
)
式から,V
=iE+I-RE
(3 ) このような減価償却の定式化は,鴨池(1990)による。なお(4)式の段階では,減価償却分 の支出は含まれていないので,内部留保には法定減価償却分が含まれている。1133 資本コスト,税制および投資 -319
= iE+
1
-{(1-r)[R(K)-C(
I
)
]
一[(1-r
)γ+α(
,1)]B+ rdK -D}
=θ2D
十()rrzE
一{(1-r)[R(K) -
C(I
)
]
-1+
rdK}
十[(l-r)r
十α(,1)]B+D
= 一φ+
()rrzE +
[(1-r
)
r
+
α(
,1)]B+ (
)
3
D
。 , z白) h H U が得られる。ここで,φ =
(1-r)[R(K)-
C(1)]-
1十 時K =φ(K
,
1
)
aJ、) υ g B A ( であり, (13)式右辺は「ネットキャッシュフロー」を表している。ω
式はさらに 次のように表される。φ+ v =
仇D+()rrzE
十[
(
1
-r)r+
α(,1)
]
B
= (
)
3
d
z
E
+
(
)
r
r
z
E
+
[
(
l
-r
)
r
+
α(
,1)],1zE
= {()3d+()rr+[(1-r)r+
α(,1) ],1}ー
1+
ヱ
ー
,1(
(
)
3
d
+
(
)
r
r
,r/, , / , ¥ 1 ,1i
=何万乙+[(1か +
α(
,1)]百計
v
z ωV A 川 wh u
ここでA
は,負債一自己資本(社債一株式)比率, , 1=Jl
-zE
) F h dh u
である。また以下では,当該企業の発行株式数は初期水準E
o
で維持されると仮 定され,新規株式発行は行われないものとする (E(
t
)
= 0 for allt
注 0)。従っ て,(7)式は, 1=
B+RE
(l6) となる。(16)式から明らかなように,新規負債発行が行われるとすれば,それは 内部留保を越えて投資を行うことを意味する(
1
3
= 1 -RE
>
0)。なお配当政 策dは,配当の発行株式総額(時価)zE
に対する比率で定義され,ここでは簡 単化のため ,d
は,ある正の一定値ゐ以上でなければならないものと仮定する。d =
会注ゐ
>0
門) , a -l ( またここで,320-- 香川大学経済論議‘ 1134 ぬ = 舎 去 である。さらに (l~式中の ω は, ハ
!+B
、
ω= 寸万~+[(1 ーか切(A)ldx
側 であるが,後述するように,ネットキャッシュフローを割り号│く際に適用され る割引率であり,このモデルにおける「資本コスト (costof capita1)Jを表す。 (18)式から明らかなように,資本コストは,税制,社債利子率,負債一自己資本 比率,負債のエージェンシーコスト,および企業の配当政策といった当該企業 の財務的諸要因にのみ依存し,資本ストック,雇用,生産あるいは投資といっ た実物面から独立している。なお仰)式から明らかなように,資本コスト ωは, 配当政策dに関する形状は,ぬの符号に依存する。配当所得税率がキャピタル ゲイン税率より高い場合(ぬ>0
)
,資本コストは,配当が少ないほど低くなる。 従って,可能なら配当はゼ、ロであるのが最適であり,このことは株価上昇によ るキャピタルゲインを通じて株主へ利益を還元する方が望ましいことを示して いる。本稿の以下の分析では,仇=金二金
>0
~
ヨ1-s3
を仮定す2
。従って,資本コストを最小化する最適な配当政策は, d=~ ~ となり,要求される最低水準の配当を行うことになる。なお,配当所得税率 sz とキャピタルゲイン税率ふが等しい時(ぬ=0
)
,あるいは税制をモデ、ルに組み 込まないケースでは,資本コストは配当政策dから独立となる。 さらに側式は, (9)式を使うと,次のように表すこともできる。一一~(三邑判十」一[(1-
r)什 α(tI)]l+
tI¥zE J
'
1
+tI=三互(z~土引+互[(1 ーか +α(tÌ)
]V
¥
