CT CT CT CT [ ] CT [ ] CT [ ]CT

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電荷移動ナノ界面型材料を用いたインテリジェント素子の開発

研究代表者 三谷忠興(北陸先端科学技術大学院大学:日本) 共同研究者 Herve CAILLEAU(レンヌ大学:フランス) Tadeusz LUTY(ヴロツワフ技術大学:ポーランド) 斉藤軍治(京都大学:日本) Christiane KOENIG(レンヌ大学:フランス) 米満賢治(岡崎国立共同研究機構 分子科学研究所:日本) Lahcene OUAHAB(レンヌ大学:フランス) 腰原伸也(東京工業大学:日本) Jean-Michel NUNZI(アンジェ大学:フランス) 研究期間: 2000 年 4 月∼2003 年 3 月 研究概要 本研究プロジェクトでは、 [1]電子状態と分子配列構造の間の協力的相互作用によ って生ずる有機電荷移動(CT)錯体の相転移現象とそれに伴うナノドメイン界面ダイナミク スを、中性子散乱や超高速分光といった高度実験技術を駆使して 明らかにするとともに、理 論的解析を行う、 [2] 得られた物理的基盤に基づいて、CT 錯体に特徴的な電子・構造相転 移を外場で制御すると共に、新奇な磁気光学材料、光磁性・誘電材料、非線形光学材料(イ ンテリジェントマテリアル)の創製、発見を目指す、[3]CT 錯体の新規な物性を利用した非 線形(光学)素子(インテリジェントデバイス)の提案や、その為に必要な、CT 錯体の微細 加工を目指したレーザー加工法の研究等、基礎、応用両面で企業や海外のエージェント組織 とも協力して行う、という3点を主たる目的とした。CT 錯体結晶材料の開拓の重要性は、有 機半導体や超伝導体の開発という限定的分野での興味にとどまるものではない。実際、外場 刺激によって引き起こされる相転移の過程で発生する中間相の研究、ならびにそのための時 間分解構造解析手法の開発は、ナノ・メゾスコピックスケールの物理学さらにはナノスケー ル界面の研究一般にとってきわめて重要なものとなりつつある。また、部分的反応が協力的 相互作用を通して全体に波及するという意味で、協力的化学反応という新しい化学の概念も 創出することとなった。光磁性体や光スピン工学(スピトロニクス)材料、外場環境に敏感 に応答する光エレクトロニクス材料(インテリジェント-オプトエレクトロニクス材料)の開 拓という非線形(光学)素子への応用研究という視点からも、本研究において CT 錯体、誘 電体を用いた非線形光学結晶構造の光制御、というデバイス応用にとって最も重要な原理実 証をおこなうことに成功した。 MB−04

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1.研究経緯、目的 有機電荷移動(CT)錯体結晶の重要な特徴として、構成分子間の結合が無機結晶と比べて柔らかく、 分子間の電荷の移動に伴って、電子ー電子、電子ー格子やスピンー格子相互作用が劇的に変化すると いう点があげられる。この特徴を反映して CT 錯体結晶では、微弱な外場によるわずかな自由エネル ギーの変化によっても準安定相間の変化が引き起こされ、磁性、伝導、誘電、色等の複合的な物性変 化を伴った相転移が発現する(図1)。これは酸化物等の無機結晶には無い特性である。この特性を利 用すれば、結晶中のナノスケールドメイン等の各種非線形励起が様々な外場に敏感に応答し、その結 果外場の強度に応じて応答を変化させる(図2参照)、いわばインテリジェントナノマテリアルが、有 機電荷移動(CT)錯体結晶によって実現できることを示している。実際、本プロジェクトメンバーは、 新規な 錯体を合成し、誘電、光学特性、磁性、構造の変化を伴った可逆相転移が、温度、圧 力、磁 場、電場、光刺激等で発生することを実証してきた。例えば、中性状態とイオン性状態のエネルギー レベルがほとんど縮退 しているCT錯体結晶では、温度降下や加圧によって両状態間の転移(中性ー イオン性相転移)が発生する。また、本研究のメンバーは、電荷の移動量を制御することによって、 長距離クーロン相互作用と電子ー格子相互作用が協調する環境を創り出すと、強誘電的な変化を伴っ た相転移が発現することを明らかにしてきた。さらに、最近になって光励起によってこの中性ーイオ ン性相転移が引き起こせることや、発生機構が電荷移動励起子状態の凝縮として解釈できることも、 やはり本プロジェクトメンバーの理論的解析によって明らかにされた。さらに固体中での初の3重点、 新しい超伝導体の発見という相転移物理学に新しい展開をもたらす発見もなされている。これらの新 規な物性は基礎的のみならず、応用的にも重要であり、CT 錯体を利用した誘電体素子や非線形(光学) 素子等の提案も本研究メンバーは行ってきた。このような複合的かつ未開拓な分野に関する研究を開 拓するには、いくつかのモデル物質についての集中的な研究と、蓄積された知見と豊富な経験に基づ いた新しい物質開発が重要である。さらに、基礎研究にはずみをつけるためにも、応用へ向けての基 礎研究を平行して行う必要がある。そこで本プロジェクトでは、以下の3点に関して集中的な研究を 行った。 [1] 電子状態と分子配列構造の間の協力的相互作用によって生ずる CT 錯体の相転移現象と、 そこにおいて重要な役割を果たすナノスケールドメインを対象として、中性子散乱や超高速分光とい った高度実験技術を駆使してその全容を明らかにする。さらに得られた実験結果の理論的解析も行う。 この意味で本研究は、ナノスケール界面のダイナミクスという視点からも重要なものとなった。[2] 得られた物理的基盤に基づいて、CT 錯体に特徴的な電子・構造相転移を外場で制御し、新奇な磁気光 学材料、光磁性・誘電材料、の創製、発見を目指す。[3]CT 錯体の新規な物性を利用した非線形(光

