中学校 英語
1 調査結果
(1) 平均正答率
[単位 % ( )は昨年度の平均正答率] 項 目 1年 2年 全学年 全 体65.9 (81.2)
65.4 (68.8)
65.7 (75.2)
コミュニケーションへの関心・意欲・態度56.1 (85.3)
69.9 (72.8)
62.2 (79.4)
表現の能力52.6 (82.4)
55.1 (56.5)
53.5 (72.4)
理解の能力70.4 (83.0)
70.6 (76.3)
70.5 (79.7)
観 点 別 言語や文化についての知識・理解67.8 (78.3)
64.3 (66.3)
65.8 (71.6)
活用に関する問題52.5 (89.1)
56.3 (55.1)
54.3 (69.8)
(2) 平成 22 年度県調査とこれまでの県・国調査の同一問題における正答率の比較
① これまでの県調査との比較
学年 全問題数 同一問題数 3%以上上回る ほぼ同等 3%以上下回る 1年45
7
0
1
6
2年39
6
1
1
4
全体84
13
1
2
10
② これまでの国調査との比較
学年 全問題数 同一問題数 3%以上上回る ほぼ同等 3%以上下回る 1年45
0
-
-
-
2年39
1
0
1
0
全体84
1
0
1
0
(3) 調査結果について
【問題について】 基本的な語彙や文構造の知識に関する問題に加え、言語の使用場面に応じたコミュニケーション能力 を測るため、買い物や電話での応答など、場面設定を工夫した問題を取り入れている。本年度の調査結果では、1年の平均正答率が 65.9%、2年が 65.4%という結果となってお
り、基礎的・基本的な内容の定着が十分でないことが覗われる。
特に、これまでの調査では正答率が高かった基礎的な文構造や語彙の定着についての知識
を問う問題で、過去の同一問題に比べ正答率の低下が目立っている。また、文構造や語法を
理解した上で正しい文を書くこと、さらに、自分の考えや気持ちを書く力、まとまりのある
文章を読み大切な部分などを正確に読み取る力に課題が見られる。
今後は、新学習指導要領に示されているとおり、授業において基礎的な文構造や語彙につ
いて説明をするだけでなく、実際にそれらを繰り返し使用する活動を工夫することで、言語
材料の定着を図ることが重要である。また、家庭学習の課題を与える際には、授業での言語
活動と効果的に結びつくような、生徒が意欲的に取り組める適切な課題を課す工夫も必要で
ある。
さらに、1学年の段階で既習の基礎的事項の定着に課題が見られる生徒に対しては、授業
中のきめ細かな支援や授業外の時間を利用した粘り強い個別指導を行うことで、英語学習に
継続して取り組む姿勢を維持させることが大切である。
2 調査問題についての考察
(1) 改善が見られた設問
① これまでの県調査の同一問題との比較において、正答率が3%以上高くなった問題
第2学年 (問題番号) 出題のねらい 観点 21 年度 正答率(%) 22 年度 正答率(%) 比較 6 (2) 2年で学習した語の使い方や文法事項が 理解できており、それらを正しく使える かをみる。 言語や文化に ついての 知識・理解43.9
47.8
3.9
【考察】 2年で学習した助動詞「will+動詞の原形」の文構造が理解できているかどうかの「言語についての 知識」を問う問題である。昨年度に比べ、「動詞の原形」である正答を選択した生徒の割合が高くなっ ている。正しい語法を用いて文を書くことを意識させた指導が定着してきているためと考える。② これまでの国調査の同一問題との比較において、正答率が高くなった問題
第2学年 (問題番号) 出題のねらい 観点 国調査 正答率(%) 22 年度 正答率(%) 比較 11 まとまりのある英文を読み、その内容に 合うよう絵を選べるかをみる。 理解の能力69.3
71.6
2.3
【考察】 7文程度(58 語)のまとまりのある英文を読み、その内容に合う絵を選ぶ問題である。天候や傘の所 持、行動、場面の状況等について、情報を整理しながら英文を読み、最も適切に内容を表した絵を選ぶ という過程を必要とされる問題であり、「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」のうち、自分の 知っている単語を手がかりに積極的に内容を理解しようとする態度や、まとまりのある英文の概要を理 解する「理解の能力」について、国の正答率を上回っている。 今後も、まとまりのある文の大切な部分を正確に読み取るために、指導に当たっては、主人公は誰か、 話がどのように展開していくかなどを、おおまかな流れをつかみながら読み取ったり、説明文では、特 に中心とする事柄など大切な部分をとらえて的確に読み取ったりする力をつけさせることが大切であ る。 具体的な指導の方法としては、手がかりとなる語句や表現をヒントとして与えたり、事前に内容を尋 ねる質問をしたり、また設問の仕方に工夫をしたりするなど、生徒が正確に読み取りができるように、 習熟度に応じて支援の方法を多様化し、読むことへの関心・意欲・態度の向上を図ることが大切である。(2) 課題が覗われる設問