zE J
'
V
(4 ) 例えば, Edwards and Keen (1984), p..213参照。
( 21)
1135 資本コスト,税制および投資 -321 すなわち,資本コストは,それぞれの企業価値に占める割合をウェイトとした 自己資本の調達コスト(キャピタノレゲイン+配当)と負債の調達コストの加重 平均となっている。従って,もし投資資金をすべて負債で調達するなら,資本 コストは
ω =(l-r)r+α(
1
1
)
となり,すべて自己資本で賄うなら,その場合の 資本コストは,ω =
仇d
o
+
B
l
r
ということになる。また,税制が存在せず,負債 のエージェンシーコストも存在しない,いわゆる'M-M
理論の世界」を想定す れば,資本コストは,単に ω= r (r負債利子率)となり,負債一自己資本比 率から独立となる。 さて当該企業は,現在から無限の将来にわたるネットキャッシュフローφ
の 割引現在価値総額である企業価値 V(Q)を最大化するものと仮定されるが,そ の目的関数は以下のような手順によって導出される。まず, (14)式が次のように 表される。V-
ωV =
一φ
白) 次に,この(22)式の両辺に exp( ρt
)
= exp(-
I
o
u
J
(k)dめをかけると次式が得ら れる。exp(一 向 )
V-exp(
一 向)
ω
V =
ーφ
(K
,I
)
exp( -Pt)j
t
{
e
PtV}=ーφ
(K,I
)
e
-
PJ
す
{e-Pρ川例
t~
V
(
←
[
0
0
∞φ
(K
,配 列
d。
3) (24) ( 25) (26) この側式が,当該企業が最大化すべき目的関数であり,ネットキャッシュフロー (5 ) 企業金融に関する文献Brealeyand Myers (1996)でも,資本コ トをー「平均資本コス ト(weighted-averagecost of capital, W ACC)Jとしてr rn-告+η一告と定義してい る。しかしながら,そこで,資本コストは内生的に決定されるわけではない。ここで,ァ は資本の機会費用(すなわち「資本コスト J),rnは負債の期待収益率(すなわち「負債の コスト J),行は自己資本の期待収益率(すなわち「自己資本のコスト J),D/VとE/Vは, それぞれ,企業価値に占める負債と自己資本の比率である。 ( 6 ) ここで, ()j= 1, ()3= 0, r = 0, a(A)= 0を(18)式に代入すると, ω=ァが得られる。 (7) ここで,企業価値は無限の将来においてρ1以上の率で成長しないものとし, lim V(t)e-向 =0を仮定している。322 香川大学経済論叢 1136 を資本コストで割り引いた現在価値総額を表している。 さて, (26)式から明らかなように,企業価値 V(O)の最大化は,以下のような
2
段階に分解することができる。すなわち, まず第1
段階として,企業の財務的 変数に関して資本コストの最小化が求められる(最適資本コストの導出)。次に 第2
段階として,この最適資本コストを割引率として,ネットキャッシュフロー の割引現在価値 V(O)が最大化される。 この企業価値最大化の第1
段階である資本コストの最小化では, (18)式から明 らかなように, それに影響を与えることのできる操作変数は,負債一自己資本 比率Aのみである。そこで, (18)式の資本コストω
を負債一自己資本比率Aに関 して最小化すると, 。ω-M+017!+(1-r) γ ~f(ÀL+ α'(À),4--,= 0万一一寸五刃z--r
(
1
+A
)
2
-
r
UV'J1
+A
仰) が得られる。すなわち,8
3Gゐ+8!y-(
1-r)γ=α(A*)+α'
(
A
*
)
A
*
(
l
+
A
*
)
(28) が成立する。ここでF は,第1図に見られるように, (28)式を満たす最適負債一 自己資本比率である。 第1図α(
A
)
+
a
'
(
A
)
A
(
l
+
A
)
8
3do
+
8
!