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学)素子の提案や、その為に必要な、CT 錯体の微細加工を目指したレーザー加工法の研究等、基礎、 応用両面から集中的な研究を行う。 図 1:構成要素間のミクロな相互作用に基づく協力現象、準安定相間転移の模式図 図2:協同現象を利用するインテリジェントマテリアルの特性。ここでは光励起強度に対する応答量を例と して示す。(a)は通常の場合(構成要素間相互作用が弱い場合)、(b)は相互作用の強い光誘起協同現象の場 合(インテリジェントマテリアル)に期待される閾値特性。

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2:研究の成果 本研究は、大きく分けて(1)各種測定装置の準備、開発に関する部分、並びに、(2)開発した測定 装置を用いての物質、物性開発、の 2 つの部分から構成される。ここで物質開発に関して報告を行う。 もちろん両部分が相互に密接な関連を持っており、本プロジェクト推進にあたって、車の両輪として重 要かつ不可欠な役割を担ったことは言うまでも無い。 (a)中性−イオン性相転移を用いたインテリジェント誘電体 テトラチアフルバレン‐クロラニル(TTF-CA)は、電子供与体(ドナー:D)であるテトラチアフル バレン(TTF)分子と電子受容体(アクセプター:A)であるクロラニル(CA)分子が交互に積層した、 電荷移動(CT)錯体である。この物質は、約 82K(Tc)において、D、A 分子間の電荷移動量(ρ:D +ρ A−ρ)の大きな変化が発生し、イオン化した低温相(イオン(I)性相:ρ=0.7)と中性の高温相(中 性(N)相:ρ=0.3)の間を入れ替わる、中性‐イオン性(N-I)相転移を起こすことが知られている。 また低温のイオン性相においては、DA 分子の 1 次元的積層構造に 2 量体化歪みが発生し、分極(電気 双極子)が生ずる結果、反転対称性の破れを伴った強誘電体となっている点も重要な特徴となっている。 我々は、この誘電特性の変化を伴う N-I 転移をフェムト秒レーザーで、双方向に制御できること初めて 証明するとともに、非線形光学特性(SHG 効率)の制御も可能なことを世界で初めて実証した。得られ たデータからは励起光子1個で I->N 転移の場合には 300-400 個のイオン性の DA 対を中性化し、N->I においては 150-200 個の中性の DA 対をイオン性化していることが明らかとなった。さらに変換効率は 励起強度に対して著しい非線形性(閾値特性)を持つことも明らかとなった。この様な高効率な電荷移 動・分離が起きるのは、結晶中のクーロン相互作用や電子-格子相互作用等の協力的相互作用の結果であ る。相転移物理学の視点から眺めれば、光誘起 N-I 転移は、励起光子のエネルギーが結晶中の CT エネ ルギーに配分されることで、きわめて多数の CT 励起子が生じた凝縮現象であると位置付けられよう。 これらの結果に加えて、我々は前述の時間分解構造解析装置を用いて、フェムト秒レーザー励起によっ て、TTF-CA 結晶が強誘電体になることを実証することにも世界で初めて成功した。これはこの種の物 質が光制御可能な誘電体メモリー等新規なデバイスへと展開が可能なことを実証したものである。図3 に示すように、光励起 2 ナノ秒前の X 線回折像においては(030)面に対応するピークは観測されてい ないのに対して、励起1ナノ秒後には観測されている。これは、反転対称性のある非誘電体相である N 相状態にある TTF-CA 結晶が、光励起によって、電荷移動した I 相に変化するにあたり、やはり結晶の 反転対称性も破れて強誘電体になったことを実証している。つまり光励起が、オングストロームスケー

