EViews
の使い方 第
7
章 離散選択問題
小西葉子
∗伊藤有希
†第
2
版
2008
年
7
月
10
日
目次
1 2項選択問題 2 1.1 2項選択問題 . . . 2 1.2 2項ロジットモデル . . . 2 1.3 2項プロビットモデル . . . 3 1.4 実証分析 . . . 3 1.5 データの読み込み方 . . . 6 1.6 データの加工 . . . 9 1.7 2項ロジット分析 . . . 11 1.8 2項プロビット分析 . . . 14 2 順序選択問題 17 2.1 順序選択問題 . . . 17 2.2 順序ロジットモデル . . . 18 2.3 順序プロビットモデル . . . 18 2.4 実証分析 . . . 18 2.5 データの読み込みと加工 . . . 19 2.6 順序ロジットモデル . . . 19 2.7 順序プロビットモデル . . . 22 ∗ ୍ᶫᏛ⤒῭◊✲ᡤ䚷㼗㼛㼚㼕㼟㼔㼕㻬㼕㼑㼞㻚㼔㼕㼠㻙㼡㻚㼍㼏㻚㼖㼜 †୍ᶫᏛᏛ㝔⤒῭Ꮫ◊✲⛉༤ኈㄢ⛬䚷㼑㼐㻜㻢㻝㻜㻜㻝㻬㼓㻚㼔㼕㼠㻙㼡㻚㼍㼏㻚㼖㼜1 2項選択問題
1
2
項選択問題
1.1
2
項選択問題
被説明変数yiが0と1の2値(バイナリー)しかとらない場合、通常のOLS推定を行うと問題が生じる。 代表的な問題としては、推定値が区間[0, 1]の外の値をとる可能性がある問題や、被説明変数が0と1の2値 しかないため残差も2値となり、残差が正規分布に従うという通常のOLSの仮定に反する問題などが挙げら れる。 そのため、説明変数xi = (1, x1,i,· · · , xk,i)⊤とその係数β = (β0, β1,· · · , βk)⊤ の内積を何らかの関数を 用いて変形し0と1の間の値をとるようにする。つまり、以下の式で0≤ G(x⊤i β)≤ 1となるような関数G を用いる。標本iが1の値をとる確率をπiとすると πi , P {yi= 1|xi} = G(x⊤β) (1) となる。Gにロジスティック分布の分布関数を用いたモデルを2項ロジットモデルと呼び、標準正規分布関 数を用いたモデルを2項プロビットモデルと呼ぶ。1.2
2
項ロジットモデル
2項ロジットモデルについて説明を行う。(1)のGに、ロジスティック分布の分布関数を用いるのが2項ロ ジットモデルである。 πi= P{yi= 1|xi} = G(x⊤β) = Λ(x⊤i β) = exp { x⊤i β} 1 + exp{x⊤i β} (2)= exp{β0+ β1x1,i+· · · + βkxk,i}
1 + exp{β0+ β1x1,i+· · · + βkxk,i}
1− πi= P{yi= 0|xi}
= 1− P {yi= 1|xi} = 1 − Λ(x⊤i β ) ただし、Λ(z) = 1+expexp{z}{z} はロジスティック分布の分布関数とする。このとき、対数尤度関数は以下のように なる。 ln L (β; y, x) = n ∑ i=1 { yiln Λ ( x⊤i β)+ (1− yi) ln(1− Λ(x⊤i β))} 尤度関数(あるいは対数尤度関数)を最大化するようにパラメーターをβˆを推定(最尤法)する。 – 2/25– EViewsマニュアル
1 2項選択問題 1.3 2項プロビットモデル
1.3
2
項プロビットモデル
(1)のGに、標準正規分布関数を用いるのが2項プロビットモデルである。 πi= P{yi= 1|xi} = G(x⊤β) = Φ(x⊤i β) = ∫ x⊤β −∞ 1 √ 2πe −t2 2dt (3) ただし、Φ =∫−∞z √1 2πe 1 2t 2 dtは標準正規分布の分布関数とする。このとき、対数尤度関数は以下のように なる。 ln L (β; y, x) = n ∑ i=1 { yi− Φ ( x⊤i β) Φ(x⊤i β) [1− Φ(x⊤i β)] } ϕ(x⊤i β)xi ただし、ϕ(z)は標準正規分布の確率密度関数とする。尤度関数(あるいは対数尤度関数)を最大化するように パラメーターをβˆを推定(最尤法)する。1.4
実証分析