Y
一(1-r
)
Y
A A* さて(お)式右辺はA
に関して増加関数であり, A=
0
のときゼロとなるから,最1137 資本コスト,税制および投資 -323-適負債一自己資本比率
P
が正であるためには,8
3d
o+
8
1r>
(1-r
)
r
仰 でなければならない。すなわち,自己資本の調達コストが,負債の調達コスト である社債の実効利子率より高くなげればならない。逆に,もし ,8
3d
o
+8
1r
:
:
:
:
;
;
:
(1-r)rなら ,,.1*=0
となり,社債による資金調達は行われないことになる。 また, (扮式から明らかなように,最適な負債一自己資本比率P
は,各種パラ メータに変化がない限り,時聞を通じて一定である。従って,配当政策を一定 に維持する限り,最適資本コスト ωも時聞を通じて一定となる。A12 A * A *
ω(t)zd=-I
刀
T乙+[(1-r)r+α(
,.1*)]百 ア
。
。
さてここで,各ノfラメータの変化が最適な負債一自己資本比率P
および最 適資本コストd
に及ぽす効果を調べてみよう。まず,,.1*に及ぽす効果につい て。 (28)式から明らかなように, (28)式右辺は P に関して単調増加であるから,側 式左辺が上昇すれば,,.1*は上昇し,その逆も成立する。そこで,r
,s
h
s2, do
については第1
表の通りである。社債利子率rに関しては,(28)式左辺が, 制+8
1r
一
(l-r)r
=~2-~3do+rとA-(1 一川 r
1-s3 <'<U,11-
s3 ,-'- . /J
であることから,辺三ミハ
~1
二A
二三 1 伊 計三てU ← → 1-s3 ;::ご.1-'。
。
(32) が成立する。すなわち,社債利子率の最適負債一自己資本比率に及ぽす影響は, 税制パラメータの値に依存する。 同様に,キャピタルゲイン税率んに関しては, aA* 'とハ ~ー~ 1二k'?
.
!
:
主
as3て;::υ ←ーザ 1-s2 て;:: r となる。 (33) 次にω*に及ぽす影響について。 (30)式から明らかなように, γ,r
,sh
s2'ぬ
については第1表の通りである。また,キャピタルゲイン税率 s3に関しては,P
のケースとまったく同様に,3.2
4-。
ω*2 f¥ Os3 :::ごり となる。 牛 中 香川大学経済論叢 1ニk~と生l-sz
<
:
r 第1表 1138 (34) 以上のことから,企業価値最大化の第1段階で最適な負債一自己資本比率P
,従って,最適な資本コストがが決定されたことになる。しかし,このこと は,負債Bおよび自己資本zE
が決定されていることを意味しない。その比率 が決定されたにすぎないからである。企業価値最大化の第l段階で決定される のは,負債ー自己資本比率P
と最適資本コスト ω*だけであり,最適な社債 B*(
t
)
および株価水準z(O)は,最適化の第2
段階において,実物面の最適投資 政策I
(
t
)
と同時に決定される。なお本稿では,企業は,初期時点、において最適 な水準B*(O)を選択できるものと仮定する。このような仮定の正当化は次のよ うに考えることができる。まず,この企業が初期時点で設立される場合,最初 に一括してB*(O)だけの社債を発行して営業を始めるものと考える。また,す でに存続中の企業の場合には,初期社債水準は任意の値ではなく,初期時点の 株価z(O)と最適負債一自己資本比率F
に対応して,すでに調整されていると 考えるのである。従って,初期時点、の社債水準B*(O)を決定するためには,初 期時点、の株価z(O)が決定されていなければならない。問題は,初期時点の株価 z(O)であり, III節で検討される。 さて最後に資本蓄積方程式として, K=I-μK,
K(O) = Ko>
0 (35)(8 ) 技術的には,状態変数の初期時点での jumpを許すという方法もあろう。 Brock and Turnovsky (1981)も,初期負債水準が任意の初期水準ではモデル内で整合的でないとい
う指摘を行っており,その解決策としての初期負債水準の jumpについて述べている (p 185, footnote 4)。