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ルの結晶ひずみを巨視的に積み上げ、実際に強誘電秩序を生み出せることを世界で初めて確認したデー タである。さらに、図4は様々な結晶回折点強度の時間変化である。このような回折点データを 1000 ほど総合して光励起による平均的結晶構造の変化を明らかにすることにもわれわれは成功した。このよ うなサブオングストロームまでの動的構造解析技術は、今後生体関連物質を含めた様々な物質の動的機 能解析に不可欠の物となってゆくと考えている。 (b ) 新しい超伝導体ならびにスピンネットワーク物質の合成 本プロジェクトでは、主にκ-(ET)2X系に着目し、スピンフラストレーションによ って 磁気秩序が 発生しにく い状況の錯 体における 超伝導の可 能性を目指 し物質開 発 図3:光励起前2ns と光励起後 1ns において観測された X 線回折パターン 図4:種々なX 線回折点の強度の遅延時間依存性

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を行った。図5にその構造を示すが、結晶はダ イマーによって構成され、構成分子間のトラン スファーエネルギーには 2 種類が存在する。こ こ で は 特 に κ -(ET)2Cu2(CN)3 に 関 し て 集 中 し て 研究を紹介する。この物質は常圧ではモット絶 縁体であると同時に、磁気三角格子を構成して おり、常圧では 30mK まで磁気秩序が生じない 量子スピン液体となっている。この物質にはわ ずかな圧力をかけると超伝導体に転移する(図6)。様々な結晶軸方向での圧力効果 を詳細に調べることで、2つのトランスファーエネルギーの比率と超伝導転移温度の 関連が明らかとなった。この結果から、この物質においては、スピン揺らぎによる超 伝導発現機構が示唆されており、高温超伝導発現機構との関連で大きな関心を集めて いる。さらに、構成分子の対称性を制御することで、様々なスピンネットワーク形態 を持つ EOET-TTF、BO-TTF、EDO-TTF ベース錯体が合成可能であり、かつ電子、磁気 相転移特性と、構成分子の対称性とが密接に関連していることも明らかとなった。 (c ) 新しいフラーレンイオン錯体の合成 新しい縮退電子軌道系錯体の磁気特性を探索すべく、フラーレン C60•– and C70•– の単結合で結びついたダイマー錯体(図7)を合成し、磁気特性を調べた。その結果、ダイマー−モノ マー転移に起因する、可逆な反磁性−常磁性転移を発見することに成功した。この結果は、中性のフラ ーレンが高圧下でのみ重合するのに対して、フラーレンイオンは非常に重合しやすく、かつ可逆反応過 図5: κ-(ET)2X 錯体構造の模式図 図6: κ-(ET)2Cu2(CN)3.の超伝導転移温度の圧力依存性

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程という特異な性質を持つこと初めて示したものである。 (d ) 新しい分子磁性体の合成と磁性伝導体開発 新しい分子磁性体の開発は、分子メモリー等のインテリジェント物質開拓に向けて必 要不可欠である。そこで一連の分子性錯体を合成し、構造と強磁性転移温度の関 連を検討した。そして、DTDH-TTP 系では 8.9K、BDA-TTP 系では 5.8K の強磁性温度を達成 することが出来た。そしてこのような転移温度の違いは、各種構成分子における S 原子軌道の HOMO 軌道への寄与の仕方と、S 原子間コンタクトの違いによる軌道重なりの違いの反映であるこ とが明らかと成った。また新たに合成された分子内電荷移動錯体(図8)の磁気的性質に関しての 研究を行った。ドナー性部位とアクセプター性部位を同一分子内に含む分子内電荷移動錯体は非線 形光学材料や光誘起触媒などの観点から研究されている。通常ドナーからアクセプターへの電荷移 図7:(Cs+ )2(C70 – )2CTV(DMF)7(PhH)0.75の結晶 構造 図8:分子内電荷移動錯体の分子構造と、その結晶の磁気特性