1.4.1 データ アメリカの国勢調査の1%サンプリングデータを用いて、ニューヨーク州の女性の就業状態に関する分析 を行った。データはマイクロデータ(micro data:個票データ、非集計データとも呼ばれる)である。データの出所はU.S. Census Bureau(国勢調査局)のCensus 2000 data(2000年国勢調査)の1-Percent Public Use Microdataである*1。分析に用いた変数の意味などは表1を参照。 今回は、25歳から34歳以下の女性の就業状態に関して分析を行った。標本数は13113である。分析結果は 表2、表3、表4にまとめた。 1.4.2 モデルと結果 被説明変数を、esrxとして2項ロジットモデルを用いて分析を行った。 *1今回、分析で用いたデータはhttp://www.census.gov/Press-Release/www/2003/PUMS.htmlから入手可能である。 *3変数名の後ろに数字がついているものは、元々のデータにはなく、新たに EViews で作成した変数である。
1 2項選択問題 1.4 実証分析 変数名 意味 age 年齢 paocf 対象外(男性、16歳未満の女性)=0、6歳未満の子供のみがいる=1、 6歳から17歳以下の子供のみがいる=2、6歳未満の子供と6歳から17歳以下の子供がいる=3 18歳未満の子供がいない=4 paocf1 6歳未満の子供のみがいる=1、その他=0 paocf2 6歳から17歳以下の子供のみがいる=1、その他=0 paocf3 6歳以下の子供と、6歳から17歳以下の子がいる=1、その他=0 citizen アメリカ生まれである=1、アメリカの自治領生まれである(プエルトリコ、グアムなど)=2、 アメリカ以外でアメリカ人の親または両親から生まれた=3、帰化によりアメリカ国籍となった=4、 アメリカ国籍でない=5 citizen0 アメリカ国籍である=1、その他=0 msp 対象外(15歳未満)=0、結婚していて配偶者が世帯にいる=1、結婚しているが、配偶者が世帯にいない=2、 未亡人で再婚していない=3、離婚していて、再婚していない=4、法律上の別居中=5、一度も結婚していない=6 msp1 結婚していて、配偶者が世帯にいる=1、その他=0 msp2 結婚しているが、配偶者が世帯にいない=1、その他=0 msp3 未亡人で再婚していない=1、その他=0 msp4 離婚していて、再婚していない=1、その他=0 msp5 法律上の別居中=1、その他=0 white 白人系=1、その他=0 black アフリカンアメリカン系=1、その他=0 asian アジア系=1、その他=0 engabil 英語以外の言語を話す者の英語能力に関して 対象外(英語しか話さない)=0、とてもよい=1、よい=2、 あまり出来ない=3、全く出来ない=4 educ 学歴に関して 対象外(3歳未満)=0、まだ学校に登校していない=1、幼稚園から4th Gradeまで=2、
5th Gradeか6th Grade=3、7th Gradeか8th Grade=4、9th Grade=5、10th Grade=6、11th Grade=7、
12th Gradeで高校を卒業していない=8、高卒=9、1年未満の大学=10、1年以上の大学、学位無し=11、
Associate degree(準学士)=12、Bachelor’s degree(学士)=13、Master’s degree(修士)=14、
Professional degree(職業専門学位)=15、Doctorate degree(博士)=16 educ1 高卒未満=1、その他=0 educ2 高卒=1、その他=0 educ3 大学中退or短大卒業=1、その他=0 educ4 大学卒業=1、その他=0 educ5 修士修了or専門学位=1、その他=0 esr 対象外(16歳未満)=0、就業者で働いている(従業者)=1、就業者だが休職中(休業者)=2、 失業者=3、軍で働いている=4、軍で働いているが休職中=5、非労働力=6 esrx 就業者で働いているあるいは、軍で働いている(従業者)=1、その他=0 sex 男性=1、女性=2 表1 変数と意味*3 – 4/25– EViewsマニュアル
1 2項選択問題 1.4 実証分析
Coefficient Std. Error z-Statistic Prob.