1139 資本コスト,税制および投資 -325ー が仮定される。ここでμは,物理的な資本減耗率である。 以上を要約すると,企業価値最大化の第
2
段階の問題は以下のように表され る。MpV(
ト
φ
f
(K,1
)e
吋s
u
b
j
e
c
t
t
o
K = I μK,
K(O) = Ko>
0
φ
(K,1
)
=(
1
-r)[R(K)-C(
I
)]-I+roK9
a
d
o
-lハ1
*
ω*
寸
hElL十[(l-r)r+α(
,1*)]首
7
()3Gゐ
十
()lr一(
1
-
r
)
ァ=α(
,1*)+
0'(,1*),1*
(
1
+
,1*) (36) 戸 川 叫 前 川 り 品 削 W 品 削 切 向 日 V 内 川 W 向 川 V 9 ' u III.最適性の必要条件と最適解の特徴 II節で定式化された最適制御問題に対する必要条件は次のように示される。 まずH
a
m
i
l
t
o
n
i
a
n
を, H =e
-
ω吋[
φ
(K,1
)
+q(l-μK)]。
。
とおくとき,以下の条件を満たす連続関数q
(
t
)
が存在しなければならない。こ こで,q(
t
)
は状態変数K(
t
)
に対するc
u
r
r
e
n
tv
a
l
u
e
の補助変数(
c
o
s
t
a
t
ev
a
r
i
-a
b
l
e
)
でありr
限界的Tobin
のqJと呼ばれている。豆包
ζ竺ユー
oH
d
t
oK
(40)oH
o
I
-
V さらに次の横断条件が仮定される。 limq(
t
)e-w*t=0
(横断条件)位
。
住2) さて,最適性の必要条件刷1)(41)式から,それぞれ次式を得る。q
=(
ω
*
十μ)q一φ
K
(
K
,1
)
q =l+(l-r)
C
'
(
I
)
臼功 例 次に,微分方程式体系(35)附式で表される解の行動を示したのが第2図である。1140 定常点
E
は鞍点であり,最適経路はE
点へ収束する2
本の経路で示される。な お,定常点、(
s
t
e
a
d
ys
t
a
t
e
)
、では,1=
μK
香川大学経済論叢 326-(45)-一
μ
ι
叫K ω
φ一
一 一 q。
白
(47)q
= l+(l-r)C
'
(
I
)
が成立している。 第2図K=O
q=O
- K
q O さて,最適投資経路が第2
図の位相図のように決定されるとして,最適な社 債水準と株価がどのように決定されるかを見てみよう。まず,株価であるが, (9)式と (20)式から, 制)ラ
=-Bzdo+Blr
また, (15)式から, を得る。すなわち,株価は毎期一定率で変化する。斗土一立
Z= ( ) ,1* - Bz
(49) が成立するので,社債の新規発行は株価と同じ一定率で変化することになる。1141 資本コスト,税制および投資
-327-号=-
82do+
81Y (50) さて問題は,初期時点の株価z(O)および最適社債水準B*(O)である。このモ デルの場合,最適な負債 自己資本比率P
は,資本コストを最小化するように 単独で決定される。また,最適資本コストが決定されると,それを割引率とし て,投資および生産に関する最適経路が決定される。従って,企業価値 V(O)が 決定される。そこで,残された初期株価水準z(O)と初期最適在債水準B*(O)が 次の2
式によって決定されることになる。 V(O)= B*(O)+z(O)Eo dH H5
(的 一
品
* 一 A H VB
哀
一 一
* 、 A (52) すなわち,この 2式から,初期株価水準z(O)と初期最適社債水準B*(O)が以下 のように決定される。 z(O)=π
(1真弘デ
+,1*)Eo (53) ,1*V(ω
B*(O)=
う令子
(54) ところで,企業の財務的変数の投資への影響であるが,まず,投資は資本ス トックのシャドープライス qに依存する。また資本ストックのシャドープライ スqは,倒式より,的
)=fe(
げ + … (55) であるから,資本コストを通じて,負債一自己資本比率P
に影響を受けること になる。すなわち,以下のように要約される。 ,1* =宇 ω*
=中 q Tobin'sq =今 I 最適負債・ 自己資本比率 最適資本コスト 投資I
V
.