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動δは1より小さく分子内で中途半端な電荷移動状態を有している。この様な分子においては通常 磁性は生じないと考えられていたが本研究では SQUID による磁化率の測定結果からこれらの分子 が不対電子を有し、それらがお互いに反強磁性的に相互作用をしていることを見出した。 図8右側は磁化率の温度依存性のグラフである。ここでこの図において低温側で存在する常時性項(常 時性不純物による)は差し引いてある。置換基 R にかかわらず温度の上昇とともに磁化率は上昇するこ とが確認された。そこで分子内に二つの反強磁性相互作用をする不対電子が存在すると仮定してフィッ ティングを行ったところ、交換相互作用 J として-600cm-1から-800cm-1という大きな値が得られた。ここ で電子吸引性の大きな置換基 R を有しているものほど交換相互作用は小さく、電子供与性の大きな置換 基 R を有しているものほど交換相互作用が大きいという傾向が観測された。また、これらの分子に関し て MOPAC による分子軌道計算を行った結果、third-HOMO にドナー・アクセプター部位の不対電子に 相当する軌道が観測された。以上のことをふまえるとこれらの分子では中性ラジカルが結合し、それら が反強磁性的に相互作用しているという新しいモデルが提案できることを見出した。 (e)SAMsによるデバイス作製 本研究では有機電荷移動(CT)錯体を用いた外場応答型材料すなわちインテリジェント電荷移動 錯体の創製を目的とした。そのために以下の3つの観点から研究を行ってきた。すなわち、1)機 能性自己組織化単分子膜(SAMs)の作製、2)SAMs を用いた、積層デバイスの作成と評価、3) 電荷移動錯体についての物性測定である。 1)に関しては具体的には図9に示すドナー性及びアクセプター性を有する分子を用いて SAMs を作製しその機能性を評価した。2)に関してはドナー性な自己組織化単分子膜(SAMs)を基板とし 図9:自己組織化単分子膜の作製に用いた分子

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て用いその上にアクセプターを蒸着することでドナー・アクセプター界面を創生した。その電子状 態に関してはケルビンプローブ(KP)、及び誘電率から行った。3)に関しては斉藤らによって合 成された分子内電荷移動化合物の磁気的性質の解明を行った。 まず上記の分子を用いて、それぞれ SAMs を作製し、その単分子膜に関して基礎物性を明らかに した。ZnPc-SAM に関しては、XPS よりその電子状態を調べた。その結果、硫黄の 2p 軌道のシグ ナルは SAMs を作製することによって約 1eV 高エネルギー側へシフトしていた。このことは硫黄原 子が電子リッチな状態になったことを示しており、これから金基板上に単分子膜が形成している事 が確認された。興味深いことにフタロシアニン中に含まれる亜鉛の 2p 軌道のシグナルも SAMs に することによって約 1eV 高エネルギー側にシフトすることが明らかになった。このことは、金基板 に直接に結合していない亜鉛原子まで電子リッチになった事を示しており、フタロシアニン分子を 単分子膜化することによって従来のバルク材料とは全く異なる電子状態をとりうることを示して いる。 次に、ドナー・アクセプター積層界面を創生するに当たり、上記のアルキルチオール基を含むフ タロシアニン、TTF、或いはフェロセンを用いて自己組織化単分子膜(SAMs)を作製した。その基板 上にアクセプター性分子として TCNQ や DDQ を蒸着してドナー・アクセプター積層薄膜を作製し た。その際蒸着するアクセプター性分子の膜圧を変えた素子をいくつか作製し、そのケルビンプロ ーブを用いて仕事関数を測定し、膜圧に対する仕事関数の変化をプロットした。まず、SAMs をつ けていない金基板上にアクセプター性分子を蒸着した薄膜について仕事関数を測定したところ、膜 圧の増加に伴って仕事関数は単調に増加し 500Åあたりで飽和した。それに対して SAMs としてフ ェロセンをつけた金基板を用いた際には TCNQ や DDQ ともに 50Å付近で仕事関数が減少し、それ 以上でまた増加するという現象が観測された。これについては再現性よく観測された。このような 仕事関数の異常な挙動に関して現在以下のように考えられる。すなわち、50Å以下の膜圧において は実際に蒸着膜は均一ではなくアイランドが形成されておりドナーからアクセプターへの界面で の電荷移動がおこるとクーロン反発によって不利になってしまう。そこで 50Å以下では電荷移動が おこらずアイランドがある程度の大きさになってはじめて電荷移動がおこり表面のアクセプター 分子の仕事関数は見かけ上減少する。その後はその上に通常のアクセプター性分子が堆積するので 表面の仕事関数は通常のアクセプター性分子の仕事関数に近づいていく。実際に AFM を用いて蒸 着膜の表面状態を観察したところ、表面にいくつものアイランドが形成している事が明らかになっ た。