C 0.8894 0.3843 2.3141 0.0207 AGE 0.0011 0.0073 0.1431 0.8862 WHITE 0.4058 0.0678 5.9874 0.0000 BLACK 0.2446 0.0767 3.1892 0.0014 ASIAN −0.0991 0.0944 −1.0502 0.2936 PAOCF1 −0.7749 0.0566 −13.6912 0.0000 PAOCF2 −0.1726 0.0659 −2.6201 0.0088 PAOCF3 −0.7467 0.0613 −12.1781 0.0000 MSP1 −0.1638 0.0524 −3.1271 0.0018 MSP2 −0.3233 0.1027 −3.1478 0.0016 MSP3 −0.8998 0.2852 −3.1554 0.0016 MSP4 0.1231 0.0915 1.3444 0.1788 MSP5 −0.0990 0.0964 −1.0268 0.3045 CITIZEN0 0.4990 0.0567 8.8018 0.0000 EDUC1 −1.7001 0.3111 −5.4640 0.0000 EDUC2 −0.9772 0.3087 −3.1661 0.0015 EDUC3 −0.4127 0.3083 −1.3386 0.1807 EDUC4 −0.1611 0.3089 −0.5216 0.6020 EDUC5 0.1677 0.3132 0.5354 0.5924 表2 2項ロジットモデルの推定結果1
McFadden R-squared 0.10386 Mean dependent var 0.643255 S.D. dependent var 0.479057 S.E. of regression 0.447095 Akaike info criterion 1.170609 Sum squared resid 2617.409 Schwarz criterion 1.181449 Log likelihood −7656.097 Hannan-Quinn criter. 1.174229 Restr. log likelihood −8543.414 LR statistic 1774.634 Avg. log likelihood −0.583856 Prob(LR statistic) 0 表3 2項ロジットモデルの推定結果1 観測値 0 1 合計 予測値 0 1848 1202 3050 1 2830 7233 10063 合計 4678 8435 13113 表4 2項ロジットモデルの推定結果1:分割表(的中率69.25%)
1 2項選択問題 1.5 データの読み込み方
1.5
データの読み込み方
1. 新たにWorkfileを作る。「File」-「New」-「Workfile」をクリックする。
2. 以下のように入力し、「OK」をクリック。
・Workfile structure type Unstructured - Undated
・Observations 191433
3. 以下の画面が出る。
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1 2項選択問題 1.5 データの読み込み方
4. csvファイルからデータを読み込む。Workfile画面で「Proc」-「Import」-「Read Text-Lotus-Excel」を クリック。Text–ASCIIのタブを指定して、PC内に保存してあるcsvファイルny.csvを指定すると以 下のような画面が出る。
5. 今回は系列を21列(21個の縦ベクトル)読み込みたいので以下のように入力する。
・Name for series or Number if named in file 21*4
・Data order… in Columns*5
・# of headers before data 1*6
・delimiters Commaにチェックを入れる*7
*421 列読み込む。
*5列(縦ベクトル)を読み込みたいので in Columns を選択。 *6ファイルの 1 行目は変数名が入っているので 1 と記入する。
1 2項選択問題 1.5 データの読み込み方
6. 以下のような画面が出れば読み込み完了。
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1 2項選択問題 1.6 データの加工
1.6
データの加工
1. 2項ロジットモデルで分析しやすいようにデータを加工する。Workfileで「Genr」をクリックする。ダ
イアログが出るので以下のように記入しOKをクリック。以下のように入力して、esr=1またはesr=4
のとき1、その他のときは0の値をとるesrxという変数を作る。新たに esrxが作成される。
・Enter equation esrx = esr = 1 or esr = 4*8