比較動学分析 この節では,Oniki (1973)による比較動学分析により,種々のパラメータの変-328 香川大学経済論叢 1142 化が最適投資経路に及ぽす効果を検討する。パラメータが
α
(
α
=(r, r, sl, s2, s3,d
o
,δ,μ,K
o
)
のとき,これに対応する最適経路を{K
(t,α
)
,I(t,α
)
:
t
E (0,∞)}とすると,企業価値V
(
α
)
は次のように示される。V(α
)
=
1'~φ[K(t , α),
l
(
t
,ル
-
w
*
t
d
t
側 そこで以下において,次のような微分方程式体系を検討していく。K
(t, α)=
l
[
q
(t, α)]
一
μK
(t, α)=
I[K
(t, α),q
(
t
,α),α ( 5 7 )q
(t, α)= (ω*+μ)
q
(t, α)一φ
K(K
,1
)
=n[K
(t, α),q
(t, α),α] (58) q =1
+(1-
r)C
'
(
J
)
凶 まず, (57)(58)式を任意のパラメータ αで微分すると,関数K
α
(t), qα
(t)に関する 微分方程式体系を得る。o
K
(
t
.
α)坐最
!!.L=.;ι
(
t
,α)=
ぱ α+1
ゅ+la
坐
γ
L
=.;q
a
(
t
,
日
KKa+nqqa+
仇 (59) (60) ここで,l
K
=
一μ<01
ー1
〉O
一(l-r)C"(
I)nK = 一φKK(K
,1
)
=一 (1-r
)
R
"
(
K
)
>
0
竹 HH 品 川 叫 叫 日 出 W A 川 市 伊 山 W 印刷 W 印刷 W 印 刷 山 W ηq ω*+μ>0 である。さて以下順次各パラメータの変化が投資に及ぽす効果を見ていく。ま ず, 9つのパラメータ α=
(
r
'
,r
, sl, s2, s3,d
o
,δ,μ,K
o
)
を以下のようなグ ノレープに分ける。 (1) 最適資本コスト ω*にのみ影響を及ぽすパラメータ r,s
h
s2' s3'ぬ
(1-a)::ω*に正の効果を持つパラメータ→γ,s2'ゐ
(1-b)::ω*に負の効果を持つパラメータ→ sl (1-
c
)
:ω*に正負の効果を持つパラメータ→ s3 (2) ネットキャッシュフローと最適資本コストがの両方に影響を及ぽすパラ1143 資本コスト,税制および投資 メータ
r
(
3
)
ネットキャッシュフローにのみ影響を及ぽすパラメータ:
δ
(4) そのf
也のパラメータ:
μ
,Ko
(1-a):
:
ω
*
に正の効果を持つパラメータ→ r,s2'do 32少ーr
, s2, do
は同じ効果を示すので,代表して社債利子率rのケースを見ていく。 まず,微分方程式体系(57)(58)式を社債利子率rで微分すると次のような[
K
r
,q
r
]
に関する連立微分方程式を得る。[~:J
= [ =1
_{1~μH711fl
¥.L-rJ,c1
1
_
1
+
1
l
e
1+(1-
O
r)?'*
1
│
側 L -(l-r)R"ω
*
+
μ
JLCoir J L1
+
?