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(f)有機半導体光デバイスの作製

有機半導体が低次元構造をもつため、結晶も異方的になることが多い。これを逆に利用すれば、特定の 向きに良好な光学軸を持った結晶の作製が可能である。そこで fluorene/phenylene 共重合オリゴマー: 2,7-bis[4-(4’-hydroxybiphenyl THP ether)]-9,9-diethyl-fluorene [THP =2-(2H)-tetrahydropyran] (と略称)の針 状結晶を用いて、レーザー発振の検討を行った。その結果レーザー発振の前駆現象である ASE の観測に 成功した。 また、有機ELデバイスの広範な発光波長域から特定の領域を選び出すために、光応答分子を埋め込 んだポリマーを利用して、光励起による屈折率グレーティング書き込みを試みた。実際にデバイス作製 に用いた光応答型屈折率変化を示すポリマー原料と、作製したデバイスの模式図を、図10左側に示す。 このようにして作製されたデバイスからは、実際に狙いどおりに、特定の発光波長域が選択されたEL 発光が観測された。その結果を図10右側に示す。このように、広範な波長域をもつ有機材料から、特 定の利用波長域に発光エネルギーを集中化し、効率よく利用する上で、このような光応答を用いたインテリ ジェントデバイスが有効であることが証明された。 3:今後の展開 本 プ ロ ジ ェ ク ト は 、3 年 間 に 亘 っ て 援 助 を い た だ き 展 開 さ れ た 基 礎 研 究 で あ る 。 こ こ に お い て 蓄 積 さ れ た 知 見 か ら は 、 光 に よ る 誘 電 秩 序 形 成 、 新 し い 磁 性 半 導 体 の 光 電 機 能 、 量 子 揺 ら ぎ の 光 制 御 と い っ た 応 用 上 も 重 要 な 多 く の 成 果 を 得 る こ と が 出 来 た 。 こ れ ら の 成 果 は 、 い ず れ も 実 際 に 光 や 磁 場 で 、 電 荷 移 動 錯 体 の ナ ノ ス ケ ー ル 相 界 面 の 動 き 、 言 い 換 え れ ば 協 同 現 象 を 支 配 す る こ と が 可 能 で あ 図10: 左側;デバイス作製に用いた、ナノパターニング用光応答型ポリマーと、作製されたデ バイスの模式図。 右側;屈折率グレーティングのELへの効果。実際に特定波長での発光増強が 観測されている。

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る こ と を 示 す も の で あ る 。 さ ら に オ ン グ ス ト ロ ー ム ス ケ ー ル 構 造 解 析 技 術 等 、 新 し く 開 発 し た 観 測 技 術 を 用 い て 、 そ の 支 配 要 因 と ミ ク ロ 機 構 の 一 端 を 明 ら か に す る こ と も 出 来 た 。 こ れ ら の 成 果 は 、 凝 縮 系 内 の 電 子 の ナ ノ ス ケ ー ル レ ベ ル で の 協 同 的 多 体 相 互 作 用 ( 電 子 相 関 、 電 子 -格 子 相 互 作 用 な ど ) と 非 平 衡 エ ネ ル ギ ー 緩 和 過 程 を 利 用 し た 様 々 な 応 用 展 開 の 可 能 性 を 示 唆 し て い る 。 今 後 様 々 な 分 野 で 、 こ の 電 荷 移 動 錯 体 に お け る ナ ノ ス ケ ー ル 相 界 面 の 制 御 と 、 そ こ に お け る 協 力 現 象 の 成 果 は 、 基 礎 ・ 応 用 の 両 面 で 基 盤 的 ア イ デ ア と し て 活 躍 す る も の と 確 信 し て い る 。 実 際 既 に 、 光 誘 起 協 力 現 象 に 関 す る 多 く の 研 究 例 が 国 内 外 で 報 告 さ れ 始 め 、 さ ら に 一 部 は 半 導 体 ス ピ ン ト ロ ニ ク ス 等 の 新 分 野 と し て 大 き く 羽 ば た い て い る こ と は 、 基 本 的 成 果 の 有 用 性 と 普 遍 性 を 示 す も の と 自 負 し て い る 。 本 報 告 書 に 示 し た 多 彩 な 研 究 の 展 開 は 、 新 エ ネ ル ギ ー 技 術 開 発 事 業 団 か ら の 厚 い 御 支 援 あ れ ば こ そ で あ っ た 。 心 よ り お 礼 を 申 し 上 げ る 。

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