2. 同様にして他の変数も作る。Workfileで「Genr」をクリックして、ダイアログにそれぞれ以下のように 入力する。 *8 esrx = { 1 if esr = 1 or 4 0 otherwise という指定。or は「和集合∪」を意味する。 *9 citizen0 = { 1 if citizen̸= 5 0 otherwise という指定。<> は not equal を意味する。 *10 educ1 = { 1 if educ≤ 8 0 otherwise という指定。 *11 educ3 = { 1 if 10≤ educ ≤ 12 0 otherwise という指定。and は「積集合∩」を意味する。 *12 educ5 = { 1 if educ = 14 or 15 0 otherwise という指定。
1 2項選択問題 1.6 データの加工
・Enter equation citizen0=citizen<>5*9
・Enter equation paocf1=paocf=1
・Enter equation paocf2=paocf=2
・Enter equation paocf3=paocf=3
・Enter equation msp1 =msp =1
・Enter equation msp2 =msp =2
・Enter equation msp3 =msp =3
・Enter equation msp4 =msp =4
・Enter equation msp5 =msp =5
・Enter equation educ1 =educ<=8*10
・Enter equation educ2 =educ =9
・Enter equation educ3 =educ>=10 and educ<=12*11
・Enter equation educ4 =educ =13
・Enter equation educ5 =educ =14 or educ =15*12
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1 2項選択問題 1.7 2項ロジット分析
1.7
2
項ロジット分析
1. 被説明変数を esrx、説明変数を age、 white、 black、 asian、 paocf1、 paocf2、 paocf3、 msp1、 msp2、 msp3、 msp4、 msp5、 citizen0、 educ1、 educ2、 educ3、 educ4、
educ5として以下のような2項ロジットモデルで女性の就業状態についての分析を行う。
P{esrxi= 1|agei, whitei· · · } = exp{c + β1agei+ β2whitei+· · · }
1 + exp{c + β1agei+ β2whitei+· · · }
2. 2項ロジットモデルで分析する標本を指定する。今回は25歳から34歳までの女性を対象に分析にす
る。Workfileで「Sample」をクリックする。ダイアログが出るので以下のように記入しOKをクリッ
ク。
・Sample range pairs @all*13
・IF condition sex=2 and age>=25 and age<=34
3. 「Quick」-「Estimate」をクリック。Methodで「BINARY」を選択する。以下のような画面が現れる。
4. 下記のように記述する。その他はデフォルトのまま。
1 2項選択問題 1.7 2項ロジット分析
・Equation specification esrx c age white black asian paocf1 paocf2 paocf3
msp1 msp2 msp3 msp4 msp5 citizen0 educ1 educ2 educ3 educ4 educ5
・Binary estimation method Logitをチェック
5. 下記の結果が出力される。
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1 2項選択問題 1.7 2項ロジット分析
6. 分割表を見る。推定結果を開いている状態で「View」-「Expectation-Prediction Evaluation」をクリック する。ダイアログがであるので以下のように記入する。
・Success of probability is greater than 0.5
1 2項選択問題 1.8 2項プロビット分析
1.8
2
項プロビット分析
この節では、2項プロビット分析について述べる。EViewsの操作としてはほぼ2項ロジット分析と同じで
ある。
1. 被説明変数を esrx、説明変数を age、 white、 black、 asian、 paocf1、 paocf2、 paocf3、 msp1、 msp2、 msp3、 msp4、 msp5、 citizen0、 educ1、 educ2、 educ3、 educ4、
educ5として以下のような2項プロビットモデルで女性の就業状態についての分析を行う。
P{esrxi= 1|agei, whitei· · · } =
∫ {c+β1agei+β2whitei+··· } −∞ 1 √ 2πe −t2 2dt 2. 2項プロビットモデルで分析する標本を指定する。今回は25歳から34歳までの女性を対象に分析にす る。ロジットの場合と同様に設定を行う。
3. 「Quick」-「Estimate」をクリック。Methodで「BINARY」を選択する。以下のような画面が現れる。
4. 下記のように記述する。その他はデフォルトのまま。
・Equation specification esrx c age white black asian paocf1 paocf2 paocf3