*
J ここで,制式右辺の同次項の係数および非同次項の符号は,[
:
:
]
日
]
である。以上の準備の下で,[
κ
んめ]の可能な変化を示すと第3図のようになる。 第3図 qr〈
¥
メ
KrX
〉
ここで,制式左辺をゼロと置くことにより,次のような境界条件が得られる。-330ー 香川大学経済論議 1144
K
r
(
O
)
= 0,
J乙<
0,
q
r
<
0 側 従って ,[
K
r
,q
r
]
平面上における解K
r
(
t),q
r
(
t
)
の可能な変化パターンは,垂 直軸上の負の部分から出発し,途中第2象限か第3象限内に位置し,最終的に は第3象限内のある点に収束するものでなければならない。従って,q
r
(
O
)
<
0 (67) を得aる。このことから, qr
(
O
)
1
r(
0
)
=
(l-
'1;
{
C
"
(
J
)
<
0
(68) となる。すなわち,社債利子率r
(
従って,配当所得税率 s2および配当政策ぬ) の上昇は現在時点、の投資を減少させる。 (1-
b
)
:
:
ω
*
に負の効果を持つパラメータ→β1 次に,利子所得税率 β1の変化の効果を見てみよう。まず,微分方程式体系側 側式を利子所得税率 β1で微分すると次式を得る。間=[
│一_(1~μ
て十位│十
11H P l 1-1-1I
"~
の
l
J
L
-(1-r)R"ω*+μJLq
んJ L
ω
Plq この場合,制)式右辺の同次項の係数および非同次項の符号は,[
+ + 1
一
:
]
[
+ 1
1
:]
となる。[
K
ん のJ
の可能な変化を示すと第 4図のようになる。 ここで,境界条件は, (69) Kム
(0)= 0,
K
P1> 0,
qPl > 0 (70) であり,従って ,[K
p
1
,q
p
J
平面上における解K
p
1
(
t
)
,q
p
J
t
)
の可能な変化パター ンは,垂直軸上の正の部分から出発し,途中第 l象限か第 4象限内に位置し, 最終的には第l象限内のある点に収束するものでなげればならない。従って, qれ(0)>
0 を得iる。このことから, qPl(O) bl(0)=(l-r)CH(I)>O (7])。
2)1145 資本コスト,税制および投資
〈
〆¥冶 第4図 qs,X
〉
-331ー Kム
となる。すなわち,利子所得税率β1の引き上げは現在時点の投資を増加させる。 これは, β1の引き上げが株式市場の裁定条件(8)式により,株式収益率の下落を 通じて資本コストを低下させるからと解釈できょう。 (1一c)::ω*に正負の効果を持つパラメータ→必 次に,キャピタノレゲイン税率変化の効果を見てみよう。帥式から明らかなよ うに,キャピタルゲイン税率 s3の変化が最適資本コスト ω*に及ぽす影響は, 以下のように,1
1-s2 '二A
と生の大小関係に依存する。- r ( i)~ι>O ifl二~l
Os3 --> 生
V a1-
s2;'r
( ii )坐土く
。
β'3 O if l1-
ニム<生
s2 ~r
従って,ケース(i )は,上のケース(l)-a::r
, s2'do
に帰着される。また,ケー ス(託)は,結局,ケース (l)-b:β1に帰着される。 (2)ネットキャッシュフローと最適資本コスト ω*の両方に影響を及ぽすパラ メータr
次に,最も興味深い法人税率rの変化の影響を見てみよう。微分方程式体系-3'32 香川大学経済論叢 1146 (57)側式を法人税率tで微分すると次式を得る。
[
ι=
l
[
_(1~μ
可 IIKr
1 1「 寸I
十 Ol
U
S
11q
r
1 1R
'
(
K
)
一ω
+
δ
1
q
q τ 一(1-r)R"w
*
μ J L<ir J ここで(73)式右辺の非同次項R'(K)-o+
ωねの符号が不明であるが,これが重 要な役割を演じる。まず,R'(K)-o+
w1q
は,生産面に及ぼす効果R
'
(
K
)
,減 価償却控除による節税効果一δ,最適資本コストに及ぼす効果w1q
の和を表し ている。従って ,w1
<
0
であることを考慮すると,生産面へのプラス効果が相 対的に大きければ,R
'
(
K
)
一δ+w1q
>
0,逆に,減価償却控除による節税効果 と最適資本コストを上昇させる効果が大きければ,R
'
(
K
)
一δ十w1q
<
0とな る。なお ,R
'
(
K
)
一δ十w1q