① 正答率の低い設問とその要因
学年 問題 番号 設問の内容 正答率(%) 考えられる要因 1年 12(2) 対話の内容を理解し、絵を参考にしなが ら、質問に答えられるかをみる設問24.6
1年 15(1)③ 対話文を読み、必要な情報が読み取れるか をみる設問25.6
1年 15(2)② 対話文の内容を理解し、英語の質問に適切 に応じられるかをみる設問18.9
コミュニケーションの中 で必要な基礎的な語彙や文 構造を活用し正しい文を書 く力や、自分の考えや気持 ちなどを書く力が十分身に ついていない。② これまでの県調査の同一問題との比較において、正答率が3%以上低くなった問題(抜粋)
第1学年 (問題番号) 出題のねらい 観点 21 年度 正答率(%) 22 年度 正答率(%) 比較 7 (2) 文法事項が理解できており、それらを正 しく使えるかをみる。71.9
65.0
▲6.9
8 (1) 語の使い方が理解できており、それらを 正しく使えるかをみる。 言語や文化に ついての 知識・理解68.4
60.7
▲7.7
【考察】 第1学年については、文法事項や、語の使い方を理解し、それらを正しく使えるかをみる問題におい て、5問中5問で昨年度より正答率が3%以上低くなっている。具体的には、命令文の形、疑問詞(How、 Whose)の用法、主語が3人称単数の場合の動詞の形、not~any の形、序数(fifth)月の名前(May) など基礎的な文法事項や語彙の定着についての知識を問う問題で、昨年度に比べ正答率が低くなってい る。 第2学年 (問題番号) 出題のねらい 観点 21 年度 正答率(%) 22 年度 正答率(%) 比較 9 (3) 言語の働きを理解し、場面や状況に応じ て、英語で適切に表現できるかをみる。 (ていねいに依頼できるかをみる) 表現の能力56.6
49.3
▲7.3
11 まとまりのある英文を読み、その内容に 合うよう絵を選べるかをみる。 理解の能力76.2
71.6
▲4.6
【考察】 第2学年については、場面や状況に応じた表現の力を問う問題において、How much~?(いくら) Here you are.(はい、どうぞ) Could you~?(してくれませんか~)などの表現が正しく書けてい る生徒の割合が昨年度より低い。また、まとまりのある英文を読み、その概要を理解する問題について も、正答率が昨年度より低い。③ 授業改善に向けて
第1学年 観点「表現の能力」(活用の問題) 問題番号 12
12 下の表は今週の時間割です。表をよく見て、(1)、(2)の質問に英語で答えなさい。ただし、それぞれの答え は3語以上で書きなさい。
(1) Do you have music this week?
(2) How many English classes do you have this week?
単 単 単 単 元元元元 Unit 5 ピクニックに行こう 出題 出題 出題 出題のねらいのねらいのねらい のねらい 対話の内容を理解し、絵を活用しながら、質問に答えられるかをみる。 調 査 結 調 査 結 調 査 結 調 査 結 果果果果 課 課課 課 題題題題 時間割を見ながら、英語の質問に対し適切に答えることができるかどうかを みる問題である。(1)は、英語の質問文の意味を理解し、その後、音楽の授業が あるかどうかを時間割で確認し、Yes または No で答えるという手順を踏む。 時間割を読み違えている生徒の割合は少ないが、正しく答えられなかった生徒 や無答の生徒の割合が高くなっている。 (2)についても、英語の授業が何時間あるかを確認し答えるという問題である が、同様に正しく答えられなかった生徒や無答の生徒の割合が高くなっており、 いずれの問いも、無答の生徒は全体の 4 分の1程度となっている。 改善 改善 改善 改善ののの手立の手立手立手立てててて 新学習指導要領に示されているように、授業においては、日常生活の日課や 趣味に関わる内容、身近な場面における出来事や体験したことなどを書いたり 話したりする言語活動を取り入れるとともに、既習の語彙や文構造を実際に繰 り返し使用する活動を取り入れることで、言語材料の定着を図ることが不可欠 である。
月
火
水
木
金
1 数学 国語 学活 道徳 2 国語 保健体育 英語 保健体育 3 理科 英語 社会 美術 4 社会 社会 理科 英語 5 英語 数学 保健体育 総合 6 技術・家庭 美術 休日 問題番号 解答類型 県反応率(%)1 正 答 No,I (we) don't. 44.4
2 誤答① Yes,I(we) do. 0.8
8 その他 32.8
(1)
9 無 答 22.1
1 正 答 I(We) have 4 (English classes). 26.4
2 誤答① It is four. 6.1
8 その他 40.4
12 (2)