msp1 msp2 msp3 msp4 msp5 citizen0 educ1 educ2 educ3 educ4 educ5
・Binary estimation method Probitをチェック
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1 2項選択問題 1.8 2項プロビット分析
1 2項選択問題 1.8 2項プロビット分析
6. 分割表を見る。推定結果を開いている状態で「View」-「Expectation-Prediction Evaluation」をクリック する。ダイアログがであるので以下のように記入する。
・Success of probability is greater than 0.5
7. 以下のような結果が出力される。
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2 順序選択問題
2
順序選択問題
2.1
順序選択問題
本節では、被説明変数が有限個の値をとり、その順序がついている場合(順序選択問題)について述べる。 例えば、通勤手段としてどの交通手段(バス、電車、飛行機、徒歩、自家用車)を選ぶかという問題など、被 説明変数が有限の値をとるが、被説明変数の順序がつけられない問題は一般に多項選択問題となる。その場合 は、多項ロジットや多項プロビットなどを用いて分析することが多い。 順序選択モデルは、一般的に被説明変数yは連続的な値をとるが、観測されない以下のような潜在変数y∗ で定義づけられる。 yi∗= x⊤i β + ui, i = 1,· · · , n ただし、xi= (1, x1,i,· · · , xk,i)⊤は説明変数で、β = (β0, β1,· · · , βk)⊤はその係数とする。また誤差項uは i.i.d.で平均0、分散が定数の確率分布関数Fに従うと仮定する。連続潜在変数y∗は観測されないが、離散変数y1, y2,· · · , yJは観測される。y∗i とyiの関係を以下のように 定める。 以下のような閾値(threshold)を仮定する。 yi= 1 κ0< yi∗≤ κ1 2 κ1< yi∗≤ κ2 .. . ... J κJ−1< yi∗< κJ J + 1個の一定ではあるが未知の閾値パラメーターκ0, κ1,· · · , κJ を用いることによって、試行の結果 (outcome)はyi∗で表現される実数上をJ 個の区間に分割することで得られる。 yi= 1 if and only if κ0< yi∗≤ κ1⇔ κ0− x⊤i β < ui≤ κ1+ x⊤i β yi= 2 if and only if κ1< yi∗≤ κ2⇔ κ1− x⊤i β < ui≤ κ2+ x⊤i β .. . yi= 3 if and only if κJ−1< yi∗≤ κJ ⇔ κJ−1− x⊤i β < ui≤ κJ+ x⊤Jβ ただし、実数上をすべてカバーするためにκ0=−∞、κJ =∞とする。このとき、未知の閾値が減りJ− 1 個となる。ここで、yiがjである確率を考える。 πij = P (yi= j|xi) = F (κj− xiβ)− F (κj−1− xiβ) , j = 1,· · · J (4) κ0=−∞、κJ =∞であったので、F (−∞) = 0、F (∞) = 1となる。 Fがロジスティック分布に従うと仮定した場合は順序ロジットモデル、標準正規分布に従うと仮定したとき 場合は順序プロビットモデルとなる。
2 順序選択問題 2.2 順序ロジットモデル
2.2
順序ロジットモデル
(4)でF がロジスティック分布に従うと仮定する。 πij= P (yi = j|xi) = Λ(κj− x⊤i β)− Λ(κj−1− x⊤i β) ただし、Λ(z) =1+exp(z)exp(z) はロジスティック分布の確率分布関数とする。このとき、対数尤度関数は以下のよ うに与えられる。 ln L (β, κ1,· · · , κJ−1; y, x) = n ∑ i=1 J ∑ j=1 dijln ( Λ(κj− x⊤i β ) − Λ(κj−1− x⊤i β )) 尤度関数(あるいは対数尤度関数)を最大化するようにパラメーターをβˆおよびκ1,· · · , κJ−1を推定(最尤 法)する。2.3
順序プロビットモデル
(4)でF が標準正規分布に従うと仮定する。 πij = P (yi= j|xi) = Φ (κj− xiβ)− Φ (κj−1− xiβ) ただし、Φ(z) =∫−∞z √1 2exp {1 2t 2}dtは標準正規分布の確率分布関数とする。このとき、対数尤度関数は以 下のように与えられる。 ln L (β, κ1,· · · , κJ−1; y, x) = n ∑ i=1 J ∑ j=1 dijln(Φ(κj− x⊤i β)− Φ(κj−1− x⊤i β)) 尤度関数(あるいは対数尤度関数)を最大化するようにパラメーターをβˆおよびκ1,· · · , κJ−1を推定(最尤 法)する。2.4
実証分析
2.4.1 データ 2項選択問題と同じく、アメリカの国勢調査の1%サンプリングデータを用いて、ニューヨーク州の30歳以 上の英語以外の言語を用いる者の英語能力に関する分析を行った。データはマイクロデータ(micro data:個票データ、非集計データとも呼ばれる)である。データの出所はU.S. Census Bureau(国勢調査局)のCensus 2000 data(2000年国勢調査)の1-Percent Public Use Microdataである*14。分析に用いた変数の意味などは表