=
0は後述するように,投資が法人税率の変化に影 響されない「中立的」なケースである。なお ,R
'
(
K
)
一ω
+
δ
1
q
の符号は,計画 期間中に変化する可能性もあるが,以下では無限の将来にわたって符号が変化 しないものとして以下のケース 1~3 を検討する。 ケース 1::R'(K)-o+
ω1
q
>
0のケース この場合, (73)式右辺の同次項の係数および非同次項の符号は,[
:
+
+
]
[
:
]
となる。これは,社債利子率rのケースと同じパタ}ンであり,従って ,[
K
r
,q
r
]
の可能な変化も第3図と同じである。また,境界条件は,K
r
(
O
)
= 0
,
Kr < 0
,
q
r
< 0
刊 であり,従って,[
K
:
γ,q
r
]
平面上におげる解Kr
(t),q
r
(t)の可能な変化パター ンは,垂直軸上の負の部分から出発し,途中第2象限か第 3象限内に位置し, 最終的には第3
象限内のある点に収束するものでなければならない。従って,q
r
(
O
)
<
0 (75) をf
尋る。このことカ〉ら, qτ(0)ι(0)=(l-r)CF(I)<O
。
。
1147 資本コスト,税制および投資 -333-となる。すなわち,この場合,法人税率rの引き下げは現在時点の投資を増加 させ,投資刺激策として作用する。 ケース 2: R'(K)一δ+ωrq
<
0のケース この場合, (73)式右辺の同次項の係数および非同次項の符号は, ﹃1 1 1 1 1 1 ﹂O
一 ﹁ I l l 1 1 1 L 吋 1 1 I B I -l J+
+
一+
﹁ a i l i g -L となる。これは,利子所得税率品のケースと同じパターンであり,従って ,[Kτ,q
r
]
の可能な変化も第 4図と同じである。また,境界条件は,K
r
(
O
)
= 0,
Kr
> 0,
q
τ> 0 (77) であり,従って ,[
K
r
,q
r
]
平面上における解Kr
(t),q
r
(t)の可能な変化パター ンは,垂直軸上の正の部分から出発し,途中第 1象限か第 4象限内に位置し, 最終的には第1
象限内のある点に収束するものでなければならない。従って, qτ(0) > 0 (78) をf
尋る。このことから, A U > 一 y i F が v p u v r r -- a z , ム ) ハ リ ( τ y i。
。
となる。すなわち,この場合,法人税率 rの引き下げは現在時点の投資を減少 させる。 ケース3: R'(K)一δ+ωrq= 0のケース この場合, (73)式右辺の同次項の係数および非同次項の符号は,[
:
:
][~]
となる。この場合,境界条件は,K
r
(
O
)
= 0,
Kr
= 0,
ι = 0。
。
であり,従って,[K
r
,q
r
]
平面上における解Kr
(t), φ(t)の可能な変化パター ンは,垂直軸上の正の部分および負の部分から出発すると,最終的に原点に到 達できないので,結局,q
r
(
O
)
=0
(81)-334 香川大学経済論叢 1148 でなければならない。従って, ι(0)= 0となり,法人税率の変化は投資に影響 を与えないことになる。換言すれば,R'(K)-8+ ω~q = 0は,-中立性条件」 ということになろう。 (3)ネットキャッシュフローにのみ影響を及ぼすパラメータ :δ 次に,法定減価償却率
S
の変化の効果について見てみよう。微分方程式体系 (57)側を減価償却率 δで微分すると次式を得る。ほ
l
=
[
-
(
1
1
RY
f
1
2
M
L
l
。
2) この場合,似)式右辺の同次項の係数および非同次項の符号は,q>
1
を考慮し て,[
:
:
]
[
:
]
となる。このケースも,本質的に社債利子率Tのケースと同じパターンである。 境界条件,K
s
(
O
)
= 0,Ko
く0, ふ <0 を考慮し,解Ko(t),qs(
t
)
の可能な変化パターンから, qs(O)<
0 を得る。このことから, q0(0)Ido)=(l-r)C'(I)<O
。
3) ( 84)。
5) となる。すなわち,この場合,法定減価償却率δの引き上げは現在時点の投資 を減少させる。 (4)その{也のパラメータ:
μ
,Ko
次に,減価償却率μの変化の効果について見てみよう。微分方程式体系(57)側 式を減価償却率μで微分すると次式を得る。[