( (( (参考参考参考)参考))) 香川型指導体制研修会参加者香川型指導体制研修会参加者香川型指導体制研修会参加者による香川型指導体制研修会参加者によるグループによるによるグループグループ別協議グループ別協議別協議より別協議よりよりより 予想される原因 及び背景 ●英語で質問されたことに対し、Yes. No.で短く答えることが習慣となってし まっており、3語できちんと答えることができないのではないか。 ●数字の four といった英語の基本的な語彙を正確に書く力が不足しているの ではないか。 授業改善の具体 及び指導上の留 意点等について
○Do you have ~? How many ~do you have?等の基本的な文を使用する場面 を意図的に設定して練習をさせる。 ○授業のQ&Aの活動で、単語1語で答えるのではなく、文の形で答える場面 を学年段階に応じて増やしていく。 ○授業中に口頭で練習したことを、家庭で書く活動につなげられるような課題 を出すなどして、家庭学習の習慣を定着させる。
第2学年 観点「理解の能力」「知識・理解」(活用の問題) 問題番号 12
単 単 単単 元元元元 Unit 3 E-pals in Asia 出題 出題 出題 出題のねらいのねらいのねらい のねらい 表を参照しながらまとまりのある英文を読み、その内容に合うものを選べる かをみる。 次の英文は、直子さんがクラスの友だちに「コンピュータを1週間に何時間利用するか」と「インターネ ットをどういう目的で利用するか」を調査して、その結果(result)をまとめたものです。表を見て、英文 の (1)、(2) に入れるのに最も適切な語を下のア~エからそれぞれ一つ選び、記号を書きなさい。*の付い た語は、あとの(注)を参考にしなさい。 【使用時間】 【使用目的】 (複数回答) 0 分 10 人 ゲーム 12 人 0分 ~ 1 時間 8人 音楽を聞く 9 人 1 時間 ~ 3時間 7人 インターネット 8 人 3 時間 以上 5人 メール交換 5 人 買い物 3 人 その他 6 人
Last week, I asked all of the students in our class, “How many hours do you use a computer at home in a week?” and “Why do you use it?” The *tables show the results. There are thirty students in our class. From this table we can see that ( 1 ) students in our class use a computer at home. Computers are *useful. We can do a lot of things with computers. In our class many students enjoy playing games, listening to music and so on. Three students use a computer to ( 2 ) books or video games. (注) table 表 useful 役に立つ 調 査 結 調 査 結 調 査 結 調 査 結 果果果果 (1)ア 10 イ 15 ウ 20 エ 30 (2)ア read イ buy ウ play エ be
問題番号 解答類型 県反応率(%) 1 正 答 ウ 50.3 2 誤答① ア 16.1 8 その他 29.0 (1) 9 無 答 4.5 1 正 答 イ 43.4 2 誤答① ア 36.4 8 その他 15.9 12 (2) 9 無 答 4.3
課 課課 課 題題題題 コンピュータやインターネットに関する調査データ表を活用しながら、英語 の説明文を読み、空所に適する数値や動詞を補充するという問題である。この 問題では、英語を読んで内容を理解する能力と、読み取ったことを表現する能 力が問われているが、必要とされる領域がまたがっていることもあり正答率は 高いとは言えない。 改善 改善 改善 改善ののの手立の手立手立手立てててて 今後は授業において、絵や資料を媒体として、英語を聞いたり読んだりして 理解する活動と、英語で話したり、書いたりして表現する活動を統合した、4 技能を総合的に育成する指導の一層の充実が望まれる。 ( (( (参考参考参考)参考))) 香川型指導体制研修会参加者香川型指導体制研修会参加者香川型指導体制研修会参加者による香川型指導体制研修会参加者によるグループによるによるグループグループ別協議グループ別協議別協議より別協議よりよりより 予想される原因 及び背景 ●ある程度まとまりのある英文を読み、内容を理解する機会が十分に設けられ ておらず、読解力が身に付いていない。 ●資料(アンケート調査結果)と英文を結びつけて考える力が不足している。 授業改善の具体 及び指導上の留 意点等について ○「読む」言語活動において、一文一文丁寧に逐次訳をせず、要点を押さえて 読んだり、要約したりする活動を行う。 ○「読む」活動の前に、読解のポイントを示して課題意識を持って読ませる。 また、知らない単語を類推したり、推測させたりする力を育てる活動も行う。