1を参照。
今回は、30歳以上の英語以外の言語を用いる者の英語能力に関する分析を行った。標本数は26510である。
*14今回、分析で用いたデータはhttp://www.census.gov/Press-Release/www/2003/PUMS.htmlから入手可能である。
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2 順序選択問題 2.5 データの読み込みと加工
2.5
データの読み込みと加工
2項選択問題と同様の手順であるので省略する。
2.6
順序ロジットモデル
1. 被説明変数を engabil、説明変数を age、 white、 black、 asian、 earns、 educ1、 educ2、 educ3、 educ4、 educ5、 citizen0、 msp1、 msp2、 msp3、 msp4、 msp5として以下の
ような順序ロジットモデルで30歳以上の英語以外の言語を用いる者の英語能力についての分析を行う。
P{engbili= j|agei, whitei· · · } =
exp{κj− (β1agei+ β2whitei+· · · )}
1 + exp{κj− (β1agei+ β2whitei+· · · )}
− exp{κj−1− (β1agei+ β2whitei+· · · )}
1 + exp{κj−1− (β1agei+ β2whitei+· · · )}
2. 順序ロジットモデルで分析する標本を指定する。今回は30歳以上の英語以外の言語を用いる者を対象
に分析にする。Workfileで「Sample」をクリックする。ダイアログが出るので以下のように記入しOK
をクリック。
・Sample range pairs @all*15
・IF condition engabil=>1 and age>=30
3.「Quick」-「Estimate」をクリック。Methodで「ORDERED」を選択する。以下のような画面が現れる。
2 順序選択問題 2.6 順序ロジットモデル
4. 下記のように記述する。その他はデフォルトのまま。
・Equation specification engabil age white black asian earns
educ1 educ2 educ3 educ4 educ5 citizen0 msp1 msp2 msp3 msp4 msp5*16
・Error Distribution Logitをチェック
*16 順序ロジットモデルの場合、定数項を入れると閾値が定まらなくなるので定数項を入れない。
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2 順序選択問題 2.6 順序ロジットモデル
2 順序選択問題 2.7 順序プロビットモデル
6. 評価を見る。推定結果を開いている状態で「View」-「Prediction Evaluation」をクリックする。以下の ような結果が出力される。
2.7
順序プロビットモデル
1. 被説明変数を engabil、説明変数を age、 white、 black、 asian、 earns、 educ1、 educ2、 educ3、 educ4、 educ5、 citizen0、 msp1、 msp2、 msp3、 msp4、 msp5として以下のよ
うな順序プロビットモデルで30歳以上の英語以外の言語を用いる者の英語能力についての分析を行う。
P{engbili= j|agei, whitei· · · } =
∫ κj−(β1agei+β2whitei+··· ) −∞ 1 √ 2πe −t2 2dt − ∫ κj−1−(β1agei+β2whitei+··· ) −∞ 1 √ 2πe −t2 2dt 2. 順序プロビットモデルで分析する標本を指定する。順序ロジットと同じなので省略。
3.「Quick」-「Estimate」をクリック。Methodで「ORDERED」を選択する。以下のような画面が現れる。
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2 順序選択問題 2.7 順序プロビットモデル
4. 下記のように記述する。その他はデフォルトのまま。
・Equation specification engabil age white black asian earns
educ1 educ2 educ3 educ4 educ5 citizen0 msp1 msp2 msp3 msp4 msp5*17
・Error Distribution Normalをチェック
2 順序選択問題 2.7 順序プロビットモデル
5. 下記の結果が出力される。
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2 順序選択問題 2.7 順序プロビットモデル
6. 評価を見る。推定結果を開いている状態で「View」-「Prediction Evaluation」をクリックする。以下の ような結果が出力される。