引
-
(
斗
。
。
1149 資本コスト,税制および投資 335-この場合, (86)式右辺の同次項の係数および非同次項の符号は, ﹁ , h E B B -E E E E E J 一 0 ﹁ I l l a -l L 寸 l l i t -t ' l l d 十 十
一+
r ' I 1 1 1 1 1 1 1 ﹂ となる。ここで[K",q,
,
]
の可能な変化を示すと第5
図のようになる。 第5図 q μX
¥メ
Kμ〆
¥
、
〉
ここで,境界条件は, Kμ(0)=
0,,
K
μ< 0, ijμ>0 ~ であり,従って ,[
K
"
, q,
,
]
平面上における解K
,
,
(
t
)
, qμ(
t
)
の可能な変化ノfター ンは,垂直軸上の正の部分から出発し,途中第l象限か第2象限内に位置し, 最終的には第 2象限内のある点に収束するものでなければならない。従って, qμ(0) > 0 (88) を得iる。このことカ〉ら, qμ(0)ι
(
0
)
=
(1-r)C'(I) (89) となる。すなわち,この場合,減価償却率μの引き上げは現在時点の(組)投 資を増加させる。 最後に,初期資本ストックKo
の変化の効果について見てみよう。微分方程式-336ー 香川大学経済論叢 体系(57)(58)式を初期資本ストック
Ko
で微分すると次式を得る。巴
:
]
│ 一 1 - "=l
_
f
l
~μ 市 11
(l-
r)C" 1
1
Kjq
K
O
J
Lー (1-r)R" ω*+μJL この場合,側式右辺の係数の符号は,l
:
:
]
となる。ここで[
K
K
O
'q
K
o
]
の可能な変化を示すと第6図のようになる。く
〆
、
ここで,境界条件は, 第6図 qKoK
K
O
(
O
)
=1
,
K
K
o
=0
,
i
I
K
o
=0
¥
メ
KKO〉
1150。
。
( 91) であり,従って ,[
K
K
o
,q
K
o
]
平面上における解K
K
O
(t),q
K
o
(t)の可能な変化ノf ターンは,垂直線KKO
= 1上の負の部分から出発し,途中第4象限内に位置し, 最終的には原点に収束するものでなければならない。従って,q
K
O
(
O
)
<
0
(92) を得iる。このことから,1151 資本コスト,税制
l
および投資 -337ー qKo(O)U
o
(
O
)
= i(1-1-'!~\';!.,;'( r)C"(IT)¥<
0
。
3) となる。すなわち,この場合,初期資本ストックKo
の増加は,現在時点の(粗) 投資を減少させる。出 ~_I:
1
_
:
1
~
1
:
1
~
1
~
1
:
1
~o
1
v
.
結 一訪問 以上,不確実性の存在しない状況において,企業の資金調達を明示的に組み 込んだ投資モデルを検討してきた。ここで定式化されたモデルの特徴および得 られた結果は,第1
に,資金調達と投資経路が最適解として同時的に決定され る投資モデルであること,第2に,企業価値を表す目的関数が,その中で割引 率としての役割を果たす資本コストとともに内生的に決定されるという点,そ して第3に,-負債のエージェンシーコスト」によって,最適な負債一自己資本 比率が内点解として決定され,あわせて,最適資本コストが負債一自己資本比 率の関数として内生的に求められていることである。結果として,投資と資金 調達との密接な関係が導かれた。すなわち,投資はTobinのqに依存するが, このqが資本コストに依存し,さらにこの資本コストが財、務的変数である負 債一自己資本比率に依存するという関係である。 また,各種パラメータの変化が最適投資経路や最適資本コスト,最適負債 自己資本比率に及ぽす影響が比較動学分析によって検討された。得られた結果 のうちで特に,法人税率の変化の効果については,従来から指摘されている生 産面に及ぽす効果および減価償却控除による節税効果に加えて,最適資本コス ト経由で影響が加わることが明らかにされた。 本稿で展開された投資モデルは,資金調達を明示的に組み込んだ場合の基本 モデルと位置づけられる。従って,不確実性下の投資モデルへの拡張など興味338 香川大学経済論叢 1152
深いいくつかの展開が可能と思われるが,今後の課題である。 参 考 文 献
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